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かたゆきさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1888
性別 男性
年齢 48歳
自己紹介 自分なりの評価の基準は、
10・超大好きな作品。完璧。映画として傑作であるばかりでなく、自分の好みと見事に合致している。
9・大好きな作品。完璧に近い完成度。手放しに歴史に残る傑作といっていい。
8・好きな作品。本当に面白い。欠点があるかもしれないが、それも含めて好き。
7・少し好きな作品。普通に面白い。欠点もあるかもしれないが、そんなに気にならない。
6・普通の作品。可も無く不可も無く。最後までストレスなく観られる。面白いけど、心に残るものはあまりない。
5・少しつまらない作品。最後まで観るのにちょっとストレスを感じた。面白い部分も多少はあった。
4・つまらない作品。最後まで観るのが苦痛だった。ほとんど面白いところが感じられなかった。
3・かなりつまらない作品。最後まで観た自分を褒めてあげたい。観終えた後に、怒りのあまりDVDを割りそうになった。
2・超つまらない作品。時間と金を返せ。観終えた後に、怒りのあまり製作者全員を殴りに行きたくなった。
1・絶望的につまらない作品。最低。観終えた後に、怒りを通り越して死にたくなった。
0・死霊の盆踊り。

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1.  オリオンと暗闇 《ネタバレ》 
何処にでもいるような10歳の大人しい少年、オリオン。地味で目立たず、内気な性格の彼はクラスでも少し浮いた存在だ。そんなオリオンの性格を一言で表すと、「とっても怖がり」。彼の見えている世界には、恐ろしいことがいっぱい。ハチに刺されたらどうしよう、犬に嚙まれたら痛いし、携帯電話はガンになるし、道端の排水溝には殺人ピエロが潜んでるし、トイレで水が詰まったら大洪水になってみんな死んでしまう。そんな怖いものだらけのオリオンがもっとも恐れているのが、〝暗闇〟。日が暮れてベッドに潜り込むと毎晩、何が隠れているか分からない真っ暗な世界がオリオンを取り囲むのだ。それでもベッドの中で恐怖に耐えながら眠りに就いたオリオンにある夜、彼がやってくるのだった。何千年ものあいだ、人々に忌み嫌われてきた〝暗闇〟が――。不安神経症に悩む少年がある夜出会った暗闇、彼とともに体験する不思議な一夜をファンタジックに描いたCGアニメーション。脚本はかつて、『エターナル・サンシャイン』などで天才の名をほしいままにした脚本家チャーリー・カウフマン。絵本を基にしたということもあって、ビジュアルやお話は物凄くベタベタな子供向けアニメなのに、そこはやはりカウフマン、一筋縄ではいかない内容に仕上がっておりました。とにかくテーマがすこぶる哲学的!人間が闇を恐れる理由、それは死が無であるということを否応なく見せつけてくるから。でもそれは思い込みだと教えるために擬人化された暗闇と、彼の仲間である「眠れず」「静寂」「睡眠」「不思議な雑音」「いい夢」とともに冒険の旅に出る。その過程でいかに夜の暗闇が光を輝かせるために重要であるか、もともと世界は闇しかなかったのに人間が光を手にしたがために無用な恐怖に悩まされることになったというのを描いている。なんとも実存主義的で多くの哲学者がずっと考えても答えがでないテーマをここまで分かりやすく子供向けに描いたところは特筆に値します。さすが!また、暗闇の仲間たちがどれも良い感じでキャラ立ちしているのもナイス!特にハンマーで殴ったり枕で窒息させたりして人々を眠りに落ちさせる睡眠と、可愛い見た目なのになにかと怒りっぽい静寂が自分は好きでした。肝心のお話の方も、途中から大人になったオリオンが娘に話してきかせていたというメタフィクション構造が明らかになるのだけど、途中からその娘が子供オリオンの世界に入ってきたり、彼女を救うために今度はお爺ちゃんオリオンの世界から孫がタイムマシンでやってきたりとかなり複雑怪奇。それなのにここまで分かりやすく、かつシュールで笑える世界観で表わしちゃうなんて凄い!最後、暗闇を救うために主人公が自らの記憶の中に飛び込むシーンは、観念的世界を独創的な映像で描いた唯一無二のもの。名作『エターナル・サンシャイン』をも髣髴させるその映像に自分はハート鷲掴みでした。いかに恐怖を克服して生きることが大切かを問うた秀作だと自分は思う。
[インターネット(字幕)] 7点(2024-06-07 12:01:21)《新規》
2.  終わらない週末 《ネタバレ》 
最近すっかり倦怠期に陥っているとある夫婦とその子供たち。少しでも気分転換を図ろうと彼らはこの週末、リゾート地の豪華な別荘に予約を入れるのだった。チェックインしたその別荘は大きなプールや広い寝室が備えられ、子供たちのテンションも自然に上がっていく。早速水着に着替え、近くの浜辺に海水浴へと出かける家族たち――。だが、彼らはすぐ異変に気づく。謎のサイバー攻撃により街は大規模な停電に見舞われ、ネットやテレビも全て遮断されてしまったのだ。さらには航行不能に陥った巨大タンカーが浜辺へと打ち寄せてきて、現場は大混乱に。すぐさま別荘へと逃げ帰ってきた家族にさらなる不穏な訪問者が。この別荘のオーナーだという怪しい親子が、一晩この家に泊めてほしいとやって来たのだ。はたして何が起こっているのか?この訪問者は本当に別荘のオーナーなのか?そして、家族は無事に週明けを迎えることが出来るのか?まったく期待せずに観たらこれがめちゃ面白かったんですけど!何がいいかって、とにかくこの全体を覆ういや~~~~~な空気。ずっと気持ちが落ち着かないカメラワークに不穏な音楽、なにより登場人物全員が人を嫌な気持ちにさせる要素をちょっとずつ持ってるところ!常にヒステリックで情緒不安定なお母さんにそんな妻に嫌気を差しつつも無気力に引き摺られちゃうお父さん、隣のエロいおねーちゃんの水着を携帯見るふりして盗撮しちゃうお兄ちゃん、ドラマ『フレンズ』の最終回を観ることだけが生きがいの妹……。別に普通の家族なのになんでここまで人を不快にさせるんでしょうか。途中から登場する、この民泊のオーナーの黒人親子もヤバい。物腰は丁寧なのに絶対人を見下してるだろってことが丸わかりの父親、常に人を小馬鹿にするような皮肉ばかりのたまう娘。この映画、とにかく人を不快にさせる作りが抜群に巧い。監督、絶対性格悪いだろ(笑)。そんなどっかで勝手にやってくれと言わんばかりの家族に徐々に世界の終末が迫ってくるわけだけど、これも絶妙に不安感を煽るもので大変グッド。特にピンクのビラを大量に撒くドローンや急に歯がボロボロと抜けちゃうお兄ちゃんが強烈。父親が途中で出会う、スペイン語しか話せないおばちゃんが自分はすんごく嫌でした。困っているのは分かるけけど、ちょっと落ち着いてくれよっていう。思わず置き去りにしちゃったイーサン・ホークの気持ちも分かる(笑)。何気に自分の保身のために家に閉じこもってたケヴィン・ベーコン(懐かしい!)が一番まともに見えるという。そして、ここまで大風呂敷を拡げといてどーオチつけるのかと思ったら、まさかのラスト!いやー、妹ちゃん良かったね、願いが叶って(友情ってサイコーとか言ってられへんくらい世界はむちゃくちゃですけど…笑)。ここまで人を不快にさせる作品ってある意味凄い。なんだかアリ・アスターをも髣髴させるこの監督の才能は、これから要注目だわ。
[インターネット(字幕)] 8点(2024-05-15 10:23:58)
3.  オフィサー・アンド・スパイ 《ネタバレ》 
19世紀フランスで実際に起きた冤罪事件を元に、巨大な権力に立ち向かったあるスパイの闘いをリアルに描いた歴史サスペンス。監督は、数々の賞に輝く名匠ロマン・ポランスキー。さすがベテラン監督だけあって、その円熟味を増した演出はもはや匠の技。非常に複雑でしかも基本地味なお話なのに最後まで観客を惹き付けてやまないストーリーテリングの巧みさは素晴らしいと言うほかありません。DNA鑑定はもちろん、指紋鑑定すらない時代に、ただひたすら破られて捨てられた機密文書を入手し気の遠くなるような手間と労力をかけて再現してゆくところなんて凄いとしか言いようがない。んで、肝心の証拠となるのは、専門家とは言え一人の人間が行う筆跡鑑定のみ……。そりゃ冤罪も生まれますわーー。でも、主人公はただ社会正義の為にそしてかつての教え子の冤罪を晴らすために孤軍奮闘してゆく。保身に走る上層部、主人公を陥れようという同僚たち、そして明らかとなる主人公の不倫スキャンダル……。それらのドラマが後半になるにしたがって加速度的に盛り上がっていくところはもはや圧巻。背景にある、根強いユダヤ人差別の問題にもちゃんと目を向ける監督の目線の鋭さにも感心させられます。そして迎えるほろ苦い結末。歴史の巨大なうねりの中で今はもう忘れられてしまった無名の人々の人生に改めて光を当てるこの物語の深い余韻に、自分はしばらく浸っておりました。最後まで充分見応えのある歴史ドラマの秀作、お薦めです。
[DVD(字幕)] 8点(2023-09-06 09:35:24)
4.  オペレーション・ミンスミート ナチを欺いた死体 《ネタバレ》 
第二次大戦下、ナチスドイツを欺くためにイギリス政府が極秘に行った特殊作戦、その名も「オペレーション・ミンスミート」。それは偽装されたイギリス将校の死体を地中海に漂流させ、敢えてナチスの手に渡そうと言うもの。あらかじめ死体に持たせておいた偽造文書によって、敵の目を自軍の上陸作戦から逸らそうというのだ。あまりに無謀な作戦だったが、首相の決断により実行にうつされることに。失敗すれば2万人もの若き英国兵の命が危険に晒される。作戦の責任者として任命されたモンタギューは、集められたごく少数のメンバーとともに着々と計画を練ってゆくのだが……。実話を元に、そんな無謀とも言える極秘任務に従事した英国諜報部員たちの奮闘を描いたスパイ・サスペンス。監督は、『恋におちたシェイクスピア』で有名なジョン・マッデン。名優コリン・ファースが主演を務めたということもあり今回鑑賞してみました。題材は物凄く良かったと思うんですよ、これ。ドイツの同盟国であったイタリアのムッソリーニ政権を倒すためにシチリア島に進攻しようというイギリス軍。敵の目を島から逸らすために偽造文書を持たせた死体を海に流す(海流が変わって違うとこに流されたら終わりですやん!)なんて、常人にはとても成功するようには思えない作戦を実行に移したというだけでも凄いのに、ましてやそれが実話なんて!なのに、なんだろう、この最後まで付きまとう微妙な空気……。映像が終始暗くて地味だし、お話も無駄にややこしいのがその原因じゃないですかね。特に敵が死体を見つけてからの展開が、いったいどうなったら作戦が成功なのかいまいち分かりづらい!さらにそこに無駄としか思えない主人公のロマンス要素も加わって、まぁサスペンスが盛り上がらない盛り上がらない。もう少しお話を整理してもっと分かりやすく見せてほしかった。この監督の前作がけっこうお気に入りだっただけに残念!
[DVD(字幕)] 4点(2023-06-19 08:51:31)
5.  オールド 《ネタバレ》 
そこは一日で一生分の時間が過ぎる浜辺――。人里離れたリゾート地にバカンスへと訪れたとある家族。11歳と6歳になる子供たちは久々の家族水らずで過ごす休日にテンション上がりっぱなし。だが、両親は何処か浮かない表情。何故なら彼らは離婚を前提に別居することを決めたばかりだからだ。そんなキャパ一家に、チェックインしたばかりの高級ホテルの担当者がとある提案をしてくる。「このホテルの裏側に秘密のプライベート・ビーチがあるのですが、ご家族で訪れてみませんか?きっと素敵な体験が出来ますよ」――。深刻な問題から逃れるかのように、その秘密の浜辺へとやって来たキャパ一家。見渡す限りのきれいな光景に、一家はそれまでの悩みなど忘れ非日常を楽しむのだった。そこにさらに二組の家族がやってきて浜辺はにぎわい始める。だが、しばらくすると拭いようのない違和感が家族たちの間に拡がり始めるのだった。急に大人びた表情を見せる子供たち、知らぬ間に増え始めるしわ、怪我をしてもその傷はすぐに治ってしまう……。そう、この謎の浜辺では猛烈なスピードで人が成長し、そして老化してゆくのだ。6歳の少年だった子供は瞬く間に大人へと成長し、お祖母ちゃんはすぐに老衰で死んでしまう。しかも、この浜辺からホテルへと帰る道を通ろうとすると気絶し、そのまま浜辺へと舞い戻ってしまうのだった。パニックへと陥る家族たち。そうしている間にも身体は成長し、そして衰えてゆく……。急速に年老いてゆくという謎の現象に見舞われ、次第におかしくなってゆく家族を描いたサスペンス・スリラー。監督はデビュー以来、一貫してアイデア一発勝負の映画を撮り続けるM・ナイト・シャマラン。いかにも彼らしいアイデア一発勝負のお話でしたね、これ。彼の作品の特徴って、そんな普通の脚本家なら没にしそうな陳腐なアイデアを、ひたすら大真面目に真剣に一本の映画としてしまうところ。それがうまくいく場合もあるし、ものの見事に失敗しちゃう場合も多いんですけど、今回はわりかしうまくいった方なんじゃないでしょうか。まあ真面目に考えたら突っ込みどころ満載ですけど、彼の映画はそーゆ―ことを考えたら負け(笑)。そこらへんはもう潔く無視しちゃって、ただひたすらこの理不尽な状況を楽しむのがこの監督の作風なんですから。疑心暗鬼からどんどん険悪な雰囲気になる登場人物なんてベタですけど、けっこう面白かったですし。それに妻の急速に悪化した腫瘍を取り除くシーンや全身の骨が折れたまま固まっちゃうおばさんなど、どれも印象的。まぁ急に成長した子供たちがテントでもぞもぞしてたらすぐ妊娠発覚、20分後にはもう出産なんて余りにばかばかしすぎて思わず苦笑しちゃいましたけどけど。最後のオチはかなり無理やりですんごく強引。でも、何度も言うようにそーゆ―ことを気にしたら負け(笑)。ちゅうわけで、僕はぼちぼち楽しめましたです、はい。
[DVD(字幕)] 7点(2022-05-08 04:36:36)(良:1票)
6.  オフィシャル・シークレット 《ネタバレ》 
2003年、イラク戦争開戦前夜のイギリス。政府の諜報機関で北京語の専門家として働くキャサリン・ガンは、そんなきな臭い空気に違和感を覚えながらも黙々と働いていた。そんなある日、彼女はアメリカの同じく諜報機関からあるメールを受ける。それは、イラク攻撃の正当な根拠となる国連決議をえるために、小国の代表団を盗聴せよというものだった。しかも場合によっては脅してでも票を獲得せよとも読める内容に、キャサリンは激しく動揺する。「政府は国民を騙してでも戦争をしたがっている」――。深い憤りを感じた彼女は、密かにメールを持ち出し、それをマスコミへと流出させるのだった。だが、それが記事となって世に出ると、キャサリンの想像を超えるような政府による圧力が重くのしかかることに。連日の厳しい聞き込み調査に同僚の解雇をもちらつかせる嫌がらせ……。我慢できなくなった彼女は思わず自分が犯人だと名乗り出るのだったが、国家権力の横暴は予想を遥かに超えるものだった。イラク戦争の裏に隠された不当な国家機密を巡り、人生を翻弄される平凡な女性の運命を描いたポリティカル・サスペンス。人気女優キーラ・ナイトレイがそんな国家権力と戦う女性を熱演しているということで今回鑑賞してみました。監督は、大国の思惑によって振り回される第三世界の真実を常に弱者の視点から見つめるギャビン・フッド。この監督の前作でも見せた、綿密な取材に基づくであろうリアルな演出は今回も健在。こういう権謀術数渦巻く政治劇って、普通は政権中枢の政治家たちを大きくクローズアップするもの。でも、本作では政府機関で働いているもののあくまで何処にでもいる平凡な女性であるこの主人公の目線からのみ描いている。おかげで、ちょっとした正義感から起こした行動のはずなのに、それが原因で人生を破滅させかねない事態に陥る恐怖がひしひしと感じられました。己が利益のためには、無力な一市民など簡単に踏み潰してしまう国家権力の横暴に改めて空恐ろしさを覚えます。また、リークされた情報をすっぱ抜いた新聞社内のドラマも良く描けている。特にメールを勝手に校正して窮地に陥ってしまう女性事務員のエピソードは何とも切ないですね。そして、最後の裁判の結果。こんな不毛な戦争で命を落とした多くのイラク国民やアメリカ兵たちのことを思うと、決して手放しでは喜べない。国家権力がいかに自らの都合のいいように情報を操作しているかがよく分かる、良質の政治サスペンスでした。
[DVD(字幕)] 7点(2022-02-24 06:00:31)
7.  オキシジェン 《ネタバレ》 
人一人がなんとか横たわることが出来るような狭い密室である日、目覚めた一人の女。まるで棺桶のようなここには、高度な医療技術を備えた設備が整えられ、「ミロ」と名乗るAIが全てのシステムを管理していた。どうやら完全隔離された医療ポッドらしい。目覚めた女は断片的な記憶はあるものの、自分がなぜここに居るのか、なぜこのような事態に陥ってしまったのか、さらには自分の名前すら思い出せなくなっていた。「すぐにここから出して!」――。ミロにそう訴えるものの、ミロは「今はその時ではありません」と事務的に告げるだけで外部へのドアは固く閉ざされたまま。しかもポッド内の酸素残量はあと僅かしかなく、このままでは一時間もすれば窒息死すると冷徹に告げるのだった。あまりの事態に半狂乱になる女。酸素が底をつく前になんとか脱出しようと、微かな記憶だけを頼りに必死で解決法を探るのだったが……。手足を僅かばかり動かせるような狭い密室で目覚めた女の極限の恐怖を描いたサスペンス。一時期大量生産された、いわゆる密室系ソリッド・シチュエーション・スリラーの一種と言ってもいい本作、そんな期待せずに今回鑑賞してみました。だって『リミット』をはじめとするこのジャンルの映画にはさんざん苦い思いをさせられてきましたから。なのですが、僕のそんな先入観は良い意味で裏切られました。いや、なかなかの良作ですよ、これ。何が良いってまずはセンス溢れる美しい映像。ずっとこの医療ポッドの中だけで最後まで進むので物語としては単調になりがちなのだけど、青を基調としたスタイリッシュな映像がとにかくキレイでずっと見ていられます。時折挿入される回想シーンもノスタルジックで、現在の危機的状況との対比が巧く効いている。と、油断していたら、急に大量のネズミがポッド内に出現して、これがなかなか衝撃的でひえーっと思わず声に出しちゃいましたわ。この緩急のつけ方は見事というしかないですね。もう一つは、練られた脚本の力。主人公がポッド内の電話で警察と連絡を取るところから、「あー、これはきっと何処かのイカれた病院かサイコパスに地中に埋められたかだろうな」と思っていたら、途中でまさかの急展開!いや、そうくるかって感じです。そしてその真相はあまりに切ないもので、僕は思わず泣きそうになっちゃいましたわ。外の世界の映像があまりに美しく、より悲しみを倍増させます。自分だったらこんなの絶対耐えられないよ…。監督は『ピラニア3D』などのバカ映画を撮っていたかと思えば、急に『ルイの9番目の人生』というセンス溢れる良作を撮ったアレクサンドル・アジャ。この人のふり幅は相変わらず激しい。今回は良い方のアジャでした。最後の映像は個人的にはいらんかったと思うけど、低予算ながらなかなかの逸品でございました。
[インターネット(字幕)] 9点(2021-11-07 03:31:09)(良:1票)
8.  オールデイ・アンド・ア・ナイト 終身刑となった僕 《ネタバレ》 
凶悪な殺人事件を犯し、終身刑となってしまったとある黒人青年。彼のそれまでの生い立ちと事件へと至る過程を濃密に描いたクライム・ドラマ。率直な感想を述べさせてもらうと、物語の見せ方が恐ろしく稚拙な作品でしたね、これ。もはや素人レベルといっても過言ではありません。そもそもの脚本が悪いのか、それとも監督の力量不足のせいなのか、誰が誰で誰とどういう関係にあるのか物凄く分かりづらい!しかも時系列を行ったり来たりする演出がその分かりづらさに拍車を掛けており、最後まで観るのが苦痛で苦痛で仕方なかったです。そもそも時系列をバラバラにする意図が分からない。ここまでレベルの低い作品に出会ったのも久しぶりです。うーん、3点!
[インターネット(字幕)] 3点(2021-01-20 01:20:52)
9.  オフィーリア 奪われた王国 《ネタバレ》 
言わずと知れたシェイクスピアの古典的名作『ハムレット』を、ヒロインであるオフィーリアの視点で描いた宮廷劇。主役であるオフィーリアを今やハリウッドのトップ女優となったデイジー・リドリーが務め、脇を固めるのはベテランのナオミ・ワッツとクライブ・オーウェンということで今回鑑賞してみました。が、正直さっぱり面白くなかったです、これ。とにかく演出がお粗末すぎ!なんとも分かりにくいうえにさして面白くもないストーリー、揃いも揃って魅力に乏しい登場人物たち、シェイクスピアの元ネタを全く活かしきれていない凡庸な台詞回しの数々……。もう最後までずっとあくびが止まらなかったです。いやー、久々にここまでレベルの低い作品に出会ってしまいました。
[インターネット(字幕)] 2点(2020-12-18 21:39:09)
10.  オールド・ガード 《ネタバレ》 
彼らの名は、オールド・ガード――。謎の現象により、ある日突然、不死の力を宿してしまった四人の男女。以来彼らは何百年もの間、歴史の陰で人知れず人類の危機を救ってきたのだった。ナポレオンのロシア遠征、南北戦争、二度に及ぶ大規模な世界大戦、そして冷戦終結……。遥か昔に生を受け、もはや何百年生きたかすら分からないアンディをリーダーに、彼らは今日も世界の危機を人知れず阻止していた。そんなある日、四人は数世紀ぶりに新たな仲間の誕生を知る。アフガニスタンの紛争地で敵の襲撃に遭い、呆気なく命を落としたはずの若き黒人女性兵士が、そのすぐ後には何事もなかったように立ち上がったのだ。脳内映像でそのことを知った彼らは、すぐさま新たな仲間の元へと向かうのだった。そんな折、彼らの存在を知った世界的製薬会社がその不死の秘密を探ろうと動き始めていた……。アメリカのグラフィック・ノベルを原作に、歴史の陰で暗躍する孤高のダーク・ヒーローたちをスタイリッシュに描いたSFアクション。主演を務めるのは、もはや世界一カッコいい美魔女と言ってもいいシャーリーズ・セロン姉さん。徹底的に鍛え抜かれたであろう彼女のそのパーフェクトなボディが画面狭しと暴れまくるアクションシーンは、もうさすがの貫禄でそれだけでも見応え充分でした。いやー、どうやったらこのお歳でここまでの美貌とプロポーションと身体能力を維持できるのやら…。この人、もはや半分機械で出来てるんじゃないかとさえ思っちゃいますね(笑)。ただ、それに対してお話の方には僕はそこまで嵌まれませんでした。まあ突っ込みどころ満載の荒唐無稽な設定はそーゆーもんなんで全然オッケーなんですが、問題は脚本の詰めの甘さ。まず、主人公がこのセロン姉さん演じる不死たちのリーダーなのか、それとも新人のこの若い黒人女性なのか、最後までそこらへんが非常に曖昧なのでいまいちどちらにも感情移入出来ない点。やはりこの黒人女性をがっつり主人公にして、物語の冒頭は彼女が生き返るシーンから始めた方が良かったのでは。そんな戸惑う彼女に、アンディはじめ不死の軍団が現れた方がより物語に入り込めたように思うのですが。あとこのアンディが物語の終盤で不死の力を失ってしまうシーンがあるんだけど、そこも結局どうなったのか最後まであやふやなまま終わらせたのは致命的。不死の力を失ってはもはやリーダーを続けていけないと思うんですけど。映像は終始キレイだし、アクションシーンもスタイリッシュでけっこう頑張っていただけに、もう少し脚本を練って欲しかった。惜しい!!
[インターネット(字幕)] 6点(2020-11-09 03:09:27)(良:1票)
11.  お嬢さん(2016) 《ネタバレ》 
日本統治下の朝鮮を舞台に、ある貴族の怪しげな豪邸で繰り広げられる三人の男女の駆け引きを退廃的に描いた官能サスペンス。まあやりたいことは分かるし、日本の大正から昭和初期のエロ・グロ・ナンセンス文化を多分に取り入れたデカダンスな世界観はよく出来ていたとは思います。江戸川乱歩や夢野久作チックなこの感じはけっこう嫌いじゃない。ただ、いかんせんお話が方がいまいち面白くないんですよね、これ。無駄に長いうえに、肝心のことの真相も容易に読める代物で僕は途中でダレちゃいました。体当たりで頑張った主演女優二人の濡れ場もなかなかエロかったとは思うのですが、ちょっと下品すぎますね。これくらいなら日本の百合系AVでもっとドエロいシーンがいくらでも観れますし、そもそも僕は映画にそーゆー要素を求めていませんので。なんだか無駄に悶々ムラムラさせられた140分でした。映画が終わってすぐ、そっち系の動画を再生したのは言うまでもありません(笑)。
[DVD(字幕)] 5点(2020-09-11 01:54:34)
12.  オペレーション・フィナーレ 《ネタバレ》 
1960年5月11日、その日は多くのユダヤ人にとって忘れられない歓喜の日となった。ナチスドイツによるユダヤ人大量虐殺、その最高責任者として何百万ものユダヤの民を死に追いやった戦犯、アイヒマンが潜伏先のアルゼンチンで拘束されたのだ。事前に情報を入手したイスラエルの諜報機関モサドにより、自宅近くのバス停で拘束された彼は、そのままイスラエルへと密かに移送される。本作は、そんな〝オペレーション・フィナーレ〟と呼ばれた極秘作戦を実話を基に描いた社会派サスペンスだ。姉をナチスによって殺され、戦後はナチ戦犯を追い詰めることに執念を燃やしたイスラエル工作員を演じるのはオスカー・アイザック。そしてヒトラーやゲッペルスと並び世紀の極悪人として名高いアイヒマンを演じるのは、なんと名優ベン・キングズレー。この二人の重厚な演技合戦はなかなかのもので、彼らのお互いの信念に基づいた息詰まるような駆け引きは見応え充分。特に大量のユダヤ人を殺戮しておきながら、自らの家族に対しては深い愛情を示すというアイヒマンの複雑な人物像をリアルに演じたB・キングズレーはさすがの貫禄でした。ただ肝心のお話の方は、確かに頑張ってるのは分かるんですけど、なんだろう、この全体に漂うもうひとつ感は。サスペンス映画のセオリーにかなり忠実に作られてはいるのですが、最後までいまいち緊迫感が盛り上がらないんですよね、残念ながら。それは、これが実話を基にしていて最後は作戦が確実に成功することが分かっているからなのかと言うと、同じく実話を基にしたアカデミー賞受賞の名作『アルゴ』が最後は全員助かることが分かっているのにあれだけサスペンスフルだったことを思うと、やはり違うのかな、と。うーん、明確にここが駄目というのは特にないんですけど、こればっかりはもう理屈じゃないんでしょうね。実話の重みに引っ張られて最後まで興味深く観ることは出来ましたが、そこまで心に残るものはなかったです。同じくアイヒマンを扱った映画としては、『ハンナ・アーレント』と言う秀作があるので興味を持たれた方はそちらも併せて鑑賞することをお勧めいたします。
[インターネット(字幕)] 6点(2020-06-16 00:14:58)
13.  オクジャ/okja 《ネタバレ》 
スーパーピッグ――。それはアメリカの大企業ミランド社がチリの農場で偶然発見した新種の豚だ。最小限の食料で何処までも大きく育ち、しかも排泄物は少量、何より「美味しい」その豚は、世界の食糧危機を救う奇跡の豚として世間の注目を集める。将来の安定供給を目指すミランド社は、発見された27頭の子豚を世界各国に配布し、どの国の飼育方法がもっとも優れているかをなんと10年間モニターする計画を立てる。そして、10年後…、ミランド社が世界に配られた27頭のスーパーピッグを調査してみると――。韓国の人里離れた山の中で、小さな女の子ミジャに育てられたオクジャ。丸々と太っただけでなく、豊かな自然の中で伸び伸びと育ったその豚は誰が見ても見事な豚だった。ニューヨークで大々的に発表されることになったオクジャは、ミランド社のトラックに乗せられ、そのまま首都ソウルへと搬送されることに。だが、幼いころから家族同然に暮らしてきたミジャは到底納得いかない。何としてもオクジャを取り戻すため、すぐさまソウルへと向かうミジャ。そこにミランド社を敵視する過激な動物愛護団体も現れ、ソウルは大混乱へと陥ってしまう。果たしてオクジャとミジャは無事に再会を果たすことは出来るのか?韓国映画界を牽引するポン・ジュノ監督が、豪華キャストを揃え、そんな愛くるしい食用豚を巡るバトルをノンストップで描いたエンタメ大作。とにかくこのオクジャと言う巨大豚のフォルムがとても魅力的でした。となりのトトロとクマのプーさんとダンボを足して割ったような愛くるしい見た目でありながら、ちゃんとリアルさも感じられる絶妙な匙加減で大変グッド。そして、この豚と友情を育む女の子もその素朴な見た目とは裏腹に行動力抜群で、こちらも負けず劣らず魅力的。彼女がオクジャのためにソウルの街を疾走する前半部分はテンポも良く、演出もキレッキレで普通に面白かった!トラックの天井に摑まった女の子がトンネルにぶつかりそうになるシーンなんて手に汗握っちゃったし。途中からこのチェイスに参加する動物愛護団体のメンバーもなんだかとぼけた味があり、オクジャを乗せたトラックを運転する若者が変にクールなのも見ていて楽しい。そして舞台がニューヨークに移ってからは一転、一気にシリアスさが増すのも素晴らしい演出でした。何処かアウシュビッツを髣髴とさせる暗い飼育場で、ただ屠殺されるために並ぶ豚たち――。食べられるために生まれてくる命は自然の摂理として正しいのか?激しいカーチェイスやオクジャの愛くるしい造形で前半はたっぷりと楽しませ、後半は他の生物の命を頂いてその生命を維持する人間の業についてちょっぴり考えさせられる、素晴らしいエンタメ作品でありました。
[インターネット(字幕)] 8点(2020-04-26 00:30:46)
14.  オーロラの彼方へ 《ネタバレ》 
太陽フレアの影響により、ニューヨークに色鮮やかなオーロラが発生した1999年。恋人との破局を迎え荒んだ生活を送っていたジョンは、ふとした思い付きから、物置の奥に仕舞い込んでいた父の遺品を引っ張り出してくる。30年前、消防士をしていた彼の父は倉庫火災に巻き込まれ殉職してしまったのだ。父が着用していた制服やバッジ、家族を守るための銃、そして父が趣味で使っていたアマチュア無線機。懐かしさから、ジョンは壊れていた箇所を直し、その無線機の電源を入れてみる。誰とも繋がるはずがないと思っていた通信は、何故か意外な人物から返答を受けるのだった。それは、1969年、死の前日に居た父の声だった――。何としても父の死を防ごうと、遠い過去へと語り掛けるジョン。だが、それは皮肉にも意外な運命へと彼を導いていく…。30年の時を経て向き合う、父と息子の絆をドラマティックに描いたSF作品。もっとド直球の感動ドラマだと思っていたのですが、意外にもこれって『バタフライ・エフェクト』系のタイム・パラドックスものだったですね。30年前の父の死を防ぐことがドラマの焦点となるかと思いきや、その目的は意外にもあっさり成功。「え、この後、どう物語を繋いでゆくんだろう?」と思ったら、なんと死ぬはずだった父がそのまま看護師である妻を訪問、そこで医療事故で死ぬはずだった連続殺人鬼が死なず、今度はそいつに母親が殺されてしまうのです。主人公、いわゆる「こっちを立てればあっちが立たず」的な板挟み状態に。ここから一気にB級感が増していきます。事故で死ぬはずだった父を記憶していながら、死なずにそのまま20年後に肺癌で死んだ父の記憶も追加されるというおかしな展開に。でも、母親が殺された記憶は何故か追加されてないみたいな感じなので、もうここでこの設定は破綻しかけてます。で、ここから連続殺人鬼は誰か?というミステリーになるのですが、過去や現在を行ったり来たり、親子の行動で現実がどんどん上書きされたりと正直ややこしすぎて僕は付いていけませんでした。そして最後は主人公の警告で煙草を止めた父が死なずにまさかの現代登場!この主人公、事故で死んだ父の記憶と肺癌で死んだ父の記憶と死なずに今も生きてる父の記憶のたっぷり30年分を3つも脳内に抱え込んでるわけですよね?さらに母親も死んだリ生きてたり、恋人と実は付き合っていなかったり……。うーん、よく頭がおかしくならんもんだ(笑)。という訳で、僕はこの設定の強引さにいまいち乗り切れず、残念ながらそこまで楽しめませんでした。
[DVD(字幕)] 5点(2020-03-16 23:52:28)
15.  オーヴァーロード 《ネタバレ》 
1944年、ナチスドイツとの熾烈な戦闘が繰り返されるヨーロッパ戦線。アメリカの若き空挺部隊の兵士たちは、ドイツ軍の猛攻撃を受けながらも輸送機で目的地上空まで辿り着く。パラシュートで何とかフランスの大地へと降り立った彼らは、郊外の小さな村へと到着するのだった。生き残ったのはボイス二等兵をはじめとする4人の兵士たち。教会にナチスが建てたという電波塔を速やかに破壊せよという命令を果たすため、彼らは偶然知り合った村娘の民家を隠れ家にしてそれぞれ任務遂行への道を探る。だが、目的の教会へと忍び込んだボイス二等兵は、そこで驚くべき光景を目にするのだった――。悪魔のようなナチスの科学者たちは、村人たちを材料に恐るべき実験を繰り返していた。なんと彼らは死人たちを蘇らせ、死をも恐れぬ兵士を創り上げようとしていたのだ!圧倒的に困難な状況の中、甦った死人軍団を相手に何とか任務遂行を目指すボイスたちだったが…。対ナチスの戦争ものとゾンビパニックものの奇跡の融合というアイデア一発勝負のそんな本作、戦争もののグロにゾンビもののグロを掛け合わせるというアイデアはけっこう新鮮で、このグロの相乗効果はなかなか良い感じでした。全体的に演出のキレも良く、特に冒頭ナチスの猛攻を受けながらのパラシュート降下シーンはかなりの迫力で摑みはばっちり。中盤、主人公がナチスのうじゃうじゃ居る教会内へと忍び込むシーンなども緊迫感があって普通に楽しかったですし。ナチスの人体実験と言うよく考えればけっこう不謹慎な内容ながら、これがなかなかゾンビものとよく合う。粘液質な液体からゾンビがぬるぬる出てきたり、首だけの女性がまだ生きていたりと、その手の映画のツボはちゃんと押さえられていたのもポイント高いです。ただ、さすがに後半脚本に突っ込みどころ満載なのが本作の残念なところ。あの村娘の家に囲われていた叔母ゾンビは、いったい何のために出てきたのでしょう?クライマックスは設定のむりむり加減がたたってだいぶ破綻しかけちゃってます。そもそもこの兵士たちが何のために戦ってるのか観ていていまいち分からなくなってくるので、物語としてのカタルシスがかなり弱い。電波塔破壊かゾンビ殲滅か、焦点をどちらか一本に絞るべきでした。とはいえ、エンタメ映画としてはある一定の水準に達しているので何も考えずに観る分にはぼちぼち楽しめると思います。
[DVD(字幕)] 6点(2020-03-01 00:35:07)
16.  オーシャンズ8 《ネタバレ》 
伝説の大泥棒ダニー・オーシャンの妹、デビー・オーシャンとその8人の仲間たちの華麗なる〝大仕事〟を描いたクライム・エンタメ作品。まあいわゆる『オーシャンズ11』の女性版スピンオフ作品なんですが、本家と同様に主演陣が超豪華!サンドラ・ブロックをはじめ、ケイト・ブランシェットやヘレナ・ボナム・カーター、アン・ハサウェイなどといったハリウッドを代表する新旧の超有名女優がキャスティングされ、もうそれだけで華やかで画的には観ていられます。でも、内容の方は正直イマイチ。脚本が充分練られていないため、こういう映画に最も必要なハラハラドキドキ感がまったく足りていません。わりかし簡単に物事がうまくいきすぎちゃうんですよね~。もっと手に汗握るスリルというものを僕は味わいたかったですね。映像はゴージャスで華やかだっただけに残念!
[DVD(字幕)] 5点(2019-05-25 21:28:17)
17.  女は二度決断する 《ネタバレ》 
ドイツのトルコ人街で小さなオフィスを構える夫とともに、ささやかながらも充実した毎日を送っていたカティヤ。もうすぐ7歳になる息子と一緒にこれからもっともっと幸せになるはずだった。そう、あの日を迎えるまでは――。子供を夫のオフィスに預けた直後、道端に仕掛けられた爆弾が爆発し、彼のオフィスが全焼してしまったのだ。急いで駆け付けたカティヤに告げられたのは、とても信じられないような残酷な事実だった。「そんな、私の愛する家族を返して!」。その日から、独りぼっちになってしまったカティヤの苦難の日々が始まる。酒や麻薬に溺れ、絶望に浸るような毎日。ついには自ら死を選ぶほどに追い詰められたカティヤ。だが、そんな彼女の元に一本の電話が入り、犯人と思しき人物が捕まったと知らされる。容疑者は人種差別主義を公然と叫ぶようなネオナチの夫婦。正義と復讐のために裁判を見守ることにしたカティヤだったが、運命は何処までも残酷な事実を彼女に突きつけるのだった…。ある日突然、爆弾テロによって家族を失ってしまった一人の女性の苦難の遍歴を綴った魂の記録。とても重たい物語ではあるのですが、監督の群を抜いたストーリーテリングと細部にまで拘ったであろうディテールの確かさ、深刻なテーマを真正面から見つめた冷徹な姿勢等によって最後まで惹き付けられて観ることが出来ました。何より主人公を演じたダイアン・クルーガーの真に迫った熱演が素晴らしい!ある日突然、大切な家族を失って苦悩する母親を見事に演じ切っていて、まるで鋭い刃で全身を弄られているかのような痛々しさに胸が押し潰されそうでした。そうして始まった裁判シーンも法廷劇として一級の出来で、画面の隅々にまで漲る緊張感は息を呑むほど。自分がしたことなど露ほど悪いと思っていないだろうネオナチ夫婦の不気味さや、職務とは言えまるで被害者が悪いとまで言いかねない言説を繰り返す弁護士の嫌らしさもしっかりと描き切っています。そうして言い渡される判決と、母親が下した二度の決断――。敢えて賛否が分かれるだろうこのラストにした意図は分かるのですが、僕はどちらかというと否の立場ですね。これではやはり憎しみの連鎖に終わりは見えないし、この重たい物語には少しでも希望が欲しかった。それでも敢えてこのラストにするのであれば、最後に僕はもっと主人公と犯人との対話が見たかった。何故ならその対話の中に、この憎しみの連鎖を超えられるような、何らかの思想的希望を僕は少しでも見出したかったから。
[DVD(字幕)] 7点(2019-05-04 22:48:06)
18.  オンリー・ザ・ブレイブ 《ネタバレ》 
森林消防隊として次々と起こる山火事の消火活動とその訓練に明け暮れる男たちの死闘を実際の事件を基にして描いた災害アクション。男臭い無骨な隊長役をジョシュ・ブローリン、夫を献身的に支える妻役にジェニファー・コネリー、他にもジェフ・ブリッジスといった豪華な面々がキャストを務めております。熱気がこちらにまで迫ってきそうなほどリアルに再現された山火事のシーンなどはなかなか迫力があり、映像面ではけっこう頑張っていたと思います。ただ、いかんせん無駄なシーンが圧倒的に多い!!トータルで130分あるこの映画の中で3分の1はほぼいらんシーンだったと言っても過言ではありません。実話を基にしたという本作、思いっきりネタバレしてしまうと隊長をはじめとする19人の主要メンバーは最後、全員殉職してしまうのですが、監督は恐らくこの重い事実に相当引きずられてしまったのではないでしょうか。彼らの生きた証を少しでも多くの人に伝えたいと思うあまり本来ならカットすべきシーンもなかなか切れず、結果としてだいぶ間延びしたストーリーになってしまってます。隊員たちの休日のバーベキューシーンやバーでのだらだらしたシーンを延々見せられても、正直興味ありませんって!クライマックス、ようやく山火事のシーンが始まってこれから盛り上がるぞってなったのに、そこは意外にあっさりと終わらせるのもいかがなものか。誤解を恐れずに言えば、いくら重い事実を基にしているからと言ってもこれは映画です。物語としての面白さを二の次にするのは違うと思います。人の心に届いてこそだし、そのためにはいらないシーンはバッサリ切る覚悟も多少の事実の誇張も必要でしょう。それでこそ、死んでいった彼らも浮かばれると思うのですが…。誰にも知られることなく、常に死と隣り合わせの困難な仕事に従事している彼らのような人たちの思いは充分伝わりましたが、残念ながら映画としてはいまいちだったと言わざるを得ない作品でありました。
[DVD(字幕)] 5点(2019-04-06 23:15:26)
19.  オリエント急行殺人事件(2017) 《ネタバレ》 
アガサ・クリスティーの古典的な推理小説を豪華な俳優陣を配して再映画化。原作は読んだことなかったので、まっさらの状態で今回鑑賞してみました。それが良かったのか、反則すれすれの真相も含め、僕はけっこう楽しめました。基本は密室劇なので、実力派の役者陣の織りなす演技合戦は普通に見応えあり。まぁ古典なので新しさは一切ありませんが、こうゆう安定感もたまにはいいかもです。
[DVD(字幕)] 6点(2019-03-29 22:47:08)
20.  大いなる遺産(1998) 《ネタバレ》 
チャールズ・ディケンズの古典的な小説を現代のニューヨークに置き換えて描いた大河ドラマ。画家志望の青年の半生を、個性豊かな人々との様々な繋がりを通して描いていきます。昔の小説を現代に現代に置き換えているのでやはり多少の違和感があるのですが、本作のポイントはその違和感をこれも味だと受け入れられるかどうか。うーん、僕はそこまで嵌まらなかったですかね。面白かったですけど、そこまでって感じでした。とはいえロバート・デ・ニーロの謎めいた脱獄囚役とか、主人公の少年時代の噴水場でのエロティックなキスシーンだとかはとても印象に残りました。
[DVD(字幕)] 6点(2019-03-29 22:25:19)
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