1. 39 刑法第三十九条
《ネタバレ》 とても重く、息苦しく、理不尽極まりない内容でした。真面目に作られている分臨場感があるし、へたな脚色がない分リアリティが感じられます。映像に、ストーリーに、この作品の世界に引っ張り込まれちゃいます。 工藤啓輔と同じ立場であれば、自分ならどうするだろうと考えずにはいられません。 問題提起もさることながら、映画としてのエンターテイメント性が失われていないことも凄い気がします。鬱になりそうな雰囲気を、ミステリーとサスペンスが程よく中和しているかのような作品です。 少年工藤が妹を発見するシーン、犯人が切断した妹の手を持っているシーンは、衝撃よりも嫌悪感のほうが大きい。(ホラー映画なら平気なのに。不思議なもんです。)それでもこのシーンがあるからこそ、問題提起への強い思いが感じ取られるのです。 確かに日本の法律は、ごく一部かもしれませんが、被害者よりも加害者を守るための法律ってのがある気がします。加害者の人権もあるかもしれません。ですが、被害者は生命という最も大切な人権を奪われたわけですからね・・・。いえ、ここで論じることではありませんね。 確かにもしかすると見る人を選ぶ映画かもしれませんが、それでも多くの人にお薦めしたい映画です。 柴田が誰で、工藤が誰なのかはっきりしたとき、爽快感とは程遠いやるせなさを感じました。 [DVD(邦画)] 9点(2013-12-17 02:39:13)(良:1票) |
2. サルート・オブ・ザ・ジャガー
へんな映画を借りてしまったかと思いきや、これめちゃめちゃ面白いです。 見始めてすぐは、「なんだこれは?スポーツなのか?ふざけているとしか思えない」と思っていたのに、最後はもう完全にサルート・オブ・ザ・ジャガーファンに。ああ、このスポーツ、オリンピックでやってほしいなあ・・・ キッドにも最初全然魅力を感じなかったのに、最後は応援しまくり。 架空のスポーツのくせに、なんだこの完成度と存在感は。 鑑賞しながら本気で戦略とか考えてしまった。 「歩いていけ。」 し、しびれる。 [DVD(字幕)] 9点(2012-05-03 15:23:25)(笑:1票) (良:1票) |
3. サンゲリア
《ネタバレ》 「ゾンビ」よりもゾンビゾンビしていて良かった。バイオハザードのゾンビのモデルになったのは、「サンゲリア」のゾンビに違いないです。 跳んではねて、全力ダッシュのアスリートゾンビに疲れた人達は、癒されること間違いなしの正統派ゾンビ。ゆっくり歩き、よく食べる。ゾンビのお手本。きっと彼らが最近のゾンビを見たら「ったく、最近の若いもんは・・・わしらのときはもっと落ち着いて迫ったもんじゃ」なんてゾンビのあるべき姿を教えてくれるはず。 最初の警官ゾンビがきちんとアメリカ本土の火付け役になったくれたラストもベスト。 まあ興ざめするシーンがないわけではないんですけど、許せる範囲です。 [DVD(字幕)] 9点(2012-03-15 03:56:57) |
4. サベージ・キラー
《ネタバレ》 まさかこーゆータイプの映画で泣きそうになるとは。 かなりぶっとんだ設定なのに、ものすごく感情移入してしまいました。これはもう人物の描き方がうまかった。B級のノリなのに、感情をゆさぶる恋愛ドラマがあるんです。いやぁ、脚本の力ってすごいんですねー。 主人公でヒロインのゾーイ。無残にも拷問されて輪姦されて殺されて。「アイ・スピット・オンなんちゃら」みたいな映画かと思ったのですが全然違いました。先住民の酋長マンガスの霊までひっぱりだして、余計なものなんじゃないかと不安に駆られたのですが、なるほど、ゾーイにそれなりの戦闘力を与えるためだったのですね。 サスペンス→バイオレンス→オカルト→ホラー→アクション→ラブストーリー めまぐるしく変化するジャンル。けれどストーリーラインがとにかくしっかりしているので全く破綻していません。 唯一気になるところと言えば、ラストで恋人がゾーイに火をつけるまでの決断がえらく早かったような・・・。尺の問題もあるかとは思いますが・・・。もっとこう最後に抱きしめるとかキスするとかさぁ・・。 まあとにかく、他の復讐ものとは一線を画す力作だと思います。 [DVD(字幕)] 8点(2023-11-13 03:45:42)(良:1票) |
5. 殺人漫画
《ネタバレ》 アイデア勝負とバカにできない、とても丁寧に作られたホラー。 最近ではアメリカの幽霊ものもスプラッタに頼らず頑張ってはいますが・・・。やはり日本や韓国のホラーのほうが、怖さでは一枚上手。そもそもアジア系ののっぺりとした顔や細い目って幽霊向きなんですよねー。 この映画では登場人物1人1人にエピソードがあり、背景があり、そのどれもがシンプルながらとてもよくできています。幽霊に殺されちゃう人たちにはすべて理由があったんですね~。恐怖演出だけでなく、ミステリー仕立てのストーリーに好奇心が刺激されます。 序盤、前半の編集長と葬儀屋のエピソードは人間の業を感じられる力作。ただの陽キャラ要員かと思いきや、ヨンス刑事にも人に話せない恐ろしい過去アリ。う~ん、『まさか』の演出が巧みですね~。 とまあここまでは良かったのですが、ラストが・・・。 まずヨンス刑事の死の真相。そりゃあ驚きましたが、それはないんじゃないですか。そこはストレートに女の子の霊の仕業で決着のほうが良かった気がします。しかもそんなつまらない死に方で怨霊になっちゃうし・・・。 そして一番納得できないのはカン・ジユン。どうやらソヒョンを殺しちゃったことで、ソヒョンの能力が身についちゃったようですが・・・。自身の出世欲という一番くだらない欲で人を殺したこいつが、最後まで生き残っているというのが、なんか違う気がします。 [DVD(字幕)] 8点(2023-11-05 17:36:18) |
6. 殺人の告白
これはよくできたサスペンスですねー。アクションが邪魔になるくらい、サスペンスフルな脚本がよく出来ています。 結末まで見てしまうと、また最初から見直してみたくなります。時間がないのでしないけど。 例えば警察署でドゥソクがヒョングに耳打ちしたシーン。同僚が『ドゥソクはお前になんて?』と尋ねると『ジャージャー麺をぶつけろだとさ』と答えるヒョング。このときはヒョングが皮肉まじりのジョークをとばしていたのかと思ったのですが、本当にそう言っていたんでしょーねー。 それにしても恋人の末路が悲惨すぎて、素直にハッピーエンドと言えないのが辛いところ。恋人の母親がヒョングに厳しく接してしまったせいで、ヒョングはクリスマスのときに家に送らなかった。その結果、恋人がJに拉致監禁されたと考えると、やりきれないです。 それにしてもカーチェイスと最後の追いかけっこは要らなかったんじゃないかなぁ。特にカーチェイスは作風に合っていない気がするのですが。 最後の追いかけっこも蛇足感あり。せめてTⅤ局内で決着をつけるほうがドラマが際立ったように思えるんだけど。 まあ、そーゆー余計なところはありますが、警察、ドゥソク、J、遺族、四つ巴の争いがとにかくスリリング。その背景にある被害者の悲しいドラマも断片的ではありますがしっかり描かれ・・・。2度目の討論会での真相を明かすシーンではカタルシスさえ感じる…。久しぶりに見ごたえのあるドラマを見ました。 [ブルーレイ(字幕)] 8点(2023-04-20 00:57:18)(良:1票) |
7. 最強のふたり
《ネタバレ》 これが実話っていうのが凄い。障害者の大富豪と貧しい黒人青年。描き方によっては重く、暗くなりそうな題材を、明るくポップに仕上げた作品。不謹慎になるかならないか、かなり際どい絶妙なバランス。でもそれがこの映画の魅力になっていそうです。『心のバリアフリー』とでもいうのでしょうか。『富豪』『障害』という肩書きを完全にスルーしちゃうドリスに、フィリップだけでなく、見ている私達も爽快な気分を味わうのです。 こーゆー作品にしてはユーモアのセンスも抜群。『絵』のくだりは最高。『白いキャンバスに鼻血つけただけじゃん。俺が描いてやるよ。なんなら青いペンキも足してやるし。』に始まり、ドリスの絵が売れるまでのコント劇。11,000ユーロで売れたときは『売れたっっ!』って笑いが止まらんかったです。芸術って何なんでしょう。ついた金額がその絵の価値を決めるのか? フィリップのラブレターを小馬鹿にするシーンも面白い。そういった意味では、心温まるヒューマンドラマというだけでなく、ちゃんと『映画』というエンターテイメントに昇華されているのが素晴らしい。 サイドエピソードについてはやや詰め込みすぎ、説明不足、消化不良気味であることは否めません。フィリップの娘。ドリスの家族。抱える問題がどのように解決され、今どうゆう状況になったのか、肝心なところが明かされないままです。ですので、ちょっとすっきりしない部分は残ります。 とは言え、ハートフルでプチサクセスなコメディドラマとして、見る人を楽しませてくれる作品なのは間違いないでしょう。 [ブルーレイ(吹替)] 8点(2020-01-19 11:30:45)(良:2票) |
8. 13ゴースト(2001)
《ネタバレ》 アトラクションムービー。ストーリーはあってないようなものですね。 お化け屋敷にストーリーを求めないように、これはこれでビックリ箱のような面白さがあります。 12人の幽霊たちが良かったですね。一人一人個性があり、禍々しさがあり、大変ユニーク。クリーチャーとして大変魅力的です。 生きている人間より、クリーチャーたちに焦点をあてたほうがよほど面白かったのではないかと思えるほどです。 人間達のやりとり、ドラマはいまいちですね。 助けに来てくれた女性が実はサイラスの手先というサプライズ演出。ところがその女性にまるで魅力がないので、そのサプライズが劇中で上手く機能しているとは思えません。霊能者のデニスも、なぜか急に良い人になります。そこまでは良いのですが、彼の自殺ともとれる自己犠牲的な死にいったい何の意味があったのか、最後まで見てもよくわかりません。 ついでに言うなら、子供達を中心に話をすすめたほうが、面白かった気もします。 全面強化ガラスのからくり屋敷は、仕掛けとして大変面白いですね。呪文が書かれているところはゴーストは通れない、という制限ルールも、ありきたりですが良いルールです。メガネも良かったですね。 アイデアは豊富で、そのどれもがなかなか良い。ただ、あまり深く掘り下げられることなく、あっさりしたテイストのまま物語はクライマックスへ。潔さも感じますが、もったいないとも思ってしまいます。 ただ、その分何も考えずに見ていられますね。 それでいてビジュアルは刺激的。 ソフトタイプのモンスター映画はこれで良いのかもしれません。 のんびり見るエンタメ作品としては及第点ではないでしょうか。悪くないです。 [DVD(字幕)] 8点(2016-11-29 06:10:22)(良:2票) |
9. サウンド・オブ・サイレンス(2001)
《ネタバレ》 これは面白いですね。『コール』に設定が似ていますが、あっちより好きかもしんないです。 まあ人によっては『どっちもどっち』でしょーが。 個人的には、こーゆー『子供が機転を利かすサスペンス』って好きなんですよね。 最大の見所はジェシーが歌を歌うシーン。そして母親のアギーが娘の唄に気付いたかどーか確認するシーン。緊迫感があります。 そしてネイサン、アギー、キャシディ刑事が、それぞれのフィールドで事件の核心に迫り、ストーリーが同時進行で一気に加速する中盤がクライマックス。ここが一番面白いです。 後半はややトーンダウンするものの、中だるみするほどではありません。 本来であれば、エリザベスの回想シーンに驚くべき真相が隠されていたりして、終盤でもう一回くらいあっと驚く展開があったりするのでしょうが、残念ながらそれはありません。本当にただの思い出です。少女エリザベスが父親の棺にすがりついて数字をなぞるシーンはそれなりに感情移入しますが、涙を誘うほどではありません。やはりもとはと言えば、エリザベスの父が『強盗』で『裏切り者』ということに事の発端をなしているせいでしょう。 ただ娯楽サスペンスとしては十分。わかりやすい。面白い。ハラハラする。見応えがあります。 どんな作品にだってつっこみどころはあります。この作品にもあります。いくらでもあります。 ですが面白ければ、あえて粗探しをする気は起きません。要は、見ている人をそーゆー気分にさせないことが大事なんじゃないかと思います。 映画とは関係ないですが、若くして亡くなったブリタニー・マーフィとスカイ・マッコール・バートシアク。映画の中ではこうして永遠に生きつづけるから、映画って凄いですよね。 [ブルーレイ(字幕)] 8点(2016-11-27 15:48:17) |
10. サトラレ TRIBUTE to a SAD GENIUS
《ネタバレ》 『サトラレ』という設定以前に、一人の若き医師のドラマとして見応えがあり、わかりやすく面白いです。 『サトラレ』という特異性に焦点を当てているため、その設定が活きるようなストーリー構成。つまりは、恋愛、家族、そして医療と政治、青春など複数の要素が絡み合っています。 この作品は、『サトラレのコース料理』みたいな映画。一度にいろんな味を楽しめる反面、一つ一つのエピソードはどうしても薄味になってしまうというデメリットがあります。それぞれのエピソードの関連性がもう少し強ければ、一つのストーリーとしての完成度はより高くなり、共感度も強くなったかもしれません。 また、ただでさえ多いエピソードに、『無人島でもう一人のサトラレと出会う』というエピソードの追加。個人的には、このエピソードはまるまる無くても良かったです。映画が冗長に感じてしまう一因を作ってしまっているだけではありません。そのまま放置してしまったことで、鑑賞後にしこりを残す原因にもなっています。 テレビドラマは未見ですので、映画のみの評価になりますが、最後は泣きました。 何回も同じフレーズばかり言うので、少々クドく感じましたが、それでも感動したことには変わりありません。 一本の映画を見て、笑って、泣くことができた。 つまりは、人の感情の琴線にふれる良い映画だったということです。 [DVD(邦画)] 8点(2016-04-16 15:24:21) |
11. ザ・ハリケーン(1999)
《ネタバレ》 最初の90分くらいが理不尽すぎて、ひきつけられながらも、フラストレーションが溜まります。後半までに尺を使いすぎたためか、ラストはかなりあっさり終わっちゃうのですね。実際の裁判なんてそんなものかもしれませんが、これは実話をもとにしていても『映画作品』。16年ですよ、16年。その重みをラストでもう一度感じるエピソードが欲しいものです。 なぜリサ・サム・テリー、そしてレズラ達は、今までの支援者達と違う結果を出すことができたのか。もしかすると、16年という歳月が、アメリカという社会が成長するために必要だったのかもしれませんね。そこに偶然居合わせたのが、その4人であった可能性はあると思います。 まあなんにせよ、ここまで理不尽な目に合わされ続けてきた人にとっては、希望を抱かさせることさえ残酷なことだと知りました。今回のケースは冤罪を晴らすことができたからまだ良かったが、もし連邦政府に提出した新証拠が認められなかったらと思うとゾッとします。 彼が希望を捨てるシーン。それは、妻に離婚を告げるシーンであり、レズラ達に面会・手紙の拒否を告げるシーン。それぞれに目頭が熱くなりました。 この事件を利用して出世した方々。デラ・ペスカ刑事だったり、当時の検事だったり、判事だったり。そもそも最初の裁判で陪審員が全員白人ってのも作為的なものを感じます。無実やアリバイを証明できる人たちは、劇中で明言こそされていませんが殺されている可能性すらあります。そういった病巣に対する社会的な責任の言及、罰が無い限り、本当の意味でのカタルシスを本作から得ることは難しいかもしれないです。 [DVD(字幕)] 8点(2015-03-23 01:32:48)(良:1票) |
12. さまよう魂たち
まさに掘り出し物でした。面白かったです。こういうのをブラックコメディと言うのでしょうか?けっこうグロイ描写もありましたね。マイケルJフォックスが出ている映画にはずれはないなということを再認識できた映画でした。ほんとすごい俳優さんだ。マイケル見るだけでテンション上がる。 [DVD(字幕)] 8点(2011-07-05 23:07:04) |
13. サスペクト 哀しき容疑者
《ネタバレ》 ボーン・アイデンティティーだ! 凄腕の元工作員VS暗殺者チームVSスーパー軍人VS警察のみなさまVS女記者。 惜しむらくは登場人物多すぎてごちゃごちゃしちゃったとこかな。 特にお偉いさんたちは、途中から誰が誰だかわからなくなります。 チ・ドンチョル(主人公)リ・グァンジョ(主人公の標的、妻の敵)ミン・セフン(スーパー軍人)キム・ソッコ室長(ラスボスでクズ)ガム噛んでる人(ミンの部下で名前忘れた)女記者(同じく名前忘れた)、この人たちさえ把握していればとりあえず他の細かいとこはいいかなって感じです。 アクションはアップが多く、早いカット割りでちょっと誤魔化されている印象。臨場感や迫力をお手軽に出しやすいのかもしれないけれど、安易な多用は反対。 最近のアクションはこーゆー編集が多くて、目が疲れるし、脳も疲れるし、そして状況がわかりづらい。 まあそれをふまえても、エリート工作員同士の戦いはしびれるものがありますが。 特にショッピングモールでの一騎打ちは見ものです。 それに対し、3人目の大学講師みたいな暗殺者。車クラッシュしてリタイアって。そんなつまんない退場のさせ方するんだったら、あんなもったいぶった登場シーンだっていらなかったでしょ。ただでさえ登場人物多いのに。 ストーリー複雑すぎ、スパイあっちゃこっちゃにいすぎ、よっておおまかにしか内容がわからず、そこも残念ポイント。 このわかりにくさは、自分の理解力の問題ではなく、制作サイドの問題だと思います。 [ブルーレイ(字幕)] 7点(2024-05-27 00:54:41) |
14. ザ・ホスト 美しき侵略者
《ネタバレ》 今から侵略されるのではなく、すでに地球の大部分が侵略された状態からスタート。スタート地点は思っていたのとだいぶ違いました。 よくある寄生型宇宙人。 普通と違うのが平和主義。 『あなたたち人間のためなのよ~。』『悪いようにはしないから~』って近づいてきます。 寄生されると人格が失われます。運がよければ、人格や意識が残ります。ですが自分の体を動かすことはもはやできません。頭のなかで文句を言うことはできます。 ・・・・どこが平和主義者やねん。立派な侵略じゃんねぇ・・・。 わずかながら生き残っている地球人。身を寄せ合って生きています。ちょっとディストピアな雰囲気です。 こちらのジャンルには入っていませんが、サスペンス要素ありありです。 この作品が他の類似作品と違うのは、サスペンスをメインにはしなかったことでしょう。 そのため中盤は若干の中だるみを起こして退屈に感じる場面も。 そのぶん、終盤はサスペンス的にもドラマとしても、見ごたえのあるエンタメ作品へと昇華されていきます。 主人公はメラニーと、そのメラニーに寄生した宇宙生物ワンダラー。 このワンダラーが、人間たちとの交流のなかで、考え方や価値観を変化させていくわけです。 遂には、寄生している宇宙生物を人間から取り出す方法を教えてくれます。 時間はかかりそうですが、一番平和な解決方法を教えてくれるので、すっきりします。 更にたたみかけるように、もう一筋の希望を残す終わり方。 こーゆー作品にしては後味の良さが好印象です。 [ブルーレイ(字幕)] 7点(2024-05-22 03:05:52) |
15. ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー
《ネタバレ》 自分から見たわけではなく、妻から誘われてアマゾンプレミアムで一緒に鑑賞。 とゆーことで予備知識なし、期待なし。 ところが、映画が始まってしばらくし、キノコ王国にやってきたあたりからいろんな思い出がフラッシュバック。 特に効果音が最高です。ゲームの効果音が、BGMが、随所にちりばめられている本作。めっちゃマリオしたくなります。 更にはドンキーコングやマリオカートも登場。れ、レインボーロードだ~。これは世代にはたまらないですね~。 ファミコン、スーファミ世代にはぐっとくるものがあります。 ピーチ姫のキャラだけ、ゲームやってたときのイメージとだいぶ違っちゃってましたが。 ファミコンやってたときは、ただただ助けてもらうだけだったお姫様。映画ではマリオ以上に戦うお姫様。これも時代ですかね~。 なんか昨今のDisneyプリンセスと同じ現象がここでも~。 マリオがキノコ王国にやってきたとき、『タイルどうやって宙に浮いているの~』『これどーゆー構造なの~』とか、いちいち突っ込むところ面白い。クッパの弾き語りも最高。爆笑というより、クスクス笑いがたくさんある感じ。 ファイアフラワーやアイスフラワー、たぬきマリオなんかが活躍してくれたのも嬉しい。 猫マリオはやったことないからちょっとわかんなかったけど・・・。 マリオカートではバナナしかけたり、甲羅投げたりと、お約束的みどころがたくさん。 ストーリーが面白いとか、そーゆータイプの映画ではありませんが、ここまでゲームの世界を再現してくれたら満足です。 トゲゾーやメット、ハンマーマリオやじゅげむも見たいものです。 次作ではいろんなマリオが見られるかなぁ。今から楽しみです。 [インターネット(吹替)] 7点(2024-05-03 22:43:02)(良:1票) |
16. 殺人ワークショップ
《ネタバレ》 キャストさんは知らん人ばかりでしたが、妙にリアルで凄かったです。 世の中には無名でも演技が上手い人はたくさんいるんだなと変に感心してしまいました。 まあ、なかには素人同然の人もいましたが・・・。 オープニングのDVシーンからして、妙に生々しくてリアルで、執拗。 でもこのシーンがあるからこそ、主人公が殺人ワークショップに参加するまでの説得力が生まれます。人間追い込まれて鬱屈すると、こーゆー突拍子もないものにすがりたくなる気持ちわからなくもない。 正直、このワークショップ、最初はうさんくささ100パーセントでした。インチキなんじゃなかろうかと疑って見てました。 ダンボールのナイフで刺す練習を繰り返させるだけなんて、誰でもできる。 そうではなくて、『絶対に自分がやったとばれない方法』とか『完全犯罪のやり方』とか、そーいったものをレクチャーするものだとばかり思っていたので、なんか期待と違いました。 でも反抗的な犬猫虐待サイコパス男を椅子に縛り付けて、みんなに殺させるあたりから、江野は本当にやばいやつだと認識。 ま、そこまでは結構だるいんですけどね~。1人目の犠牲者が出るあたりからもう緊張感半端ないです。 個人的に一番緊張したのは、ワークショップから女の子が逃げ出そうとするシーン。 ドアを開けるシーンでこんなにドキドキするもんかね、っていうくらいドキドキしました。 友人を自殺に追い込まれた気弱な青年、彼の復讐に全く手を貸さない江野。 でもその後の女の復讐にはなぜかがっつり手を貸す江野。 その辺はちぐはぐで統一感ないな~と、残念な感じです。 [DVD(邦画)] 7点(2024-01-26 04:04:47) |
17. ザ・ベイ
《ネタバレ》 一応実話がきっかけになって製作されてはいるようですが、中身は完全なるフィクション。 こーゆーモキュメンタリー映画は結構好きなので、最後までドキドキしながら見られました。 ただ、海水に含まれるステロイドの量や、海に廃棄される鶏の糞の量が実際の数字だそうです。バリー・レヴィンソン監督は環境汚染問題に一石を投じたかったのかもしれないです。 さて、この映画、起承転結の描き方が弱い。つまり、パニック映画ならではの盛りあがりに欠けるのです。これがモキュメンタリーの弱点でもあります。とはいえ、RECやクローバーフィールドのように、きっちり盛り上げてくれる作品もあるわけです。 パニック映画は次第に悪くなっていく状況をいかに描いていくかが大事なんだと思います。女の子が自分の現状や病院の様子をスマホで伝えはしますが、それだけでは弱い。こーなってくると、一夜限りの物語にするのではなく、何日かに分けたほうが良かったんじゃないだろうか。 警官2人が通報の家に入り、その後音声だけで惨劇を伝えます。こーゆー光る演出がある一方、『似たような現場リポート』『進展しない医者とDCDとのやりとり』なんかで、若干ダレるところもあります。 やっと街に着いた夫婦も、街で出会うのが死体だけってのはもったいない。この夫婦に関しては、街に着くまでの船上でのシーンが多すぎです。 まあエンタメよりリアル路線を重視したと考えれば・・・。 ・・・だとしたらパトカーの後部座席から女性が出てくるのはやりすぎ。子供を乗せるときに気づかないわけがないでしょ。 [ブルーレイ(字幕)] 7点(2023-11-08 02:26:46) |
18. サイレント・ナイト 悪魔のサンタクロース
《ネタバレ》 B級ホラーの企画もの。と思いきや、バカにできないクオリティ。グロ描写、なかなか気合入ってます。ってゆーか、痛そう。 スタートから丁寧な作り。結構有名な役者さんもありをりはべり。 決して怖すぎない、ほどよいお化け屋敷感。ホラー苦手な方でも見れそう。ただ少々悪趣味とも言えるスプラッタシーンはあるので、グロいのや痛いのが苦手な人は辛いかも。 ストーリーはもうB級ホラーにありがちで、つっこみどころ満載。犯人でもない人間が、まるで犯人かのようなセリフを吐いたり、無駄に逃げたりする、乱暴すぎるミスリード。身に覚えがないなら逃げるなよ。 名優マルコム・マクドウェルが演じる所長は絵に描いたようなバカ所長。 主人公のオーブリーも、『○○が犯人です!』って言いきって、捕まえては、『○○が犯人なのは不自然です・・・』って。 いやいや、○○が犯人って言いだしたのはあなたですからΣ( ̄□ ̄|||) 結局主人公が犯人だの怪しいだの言っていた二人は事件とは無関係。 そして殺人鬼。なんだか殺す人とそうでない人の境界がすごく曖昧。 風紀を乱す人や、ちょっと悪いことしている人がターゲットなのかな~って思いきや、じゃあ町長はどうして殺されちゃったのさ~。おし~えて~、おじい~さん~♪。 ・・・まあ、母親に対してめっちゃ悪い態度を取る女の子を躊躇なく殺しちゃうのは、思い切ってて感心しましたが・・・。 そしてこの映画何が良いかって、女優陣のレベルが何気に高い。目の保養になるシーンもちゃんとある。 終盤グダグダで、ラストはいまいち。 ですが全体的には王道で手堅くまとまっているんじゃないでしょうか。 スプラッタホラー作品としては、正統派で好きな部類です。 [DVD(字幕)] 7点(2023-05-22 04:30:29) |
19. THE ICEMAN 氷の処刑人
《ネタバレ》 こーゆーナチュラルボーンキラーのストーリーは、はずれがないですねー。 それにしてもフィクションではなくまさかのノンフィクションだとは。事実は小説より奇なりとはまさにこのこと。 とは言っても、実際のククリンスキーと映画のククリンスキーは多少性格に違いはあるようですが。 映画のククリンスキーは怒りを覚えたときと、仕事でしか人を殺していません。 ですが実際のククリンスキーは殺人そのものを趣味としていたようです。つまり殺人あるいはそのプロセスを楽しむ人物だったようですね。 伝記のような側面をもつ本作。本来の情報量は相当なものでしょう。それを2時間弱に編集。その結果、少なからず説明不足な部分はあるようです。特に後半。ククリンスキーが目撃者の女の子を見逃して、ロイに追放されてからの展開がごちゃごちゃしてわかりづらい。私の理解力の問題でしょうか?いや、そんなはずは… 結局娘をひき逃げしたロイたちには復讐を果たせぬままお縄となってしまったので、なんかもやもやしたものが残ります。 どの視点から見るかで評価や感想が変わる映画かもしれません。 私には、家族を愛してやまない男が、人生にもがくドラマのように映ったので、なかなか辛い結末でした。 でもこの人にふさわしい結末といえなくもない・・・ ・・・邦題でだいぶ損してるなぁ・・・副題のB級感が・・・ [DVD(字幕)] 7点(2023-04-23 21:52:56) |
20. ザ・レイド
《ネタバレ》 見応えある格闘ムービー。こんなに見ごたえあるのはひさしぶり。 ただインドネシアの俳優さんたちになじみがないので、一部を除いて見わけがつかないのが難点。 銃→刃物→素手と、ファイトのスタイルがシフトしていく。緊張感があったのは銃、次いで刃物。まさに死と隣り合わせ。建物内だけでなく、外からも狙撃される恐怖。実際銃と刃物でほとんどのSWAT隊員が命を落とす。 数が減ってきてからは素手のバトルに。これには正直違和感はあります。だって最後まで銃と刃物と人海戦術で攻め立てれば簡単にSWATを制圧できただろうに・・・。まあそれでは映画が終わってしまうわけですが・・・。 カンフーバトルにシフトしてからも、それはそれで息をつかせぬアクションの連続。これはこれで面白い。主人公や幹部クラスだけでなく、モブのなかにも強キャラがさりげなくまじっているのが何気に良い。 SWATのほうも、隊長がリタイアしてから明らかに戦力ダウンかと思いきや、モブキャラと思われた隊長の部下が何気に強かったりするのが良い。 一番面白かったのは敵の幹部。 圧倒的に有利な状況にも関わらず、銃を置き、弟が兄の拘束を解くのを待ってあげて、二人同時に相手してあげる。とゆーか、相手幹部の善意につけこみ、どさくさに紛れてふたりがかりで襲い掛かる主人公兄弟。更にはずっとフェアな戦いをしている敵幹部に対し、背後から凶器で襲うという卑怯極まりない主人公兄弟。まったくどっちが主役なんだか……… [ブルーレイ(字幕)] 7点(2022-11-18 02:57:48) |