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1.  誰も知らない(2004) 《ネタバレ》 
母は年端も行かぬ長女京子の爪にピンクのマニキュアを塗る。いいかげんなこの母にとってそれは悪ふざけの一環としての単なる遊びだっただろう。だが母のその気まぐれに、京子は顔をほころばせる。大人の女のように爪を赤く飾りたいから、ではない。そのマニキュアを塗れば自分も母とお揃いの爪になれるからだ。そして何よりも当の母が自分の手を取り丁寧にその「お揃い」を施してくれることに、京子は喜ぶ。だがこの至福に引き続き描かれるのは、手を滑らせ大切なマニキュアの瓶を床に落としたがため今度は母にこっぴどく叱られる彼女の姿だ。そして、ある日突然失われるこの母の存在。母との親密さの象徴たる誇らしい爪のマニキュアは日を経てあっけなくはがれ落ち、過ちの痕跡としてこびりついた床のマニキュアだけが拭い去れぬまま在り続けるその部屋で、京子は不安な母の不在に懸命に耐えなければならない。母が去ったのは、彼女にとってはマニキュアの瓶を台無しにしてしまった自分のせいなのだ。つまり、事の真相を知る長男明を除いた3人の子のうち京子だけは、罰を受けるように自分を責めながら、母の帰りを待つ。本来責めるべき母を罰すべくその服を売り払おうとする明を必死に阻止する役回りは、だからこそ、彼女でなくてはならない。今度こそ京子は母の大切な所有物をその身を呈して守らねばならないのだ。そうして彼女は母の代わりに罰を受け続ける。本作は、一般的に認知される通り長男明の映画だ。だがもう一方では長女京子の映画でもある。子どもが正当に子どもでいられぬ悲劇を、是枝裕和監督はこの幼き長男長女に託し、静かに見据え続ける。自分の過ちのせいで母を失い、またきょうだいたちからもその存在を奪ってしまった京子。やがて彼女は自らこそが母となることで、その罪を贖おうとする。妹を隠したスーツケースを不安に見送る弟のその手を確かな力で握りしめてやる「母の役割」を補い担うのは、やはり京子だ。その姿に私たちは、彼女が母の不在をついに永遠のものとして受け容れたことを知る。そして、子どもが子どもとして存在しうる正当な幸福を幼い彼女が痛みを伴いながらも自ら抛つその瞬間を、息を呑んで目撃する。照りつける日差しの下、もはや希望も絶望もなくサバイブし続けて行く子どもたち。生ある限り彼らは逞しく生き抜くだろう。だが、剥奪された彼らの尊い子ども時代がその手に再び還ることは、もう決してない。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2010-06-04 18:07:43)(良:3票)
2.  Wの悲劇 《ネタバレ》 
時代の移り変わりを経て、幸か不幸かその毛色がガラリと変わってしまう映画がある。『Wの悲劇』はまさにそんな映画の代表例だろう。女優の野心やエゴ渦巻く演劇界を描いた本作だが、20年以上の時を経た現在、公開当時のシリアスドラマとしての機能は完全に破綻し、もはやブラックコメディーのごとき様相を呈している。驚くのは、作者本来の意図に反してサスペンスからコメディーへとそのジャンル自体がガラリと一変してしまったこの映画が、それでも途轍もなく面白いということだ。密室殺人を描いたありきたりな原作ミステリーを敢えて劇中劇とし、そこで起きる殺人と、それを演じる女優の身に起こるスキャンダルとが「身代わり」という共通項でシンクロしていく二重(W)構造。そしてその身代わり役としての和辻摩子を「演じる」ためにスキャンダル女優を「演じる」劇団研究生三田静香をさらに「演じる」薬師丸ひろ子の姿から、人間の人生における二重三重の演劇性にまで言及する脚本の巧さ。この練りに練られた巧みさが本作に骨太な厚みを与えているのは間違いない。たとえ表層のシリアスが時を経て突っ込みどころ満載の滑稽な笑いに変色はしても、その根本の重厚な骨組み自体はゆるがないということだろうか。さらに言えば薬師丸ひろ子、三田佳子、高木美保(新人)ら女優陣の過剰に大仰な舞台型熱演もまた、もはや迫真性を超えて観る者の笑いを誘いつつ、けれど本物の人生を虚構のように「演じ」ざるを得ない人間の滑稽や悲しみを根底に謳う本作には実にふさわしい。駆け出しの劇団研究生におろおろと泣きすがる三田佳子も、スキャンダラスな裏事情を腹式呼吸で説明しながらナイフ片手に突進していく高木美保(新人)も、そしてスカートの裾を拡げていじらしい泣き笑いを見せる薬師丸ひろ子も、彼女たちはいついかなる時も悲しいほどに、その役を演じる一人の女優として、そこに立つ。たとえ心から愛した男のためにフラッシュライトを浴び涙を流せなくても、たとえそのナイフが本物の血に染まってしまっても、あるいはたとえその別れが本物の永遠の別れであっても、彼女たちが人生を演じるその舞台から降りることは、決してないのだ。
[DVD(邦画)] 9点(2010-01-24 02:38:05)
3.  台風クラブ 《ネタバレ》 
『ションベンライダー』が思春期一歩手前の少年少女の子ども時代との決別を描いていたとするならば、『台風クラブ』は望まぬ思春期を真っ只中にむかえてしまった少年少女の反撃の映画である。画面には常に後ろめたいような性の匂いが横溢し、いまだ無邪気に見える彼らの背後には、小学生でも高校生でもなく中学生特有の自分の体が大人になっていくことへの畏れと悲しみがそこはかとなく漂う。そんな台風到来直前の思春期的性衝動と渦巻くような胸さわぎ、そして後半の原始的な台風がもたらす不思議な昂揚感と開放感、さらにはそれらをねじ伏せんばかりに見せつける生々しい映画的興奮とがないまぜとなり、まさに台風のように徐々に強大化し、また収束していくさまが圧巻だ。この規格外の豪速球っぷりは、ただごとではない。それほど衝撃的で、それでいてこの映画の粒子一つ一つがまるで自分の細胞の一つ一つであるかのような、あたかも自分の心象風景をまるごと映写されているかのような、そんな懐かしさがこみあげるのはなぜなんだろう。夜のプールの空気感、木造校舎のたたずまい、大西結花が朗々と読みあげる高田敏子の詩「忘れもの」もたまらなくいいが、相米印の型破りな選曲センスも抜群だ。バービーボーイズからはじまりPJのレゲエ、歌謡曲わらべの「もしも明日が」に、エンドロールは運動会の実録音源って!そんな破天荒なDJされちゃった日にはもう、全面降伏でシビレるしかない。恐るべし相米慎二。台風がのこした爪痕である校庭の巨大な水たまり。それを軽々と進んでいく工藤夕貴は、心にのこるであろう爪痕もまた乗り越えていくんだろうか。
[DVD(邦画)] 10点(2009-07-23 21:58:42)(良:3票)
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