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1.  ミツバチのささやき 《ネタバレ》 
映画好きなら、必ずと言って良いほど、この作品に興味を抱かざるを得ない。10年に1本のペースで作品を発表する寡作の映像作家ビクトル・エリセ。その最高傑作の誉高いこの作品。否が応でも期待は高まる。少女たちの美しさ、広漠たる風景。一つ一つが実に絵画的である。エリセは画家を志望していたのではないか? そう思わせるほど絵画的な美的表現になっているように思う。焚き火を飛び越える少女、汽車と少女の黒白のコントラスト、敗残兵に林檎を差し出す少女。何れもが、額縁に納めて客間に飾っておきたいような芸術性を宿している。然しながら、それが総合芸術たる映画にあって、最良の表現方法なのかというと疑問がある。映画とは、もっとエモーショナルなものなのではないか。絵画的芸術表現の先を行くのが映画なのではないか。したがって、この作品が、映画史にとって極めて重要な作品であるとは思えない。しかし、自我の芽生えの以前、幼年期の、死と隣り合わせのような、あたかも精霊の化身であるかのような、儚さ、神秘性を、アナ・トレントはその大きな瞳でストレートに、実に上手く表現している。この映画は、アナとイザベルの映画だ。アナ・トレントはこの後「バカス」で青年期の女の美しさを見事に演じている。スペイン作品としても、私はそちらの方が印象深い。
[ビデオ(字幕)] 6点(2010-07-17 22:56:10)
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