21. ソウ
《ネタバレ》 とにかく、痛々しすぎる密室における緊張感は一見の価値はある(と言うか痛々し過ぎて2度、3度と見ようとは思わない)。全編に張り巡らされた伏線と、“密室”という設定を存分に生かしたアイデアも見事だったと思う。 終盤、クライマックスにおいて、それまでの雰囲気を無視してやけにバタバタとし始めて、正直「なんだよこの終わり方は~(lll ̄■ ̄;llllllΣ)」と思いかけたところで、真の結末を見せる顛末には、まんまと衝撃を受けた。ああいう終わり方は、この種類の映画にふさわしく、この「SAW」という映画の結末に合致していると思う。すなわち、“SAW”とは、重要な小道具であるノコギリを示すと同時に、「見ていた」という要素をあらわすものなのではないか。 ただしかし、犯人の正体を筆頭に色々と腑に落ちない点も多い。冷静に考えると強引すぎるようにも思う。それが描かれなかった「謎」なのかは疑問だが、良い意味でも、悪い意味でも、全然眼中になかった続編「SAW2」に対する好奇心は膨らんだことは確かだ。 [DVD(字幕)] 8点(2005-10-29 21:40:58)(良:2票) |
22. 空の大怪獣ラドン
本当に、当時の東宝映画のミニチュア技術には頭が下がる。 今作で特筆すべきは、やはり、ラドンの衝撃波によって吹き飛ばされ、舞い上がる建物を表現した“巧さ”であろう。 ただ建物が爆発したり崩壊する映像は多々あるが、瓦の一枚一枚までが文字通り“吹き飛んで”いく様はなかなか見たことがなく、見事の一言に尽きる。 その反面、ラドンの操作ワイヤーが思いっきり見えたりするが、そのへんはご愛嬌というところだろう。 とにもかくにも、改めて、当時の特撮技術の偉大さが伺える。現在の日本映画の特撮に足りないものは何なのか?それはハリウッド等に対して明らかに劣る製作費などではない。技術力の低迷ということでもない。つまるところ欠けているのは、“工夫する”ということだろう。与えられた条件で、どこまで妥協を許さずに表現するか。必要なのは、“工夫”であり“想像力”だ。 そしてそれは、特撮映画に限らず、すべてのジャンルの映画に共通することだ。 そのことを、古き偉大な東宝映画は、今なお力強く示し続けている。 [DVD(字幕)] 7点(2005-07-14 11:24:59)(良:2票) |
23. 続・座頭市物語
《ネタバレ》 前作「座頭市物語」を引き継ぐ見事な続編であった。勝新太郎の実兄・城健三朗(若山富三郎)との真の兄弟対決、前作では生き残る飯岡の親分をラストのラストでたたっ切るなど、娯楽性と爽快感が増した続編だったと思う。今作の後の何十作にもなるシリーズ化の確固たる自信と方向性を位置づけた価値の高い作品であると思う。 [DVD(邦画)] 8点(2004-05-22 12:51:43) |
24. 卒業旅行 ニホンから来ました
織田裕二という俳優、お世辞にも演技力が高いとは言えないが、今作で見られるような映画のキャラクターとのマッチングが彼をスター俳優まで押し上げた要因なのかもしれない。「踊る大捜査線」でもその特長は顕著だったと思う。明らかに「実力派」ではないが、主役を張る俳優にはこういう能力も必要だ。 [地上波(邦画)] 5点(2004-03-22 18:19:09) |
25. ソードフィッシュ
冒頭の大げさ過ぎるほどの銃撃シーンには圧巻されるが、その後の展開には触れ込みほどの衝撃を受けることはなかった。トラボルタのアクの強いキャラクターや大まかな展開自体は悪くなかったと思うが、肝心のクライマックスで衝撃性がなかった。それがこの映画のテンションを一気に下げてしまったと思う。中盤中だるみするところも頂けない。 [映画館(字幕)] 5点(2003-12-21 13:44:50) |
26. 続・猿の惑星
《ネタバレ》 映画に対する満足度は、ラストシーンのラストカットの余韻や衝撃が大いに影響するものだと思っている。 本編の大部分が多少つまらなくても、ラストカットが印象的であれば、その映画はちょっと忘れられなくなる。 歴史的大傑作のSF映画の続編として果敢に、いや無謀に、いや強引に挑んだ「続・猿の惑星」は詰まる所そういう映画だ。 久しぶりに鑑賞してみて、自分の記憶のイメージ以上に映し出されるシーンの大半はチープで面白味は薄いと感じた。 ただ、面白かろうか面白なかろうが、「猿の惑星」の“あの”衝撃的なラストシーンの続きが観たくなるのも映画ファンの心情であろうし、大ヒットを受けた製作会社が是が非でも続編の製作に乗り出したことは必然だと思う。 チープではあるが、この続編の価値は極めて高いと思う。 この映画が、人類はどうして滅んだのか、猿たちはどうして栄えたのかという根本的な疑問の解消に向かうための後のシリーズの礎になったことは間違いない。 そして、人類の愚かさを描き、更に猿たちも含めた生物そのものの愚かさにまで踏み込んだ切り口は、ある意味一作目とは別の観点から衝撃的で、恐ろしい。 そしてそして、極めつけはラストシーンである。 支配欲を強める猿たちと生き残った人間たちの殺し合いの果てに、惑星そのものを一瞬で爆発させてしまうというラストカット。 それも大爆発のシーンを描くわけではなく、最終爆弾のスイッチが押されると同時に静かに白い光に埋め尽くされ、あとは極めて淡々としたナレーションで締められる。無音のごく短いエンドロールも困惑に似た衝撃に拍車をかける。 オリジナルが凄すぎるので、蛇足で作られたこのカルト的続編には殊更に酷評が尽きないが、個人的にはあのラストシーンだけでも好評は揺るがない。 [ブルーレイ(字幕)] 8点(2003-12-20 13:38:02) |
27. ソナチネ(1993)
北野映画におけるヤクザ描写は今作において確立されたと思う。独特の凶暴性と哀愁、ユーモアを含んだヤクザの面々はある意味、北野武監督の最大の売りであることは間違いない。特に今作における大杉漣のキャラクターはそれを代表するものであり、狂気と哀愁に溢れている。映画監督北野武の名を知らしめた紛れもなく傑作。 8点(2003-12-05 23:06:04) |
28. ソラリス
ひたすらに長く難解だったオリジナル版「惑星ソラリス」と比べると、ソダバーグの小刻みなカット割による展開は、明らかに簡潔で観やすくその世界観に移入しやすかった。主人公と亡き妻とのラブストーリーに絞った展開も良かったと思うが、それならばもっと妻役の女優にビジュアルの愛らしい人を配役してほしかった。超筋肉質で怖すぎるほど眼光の鋭いナターシャ・マケルホーンではやや主人公の妻に対する想いに共感できなかった。ただ宇宙船内のセットは素晴らしく、そのビジュアルの美しさには引き込まれた。冒頭のあまりの展開の速さに製作費が思ったより集まらなかった背景が伺えるが、伝説的名作として評判の高い作品を巧くリメイクしていると思う。もっと莫大な製作費が用意されていたなら、スノー役はブラッド・ピットあたりがやっていただろう。 [映画館(字幕)] 5点(2003-12-05 22:50:05) |
29. 双生児
徹底的なまでに異質な世界観が見事で引き込まれた。これに限定するわけでなくこういう個性こそ日本が重要視するべきことであり、育てるべきものだと思う。本木雅弘の演技も良かったが、何と言ってもりょうの女優としての存在感が物凄かった。 9点(2003-11-30 13:26:49) |