21. 早春(1956)
《ネタバレ》 小津監督、またしても味わい深くて、それでいて、どこか懐かしいような風景を描く。私は益々、小津さんの映画にはまる一方です。この作品にしても一度、観ただけで絶対に忘れらないようなショットを幾つも見せてくれている。例えば、みんなで「蛍の光」を歌う場面!その後の橋、川、ボート、池部良と笠智衆、この二人が座っている所なんて良い場面だと思う。また最後の方で転勤先の田舎の風景に映し出される田舎ならではの街並、仕事を終えて、ただいま~と帰ってくるとそこには奥さん(淡島千景)の服にカバンなど荷物がある。そして、極めつけは「こんにちは!」と入る淡島千景の声、部屋から外を眺めると、走り去る機関車!そこで一言、これまた何とも味わい台詞を吐く池部良!なんて粋な演出とでも言うのか?台詞を言わせる。こんなちょっとしたことでも小津監督という監督は今の監督にはない良さというものが見ることが出来て嬉しい!まだ観ていない小津監督の作品が何本もある筈だ!残りの作品も全て観たいと思う。 [ビデオ(邦画)] 8点(2006-03-28 21:15:18) |
22. 続・拝啓天皇陛下様
前作「拝啓、天皇陛下様」に続いて野村芳太郎監督、主演に渥美清の続編!前作の出来に比べると明らかに落ちる出来でした。相変わらず渥美清の上手さは観ていて楽しめるものの、いまひとつ物足りない。前作との比較からするとどうしても点数は低くなってしまいます。それでもそれなりに楽しめるので甘めに見て6点です。この内容からして、主演が渥美清以外なら良くて4点ぐらいです。 [ビデオ(字幕)] 6点(2005-12-18 12:16:37) |
23. 続・座頭市物語
《ネタバレ》 勝新版「座頭市」の続編、第二作目にあたるこの作品の一番の見所はやはり本当の兄弟でもある2人、勝新太郎と若山富三郎の決闘シーンであると思います。いずれも風格があって、今の時代劇俳優や時代劇なんて、本当にアホくさく思えてしまいます。そんな2人の役者としての魅力が画面全体、伝わってきます。モノクロてのもこれまた良いですね。ただ、素晴らしい出来の1作目と比べると明らかに劣る出来なので7点です。 [DVD(字幕)] 7点(2005-11-06 18:34:43) |
24. 捜索者
全編に漂う西部劇ならでは壮大で且つ美しい風景に眼を奪われること間違いないこの作品もいかにもジョン・フォード監督ならではの西部劇といった感じで楽しめます。ジョン・フォード監督の映画に共通して言えるのは人間の描き方が西部劇にしてもそうでないものにしてもどれもが本当に人間的で好感が持てます。この作品にしてもそんなジョン・フォード監督らしい映画だと思います。ドラマとしてだけでなく勿論、アクションにしても本物の力強さが伝わってきます。今の映画にはない映画としての力を十分見ることが出来ました。 [DVD(字幕)] 8点(2005-09-24 17:29:09) |
25. 続・男はつらいよ
《ネタバレ》 上手いなあ!山田洋次監督の演出、脚本、そして渥美清さんに森川信さん、更に寅さんの恩師、坪内先生演じる東野英治郎さんに寅さんの産みの母親役のミヤコ喋々さん、他とにかく全員上手い!産みの母に会いに行って散々、酷いこと言われて帰ってきた寅さん、そんな寅さんが泣きじゃくる姿を見て「泣け。思い切り泣け!わしも一緒に泣いてやる。」と寅さんと一緒に泣いてくれる坪内先生が大好きだ。とにかく渥美清、森川信、東野英治郎にミヤコ蝶々がこの作品を素晴らしいものにしている。そんな上手い役者達を見事な構図で捉えたカメラマンも素晴らしい!マドンナ役の佐藤オリエさん、べっぴんさんやなあ!寅さんが惚れるのも解るよ!それにても設定が本当に上手いです。江戸川でまさかうなぎ釣るなんて、それとやっぱりラストシーン、寅さんと母親の2人のシーン、それを遠くから見つめるマドンナとその亭主、何とも良い光景だ!こんな素晴らしいシナリオ、ショットを1作目の公開から僅か半年余りで撮った山田洋次監督を始めとする関係者全員に拍手!やっぱり初期の頃の寅さんは傑作揃いで本当に良いです。 正月には毎年、寅さんで1年をスタートするのが私の日課です。この作品を観ると鰻が食べたくなってどうしようもない気持ちになる。それもそこらの鰻ではない。江戸川の鰻が食べたくなる。 [DVD(邦画)] 9点(2005-07-01 22:34:29)(良:2票) |