Menu
 > レビュワー
 > イニシャルK さんの口コミ一覧。3ページ目
イニシャルKさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1491
性別
ブログのURL https://www.jtnews.jp/blog/22718/

表示切替メニュー
レビュー関連 レビュー表示
レビュー表示(投票数)
その他レビュー表示
その他投稿関連 名セリフ・名シーン・小ネタ表示
キャスト・スタッフ名言表示
あらすじ・プロフィール表示
統計関連 製作国別レビュー統計
年代別レビュー統計
好みチェック 好みが近いレビュワー一覧
好みが近いレビュワーより抜粋したお勧め作品一覧
要望関連 作品新規登録 / 変更 要望表示
人物新規登録 / 変更 要望表示
(登録済)作品新規登録表示
(登録済)人物新規登録表示
予約データ 表示
評価順1234567
投稿日付順1234567
変更日付順1234567
>> カレンダー表示
>> 通常表示
41.  次郎長三国志 甲州路殴り込み 《ネタバレ》 
東映版「次郎長三国志」シリーズ最終作となる第4作。今回は前作ラストで捕らわれの身となったお仲さんを救出する部分から東宝版で言えば6作目の終盤となるお牒さん(佐久間良子)の死までを描いていて、東宝版最終作にあった中途半端なもやもや感はない。しかし、大木実が大政役に復帰している一方、今までと役者が交代してしまった人物が前作よりも多くなり、中でも前作で捕らわれたところで終わったお仲さんを演じる女優が交代してしまっているのは登場する冒頭部分から違和感がありすぎて戸惑うし、東映では後年の「仁義なき戦い」シリーズでも役者の交代は頻繁だったのだが、せめて前回と今回のつなぎのエピソードの主軸であるお仲さんは丘さとみで通してほしかった。(丘さとみはこの頃、活動を縮小してたみたいだけど、同時期の「宮本武蔵」シリーズ最終作にはちゃんと朱美役で出ているので、出ようと思えば出れたのではと勘ぐってしまう。)それでもやっぱり東宝版で大感動してしまったお牒さんが死の直前に次郎長一家一人一人に声をかけるシーンは分かっていても泣けてくる。しかしこれも次郎長一家を演じる俳優が一部交代してるせいか東宝版に比べると若干落ちる気がするのは気のせいか。さらに続編があってもおかしくない終わり方をしていて実際東宝版ではまだ続きがあるのだが、お牒さんの死で物語を閉じるのはここらへんがキリも良く、ちょうどいい終わり方なのだと思う。でも、個人的にはやっぱり東宝版のシリーズのほうが好きだな。とはいえこの東映版のシリーズも決して嫌いではない。
[DVD(邦画)] 7点(2016-11-10 23:24:21)
42.  次郎長三国志(1963)
マキノ雅弘監督がかつて東宝で手掛けた「次郎長三国志」を自らの手で東映で再映画化したシリーズの第1作。7年くらい前に東宝版9部作を見たときからいつか東映版もと思っていたのだが、ようやく見ることができた。前シリーズが白黒だったのに対してカラーであり、当然のように次郎長一家役の俳優陣も違うのだが、それでもどこか懐かしさを感じるのは嬉しかったし、「次郎長三国志」といえばマキノ監督というイメージが強いのだが、それを裏切らない明るい作風で気軽に楽しめた。次郎長役は鶴田浩二が演じていて、粋でいなせな雰囲気があり、東宝版の小堀明男の次郎長とはまた違った魅力があり、けっこうハマっていたと思う。(鶴田浩二を時代劇の主役で見るのはかなり久しぶりのような気がする。)またそんな次郎長を慕って次から次に仲間が増えていくのが東宝版同様に序盤である本作の面白いところだ。でも、東宝版に比べてテンポが早く、1時間40分ほどの間に東宝版で言えば2作目の終盤あたりまで話が進んでしまったのはもっとじっくりと見たかった気もするので残念といえば残念。とはいえ、全体的に見ればやっぱりおもしろかったし、東宝版に続いてこの東映版シリーズも全部見てみようという気持ちも強くなった。それともう一つ、デビュー間もない藤純子が初々しくて可愛い。
[DVD(邦画)] 7点(2016-10-22 16:24:10)
43.  シン・ゴジラ 《ネタバレ》 
12年ぶりの和製ゴジラ映画。どうしようかと思ったが、思い切って映画館で見た。(映画館で映画見るのは10年ぶり。)冒頭の東宝マークをバックにしたゴジラの足音と咆哮やタイトルの出方、始まってすぐの海を航行する船。ここまで完璧に一作目をなぞっていて、(この冒頭は思わずニヤリとした。)リメイク的な感じで行くのかと思っていたら、政府が出てきて84「ゴジラ」を意識してるのかとも思えた。でも、メインの登場人物に民間人が一人もおらず、ひたすらゴジラに対し右往左往する政府を極力ドラマを排して描いていたのは潔く今までのゴジラ映画にない展開で新鮮に感じられるし、それがリアリティを持って描かれていたのは良かった。主人公たちが専門用語の多いセリフを早口でしゃべっている(Yahoo!ニュースで見ると3時間分の脚本を2時間におさめるためだとか。)が、それが妙な緊迫感を生んでいる。しかし、岡本喜八監督の「日本のいちばん長い日」を意識しているというこの展開だが、比べてしまうとやはり重みが足らない感じはするのも事実ではある。フルCGで描かれたゴジラの動きがアニメっぽいのは、「エヴァンゲリオン」をやっている庵野秀明監督だからかと思う(加えて樋口真嗣監督もエヴァでアニメーターとして参加している。)ものの、これはこれでいいし、変態を繰り返し、姿を変えていくゴジラというのも庵野監督の案なのだろうけどエヴァをあまり見たことがないせいか、あまり気にせず、こんなゴジラもありかなと新鮮な気持ちで見ることができたし、ゴジラの恐怖感もちゃんと出ていたのが何よりいい。それにゴジラと戦うのはあくまで自衛隊の通常兵器であり、平成ゴジラシリーズに出たような超兵器が登場しないのも良かった。政治ものにしている時点で子供向けではないのだが、出演者に目をやっても一部を除いて普段こういう映画では見ないような人ばかりが出ていて、(この点も84「ゴジラ」と被る。)子供向けではなく、万人向けの大作映画としての怪獣映画をという意気込みが感じられる。とくに頼りなさげな総理大臣を演じる大杉漣と、彼のあとを受けて総理代理となる平泉成演じる農林水産大臣の緊張感のなさが印象に残る。ヒロインであるアメリカ大統領特使を演じる石原さとみがただの尻の軽そうな女にしか見えず、はっきり言ってミスキャストに感じるのに対して、市川実日子演じる人物のクールさが際立っていたのも印象に残る。ゴジラは完全に倒されるのではなく、凍結させられて終わるのは「ゴジラの逆襲」を思いだすが、やはり続編を期待させるような終わり方で、シリーズ次回作があったらまた見ようと思う。いずれにせよかなり満足できる映画になっていて見終わった後、またゴジラを劇場で見れて良かったと思うことができて良かった。伊福部昭の曲がゴジラのテーマ曲だけでなく、ゴジラシリーズのほかの曲も使われているのもよく、とくにエンドロールでも伊福部メドレーをたっぷりと聴かせてくれたのは感激するしかなかった。(また劇場で伊福部昭のゴジラ映画の音楽が聴けたのが嬉しい。)ただ、一つ言わせてもらえれば、ゴジラを倒す鍵を握る教授として喜八監督の写真が使われているが、生前の喜八監督は特撮映画には興味がなかったそうなので、いくら「日本のいちばん長い日」を意識しているとはいえ、見ていてなにか違う気がした。庵野監督がファンなのも分かる(ぼくも好きな監督の一人だ。)のだが、ここはもっと故人の意思を尊重して違う人、例えば平田昭彦や岸田森とかでも良かったんじゃないか。
[映画館(邦画)] 7点(2016-08-16 23:13:26)(良:4票)
44.  昭和残侠伝 唐獅子仁義 《ネタバレ》 
シリーズ第5作。この間見た山下耕作監督の「人斬り唐獅子」と比べるといかにも娯楽作といった感じなのがマキノ雅弘監督らしいところなのだが、話自体はけっこう暗く、同じくマキノ監督が担当した「血染の唐獅子」(このシリーズ、はじめて見た作品。)に比べると快活さが足らないような気がしたし、最後の殴り込みシーンで助太刀に入る待田京介もなんか浮いてしまってる印象だった。それでも面白くないということはけっしてなく、楽しめるし、藤純子がヒロインを演じているのも見ていて安心感がある。今回、志村喬が親分役で出演している。東映任侠映画で志村喬のこういう役柄を見るのは意外な気もするが、新鮮だったし、さすがに重厚な存在感のある演技で映画を引き締めていて、あっけなく殺されるシーンも無情感があって印象に残る。
[DVD(邦画)] 7点(2016-02-11 16:48:33)
45.  シルクハットの大親分 ちょび髭の熊 《ネタバレ》 
熊寅こと熊坂寅吉(若山富三郎)を主人公に据えた「緋牡丹博徒」シリーズ番外編第2作。今回も前作と同じ鈴木則文監督が手がけているだけあって任侠映画定番の展開の中でも喜劇色が強くなっており、熊寅のキャラクターの良さも出ていて面白かった。とくに熊寅が運転している自動車が止まらなくなるシーンはサイレントの手法が取り入れられていて本作の笑いどころとしては特に印象に残る。前作でお竜さんの舎弟を演じていた伊吹吾郎が違う役で登場していて東映の映画ではよくあるパターンだが、前作で演じていた役柄の弟という設定で少しの強引さは感じるものの「悪名」シリーズでもあったパターンなのでとくに違和感は感じなかった。(ひょっとしたらこの設定は若山富三郎が勝新のシリーズである「悪名」を意識した上でのことかもしれない。)前作同様熊寅のピンチにどこからともなく現れるお竜さんは今回も主役の熊寅を食うことなくあくまで引き立て役に徹している(登場シーンはさすがにハデだが。)のが潔く、これもこのシリーズはあくまで熊寅が主人公というのを実感させてくれる。このシリーズは本家のシリーズに比べてあまりヒットしなかったのか、熊寅を主人公にしたシリーズはここで終了。個人的にも前作のほうが好みだが、せめてもう一本くらい熊寅主役の作品を見たかった気はする。
[DVD(邦画)] 7点(2015-05-15 21:24:00)
46.  シルクハットの大親分
「緋牡丹博徒」シリーズのコメディリリーフ的存在である若山富三郎演じる熊寅を主人公にした今でいうスピンオフ作品。「緋牡丹博徒」の登場人物の中でも熊寅というキャラクターは好きなので、こういう外伝的映画の存在は正直嬉しい。緋牡丹シリーズの脚本をずっと手がけ、生みの親でもある鈴木則文監督が演出を手がけている(ちなみに脚本はのちに緋牡丹シリーズ完結編「仁義通します」を手がける高田宏治。)だけあって熊寅の良さはじゅうぶんに出ているし、ハチャメチャな喜劇要素が強く、何より熊寅を演じる若山富三郎も主役で演じているからか脇役の時よりも演技がイキイキとしているように感じる。後半登場するお竜さんも熊寅を食ってしまうのではなく、あくまで脇役として熊寅を引き立てる役回りに描かれているのが逆に良かったし、これによって本来の主役と脇役を入れ替えたような構図になっているのが新鮮。緋牡丹シリーズはすべて見ていて東映のヤクザ映画のシリーズものの中でも好きなシリーズなのだが、そんな自分にとっては本作もやはりじゅうぶんに楽しむことができる映画だった。
[DVD(邦画)] 7点(2015-04-16 23:36:01)
47.  死闘の伝説 《ネタバレ》 
終戦直前の北海道を舞台に、疎開してきた一家があることをきっかけに現地の住民たちから疎まれたことから起こる双方の対立を描いた木下恵介監督による映画。その対立を激しい暴力描写を伴って描いているのが木下監督の映画としてはかなり異色であり、とくに後半部分の登場人物たちが激しい殺し合いをはじめる展開は一見本当に木下監督の映画なのかと思うほどだが、その暴力描写のみを売りにした娯楽映画などでは決してなく、最初から最後まで重苦しい雰囲気で展開する社会派映画である。戦時中に疎開した者と疎開先の住民との確執は本作で描かれるほど極端でなくても実際にはあったことだと思うし、木下監督もそれに怒りを感じていたのだろう。(現在でも差別による対立はじゅうぶんあり得るし。)そしてそれを描くにはあえてこうするしかなかったのではと思うし、木下監督のいつもとは違った一面を見れたのも新鮮だった。木下監督らしさがまったく出ていないのかというとそうではなく、登場人物たちに戦争批判的なセリフをストレートに語らせるなどメッセージ性もある。ラストはなんとも言えない虚しさがあるが、木下監督はこの事件と戦争を重ね合わせて、人間の愚かさや争いの虚しさというものを描いているように感じられ、確かに異色作ではあるが、木下監督の信念のようなものはちゃんと貫かれていて、作風のブレは感じられない。ただ、主演は岩下志麻で脇に菅原文太が出ていて、とくに岩下志麻はまだ若手の清純派の頃なのだが、先に後年の東映映画を見ているせいかこういう暴力描写の多い映画でこの二人が共演していると木下監督の映画としてはちょっと違和感を感じてしまうのも事実ではある。
[DVD(邦画)] 7点(2014-09-28 00:23:51)
48.  女経
増村保造、市川崑、吉村公三郎の3監督による女性を描いた全3話のオムニバス映画。第一話「耳を噛みたがる女」は増村監督が担当し、増村映画の顔である若尾文子が主演。男たちを騙し続けながら生きていく悪女を描くという増村監督らしい作品で、もちろん若尾文子の演じる主人公も魅力的で、作品も面白いのだが、せっかくこのコンビなら短編でなく一本の長編でこの話を見たかった気がする。その増村監督がデビュー前に「処刑の部屋」と「日本橋」で助監督としてついていた市川監督が担当の第二話「物を高く売りつける女」はとにかく山本富士子が印象的で、前半のミステリアスな雰囲気を持った清楚な部分と後半の本性を現わしたあとのしたたかな悪女ぶりという二面性の演技が見事。話自体も男女の駆け引きが面白く描かれていて、また30数分という短い時間の中でもしっかりと市川監督らしい凝った演出も堪能できて最後まで飽きさせず、3本の中ではこれがいちばん面白かったし好きだ。最後の吉村監督の「恋を忘れていた女」。吉村監督の映画は実はこれで初めて見たのだが、戦前から活躍する大御所だけあって味のあるオーソドックスな大人の恋愛映画に仕上がっている。ただ、悪い作品ではないのだが、ほかの二本を見た後だとそのオーソドックスな作風が少し物足りなさを感じるのも事実だ。しかし、ラストの京マチ子の橋の上での表情がとても印象に残る。全体的な総括をすると3話それぞれに主役で登場する女優が三人とも美しく魅力的に描かれ、この三人の女優を堪能するという意味でも楽しめる映画だと思う。しかし、やはり個人的にはまったく違う三人の監督の作風がよく分かる映画だった。(脚本は3話とも八住利雄。)中でも市川監督と増村監督の「師弟対決」が見られるのは双方が好きな自分にとってはこの映画の大きな見どころのひとつだ。
[DVD(邦画)] 7点(2014-06-19 23:57:43)
49.  衝動殺人 息子よ 《ネタバレ》 
木下恵介監督が「香華」以来15年ぶりに松竹に凱旋して手がけた社会派映画。一人息子を通り魔に殺されたことをきっかけに犯罪被害者遺族に対する補償制度の実現に向けて動き出す父親を実話をもとに描いたストーリーで、見る前はちょっと硬すぎないかと思っていたが、いざ見てみるとすごく見ごたえのある骨太な力作映画になっていて最後まで見入ってしまった。今でこそ被害者遺族に対する補償制度は存在するのだが、この映画が製作された当時は無かったわけだから、木下監督はそこに疑問を持って本作を手がけたことが分かるし、実際に本作公開の二年後に補償制度が運用開始しているのは本作の影響もあるのではないかと思える。誰でもよかったという理不尽な殺人事件で家族を奪われた登場人物たちの悲しみがリアルにこちらに伝わってくるような心理描写はいかにも木下監督らしいし、きっと実際にこういう事件で家族や友人を亡くした人たちも同じ思いなのだろうと思わずにはいられなくなる。しかし、ドラマとしてはやや物足りない部分もあり、とくに主人公が自分と同じような境遇の人たちに会うために全国を渡り歩く部分が思ったよりもあっさりしていて、ここをもう少しじっくりと描いていればもっとストーリーに厚みが出たはずでそこが残念。本作で映画賞を総なめしたという主演の若山富三郎は東映ヤクザ映画での印象が強くなりかけていたが、本作ではそれをあまり感じさせることはなく、評判どおりの素晴らしい演技を見せていて間違いなく本作は「悪魔の手毬唄」と並ぶ若山富三郎の演技派としての代表作だと思う。そしてもう一人、そんな若山富三郎演じる夫を支える妻役の高峰秀子はこの頃はもう女優業は散発的になっていて、本作が最後の出演作とのことだが、衰えというものをまったく感じさせておらず、その存在感と演技はやはり別格だ。全国各地にいる被害者遺族を演じる出演者も豪華なのだが、大阪のシーンで登場する夫を殺された中年の女性を中村玉緒が演じているのは、同じシーンに若山富三郎がいるだけに「殺された夫=勝新」というリアルな想像をついしてしまい、この中村玉緒の登場シーンだけなんだか妙な気分になってしまった。
[DVD(邦画)] 7点(2014-04-10 18:25:42)
50.  新・刑事コロンボ/マリブビーチ殺人事件<TVM> 《ネタバレ》 
今回は中盤近くになって犯人があっさりと自供を始めてしまい、おかしいなと思っていると、実は被害者は犯人が射殺する前に既に撃たれて死んでいたのではという捻った脚本になっていて、犯行シーンは一応描かれているものの、真犯人が誰か分からず二転三転するという展開が面白く、このシリーズとしては久々に見ごたえのある作品で、ほんとうに珍しい展開だが、それ以外の部分はオーソドックスなつくりになっていて、奇をてらったような演出もなく見ていて安心感があるのもよかった。(これまで見た新シリーズの作品では、犯人がコロンボを誘惑したり、奥さんの葬儀のシーンから始まったりと少し奇をてらった演出の作品も多かったように思う。)最後の解決シーンも実に鮮やかで見事だった。一般的に70年代のシリーズに傑作が多く、新シリーズでは凡作や駄作が多いとされているシリーズ(全部見たわけではないのだが。)だが、そんな新シリーズでも脚本さえよければ面白いものを作ることができるという証明のような作品だと思う。
[CS・衛星(吹替)] 7点(2013-06-09 14:53:20)(良:1票)
51.  新・悪名 《ネタバレ》 
「悪名」シリーズ第3作。前作のラストで戦争に行ってしまった朝吉(勝新太郎)が復員して八尾に帰ってくるところから始まっている。前作のラストでは戦死を予感させる終わり方だっただけに多少強引さも感じるが、1作目や2作目とは別物と割り切れば許せてしまう。田宮二郎も役柄を変えて再登場するが、双子の弟という設定なので不自然さがないのがいい。茶川一郎演じるオカマの登場など前2作と比べてコミカルなシーンが増えていて娯楽性が強くなっているのもこれはこれで良かった。勝新といえば座頭市のイメージが強すぎてなかなかこの「悪名」シリーズの本作以降の作品を見る気が起きずにいた(マキノ雅弘監督による「悪名一番勝負」だけは見ているが。)が、朝吉には座頭市とはまた違う魅力があるし、英語交じりの言葉を話す清次を演じる田宮二郎もほかの出演作では見せないようなコミカルな一面を見せていて新鮮だった。話としても勧善懲悪もので安心して見ていられる水準作といったところ。前作で結ばれた朝吉とお絹(中村玉緒)が別れてしまう展開は少しさびしいが、演じた二人は当時新婚ホヤホヤだったころで、それを考えるとよくこの脚本で二人とも出演OKしたなと思えてくるのだが、実生活では新婚夫婦の二人が映画の役柄上では別れる展開というのも本作の見どころのひとつなのかもしれない。タイトルは「新・悪名」だが、前作の続きでありながらタイトルどおり新しい展開を見せているところも面白かった。
[DVD(邦画)] 7点(2013-05-03 12:41:15)
52.  十三人の刺客(2010) 《ネタバレ》 
東映集団抗争時代劇のハシリとなった工藤栄一監督の「十三人の刺客」の三池崇史監督によるリメイク版。先週再見したオリジナルと比べると格段に娯楽性が増していて、グロい描写も加わっているが、うまく現代風にアレンジされていて面白く、成功作と呼べるものになっている。オリジナルであまり存在意義のなかった十三人目の刺客の設定を山男に変え、山で道に迷った島田(役所広司)たちを案内するかたちで登場させ、その後に仲間に加わるという展開にしたことで存在意義を持たせたり、暗殺の標的にされる松平(稲垣吾郎)の残虐性を強調する演出(生首を蹴り上げるなど。)を施すなど、オリジナルと違う部分も効果をあげている。ただ、オリジナルにはあった重厚さがなく、とくにクライマックスの乱闘シーンが派手になった分だけやたら軽々しく見えたのは残念だった。(オリジナルが30分に対して50分というのもいくらなんでも長すぎる。)オリジナルでは島田は半兵衛にわざと斬られることで己と半兵衛の武士道を通しているが、本作では普通に決闘をして倒しているのも少し違和感を感じた。その後の松平との対決で稲垣の見せ場を作りたかったのかもしれないが、ここはオリジナルのほうが良かった。オリジナルで工藤監督の演出意図を理解しながらも戸惑った平山九十郎が無様な死に様を見せるシーンはなかったが、そのかわりに本作では首を刺された山男が最後に何事もなかったかのように登場するというシーンがあり、ここは三池監督の演出意図がよく理解できず、幽霊とか深読みはしてみたものの、はっきり言ってこのシーンはいらないとしか思えない。出演者としてはやはり松平役の稲垣。菅貫太郎がハマリ役だったので心配だったが、なかなか印象に残る演技を見せていて、とても良かった。(稲垣は「踊る大捜査線」でも犯人役を演じているが、ジャニーズ事務所の看板タレントがこういった非道な悪役を演じるのは珍しいのではないかと思う。)オリジナルに出演していそうで出演していなかった松方弘樹の殺陣もよく、流石は近衛十四郎の息子である。オリジナルで気になった部分が直された一方で、新たに気になる部分や不満な部分も出てきたリメイクで、いろいろと書いたが、純粋な娯楽時代劇としてはじゅうぶんに楽しめたので少し甘めかもしれないが7点。でもどちらかといえばやっぱりオリジナルのほうが好きだな。こっちの方が見ていて爽快だけど。
[DVD(邦画)] 7点(2013-01-03 16:44:23)(良:2票)
53.  新・座頭市物語 《ネタバレ》 
「座頭市」シリーズ3作目で初のカラー作品。初期作品とあってかまだそんなに派手な殺陣シーンはないが、その分、市の内面の描写がしっかりとしている。市がヒロインに求婚されて本気で堅気になろうと決意する展開はどこか「男はつらいよ」シリーズの寅さんのようではあるが、このシリーズではちょっと珍しいし、市を兄の敵と狙う男がそれを知ってわざと賭博で負けるのもべたではあるが、ちょっとウルッとくるものがある。剣の師匠(河津清三郎)を倒した市がその妹であるヒロインに「やっぱりこんな男です。」と言い残して去っていくラストシーンも切なかった。ただ、この剣の師匠の人物描写が浅く、ラストの対決もここがもっとしっかりとしていればもっと違う印象になっていたと思うし、ドラマとしても深みがあるものになっていたのではないかと思うと少々残念な気がする。とはいえ、久しぶりに見る座頭市(そういえば大映の時代劇もかなり久しぶりに見た気がする。)で、全体的にはなかなか楽しめた。
[DVD(邦画)] 7点(2011-09-02 01:40:58)
54.  仁義なき戦い 完結篇 《ネタバレ》 
前作「頂上作戦」で一応の完結を見たかに見えたこのシリーズだが、四部作では中途半端と考えたのか(実際はヒットシリーズを手放すのが惜しかったのだろう。)急遽企画され製作された五作目にして広能昌三を主人公としたシリーズの完結篇。笠原和夫が脚本から降板してしまい、高田宏治が脚本を担当している。これまでのシリーズと比べてややこじんまりとしていて盛り上がりにも欠けるし、前作のラストから強引に続けてしまった感もやはりある。それに今回は広能(菅原文太)をはじめ、武田(小林旭)も山守(金子信雄)もあまり登場しないのだが、それでもなかなか面白かった。しかし、このシリーズ(に限ったことではないが)では役者の使い回しが目立つが、今回話を引っ張る若いヤクザを演じるのが北大路欣也というのは「広島死闘篇」の山中役が印象的だっただけに止めてほしかったかも。大友役も宍戸錠に代わっているが、千葉真一のようなインパクトはないものの、それほど違和感はない。(小林旭と宍戸錠の共演を見ていると日活映画を連想してしまい、裕次郎がどこからか出てくるのではと思ってしまったり。)一作目の青大将のようなキャラからみるみる出世していった槙原(田中邦衛)が殺されるのはキャラに愛着がわいていたのでやや寂しさを感じる。ラストの広能が引退を決意するシーンもこれで本当に終わりなんだと思うと感慨深いものがある。(エンドマークが「仁義なき戦い 完」というのも哀愁を感じさせていていい。)余談だが映画館の入り口で桜木健一演じるヤクザが殺されるシーンで出てくる藤純子のポスターを見て「緋牡丹博徒」シリーズが見てみたくなった。
[DVD(邦画)] 7点(2011-03-30 19:05:30)(良:2票)
55.  仁義なき戦い
深作欣二監督の代名詞的な映画で昔から見たいと思っていた映画だが、東映のヤクザ映画を見るのに抵抗があり、一部のシーンはテレビの日本映画特集番組などで見ていたものの、全編見るのにはなかなか手が出なかったが、ようやく見た。冒頭のキノコ雲の写真をバックに流れる有名な音楽(実際に映画を見ていなくてもこれまで幾度となく耳にしている。)から興奮させられるし、映画が始まっても深作監督らしいテンポのいいエネルギッシュな演出で引き込まれる。しかし、登場人物の人間関係をこちらが把握する前に殺し合いが始まってしまうのでゴチャゴチャした印象があるのも事実。でも、深作監督のダイナミックな躍動感あふれる演出は見ていて飽きないし、なにより実話ベースで当時まだ問題となっていた事案を題材にし、尚且つ実在するヤクザをモデルにしているだけでも企画の日下部五朗や、深作監督、脚本の笠原和夫といったスタッフの尋常でない挑戦心を感じられる。俳優陣も濃く、ヤクザ映画、そして、深作作品でも初めて見る菅原文太が渋く、存在感を発揮しているのをはじめ、出てくる男たちがみんな熱く、これぞ男の映画という感じ。山守役の金子信雄がはまり役と言われているが、自分が生き残るためなら何でもするような男を見事に演じており、本当にはまり役だ。(個人的には金子信雄と言えば小学生の頃に風邪引いて学校を休んだ日にたまに見ていた朝日放送の料理番組の司会というイメージが未だにある人なのだが。おいおい。)ラストの葬儀場で広能が拳銃をぶっ放すシーンはなにか見ていて爽快感を覚える。ガラが悪いのでちょっとまだ抵抗はあるかもしれないが、続編も見てみようという気にさせられるような面白さはあった。
[DVD(邦画)] 7点(2011-02-10 13:43:30)
56.  修羅雪姫(1973) 《ネタバレ》 
主演の梶芽衣子の存在感が圧倒的で、美しく、激しく、強く、そして悲しみを秘めたヒロインをクールに演じていて、文句なしにカッコイイ。(眼力鋭いところはなんか柴咲コウみたい。)今ならR15指定は免れないだろうと思われるほど血の多い映画で、おそらく万人には受けないであろう映画だと思うのだが、それでも、映像は美しく、冒頭、梶芽衣子演じる鹿島雪が雪の中で大立ち回りを繰り広げ、倒した相手の血で赤く染まっていく白い雪や、返り血で赤く染まった白い着物など、白と赤のコントラストが絶妙で思わず美しいと唸ってしまう。冒頭の牢屋のシーンで白から赤に変わる外に降っている雪なども美しく、とにかく赤と白が最初から最後まで強烈に印象に残る。主題歌である「修羅の花」もよく、冒頭で流れてきたときにあまりの歌詞のインパクトにおどろいたのだが、これが血まみれの鹿島雪が白い雪の上に倒れるラストシーンでかかるともうやられたという感じで、このラストシーンのためにこの主題歌があるようなそんな気持ちにさせられるほど、映像によく合っていて、またシーン自体も非常に美しく、主題歌の歌詞と映像の美しさが見事に調和した名シーンだと思う。
[DVD(邦画)] 7点(2010-08-31 14:18:55)(良:1票)
57.  不知火檢校
それまで二枚目風の役柄を演じていた勝新が、初めてダーティーな汚れ役を演じ、のちの自身の代表作である「座頭市」シリーズにもつながることになる時代劇。ここで勝新は座頭市と同じく、盲目の按摩を演じているのだが、この主人公・杉の市の悪人ぶりが凄まじく、同じような風貌でありながら座頭市とはキャラクターからうける印象が全く違う。しかしこんなひどい悪人なのにこうも魅力を感じるのはやはり演じる勝新の存在感、この俳優の独特なオーラと杉の市のキャラクター性が見事に合致しているためだろう。勝新はやっぱりこういう役柄の方が二枚目風のキャラクターより断然あっているし、この映画を見るとこの杉の市のキャラクターが座頭市の原型になったというのもよく分かる話で、この杉の市も座頭市同様に勝新でなければ表現できないような凄さを感じずにはいられない。この映画での共演がきっかけで勝新と結婚することになる中村玉緒はこの頃のほかの出演作同様にとても可愛らしい。勝新との共演は「悪名」、「続悪名」などで見ているが、この映画が初の本格的な共演なのかな。そういえばこの二人の共演って座頭市シリーズでは一本もないような気がするのだが、原型となるこの映画で共演してたのか。でも一度でいいからこの二人の共演を座頭市シリーズの一篇で見たかったなあ。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2009-12-22 14:06:30)
58.  死に花
老いというテーマが背景にあるため、シリアスな部分も当然あるんだけど、基本的には軽いコメディーで、前半あたりに少し退屈な部分があるものの、なかなか楽しめた。時代が時代なら東宝でクレージーキャッツ主演でやっていそうな印象も残り、穴を掘るメンバーに谷啓や青島幸男を起用していたり、メンバーが最終的に7人構成になるあたりはクレージーキャッツの映画を意識していると強く感じられ、クレージーキャッツの映画が好きな身(とはいえ最近は機会に恵まれず見れてないのだけど。)としてはなんかうれしい。しかし、(比べるのもどうかと思うが。)シリアスな部分があるからか、クレージーキャッツの映画ほどの爽快感はなく、最後のシーンあたりはなんか湿っぽく感じてしまったのも事実で、本当に60年代にクレージーキャッツ主演で古澤憲吾監督あたりが手がけていれば、爽快なままラストを迎えたのではないかとつい思ってしまった。とはいえ、山崎努をはじめとする主役の老人たちを演じている俳優たちはみな好演しており、安心して見ていられる。(長門勇が岡山を連想させていて笑える。)それからこの映画はちょうど一週間前に亡くなった森繁久弥の遺作である。出番は少なくセリフも一言だけなんだけど、さすがに登場シーンでは風格が漂い、出てくるだけで圧倒的な存在感を放っていて、まさに名優であると思う。また「社長シリーズ」などの喜劇映画で活躍したこの名優の遺作が喜劇映画なのは偶然ではないような気がする。白寿の老人役なのだが本当にこの映画の役柄のように白寿や百歳まで生きていてほしかったし、あらためて残念に思う。森繁久弥だけじゃなく青島幸男と藤岡琢也にとってもこれが遺作なんだなあと思うとなんだか切ないなあ。
[DVD(邦画)] 7点(2009-11-17 20:32:29)(良:1票)
59.  死刑台のエレベーター(1958) 《ネタバレ》 
冒頭の有名な「ジュテーム、ジュテーム(愛してる、愛してる。)」の電話口のジャンヌ・モローのせりふからもうかなり印象的で、シンプルなサスペンスながら、白黒の映像が緊迫感を出しているし、ルイ・マル監督の演出はこれがデビュー作とは思えないほどにスタイリッシュで、見ていて思わず惹きこまれた。映画全体の雰囲気がかなりよく、ストーリーそのものよりはこの雰囲気で魅せられてしまう映画だと思う。マイルス・デイビスのジャズも非常に効果的で、この音楽がなければ映画の魅力が半減してしまうのではないかと思うくらいにこの映画の雰囲気に合っていて、特にジャンヌ・モローが夜の街を歩くシーンは彼女の美しさと音楽が見事に調和していて、とても印象に残るし、またこのシーンだけで彼女の心理描写がうまく表現されているのもよかった。実はこの映画を見るのは初めてではなく2回目だったのだが、最初に見た時はまだ中学生(15年くらい前。)でハリウッド映画を中心に映画を見ていたため退屈だった記憶があるのだが、久しぶりに見てみると、このなんともいえない雰囲気に魅了されてしまい、とても良い映画だと思った。やはり映画の感想というのは時を経て変わるものなんだなあと実感できた。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2009-11-08 15:39:44)
60.  忍びの者
雷蔵主演の忍者映画。社会派で知られる山本薩夫監督の作品ということでちょっとかたいかなと見る前に思っていたが、確かに単純な娯楽映画という感じは受けないものの、それでもなかなか面白かった。雷蔵の忍者役というのは初めて見たが相変わらずクールでかっこよく、それでいて演技もうまい。しかし、この映画ではそんな雷蔵よりも、やはり二つの顔を持つ忍者集団の頭領を演じる伊藤雄之助の存在感あふれる怪演ぶりがもっとも印象的で、中でも普通の老人という感じから突然ものすごい動きをはじめるあたりはインパクトが大きく、また不気味で怖い。まさしくこの役は伊藤雄之助ならではだと思う。そしてその部下を演じる加藤嘉もなにか不気味な演技を見せていてこちらも印象的。ただ、信長を演じる若山富三郎は体格が良すぎで、以前に見た「尻啖え孫市」で弟・勝新が演じた信長と同じくちょっと違和感を感じるのだが。続編もあるようなのでそちらも見てみよう。
[DVD(邦画)] 7点(2009-07-30 12:39:00)
000.00%
190.60%
230.20%
3463.09%
4493.29%
531921.40%
634423.07%
734723.27%
828018.78%
9563.76%
10382.55%

全部

■ ヘルプ
© 1997 JTNEWS