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イニシャルKさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

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21.  人生劇場(1983)
なんと監督が深作欣二、佐藤純彌、中島貞夫の三人もクレジットされていて、オムニバスか何かと勘違いしそうな映画だが、一本の長編映画の群像劇である。どうして三人体制になったか気になって調べたら最初は深作監督が一人で手掛けるはずだったものを企画から公開まで時間がなく、佐藤監督と中島監督が手伝いに駆り出されたというのが理由らしい。大作映画は得てして大味になりがちだが、このせいか何やら統一感に乏しい印象で、見終わって一層大味な印象だけが残る映画になってしまっている。何度も映画化されている名作が原作とのことだが、ストーリーもまったく知らずに初めて見た者としては、話がごちゃごちゃしていてよくわからず、そのうえに永島敏行演じる主人公にこれっぽっちも魅力を感じることができず、むしろ飛車角や吉良常を主人公に任侠映画にでもしたほうがいいと思ってしまう。(これ以前の映画化作品はこの二人を中心にしたものもあるとのことでやはりそっちのほうが見たい。)この時期の東映作品らしく濡れ場も多いが、年明け一発目に見る映画としてはちょっと失敗してしまったかなという感が強かった。主人公の父親を三船が演じているが、使い方がもったいなさすぎる。西村晃演じるヤクザの親分が松方弘樹演じる飛車角を「角さん」と呼ぶのは「水戸黄門」を連想してしまい、なにか変な感じがした。
[DVD(邦画)] 5点(2017-01-03 23:29:50)
22.  新・刑事コロンボ/殺意の斬れ味<TVM> 《ネタバレ》 
不倫関係にある実業家の妻と鑑識の男が共謀して、邪魔になった実業家を陥れるために実業家と法廷で揉めている第三者を殺して、その罪を着せてしまおうというこのシリーズでは今までなかったような犯行内容は良く、コロンボも最初は真犯人ではなく、実業家を疑っていて真犯人に気づくのも今回は遅いという前半の話の展開は面白い。いつにもましてコロンボがどこで真犯人に気づくかに興味がいくわけで、そこに注目して見ていた。後半のバーニーの店でコロンボが二人と会っているシーンの鑑識の男の何気ない行動でコロンボが真相に気づいた(実業家の妻と会うのに鑑識の男の同伴を求めているが、これくらいは目をつぶろう。)ときには見ているこちらも思わず安堵した。あとは証拠で二人を追い詰めて解決するだけ。ハイ、解決。エンドロール。と、いつものように解決シーンで終わっていれば良かったのだが、その後、バーニーに今回の事件について説明するシーンがあり、これが完全に余計で、このシリーズらしさがこれで失われてしまっているし、こんなシーンを入れるなら今回の話は最初からコロンボの回想形式にでもしたほうが良かったんじゃないかと思えてくる。(もっともそれじゃあ今度は倒叙ものとして成り立たなくなるが。)せっかく今回は面白く見たのにこれで評価を下げてしまったのが残念。作品としてはこれまでシリーズに何本か出演したピーター・フォークの妻が晴れて犯人(計画立案者)を演じているのがみどころ。しかし、日本語吹き替え版では実行犯となる鑑識の男の吹き替えを2時間ドラマのスター俳優の一人である船越英一郎が担当していて、吹き替えだとこっちのほうがみどころ(ききどころ?)かも。
[CS・衛星(吹替)] 4点(2016-12-04 14:49:31)(良:1票)
23.  次郎長三国志(2008) 《ネタバレ》 
マキノ雅弘監督のライフワーク的代表作である「次郎長三国志」を、東映版シリーズにも出演した甥の津川雅彦がマキノ雅彦名義で自ら監督を手掛けた平成のリメイク版。思ったより悪くはなく、津川雅彦のおじの思いを受け継ぐという思いも伝わってくるし、東宝版や東映版にはなかったシーンもとくに不満はなかった。子分役の俳優陣の平均年齢が高めなのが見る前は不安だったのだが、みんないい味を出している。特に法印役の笹野高史がどことなく田中春男演じる法印を思わせている。しかし、温水洋一の石松に関しては前半、森繁久彌や長門裕之の石松に対してドモリを強調しすぎていてかなりの違和感を感じる。それに尺の都合上、追分と石松とお仲さんの道中記の部分や仲間との出会いが大幅に省略されているのは仕方がないとはいえ、東宝版や東映版ではここが面白かった部分でもあるのではっきり言って残念。お牒さんが死ぬシーンは本作でもジーンとさせられるのだが、ちょっと長かったかな。ただ、これまでの映画よりも次郎長とお牒さんの愛を強調したつくりで、東宝版や東映版にはない簪を重要なアイテムとして使った演出がそれを感じさせていて良かった。子分の人数も東宝版、東映版に比べて少なくなっているのだが、監督である津川雅彦が東映版で3作目まで演じていた増川仙衛門が本作では登場していないのが印象的で、ひょっとしたら途中で降板したのが嫌だったのかなと憶測してしまう。東宝版、東映版双方に出演している長門裕之が本作にもちゃんと出演しているのはなんだか嬉しいものがあった。しかし、次郎長(中井貴一)とお牒さん(鈴木京香)の結婚から、お牒さんの死までを2時間ほどで描いているため、全体的に急ぎすぎている感があり、とくに先週まで東映版シリーズを見ていたせいか、まるで総集編を見ているような感覚が最後まで抜けなかったのも事実で、この物語はやはり単発よりも連作シリーズとしてじっくり見た方が面白いと本作を見てあらためて思ってしまった。最初に書いたように決して悪い映画ではないと思うのだけど。
[DVD(邦画)] 6点(2016-11-18 21:12:31)
24.  新・刑事コロンボ/奇妙な助っ人<TVM> 《ネタバレ》 
解決方法に納得がいかないことが多い新シリーズではあるが、いつもそういうものだと思って見ている。しかし今回の解決方法は強引を通り越していて、もはや犯人をあげるためならなんでもありという感じになってしまっていて、いくらこのシリーズに寛容でもさすがにこれはないだろうと感じてしまう。マフィアの助けを借りて(確かに「奇妙な助っ人」だ。)犯人を追い詰めるコロンボというのは違和感しかなく、正直に言ってしまうと悪徳刑事にしか見えないし、新シリーズではコロンボの吹き替えは石田太郎なのだが、彼はほかの出演作では悪役が多い印象なのもそれに拍車をかけている感じ。解決後にマフィアのボス(ロッド・スタイガー)と話しているコロンボを見て、お前自首しろよと思わず突っ込んでしまった。旧シリーズで解決方法にいちばん納得できなかったのは「愛情の計算」なのだが、新シリーズでは間違いなく本作で、それどころか刑事ドラマなのにマフィアを肯定するような脚本もダメだろう。まだシリーズすべて見たわけではないのだが、今まで見た中では旧シリーズも含め、「刑事コロンボ」史上最低の作品だったと思う。
[CS・衛星(吹替)] 1点(2016-11-13 11:47:41)
25.  次郎長三国志 甲州路殴り込み 《ネタバレ》 
東映版「次郎長三国志」シリーズ最終作となる第4作。今回は前作ラストで捕らわれの身となったお仲さんを救出する部分から東宝版で言えば6作目の終盤となるお牒さん(佐久間良子)の死までを描いていて、東宝版最終作にあった中途半端なもやもや感はない。しかし、大木実が大政役に復帰している一方、今までと役者が交代してしまった人物が前作よりも多くなり、中でも前作で捕らわれたところで終わったお仲さんを演じる女優が交代してしまっているのは登場する冒頭部分から違和感がありすぎて戸惑うし、東映では後年の「仁義なき戦い」シリーズでも役者の交代は頻繁だったのだが、せめて前回と今回のつなぎのエピソードの主軸であるお仲さんは丘さとみで通してほしかった。(丘さとみはこの頃、活動を縮小してたみたいだけど、同時期の「宮本武蔵」シリーズ最終作にはちゃんと朱美役で出ているので、出ようと思えば出れたのではと勘ぐってしまう。)それでもやっぱり東宝版で大感動してしまったお牒さんが死の直前に次郎長一家一人一人に声をかけるシーンは分かっていても泣けてくる。しかしこれも次郎長一家を演じる俳優が一部交代してるせいか東宝版に比べると若干落ちる気がするのは気のせいか。さらに続編があってもおかしくない終わり方をしていて実際東宝版ではまだ続きがあるのだが、お牒さんの死で物語を閉じるのはここらへんがキリも良く、ちょうどいい終わり方なのだと思う。でも、個人的にはやっぱり東宝版のシリーズのほうが好きだな。とはいえこの東映版のシリーズも決して嫌いではない。
[DVD(邦画)] 7点(2016-11-10 23:24:21)
26.  新・刑事コロンボ/死を呼ぶジグソー<TVM> 《ネタバレ》 
「初夜に消えた花嫁」と同じくエド・マクベインの原作を基にした「刑事コロンボ」新シリーズの一篇。今回も倒叙ものではなく、なんとコロンボが嫌いな拳銃を携帯して潜入捜査をするというストーリーで、「初夜に消えた花嫁」に比べれば面白くなくはないものの、やはりこの話をこのシリーズでやるのは違和感が強く、「刑事コロンボ」ではない別の作品を見ているよう。ゲストとして「ロッキー」シリーズのポーリー役でおなじみのバート・ヤングが出演していて、(吹き替えが富田耕生でないのがちょっと残念。)ピーター・フォークとの共演が見どころなのだが、意外にチョイ役で、すぐに殺されてしまったのにはビックリした。
[CS・衛星(吹替)] 3点(2016-11-06 10:57:24)
27.  次郎長三国志 第三部 《ネタバレ》 
東映版「次郎長三国志」シリーズ第3作。旅に出ていた次郎長一家が清水に帰ってきて、石松(長門裕之)や三五郎(品川隆二)、お仲さん(丘さとみ)も清水にやってくる。東宝版で言えば第4作と同じだが、忘れている部分もけっこう多く、楽しめた。大政や三五郎など2作目までと演じる役者が一部交代しているのは少々残念に思うものの、それを感じさせない勢いがあり、途中からほとんど気にならなくなったし、むしろ次郎長一家の絆というものが深く感じられる作品になっている。中でも東宝版でもそうだったのだが、圧倒的不利と分かっていても人質となったお仲さんを助けるために甲州へ向かうラストシーンにはやっぱり次郎長一家のカッコよさや絆の深さをより一層感じられるのがいい。マキノ雅弘監督らしい盛り上がりももちろんあり、テンポもよく、東宝版とはまた違う魅力があり、安心して見ることができるし、マキノ監督の次郎長シリーズへの思い入れの深さも感じることができる。見終わってすぐに次回作が見たくなるような終わり方だが、東映版シリーズも次回で最後。なんだかんだ言ってやっぱり少しさびしさがある。
[DVD(邦画)] 8点(2016-11-05 11:16:56)
28.  次郎長三国志(1963)
マキノ雅弘監督がかつて東宝で手掛けた「次郎長三国志」を自らの手で東映で再映画化したシリーズの第1作。7年くらい前に東宝版9部作を見たときからいつか東映版もと思っていたのだが、ようやく見ることができた。前シリーズが白黒だったのに対してカラーであり、当然のように次郎長一家役の俳優陣も違うのだが、それでもどこか懐かしさを感じるのは嬉しかったし、「次郎長三国志」といえばマキノ監督というイメージが強いのだが、それを裏切らない明るい作風で気軽に楽しめた。次郎長役は鶴田浩二が演じていて、粋でいなせな雰囲気があり、東宝版の小堀明男の次郎長とはまた違った魅力があり、けっこうハマっていたと思う。(鶴田浩二を時代劇の主役で見るのはかなり久しぶりのような気がする。)またそんな次郎長を慕って次から次に仲間が増えていくのが東宝版同様に序盤である本作の面白いところだ。でも、東宝版に比べてテンポが早く、1時間40分ほどの間に東宝版で言えば2作目の終盤あたりまで話が進んでしまったのはもっとじっくりと見たかった気もするので残念といえば残念。とはいえ、全体的に見ればやっぱりおもしろかったし、東宝版に続いてこの東映版シリーズも全部見てみようという気持ちも強くなった。それともう一つ、デビュー間もない藤純子が初々しくて可愛い。
[DVD(邦画)] 7点(2016-10-22 16:24:10)
29.  新・刑事コロンボ/4時02分の銃声<TVM> 《ネタバレ》 
久しぶりに見る「刑事コロンボ」だが、久しぶりに見るせいか、コロンボ独特の癖のあるキャラクターが妙に懐かしく感じた。(石田太郎が吹き替えるコロンボもかなり久しぶり。)以前この時期の別の回を見た時も思ったが、劇中に重要なアイテムとして携帯電話が登場しているあたりはいかにも90年代初期の作品という感じで、トリックにも電話が使われている。しかし、最後の解決シーンはいつもの新シリーズのコロンボらしい強引な展開で、ただ電話が使えないを証明するにしてはやり方が大げさすぎるし、何もそこまでしなくてもと思うが、それもこのシリーズらしいといえばらしい。ウィリアム・シャトナーが犯人役だが、「スター・トレック」をほとんど見たことがない自分でも、矢島正明の吹き替えがやはりすごく合っていると思う。
[CS・衛星(吹替)] 5点(2016-10-10 10:46:06)
30.  シン・ゴジラ 《ネタバレ》 
12年ぶりの和製ゴジラ映画。どうしようかと思ったが、思い切って映画館で見た。(映画館で映画見るのは10年ぶり。)冒頭の東宝マークをバックにしたゴジラの足音と咆哮やタイトルの出方、始まってすぐの海を航行する船。ここまで完璧に一作目をなぞっていて、(この冒頭は思わずニヤリとした。)リメイク的な感じで行くのかと思っていたら、政府が出てきて84「ゴジラ」を意識してるのかとも思えた。でも、メインの登場人物に民間人が一人もおらず、ひたすらゴジラに対し右往左往する政府を極力ドラマを排して描いていたのは潔く今までのゴジラ映画にない展開で新鮮に感じられるし、それがリアリティを持って描かれていたのは良かった。主人公たちが専門用語の多いセリフを早口でしゃべっている(Yahoo!ニュースで見ると3時間分の脚本を2時間におさめるためだとか。)が、それが妙な緊迫感を生んでいる。しかし、岡本喜八監督の「日本のいちばん長い日」を意識しているというこの展開だが、比べてしまうとやはり重みが足らない感じはするのも事実ではある。フルCGで描かれたゴジラの動きがアニメっぽいのは、「エヴァンゲリオン」をやっている庵野秀明監督だからかと思う(加えて樋口真嗣監督もエヴァでアニメーターとして参加している。)ものの、これはこれでいいし、変態を繰り返し、姿を変えていくゴジラというのも庵野監督の案なのだろうけどエヴァをあまり見たことがないせいか、あまり気にせず、こんなゴジラもありかなと新鮮な気持ちで見ることができたし、ゴジラの恐怖感もちゃんと出ていたのが何よりいい。それにゴジラと戦うのはあくまで自衛隊の通常兵器であり、平成ゴジラシリーズに出たような超兵器が登場しないのも良かった。政治ものにしている時点で子供向けではないのだが、出演者に目をやっても一部を除いて普段こういう映画では見ないような人ばかりが出ていて、(この点も84「ゴジラ」と被る。)子供向けではなく、万人向けの大作映画としての怪獣映画をという意気込みが感じられる。とくに頼りなさげな総理大臣を演じる大杉漣と、彼のあとを受けて総理代理となる平泉成演じる農林水産大臣の緊張感のなさが印象に残る。ヒロインであるアメリカ大統領特使を演じる石原さとみがただの尻の軽そうな女にしか見えず、はっきり言ってミスキャストに感じるのに対して、市川実日子演じる人物のクールさが際立っていたのも印象に残る。ゴジラは完全に倒されるのではなく、凍結させられて終わるのは「ゴジラの逆襲」を思いだすが、やはり続編を期待させるような終わり方で、シリーズ次回作があったらまた見ようと思う。いずれにせよかなり満足できる映画になっていて見終わった後、またゴジラを劇場で見れて良かったと思うことができて良かった。伊福部昭の曲がゴジラのテーマ曲だけでなく、ゴジラシリーズのほかの曲も使われているのもよく、とくにエンドロールでも伊福部メドレーをたっぷりと聴かせてくれたのは感激するしかなかった。(また劇場で伊福部昭のゴジラ映画の音楽が聴けたのが嬉しい。)ただ、一つ言わせてもらえれば、ゴジラを倒す鍵を握る教授として喜八監督の写真が使われているが、生前の喜八監督は特撮映画には興味がなかったそうなので、いくら「日本のいちばん長い日」を意識しているとはいえ、見ていてなにか違う気がした。庵野監督がファンなのも分かる(ぼくも好きな監督の一人だ。)のだが、ここはもっと故人の意思を尊重して違う人、例えば平田昭彦や岸田森とかでも良かったんじゃないか。
[映画館(邦画)] 7点(2016-08-16 23:13:26)(良:4票)
31.  昭和残侠伝 死んで貰います 《ネタバレ》 
シリーズ第7作で、マキノ雅弘監督が手がけたこのシリーズとしては最後の作品となる。今回の花田秀次郎(高倉健)はヤクザ稼業から足を洗い、身分を隠して実家の料亭で働くという設定なのが今まで見たこのシリーズではちょっと異色な気がするのだが、任侠映画でありながらホームドラマの様相もあり、それがけっこう斬新に感じるし、これが本作の中で利いている。マキノ監督のこのシリーズの監督回はこれですべて見たことになるのだが、前の二本とも雰囲気の違う作品になっている印象を受けるのはこのせいだけではないかも知れない。冒頭の初めて会う秀次郎と幾江(藤純子)の木の下でのやりとりから既にマキノ監督の演出は冴えており、とくにこのシーンで降っている雨はこのあともこの二人の重要な場面で降っており、なにか暗示的で、二人が言葉に出せない何かを代弁しているようで効果的で、本作はこの二人の数年間にわたる恋物語としてもよく出来ている。風間重吉(池部良)も今回は舞台となる料亭で働いている堅気の設定であるが、幾江に手を出したヤクザの客に殴り掛かった秀次郎を止めるために図らずも秀次郎を殴ってしまうシーンはやるせなさがあり、また、重吉がそれを詫びると秀次郎がさらに詫びるというシーンはただカッコイイというだけでなく、「男」とはなにかということを考えさせられる名シーンで本作の中で最も印象に残る。荒木道子演じる盲目の料亭の女将も泣かせるし、彼女の抑えた演技も良かった。作品全体としては堅気に戻ったヤクザがさまざまなしがらみから結局元の道へ戻ってしまう哀しみがシンプルかつ丁寧に描かれていて、任侠映画としてだけでなく、人間ドラマとしてもちゃんと見ごたえがあり、まだこのシリーズ見るの4本目だけど本作がシリーズ最高傑作と言われているのに異論はない。コメディーリリーフの長門裕之も物語がシリアスになりすぎないようなスパイスとして重要な役割をはたしているなど、全体的なバランスもいい。それともう少し言わせてもらえればカメオ出演的な津川雅彦もマキノ監督の微笑ましいお遊びで楽しかった。秀次郎にだし巻き卵をもらう坊ちゃんを演じる子役時代の真田広之(最初、面影がなさすぎて気がつかなかった。)も可愛らしい。
[DVD(邦画)] 9点(2016-03-12 16:10:41)(良:1票)
32.  昭和残侠伝 唐獅子仁義 《ネタバレ》 
シリーズ第5作。この間見た山下耕作監督の「人斬り唐獅子」と比べるといかにも娯楽作といった感じなのがマキノ雅弘監督らしいところなのだが、話自体はけっこう暗く、同じくマキノ監督が担当した「血染の唐獅子」(このシリーズ、はじめて見た作品。)に比べると快活さが足らないような気がしたし、最後の殴り込みシーンで助太刀に入る待田京介もなんか浮いてしまってる印象だった。それでも面白くないということはけっしてなく、楽しめるし、藤純子がヒロインを演じているのも見ていて安心感がある。今回、志村喬が親分役で出演している。東映任侠映画で志村喬のこういう役柄を見るのは意外な気もするが、新鮮だったし、さすがに重厚な存在感のある演技で映画を引き締めていて、あっけなく殺されるシーンも無情感があって印象に残る。
[DVD(邦画)] 7点(2016-02-11 16:48:33)
33.  昭和残侠伝 人斬り唐獅子 《ネタバレ》 
山下耕作監督が手掛けた「昭和残侠伝」シリーズの一本。このシリーズ自体を見るのがまだ二本目で、しかもかなり久しぶりだったのだが、見ごたえがあり面白かった。山下監督ならではの美しさや障子の影なども丁寧にしっかりと作り込まれていて、監督の代名詞ともいえる花もここぞというシーンで印象的に使われていて、重厚さを感じさせる作風も山下監督らしい。主演のふたり、高倉健演じる花田秀次郎と池部良演じる風間重吉もカッコよく、義理と人情の葛藤がうまく描かれているが、中でも風間の葛藤が印象深く描かれている。山下監督の「戦後最大の賭場」で主人公の妻を演じていた小山明子がヒロインを演じているのもやっぱり新鮮な感じがする。それに千恵蔵演じる親分も存在感があり、いい味を出していてよく、とくに殺されるシーンの静かな演技が印象に残る。そのほかの脇役たちもそれぞれイキイキとしている。そんな脇役たちの演出がしっかりとしているからこそ主演のふたりがひきたつのだ。クライマックス近くで風間が組を抜け、秀次郎とともに殴り込みをかけるシーンも美しさがあり、たまらないし、「死ぬときは一緒だ。」という秀次郎のセリフに秀次郎の風間に対する深い思いを感じられるし、殴り込みで負傷した風間に「死ぬときは一緒だっていったじゃねえか。」と声をかけ、風間に肩を貸し、二人去っていくシーンも美しさやぐっとくるものがあり、感動的だった。
[DVD(邦画)] 8点(2016-01-23 14:39:21)
34.  少年H 《ネタバレ》 
映画化に少し今更感があるが、90年代末期に話題になった妹尾河童の自伝的小説が原作。戦時中のカトリックの家族が描かれた映画ということで「この子を残して」のような堅苦しくてとっつきにくい映画かと思っていたが、そうでもなくすんなりと見れる無難な反戦映画という印象。戦争という激動の時代を一人の少年の目を通して分かりやすく描いており、降旗康男監督の演出もそつなく丁寧。肇の父(水谷豊)がやたら先見性のある人物に描かれていてやや不自然な気もするが、ひょっとしたら当時本当にこういう人がいてもおかしくはないと思える程度の描写で、お前は未来人かとツッコミを入れるほどの違和感は感じなかった。鬼教官だった男が戦後になって態度が豹変し、質屋になるというのも終戦直後のあの時代ならば普通のことだったのだろうと思わされる。ただ、演じているのがお笑い芸人の原田泰造なのでどうしてもコントっぽく見えてしまい、つい笑いそうになってしまった。この役にお笑い芸人は使わないほうが良かったのではないか。その他、戦争が終わったことで突然世の中が変わってしまったことに対する肇の怒りももう少し掘り下げて描くべきだったと思う。「火垂るの墓」を思い出すような神戸空襲のシーンで父親のミシンを運び出そうとするシーンは感動させようというのが見え見えで少々冷めてしまった。でも、その後の焼け野原と化した町に立った父親の無常感はよく表現できていたと思う。最近では世間的には「相棒」の杉下右京のイメージが強い水谷豊なのだが、あまり「相棒」を見たことがないせいか、ハマっている云々は別にして特定の先入観なくこの父親役を見れたのも良かった。リアル夫婦の夫婦役共演もさほど変な感じはない。ただ、映画として全体的に考えてみるとドラマとしての物足りなさや中途半端さを感じてしまうのも事実で、もう少し深みがほしかったところか。しかし、子供向けの教材戦争映画としてはこれくらいがちょうどいいのかもしれない。最後に、あまり好きな監督というわけではないのだが、本作が高倉健という相棒を失った降旗監督の遺作にならないことを願う。
[DVD(邦画)] 5点(2015-08-20 23:18:34)(良:1票)
35.  潮騒(1964) 《ネタバレ》 
BSプレミアムで再放送中の「あまちゃん」に今頃ハマり、その中の劇中劇として登場した架空の映画「潮騒のメモリー」が気になってモデルと思しき本作を見たのだが、今まで見た三島由紀夫原作モノの中でもとっつきやすく、高尚な文芸映画というよりは無難なアイドル映画という感じで、軽い気持ちで安心して見ていられるつくり。この後も山口百恵や堀ちえみといったその時々の旬のアイドルを起用して映画化されているのも分かる。全体として甘さを感じる部分も多いのだが、アイドル映画だと思って見るとまあこんなもんだろうという感想で可もなく不可もなくというところか。ヒロインの「その火を飛び越してこい。その火を飛び越してきたら。」というセリフが有名なのだが、どういう風に出るのだろうと思っていると、なんかえらくあっさりとしていたのは逆に驚かされた。音楽がギターで通されているが、ちょっと雰囲気的に合ってなかった気がするし、これは比べるのもどうかと自分でも思うが、「あまちゃん」を見ているさなかにその影響下で本作を見たせいか、吉永小百合扮するヒロインは海女という設定なのに海に潜っているシーンがほとんどないのが少し物足りなく感じた。
[DVD(邦画)] 5点(2015-07-09 18:05:15)
36.  シルクハットの大親分 ちょび髭の熊 《ネタバレ》 
熊寅こと熊坂寅吉(若山富三郎)を主人公に据えた「緋牡丹博徒」シリーズ番外編第2作。今回も前作と同じ鈴木則文監督が手がけているだけあって任侠映画定番の展開の中でも喜劇色が強くなっており、熊寅のキャラクターの良さも出ていて面白かった。とくに熊寅が運転している自動車が止まらなくなるシーンはサイレントの手法が取り入れられていて本作の笑いどころとしては特に印象に残る。前作でお竜さんの舎弟を演じていた伊吹吾郎が違う役で登場していて東映の映画ではよくあるパターンだが、前作で演じていた役柄の弟という設定で少しの強引さは感じるものの「悪名」シリーズでもあったパターンなのでとくに違和感は感じなかった。(ひょっとしたらこの設定は若山富三郎が勝新のシリーズである「悪名」を意識した上でのことかもしれない。)前作同様熊寅のピンチにどこからともなく現れるお竜さんは今回も主役の熊寅を食うことなくあくまで引き立て役に徹している(登場シーンはさすがにハデだが。)のが潔く、これもこのシリーズはあくまで熊寅が主人公というのを実感させてくれる。このシリーズは本家のシリーズに比べてあまりヒットしなかったのか、熊寅を主人公にしたシリーズはここで終了。個人的にも前作のほうが好みだが、せめてもう一本くらい熊寅主役の作品を見たかった気はする。
[DVD(邦画)] 7点(2015-05-15 21:24:00)
37.  シルクハットの大親分
「緋牡丹博徒」シリーズのコメディリリーフ的存在である若山富三郎演じる熊寅を主人公にした今でいうスピンオフ作品。「緋牡丹博徒」の登場人物の中でも熊寅というキャラクターは好きなので、こういう外伝的映画の存在は正直嬉しい。緋牡丹シリーズの脚本をずっと手がけ、生みの親でもある鈴木則文監督が演出を手がけている(ちなみに脚本はのちに緋牡丹シリーズ完結編「仁義通します」を手がける高田宏治。)だけあって熊寅の良さはじゅうぶんに出ているし、ハチャメチャな喜劇要素が強く、何より熊寅を演じる若山富三郎も主役で演じているからか脇役の時よりも演技がイキイキとしているように感じる。後半登場するお竜さんも熊寅を食ってしまうのではなく、あくまで脇役として熊寅を引き立てる役回りに描かれているのが逆に良かったし、これによって本来の主役と脇役を入れ替えたような構図になっているのが新鮮。緋牡丹シリーズはすべて見ていて東映のヤクザ映画のシリーズものの中でも好きなシリーズなのだが、そんな自分にとっては本作もやはりじゅうぶんに楽しむことができる映画だった。
[DVD(邦画)] 7点(2015-04-16 23:36:01)
38.  実録三億円事件 時効成立 《ネタバレ》 
三億円事件を題材にした犯罪サスペンス映画。実際に時効が迫っていた時期に公開されていて、(東映らしいなあ。)冒頭に実際に三億円事件の捜査に携わった刑事ふたりのインタビューが挿入されるところは生々しくてリアルで、この頃のほかの東映実録映画(あんまり見たわけではないのだが。)とは一線を画した印象で、本筋が始まっても石井輝男監督は犯行までをドキュメントタッチかつサスペンスフルに描いている。中でも犯行を再現したシーンは実際の事件にけっこう忠実に描かれており、緊迫感もじゅうぶん。しかしその後、金子信雄演じる刑事が登場してからは普通のサスペンス映画のようになってしまったのはちょっと残念だったかな。でも、東映ヤクザ映画で悪役を演じることの多い金子信雄が善良な刑事役を演じるというのは見る前はかなり意外に感じていたのだが、演技を見た印象としてはヤクザ役のときとあんまり変わらなかったので、後半はほとんどこの金子信雄のキャラを楽しみながら見ていた感じだった。
[DVD(邦画)] 6点(2014-11-20 17:03:09)
39.  死闘の伝説 《ネタバレ》 
終戦直前の北海道を舞台に、疎開してきた一家があることをきっかけに現地の住民たちから疎まれたことから起こる双方の対立を描いた木下恵介監督による映画。その対立を激しい暴力描写を伴って描いているのが木下監督の映画としてはかなり異色であり、とくに後半部分の登場人物たちが激しい殺し合いをはじめる展開は一見本当に木下監督の映画なのかと思うほどだが、その暴力描写のみを売りにした娯楽映画などでは決してなく、最初から最後まで重苦しい雰囲気で展開する社会派映画である。戦時中に疎開した者と疎開先の住民との確執は本作で描かれるほど極端でなくても実際にはあったことだと思うし、木下監督もそれに怒りを感じていたのだろう。(現在でも差別による対立はじゅうぶんあり得るし。)そしてそれを描くにはあえてこうするしかなかったのではと思うし、木下監督のいつもとは違った一面を見れたのも新鮮だった。木下監督らしさがまったく出ていないのかというとそうではなく、登場人物たちに戦争批判的なセリフをストレートに語らせるなどメッセージ性もある。ラストはなんとも言えない虚しさがあるが、木下監督はこの事件と戦争を重ね合わせて、人間の愚かさや争いの虚しさというものを描いているように感じられ、確かに異色作ではあるが、木下監督の信念のようなものはちゃんと貫かれていて、作風のブレは感じられない。ただ、主演は岩下志麻で脇に菅原文太が出ていて、とくに岩下志麻はまだ若手の清純派の頃なのだが、先に後年の東映映画を見ているせいかこういう暴力描写の多い映画でこの二人が共演していると木下監督の映画としてはちょっと違和感を感じてしまうのも事実ではある。
[DVD(邦画)] 7点(2014-09-28 00:23:51)
40.  女経
増村保造、市川崑、吉村公三郎の3監督による女性を描いた全3話のオムニバス映画。第一話「耳を噛みたがる女」は増村監督が担当し、増村映画の顔である若尾文子が主演。男たちを騙し続けながら生きていく悪女を描くという増村監督らしい作品で、もちろん若尾文子の演じる主人公も魅力的で、作品も面白いのだが、せっかくこのコンビなら短編でなく一本の長編でこの話を見たかった気がする。その増村監督がデビュー前に「処刑の部屋」と「日本橋」で助監督としてついていた市川監督が担当の第二話「物を高く売りつける女」はとにかく山本富士子が印象的で、前半のミステリアスな雰囲気を持った清楚な部分と後半の本性を現わしたあとのしたたかな悪女ぶりという二面性の演技が見事。話自体も男女の駆け引きが面白く描かれていて、また30数分という短い時間の中でもしっかりと市川監督らしい凝った演出も堪能できて最後まで飽きさせず、3本の中ではこれがいちばん面白かったし好きだ。最後の吉村監督の「恋を忘れていた女」。吉村監督の映画は実はこれで初めて見たのだが、戦前から活躍する大御所だけあって味のあるオーソドックスな大人の恋愛映画に仕上がっている。ただ、悪い作品ではないのだが、ほかの二本を見た後だとそのオーソドックスな作風が少し物足りなさを感じるのも事実だ。しかし、ラストの京マチ子の橋の上での表情がとても印象に残る。全体的な総括をすると3話それぞれに主役で登場する女優が三人とも美しく魅力的に描かれ、この三人の女優を堪能するという意味でも楽しめる映画だと思う。しかし、やはり個人的にはまったく違う三人の監督の作風がよく分かる映画だった。(脚本は3話とも八住利雄。)中でも市川監督と増村監督の「師弟対決」が見られるのは双方が好きな自分にとってはこの映画の大きな見どころのひとつだ。
[DVD(邦画)] 7点(2014-06-19 23:57:43)
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