1. 不屈の男 アンブロークン
《ネタバレ》 むしろ親日映画なんじゃないですか? 日本ひどい、じゃなくて、戦争ひどい、としてちゃんと描かれてましたもの。 アウシュビッツの映画なんてもっと非人道的な映像をこれでもか、って並べ立てる映画はあるし、それはそれで、ちゃんと残していく意義や価値はあるわけだし。 最後の長野オリンピックの映像には、もう号泣。アンジェリーナ・ジョリーへは、完全にリスペクト!です。 大森に水田があったかどうかは、たとえば私の出身地・横浜なんかにはあったと思うので、どちらでもいいんですが、但し水田で農作業してる人たちが南国でかぶってるような藁の三角帽をかぶってたのは、ちょっと気になったかな。関東は南国じゃないし(笑)。 でも、たとえば「ラストサムライ」なんかのような、「ここは日本じゃねー(怒)!」ってのは、今回はあまりなかったし、私の母のように死体をまたいで空襲を逃げ延びた人の体験ともちゃんと重なる映像が出てきたので、時代考証なりリアリティは、戦後生まれの私からはほぼ合格点。 あまり映画の宣伝が目につかないのは、寝た子を起こしたくない、ということかもしれませんが、多くの人にちゃんと見てもらいたい映画の一本であることは、間違いありません。 [映画館(字幕)] 8点(2016-03-16 19:43:52) |
2. ブラックブック
《ネタバレ》 簡単なあらすじだけ見て録画してあったものを1年後くらいに何とはなしに見始めたのですが、途中からグイグイ引き込まれ、終わったらグッタリと疲れ、いやあスゴイもの見ちゃったな~という感じ。バーホーベンの濃さは苦手でしたが、あーこの人の真価はこの映画にあったのね、と。完成度はパーフェクトといってもいいんじゃないでしょうか。繰り返し見るごとに新しい発見をできそうな作品ではありますが、今はまだオナカイッパイという感じで、よほど体力気力のあるときに覚悟して見ないと入り込めないなー、と思います。とはいえ殿方なら、主役の彼女のエロっぽさだけを目的に見てもいいかも。むしろそこが監督の最大の狙い目だったりして?(笑)。 <追記>いやはや、初回に書いた「最大の狙い目?」はちと的外れだったようで、お恥ずかしい。でも、なかったことにするのも潔くないから、そのままにしておきます(笑)。→少し襟を正して。→浅学な私はラストがよくわからなかったのですが、舞台となっている時世は50年代なかば。第二次中東戦争の始まりを暗示しているということなんですね。監督は、戦争の終わりは、別の戦争の始まり、と突きつけている。そこがこの映画の一番「キモ」なのかもしれません。 [CS・衛星(字幕)] 9点(2015-01-14 11:00:59)(良:1票) |
3. ブロードウェイと銃弾
《ネタバレ》 ほかの登場人物もおもしろいし、役者もよー頑張ってるとは思うが、本作の面白さはチーチにつきますね。また、ふつうの脇役ですよという風情で登場する彼が、だんだんキーマンとなっていく、しかも主役であるデビッド(いかにも平凡な名前!(笑))は焦りまくっていく、一方、チーチは野心とかではなく、おのれの信ずるがままに熱情的にアイデアを吐露していく、というその展開が、愉快痛快。久々に面白い映画を見て、最近の「つまんない映画が多すぎ!」という鬱憤を大いに晴らしてもらいました。 [DVD(字幕)] 8点(2013-11-15 23:00:30) |
4. 舟を編む
期待しすぎた私がわるいのかしらね。でも、ここまで凡庸とは・・・嗚呼。「言葉」にこだわることのスリリングさが完全に欠けてるのは、致命的としか言いようがない! [映画館(邦画)] 5点(2013-11-15 22:32:44)(良:1票) |
5. ブロークバック・マウンテン
何度も見ました。キャスティングいいと思う。ゲイの生きづらさもふつう以上によく描けているし、通俗的表現、情緒におぼれない描き方も秀逸だと思う。だけど何かが物足りない。「愛」のやりきれなさを描いているし、そこが評価されている本作に対して「そここそが物足りない」と言ったら不遜かと思うけど、実感はそこ。いい表情、ショットはたくさんあるけどリー監督が初期に作った「ウェディング・バンケット」などほかの作品のような切実さが私には迫ってこない。なぜなんだろう。これまでの作品から彼はてっきり真性のゲイなんだと思っていたらお子さん2人いるんですってね。私はヘテロセクシャルだからそこを批判するのはフェアじゃない気もしちゃうんだけど、彼に子どもがいると知ったら、本作はバイセクシャルの言い訳のような気がしてならないんですよね。改めて、私って純愛至上主義なのかもなあ、と思い知った次第。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2012-05-03 19:59:03) |
6. プライド(2008)
《ネタバレ》 何なんでしょ、ここまで丁寧な仕事っぷりって。よく作りこまれていて、主役から脇役まで、キャストもそれにしっかり応えていて、すごい!としか言いようがない。2008年、もうすでに満島ひかりってここまでデキル人だったんだ!ってのも驚愕。原作は完結していない?と聞きましたから、ぜひ続編を見てみたいです。原作が少女漫画ということから敬遠する人も多いでしょうけど、主役二人が本物の歌唱力を持ってる人たちだからこその見ごたえも、オススメできます。もっとも、オーディション場面での満島ひかりのオペラ独唱はたぶん吹き替えでは?と思いましたけどね。真贋のほどはわかりませんが、仮に吹き替えだったとしても、満島ひかりの演技には何もキズはつかない。あの場面での彼女は、ナタリー・ポートマンの黒鳥さながらの迫力でした。「BECK」のスタッフ、関係者はこの映画を見て、少しは反省してもらいたいもんです。 [CS・衛星(邦画)] 8点(2012-05-03 15:39:02)(良:1票) |
7. ファミリー・ツリー
ジョージ・クルーニー扮する父親はすっかりショボイおやじになり果てていて、そこはやっぱりさすが役者だなあと思うのですが、どうもストーリーに無理が感じられて、イマイチでした。ハワイを舞台にした映画ってあまり覚えがなく新鮮だったので、そこは楽しめましたが、ハワイ独特の明るい旋律がこれでもかとばかり流れるのは、深刻なストーリーとのミスマッチもあって、やりすぎな感じ。もっとも、演出も深刻さを避けるタッチなのですが、そのために、どんなメッセージを観客に伝えたいのかが、不明瞭。この監督の作品では、「サイドウェイ」や「アバウト・シュミット」などのほうが、そこはかとなく言いたいことが伝わってくるから、好みです。キャストのうちでは、長女とそのボーイフレンドが面白かったかな。二人のキャラと演技に限って言えば、8点献上します。 [試写会(字幕)] 6点(2012-04-11 10:51:04) |
8. フォーチュン・クッキー
ずいぶん昔にビデオで見ましたが、CSで再見。何度見ても笑えます。展開は想像つくのに面白い理由その1は、脚本のうまさ。特に母娘の描き方がうまい。年頃の娘と母は元々が対立してる関係で、微妙な間柄。そこをうまーく利用して、笑いにもっていってるとこが面白い。もしかしたら若い世代より、私たちオバハンのほうが楽しめる作品かと。それと理由その2はやっぱり、ジェイミー・リー・カーティスの底力。並の女優さんに、この味は出せないと思うワ~。「ワンダ・・」の彼女が好きな人は見るべし。この映画が気に入って「ワンダ・・」を見てない人も、あちらを絶対に見るべし、なのであります。(でもまたまたこの邦題はゆるせない邦題ベストテン入り間違いなしね。この作品の数年前に作られた「クッキー・フォーチュン」と間違えやすいこんな題をつけるなんて、商道徳上間違ってると思う) [CS・衛星(字幕)] 8点(2012-03-06 11:55:42) |
9. ブロークン・フラワーズ
何が面白いって、ビル・マーレイに届くピンクの封筒ってだけでも、そこはかとないおかしさ満開。先日、CSで見直して、またニマニマ。ジム・ジャームッシュって特に好きでも嫌いでもないんだけど、人生のたそがれどきなのに色っぽいビル・マーレイはもうほんとに好き。そこにいるだけで見てて楽しめる俳優って、実はそういないと思います。 [DVD(字幕)] 7点(2011-10-19 23:32:32) |
10. フィールド・オブ・ドリームス
とうもろこし畑のにおいがした気がしました。・・←私、こんなこと書いてたんですね。久々に読み返してみて、ビックリ。ところで。先日、大竹しのぶのオールナイトニッポンに明石家さんまが出たときの放送(YouTube ですが)を聞き、この映画に感動し、特に奥さんが素晴らしい、と力説するさんまさんに対して冷ややかな対応だったらしいしのぶさんの話を聞き、ゲラゲラ。あの奥さんに私は何の感想も持ってなかったけど、映画の何に注目するかは、やっぱり人によってさまざまでんなあ。 [ビデオ(字幕)] 8点(2011-09-26 22:06:37) |
11. プリティ・リーグ
好きな監督だしキャストなんだけど、何の意外性もなく退屈したことしか覚えてません。 [ビデオ(字幕)] 5点(2011-08-08 22:03:06) |
12. ブラック・スワン
《ネタバレ》 芸術家の狂気は十分にホラーになる要素あり、と思ってましたから、前半はそこまでこわくないじゃん、とタカをくくってましたが、ギャー、最後のほうはもう「やめてやめてやめて」の連続。で、あそこで「ブチッ」と終わりですか、そうですか。でもあれ以上描きようもないわね。願わくば、あのラストも彼女の妄想の産物で、苦しさをつきぬけた彼女にはすばらしい栄光の日々が待っていました、とさ、というオチだったらいいですね。あ、そうそう、とはいえ何で客席に母親の感動の笑顔をもってくるかなあ。あの演出はステロタイプで興ざめ。あの母親にはもっと複雑な表情をさせる演出のほうが私にはしっくりくる気がした。 [映画館(字幕)] 8点(2011-06-09 02:07:02)(良:2票) |
13. フィラデルフィア・エクスペリメント(1984)
あんまりよく覚えていないんですけど、B級映画の良作ではないかと。妙にリアリティーあるシチュエーションで、ほんの少し先の未来にタイムスリップする設定、予定調和的ではあるけれどほっとするラストだったと思います。 でもこの手のSFものって今見たらショボさのほうが先にたってしまうのかなあ。せめてスターが出ていて、「あ、あの人ってこの頃こんなのに出てたんだー」っていうお楽しみでもあると違うんでしょうけどねえ。ザンネン。 [ビデオ(字幕)] 7点(2011-06-07 20:16:20) |
14. フラガール
公開から日が経ちましたが、友達が教えてくれて、映画館で鑑賞しました。お気に入りの「リトルダンサー」を始め、似たようなシチュエーションの映画は今までたくさん見てきましたが、にもかかわらずシラケなかったのは、どのキャラもおそろしく自然にそこにいたから。評判が必ずしもよくないらしいトヨエツも、私にはナチュラルに感じられました。ああいう髪型の男は昔だって、炭鉱にだっていたはずです。私を含め今の50歳以上くらいの世代にとっては、炭鉱の落盤事故の報道はかなり頻繁にTVや新聞で見聞きしたこと。当時は珍しくない出来事で、あれがまさに現実そのものだったのです。しかしまあ映画というのはたまにこういうバケモノを生み出しますね。もちろん、いい意味でです。今の時代よりもっと必死に生きていた人たちを今の人たちが演じているにもかかわらず、そういう嘘くささを感じさせない作り方、演じ方は、お見事。一見キワモノを装っていながら、全体を流れているトーンはきわめて上質。あたたかさにあふれています。女性に対する敬意が感じられる点も、好もしい。既視感のあるストーリーであるにもかかわらず、新鮮な感動を得られるのは、裏を返せば日本映画には実はありそうでなかったタイプの作品だからではないかしら。これだけタイプの違う「凛とした女たち」が出てくる日本映画は私ゃ知りません。あったじゃないか、という人がおられるのなら、「教えてくんちぇえ」と思うよ、ほんと(笑)。但し完成度は高いと思いつつ9点にしたのは、最後のシーンにあとひとひねりほしかったから。松雪泰子はちょっと苦手な女優でしたが、すっかりファンになってしまいました。彼女のような人がもっと活躍できるような邦画界になってほしいものです。 [映画館(邦画)] 9点(2010-11-01 23:50:51)(良:1票) |
15. 普通の人々
「ORDINARY PEOPLE」と「普通の人々」とでは、ニュアンスにかなり違いがあると思うのだけど、英語のニュアンスはよく分からないから、まあこれ以上つっこむのはやめておきます。 見たのは公開当時で、その頃は映画というものはもっと簡単に作られているような錯覚をしていたので、「フツウ」? ほんとにふつうだわー、とバカにしていたような気がします。 「ふつう」としか思えないほどにナチュラルに演出しているすごさに、気づいてなかったんですよね。 今思うと、自分が出ればそれだけでベーシックな観客動員は約束されているようなものなのに、それをしなかった監督の潔さにも、改めて感服です。 ○ニーニとか、○ブソンのように、自分で監督して主演して、という人が好きじゃないので、 なおさらです。 今なら素直に言えます。「感動しました」って。 でも観た当時はそう言えない何かもこの映画は持っていたのも事実です。 直球勝負の映画に、たじろいだということかもしれません。 [映画館(字幕)] 8点(2010-10-20 19:05:03)(良:2票) |
16. フェイス/オフ
1回目に見たとき、クライマックスに近づいた頃に大事な電話がかかってしまい、すぐに終わらせようと思ったのに、その相手がエンエンと話していたために、最後の20分を見そびれてしまった作品。なので、その後何度も見ているにもかかわらず、この題名を目にすると、そのときの電話のほうを思い出してしまうのであります。・・・つまらない話で、ごめんなさい。映画はふつうに面白かったですよ。トラボルタの気持ちわるさに、ゾクゾクしました。 [ビデオ(字幕)] 8点(2008-10-19 21:53:10) |
17. ぷりてぃ・ウーマン
素人のオバアチャンたちが劇団を作っちゃうという話で、そういえばウワサは少し聞いたけど、といった程度だったが、顔ぶれのバラエティー(病気したと聞いたが、すまけいなんかも出てる!)や、クスッという笑い、名優たちが素人に扮する面白さ(割とイヤミでないのはそれだけ芸達者という感じ)など、色々と楽しみどころ満載で、飽きさせない。キーパースンの淡路恵子が何といってもカッコイイ。私見では「カレンダー・ガールズ」のヘレン・ミレンに勝ってると思う。でも、制作年はこっちのほうが先なんですから、決してパクリやドジョウの下をねらったものではない、というのは明らかです。 物語的には単純なのだけど、演劇という素材を映画にするのは案外難しいのではないかしら。その点、この作品は、映画、演劇双方の特性、良さが生きていて、魅力的。これが公開当時は単館上映で終わってしまったというのだから、あーなんてもったいないんだ! [CS・衛星(邦画)] 8点(2007-11-12 10:54:59) |
18. ふたりのロッテ (1993)
《ネタバレ》 ドイツ人はケストナーを誇りに思っているのでしょうね。丁寧に作られていて、ケストナー原作のドイツ映画にはとりあえずはずれなし、と思います。生真面目な作りだけど味わい深い。『ファミリー・ゲーム』よりも、子どもの心への寄り添い方にリアリティがあります。最初のほうから泣かされっぱなしでした。辛口の終わり方になるかと思いきや・・でしたが、まあこれもよしかと。ママが恋人に「夫です」と言うなど、伏線もちゃんとしてたしね。 [CS・衛星(吹替)] 9点(2007-08-31 23:27:29) |
19. フライトプラン
まあほかの多くのレビュワーさんたちの意見と共通してると思いますが、え~!?この映画は何が言いたいの?と不思議。登場人物の設定や描き方は主張ありげだから、ストーリーより、観客はこの作品全体から何を読み取ればいいの?という方向へ関心が行ってしまう。なのに、あのオチですからねえ、消化不良です。脚本もキャスティングもずさんだし、ジョディーが金切り声を挙げているばかりで、サスペンスにも集中できないし。すべて中途半端。せめて、たくらんだ側の俳優にもっと魅力があれば娯楽作品として何とかなかったかも!?でも、ハリウッドのこういう巨大映画って、もうええかげんにせえ、と思ってしまいます。公開前には、ちょっと期待してたんですが。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2007-05-19 11:22:03) |
20. フィラデルフィア
うーん、やっぱりこの映画はイヤ。何もかも。HIVとエイズに対する偏見をテーマにしたこのヒューマンドラマも、制作に入る前、難航したらしいですね。そんなエピソードや役者たちの演技のうまさなどを考えると、ゲイやHIVへの偏見を減らすことに貢献した社会性の高さだとか意義は感じます。だけど、映画としてどうしても好きになれない。もっているメッセージには120%共感できるのですが、偽善性を感じてしまうのです。演出が情緒的過ぎる。だからかえって心に響いてこないんです。万人を感動させるのはもちろん無理ってもんでしょうが、差別を描いた映画でここまで感動できなかった映画は、個人的にはありませんでした。うーん、フクザツな気持です。トムは私にとり永遠のアイドルですが、そもそもこの役、彼に似合わなーい。全然、ゲイという設定にリアリティがないし、バンデラスと愛し合ってるようにはちっとも見えない。現在あれだけフェロモンむんむん発してるバンちゃんなんですよ、「愛」に真実味がほしいよ。差別を描くことに熱心でパーソナリティーをちゃんと描くことを忘れると、こうなっちゃうんじゃないだろうか? 点数の全ては、知性のほとばしっていたデンゼルへの点数です。 [映画館(字幕)] 5点(2007-02-10 22:08:42) |