1. 恋はデジャ・ブ
《ネタバレ》 オチがわかっていたにも関わらず、いつもと違う音楽で目を覚ますラストシーンは鳥肌がたちました。フィルが本当の愛に辿りつき、ようやく2月2日の呪縛から解き放たれたようです。また、最後の1日が、一番多くの人がフィルによって幸せをもたらされたような気がして、サクセスストーリーを見た後のような清々しい気持ちにもなれました。カメラマンだけは、不人気なうえ25セントでおばさんに落札されて、ちょっと割を食ってたような気がしますが。カメラマンにもチャンスをあげたいですね。僕もタイトルを考えてみました。「Re-try」、どうでしょう? [DVD(字幕)] 10点(2011-07-08 11:06:45)(良:1票) |
2. ゴッドファーザー
《ネタバレ》 長いので何回かに分けて見るつもりだったのに、あんまり面白くて一気に見てしまいました。おかげで寝不足の一日になってしまった。 どーしても古い映画は敬遠しがちだったのです。 理由➀ 様式美がもてはやされていて、実際の面白さはそーでもなかったりするから。 理由② 様式美に凝り固まっていて、テンポが遅そーだし、退屈そーだから。 理由③ 各ジャンルのパイオニアってだけでもてはやされていて、実際の面白さはそーでもなかったりするから。 そんな自分の浅はかな固定観念をものの見事に粉々にしてくれました。『色褪せない』ってのはこーゆーことなんですねぇ。 小難しい映画かと思っていたのですが、そーでもなかったのも良かったです。 確かに人物相関図はやや複雑ですが、中心人物たちだけ押さえておけばストーリーは割とシンプル。実は単純な成り上がり系ストーリー。マフィアのドンの息子でありながら、堅気の主人公マイケルが、運命に翻弄されてマフィアの世界へと否が応にも巻き込まれていく物語。ファミリーのなかでも、一人だけ非マフィアでボンボンな感じのマイケルが、次第に頭角を現していくのはある種痛快でした。危険で予断を許さない状況のなか、マイケルの一挙手一投足に期待せずにはいられません。 それにしてもアル・パチーノにもこんなに若いときがあったのですねー。最初アル・パチーノだと気づきませんでした。 兄のソニー、相談役のトム・ヘイゲン、暗殺実行役のクレメンザなど、脇を固める面子も強烈な個性。1人1人に大なり小なりドラマあり。にも関わらず、ファミリーの存亡をかけた駆け引き、闘争、そして世代交代というこの映画の本流も決して見失わない見事なストーリー構成。なんとバランスの良い映画なんでしょう。 ただひとつ難を言うなら、マイケルとアポロニアのエピソードは個人的には不要でした。 マイケルには一人の女性を愛し、基本はストイックでいてほしかったものです。アポロニアとのエピソードは、なんだか極上のウイスキーに混ぜられた不純物のようでした。 それにアポロニアが死ぬやいなや、ケイ・アダムスのところに戻っていって、なんと節操のない。 マイケルの好感度を下げるだけのこのエピソード、本当に必要だったのでしょうか。 それにしてもあれだけ事が大きくなるのを避けて慎重に動いていたのに、結局暗殺という力業でカタをつけちゃうんですね~。 もちろん、偉大なるゴッド・ファーザーの死を待っていたというのが理由なんでしょうけど、・・・・それを踏まえても、だったら状況がこれだけ悪化するまえになんとかなったんじゃないかという気も・・・ [ブルーレイ(字幕)] 9点(2023-07-24 00:50:39)(良:1票) |
3. コーチ・カーター
《ネタバレ》 実話をベースにしたスポーツ系サクセスストーリー。好きなジャンルです。 バスケ部OBのケン・カーターという人物が、母校の落ちこぼれバスケットボールチームのコーチを引き受けます。この流れ。てっきりバスケット中心の物語かと思うじゃないですか。いえいえ。この作品はもっともっと意義のある作品でした。 『チームとしての成長』+『規律』『礼儀』『モラル』『学業』。この作品は教育の本質に迫るドラマです。 カーターは教育者ではありませんが、誰よりも教育者らしい教育者。彼が作ったルール、指導、契約はすべて選手達の未来を見据えたもの。それは一時の勝利の更に先にあるものでした。 『選手』『保護者』、更には味方であるはずの『校長』からさえも支持してもらえない四面楚歌。 それでもゆるがないカーターの信念。そのうちに、一人、また一人とカーターの信念を理解しはじめていく、その展開は本当に見る者の胸を熱くさせてくれます。 そして物語は最高のクライマックスを迎えます。 私にとってのクライマックスは『体育館』。皆が勉強しているときでした。そこからのクルーズの独白。あまりにも臭い演出なのに、もう聞き入っちゃいましたね。ここが最っ高に感動します。個人的にはここで映画が終わっても良かったくらいです。 人は自分が生まれる場所を選べない以上、大人たちが作る地域社会性というものがいかに重要か、この作品を見ると本当によくわかります。そしてそれ以上に、親の姿勢のあり方、これが重要なのだと思います。 貧富の差、境遇は、すぐには良くならないけれど、『考え方』『意識』、そして『生き方』はすぐにでも変えられる。 そう思わせてくれる映画です。実に良い。 [DVD(字幕)] 9点(2017-05-29 02:37:15)(良:1票) |
4. 恋人はゴースト
《ネタバレ》 ベタの王道ラブコメながら、これは感動します。 アイデアそのものは使い古されたものですが、アイデア頼みになっていないのがこの作品の良いところ。 ファンタジーでも、ラブコメでも、細かい設定、エピソードがとても丁寧に作られていて、説得力があります。 『見える人』『見えない人』設定の使い分けは見事。しかも、上手くストーリーの中でその設定を機能させています。 よって見ているこっちは、もやもや、はらはら、どきどき、いろんな感情を織り交ぜながら楽しむことができます。 『同僚』『お姉さん』『友人』『霊能者?店員』『子供達』『嫌なやつ』誰一人として無意味なモブキャラは存在せず、必要な人員としてきれいに配置されているのが大変良いですね。 伏線の張り方も上手。その回収の仕方も鮮やか。『リジー』の呼び名がこんな形で活きるとは。ありきたりでも予測がつかず、どきどきします。 『悲しい話で泣ける話』はたくさんあれど、『ハッピーエンドで泣ける話』はめったにないので貴重かもです。 この作品の魅力はちょっとだけミステリー感があるところですが、その中でも主演二人の絆、これは気になるところです。 ところがその絆ってのがあまりに小さなもの。 これには拍子抜けしちゃいましたが、ラブコメとしては傑作といってよい作品です。 とてもピュアな作品なので、家族で見られるのも◎ですね。 [DVD(字幕)] 9点(2017-04-10 15:17:48)(良:1票) |
5. 交渉人(1998)
《ネタバレ》 エンターテイメントのひとつの頂点を極めた作品だと思います。とにかく抜群の面白さ。なんかよくわからないんですけど、ハラハラしてしまう妙な迫力と説得力で満ちています。 もともと『立てこもり系』の作品は好きなんですが、その中でもこれは特に良く出来ています。目的意識と成り行き感が絶妙なバランスで成り立っています。 それに、良い映画は脇役一人一人にもちゃんと役割があるのが良いですね。今作も、登場人物に全く無駄がありません。人質も警察も黒幕も主演二人も、すべての人がそれぞれの役割を完璧にこなすことで、最高の作品を作りあげています。エンターテイメントもここまで極めちゃうと、もはや芸術の域かもしれません。 ただ、マイナスポイントもあります。 『実はネイサンが内偵者だった』というくだりは、本来であれば驚くシーン。音楽もいかにもな感じに切り替わります。ところが、このくだりの説明が若干わかりにくいため、驚きまで辿りつきません。どちらかというと『納得』しちゃうパターンです。 また、ラストの『真犯人のとーじょーです。』のシーンも、本来であれば見せ場なのに、そこまで驚くことができません。きっと、ダニーとフロストの関係性や絆の深さが劇中で描ききれていないので、意外性に結びつかないのでしょう。 そしてみなさん指摘されているように、『IQ180の駆け引き』というキーワードを知らずに作品を観られたのは、私にとって幸運だったようです。余計な色眼鏡をかけずに鑑賞できました。 ちなみに一番ハラハラしたのは狙撃のシーン。そして一番驚いたのは、デヴィッド・モース演じるベックがまさかのシロだったってことです(笑)。 [ブルーレイ(字幕)] 9点(2015-02-06 04:06:52)(良:1票) |
6. 告発
《ネタバレ》 法廷ものとしてこれより面白い映画はたくさんありそうですけど、アルカトラズ刑務所の負の遺産を映像化し人々の記憶に残すという意味では、この映画を超えるものはないかもしれません。 スタンフィルのナレーションで、ヘンリーヤングとスタンフィルがたどってきた道のりを比較していくとき、使われる映像はヘンリーのものだけです。確かに、スタンフィルの人生は言わば一般的なものであり、言葉だけでも私達は認識できるでしょう。ですがヘンリーの人生は無理です。ヘンリーのたどった人生は言葉だけではとても伝わらない。これこそ映像化し、見ている人に疑似体験してもらう必要があったのかもしれません。そしてその試みはおそらく成功なのではないでしょうか。 スタンフィルの存在もかなり重要です。彼は言わば私達側の人間です。はじめは、ヘンリーと言葉を交わすことすらできません。「君を弁護するためには、君にも協力してもらわなくちゃいけない。」と言っている時点で、ヘンリーとは意識の次元が違いすぎます。ですが、ヘンリーと少しずつ言葉を交わし、ヘンリーの人生の片鱗を共有したとき、スタンフィルは社会とヘンリーを結びつける重要なポジションになった気がするのです。 この映画で僕が一番鳥肌が立ったのは、スタンフィルがアルカトラズ刑務所と、所長・副所長を告発したシーンです。今まで決して表舞台にさらされるはずのなかったアルカトラズの究極の闇の部分が、白日の下に晒されるきっかけとなったシーンです。そしてやはりラストの、ヘンリーの告白でしょうか。確かにあそこに戻るくらいなら死んだほうがマシなんでしょうね。こんなにストレートで説得力のある言葉はありません。 この映画で、唯一共感にブレーキをかける要因になるものがあるとすれば、「何故脱獄したのか。」です。2時間という枠でそこまで明らかにするのは難しかったのかもしれませんが。やはり気になります。ヘンリーを完全なる被害者側の人物と位置づけられるかどうかの重要なファクターになると思うんですが、結局最後までわかりませんでしたね。 [DVD(字幕)] 9点(2013-12-19 03:37:41) |
7. コロンビアーナ
《ネタバレ》 こーゆーわかりやすい復讐もの好き。ひねった作品も良いけれど、ただただ理屈抜きで感情移入できて楽しめる作品は最高です。 映画や漫画や小説ではすごい数のネタがあふれかえっている状態です。もはや類似作品が出ちゃうのはあたりまえ。むしろ、『ありきたり』や『普通』の何が悪いんだろうと思います。堂々と二番煎じで面白い作品を世に送り出してほしいものです。 映画が始まってすぐ、少女カト レアは両親を殺され、マフィアから追いかけられ、何とか国外へ脱出します。序盤から最高にスリリング。この少女役のアクションが凄いです。 時は経ち、『暗殺者になりたい』宣言から15年後。ここからカトレアを演じるのはゾーイ・サルダナ。ここで二度目の見どころ。ミッション・インポッシブルが始まります。留置場でのミッションは成功するとわかっていてもハラハラ。序盤の逃走劇とはまたちがうドキドキを感じられるのです。 ガモーラ役のときは気付かなかったですけど、この人演技もアクションも上手なんですねー。特に叔父さんたちを殺されて泣き崩れちゃうシーンは真に迫っていてぐっときちゃいました。ただちょっと悲しすぎるかな・・・。 ストーリーそのものは単純。ですがシナリオは結構練ってあってずっと緊張が途切れない。ラブロマンスでややダレるときがありますが、写真のくだりのために必要なロマンスですから仕方がない。カトレアは圧倒的強さなんですが、急に弱くなったりピンチに陥ったりするのがやや不自然。そういった細かいところで気になるところはありつつも、やはり理屈抜きで最後まで面白い映画でした。 [ブルーレイ(字幕)] 8点(2022-05-22 16:38:19)(良:1票) |
8. コインロッカーの女
《ネタバレ》 韓国映画特有のひりひりとした緊張感と『痛さ』と『怖さ』を感じられる映画。 闇金の女ボス、マ・ウヒを演じるキム・ヘスも、イリョンを演じるキム・ゴウンも圧巻の演技。 マ・ウヒもイリョンも裏社会に生きる無慈悲で非情な人間。でも冷たい視線や表情の無い佇まいのなかに、時折感じられる家族への情。それを自然に感じさせてくれるから凄い。 ストーリーは申し分なしと言いたいところですが、ちょっとサスペンス寄りにしすぎてしまったかも。青年との交流の中で、イリョンの心情の変化をもう少し時間をかけて丁寧に見せてくれていたら、その絶望はより際立ったものとなり、他の追随を許さない名作になっていたかもしれません。 そう、これは決して楽しい映画ではありません。韓国映画ではよく見かける破滅型のストーリー。イリョン以外の家族はみんな壮絶な死を遂げます。ですが見終わったあとにあまり尾を引かない不思議な映画。イリョンが第二の人生を始めたところで幕を下ろしたからかもしれません。 自分が捨てられていたコインロッカーを開けると、そこには養子縁組の書類が。それまでグレーだった母親の愛情が確信へと変わる最後のサプライズ。 [DVD(字幕)] 8点(2021-06-10 02:43:56) |
9. 孤高のメス
《ネタバレ》 脳死移植を題材にした医療ドラマ。こじんまりとした作品ながら傑作。 好青年の死、脳死移植=殺人罪、扱っているテーマは実は重い。 ですが映画自体は重くなりすぎない絶妙なバランス。当麻医師(堤真一)のちょっと天然で、恋愛に関しては朴念仁というキャラが良い意味で明るい味付けをしています。コメディテイストな演出を加えることで、とてもメリハリの効いたストーリ構成になっています。オペ中の曲を多数決で決めるシーンやお見合いのシーンのようにさりげないひとコマが実に良い。『ロックなんてとんでもない。メスが暴れてしまうよ。』は名台詞です。 その一方で、オペシーンの緊張感が凄い。また、序盤での野本医師のひどいオペがコントラストとして効いているため、当麻医師のオペには緊迫感とともにある種の高揚感が感じられます。これは医療界のヒーロードラマです。 その対比として分かりやすいのがオペ中の出血量。生々しいビジュアルが多いので、そーゆーのが苦手な人は注意が必要かもしれません。 命を救われた市長は町のために残りの人生全力を尽くすと近い、悪徳医師はきっちり罰を受ける。 語り手の看護師の息子が医者となり、当麻先生の病院に赴任してくるラスト。幸せな余韻が残ります。 押さえるべきところをきっちり押さえる、見方によってはステレオタイプなドラマと言えるかもしれません。 ただ私は古い人間ですから、このお手本のような、しっかり知に足のついたドラマのほうが素直に感動できるし、面白いと思えるのです。 [DVD(邦画)] 8点(2021-04-18 18:15:46)(良:1票) |
10. 5年後のラブレター
《ネタバレ》 人が病気やらなにやらで死んで、それで涙をさそう映画ってのは本来苦手。 だけどストーリーに惹かれて鑑賞。 『5年前に死んだ渉から届く、息子への挑戦状。それは宝探しのゲームのスタートだった。』 なんか良さそう。で、見てみたら、やっぱり悲しい話でした。もちろん悲しいだけではありません。『楽しい』や『優しい』もいっぱいつまった良き作品です。でも全体の7割くらいは『寂しさ』と『悲しさ』が満ちていて・・・。特に向井理さん演じる渉の辛い気持ちが痛いほど伝わってきて、彼が出てくるシーンは見ていられなかったですね。 その一方で、渉と菜緒の友人、知人を1件1件訪ねて行って、少しずつ新しい事実がわかっていく展開ってのは楽しい。出演者の皆様の演技も、自然体でとても雰囲気の良い映画でした。 渉は死んじゃったけど、渉は菜緒と歩夢に『店』と『思い出』と『人とのつながり』を残してくれたわけですね。 最後はハッピーエンド。ですがこれは危険なサプライズかもしれないです。 渉が死んだとき、菜緒は深い悲しみを経験します。それは想像もできないほどの『喪失感』と『絶望感』だったでしょう。それを5年という歳月が少しずつ癒してくれたのです。やっと日常が戻ってきた頃に、再び渉を強く思い出してしまうこのイベント。これは凄く残酷な側面がある気がするんです。映画なので結果オーライってことで良しとしますが、このサプライズに心の中から賛同するのは難しいなあ・・・ [DVD(邦画)] 8点(2020-11-24 10:35:20) |
11. コールドプレイ
《ネタバレ》 雪山。山荘。若者。殺人鬼。定番。王道。定石を踏む安定感抜群のスラッシャーホラー。恐怖演出の数々。アメリカ産にはないノルウェー産の雰囲気◎。 殺人鬼は一人だけ。怪力だけど、蹴ったらひるむ。銃はある。スキー板もある。密室でもないし、出口はいっぱいある。どうとでもなりそうなのに、結局どうにもならないこの感じがもどかしくて良い感じ。人を怖がらせるのに一番大切なのは、『助かるかもしれない』という希望なのでしょう。これぞ正統派ホラー。 まずはミカルとイングが別行動。ちょっとしたことで諍い。ミカルが飛び出て、迷って、やっぱり一人みんなのところに戻っちゃう。この『やっぱり部屋に戻ろうか』と逡巡させるのがポイント。で、イングンは一人ぼっちに。最初の犠牲者。この流れが王道にして完璧。 私は個人的に、ホラー映画は『登場人物=犠牲者』が多いほうが好み。この映画は少なめ。ですが、この映画に関して言えば、少なめにしていることがプラスに働いています。まず瞬殺はされません。なにせ人数が少ないですから。あがくあがく。それがいい。エンタメホラーに過剰すぎないリアリティを添えます。 また、今回のメンバーが、若者特有のチャラさがありつつも、微妙に良い人たちってのが大事。感情移入しちゃうんですよね。だから悲劇、惨劇の衝撃が5割増し。一人でも生き残ってよかったと思う反面、殺人鬼と仲間たちの遺体がクレバスの底に横たわっているのが凄く悲しい。 忘れ物置き場のように並べられている、今までの被害者の戦利品。新聞の切り抜き。こういった小道具の使い方にも抜群のセンスが見え隠れ。掘り出し物とはまさにこうゆう映画を言うのでしょう。 なぜ少年は両親から虐待を受け殺されなければならなかったのか。そしてなぜ殺人鬼になってしまったのか。焼け焦げた部屋でいったい何があったのか。いくつかの謎が放置されたままなのが惜しい・・・! [DVD(字幕)] 8点(2019-04-25 07:10:20) |
12. コントロール(2004)
《ネタバレ》 これは性善説に則ったストーリー。人格というのは良くも悪くも環境が作り出すという猛烈なアピール。もっと言うなら、人格を形成する幼少期に『どのような人物と関わったか』、これが重要なファクターになるのだと思います。執拗に幼少期の思い出をフラッシュバックさせるのはそのためでしょう。作り手の強い主張を感じます。 わたしはこの考え自体を全否定はしませんが、個人の人格が境遇のみで決められるとも思いません。同じような環境で生きていても人の性格は千差万別。 それにしても最初はレイ・リオッタ演じるリー・レイに嫌悪感しかなかったのに、最後はいつの間にか彼の人生を応援してしまっているのは何故でしょう。彼がしてきたことを考えれば、彼だけが幸せになっていいはずなんてないのに。でもいつの間にか彼の幸せを願ってしまっています。これはもう映画の見せ方が上手いという他ありません。 レイ・リオッタはサスペンスやらせると抜群の演技をしますね。もともと狂気を感じさせるオーラをまとった役者さん。それに加えてこの演技。良い人のフリをしているのかどうかわからない中盤。ここが一番ドキドキしますね。 脇を固める役者さんたちも大変良かったです。掘り出し物の1本。 ラストで死んでしまうのは仕方がありませんが、濡れ衣だけは晴れてほしかったです。 [DVD(字幕)] 8点(2018-03-21 03:08:43) |
13. コーリング
《ネタバレ》 このストーリーだったら、余計なホラー演出は全体のバランスを崩してしまうのでは・・・。『シックス・センス』のように、ホラーとドラマの調和がとれたものもありますが、本来は両極端な別ジャンル。何でもかんでもミックスさせれば良いってものでも無いみたいですね。 また、どーしても夫に子供のことを伝えたいのはわかりますが、そのために夫を臨死体験に導いちゃうっていうのはどうでしょう。ガイドの人が助けてくれなかったら夫は死んでいたかもしれません。子供は天涯孤独の身になります。それが、本当に『愛』だと言えるのでしょうか。 とは言え、ラストのオチはまったく予想していないものだけに、『驚き&感動』で、鑑賞後の評価は高くならざるを得ません。 伏線はいろいろ張ってあったのに、その伏線に後から気付く脚本・演出は、極めてレベルが高いと思います。 いろんな意味で、ラストに救われた作品だと言えそうです。 ラストがなければ、流行にのっただけの、主題不在の失敗作に終わったことでしょう。このラストで、一気に観る価値のあるドラマへと進化しています。最期に、娘と遊ぶシーンを入れてくれたのも、嬉しい心配りです。どこから見つけてきたか知りませんが、お母さんにそっくりな娘さんです。 すごく良い映画だっただけに、せめて音楽だけでも違うのにしてくれたら良かったのに。 最愛の人をなくし、悲しみに暮れるケビン・コスナーに深く共感していたわけです。 それなのに、『子供が目ぇ見開いて起き上がる。』『窓の外に奥さんが立っている。』『死体に腕をつかまれる。』『片付けたものが全部もとの場所に戻される。』 何かあるたびに、ハラハラドキドキ。いったいどういうスタンスで見れば正解だったのか、いまだつかめず。 ホラー演出が邪魔だというたくさんのご意見に、深く同意です。 [DVD(字幕)] 8点(2016-05-21 15:11:05) |
14. 公共の敵
《ネタバレ》 これは面白い。思わぬ拾いもの。 冒頭の刑事はなぜ自殺したのか。捜査令状も無しに、あんな好き勝手やれるものなのか。口の中から簡単に見つかる証拠が、なぜ今まで見つからなかったのか。あまりにディテールが雑なので、気になるところはちょいちょいあります。 ですが、そんなことが些細なことに思えるくらいの、パワーと勢いがこの作品にはあります。 『小さい悪は見逃すが、大きい悪は見逃さない。』なんて、そんなかっこいいものではないけれど、ソル・ギョング演じる主役のカン刑事に男のかっこよさを感じます。 そしてこの作品は、イ・ソンジェ演じるギュファンのサイコっぷりがあまりに見事。 そのサイコパスを、暴力でねじ伏せていくストーリーテリングは爽快ですらあります。 ヤクの売人や、ナイフ使いのチンピラ、果物売りの青年に、上司に後輩と、脇を固める人たちが良い味出してますね~。みんな良い人。 『アニキって言うな。刑事と言え。』というラストのセリフに、カン刑事が自分の未来にどんな決断をくだしたのか見えた気がして、気分がほっこり。 ですがラストのラストでは、街の悪党相手に大立ち回りを演じてフィニッシュ。そう、これってまんま『こち亀』の両さんのノリですね。 少々グロイ描写があるので、その辺は注意が必要です。ですが、ストーリー、テイスト、どれをとっても万人向けの娯楽作品に仕上がっていると思います。 [DVD(吹替)] 8点(2016-05-05 03:15:49) |
15. ゴジラVSビオランテ
フランス映画を2本見た後に、コレを見ました。 もうめちゃめちゃ面白かった。 なんてわかりやすい映画なんだ。 しかも刺激的。 ビオランテの造形最高です!しかも前半戦、後半戦の二本仕立てで、モデルチェンジまでしてくれるこのサービス精神。 そしてゴジラはやっぱり最強。かつ最高のかっこよさ。 自衛隊の方たちもとても頑張ってくださいました。 ああ、とてもすっきりしました。 [DVD(字幕)] 8点(2012-05-03 05:00:32)(笑:1票) |
16. 荒野の七人
《ネタバレ》 映画はこれくらいが面白いですねー。難しいことをする必要なんてない。 悪い奴らがいる。虐げられる人々がいる。それを助けるヒーローがいる。たったこれだけで映画はこんなにも面白い。 1人1人仲間を集めていくとこなんて最高に楽しい。仲間集めは祭りの前の高揚感を感じさせます。 過去に読んできた、数多くの少年漫画でも、こんなシチュエーションたくさんありました。この映画にインスパイアされた人ってたくさんいるんじゃないかなぁ。ああ、でもこの映画も『7人の侍』をオマージュして作られたものでしたね。 ずっと面白かったのですが、最後はちょっと盛り上がり切れなかった感じも。 まず村人たちの手のひら返しが唐突すぎて呆気にとられます。 そもそも、村人たちに選択肢はなかったはず。カルベラの言いなりになっていたら、自分達が、子供たちが飢え死にしてしまう。だから最後の手段として、助けを求めたのではなかったのか。村を存続させるには、もう戦うしか手段が残っていなかったはずなのに、話が変わっております。 そして、やっすい報酬で、ほとんど無理やりボディーガードを頼まれたわけだから、助ける義理がなくなったのならほっとけばいいじゃん。でもなぜかほっとかない7人。なんで?死に際のカルベラも聞いちゃってるじゃん。『なぜもどってきた・・・』。それね。さあ、どう答えるクリス。・・・って答えんのかーい。 一番まずかったのは、カルベラが思ったより良いやつだったこと。 なんたって7人を釈放してあげる。銃も返してあげる。 にもかかわらず、カルベラ一味に奇襲をかける7人。命を助けてくれたことに恩は感じないのだろうか・・・。これじゃぁどっちが悪党だかわかりゃしない。 あと、クリス、ヴィン、チコ以外の4人の最期も、もうちょっとどうにかならんかったものか・・・。 [ビデオ(字幕)] 7点(2023-08-28 12:35:49) |
17. 拷問男
《ネタバレ》 他の方がおっしゃっているように、タイトルで損しているのは間違いないです。 とはいえ、原題のままだと、ドラマかなんかだと勘違いして見た人が卒倒しちゃいそうです。 いや~、拷問する側の人間にこれほどまでに感情移入するドラマがいまだかつてあっただろうか。これはもう、前半の作りこみが良かったのだと思います。過剰なまでの娘への溺愛ぶり。そして娘もパパが大好き。そこからの悲劇。娘が見つかったときの描写の辛さといったら・・・。父親も母親も、娘が見つかったという一報を受け、安堵し喜び、思わず笑みがこぼれ、迎えに行ったらそこには変わり果てた娘の姿が・・・。女性警官が吐くところを見せて、父親に最悪の事態を想起させるシーンなんか本当によくできています。まさに天国から地獄です。 ただ、一言だけ言わせてもらうなら、そんなに娘が大事なら離婚なんかするんじゃないよ。 確かに窓を直さないのも問題だけどサ。それ以前にせめて娘が大きくなるまでは、離婚せずに家族仲良く暮らしていればこんなことは起きなかったんだから。そこだけはずっと心にひっかかっていました。 おそらく、なんとなくですけど、離婚の原因は奥さんのほうにあるんだろーなー、という気はしましたが・・・ [DVD(字幕)] 7点(2023-06-14 01:18:23)(良:1票) |
18. コレクター(2012)
《ネタバレ》 あれれ?なかなか厳しい評価を受けていらっしゃいますね~。 個人的には好きなんですけど。わかりやすくて。オーソドックスで。 へー、実話をベースに…。いったいどの辺までが実話なんでしょう…。 相棒のケルシーがまさかの…これは奇をてらったどんでん返し。電話で連絡していた相手は警察ではなく犯人だったとはね。どうりで応援が全然来ないわけだ。 …確かにラストのネタばらしのやり方はまんまソウ…。でもソウのネタばらしのやり方好きなんですよね。 よくパクリだなんだと批判されがちな世の中。でも面白い映画の面白い手法を取り入れて、それで映画が面白くなるんだったらそれで良いじゃないかと思う今日この頃。 それより気になったのは捜査のもたもた感。 主人公のパパさん刑事マイクは、表彰もされたことがあるような優秀な刑事らしいですが、ちょっと優秀さが控えめでした。 容疑者が勤務する病院に頭から血を流している従業員がいます。 犯人は娘が誘拐される直前、娼婦から瓶で頭を殴られています。 ・・・・・・いや、気付こうぜ。そこつっこまないのはあからさまに不自然でしょ。 気になったのはそこくらいかな~。 犯人宅でのやりとりは終始緊張感がありました。これで捜査のほうが手際よくテンポよく進んでいたら、相乗効果でもっと面白かったかも。 最後がバッドエンドすぎるので後味は悪い。 でもその過程は楽しめます。 エンタメとしては良質なサスペンス作品だと思いますけどねー。 [DVD(字幕)] 7点(2023-05-02 01:44:56) |
19. コンテイジョン
《ネタバレ》 淡々としたドキュメンタリーチックな映画。 2年前にコロナが世界中に流行し始めた頃を思い出します。 クラスターやロックダウン、濃厚接触者の隔離に、ウィルスの変異、実行再生産数から導き出される予想感染者数、この映画で想定されていたことはコロナ禍においてすべて現実のものとなりました。奇しくも感染源までほぼいっしょなのがまるでコロナを予言しているかのようで恐ろしい。 誇張した表現や演出はほとんどありません。リアル路線。リアルな作風は退屈と結びつきがちですが、この作品ではリアルな作風が感染症の恐ろしさと崩壊していく社会を強調していて効果的に働いています。 子供やケイト・ウィンスレットといった、普通の映画では犠牲にならないような人たちが次々と犠牲になっていきます。ケイト・ウィンスレットがその他大勢の人たちと埋葬されていくのは胸が詰まります。 世界規模のパンデミックを題材にしているわけですから、膨大な情報量をまとめなければなりません。1つ1つのエピソードが薄味になってしまうのは致し方のないことなのでしょう。だからこれだけリアル路線でいくのであれば、映画ではなくドラマでじっくり見せたほうが良いのかもしれません。 一番最後に『1日目』をもってくるストーリー構成は素晴らしいと思います。 [ブルーレイ(字幕)] 7点(2022-06-21 01:32:25)(良:3票) |
20. ゴジラ×メカゴジラ
《ネタバレ》 この作品の成功の最大の功労者は、なんといってもゴジラにあります。 彼は何年も『メカゴジラ』もとい『機龍』の完成を待ってあげるのです。 そして、『機龍』が完成されると、その完成セレモニーの最中に登場し、『機龍』と戦ってあげるのです。 この完璧なタイミング。26作目にもなると大ベテラン。完全に空気が読めています。 こんなに人類の都合に合わせてくれるなんて、彼は本当に人類の敵なのでしょうか。 とまあ、冗談はさておき。1990年代の同名作品と比べ、ストーリー、ビジュアル、全ての面においてスケールアップしています。 音響効果も素晴らしく、これぞまさに特撮映画を見たという満足感に浸れます。 また、主演の釈由美子演じる茜さんが素晴らしい。 前半、ゴジラの犠牲になる隊員がいます。そのことで茜を恨む隊員がいます。責められちゃう茜。こーゆー人間ドラマの部分がゴジラ作品にしてはいけてます。 宅間伸は少々過剰演技気味な気がします。 ゴジラ松井はジョークのつもりか? アクションは良い部分と悪い部分の落差が激しいですね。 メカゴジラもとい『機龍』のアクションはなかなか良かったと思いますよ。 搭載兵器が多くて、私みたいなマンガオタクの心をがっちりつかんできます。 それに対してゴジラのアクションはやや物足りない。棒立ちで攻撃を受けるシーンなんてがっかりです。 最後に一言。 ゴジラのおたけびに暴走を始める機龍、最高でした。 まんまエヴァンゲリオンのパクリですが、パクリでも何でも、こーゆーの好きです。 [DVD(邦画)] 7点(2017-03-27 11:33:56) |