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イニシャルKさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

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21.  清須会議 《ネタバレ》 
歴史マニアでもある三谷幸喜監督が織田信長が死んだあとにその跡目をめぐって行われた評定である清須会議を題材に執筆した小説を自ら映画化した時代劇。いつものコメディー調は控えめで、実在の人物(かなりデフォルメされてはいるが。)を登場させ、真面目に歴史の一幕を描いているのがこれまでの三谷監督の映画と比べれば異色な感じがするが、会議をめぐる駆け引きなどがうまく描かれていて、そのあたりは面白い。しかし、それゆえに三谷監督が本来得意とするコメディー部分が足を引っ張っていて、そのおかげでかなり間延びした印象がある。とくに旗取り大会のシーンは笑わせようという意図があるのは分かるのだが、なかったほうが良かった気がするし、会議終了後にもダラダラと映画が続くのは前作「ステキな金縛り」以上のくどさを感じる。もっと清須会議だけに的を絞ったほうがドラマとして面白くなったのではないかと思うのだが。でも、三谷監督の映画では恒例となっている前作の登場人物の登場は今回は更科六兵衛(西田敏行)で、若干の違和感を感じてしまうこともあったが、これは時代劇であるせいかこれまででいちばん違和感がなかった。(登場の必然性もなかったが。)いつも豪華な面々が登場するわりに印象に残るキャストが少ない三谷監督の映画だが、昔からの常連のひとりである鈴木京香演じるお市の方はなかなかはまっていたし、松姫(剛力彩芽)と寧(中谷美紀)が言葉を交わし、松姫が金平糖を食べるシーンも印象的で、代表作になるというほどではないが、女優陣はけっこう印象に残る。それにしても秀吉(大泉洋)の軍師である黒田官兵衛を寺島進が演じているが、去年のNHK大河ドラマ「軍師官兵衛」をちょっとでも見ているとやはりこの役は岡田准一のほうが良かったかもとか、印象はまるで違うんだけど中谷美紀は秀吉の妻じゃなくて官兵衛の妻だよなと思えてくるのは仕方ないか。
[DVD(邦画)] 6点(2015-08-13 15:22:28)
22.  喜劇 初詣列車 《ネタバレ》 
列車シリーズ最後の作品となる第3作。今回は1作目同様、渥美清演じる車掌が列車の中で偶然、佐久間良子演じる幼馴染と再会するところから始まるが、さすがに3作目ともなると安定した面白さがある。今回はのちの「男はつらいよ」シリーズの出演者も少ないのだが、失踪したヒロインの弟を探すという展開で、こういうのは寅さんにも何回かあった気がするし、探し当てた弟(小松政夫)がフーテンをやっていたというのも「男はつらいよ」シリーズを連想させるもの。これまでにもこのシリーズは寅さんシリーズを思わせる描写があったが、3作すべて見てひょっとしたら山田洋次監督はこのシリーズを見ていたんだろうなとつい思わずにはいられない。今回、主人公の妻を演じるのは中村玉緒で、意外な組み合わせに感じたが、これがなかなか良かった。また、主人公の弟役が川崎敬三で、大映専属の二人の共演を東映作品で見られるのも珍しく、貴重かもしれない。ただ、前の2本と比べるとギャグが少し過激になってしまった印象があるのは残念で、主人公が長髪のかつらをかぶっているシーンも、渥美清に長髪というのがあまりにも似合わなすぎて違和感があった。これでこのシリーズはすべて見たわけだが、個人的にはやっぱり2作目の「喜劇 団体列車」が好きかな。本シリーズと同じ瀬川昌治監督がこのあとに松竹で手がけた旅行シリーズもいつか見てみたい。
[DVD(邦画)] 6点(2014-12-18 14:05:36)
23.  喜劇 団体列車
列車シリーズ第2作。前半に列車内の人々の人間模様やドタバタを中心に描いていた前作に対して、今回は渥美清演じる主人公と佐久間良子演じるヒロインの関係に最初からスポットがあたっている。前作に比べると列車内の描写は少なく、そこに物足りなさはあるものの、前作の車掌役から一転して助役試験を控えた独身の国鉄職員を演じる渥美清は前作よりも本作のほうがイキイキとしてるように見えるし、前作にもあった夢のシーンや、主人公の母親役がミヤコ蝶々だったり、主人公の見合い相手の父親役が笠智衆であるなど前作以上に(この2年後に始まる)「男はつらいよ」シリーズを思わずにはいられないような映画になっていて、東映映画なのにまるで寅さんの番外編のような雰囲気で楽しい。(前作もそうだったが、今回も途中から東映映画であることをすっかり忘れて見ていた。)前作ではヒロイン役の佐久間良子の出番は思ったほど多くはなかったが、今回は前作よりもヒロインという位置づけの役割も大きくなっていて、見ながら彼女がマドンナの「男はつらいよ」が見たかったとつい思ってしまった。さすがに列車映画としては前作のほうに軍配が上がるのだが、しかし、寅さんほどの勢いはないものの、主演の渥美清の魅力は今回のほうが出ていて好きかもしれない。
[DVD(邦画)] 7点(2014-12-09 17:33:12)
24.  喜劇 急行列車 《ネタバレ》 
渥美清が「男はつらいよ」シリーズ開始以前に東映で主演していた列車シリーズの第一作。東映の本格的な喜劇映画ってはじめて見た気がするけど、渥美清が主演だからか、はたまた監督がのちに松竹で喜劇映画を手がける瀬川昌治監督だからか、東映臭さはほとんどなく松竹的な人情喜劇になっていて楽しめた。渥美清は特急列車の専務車掌を演じているが、この車掌の人情味あふれるキャラクターが渥美清によく似合っているし、寅さんのイメージが強いからか妻子持ちの役柄というのも珍しく新鮮に思える。この車掌ががかつての憧れの存在である佐久間良子演じる毬子と列車の中で偶然再会し、という序盤は「男はつらいよ」シリーズでの寅さんとマドンナの出会いを彷彿とさせるものがあるし、車掌室で車内放送のマイクのスイッチが入っているのを気づかずに毬子への思いを独白してしまうのも寅さんにありそうなギャグで微笑ましく、楽しい。乗客たちの人間模様やドタバタも描かれ、なによりちゃんと鉄道映画としての面白さがあるのも良かった。大原麗子や小沢昭一など、のちに「男はつらいよ」シリーズにゲストなどで出演することになる役者が何人か出演してるのも見ていて安心感がある。でも、気になるというほどではないのだが、確かに「男はつらいよ」シリーズと比べてしまうと主人公のキャラや、毬子との絡みに若干の物足りなさがあるのも事実で、そこが残念と言えば残念。とはいえ、作品としてはじゅうぶんに面白かったのでシリーズ残る2本も見てみよう。
[DVD(邦画)] 7点(2014-12-04 15:34:14)
25.  キッチン(1989) 《ネタバレ》 
バブル景気の頃に話題になった小説が原作の森田芳光監督の映画。森田監督のベストセラー小説の映画化といえば「模倣犯」が思い浮かんでしまい、見る前は不安のほうが強かったのだが、見てみるとかなり淡々としていて、ストーリー自体にはそれほど面白味を感じないものの、独特の味わいや雰囲気が森田監督らしく、この監督の作風も映画によく合っていて、見終わって妙に印象に残る映画だった。これがデビュー作の川原亜矢子(後年の面影が驚くほど全くない。)も不思議な雰囲気を持っている主人公 みかげを初々しく演じていて、演技はたどたどしいのだが、それがみかげというキャラクターを逆に魅力的にしていて、まだ新人であった彼女の起用は正解だったように思う。(大林宣彦監督の映画に登場するヒロインに印象としては近い。)ほかの出演者たちも見たことがないような俳優が多く、そのおかげで映画を見ていて新鮮に感じられるのが良かった。そんな中でみかげを自宅に住まわせる青年の「母親」を演じる橋爪功は普段の渋いイメージからは想像できないようなオカマを見事にリアルに演じきっており、強烈なインパクトを残している。そうそう森田監督といえば作中に登場する料理が印象に残ることが多いのだが、この映画ではタイトルのごとく料理が登場するシーンが多く、中でも明かりの消えた部屋でミックスジュースを作るシーンがとても幻想的に描かれていてとくに印象的だった。
[DVD(邦画)] 6点(2013-12-19 23:13:19)
26.  キング・コング(1933) 《ネタバレ》 
今までずっと見たかった映画ではあったが、リメイク版2作と東宝で作られた日本版2作を既に見ていることと、80年前の特撮がいかにも古臭そうな印象だったため、なかなか手が出ずにいたが、そんなことを考えるのがバカバカしくなるほど素晴らしい映画だった。登場するキングコングや恐竜たちはストップモーションでリアルに表現されていて、恐怖感もちゃんと出てて、もうそれだけで感動的だし、着ぐるみやCGによる特撮と違ってストップモーションによる特撮は見慣れていないが、トリック撮影初期の段階でここまでのものができていたとは。これが円谷英二監督などのちの特撮映画の製作者たちに与えた影響が大きいことは有名な話だが、実際に見てみてなるほどと思わされた。リメイク版は2作ともヒロインのアンが徐々にキングコングに惹かれていく展開があり、本作でもそうだろうなと思っていたのだが、それがなく、アンはキングコングに対してひたすら悲鳴をあげるのみというのがビックリした。だが、それがかえってリアルだ。ドラマ性を極力廃したシンプルな構成なのも良かったが、それでもアンを抱えてエンパイアステートビルに登ったキングコングが無残に殺されてしまうという結末はやはり初代である本作から既にどこか哀愁を帯びていて印象に残り、なにかやるせなさを感じさせる。そしてなによりもやはり当時はゼロに近い状態から始まったに違いない怪獣のリアルな表現という命題に果敢に挑戦しそれを見事にやってのけたスタッフたちはまさに賞賛されるべき偉業を成し遂げていて、きっと裏で大変な工夫と努力と苦労があったことは想像にかたくない。また、ここから今につながる怪獣映画の歴史が始まったのかと思うと感慨深いものもある。怪獣映画が大好きな自分にとっては10点以外はつけることができない。本当にもっと早く見ればよかったと見終わって素直に思ってしまった。
[DVD(字幕)] 10点(2013-11-12 14:10:02)(良:2票)
27.  侠客列伝 《ネタバレ》 
マキノ雅弘監督による高倉健主演の任侠映画。夏に何本か見た石井輝男監督の「網走番外地」シリーズと比べるとやはりマキノ監督の演出はオーソドックスで手堅く、見ていて安心感があるし、高倉健、鶴田浩二、若山富三郎、藤純子といったオールスターが出演しているのだが、それぞれの見せ場の描き方もうまい。とくにかつて恋仲であった鶴田浩二と藤純子の再会エピソードでは藤純子の鶴田浩二に対する思いがよくこちらに伝わってきて印象に残る。その鶴田浩二や、組を破門されて姿をくらましていた若山富三郎のドラマもよく出来ていて面白かった。それに藤純子に惚れている長門裕之の描き方もマキノ監督らしい。東映の任侠映画をここ数年見てきてそろそろ飽きが来たかと思ったりもするのだが、やはりクライマックスの殴り込みシーンでは盛り上がってしまうし、それがマキノ監督ならばなおさらのこと。この映画でも殴り込みのシーンは大盛り上がりで見ることができた。高倉健と鶴田浩二の共演シーンは多くはないが、この二人の斬り合うシーンもとても熱くて見ごたえがあり、同時にマキノ監督らしい義理人情を思わせる。しかし、その最中に鶴田浩二が発砲されて死ぬのはちょっとと思う。ほかにも少し不満はあるし、シリーズものでないにも関わらずややマンネリ感もあるが、それでも全体としてはいかにもマキノ監督らしい作風の映画で、最後まで楽しめる映画だった。
[DVD(邦画)] 7点(2013-10-29 14:18:25)
28.  巨神兵東京に現わる 劇場版 《ネタバレ》 
元は特撮博物館で上映されたものを劇場公開用に再編集した短編特撮映画。タイトル通り「風の谷のナウシカ」に登場する巨神兵が東京に出現するという内容で、CG技術をできるだけ用いずにミニチュアでほぼすべて撮影しているのだが、やはりミニチュアというのはCGとは違う味わいがあり、昔からのゴジラシリーズやウルトラシリーズが好きとしてはCGを全否定するわけではないが、やはりミニチュア特撮には愛着も思い入れもあり、元はイベント上映用とはいえ、こういう作品がCG特撮全盛の今の時代に作られたことが嬉しいのだ。完成度も非常に高く、樋口真嗣監督の特撮監督としての力量はじゅうぶんに発揮されているし、映像も見ごたえのあるものになっている。(こういうのを見ると改めて樋口監督はずっと特撮監督だけに専念したほうがよかったのにと思えてしまう。)見る前はかなり不安な面もあったが、個人的にはとても満足できる作品だった。しかし、ただ一点、林原めぐみのモノローグは無くてもよかった気がする。
[DVD(邦画)] 7点(2013-09-21 00:47:58)
29.  喜劇 一発勝負 《ネタバレ》 
親と大喧嘩をして家を飛び出した男が久しぶりに帰ってきて騒動を巻き起こすというストーリーは「男はつらいよ」の一作目を彷彿としていて、主人公の妹を演じているのが倍賞千恵子であるという共通点もあり、「男はつらいよ」の原型のようなものが感じられる。しかし、演じるハナ肇と渥美清のキャラクターの違いか、そう思って見ているとなんか違うと感じてしまうし、主人公の下の妹が実は主人公の娘であるという設定も少し重く感じる。出来もこれまで見た山田洋次監督とハナ肇のコンビ作の中ではやや落ちる方だと思うものの、それでも、主人公が自分の葬儀の最中に棺から出てくるギャグ(本当にどうなってるんだろう。)や、毒のあるラストなどはやはり後年の山田監督の映画では考えられないものであるが、こういう初期の頃の作風もけっこう好き。いちばん最後の主人公の父親(加東大介)の不気味な笑い(それこそ後年の山田監督の映画では絶対見られない。)がものすごく印象的だ。本当は6点というところの映画なのだが、このシーンに一点プラス。もうひとつ、この時期の山田監督の映画では登場人物の誰かがナレーションをしているパターンが多い(「たそがれ清兵衛」や「母べえ」など最近の作品でもそう。)のだが、今回は珍しく一切画面に登場しない専属のナレーターを三島雅夫が担当していて、映画を見ている者に話しかけるようなその柔らかな口調が印象に残る。 ただ、やはりこの映画の主人公はあまり好きにはなれず、同じようなストーリーなら寅さんのほうが魅力を感じられる。
[DVD(邦画)] 7点(2013-07-11 11:16:24)
30.  喜劇 男は愛嬌
森崎東監督の第3作。主演は渥美清でストーリー自体も長い間旅に出ていた主人公が久しぶりに実家に帰ってきて騒動を起こすという完全に「男はつらいよ」シリーズのパターンと似通っており、脇の出演者も「男はつらいよ」シリーズの面々が何人か出ている(太宰久雄、佐藤蛾次郎)が、森崎監督らしいパワフルな(「破壊的な」と言う方が正しいかも。)演出やバイタリティーあふれる癖のある登場人物たちのおかげで「男はつらいよ」シリーズの一作のようでありながらそれとは一味違う映画になっている。森崎監督がこのひとつ前に手がけた「男はつらいよ フーテンの寅」も従来のシリーズとは一味違う映画であったが、ダンプが家に突っ込むシーンの過激さや、独特の下品さなど、本作はより森崎監督らしさが出ていて「フーテンの寅」よりも面白かったし、森崎監督のこういう作風はけっこう好きだったりする。出演者の中ではなんといっても主演の渥美清がすごくイキイキとしているのが嬉しい。やはりこの渥美清という俳優は「ああ声なき友」のようなシリアスすぎる役柄よりもこういう威勢のいい元気な役のほうが似合っているし、こういった喜劇でこそ本来の魅力を最大限に発揮できる俳優なのだと思う。そんな喜劇を演じる渥美清が好きだし、さっき書いたようにこの映画は「男はつらいよ」シリーズとは一味違うのだけれど、それでも渥美清が好きなら、寅さんが好きなら一度は見ておいて損はない映画だと言っておきたい。それにしてもこんなにイキイキとした渥美清を見るのは本当に久しぶりな気がする。渥美清というのは本当に魅力的な喜劇俳優だと改めて思った。
[DVD(邦画)] 8点(2013-07-03 21:02:44)(良:1票)
31.  君が若者なら 《ネタバレ》 
集団就職で上京してきた5人の若者を描いた青春映画。「若者たち」と出演者が似通っていて、つくりとしても「若者たち」の路線を目指しているようだ。だから深作欣二監督にはちょっと不釣り合いの題材かもと思っていたが、集団就職で田舎から都会に出てきた若者たちのその後の人生の厳しさがよく描けた佳作となっていて、なかなかいい映画だった。集団就職で入社した工場が倒産するという話は当時でも普通にあったことだろうと思えるし、同じ夢に向かっていた5人の運命がバラバラになってしまうのもリアリティーが感じられる。とくに最後まで一緒にがんばっていた石立鉄男と前田吟の考えが少しずつずれていき、刑務所を脱獄した仲間(河原崎長一郎)をめぐる二人の対立で考えのズレがはっきりと出るのだが、この展開も青春映画として非常に見ごたえがあり、「若者たち」でもそうだったが、この当時の若者の熱さが感じられる。ラストで爆発炎上し、灰となってしまった5人の夢であったトラックを見ながら石立鉄男が言う「トラックが焼けてよかった。」というセリフは「また一からがんばればいい。」という若者らしさが感じられていい。若いうちは何度でもやり直しが利くのだ。若いうちは。どうしてもアクション映画の印象が強く、後年の文芸作品でも激しい演出の多い深作監督だが、この映画ではそういう演出は控え目(深作監督らしさは回想シーンでのストップモーションとラストのトラックの爆発炎上シーン、室田日出男のチョイ役での登場など探せばあるのだが。)で、こういう映画もやれるのかと深作監督の作風の幅の広さもあらためて感じることができる映画となっている。
[DVD(邦画)] 7点(2013-03-07 17:43:06)
32.  喜劇 にっぽんのお婆あちゃん 《ネタバレ》 
渡辺宙明の軽快なテーマ曲にのってミヤコ蝶々と北林谷栄が街を歩く。この二人の老け役女優が良く、ほかにも最年長の東山千栄子をはじめとする老人役のほか、日本を代表するような名優たちが出演していて、それだけでも見る価値のある映画なのだが、内容は「喜劇」というには重い老人問題を扱っていてあまり笑えない社会派映画となっている。今でこそ少子高齢化社会であるが、この映画の製作当時はまだそんなことは言われていなかっただろう時代にこのテーマの映画というのは社会派・今井正監督の先見の明を感じずにはいられないし、ラスト近く、帰宅したミヤコ蝶々に対する家族の冷たい態度は現代から見ればものすごくリアルに感じられる。ただ、ラストはミヤコ蝶々演じる主人公が北林谷栄のいる老人ホームに行くところで終わったほうが少しは希望があったのでは。あのまま主人公が息子夫婦と暮らしていくよりはいいと思うのだ。とはいえ、北林谷栄はある疑いをかけられ、その老人ホームを抜け出したことからも考えられるが、老人ホームが本当に老人にとって安住の地なのかと言われれば微妙なところで、結局どちらがいいとも言えないのが実情だろう。この問題は今現代においても全く変わっておらず、むしろ今のほうが深刻になっているのだ。非常に考えさせられるいい映画だったと思う。老人ホームの職員役で小沢昭一が出ている。去年暮れに亡くなってしまったのは本当に残念だった。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2013-01-13 14:24:42)
33.  北の国から 2002遺言 前編・後編<TVM> 《ネタバレ》 
「北の国から」の長い歴史を締めくくる完結編。放送当時見逃していて10年経った今頃になってようやく鑑賞。最後ということを意識してか、涼子先生(原田美枝子)の久々の再登場などどこか同窓会的雰囲気も漂わせる作品になっていて懐かしい気持ちにさせられるが、ドラマは結(内田有紀)の義父を演じる唐十郎がほとんど持って行ってしまった感じで、悪くはないが、あまり完結編という感じのしないものになってしまった印象。前半の雪子(竹下景子)の息子の携帯メールのエピソードはいらなかった気がするし、脚本がどこか散漫に感じる。そんな中、やはり、奥さんのガンのことを中畑(地井武男)が五郎(田中邦衛)に話すシーン、撮影当時本当に奥さんをガンで亡くしたばかりだったという地井武男の演技はリアルすぎて見ていてつらく、演技ではないことは想像に難くないし、思わず心中を察する。本放送前は五郎が死ぬのではと思わせるような宣伝だったように記憶しているが、そうはならなかったのが救いで、中畑の奥さん死んでて、同じ話で五郎まで死んだのでは作品が陰湿すぎるものになってしまうため、これで良かったと思う。これでこのシリーズはすべて見終わったことになるが、だからこそエンドロールで今までかかわったキャストやスタッフの名前がどっと出てくるのは感慨深いものがある。最後にこのシリーズを脇で支え、今年亡くなった地井武男と大滝秀治のご冥福を祈りながら、このレビューをしめたいと思う。
[CS・衛星(邦画)] 5点(2012-12-13 16:00:12)
34.  吸血髑髏船
「吸血鬼ゴケミドロ」に続く松竹の特撮ホラー映画。この作品はSF路線には行かずにオカルトチックなB級ホラーというつくりになっているが、どうも白黒のせいか「昆虫大戦争」や「吸血鬼ゴケミドロ」よりもB級っぽく見え、話も支離滅裂な感じであまり面白くはないし。ただ、B級ながらも白黒のおかげかホラー映画という雰囲気はよく出ていたと思う。(骸骨とかコウモリとか明らかにちゃちいのだが。)この前年に「007は二度死ぬ」にノンクレジットのチョイ役で出演した松岡きっこが主演で、けっこう美人なんだなとか、その恋人役は去年自らが侵されたガンとの向き合い方で注目されていた入川保則だとかそんなことを考えながら見ていた。これで同時代に作られた松竹の特撮映画は一通り見たことになるのかな。いずれもがんばってはいたのだが、やはり松竹に特撮映画というのはどう考えても畑違いのように感じる。
[DVD(邦画)] 5点(2012-05-30 01:44:55)
35.  吸血鬼ゴケミドロ 《ネタバレ》 
松竹の特撮ホラー映画。「昆虫大戦争」と同じ年の作品で、本作もかなり退屈な代物なのではと思っていたが、墜落したわりに飛行機の乗客生き残り多すぎでみんなピンピンしていたり、「昆虫大戦争」では吹き替え(納谷悟朗)だった外国人キャストのセリフが英語のままだったりする(しかも通じてなかった政治家が最後のほうになるといきなりバッチリ通じていたり・・・)など突っ込みどころ満載の展開ながらも思ったよりははるかに楽しめた。極限状態に置かれた人間模様を描いた前半は「マタンゴ」を思い起こさせるが、この部分は密室劇として普通に面白いし、ホラー要素なくてもこれだけで見ごたえのある映画にはなっていると思う。金子信雄の役柄が実にこの人らしい。宇宙からの侵略者が人間同士の争いに目をつけて攻めてくるのは当時の社会情勢に対する批判がこめられていることは明らかで、ラストが「昆虫大戦争」と同じような感じなのも合わせて考えるとやっぱり当時の時代性が感じられる。ところで、本来は子供向けに作られた映画らしいが、ドロドロの宇宙生物が割れた額から出入りするのは小学生くらいの頃に見てたら絶対にトラウマになりそう。
[DVD(邦画)] 6点(2012-05-23 18:35:17)
36.  喜劇 駅前開運
社長シリーズと並ぶ森繁久弥主演の喜劇映画シリーズである駅前シリーズのひとつ。第1作「駅前旅館」の豊田四郎監督が再登板している。このシリーズを見るのはその「駅前旅館」以来2本目であったが、シリーズの開始10年という年に作られた本作はやはりシリーズ末期の作品で、あまり面白みを感じられない。(「駅前旅館」もそんなに面白くはなかったけど。)このシリーズは地方ロケが多いらしく、今回の舞台は赤羽。「宝くじ踏切」と呼ばれる開かずの踏切が開くのを待っている人々の光景はいかにも昭和という感じだし、ゴミ焼却炉の煙の問題を背景として出してくるところに当時の世相がうかがえ、その辺りは興味深いが、主演の三人のやりとりをはじめ、笑いの部分になるとなんかイマイチなのが残念で、ぜんぜん楽しめないことはないのだが、せっかく森繁、伴淳、フランキーという喜劇俳優たちを用意しているのになんかもったいない気さえしてしまうし、(その分、脇で出ているナベプロ時代の藤田まことなどが頑張ってるような印象はある。)豊田監督の演出にもやや精彩がない感じ。女優として芝居をしている黒柳徹子を初めて見たけど、やっぱり若いなあ。でもしゃべり方とかは今とあんまり変わっていないような気がする。
[DVD(邦画)] 5点(2011-08-25 00:24:39)
37.  きな子~見習い警察犬の物語~ 《ネタバレ》 
香川県に実在する見習い警察犬きな子(2011年1月 警察犬デビュー)を題材にした動物映画。一応、実話の映画化ということになるんだろうけど、ストーリー自体は見習い警察犬訓練士の成長物語となっており、きな子をネタに一本映画を作ってみたという感じ。訓練所の所長(寺脇康文)の家族はそれぞれいい味を出していて、この一家の配役はみんな適役。ドラマとしては独立寸前までいきながら家庭の事情で諦めざるを得なかった田代(山本裕典)の葛藤や、杏子(夏帆)ときな子の絆などもう少し掘り下げてもよかったのではと思う部分もあるが、ファミリー映画でもあるので限界があるのかもしれない。(それでも杏子ときな子の絆にはもう少し踏み込んだドラマがあってもよかったのではないかと思う。)クライマックスで所長一家の長女(大野百花)が危機に陥ってそれを杏子ときな子が助けるという展開はかなり予想通りでありがちではあるが、やはりちょっとほろっとさせられる。全体としては別にこの映画で実在の犬を題材にしなくてもという気持ちもないではないが、ファミリー映画としてはそこそこ楽しめたといったところか。
[DVD(邦画)] 5点(2011-03-12 13:49:18)
38.  君よ憤怒の河を渉れ 《ネタバレ》 
「単騎、千里を走る。」で健さんを主役に起用したチャン・イーモウ監督が健さんのファンとなったきっかけになった作品として挙げている映画。「逃亡者」を思わせるストーリーでそこそこ面白かったが、緊迫してるシーンのハズなのに妙に音楽が明るいのはかなりのミスマッチを感じるし、着ぐるみまる出しの熊はまだしも、新宿を疾走する馬はいくらなんでもやり過ぎに思う。(一瞬「トゥルーライズ」を思い出してしまった。)健さんは無実の罪を着せられた主人公をシリアスに演じているのだが、後半、薬を飲まされ、それをトイレに吐くシーンはどう見てもギャグにしか思えず、のどかで明るいBGMとも相まってつい脱力して大笑いしてしまった。それでも健さんと原田芳雄のツーショットはカッコよかったし、なんだかんだ言って突っ込み所の多いバカっぽい映画ではあるが、娯楽映画としてはそれなりに見ごたえのある映画にはなっていると思う。
[DVD(邦画)] 5点(2011-01-06 14:36:48)
39.  魚影の群れ 《ネタバレ》 
相米慎二監督といえば「セーラー服と機関銃」のようなアイドル映画や「お引越し」のような子供の成長を描いた映画の印象が強いけれどもこれはもう完全に大人の映画で、緒形拳演じる主人公の漁師としての生き様とそんな彼に漁師の弟子入りを志願する佐藤浩市扮する青年とのドラマが非常に見ごたえがあり、二人がマグロ釣りに出かけて行き、誤って釣り糸が佐藤浩市の顔に巻きつくシーンの壮絶さ。それでいながらマグロを諦めようとしない緒形拳の執念も物凄い。昔「私の青空」という田畑智子(「お引越し」のレンコ)主演のNHK朝のドラマでも取り上げられていたが、ここまで壮絶なものとは。それが相米監督お得意の長まわしによってこれでもかこれでもかとリアルに描かれていて漁師という仕事の壮絶さを思い知らされたような気がする。そんな緒形拳を「人間よりもマグロの方が大事なのか。」と責める夏目雅子扮する娘。この映画は緒形拳と佐藤浩市の男と男のドラマでありながら、この夏目雅子の存在も大きく、海に出て行った緒形拳や佐藤浩市の帰りを待ち続ける姿や、さきほど書いた佐藤浩市が死に掛けてるのにほっといてマグロを釣っていた緒形拳に対して非難を浴びせかけるシーンなどこのトキ子という女性の内面的な部分もよく描かれており、この部分のドラマも非常に見ごたえがあるものになっている。もちろん演じる夏目雅子も見事で、既に青観さんが書かれているようにこの女優でなければ出せない味というのか、そういうものがあるからこそ、ドラマに深みが加わっているのだと思う。ラストの彼女の海に向かってのやり場のない絶叫は思わず見ているこちらも悲しくなってしまった。そして、改めて、夏目雅子という名女優の若すぎる死を惜しく思うし、生きていたら今頃どんな女優になっていただろうと思う。27年間の生涯、そしてわずか10年間にも満たない女優人生。その中でもこの映画は「時代屋の女房」と並んで彼女の映画での代表作と言えるのではないかと思う。坂道を自転車に乗って明るく颯爽と走っている姿も印象的だった。そして緒形拳や相米監督にとっても間違いなく代表作の一つだと思うし、相米監督も53歳という若すぎる死が惜しまれる。それに緒形拳だってもう亡くなってしまっているのは非常に残念。この三人にはもっと長く生きていてもらいたかった。
[DVD(邦画)] 8点(2010-10-13 01:45:34)(良:1票)
40.  嫌われ松子の一生 《ネタバレ》 
「下妻物語」があまりにも予想外に面白い映画だっただけにどうかなあとあまり期待を持たずに見た。運命に翻弄される女性の波乱に満ちた53年間の生涯を描いた作品で「下妻物語」のようなバカバカしさや軽さといったものは若干抑えられてる感じがするものの、不幸のどん底にたたき込まれた主人公 川尻松子(中谷美紀)の物語をことさらに悲劇性を強調するでなく、逆に明るいエンタテイメントとして描ききるというのが斬新。普通に考えれば失敗してもおかしくないのだが、この映画はそれでいて一代記ものドラマとしての見ごたえもじゅうぶんあるという只者ではない映画になっていて、まだ見るのは2本目ながら中島哲也監督のうまさを改めて感じられる。ストーリーのほうはもう松子が父親(柄本明)から愛されたい一心で変な顔をするという序盤からもう切なくなり、松子にこの時点でかなり感情移入してしまった。その後もとにかく必死で愛を求める松子の姿が切なくてたまらないのだ。そんな彼女の最期はとてもあっけないものだった(でも、元教師らしい最期だ。)が、ラストの階段を昇り切った彼女が、出迎えた妹(市川実日子)の「おかえり」という言葉に対して「ただいま」と返す。この瞬間、不覚にも泣いてしまった。下の方も書かれているが、これが松子にとって本当の幸福を手に入れた瞬間だろう。これをハッピーエンドというのかは人によると思うが、個人的にはハッピーエンドだと思いたい。ミュージカルのようにたくさんの楽曲が使われているが、中でも「まげてのばして」が冒頭から効果的に使われており、特に印象的。このラストシーンで松子がこの歌を歌いながら階段を昇っていくシーンも泣けて仕方がなかった。松子を演じる中谷美紀も素晴らしく、撮影中は中島監督との対立が激しかったようだが、その要求によく応えて名演技をしていて、まさにこの女優だからこそこの松子といういかにも不幸で魅力にもちょっと乏しいようなキャラクターをここまで魅力的に表現できるのではないかと思う。本当に見てよかったと思える映画だった。本作は人によっては好き嫌いははっきりと分かれるかもしれないが、邦画新時代の新しい女性映画の傑作として高く評価したい映画である。
[DVD(邦画)] 8点(2010-08-17 15:58:52)(良:3票)
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