41. バーニング・クロス
《ネタバレ》 掘り出し物とはこーゆー作品を言うのでしょう。とにかく殺し屋ピカソの存在感がすごい。 アレックスの愛する奥さん。トミーの愛する彼女。まさかどっちも殺しちゃうなんて、夢にも思わなかったのでなかなかショッキング。あんまりこーゆ、いかにもアクション映画的なアクションで、泣いたことがなかったのですが・・・ まあこの映画のクライマックスはアレックスが復讐を決意するまでのシーン。そこから先は・・・普通のサスペンスアクション。サスペンス感は前半のほうがあったかなぁ。後半の電車のくだりはなかなか面白かったけど。完全に読めたけど出会い頭の車ドーンも良かったですね。ただそれでトミーが戦闘不能になるのはバカすぎるでしょ。 ピカソがやったことに対し、高いところから落としてはい、終わり、は少々カタルシスに欠けます。 サディスティックな野郎には、よりサディスティックな最期を用意してこそ溜飲も下がるというもの。 守るべきはずのメルシエ(ジャン・レノ)が黒幕だったことは少々驚きですが、なにしろこの人出番少ないから。出番少ない人をやりこめても復讐のカタルシスは得られないのでした。 この映画も昨今のアクションと同じでアップの多用と細かいカット割り。何が起こっているのか目で追うだけで疲れちゃいます。それがなければ8点なのになぁ・・・。 [DVD(字幕)] 7点(2023-04-16 22:14:46) |
42. パッセンジャー(2016)
ええー?許せるかなー?どーかなー?いや、許せないでしょ、やっぱり。 ただジムも純粋に被害者なんですよね。もちろんだからといって他の人を道連れにしていいわけはありません。ですが、最初目覚めたのが自分一人だと気づいていなくて、鏡の前でウキウキしているところから、その後あまりに残酷な現実をたたきつけられたジムに同乗の余地はあるかと思います。 オーロラに真実がばれたとき、正直に認めたのは潔し。その後のオーロラのキレっぷりも良い。寝ているジムを殺しそうな勢いで殴る蹴る、いや、鈍器で本当に撲殺寸前までいっています。そーです。そんぐらいキレてもらわないと。 自分がジムと同じ状況になったら、気がふれてしまうかもしれません。無人島であれば、まだ誰か助けに来てくれるかもしれないという希望がもてます。ですがジムの状況ではそれすらもかなわない。ひとカケラの希望もない。それが最も辛い。 オーロラを目覚めさせたこと。そしてそのことを隠そうとしたこと。この2つは絶対に許されません。ですがその2点を除けばジムはいたって常識人。善良と言っても良いでしょう。 終盤ではジムの本来の善良さが炸裂します。贖罪の意味もあったのでしょう。オーロラと宇宙船を救うために自らの命を犠牲にしようとします。そして奇跡的に一名をとりとめた直後、今度はオーロラをもう一度コールドスリープに入れようとする。もう自分の事は二の次。オーロラの事だけを考えて行動しています。私は、ジムが自分がやってしまったことを心から後悔しているのだと感じました。 私はジムがしでかしたことは許せませんが、ジムという人間は許せそうです。 そして映像は美しく、映画は面白かった。 [ブルーレイ(字幕)] 7点(2022-06-15 03:59:07)(良:1票) |
43. ハッピーログイン
《ネタバレ》 三者三様の恋愛ドラマ。 売れっ子の俳優と気の強い脚本家。部屋を借りた男とその物件のオーナー兼CA。難聴の作曲家とその事実を知らない女性。 最初は安っぽいドラマを見ているようであまり面白さを感じず。しかも登場人物が多いうえに脚本家とCAが似ていて少々混乱。人間相関図を頭の中で整理するだけで一苦労。 ただ、中盤くらいからがぐっと面白くなります。 こーゆーオムニバス形式のものっていうのは一組くらいつまらないものがあるものですが、今作では三者三様、それぞれが良い味を出しています。 コメディ色が強いのは部屋を借りた飲食店経営の男と詐欺被害にあったCAの組み合わせ。何かと笑わせてくれる二人です。 難聴の作曲家とその彼女は一番若いカップル。衝突が少なく、最初からうまくいきます。ですが作曲家の若者は難聴である事実を言い出せないでいます。応援したくなる二人です。 俳優と脚本家の組み合わせはその中間といったところでしょうか。 それぞれの恋愛が直接からむことはありません。ですので、前半はともかく、中盤あたりからはすっきりして見やすくなります。 それぞれの恋愛が絡むことはありませんが、それぞれの生活の中でさりげなく他の人たちと接点がある構成に遊び心を感じます。 最後は全員にハッピーエンドが訪れる最高の結末。 エンドロールで映し出される三組のその後は見ている側も幸せな気分にさせてくれる最高のエンディングでした。 [DVD(字幕)] 7点(2021-10-18 03:07:54) |
44. パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々
《ネタバレ》 こーゆー無邪気にビジュアルで楽しませてくれる映画は好きです。 英語の先生が悪魔みたいなのに変わるシーンに始まり、ミノタウロス、ハデス、メデューサ、ヒドラと有名なモンスターや神が盛り沢山。もうそれだけでテンションが上がります。 きれいなCGを駆使したアクションや映像も申し分なし。冥界のビジュアルが何気に良かったです。 ミノタウロスが投げた車が飛んでくるシーン、ヒドラとの戦いのシーン、どれも迫力ある画で大満足。メデューサの蛇の質感やばいです。 現代社会の中で神話の神や怪物が戦うっていう設定は凄くわくわくするものですが、実際にはパーシーたちと現代社会とのつながりがほとんど描かれなかったのがもったいない。ニュースでパーシーとお母さんに関する偽情報が報道されたくらいでしたね。 また、半神ならではの特殊能力を披露したのがパーシーのみってのがちょっと寂しい。 まず訓練所にいる半神の数が尋常じゃない。あまりに多すぎて『半神』という特別感が薄れる。それぞれ何らかの神の子供なわけだから、その神ならではの神通力みたいなもんがあっても良さそうなもんです。中世の格好してひたすらちゃんばらごっこじゃあ、なんかそーゆーのが好きなオタクの集まりにしか見えません。 とまあ最後にちょっとケチつけちゃいましたが、個人的には非常にアリなエンターテイメントムービーです。 [ブルーレイ(字幕)] 7点(2021-05-11 04:25:31) |
45. バタフライ・エフェクト3/最後の選択
《ネタバレ》 過去改変第3弾。今回の主人公は『火事の中から妹を助ける』『恋人の浮気相手の冤罪をはらそうとする。』『連続殺人鬼をとめようとする』と、不良な見た目とは真逆の善人ぶり。このシリーズって結構主人公が善人で優しいから好き。要領が悪くて全然うまくいかないんだけど、善意から行っていることなので全面的に応援したくなります。ですのでうまくいかないと、こっちもいっしょにやきもきするし、落ち込みもします。 正直3作品中一番整合性やらルールやらは曖昧。 クライマックスなんて、氷も風呂も電源コードもなしに過去に行っちゃって、いつの間にか何でもアリになっちゃってます。 まあいいですけどね。そのへんの杜撰さはこの際目をつぶりましょう。 そんな些細なことより、ストーリーとテイストが私好み。 両親を犠牲に、妹を助けたことで殺人鬼が生まれてしまうなんて最高です。 結局もう一度過去に戻り、最初の過去改変を無かったことに。未来をあるべき姿に戻します。 とは言え、いかれていたとはいえ、あれだけ自分を慕ってくれて助けてくれた妹を見捨てる決断はやはり切ない。いつも通りの切ない余韻を残しつつ、いつもとは違う味わいのハッピーエンド。 だからさ、最後の猟奇的な未来を予感させるエピソードはいらないのですよ。これを蛇足というのです。 [DVD(字幕)] 7点(2020-08-16 02:20:13) |
46. バタフライ・エフェクト2
《ネタバレ》 かなりたたかれまくっている本作。個人的には結構面白かったです。 『過去改変』ってのに憧れがある自分としては、この設定はツボなんです。最後まで目が離せないくらいには面白いと思うのですがどうでしょう。 前作よりストーリーは簡潔。コンパクト。小粒な作品が好きな自分とは相性が良い。 2回目の過去改変エピソードは強引かもしれないですね。 大手取引相手との会食でうまくいったように見えたのに、その翌日には社長から破産を告げられる。いったい何がどーなっているのかさっぱり。何か見逃したのだろうか。 わけがわからぬまま、三度目の正直。クライマックスは前作同様愛する彼女との別れを選択。 正直前作は切なすぎるラストだったので、2作目はもっとお気楽ハッピーエンドにしちゃっても良かったんじゃないかと思える今日この頃。 [DVD(字幕)] 7点(2020-08-12 03:56:21) |
47. ハプニング
《ネタバレ》 突然アメリカのある都市で起こる正体不明の集団自殺。別の作品に収録されていた予告にひかれて、見ちゃいました。 劇中で『植物は化学物質を作り出し、それを放出する』という論が出されます。そこから発展させたエリオットの『人数が多いと攻撃される』という論。ここで『犯人は植物説』が主流となり、回避方法として『少人数での行動』が提案されます。ところが、別行動をとっていた女の子の父親は6人くらいの少人数グループであったにも関わらず、自殺しちゃってます。つまり、エリオットの仮説は早い段階で疑わしいものだとわかります。また、終盤1人で自殺したおばあさん。それを目撃したエリオット。自説の間違いを感じ取ります。 最後まで原因はわからずじまい。物語は突然終わりを迎えます。 巷では『やはり植物犯人説』『負の感情説』『間引き説』などいろんな仮説が飛び交ったようです。 個人的には、この作品を見ると『鼠の集団自殺』を思いだします。現在は否定されていますが、鼠は数が増えすぎると、集団自殺をすることがあると考えられていました。これは食料がなくなり種が絶滅することを防ぐためだそうです。自然界ではえてして、『種の保存』のため『個』が犠牲になることが往々にしてあるみたいです。 私が中学生のころ、『地球の人口は52億』で覚えさせられたものですが、いまや70億を超えています。凄いペースです。 劇中、『微積分、微積分・・・』を繰り返しながら電話先で自殺しちゃう女の子。車中で数学教師が出した『1日目10セント、2日目20セント、3日目40セント、・・・さて、1ヶ月後はいくらくらいになるでしょう。答えは1億ドルを超えます。』という問題。これを人口にあてはめるとどうでしょう。 例えば『種の保存』のためのボーダーライン、人類は70億が限界とします。それを突破したとき、自動的に人類は5000万人の集団自殺により、『種の保存』を行います。このとき『個』は失われます。それは生命には自分の命を守る本能があるため、その本能を一時的にシャットダウンする必要があるためです。 まずは大都市からスタートし、大幅な人員削減を行います。その後、人口の少ない田舎で少しずつ数を減らします。目標数を超えたところで、この減少は終わります。もしかすると最後のおばあさんで、69億5000万人になったのかもしれませんね。 そう考えると劇中『大都市から田舎へと範囲を広げている・・・』のヒントには一応合致します。 また、エピローグの3ヶ月後。この間にも地球の人口は増え続け、再び70億人を突破します。アルマの妊娠。これは人口があれからも増え続けてきたことを示唆しているのでは。そして今度はフランスで目標5000万人の集団自殺がスタートします。 [ブルーレイ(字幕)] 7点(2020-05-05 05:33:57) |
48. バイオレンス・レイク
《ネタバレ》 某不条理バイオレンス作品と比較されがちなこの映画。予備知識があったのも幸いしたのか、あちらほどの衝撃は受けず。こちらは多少なりとも反撃するし。生意気な女の子が車で轢死されたときはちょっとスカっとしますしね。 ただ女性が奮い立って最初に殺しちゃったのが、よりによって一番気の弱いボーヤ。主犯格のリーダーはのうのうと生き延びちゃう。そしてその父親が彼のしでかした事実を、女性の死をもってもみけそうとする最悪のラスト。証拠となる映像を携帯から消去して終幕。いやー、ここまで徹底して悪意に満ち溢れていると、逆に清々しいですわ。 少年グループの犠牲者を数えてみる。まずはリーダーに火をつけられちゃったいじめられっ子。女性に刺されちゃったボーヤ。車でひかれた少女。よくわからんのは、リーダーにぼこぼこにされた少年。だいぶやられていましたが、これは殺された・・・ってことで良いのだろうか。ラストで、『メルが殺された』って母親が泣いています。『メルって誰だっけー』って、そこをはっきりさせてほしかったです。 とまあ多少のわかりにくさはあるものの、スリル満点映画であることは間違いありません。なにせ90分があっというま。テンポの良いバイオレンスホラーは言うことなしです。バッドエンドすぎて、高い点数はつけたくない心理がはたらいちゃって、7点。つまりこの7点はほぼ10点と変わらないかもしれません。 それにしても『子供が相手』ってのは、盲点ですよね。不穏な空気を纏った大人たちに車のタイヤをパンクさせられたら迷わず警察に行くでしょう。ですがスティーブはそうしなかった。それは相手が子供だから。それに対しこちらは立派な大人であり社会人。油断や慢心。子供といえど、十分注意せにゃいかんですな。違法行為を発見したらまずは警察へ、ですね。でもこんな土地の警察だったら、通報したところでやっぱりバッドエンドになりそうな気も・・・。 [DVD(字幕)] 7点(2020-03-16 00:01:34) |
49. ハッピーフライト(2008)
《ネタバレ》 たとえコメディとはいえ、あまりにもレベルの低い仕事を見せられては、気持ちが入っていきません。それが前半。 『子供にりんごジュース』『白ワイン』『ヘッドホン』『雑誌』『酔い止め』たったそれだけの注文くらい覚えていてほしい。で、そんなことで怒られて泣くなよ。そんな綾瀬はるかが高校生に『CAはやめたほうがいいかも』って言ったときは開いた口が塞がりませんでしたね。こーゆーやついます。仕事ができないくせに、失敗したり嫌なことがあったりすると、『職場が悪い』『環境が悪い』と周囲のせいにするやつ。私は一流企業に勤めているわけではありませんが、この人の十倍のスピードと十倍の責任感と、十倍の誠意をもって仕事に取り組んでいます。 田辺誠一さんも好きな役者さんなのですが、この役柄はいまいち。たとえ候補生とはいえ、こんな情けなさ過ぎる人がパイロットになれるわけがありません。感情的になりすぎだし、精神年齢低すぎ。ちょっとコメディ寄りに演技過剰な気がします。ワイパーとエアコンのスイッチ間違えんなよ。そんな人が操縦桿握るんじゃないよ。 と、前半は文句しかなかったのですが、『何か翼に血みたいなのがついているんですけど。』というお客さんの指摘から一転、物語は急速に面白くなります。飛行機がUターンして羽田に戻るまで、各部署のスタッフ全員が、それぞれの持ち場で仕事を遂行する姿。実に良い。すべては飛行機を無事に着陸させるために。『お仕事ドラマ』としてなかなか見応えがあります。 こーゆージャンルの作品って『CA』『パイロット』『客』くらいしかスポットが当たりそうにないんですが、『グランドスタッフ』『メカニック』『管制塔』『運航管理者』にまでスポットを当てているのは面白い。 飛行機一機飛ばすのに、これだけ大勢の人が関わっているのだとしみじみです。 [ブルーレイ(邦画)] 7点(2020-02-19 13:55:33)(良:1票) |
50. ハロウィン(2007)
《ネタバレ》 旧シリーズは多分全部見ています。オリジナルに対するリスペクトを感じるリメイク感。それにマイケルの少年時代をプラスする現代風アレンジ。マイケルの少年時代を描いちゃうことに賛否あるかもですけど、個人的には良かったと思います。クズな家族やいじめっ子を殺してまわるのは、不謹慎だけど爽快ですらありました。 殺し方もなかなか残酷。手抜きなし。容赦なし。 後半に入ると完全に良く知る『ハロウィン』テイスト。警官達を皆殺しにしたあと、ダニー・トレホまで容赦なく殺しちゃったのはさすがマイケル・マイヤーズ。ダニー・トレホが『親切にしてやっただろう』と泣きながら訴えるシーンは胸が痛いです。 街中で遠くからローリーを見つめるシーンは、怖さより懐かしさを感じて嬉しくなってしまいます。音楽もオリジナルと同じでテンション上がります。80年代のホラーテイストがたまらないです。その上で、恐怖演出、グロ描写などは刺激に慣れちゃった現代の人たちでもしっかり怖いと思えるような完成度。 文句なし。って言いたいところですが、ローリーがちょっとうるさすぎるかな。居場所がばれちゃうでしょ。ヒロインは品行方正かつ最低限の知性は兼ね備えていてほしいものです。そこだけ大きくマイナス。でも楽しかったです。 [ブルーレイ(字幕)] 7点(2020-01-27 02:32:04) |
51. バッテリー
《ネタバレ》 さらりと見られる青春ストーリー。スポーツ。友情。恩師。ライバル。淡い恋愛。家族愛。青春映画に必要な要素はあますところなくほぼ網羅。そしてセオリー通りの展開。だからこその良さがあり、だからこその物足りなさも感じる作品です。 原田巧役、弟の青波役の子役はあまり演技がうまいとは思えなかったです。でも二人のビジュアルは最高だし、巧のクールなキャラは好き。巧の『孤独な野球』の背景にぴったり。で、周囲の友人達、これが良かった。豪ちゃん、寺の息子、すし屋の息子。脇役ながら結構な出番数で、個性もばっちし。それでいて自然体な演技なので感心します。更には岸谷五朗や萩原聖人などのベテラン俳優陣を父親、監督役に据えたことで、映画のクオリティが一段上がっているように感じます。 キャスティングは◎。ストーリーは△といったところでしょうか。 ストーリーに関しては、原作が小説や漫画の場合の製作の難しさを露呈する結果になったように思えます。 『どこを取捨選択するのか』は、原作者が映画製作に加わるとより難しくなるのかもしれません。個人的にはチームやバッテリーの練習シーン、ライバル校以外の他チームとの遠征試合などを盛り込んでほしかった気がします。少年漫画の影響で、『無名の天才ピッチャーの投球で会場がどよめく』というお決まりのシーンがどうしても見たくなっちゃうのです。本作には残念ながらありませんでしたね。 同級生の繭なんかは後半全然出てきません。巧ともからまなくなります。だったら淡い恋愛要素なんてまとめて削除してその分を野球にまわせば良いと思うのですが、そばに原作者がいるとなかなかそうもいかないのかもしれません。 こーゆー映画によくあるスローモーションがほとんどなかったのは大変良い。子役達の野球シーンも、素人目に見ても全く違和感なく感心です。 [DVD(邦画)] 7点(2019-07-11 15:05:05)(良:1票) |
52. HATCHET/ハチェット
《ネタバレ》 こーゆー昔ながらのテイストを守り続けているホラー映画は大事。やたらリアルな死体もあれば、もう作り物まるだしの死体もあって、そーゆーB級感が結構好き。一番近いのは『13日の金曜日』でしょうか。小心者の自分はこんな小粒のお化け屋敷みたいな作品でも十分ドキドキできて楽しいです。 でてくるのは畸形の殺人鬼1人だけ。そんで攻撃が効きます。『攻撃が効く』ってのは単純だけど大事。銃が効く。火も効く。キックさえ有効。何とかなりそうって思えちゃう。何とかなりそうだからこそ焦る。この焦りが恐怖を2割増ししてくれます。 で、こーゆー映画は『出てきているとき』より『出てきていないとき』のほうが怖いもんです。『いつ』『どこから』でてくるかわからない恐怖。これがパニック系ホラーの醍醐味。とはいえ、この作品はその辺の雰囲気づくりはどーでもいいみたいです。いきなりドアバーン、がおー、ですもんね。どちらかというと、スプラッタ好きのためにスプラッタに力を入れている印象。それこそいろんなバリエーションを見せてくれます。楽しい。 後半は結構単調な追いかけっこになっちゃいましたが、それでもまあ割りと楽しんじゃいました。ただそんなに険しそうでもない森から誰も抜け出せず、何回も小屋に戻ってきちゃうってのは、いくらなんでも無理矢理すぎて好きじゃない。『どうしても逃げられない。闘うしかない。』ってのを、もう少しうまく見せて欲しい。 ラスト唐突に終わるのは少々ビックリ。でもこれはこれでアリかも。もしかするとメリーベスだけあそこから助かったかもしんないし。ビクターはワニに食べられちゃったかもしんないし。解釈の仕方次第で無理矢理ハッピーエンドにできます。 [DVD(字幕)] 7点(2019-05-13 04:24:02)(良:1票) |
53. ハイテンション
《ネタバレ》 『ハイテンション』の名にふさわしい緊張感。これはもう心臓に悪いなというのが正直な感想。ホラー映画の定石を踏みつつ、あえてすかすシーンを入れたりと、緩急のつけ方がうまいです。 冒頭20分は、なんにも起きないのですが、ホラー映画特有の不穏な空気作りはできています。そして、謎の男がチャイムを鳴らしてからがこの映画の真骨頂。次々と襲われる友人家族。そして主人公が男に見つかるか、見つからないかの攻防が延々と続きます。ホラー映画を見るときに思う、『自分ならどう動くか』『どこに隠れるか』を存分に堪能できます。『見つかれば終わり』というシチュエーションはある意味史上最恐です。その緊張感が続く限りは、そのホラーは傑作になりえます。そういった意味で、この作品はお手本のような作品と言えるでしょう。 これだけホラーとしての力がある作品であれば、奇をてらう必要も、どんでん返しを狙う必要もありません。ラストのオチが、『残念』『欲張りすぎ』という意見が多いことには私も納得。このオチを知ってしまうと、終始『主人格』と『別人格』の主導権争いだったのかと、別の側面も見えてきます。それはそれでまた違った味わいの面白さがあるのかもしれませんが、その面白さがこの作品にとってうまく機能しているとは思えません。よってこのオチはやはり蛇足なのでしょう。ホラー映画としては傑作の部類にはいります。特に、家の中でのかくれんぼにおける恐怖体験の恐ろしさは異常。ある程度ホラーに耐性のある方じゃないときついと思います。 [DVD(字幕)] 7点(2017-12-12 09:58:28)(良:2票) |
54. パニッシャー(2004)
《ネタバレ》 原作はアメコミ。なるほど。知らんかった。謎のロシア人。ギター男。ちょっと変だとは思ったんです。でも、もとがアメコミならそれも納得。 家族を皆殺しにされる序盤。予備知識がないので、これは凄惨な復讐ものだと思いながら鑑賞。装備を整え、いざ、粛清。と思ったら、あらら、なんだかテンポがあまりよろしくないですね。 個人的に、『復讐もの』には、『哀しさ』と『怒り』が絶対必要。ですが、フランクから『怒り』や『哀しさ』が、思っていたほどには伝わってこない。正直、もっと悲しんで欲しい。もっと、怒り狂ってほしい。で、圧倒的な負のエネルギーを爆発させて、ぐっちゃぐっちゃにしてほしかったです。だからこそ、カタルシスを感じられると思うんですよね。 アパートの変な住人達との心温まるエピソード。変なロシア人とのコメディタッチな乱闘。どれも個人的には不要です。 序盤の心温まるシーンと、復讐のギャップ。そこを期待しちゃうわけです。復讐の最中に、隣人とのほのぼのエピソードもってこられると、せっかくの熱が冷めてしまいます。変なロシア人で、笑いに転化してほしくないですね。 それだったら、自分を助けてくれた呪術師のおっちゃんに、なんか黒魔術の呪いなんか受けちゃって、暗黒パワーで復活とかにしてくれたら、もっと割り切って見れます。 まあ、いろいろ言いましたが、結局最後まで飽きずに楽しんでみちゃったので、エンターテイメントとしては及第点だと思います。 [ブルーレイ(字幕)] 7点(2017-12-03 02:19:33) |
55. ハンテッド(2003)
《ネタバレ》 こいつはしぶいぜ。ってゆー感じの作品。 冒頭こそ戦争シーンで始まりますが、それ以降はひたすら『追いかける』『逃げる』、これの繰り返し。こんなに単純明快なプロットはないです。そして単純がゆえの面白さがあります。90分、全然飽きないのがその証拠。 この映画では、ハラムの動機、L.Tの思い、そういったものを多くは語らないのが特徴。とても硬派。語らない、だけど伝わってくる。なぜ殺人マシーンになってしまったのか。なぜL.Tは彼を追いかけるのか。そこにはきっとハラムをそうしてしまった責任を感じているL.Tがいるのでしょう。それをL.Tの回想シーンでそれとなく伝えてくる演出がまた渋い。 サスペンスアクションとしての緊張感もなかなか。ハラムは『逃走』と『狩り』を同時に行う兵士。彼だけまだ戦場にいるかのような緊張感。当然、ハラムを追いかけている人間達は、同時にハラムに襲われる可能性があるということ。この緊張感がたまらないですね。地下での攻防は最高にエキサイティング。シティサスペンスが好きな自分にとっては街中での追いかけっこも手に汗握ります。いつの間にか、自分がハラムだったらどう逃げるかまで考えちゃいます。 派手さはない。新しくも無い。地味だし、『見所はどこ?』って聞かれれば、ちょっと困る。でも地味に手堅く面白い、こーゆー映画が結構好きです。 [DVD(字幕)] 7点(2017-09-23 03:48:45) |
56. ハウス・オブ・ザ・デッド
《ネタバレ》 かなりゲームを意識しているので、アクション要素が凄く強いです。要所要所では、ホラー映画なりの緊張感もあって、個人的にはかなり面白いです。 ゾンビは大分人間っぽい。だめではないけど、期待していたゾンビじゃないです。 ただのパーティーピーポーだった若者達が、武器を持った瞬間ランボー化する。この悪ノリは嫌いじゃありません。むしろ、ガンシューティングの映画化であればこその、ぶっとんだ内容に満足です。 一人一人、見せ場(死に場)が用意されているのはgood。テンポは良いし、緩急もあるし、バランスも悪くない。 それになにより、この作品を作った人達が、本当にこの元ネタのゲームが好きなんだと伝わってきて、なんだか嬉しくなっちゃいますね。 [DVD(字幕)] 7点(2017-07-20 14:13:03)(良:1票) |
57. バイオハザードIV アフターライフ
《ネタバレ》 『3』よりかは全然好きですね。 メインはアクションですが、ちょっと『謎』アリ、『ホラー』アリ。限定された施設内からの脱出劇。ちゃんと『バイオハザード』していますね。 今作はスローモーションが多め。『3D』で見るぶんにはメリットもあるのでしょうが、『2D』で見るにはスピード感を損なう原因になっているかもしれません。それに、『突然大きな音を出す』『急に背後に現れる』ってのは、ホラーでは最も古典的な手段。ですので、否定はしません。良いと思います。ですが、ずっとそれに頼るっていうのはどうかと思います。これだけの映像技術があるのです。もっと雰囲気や演出、脚本での恐怖演出にチャレンジしてくれても良いのでは、とも思います。 地下の武器庫へ危険を冒して武器を取りに行くシチュエーション、ゲームっぽくて良いですね。大好きですね。やっとたどり着いた先に武器がわんさかあるのはたまらないですね。ただ、せっかく武器を手に入れたのに、その恩恵があったかどうか、いまいちわからないのはもったいなくないですか。あれだけの銃火器を見せたのであれば、次は皆で手に入れた武器を装備するシーンがあっても良いのでは。そんでその武器を使って、ゾンビたちを蹴散らすシーンがあればテンションも上がるというものです。プロデューサーが仲間を撃ち殺した時点で、『ああ、そういう展開にはならないみたいだな』とがっくしです。そこは王道で良いのに。 また、中ボスのような斧男とのアクションは凄く良かったのですが、ラスボス『ウェスカー』との対決はかなり微妙。だってこれじゃマトリックス。しかもクレアとクリスは圧倒したのに、アリスからは瞬殺されるって、難易度設定どうなっているんですか。一番大事なクライマックスが一番手抜きな感じがして残念です。 プロローグの中島美嘉は凄く良かったです。 まとめ。 冒頭の『アリスアタック in Japan』⇒アクションエンターテイメントとして楽しい。 中盤の『プリズンブレイク』⇒バイオハザードっぽくて凄く楽しい。 ラストの『アルカディア』⇒いらん。 エピローグの『ジル・バレンタイン featuring アンブレラ社員』⇒これ見せちゃったら映画じゃなくて連続テレビドラマでしょ。 とゆーことで、文句はあるけど、楽しい映画です。 [ブルーレイ(字幕)] 7点(2017-06-29 23:46:07)(良:1票) |
58. バタリアン
《ネタバレ》 子供の頃、それはそれは怖かったのを覚えています。トラウマになっちゃうシーンも数多く。 ですがこれって、『コメディ』に分類されていることが多くて、『まじかよ。日本人、すげーな。』ってずっと思ってたわけです。 そこで、今回意を決して、過去の弱かった自分と決別すべく、30年ぶりの鑑賞。 なるほど。確かにコメディ要素がありますね。子供の頃は怖くて、それどころではありませんでしたが。 ある意味思い出補正というやつですね。今見ると、グロさ、怖さもさほどではありません。 ですが、大勢のバタリアンに追い詰められるスリル。仲間が少しずつバタリアンになっていく緊張感。古き良きホラー映画の大事なポイントはしっかり押さえてあります。 その一方で、『救急車もう一台』『応援たのむ』と罠をはるバタリアン。道具を使って扉を開けようとするタールマン。斬新な笑いどころが随所にちりばめてあります。 確かにホラーとコメディ。相反する二つのジャンルのトータルバランスが優れている良質ホラーと言えそうです。 『オバンバ』や『タールマン』など、知性はなくても個性を与えられたゾンビがいるっていうのも、この作品ならではでしょう。 それにしても、『走るゾンビ』って『28日後・・・』が初めてかと思っていましたが、この映画、もうすでに走っていますね。しかもしゃべる。ホラー映画のパイオニア。ただし、今の映画みたいにゾンビメイクが凝っていないので、あんまり元気に走り回られると、もはやただのスタッフにしか見えないのが難点です。 『自ら焼却炉の中に入っていく。』『てぃ~な~』『あの音はなんだ・・・』クライマックスでたたみかける絶望テイストはなかなか良いと思いマス。今振り返ると、キッズだった自分はこのたたみかけがトラウマになっていました。さよなら、幼かった私。今見ると、『怖い』『面白い』より、やっぱ『古い』って思っちゃう。最恐の映画『バタリアン』も、時の流れには逆らえないみたいです。 あと1点だけ。この作品って、実は低予算なんでしょうか。『悲劇は繰り返す』の大事なオチの部分が、他のシーンの使いまわしだったのは正直残念です。 [DVD(字幕)] 7点(2017-05-14 10:42:36) |
59. バタフライ・エフェクト/劇場公開版
《ネタバレ》 ジャンルが『サスペンス』『SF』。なるほど。確かにそうかもしれません。ですがこの作品の核は何といっても『ラブストーリー』ですね。昔ドラマで『プロポーズ大作戦』というのがありましたが、それにテイストが似ています。 ただこちらは映画。 1回のタイムスリップエピソードに使える尺は、『過去』+『改変後の現在』あわせて10分~15分程度。 よってひとつひとつのエピソードがもうばたばた。 目まぐるしい展開は、テンポの良さ、スピード感、勢いを生み出す一方で、意外にも『飽き』を感じさせることもあるみたいです。 主人公のエヴァンは、『改変前の人生』+『リニューアル』の記憶が次から次に追加されるので、そのたびに脳が肥大して鼻血ぶー。それはなかなか面白い演出ではありますが、新しい記憶が追加されているのに、自分の手がなくなったことや母親が肺がんになった事実を知らないってのはおかしいのでは?といったつっこみ所は結構ありますね。 こーゆー作品こそ整合性が大切だと思うのですが。どーも肝心なルールが曖昧に処理されている感じがします。 とは言うものの、速い展開が見ている人に考える暇を与えません。よって結局見ている間は普通に面白い。 まあそれでも5点~6点くらいの感触で見ていたのですが、ラストで評価がちょっと上がりましたね。 『みんなの幸福のために、自分の恋心を犠牲にする』皮肉にもそれが、全員が幸せになれる唯一の選択肢であったとは。 エヴァンにとって最も辛いエピソードであるはずの、『爆発に巻き込まれちゃったバージョン』では、エヴァンが過去に戻ろうとしないんですよね。それどころか、自殺しようとします。そしてトミーに言ったセリフが、『君達が幸せならそれでいい。』 ラストの選択といい、他者のために自己犠牲を厭わない、ドラクエでいうメガンテを使う僧侶のようなエヴァン。 その善良さにプラス1点です。 それにしても、タイムスリップ時の、世界ががたがたと揺れるシーンは、何回見てもワクワクします。 タイムスリップの演出は今まで見たタイムスリップ系では一番良いかも。 [DVD(字幕)] 7点(2016-10-21 05:47:24) |
60. ハーモニーベイの夜明け
《ネタバレ》 『愛は霧のかなたに』+『ショーシャンクの空に』+『ハンニバル』+『告発』÷10くらいの作品。 どれも何かの作品で見たようなシーンと小ネタばかり。 ですが面白い。 それはひとえにアンソニー・ホプキンスとキューバ・グッティングJrという二人の俳優の魅力によるところが大きい。 ストーリーそっちのけで、二人のやりとりを見ているだけで面白い。 物語も最初はひきつけられるものがあります。 それは、映画がミステリーに満ちているからでしょう。 『なぜパウエル博士は人を殺したのか。』『何故一言も言葉を発しないのか。』『いったいアフリカで何が起こったのか。』大変興味をそそられます。 その解答そのものは、残念ながら予想の範疇を超えるものではありません。ですが、解答の〝見せ方〟は実に上手いと思います。 特に、初めのゴリラが撃たれるシーンはなかなか衝撃的です。 衝撃的ですが、やはり答えがわかってしまうと、この作品の骨子であるミステリー性がなくなります。 それから先はこの映画の〝落としどころ〟ですが、これがただの脱獄じゃあなんかスッキリしません。 もしアフリカのゴリラを襲った部隊の行為が国際的に違法性のあるもであるならば、もっと別のアクションを起こす展開を見せてほしかった。 諸悪の根源はゴリラを無差別に襲った人々。なのにまるで刑務所が〝悪〟であるかのように、憎むべき対象がシフトしてしまっています。 演出は感動的にしようとしているのに、肝心のストーリーに説得力がないのが残念です。 [DVD(字幕)] 7点(2016-09-29 02:30:19) |