61. バイオハザード: ザ・ファイナル
感無量。臆面なく言わせてもらうならば、満足度は高い。 と言うと、真っ当な映画ファンとしては「馬鹿じゃないか」と思われるだろうが、実際そうなのだから致し方ない。 勿論、この映画単体を指して、エンターテイメント大作の傑作などとはお世辞にも言えるわけがない。 しかし、1997年の「フィフス・エレメント」からの主演女優ミラ・ジョヴォヴィッチの大ファンで、彼女のスーパーヒロイン女優としてのポジションを確立した2001年の「バイオハザード」から今作に至るまでのシリーズ全6作を「映画館」で観た“感染者”として、やはり「感無量」という言葉を使わざるを得ない。 前述の通り、今シリーズにおいては、とうの昔に“感染者”に成り下がっており、最新作に対する真っ当な「期待」などはとっくに無くなっていた。 それでも結果として映画館に足を運び続けた理由の大半は、ゾンビよろしく排他的な「惰性」と、主演女優の美貌を拝んでおかないとという慢性的な「欲情」に占められていたと思う。 そんな感じで、「ああやっぱりイマイチだったな……」だとか、「ああやっぱりジョヴォヴィッチはエロいな……」などと思いつつ、ゾンビのようにフラフラと劇場を後にし続けた。 極めて退廃的である。金も時間も無いのだからもっと良い映画を観ろよと我ながら思う。 だがしかし、その“退廃感”を味わうことこそが、このシリーズを観ることの目的となり、カタルシスにすらなっているように感じていた。 そうして期待感など毛頭なく臨んだシリーズ最終作。 “感染者”ならではの斜めからの視点、そして粘り強く観続けてきたファンとしての贔屓目は大いにあったろう。 「傑作」とは言わない。「佳作」とも言い切ることはできない。ただ、「良かった」と断言したい。 もはやシリーズ通じてのストーリーの整合性などは、端から無いものと高をくくっていたのだが、シリーズ最終作にして、ちゃんとストーリーの収拾をしてくれたと思う。 特に「Ⅲ」以降の迷走ぶりが甚だしかったアンブレラ社の陰謀の真意だったり、ずうっと曖昧で荒唐無稽だった主人公アリスの存在性とその意味が、曲がりなりにも明らかにされたことには、長年の胸のつっかえが取り除かれたようで、快感を覚えた。 当然ながら全く粗がないなんてことは言えるわけもないが、それでも破綻しまくっていた過去作を含んだストーリーの整合性を、ギリギリのところで再構築してみせたのではないかと思える。 また過去作に登場したアンデッドたちを再登場させたり、第一作の舞台となったアンブレラ社の地下研究所“ハイブ”を決着の場として設定するなど、シリーズファンに対してのサービスも嬉しかった。 そして、主人公アリスと共に、長年に渡りシリーズを支え続けた二人の悪役の最期も、非常に印象深かった。 特にアルバート・ウェスカーのラストの情けなさは、一会社員として無性に胸に迫るものがあった。 アイザックス博士の狂科学者と狂信者をミックスさせたラスボスぶりも、その始末のつけられ方も含めて良かったと思う。 と、概ね大満足に近いシリーズ最終作だったが、一つ大きすぎるマイナス要因がある。 それは過去作それぞれの優劣を決める最大のポイントともなっていた要素、即ち“エロティシズム”の有無だ。 第一作「バイオハザード」が成功した最大の要因は、勿論ミラ・ジョヴォヴィッチというスター性に溢れた女優がキャスティングされたことに尽きると思うが、それと同時に、主演女優によるエロティシズムが映画全編を通して全開だったことがあまりに大きい。 「バイオハザード」は、主人公アリスの“半裸”で始まり、魅惑的なコスチュームでアクションを繰り広げ、そして再び“半裸”で終幕したからこそ、唯一無二の娯楽大作として存在し得たのだと思っている。 ミラ・ジョヴォヴィッチが、撮影期間中に妊娠したことも多分に影響しているのだろうし、致し方ないことではあるのかもしれないが、今作において主人公アリスのセクシーカットが皆無だったことは、今シリーズ作に無くてはならない“エンターテイメント”の大いなる欠損だったと思う。 まあこれについては、何を隠そう今作の監督であるポール・W・S・アンダーソン自身が、ミラ・ジョヴォヴィッチの夫なわけだから、憤慨と嫉妬を込めて「ちゃんとしろよ……」と言いたい。 せめて、半裸とは言わないまでも、再び赤いドレスを身に纏ったアリスがコウモリのお化けと対峙するラストシーンで締められていたならば、この満足感は一気に振り切れたかもしれない。 [映画館(字幕)] 7点(2017-01-18 09:27:54) |
62. パークランド ケネディ暗殺、真実の4日間
劇中、“二つの棺”が運ばれていくシーンが、序盤と終盤に対比的に描かれる。 一つは、第35代アメリカ合衆国大統領ジョン・F・ケネディの棺。そしてもう一つは、“JFK”暗殺の実行犯とされたリー・ハーヴェイ・オズワルドの棺だ。 両者の棺を運ぶ者の心情は大いに異なるはずだが、その様はどちらもややぞんざいに扱われているように見える。 そこには、「この棺を運びたくなんてなかった」という、同じ言い回しだけれど全く真逆の意味合いを持つ、それぞれの死に関わった人々の感情が漏れているように見えた。 英雄の暗殺と、その実行犯とされる者の暗殺。この二つの死が人々に与えた影響はいかなるものだったのか。 今作は、偶然にもそれに関わってしまった人たちの心の損失を描き出している。 「JFK暗殺」を描いた映画は多々あるが、この作品の視点は意外にも新しく、それでいて真っ当だったと思う。 他の多くの作品が暗殺にまつわる陰謀説を主軸に描いているのに対して、今作はあくまでも事件現場となった街に居合わせた市井の人々の様を描いている。 そういう意味では、JFKの実弟であるロバート・ケネディ上院議員の暗殺事件を描いた作品「ボビー」にとても良く似た映画だったと思う。 稀代の英雄の死を目の当たりにした人々にとって、本当の犯人が誰かなんて追求する余裕はなかっただろう。 自分たちが住んでいる場所で、世界で最も重要と言って過言ではない人物が殺されてしまった。 ただひたすらに、その悲しみとショックに打ちひしがれるしかなかったのだろうと思える。 その人々の動揺と混乱の中で、もう一人の男が“真相”と共に闇に葬られた。 その男にも勿論家族がいて、市井の人々以上の動揺と混乱を強いられていた。 彼らの死から50年が経過した。 数多くの疑惑と陰謀説は渦巻き続けるが、いまだ真相は闇の中。 いつの日か時代は真実をさらけ出すことが出来るのだろうか。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2015-06-13 00:35:40) |
63. バットマン リターンズ
“バットマン映画”として観るか、“ティム・バートン映画”として観るか、どちらの心構えで観るかで、この映画から受ける“感触”は大いに左右されると思う。 僕は、前作「バットマン」を当然のごとく“バットマン映画”として観てしまったため、その特異な世界観に正直違和感を覚えてしまった。 しかも、クリストファー・ノーランの「ダークナイト」シリーズを観てからの、ティム・バートン版「バットマン」の初鑑賞だったため、両者のギャップを殊更に激しく感じてしまったのだと思う。 というわけで、今回は、初めからちゃんと、ティム・バートン映画として観ることが出来たので、前作よりも随分と楽しむことが出来たのだと思う。 そうして観てみると、このヒーロー映画が、想像以上にティム・バートン色の強い極めて「異質」な映画であることに気付かされた。 数多の論評にあるように、このヒーロー映画には、もはや主人公としてのヒーローは存在しない。 マイケル・キートン演じるバットマンは、一人のメインキャラクターに過ぎず、主人公としてはあまりに存在感が薄いと言わざるをえない。 ただしそれは、決して主演俳優が力量不足なのではなく、風変わりな監督が悪役描写に力を入れ過ぎてしまっているからに他ならない。 監督の興味が、大富豪の蝙蝠男からは早々に外れ、気味の悪いペンギン男と、心を病んだ猫女に集中してしまっていることは明らかだった。 それは、まさに奇異なるものの存在性と生き様を愛するティム・バートン作品に相応しい世界観だった。 善と悪の対立という本来ヒーロー映画にあるべき分かりやすい構図を脇に追いやって、今作はひたすらに孤独な者達の邂逅を描く。 悪役たちは勿論、主人公であるバットマン=ブルース・ウェインも、孤独の中に生きる者の一人だ。 ティム・バートンが、この題材を選んだ理由は明確だろう。 個人的な話をすると、「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」の鑑賞直後に、今作をまさかの初鑑賞。 映画史の文脈を鑑みると、なかなか稀有な映画体験だったと思う。 マイケル・キートンの俳優人生に乾杯!そして、ダニー・デヴィートとミシェル・ファイファーに拍手! [CS・衛星(字幕)] 7点(2015-05-06 17:04:15)(良:1票) |
64. ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団
シリーズ第5作目にしてようやく「ハリー・ポッター」というエンターテイメントの面白味を味わえるようになった気がする。 この物語は、表面を何重にも“お子様向け”のファンタジーでコーティングした飴玉のようなもので、飽きるような甘ったるさを何層も溶かしていくと、やっと深い旨味に到達する。 そしてその旨味に達すると、前の甘さが懐かしく、大切なものだったということに気づかされる。 そんなわけで、物語全体が核心に向けて突き進んでいく5作目で初めて、全編通して鑑賞に堪える面白味を備えた映画作品として仕上がっていると思った。 主人公が両親の敵であり最大の敵であるラスボスに立ち向かっていこうとする様は描いた今作では、そのための礎となる自分自身の確固たる”居場所”と共に闘う“仲間”を見出していく。 そのくだりは極めてベタでストーリー展開として目新しさはないが、シリーズ4作目までの時に回りくどいほどの長い長い物語が伏線となり、ベタさを”王道的”とも言い換えられる説得力を備えていると思う。 世界的人気シリーズの面白味にようやく気づいた反面、やはりこのシリーズは”お子様向け”だと改めて思う。 それは、自分自身がきっちりと“お子様”の頃に、第1作目「賢者の石」を観て、自身の成長と共に各作品を観ていけていたなら、どの作品に対してもその時々に応じた面白味を感じることが出来たであろうと思うからだ。 [ブルーレイ(字幕)] 7点(2011-01-05 13:49:09)(良:1票) |
65. ハゲタカ
《ネタバレ》 「人生は金がすべてだ」、「金が人生の悲劇を生む」それらはすべて正しい。 ただ、自分自身も含めて、日本の、いや世界のその「現実」を、どれだけの人が本当の意味で理解しているのだろうか。 ということを、「ハゲタカ」のドラマシリーズとこの映画化作品を通じて思い続けた。 数年前、この国で立て続けに表立った某IT企業や某投資ファンドによる企業買収劇は、記憶に新しいところだ。 ただし、連日連夜報道されるその様を、一体どれほどの日本人が、自らが息づく国の経済危機を踏まえて見られていただろか。 自分自身もまさにそうだが、一連の騒動を全く別世界の“ショー”でも見るように、無責任に楽観視していた人がほとんどだと思う。 その国民の反応こそが、この国の抱える「危機」そのものだということを、この作品は具現化したのだと思う。 まさにタイムリーな社会性を如実に反映した設定、そこに映画ならではの娯楽性を加味した世界観は巧みだった。 経済情勢に全く疎い者でも、作品の中で巻き起こる顛末と現実の社会での出来事がみるみるリンクしていき、リアルな危機感と焦燥感に繋がっていく骨太な作品だったと思う。 玉山鉄二が演じた中国系ファンドマネージャーの悲哀が、この映画化作品の最たるポイントだった。 世界の底から生き抜き、憧れ続けた日本車メーカーの買収に心血を注ぐ様、そして、最期の最後まで金を拾い続ける様には、ドラマシリーズを通じたこの作品の「真意」が表われていたと思う。 金にまつわる人間の業、そして、罪と罰。 それは、決して否定することが出来ない人間の宿命なのかもしれない。 [CS・衛星(邦画)] 7点(2010-08-18 12:07:01) |
66. パッセンジャーズ
《ネタバレ》 「驚き」を売りにしたサスペンス映画を見る時は、出来る限り雑念を消し去って、目の前に展開される「場面」にのみ集中することが、幸福な映画ライフを送るためのポイントだ。 主演のアン・ハサウェイの愛嬌のある演技に一喜一憂しながら、用意された顛末に素直に“驚きたい”映画だったと思う。 悲惨な飛行機墜落事故、奇跡的に助かった5人の生存者、彼らをカウンセリングする主人公……。ある程度映画を見慣れている人であれば、用意されたプロットは大概想像できる。ただ、それに気付かぬふりを自分自身にし続けられるのも、映画を見慣れている人の利点だ。 登場人物の少なさ、キャスト陣の地味さから低予算作品であることは容易に伺える。ただその中で、ねらった映画世界を丁寧に構築出来ていると思う。 何と言っても、アン・ハサウェイの瑞々しい魅力が、今作の一定の完成度を支えている。ポスト”サンドラ・ブロック”と言うと、褒めているのか貶しているのかは微妙なところだが、幅広い作品に出続けて、ゆくゆくは“オスカー獲得”という路線は約束されているようにも思える。 期待せずに、国際線の機内ででも観ると、ある意味物凄く“心揺れる”映画だろう。 [ブルーレイ(字幕)] 7点(2010-03-19 13:06:24)(良:4票) |
67. ハリウッドランド
《ネタバレ》 レンタル店の“ミステリー”にジャンル分けされていた今作。 もちろん、ハリウッドで実際に起こった俳優の自殺事件と、その真相を明らかにしようとするプロセスを描いている以上、そのジャンル分けは間違ってはいないと思う。 ただし、この映画の面白さは、謎が解明される顛末にあるわけではない。 往年のハリウッドのきらびやかさと、その裏に確実に広がっていた「闇」を、綿密なディディールの中で描いたところに、その醍醐味はあると思う。 ヒーロースターの死の謎を、しがない私立探偵が運命的に追い求める。 メイキングの中の言葉の通り、「人の人生を追うことで、自分の人生を見つめ直す」映画であると思う。 華やかな銀幕の世界の裏側に隠された深い闇。 それは必ずしも「犯罪」に直結するものばかりではなく、俳優をはじめとする映画に関わるすべての人間に確実に潜む“心の中の闇”であったのだと思う。 「光」は「闇」があるからこそ初めて成立する。その避けられない現実の皮肉を、ミステリーという娯楽性によって巧みに彩ってみせた作品だと思う。 [DVD(字幕)] 7点(2009-01-25 10:58:36) |
68. 犯人に告ぐ
かつての誘拐事件で心に傷を負った敏腕刑事が、新たに巻き起こった連続児童殺人事件を、テレビを通じて犯人と対峙する「劇場型捜査」として挑む。 原作は未読だったので、色眼鏡なく展開するストーリーに入り込むことができ、トータル的にはまずまずよく出来た映画だという印象に落ち着いた。 主人公を演じた豊川悦司は、キャラクターによく合い安定した演技を見せたと思う。笹野高史をはじめとして、脇を固める俳優陣は地味めながらも実力者揃いで味のある存在感をもって作品を支えていた。 想像するに、原作をうまくまとめて決して破綻することなく映像化しているのだと思う。ただその体裁の良さが、同時に映画作品としてやや「味が薄い」という印象に繋がっているとも思う。 「劇場型捜査」というセンセーショナルな要素を核心に据えてはいるが、このストリーのミステリー性はそれほど練り込まれたものではなく、むしろベタと言える程シンプルだ。 原作を読んでいないので想像の範疇を出ないが、この物語の本質は、真犯人特定のプロセスではなく、主人公を中心とした「劇場型捜査」に絡む群像のドラマ性にあるのではないかと思う。 そういう意味では、もう少し主人公以外の登場人物たちの人間性を深く掘り起こして欲しかったと思う。そうすれば、もう少しアクの強い映画に仕上がったのではないか。 [DVD(邦画)] 7点(2008-03-22 03:12:43)(良:1票) |
69. パンズ・ラビリンス
《ネタバレ》 内戦渦のスペイン、残酷で悲痛な運命の中に放り込まれた一人の少女、彼女が迷い込んだ幻想的な「迷宮」は、現実か妄想か。 まず自分の想像以上に、痛々しく悲劇的展開が衝撃的だった。 悲劇的な運命の中で主人公の少女がファンタジーの世界に入り込み光を見出していくという展開を想像していただが、決してそんな生易しいものではなかった。 どこまでも暗い闇の中で、少女が自分に対する唯一の救いどころとして見出していくもの、それが「幻想」だった。 物語が始まった時点で、少女の精神は崩壊していたのかもしれない。 少女が迷い込んだのは、光に溢れたファンタジー世界ではなく、闇の中の限界の淵で辿り着いた、幻想世界だったのだろう。 戦渦の薄暗い山村とその中で見え隠れする妖しい幻想世界を、独特のビジュアルで描き出した映像美が素晴らしい。 時に痛々し過ぎるほどの描写も、確固たるビジュアルセンスによって作品の中で違和感なく溶け込んでいる。 基本的に「悲劇」は苦手で、出来ることなら見たくない。 だが、残酷な運命に対する少女の人間としてのひたむきさ、そして魅惑的な少女の幻想世界にどんどん引き込まれていった。 [映画館(字幕)] 7点(2007-12-02 21:55:21) |
70. パイレーツ・オブ・カリビアン/デッドマンズ・チェスト
ジョニー・デップは昔から大好きだし、なんだかんだ言ってもエンターテイメント大作は嫌いではない。加えて、ディズニーランドで一番好きなアトラクションは「カリブの海賊」だし、パート1も凄く面白かったと思う。 なのに、このパート2はなんだかなかなか観る気になれなくて、結局パート3を観る直前にやっと観ることになった。 まあ結局のところ“面白かった”とは思う。 特にストーリー性は無いし、前作にも増した映画全体の“ドタバタ感”(特にジョニデのそれ)は、やややり過ぎな印象を受けなくもなく、長い尺も手伝って間延びする感覚は否めない。が、それでも娯楽映画としてまとめ上げているところは、映画として一定の“質”を保っているからだと思う。 個人的には、娯楽映画シリーズ特有の「次作への余韻」に弱いので、ラストシーンでジェフリー・ラッシュが登場した時点で一気にパート3への期待は高まってしまった。 「スター・ウォーズ」や「ロード・オブ・ザ・リング」などに代表されることだが、もうこういう映画の場合、その世界自体が好きな人は問答無用に「OK」だろうし、別に何の愛着もない人にとっては圧倒的に「NG」になり得ると思う。 [DVD(字幕)] 7点(2007-05-26 11:58:07)(良:1票) |
71. ハサミ男
確かに、映画をある程度見慣れている人ならば、この映画が抱える“要素”は容易に感づく事ができ、その点においてはこの種類の映画としては、あまり巧いとは言えない。全体的に画づくりが稚拙なのも頂けない部分ではある。 ただやはり、このストーリーが持つ元々の面白さというものに、随分助けられていると思う。散々描かれつくされてきた感もあるサイコサスペンスというジャンルにおいて、しっかりとこの物語独自のオリジナリティは携えており、その部分において見応えは確実にある。原作は未読だが、このストーリーをどう文章で構築し描いているのか、とても興味深い。 展開としては、クライマックスの顛末まで良かったのだけれど、最後のエピローグが若干しつこくて間延びしてしまった。あそこまでクドクドと語らなくても、そこまでの流れで充分に“真意”は伝わったと思う。ラストを簡潔にまとめ余韻を残す勇気がほしかった。そういう部分においても、物語の秀逸さの反面、映画としての未熟さが垣間見えることが惜しい。 [DVD(字幕)] 7点(2006-03-12 03:10:57) |
72. バッド・エデュケーション(2004)
ペドロ・アルモドバル監督自らの深層心理を、丁寧に大胆に切り開いていくようなそんな映画。描かれるテーマはまさに「禁断」。だけれど、いわゆる“そっち系”の映画の多くにあるような“居心地の悪さ”が、この作品には無い。それは、表現者であるアルモドバル監督を含めた“主人公”たちが、それぞれどこまでも情熱的だからだ。ある意味において、純粋で無垢なその情熱には、薄っぺらな価値観などは入り込む余地はなく、ただただ観る者を包み込む。 主演男優二人の表現も素晴らしく、相変わらずビビットな映像感覚も印象的で、とても質の高い映画だと思う。ただしかし、他のアルモドバル監督作品と比べると、もう少しラストに踏み込んでも良かったのではないかとも思う。意外とあっさりとした余韻が残った。 [DVD(字幕)] 7点(2005-12-07 01:06:39) |
73. バイオハザードII アポカリプス
ミラ・ジョヴォヴィッチはついにイクところまでイッてしまっている。彼女の大ファンのぼくにとって、もちろんこれは最大級の褒め言葉である。パート1に引き続く今作でのジョヴォヴィッチの演技、というよりもその存在は、ハリウッドにおいて彼女以外にありえない。類まれなる(身体も含めた)美貌を備えた孤高のヒロインはついにある種のトップへと登りつめたと思う。 前作「バイオハザード」に対し今作は、前作の監督ポール・W・S・アンダーソンが製作・脚本のみにとどまったことにより、映像世界に若干の完成度の低さが伺える。そこはまさに文字通り“モンスター級”の活躍を見せたジョヴォヴィッチの働きにより、期待通りのインパクトは備えられた。しかし、今シリーズのアリスを「エイリアン」シリーズのリプリーにまで映画的な価値を高めたいなら次作では、確固たる実力を持った監督が不可欠であろう。 [映画館(字幕)] 7点(2004-09-13 18:11:24) |
74. パンチドランク・ラブ
なんて奇妙なラブストーリーなんだろうと思う。純粋とは程遠いこの愛の物語に、いかにもラブストーリーらしい愛らしさを感じるのは、徹底的に不器用で暴力的な主人公の愛らしさ故であろう。ニュアンスは大いに違うだろうが、愛とは我を押し通すことだということを感じずにはいられない。もちろん主人公の性格から行動まですべてが褒められるものではないし、誰も真似できないことだけれど、それによって愛する二人が幸せなら何も言うことはないのではないか。何というか、そういう奇妙な説得力にぐいぐいと引き込まれる。 7点(2004-08-04 13:10:14) |
75. バンディッツ(2001)
派手さは決してないが、娯楽アクション映画らしい痛快な展開が楽しめる。ブルース・ウィリスの脇にビリー・ボブ・ソーントン、ケイト・ブランシェットという実力派を配したことが映画に厚みを持たせている。ラストには小気味いい爽快感もあり満足度は高い。 7点(2003-12-24 01:49:55) |
76. ハムナプトラ2/黄金のピラミッド
前作に引き続きまさに娯楽映画の真髄と言える完成度の高さに単純に楽しめる。娯楽映画というだけで馬鹿にする人も多いが、娯楽性こそ映画の根本であり決して安易に捉えられるものではないのだ。こういうクオリティの高い娯楽映画こそ重宝されるべきだ! [映画館(字幕)] 7点(2003-12-17 13:53:17)(良:1票) |
77. バグダッド・カフェ
非常に「淡々とした」ストーリーなのだけれど、ふとした出会いによる人々の心の交流が非常に濃厚に描かれる。一歩間違えると退屈と感じるところだが、絶妙な演出のユニークさが引きつける。さりげなくはあるが映像も音楽もとても印象深い秀逸さに溢れている。何ともいえない解放感に溢れたラストシーンがとても感慨深い。 [ビデオ(字幕)] 7点(2003-12-16 00:56:49) |
78. はつ恋(2000)
ストーリー的にはシンプルで映画にできる規模の物語ではないかもしれないが、映画女優田中麗奈の存在感がこの作品を印象深いものに仕上げている。特にラスト、夜桜の下で輝く彼女の笑顔には、彼女の女優としてのとてつもない魅力を感じずにはいられない。 7点(2003-12-13 20:52:31) |
79. バッファロー'66
ただ見た目のセンスの良さだけを追い求めて面白くない映画は多々あるが、ここまで雰囲気的なセンスの良さを追求して尚面白い映画も珍しい。はっきり言って内容がどうこうと言える映画ではなく、ただただその世界観に引き込まれる。「オシャレな映画」などと言うと軽薄に聞こえるが、今作ほどその名にふさわしい秀作はない。 7点(2003-12-12 01:41:44) |
80. パーフェクト・ワールド
長年にわたり精力的に映画を撮ってきた映画人クリント・イーストウッドの力量を感じる作品。ケビン・コスナーのひねた暖かみを持った演技も良く、良い映画に仕上がっている。 7点(2003-10-06 18:29:05) |