1. グース
「グランドジャーニー」から先立つこと23年前のアンナ・パキン、ジェフ・ダニエルズ共演作品。見事な脚本に+1点。 [DVD(字幕)] 10点(2021-06-20 01:27:00) |
2. グランド・ホテル
《ネタバレ》 ホテルを舞台にそれぞれの人生が描かれていた。元祖「グランドホテル形式」だけあって素晴らしい作品だった。魅力一杯の登場人物の中でとりわけクリンゲラインが頭から離れない。ぎこちなく踊る姿、社長に「横領したんだろう」と言われ激怒する姿、ギャンブルで一人勝して(ビギナーズラック?)皆に「もう少しここに居てください」と頼む姿、財布が無くなったと泣く姿・・・慎ましく過ごしてきた人生が痛いほど伝わってきた。何度も見たい一本。 10点(2003-12-19 16:17:23) |
3. クーリエ 最高機密の運び屋
邦題からマフィアものでパーッと行こうか~の気分で鑑賞。まさかのペンコフスキーの話だったとは。この人の事はフレデリック・フォーサイス作品で知っており末路も分かっています。しかしながらグレヴィル・ウィンの存在は初耳。市井のセールスマンがCIA&MI6の依頼を受けてペンコフスキーがもたらすこれ以上無い最高機密のクーリエとなる。ウィンの運命や如何に! 派手なアクションも一発の銃声も響く事もなかったのですが、全編息苦しさに包まれておりました。白鳥の湖に共に感極まる二人に涙腺に警報が出て、ウィンがペンコフスキーに 叫び続ける You did it ! に崩壊ボロ泣き。ミサイル撤去の事実をペンコフスキーが知ったというのは事実であって欲しいです。ベネディクト・カンバーバッチの顔の相が変わる激痩せ役作りが圧巻。結末にまた涙。 こうして普通に過ごさせていただく間にも核戦争回避の為に命を懸けて下さる人がいるのだろうか思いが至りました。傑作です。 [DVD(字幕)] 9点(2022-04-12 01:32:36)(良:1票) |
4. グランド・ジャーニー
申請、許可、承認、書類偽造といった地上の出来事とは無縁な雁の群れとその親である14歳少年トマの大冒険。実話でCG無しの映像というのが信じ難いところです。人情は万国共通である彼等を見る人々の視線の暖かさと、子(トマ)(アッカを始めとした雁達)はかすがいを動画表示したような親子の姿が染み入ります。劇場鑑賞であれば更なる感動請け合いな傑作です。 [DVD(字幕)] 9点(2021-06-05 15:02:33) |
5. 黒いチューリップ
初見。ゾッコンだった小学生時分に観たら感激のあまり卒倒していたでしょう。この歳になっても匂い立つような美しさでの立ち居振る舞いにクラクラするばかり。それが一人二役で二人が向き合っていて(見事な撮影技術)喜びが二倍二倍! 更に双子の兄弟の性格の違いを演じ分ける演技力が特筆もので「顔だけと違うのね」心底驚きました。(+1点)愛馬ヴォルテールまでカッコ良い。起承転結も見応えある華やかな活劇に唯々感動の傑作。 [DVD(字幕)] 9点(2021-05-08 00:56:22) |
6. 靴みがき
《ネタバレ》 貧しいながらも馬を買う夢を持って懸命に働く幼いパスクアーレとジュゼッペ。心まで貧しい大人達にいいように利用されて、固い友情がズタズタに引き裂かれた挙句のパスクアーレの号泣。本来子供を導かなければならない大人は彼に何と声をかけるのか? 何一つ救いがなく、明日への希望も持てない作品。 [DVD(字幕)] 9点(2017-06-29 01:11:55) |
7. 靴をなくした天使
♪♪真実を知~ることがす~べてじゃな~い♪♪ 意表を突かれた結末が味わい深かった。 ダスティン・ホフマン、ドンピシャのハマり役、拍手喝采。 小粋なラストショットもお見事。 [DVD(字幕)] 8点(2023-11-18 01:31:25) |
8. 狂へる悪魔
《ネタバレ》 邦題と画質の荒れが102年前を感じさせるジキル博士とハイド氏が描かれた無声映画。 ジョン・バリモア>>>>>フレデリック・マーチ(1932版)>スペンサー・トレイシー(1941版) 超絶過ぎるオトコマエ貴公子が特殊メイク無しのアイーン顔での最初の変身シーンは強烈にも程があり久々のリプレイタイム。 哀れを誘う最期の横顔の美しさも目に焼き付きます。 本作がデビューとなった毒婦女優ニタ・ナルディを初めとする共演陣が影が薄く、字幕で語られる個々の胸中が今一つ表現されていないところの物足りなさもバリモアの怪演に押さえ込まれます。 善だ悪だと言っても価値観、本質は一つだと思わされる秀作です。 [DVD(字幕)] 8点(2022-02-04 14:26:13) |
9. クリスチナ女王
《ネタバレ》 歴史ものとしてもロマンスものとしても見応え十二分でした。持ち味である凛々しさを存分に発揮したグレタ・ガルボ演ずるクリスチナ女王はまさにはまり役であって神々しいまでの美しさでありました。アントニオ演ずるジョン・ギルバートの線の細さが残念です。 1日中テレビにかじりついていた10月22日、陛下がかぐや姫の「神田川」がお好きだという件が印象深く、本作で女王が葛藤の末に退位した姿に色々と考えさせられました。 [DVD(字幕)] 8点(2019-10-26 02:26:37) |
10. 黒い画集 第二話 寒流
《ネタバレ》 原作未読。遊び慣れていない生真面目支店長が融資先の女に溺れ、「惨めな人は嫌い(=常務より見劣りする)」と捨てられ、常務への私憤(大部分)公憤(ちょっぴり)入り混じった反撃も悪あがきに過ぎなかった。清張作品ならではのやるせなさを嫌と言うほど味わう事に。風間重吉のイメージがこびりついている池部良の奥歯噛み締めている惨めっぷりは見応え充分。銀行の恥部に触れた場面での丹波哲郎、志村喬は流石の存在感。特筆すべきは平田昭彦演ずる常務の厭らしさで、ジェームズ・メイソン顔負けの腹黒さ全開の送別会に於けるスピーチが圧巻。新珠三千代が奈美役が荷が重かった事を差し引いてもテルミンの不穏な音色に包まれるサスペンスの一級品。 [DVD(邦画)] 8点(2018-11-18 12:16:12)(良:1票) |
11. クイズ・ショウ
《ネタバレ》 TV業界のやらせ行為は1956年当時に於いて衝撃が大きかったのが今では誰でもさもありなんと言えるので、「公的事業ではなく娯楽番組においての不正行為によって皆が得をした、誰も傷ついていない」委員会でのダン・エンライトの証言にうっかり納得しそうになる本作。彼や事業者達がチャールズ・ヴァン・ドーレンをビジネスの道具としてしか見ておらず傷つけたとは頭の隅にも浮かばない事が薄ら寒い。父子がケーキを食するシーンが忘れられません。自業自得の後戻り出来ない苦しさを吐き出すのを懸命に堪える息子と訝る父、もどかしさで泣きそうに。お目当てのポール・スコフィールドに満足させられ、嫌いなレイフ・ファインズの驚きの好演に得した気分になりました。監督の生真面目さを感じる良作。 [DVD(字幕)] 8点(2017-10-13 15:50:18) |
12. グランド・ブダペスト・ホテル
ホテルの外観、内装の幻想的な美しさに「こんな所でゆったりとした時間を過ごしている」自分を妄想しました。苦手なレイフ・ファインズが登場した時に「しまった」と後悔したものの、グスタヴはドンピシャのはまり役で初めて魅力的だと感じました。びっくりするほど多数の名優達と織りなす物語を飽きることなく楽しめた絵本のような作品でした。ハーヴェイ・カイテルに気づかず観直して確認したのは不覚でありました。 [DVD(字幕)] 8点(2017-03-23 01:55:17) |
13. 黒猫・白猫
何時の時代? 舞台は何処? ガチョウの大群? 何故にリックとルノー署長? 等々、「何じゃこりゃ?」が満載。 どことなく詩情を感じる賑やかにも程がある音楽と共に繰り広げられる突き抜けたハチャメチャぶりに何だか元気を貰う。特に大爆笑させられた楽団が病室になだれ込み爺さんを連れ帰るシーンは「天才バカボン」の世界。ラストの二人のカサブランカダンディの粋な台詞に、バカボンのパパの決め台詞「これでいいのだ」が浮かんだ。掘り出し物の珍作・快作に出会えた喜びを味わった。 [DVD(字幕)] 8点(2017-01-14 23:28:59)(良:1票) |
14. グッバイ、レーニン!
《ネタバレ》 当時、出張帰りの上司に「ハイ、お土産、ベルリンの壁だよ」と渡されて、オヨヨ! となった思い出があります。 アレックスが母親を死なせてはなるものかとつき通す嘘が滑稽であり健気でもあります。 再会を果たした夫婦が何を語ったのかあれこれ想像が巡ります。 全てを承知の上での「素晴らしいわ」に胸熱になりました。 超特大の時代の変化に晒される人々を丹念に描いた良作です。 [DVD(字幕)] 7点(2023-04-15 00:17:14)(良:1票) |
15. 9時から5時まで
猛女全盛期ジェーン・フォンダ大暴れを想像したのですが、女性三位一体で出しゃばりすぎず良い感じだったのが意外です。パワハラ・セクハラ、モラルも能力もカケラもないド腐れカス上司を演じるお目当てダブニー・コールマン。陰湿さと幼稚っぽい塩梅が絶妙の演技に「役者やねぇ」感心。会長を前にしたヘタレっぷりがザマミロというかカワイソウというか。無理筋があるにはあるものの、後味爽快なカラリとしたコメディに大いに楽しませて貰えた作品です。 [DVD(字幕)] 7点(2023-02-14 01:35:14)(良:1票) |
16. クーデター
《ネタバレ》 子役二人の心のケアはなされているのか心配になった殺戮描写オンパレード。少ない出番ながら銃撃描写は流石007ピアース・ブロスナン。そしてCIAとしての彼の語りに現在のスリランカと中国を見るところで荒唐無稽な話でないのが不気味です。 [インターネット(字幕)] 7点(2022-09-19 21:13:28) |
17. グッバイガール
《ネタバレ》 反目から恋愛へ。よくあるお話を三枚目の二人がリアルに魅せてくれます。傷の舐め合いとは違うドライで小粋な会話がいい感じ。ラストのギターを抱えて見送る姿は三度目の正直になることを願って止まなかった名シーン。余韻の深い良作。 [DVD(字幕)] 7点(2022-09-09 13:59:40) |
18. クライシス(2021)
《ネタバレ》 法律で医療用に使用が許可されている病院での使用に限られていた麻薬鎮痛剤オピオイド。1995年にパーデュー・ファーマ社が開発したオピオイド系鎮痛剤が処方箋で誰でも簡単に買える常備薬となり、後発組による同種鎮痛剤開発でオピオイド危機に至るという背景を知らずに鑑賞。製薬会社から委託された新薬テストで明らかになった瑕疵を圧力に屈せず食品医薬品局に訴える大学教授(ゲイリー・オールドマン)彼の相手である製薬会社、役人、大学、最凶トリオの人の命を預かる自覚が1ナノグラムも無い姿が恐ろしい。とりわけ事実を公表する事は守秘義務違反、一生かかっても払いきれない賠償金を課せられるという理屈が流石アメリカというべき胸糞の極み。このエピソードのみで作り上げたら地味だと判断したのかもしれませんが、密輸業者への麻薬取締局おとり捜査官(アーミー・ハマー)、息子の死の真相に迫る母親(エヴァンジェリン・リリー)のエピソードが並行して描かれています。犯罪ものとしてまぁそれなりにと言ったところですが、喪失感一杯の母親が見せる奮闘振りは白けた不要さで作品が散漫になってしまったのが少し残念。簡単に薬に頼る事を見直さなければと考えさせられた佳作です。 [DVD(字幕)] 7点(2021-08-13 19:42:23) |
19. 黒い画集 あるサラリーマンの証言
清張作品で橋本忍脚本とくれば良質な筋立ては保証されています。平凡なサラリーマン課長の因果応報な転落模様は都度次の展開が浮かんできて、肩の荷がどんどん増えてゆく思いで滅入ってゆきます。小林桂樹が見せる喜怒哀楽はリアリティあふれる名演で、ラストショットの後ろ姿は残酷でありながら救いも感じました。「40そこそこならやり直しが利くはず、杉山夫妻と妻子への罪を償って」地味ながらも見応えある良作です。 [DVD(邦画)] 7点(2021-06-05 04:40:39) |
20. クランスマン
《ネタバレ》 オープニングクレジットでの監督テレンス・ヤング、出演リチャード・バートン、リー・マーヴィンの他にキャメロン・ミッチェル、O・J・シンプソン、ルチアナ・パルッツィに「これはなかなか」と思ったところでの脚本サミュエル・フラーに俄然興味が湧きました。60年代アラバマ州KKKが描かれています。クランスマンが一部の異常者ではなく、町長や保安官助手(ミッチェル)もであり、普通の市民がごく普通に人種差別しており、教会神父までもがそれに加担しているのは初めて見る光景でムカムカする。こんな輩が銃を持つのはまさにキ〇ガイに刃物。自分の頭でモノを考える保安官(マーヴィン)もしがらみの中で煮え切らない姿が悔しい。唯一毅然としているブレック(バートン)に期待をかけたのですが。そうなるしかないと予感した銃撃戦からの結末は爽快感のカケラも無いものでサミュエル・フラーらしさを感じました。見応えある良作です。 [インターネット(字幕)] 7点(2021-05-25 01:01:11) |