61. ブラッド・シンプル ザ・スリラー
《ネタバレ》 この「ザ・スリラー」はコーエン兄弟の監督デビュー作の再編集版らしい。荒削りな感はあるけど完成度が高く、その後の作品のエッセンスがしっかり見受けられる。スピルバーグにとっての「激突!」みたいな位置づけですかね…。その中身だけど、登場人物のキャラをしっかり立てたうえで、予定調和的なストーリーの流れに誤解や思い込みなどで歪みを入れて、あらぬ方向へ物語を転がして行く。そこから、人生の不条理みたいなものを浮かび上がらせるという手法だ。物語は複雑な展開を見せるが、観賞者には分かりやすいという意味でしっかり楽しめる映画になっている。もう途中からはどうやってまとめるのか心配させるほど混迷させておいて、ちゃんとケリをつける。最後に悪徳探偵の目に映ったものが裏から見た洗面台の配管というのがとても面白かった。配管自体に意味は無いが、視界に入った呆気なくてつまらない物を見せることで、登場人物をリアルに追い続ける姿勢を象徴的に見せた素晴らしいラストカットでした。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2010-01-13 14:19:05) |
62. ブラインドネス
《ネタバレ》 不満はジュリアン・ムーアの扱いだ。彼女を除いた全員が視力を失っている世界である。反対に言うと、彼女一人だけが、他者にはない感覚器官を所有している世界である。それはもう超能力者と同義のはず。なのに彼女はその特異性をほとんど活かしていない。彼女一人に視力を残した意味が分からない。そこに突っ込んで行かないと、描くべきものが無いと思えるんだけどね…。ちなみに強制収容所のような隔離施設の出来事は、全員に視力があっても似たり寄ったりのことが起こったはずで、そんなものはテーマになりません。この映画に関しては突っ込みどころを増やしているだけです。盲目者に視力が戻る喜びを描いているとも思えない。バリアフリーの大切さを訴えている、と言われたら納得するかもね…。 [CS・衛星(字幕)] 3点(2009-11-24 12:17:00)(良:1票) |
63. ブレードランナー/ファイナル・カット
《ネタバレ》 ここのレビューを見てブルーレイで初めて映画を観た。「新しい発見があるぞ」。その通りだった。 この映画との付き合いは長い。1982年の劇場公開時は弱っちいハリソン・フォードに不満が残り、さほど評価していなかった。というか、よく解らなかったというのが正直なところ。でも何かが気になる映画で、レンタルやテレビ放送の録画を何度も何度も見返し、その度に新しい発見があり、やがて自分のベストSF映画に登りつめた作品だ。 なので、もういい加減に新しい発見はないだろうと思いつつも「もしや」という誘惑に勝てずにブルーレイを購入したが、これは正解だった。映像が綺麗なことはもちろんだけど、背景世界の細部の作りこみが良く見える。例えば、デッカードとレイチェルが初めて会うシーンのテーブルに盆栽が置かれているなんてこれまで気付いてなかった。細部が見えたからといって作品のテーマが変わることは無いけれど、これまでよりも演出の意図が明確になったシーンがいくつかあった。 余談だが、オリジナル版(最初の劇場公開版)のエンディングの空撮シーンが『シャイニング』のオープニングに似ていると思っていたのだが、なんとキューブリックに頼み込んでフィルムを借りたということが特典ディスクのメーキングから判明! [ブルーレイ(字幕)] 10点(2009-09-04 15:49:44)(良:1票) |
64. ブロークバック・マウンテン
主演二人の感情の微妙な動きが繊細に演出されています。マイノリティーが抱える悲哀が時代背景と共に、宿命的に描かれています。良い映画なのでしょう。でも、偏見は持っていないつもりだけど、最後まで観るのがかなりしんどかった。進んで見たいものでもない。みなさん、けっこう平気なようで、それが驚き。やっぱり自分は偏見を持ってるってことなのか。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2009-08-14 04:39:48) |
65. プラネット・テラー in グラインドハウス
最後までバカバカしいパワーが減衰せずに突っ走り切ったB級映画の王道。特に言うこと無し。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2009-07-28 01:17:08) |
66. ブレイブ ワン
《ネタバレ》 無軌道な暴力から自らの身を守ったことがトラウマの軽減になった。最初は偶然だった。だが、犯罪者を漁り、暗殺者になり、ついに復讐を果たすという一連のアクションは決してトラウマの軽減だけが目的には見えなかった。正義感とも言えない微妙な感情の起伏。抱えこんだ大きなトラウマが人の精神と人生を変えて行く。エスカレートする行為は新たな傷を主人公の心に刻む。さながらトラウマの迷宮に迷い込んだように…。これは復讐だけを描いた映画ではなく、生の意味の模索であり、再生のお話である。さすがにラストのあの刑事の対応には疑問符が付くけれども、主人公が自分の内面と向かい合い、能動的に動いたことは支持したいです。原題を訳すと「勇気の人」って感じかな。密かに拍手は送りますが、公けに持ち上げられる行為でもないと思います。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2009-07-25 06:34:00)(良:1票) |
67. ファーゴ
実話、ということで、小説より奇なり、を地で行ってるようなお話でした。主要なキャラクターの性格付けがしっかりと出来ていて、優れた演出の手を経ていることを感じます。特にフランシス・マクドーマンドは表情の作り方に特徴があって、妙に存在感があるなぁと感心していたら、これでアカデミー獲ってたんですね。それは納得しました。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2009-06-20 12:53:01) |
68. 普通じゃない
《ネタバレ》 ユアンとキャメロンのロマンスは、別にどうってことないですね。あえて言うと、好き嫌いは別にしてもキャメロンはキャラがしっかり立っていて、その後の巷の人気を予感させる作品ではありました。この映画の見どころは、あのすっとぼけた天使どもでしょう。嘘はつく、銃も撃つ、死んだふりはする、鼻血も出る、営業ノルマに悩む、などなど…、とっても人間味を感じる愉快な天使で楽しかったです。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2009-06-20 12:44:35) |
69. 梟の城
娯楽でもなく、文芸でもなく、とても中途半端です。ご本人には申し訳ないが、中井貴一の役者としての中途半端さが、そのまま映画になってしまってます。彼には気の弱い中途半端な落ちこぼれを演じていた「ふぞろい…」がお似合いです。「司馬遼太郎に捧げる」ってクレジットが出てましたが、先生はあの世でどう思ったでしょう。 [CS・衛星(邦画)] 3点(2009-05-26 02:12:47) |
70. ブルース・リー/死亡遊戯
ブルース・リーが生前に撮影を終えていたアクションシーンを公開したかったという言い訳は聞いてあげるけど、もう少し違う見せ方があったんじゃないか…。自分は彼のアクションに対する冒涜と受け取る。 [地上波(吹替)] 0点(2009-04-07 04:14:04) |
71. フレンチ・コネクション2
《ネタバレ》 犯人逮捕という意味では中途半端に終わった1作目の補完を目的にしたような2作目ですが、監禁~クスリ漬けの時間が長くて退屈。自分が観た字幕版はフランス語が一切訳されていなかったので、ちょっとイライラもした。1作目同様にジーン・ハックマンは頑張ってますが、どうも執念が空回りしている感が否めない。ポパイってニックネームに合わせようと無理しているような印象でした。 [CS・衛星(字幕)] 3点(2009-02-17 12:35:47) |
72. フレンチ・コネクション
《ネタバレ》 40年前の作品なので、今となってはストーリー的には至って平板に思える。だけど、当時高い評価を得たことが頷ける力作でした。覚醒剤ルートを追及する刑事たちの執念が画面から強烈に放たれていました。特にジーン・ハックマンの泥臭いしつこさは特筆もので、車で電車を追いかけるシーンはかなり魅入ってしまった。それ以降の刑事モノに結構影響を与えているのではないかと思います。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2009-02-15 17:41:23) |
73. ファンタスティック・フォー:銀河の危機
これだけ何も考えずに、リラックスして観られる映画も珍しいかも。1作目に比べてジェシカ・アルバのキュートショットが少なくなっていたのがもの凄く残念。最後の和服姿はメークとマッチしていなくて、これまた残念。リーダーのおっさんには某海賊の技を出して欲しかった。「ゴムゴムの~」。きっとスクリーン映えすると思います。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2009-02-02 15:05:56) |
74. ブラッド・ワーク
突出した見どころがあるという感じではないけど、謎解きは工夫されていたと思う。安心して観られる娯楽作品というところか。最近はどの作品も「安定感」がイーストウッドの売りになっていると感じるのは私だけか…? [DVD(字幕)] 6点(2009-01-29 20:54:05)(良:1票) |
75. フォーガットン
《ネタバレ》 年齢とともに記憶力は低下していくものだが、これはちと激しい。誰かの陰謀にしては無理があると思っていたら、お話がX-ファイルになってちょっとびっくり。おいおい、そういう映画だったのかい! 今度はどうまとめるのか心配していたら、「奴ら」にも上下関係があってようで、常識のある上司が見かねて助けてくれたってところでしょうか…。人が空にぶっ飛んで行くシーンはちょっと面白かったです。前半で、ホッケー選手の家にずかずか上がりこみ、無断で壁紙を引っぺがすジュリアン・ムーアは、自分の息子のことしか目に入らない母親の典型のようで、まったく同情できなかった。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2009-01-22 04:05:19) |
76. プロヴァンスの贈りもの
《ネタバレ》 リドリー・スコット作品というのが意外。こんな映画も撮るんですな。すごく予定調和的な終わり方でした。お金持ちが緑の多い土地で暮らすかどうかの選択をする話で、ありがちな改心ものでしょう。「この土地は自分に合わない」「あなたがこの土地に合わないの」という遣り取りはちょっと考えさせられたけど、結局、地元にプライドを持っている人の台詞以上に深い意味は無いと結論してこの点数。 [CS・衛星(邦画)] 3点(2009-01-22 03:49:11) |
77. プルーフ・オブ・ライフ
切ないねぇ。仕事だから仕方ないよねぇ。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2009-01-21 04:13:09) |
78. 腑抜けども、悲しみの愛を見せろ
《ネタバレ》 こりゃー面白かった。サトエリの自己中なクソ女っぷりが一番目立っていたけど、その他のキャラもいろんな壊れ方をしていて言動が予想しづらく、緊張感が途切れない。空回りし続ける永作博美はゼンマイ仕掛けのオモチャみたいで、冒頭からゴロゴロゴロ、ウッ。初夜の生傷もきっと転がって作ったのだろう。「お姉ちゃんは自分の面白さに全然気付いていない」と言う妹の台詞は、姉の心中をこれ以上ないくらい残酷にえぐりとって、ある意味爽快。永瀬は切実に家族を大切にしようと思っていたようだが、自分の態度や行動がこの家族を迷走させている元凶だと気付いていなくて憐れ。やたらと「家族なんだから」という台詞が出てくるが、その言葉が発せられたときの白々しさといったら…。この映画はテーマを考えるより、B級ホラー映画と同じスタンスで観ると楽しめます。 [CS・衛星(邦画)] 8点(2009-01-20 18:11:56) |
79. ブリジット・ジョーンズの日記
耳に馴染んだ歌がたくさん流れるので、映画自体にフレンドリーな感情を持ちました。そのおかげか、最期は主人公を少し応援してましたね。主人公は自分の感情に正直なのであって、努力してるとか頑張っているということとは違うと思います。分かりにくい女性より親近感が持てるのは確かですが、分かりやす過ぎるのもいかがなものか。自分は絶対に好きにならないタイプです。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2009-01-16 15:52:03)(良:1票) |
80. ブラザーズ・グリム
驚きも、緊張感も、恐ろしさも、何もない映画だった。無意味に騒ぎ続ける出演者たちにイライラした。いい役者使ってるのにね…。モニカ・ベルッチの魔女だけがはまり役と言えなくもない。 [DVD(字幕)] 3点(2009-01-15 00:20:27) |