21. 中国の鳥人
《ネタバレ》 地球の広さを実感させられる雲南省の光景は一見の価値あるものの、ヘルツォーク作品に見られる狂気を孕んだ迫力は感じられない。貴石・鉱石をめぐるビジネスものかと期待を寄せたのですが。珍道中コメディ、ロマンス、自然と文明の共生の何れもが中途半端な描写であり、とってつけた感が強い暴力描写に辟易。♪♪きっと今は自由に空も飛べるはず♪♪ が浮かんだ鳥人伝説にも惹かれるものがなかった。一方で和田が30年後に妻子を連れて訪れたというエピローグに、商社マン若き日の物語の一つであり、他に幾つも物語を作って定年まで勤め上げたのだろうか。村の開発に残りの人生を捧げた氏家に何を感じたのだろうか。余韻が残ります。 [DVD(邦画)] 6点(2018-10-29 00:02:06) |
22. 血と怒りの河
懐が深い医師を存在感たっぷりに演じるお目当てカール・マルデンに満足。オープニング・クレジットのテレンス・スタンプに「しまった!」と思ったものの屈折ぶりが本作では病的なものでなく、実に味わい深い心模様に仰天した名演ぶり。特筆すべきは映像美。目にしみるような青色(空)、白色(雲)をはじめとして何処を切り取っても絵画として鑑賞できるもので、ラストの俯瞰ショットはメキシコ・アメリカの間で揺れ動いた青年の哀しみを雄弁に語る忘れ難いものです。スタンリー・コルテスは「狩人の夜」を担当したようで、鑑賞数珠つなぎの人物と出会えました。 [DVD(字幕)] 8点(2018-09-23 01:07:25) |
23. 地中海殺人事件
ジェームズ・メイソンの着こなしと立居振舞に、プライベートでの本作のような貴族的な暮らしを思い巡らしてウットリしただけの作品。何の見せ場もない平板な役柄で腕の見せようがありません。謎解きが無理筋なのがいけません。犯行動機がお粗末なのが一番いけません。目を見張ったジェーン・バーキンの変身ぶりに+2点。 [DVD(字幕)] 6点(2018-09-02 00:33:51) |
24. 地底探険
童心に帰らせてくれた傑作。探険前、いざ探険。全てにハラハラドキドキさせられ一瞬も目が離せない。スタッフが用意した極上の舞台で一本気なリンデンブロック教授を演ずるジェームズ・メイソン。屈折していない彼(存在しないと思っていた)もまた格別で、ロマンに駆り立てられた冒険模様と晴れやかなラストシーンが脳裏に焼き付けられました。孫と一緒に観たい作品リスト入りで購入手続きを済ませました。 [DVD(字幕)] 9点(2018-08-20 13:59:36) |
25. 沈黙 ーサイレンスー(2016)
信仰を貫いて死んだ百姓達を思うにつけ、転んで生き延びた宣教師2人に腸が煮えくり返る。ラストショットが怒りを更にかきたてる。長々と見せられた結末がこれかと思うとグッタリしてしまった。 [DVD(字幕)] 4点(2018-04-18 16:52:56) |
26. チャイルド44 森に消えた子供たち
「楽園であるソビエトに殺人事件は存在しない」って、寝言は寝てから言いなさい。エピソード全てが中途半端で盛りあがりゼロ。トム・ハーディは奮闘していたものの、後頭部のハゲに目がいってしまって・・・・何とかならなかったのか。 [DVD(字幕)] 4点(2018-03-27 00:58:44) |
27. チャーリング・クロス街84番地
アン・バンクロフト、アンソニー・ホプキンス夢の共演。見つめ合い、唇を重ね・・・妄想でワクワクしながらの鑑賞。20年に亘る誠実な店員と満足する顧客との関係に於いて劇的な事は何一つ起きなかった。にもかかわらず私の安っぽい期待を超える感慨を覚えた夢の共演でした。 [DVD(字幕)] 8点(2017-09-26 00:24:34) |
28. チャイナ・シンドローム
要点を早く喋れ、早く! 手に汗握りました。技術者・経営者・テレビ局 三者のせめぎ合いが見応え満点でした。 [DVD(字幕)] 8点(2016-12-04 17:34:49) |
29. チョコレートドーナツ
《ネタバレ》 男同士の愛の深さに羨ましさを生れて初めて感じた作品。条理を尽くさない法律家の罪深さを見せつけられる。出所した実母がマルコの前で晒すどうしようもない醜態を、ゲイが養育すると悪影響を及ぼすという判断を下した判事達に見せて感想を聞いてみたい。バッドエンドに呆然となるがマルコの死顔を見せない演出が救い。 [DVD(字幕)] 8点(2016-06-30 23:44:28)(良:1票) |
30. チャップリンの黄金狂時代
《ネタバレ》 初見。後をつける熊に気づかず雪山の崖っぷちを「何時ものスタイル」で飄々と歩く登場シーンにいきなり大笑い。よくよく考えてみると笑えない餓死や転落死の危機をも笑いで魅せてくれる喜劇王。そんな彼が表した孤独の辛さ、初めて酒場に立った後ろ姿と蛍の光を聞く横顔に居たたまれない思いが。なので船上のジョージアが「何時ものスタイル」の彼に見せた優しさに救いを見ました。チャップリンの価値観を痛切に感じた作品です。 [DVD(字幕)] 9点(2013-02-11 12:37:00) |
31. 地下水道
地べたを這いずり回る以上に過酷な下水道を這いずり回る姿。実話ベースなので自由を渇望する3つのグループに一縷の望みも見いだせず、それぞれの結末も救いの無いものでした。ソ連赤軍のした事を知るにつけ二度と観れない作品です。 [映画館(字幕)] 8点(2012-12-20 00:14:32) |
32. 誓いの休暇(1959)
《ネタバレ》 初見。アリョーシャの帰郷の道中譚。 純真で正義感が強く人情に厚いアリョーシャを始めとする善男善女ばかりで、血しぶきもなく鬼畜も居らず。 一見穏やかなれど、ラストシーンにおける国家によって息子を毟り取られるが如き母親の様相に、これ以上ない戦争の無情さ非情さを見せつけます。 「もう、離さない、私のアリョーシャ!」 永久の別れと分かっているだけに堪らない。胸を掻き毟られるものがありました。 [映画館(字幕)] 8点(2012-06-10 23:26:25)(良:1票) |
33. 近松物語
《ネタバレ》 上下の隔てのある不義密通。命で償わねばならぬ時代に自分の心に正直に生きた二人。手を繋いだ二人の面持から本懐を遂げた喜びを汲み取れる一世一代の晴れ姿が、覚悟の死地への行進であるラストシーンのこれ以上ない非情さ。その背中にかける言葉がありません。合掌するのみでした。 [DVD(邦画)] 9点(2011-11-05 19:39:32)(良:1票) |
34. チャップリンの独裁者
子供心に強烈なインパクトを受けた地球儀風船シーン。今、その狂気を孕んだ恍惚とした表情に、チャップリンの言葉「人生は自由で楽しいはずであるのに、貪欲が人類を毒し、憎悪をもたらし、悲劇と流血を招いた」が重なります。その当時にその思いを全編に亘り貫き通した勇気に脱帽します。それ故に、冗長さを感じた展開が惜しいです。 [DVD(字幕)] 8点(2010-08-11 18:36:35) |
35. 沈黙のテロリスト
チープなストーリーにデニス・ホッパーの嫌らしさも活きません。サイズモアと御大セガール揃っての「よっこらしょ」と掛け声の要りそうなノッソリした身のこなしが緊迫感を決定的に削いでおりました。 [地上波(吹替)] 2点(2009-09-26 22:01:10) |
36. チェンジリング(2008)
《ネタバレ》 こんな不条理な事件が実話とは。警部、精神病院の医師、ニセ子供に対して・・・活字に出来ない憤りでワナワナ。「もう、観てられない」とそれが頂点に達した時に、希望の光となる事実が発覚。母が良心ある人々の助けを受けてゲス共との喧嘩に最後に勝利。やり切れない結末。展開に私の血圧は乱高下を繰り返しました。どの作品でも抜群の存在感を示すマルコヴィッチに感心し、「母親の唇、何処かで見たことあるけど・・・?」本サイトで、昔サメをも殴りつけていたアンジーと知り好演に仰天です。実に見応えのある作品でした。 [DVD(字幕)] 8点(2009-09-25 22:57:32)(良:1票) |
37. チップス先生さようなら(1939)
《ネタバレ》 チップス先生の赴任から学校の生き字引となっての大往生までの生涯。キャサリンという伴侶を得て生真面目な堅物にユーモア精神、教師である誇りが加味されて歳を重ねる先生は生徒にとっては一生の師であるようです。妻子との別離、教え子の戦死。先生の胸中が声高に描かれていない演出にかえって悲しみが染み入ります。代々途切れる事無くチップス先生が現れる事が国家の存続の重要事項なのではと思わされた、名作と呼ばれるに相応しい作品でした。 [DVD(字幕)] 9点(2009-07-04 04:29:28) |
38. チャイナタウン
完全にニコルソンの虜になり、ポランスキーに興味を抱くきっかけとなった思い出の作品です。30年ぶりの鑑賞となりました。ゲティスは、はしたないジョークをとばし、のされてヨレヨレの姿を晒す完全無欠でない人物ですが鼻に絆創膏を貼り付けようともビシッと決めたいでたちに、当時わけもなく色気を感じました。その色気は仕事で笑われたくないという信念からくる打たれ強さであり、悲しい思いに押し潰される事なく背負って生きていこうとする芯の強さからくるものなのだと今は思えます。人間外見ではなく中身であるとは小さい時から聞いてきましたが、外見が中身を造り中身を語る事を気づかされました。そして、とてつもない辛苦を背負いながらこのような作品を作り上げたポランスキーがゲティスとだぶって見えました。死体の描写と依頼人の父親の欲望の生々しさにポランスキーの怨念のようなものを見た気がしました。 [DVD(字幕)] 8点(2007-12-22 18:13:55)(良:2票) |
39. チャーリーズ・エンジェル フルスロットル
《ネタバレ》 初めて観ました。指輪を取り合うストーリーの骨子について語るのは野暮なのでしょう。三位一体での暴走振りは、CGの効果もありなかなか楽しいものでした。マックス・ケイティもどきのオグレイディにはクスリとさせられ遊び心も感じる作品です。ディラン対オグレイディはまずまずでしたが、メインがナタリー対マディソンであったのは興ざめでした。サシの対決でぶちのめされる屈強なボスキャラは男でなくてはいけませんね。 [DVD(字幕)] 5点(2006-12-15 22:17:26) |
40. 散り行く花
《ネタバレ》 笑いが皆無の暮らし、笑い方を知らないのか、あのような方法で笑顔を作る姿に胸が詰まります。目を覆うばかりの薄倖の彼女が大輪の花を咲かせて輝きました。それはほんの一瞬の事で儚く散ってしまいましたが、散り際に笑顔をみせようとした姿に、人がこの世に生を受けた価値を感じるのです。『死んで花実が咲くものか』自ら若いつぼみを絶たないでいただきたい。花開く時は来るのです。 [DVD(字幕)] 8点(2006-11-13 20:44:02) |