61. 大統領の理髪師
有史以来、いくつもの時代、いくつもの国において、“圧政”というものが繰り広げられ、その元で無数の庶民たちが健気に一生懸命生きてきたと思う。この映画は、隣の国におけるその一片を、一人の平凡な男の目線に立ち喜劇と悲劇を織り交ぜて描く。 もはや「相変わらず」と言うべきか、主演のソン・ガンホが素晴らしい。学はないが純朴で子煩悩な普通の理髪師を、実に巧みに愛嬌たっぷりに演じている。 きっと、この映画で描かれている韓国近代史は、韓国国民にとって物凄く辛い時代だったに違いない。他国の者では想像もつかないくらいに、この映画から受け取る感情は深いものだと思う。 [DVD(字幕)] 7点(2005-11-19 02:26:09) |
62. ターミナル
中盤過ぎまでの展開は非常に素晴らしく、「スピルバーグがまたやってくれた。さてさてどう褒めちぎろう」と大いに期待したのだけれど、終盤の落ち込みに呆然となる。興味深い“予感”を漂わせる主人公のキャラクターと設定に用意された“オチ”が、あまりにチープすぎる。安直で軽薄ささえ漂うラストの顛末に、映画のすべてが希薄に映ってしまう。トム・ハンクスをはじめとする役者の演技、空港という空間を作り上げた美術とセット、同じ空間を飽きさせずに見せるカメラワークと、映画を形作るほとんどの要素は秀逸そのものであった。ただひとつ、脚本の詰めの悪さで、すべては転覆してしまうという良い見本だと思う。 [DVD(字幕)] 5点(2005-10-05 15:09:52) |
63. タッチ CROSS ROAD 風のゆくえ<TVM>
オリジナル自体もそれほど好んで見た方ではないのだが、この続編スペシャルは作る必要も価値も無かったと思う。個人的には愛着はないので「つまらない」で済んだが、原作を愛している人らにとってはその拒否感は強かっただろう。 [地上波(字幕)] 1点(2005-05-29 10:38:59) |
64. 太陽がいっぱい
周知の評価の通り、ラストが素晴らしい。主人公リプレーが一瞬の満足感の末得たものは何だったのか?思惑と異なりすべてが転覆してしまったことを知らないラストの笑顔が何とも愚かしく切ない。しかし、彼は決して何も失ってはいない。なぜなら彼には元々何も無かったからだ。そう思うと、「太陽がいっぱいだ」とつぶやいたあの一瞬こそ彼があらゆる罪を犯してでも得たかったものであり、その瞬間で彼の本望は遂げられたのかもしれない。 何と言ってもアラン・ドロンの美貌とその裏に垣間見せる屈折した感情を抱えた存在感がスゴイ。こういう俳優のことをスターと呼ぶのだとしみじみ思った。今の常識からするとサスペンスとしてのストーリーは安易であるが、偽り、交錯する人間の感情が実にサスペンスフルだ。名作の名にふさわしい傑作。 9点(2004-10-03 13:05:09)(良:1票) |
65. ターミネーター3
ジェームズ・キャメロンが監督をしないと分かった時点で期待はしていなかったが、正直、名作「ターミネーター」「ターミネーター2」の続編としては最悪の作品に終始してしまった。キャメロンの世界観であったロボットによる終末戦争を予感させるメタリックな空気感が皆無だったことは、監督が変わってしまったことで仕方ないにしても、結局終末戦争は回避できないという顛末では前作までの意味がなくなり、その価値を下げてしまうものだ。ストーリーの理屈は分かるが、今シリーズとして決して導いてはいけない結末だったと思う。エドワード・ファーロングが成長した姿がニック・スタールなる無名俳優なのもやはりビジュアル的に納得できない。「T2」と比べると老けたことは確かだが、歳を感じさせないシュワルツェネッガーの存在感に+1点。 1点(2004-02-04 19:48:53) |
66. たそがれ清兵衛
「ラストサムライ」を観ても実感したが、真田広之は殺陣が非常に巧い。俳優としての長年の経験と修練によるものだろうが、侍を演じた彼の立ち振る舞いにはほれぼれするほどの説得力と力強さがある。脇を固める俳優陣の演技も良かったが、今作の成功は、真田広之を主演に据えたことが何よりも大きかったと思う。。 7点(2004-01-30 16:08:51) |
67. 007/ワールド・イズ・ノット・イナフ
まだ3作ほどしか観ていないが、個人的に007シリーズにはヒットがない。今作においては、中途半端なアクションと歯切れの悪い展開によって、あまり娯楽性すら感じることができなかった。観ていないので分からないけど、過去のシリーズの方がやはり面白いのだろうか。 2点(2004-01-30 14:45:34) |
68. タイムマシン(2002)
予想を遥かに超えるVFXのクオリティの高さは見事で満足度も高かったが、ストーリー的に最後の最後で躓いてしまった。大筋の展開としては空想と説得力に富んだものだったのに、ラストの顛末で一気に興ざめしてしまう。その手前で終わっていれば、時間の概念を真摯に捉えた秀作に仕上がっていただけに、あまりに安易で幼稚な締めは惜しいの一言に尽きる。 6点(2004-01-17 04:42:19) |
69. 大脱走
名作娯楽映画として誉れ高い今作であるが、私はそれほどのエンターテイメント性を感じることができなかった。まず基本的な設定が分かりにくい、捕虜たちが置かれている状況や登場人物同士の人間関係の描き方が不十分だった。あれだけ多くのキャラクターが出ているのだから、それぞれの関係をもっと丁寧に描き出さなければならないと思う。実話をもとにしているので仕方ない部分もあるが、ストーリー的にも盛り上がりに欠け、脱走シーンにも驚きがなかった。長い尺をべらぼうに長く感じることはなかったが、退屈感が無かったとも言い切れない。 5点(2003-12-21 12:47:08) |
70. 弾丸ランナー
タイトル通り、「走りっぱなし」のこの映画は徹底的なまでのエネルギーにあふれている。ストーリーやキャラクターの破錠ぶりもすべてそのエネルギーに包み込み痛快なエンターテイメント性に昇華している。常に日本映画に対する「衝撃性」を追い求めるSABU監督にふさわしいデビュー作品だったと思う。 7点(2003-12-10 16:53:46) |
71. TAXi2
今作の場合、続編ならではの新しさは必要なく、前作のようなノリの良ささえ携えていればそれなりに楽しい映画になっていたはずなのに、それさえ消えうせ只々くだらない駄作に終始してしまった。モロに狙ったギャクも一切笑えず、出るのは失笑ばかり。 2点(2003-12-05 16:20:10) |
72. タイフーン・シェルター
舞台は確か台湾かその辺だったと思うけど、アジアの異国での浅野忠信、緒川たまき演じる主人公らの生活を描いた作品。ストーリー的に盛り上がりはなく、緒川たまきのわざとらしいキャラクター性にも違和感がった。クリストファー・ドイルの映像美はさすがに綺麗だが洗練はされていないという印象。 3点(2003-12-03 12:21:47) |
73. 太陽を盗んだ男
価値観が多様化した現在だからこそ、このような破天荒な勢いのある映画は人気が高まったりするのは分かるが、この映画をよく20年前に作ったなあと感心した。それも当時、超がつくほどの大スターであった沢田研二と菅原文太を主役に配しているのだから、そのエネルギーは並大抵ではない。強烈なまでのアクの強さと個性を打ち出した今作に拍手を送りたい。 8点(2003-11-30 14:17:50) |
74. 卓球温泉
くだらなさを覚悟して見たけど、意外に楽しめる映画だった。温泉卓球を軸に過疎温泉の復興、家族関係の修復がコミカルに描かれる。題材にふさわしいほのぼのとした空気感が映画全体を包み、心地よく観ていられた。主演の松坂慶子のはつらつとした魅力も印象的。 6点(2003-11-18 18:48:03) |
75. 第三の男
個人的には古き名作サスペンス映画には、あまり感動を覚えることがない。今作もその例にもれず、いまひとつインパクトに欠けたまま終わってしまった。感覚的に濃厚さはあるにはあるのだが、ストーリーには淡白さを感じずにはいられない。ただ超有名なラストシーンを見られただけでよしとする。 4点(2003-11-18 01:04:20) |
76. ターミネーター2/特別編
基本的なストーリー展開にはほとんど差異はないが、細かなCG描写などが加わり若干ではあるが面白味は増している。T-1000が格子を通り抜けるが、持っていた銃が引っかかるとかそういう小ネタ的な追加シーンが楽しい。 10点(2003-11-16 11:58:05) |
77. ダイヤルM
オリジナルは観ていないが、内容の面白味は感じることが出来た。しかし、今作だけを見ればサスペンス映画としていまひとつ完成度がなかったと思う。役者陣の演技は随所に光るものを見せるが、散発的で全体にまとまりがなかった。やはりオリジナルが秀作であるほど、安易にリメイクをするものではない。 4点(2003-11-15 01:13:03) |
78. ダブル・チーム
ヴァン・ダム映画の中ではかなりオススメできる1本です。個人的には悪役のミッキー・ロークにやられてしまった。ヘンテコ武器商人役のデニス・ロッドマンもその存在のみの演技で押し切っていて映画に合っていた。 7点(2003-11-12 02:05:53) |
79. タイタニック(1997)
公開当時は、個人的にディカプリオを毛嫌いしていたせいもあって配役に不満があったのだけれど、それでも2回劇場に足を運ばせ、2回目においても時間の長さを感じさせなかったこの映画のエンターテイメント性は物凄く大きい。今になって思えば、ディカプリオほどあの役にハマる俳優もおらず、相手役のケイト・ウィンスレットにしてもキャラクターに合った配役であったと思う。実際に豪華客船を作って見せた空前絶後の壮大さは、そのまま映画の大きさに反映され、近年における「名作」の名にふさわしい作品に仕上がったと思う。 9点(2003-10-30 17:25:43) |
80. ダウンタウンヒーローズ
時代背景を詳しく覚えてはいないのだけれど、その時代の社会の荒波の中での青春群像が印象深かった。ラストの柳葉敏郎の生き様が切なく胸に残る。 6点(2003-10-22 14:32:13) |