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ボビーさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1016
性別 男性
ホームページ http://blog.livedoor.jp/gepper26/
年齢 37歳
自己紹介 いつまでもこどもでいたいから映画は感情で観る。その一方で、もうこどもではいられないから観終わったら映画を考える。その二分化された人間らしさがちゃんと伝わってくる映画が好き。

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181.  バブルへGO!! タイムマシンはドラム式 《ネタバレ》 
バブルの時代を知らないので、まるで非現実な世界に見えました。バブルの崩壊は多分、悲劇だったでしょう。20年経って、やっとその悲劇を遠い記憶のものに出来、その結果この作品が生まれたのではないでしょうか。現在の辛い部分と、過去の華やか部分をしっかり対比させる事で、いかに昔が夢のようで、意味馬鹿げた時代だったかが客観的に描かれていて面白かった。広末という存在を通して、バブルを否定したり、バブルはすごいんだぞとアピールしたり、その矛盾した監督の思考も理解できた。だから、その今と昔の対比は個人的には好きでした。でも、ラストで未来。しかも中途半端に描いた未来を見せられて、それが初めはただの違和感で済んだのですが、それが違和感ではなく徐々に実感として頭の中で形になった瞬間。監督の「やりたいことやった」以上の「やりすぎた」部分が見えてきて、全てに興醒めしてしまいました。
[映画館(邦画)] 6点(2007-03-01 02:53:20)
182.  天国は待ってくれる(2007) 《ネタバレ》 
個人的には、ベタなのは問題ないと思うのですが、ここまで全てが予定調和だと観ている方は面白くありません。映画の6割は観客の想像に任せるのがふつうですが、この作品では僕ら側が想像する箇所があまりにも少なすぎます。幼少時代の女の子の演技が非常にわかりやすいので「あぁ、この子はこの少年が好きなんだな」とすぐにわかり、大人の状態では「あぁ、この子はまだこっちの男が好きなんだ」などと想像する点はいくつかありますが、それはまぁ、理解して当たり前のような部分なので微妙です。映画の面白いところは見る側の思い込みだとかをひっくり返してくれるような展開だとか、深い感情移入ですが、この作品にはのめり込むようなポイントがなかった。友達想いなのもわかる、人を好きなる気持ちもわかる。でも、だから何?何が言いたいんだ?この作品のストーリーならテーマやメッセージがあるはずだろう。でも、この作品にはそれが薄い。薄すぎる。友情のレベルも、ふつう、家族が息子を思う気持ちもふつう。それくらいするだろうな、というレベル。地上波のレベルではないだろうか、この作品の脚本。決してつまらないわけではないが、全てがあまりにもふつうすぎて、退屈だった。
[映画館(邦画)] 6点(2007-03-01 02:38:51)
183.  僕は妹に恋をする 《ネタバレ》 
二人が始めて感情を表に出すシーンは、完全なるワンシーンワンカット。撮影、照明の凄さを感じます。また、あのシーンではワンカットであるがゆえに“間”が素晴らしい。流行の無駄なカッティングがない分、そこにある二人の感情が画からヒシヒシと伝わってきます。それはそこに音楽がないからであり、あるのは時を刻む時計の小さな音と、二人の息遣い。ワンカットで撮るからこそ産まれる静けさの素晴らしさ。二人の感情が緊張感となって痛いほど伝わってきました。音楽が極めて少ないけれど、随所で感情の大きなゆれが表現される時に使われている。これもまた凄い。“間”と“静”が生み出す感情の流れを監督は完璧に描いていた。監督のおかげで僕は二人にしっかりと感情移入することが出来、二人が胸に抱える喜びと悲しみをしっかりと感じることが出来た。しかし、それらは今の現代では受け入れられないかもしれない。昔は当たり前だった長回しも、今ではほとんど観られることはなくなった。地上波のドラマでは意味のないところでカットがコロコロと割られ、まるでインタビューの時間削減をしているかのようにぽんぽんと変わる。そんな時代に“間”は受け入れられられないかもしれない。でも、そんな時代に真っ向から映画の本質をぶつけるが如く、信念を貫く安藤尋監督を僕は心から尊敬し誇りに思う。時代に流されない日本映画の持つ力強さをこの先も貫き続けて欲しい。期待と感謝を踏まえて満点に限りなく近い9点を点けさせていただきます。
[映画館(邦画)] 9点(2007-02-06 22:55:32)
184.  残菊物語(1939) 《ネタバレ》 
お徳はなぜあんなにも美しい心を持っていたのだろう。自分の全てを擲ってでも、愛する人を支えようとできるのだろう。自己犠牲などとそんな言葉では言い表せないほどの強さ。美しさ。清らかさ。菊之助が誤った選択をしそうになったとき、お徳はいつも正しい道へ進ませようとする。頑固者で意固地な菊之助にいつも包み込むような優しさで語りかける。こんなにも美しく、清らかな登場人物が出てくる映画は他に観た事がない。お徳の温かな想いが、美しい画面の向こうからヒシヒシと伝わってくる。だから、彼女の苦しみや喜びが痛いほど胸に響いて、僕は涙を止めることができなかった。長い下済み生活の中で彼女は自らの命を削りながら菊之助を親身に支え、そして菊之助を立派な役者に育て上げた。全てはお徳の存在があってだった。彼女の葛藤と決断、舞台を見ることができず、手をあわせ、成功だけを願ったお徳。一瞬でも、失敗しろとは思わなかったのだろうか。ほんの一瞬でも、迷わなかったのだろうか。僕は彼女のように心が清らかではないから、そう思ってしまったが、終盤で始めて二人が夫婦になったあの狭い部屋の中で、彼女は言った。「もう思い残すことはない」と。何度もいろんな映画の中で聞いてきたこの台詞も、こんなにもその想いの全てが心の深いところに届いてくる台詞はなかった。自らを犠牲にし、死に意味を持たせ、菊之助の幸福を願ったお徳。この世に残った菊之助には、彼女が残した幸福を決して手放さないで欲しいと思った。素晴らしすぎる。鮮麗されたワンシーンワンカット、計算し尽された完璧な構図、照明。あぁ、なんて美しいのだろう。溝口監督に感謝せずにはいられない。この映画を僕の一生の宝物にしたいと思います。10点などでは収まりきらない感動と、心からの感謝を込めた10点。
[DVD(邦画)] 10点(2007-02-04 18:23:55)(良:1票)
185.  キートンの大列車追跡
なんでこんなに凄いんだ。涙が出そうだ。寂しそうなキートンの真っ白な顔、車輪と車輪を繋ぐ棒の上にチョコンと座り、そんな表情を浮かべて、なぜあんなにアクロバティックな演出をするんだ。まるで自分の意思とは無関係に流されていく彼の寂しい心を象徴的に描いているようだった。全てに全力を尽くし、観る者に笑顔を与え、驚きを与え、そして感動を与える。なぜだ、なぜ今の映画にはこの全力さがないのだ。泥臭く、かっこ悪くてもそれでも全力で何かを表現しようとする人間がなぜいないんだ。半世紀以上も昔の映画でできた事が今の映画にはなぜないのだ。悔しさと、喜びが胸のうちで叫んでいる。キートン、最高!きっと百年後にも、千年後にも誰かがこう言う。キートン、最高!キートンは今はいなくとも、キートンの残したものはいつまでもこの世界で、銀幕の中で、人々の瞳の奥で輝き続ける。
[ビデオ(字幕)] 9点(2007-02-04 03:03:50)(良:2票)
186.  山椒大夫
あまりにも深い絶望。苦しくて、どうしようもなく、それなのになぜ死に行く安寿はあれほどまでに美しく描かれているのだろう。水面が揺れ、吸い込まれていく肉体が絶望さえも吸い込んでいくように、美しく見える。溝口監督の作品には必ず、どこかに小さく、本当に目を凝らし、心を完全に広げていなければ見えてこないような儚い希望の光が見えるような気がする。繊細で尊い命という名の光。それを我々に教え、伝えてくれる。心が震えた。
[ビデオ(邦画)] 9点(2007-02-04 02:40:52)(良:1票)
187.  好きだ、
17年前は言えなかった事も、今は笑って話せる。あの頃は勇気を振り絞ってやれた事が、今ではあっさり出来てしまう。何が変わってしまい、何を忘れてしまったのか、その一つ一つをゆっくりと思い出し、また未来へつなげようとする男と女の話。そこにある後悔の念や、忘れられない想い、その全てが共感でき、二人の心の奥にある繊細な変化を読み取る事ができた。台詞が少なく、それでも“間”の中にあるちょっとした視線の動きや息遣いに乗せて感情の変化を届けてくれる。心地よい静けさが素晴らしい作品だった。何度も観返したくなった。
[DVD(邦画)] 8点(2007-02-03 00:24:46)
188.  リアリズムの宿
山下監督の作品の中に短編で『子宮で映画を撮る女』という作品があり、それはドキュメンタリーだと思っていました。自己中心的な女の映画監督とスタッフの間で本気の喧嘩が起きています。しかも、それが妙に笑えました。が、しかし、観終わった後、監督が「これフェイクです」と仰った。ようするに全部が嘘、脚本通りだったそうです。山下監督の中のリアリズムとは、限りなく現実に近く、それでいて現実とは遠い存在の人間たちを描いておられます。なぜこんなにも口調が自然で、その動きの一つ一つにリアリティーがあるのだろう。この作品でも、登場人物にちょいちょいおかしな人間が出てくるものの、その一人一人の何気ない動作や口調などは、身近にいてもまるでおかしくないほどの親近感を持っています。山下監督の作品はどれも一様に同じリズムと同じ演出方法で作られ、僕はその全てに魅力を感じずにはいられません。この独特の世界観とリアリティー。孤高の天才!素晴らしい。
[DVD(邦画)] 8点(2007-02-03 00:09:33)
189.  幸福な食卓 《ネタバレ》 
この作品を観終わってから、じっくりと時間を掛けてこの作品が何を伝えたかったのか考えてみた。自分なりにではあるけれど、うっすらと見えてきたものが一つあった。それは、“家族の再生”、あるいは、“人生の再出発”ではないでしょうか。中原家の少し異質で感情の欠落したようなファーストシーンからそれらは始まっていたように思います。遺書まで残し、家族を捨ててまでこの世を去ろうとした父は「父さん、父さんを辞めようと思うんだ」なんていいだし、それに対してお兄ちゃんは「あらまぁ」で軽く流すような発言をしている。これがふつうな筈がない。正しい家族のあり方や間違いのない人間になる為に、それぞれがそれぞれのやり方で修正しようとするけれど、それは簡単な事ではなかった。過去を忘れようとしても、忘れられるものではない。でも、振り返ってばかりいては前に進めない。さまざまな苦しみを受け入れて進まなければならない。しかし、中原家の中で、彼女以外のみんながそれから逃げていた。ラストシーン、主演の北乃きいさんが、土手の道を歩く長いシーンがある。僕の記憶にはなぜかあのシーンばかりが鮮明に残っている。この作品の中で中原家だけでなく、多くの登場人物が悩み、苦しんでいるその葛藤があのワンシーンに集約されていると感じた。何度も後ろを振り返り、何かにすがるような目をする。そこには彼女の心の内にある忘れらない想いと忘れたくない想いがあるのがわかった。そして、一つのカットを挟んだ後、彼女はもう後ろを振り返ることなく、前だけを見て歩いていた。彼女の中でどういう心境が働き、変化したのか、その全てを理解することは僕にはできなかった。ただ誰かに支えられ、また時には支え、そして彼女は向かったように思います。彼女をいつも見守っていてくれる家族の待つ食卓へ。 すばらしいラストシーンだったと思います。
[映画館(邦画)] 9点(2007-01-29 07:53:38)(良:1票)
190.  かもめ食堂
この作品には基本的に葛藤が描かれていない。主人公である女性は常にポジティブで、例えお客がどんなに来なくても、文句も愚痴も決して言わない。だから観ているこっちといては感情移入できたとしても、心の揺れ動きが描かれていないためさほど感動はしないし、出来ない。だが、それでもこの作品を好きになってしまうのは、その主人公の女性が本当に魅力的なのだ。優しくて、穏やかで、上品で、まさに日本を見ているような心境になり、感情移入というよりは、応援したくなる。それはやはり作品の中でも同じ事が言える。店に入ることを躊躇していたフィンランド人も、彼女の穏やかな笑顔に釣られて、入ってしまう。入ってしまうと彼女の優しさに触れてしまい、離れられなくなる。彼女の周りには終盤に向かうに連れて、人が次々集まってくる。ぼくは不思議な心境にとらわれた。この作品は主人公に感情移入するのではなく、お客に感情移入してしまうのだ。ぼくらは画面、あるいはスクリーンという名のショーウィンドウの向こうから“かもめ食堂”を覗いているのだ。だから、観終わった後、無償に豚のしょうが焼きやおにぎり、玉子焼きや鮭の塩焼きが食べたくなるのだ。入りたい、あの店に行ってみたい、そう思ってしまうのだ。ぼくはこの作品は凄い作品だとおもう。
[DVD(邦画)] 7点(2007-01-24 00:36:54)
191.  それでもボクはやってない
この作品を観終わった後、電車に揺られて家に帰った。その間ずっと、痴漢に間違えられないように怯えながら帰った。この作品の中にあるもの全てがあまりにも距離が近い。いつ、どんな形で同じ目に合うかわからない。ぼくはこの映画を観終わった後、どうしようもなくイライラした。それはこの作品が悪いわけではない。この日本の現状に腹が立ってしょうがなかった。日本の法律、それを取り巻く警察、検察、裁判官、その全てに腹が立ってしょうがない。裁くべき人間を裁かず、裁かれるはずのない人間が何を償えばいいのかもわからない状態で牢屋に押し込められ、時間を奪われる。そんな事、一分でも、いや一秒であってもあってはならない。この作品を通して監督が訴えたいことが心に染みた。もしかすると、満員電車が怖くて乗れなくなるかも…恐ろしい恐ろしい…
[映画館(邦画)] 7点(2007-01-20 18:35:05)
192.  手紙(2006) 《ネタバレ》 
現在の社会で、殺人事件があまりにも多発しすぎていて、当たり前のように日々報道されている気がします。それは数ヶ月経てば報道もされなくなり、忘れ去られていく出来事が多いとも思います。また、それらはいつだって他人事でしかなく、新聞やニュースなどの報道では伝わってくる物は表面上のものでしかないため、本質は何も訴えられていないように思います。それは確かに事実ではありますが、本質ではないような気がします。この作品は、本来目にする事ができない本質を訴えているような気がしました。人の命を奪うという事が、他に何を奪っていくのか、それらをしっかりと知ることが出来ました。人生を奪われ、人生の選択肢を奪われ、それは加害者も被害者もこの作品の中では同じでした。血の繋がっている家族も、血の繋がっていない赤の他人であっても、その事実がそこにあると言う事は、関わる周りの人々に大きな影響を与えていました。その真実をこの映画を観て、考え、そして学びました。知るという事は辛い事ではあるけれど、それをそれぞれの人々がそれぞれの考え方で乗り越える事に意味があるのだと思いました。この作品は、被害者ではなく、加害者側の家族の視点からそれらを観た事で今まで知らなかった事を知り、また気付かされる事も山ほどありました。ただ、この映画には多少、甘えがあったような気がします。どこまでも痛烈な差別が原作にはあったのに、この映画化では沢尻エリカの存在があまりにも大きいせいで、本当に描かれるべき部分が弱まっていたような気がします。最後に見せればいい筈の優しさが沢尻エリカが終始出続けていたせいで、優しさが当たり前のように作品にあったのは残念でした。
[映画館(邦画)] 7点(2007-01-07 18:34:02)
193.  ゆれる 《ネタバレ》 
主人公の目線で物語が始まり、二人が画面の中に収まった時点から確実に揺れ始めていた。兄との違いに揺れ、それは嫉妬であり、劣等感であり、優越感だった。兄の背中を見て育った弟は、兄の幸せを望み、兄が掴もうとしていた幸せを奪い取り、兄を庇い、そして兄を陥れようとした。全ては兄への嫉妬から生まれた物。自分に無いものを全て持っている兄に対し抱いていた劣等感。優しさなどはそこには存在しない。兄の幸せを願ったのは、自分はすでに幸せであるという遠まわしな嫌味であり、兄を庇おうとしたのは、自分が始めて優位に立てる状況を作ろうとしたからだった。全ての原因は捻じ曲がった弟の心がもたらした。そんな目には見えていない危うい心が、しっかり雰囲気となって、まさにゆれている橋の上にいるような恐怖や緊張感を僕に感じさせてくれた。この映画は素晴らしい。
[映画館(邦画)] 9点(2007-01-06 21:36:52)(良:1票)
194.  鉄コン筋クリート
原作マンガは一度も目を通していませんが、非常に楽しむことが出来ました。独特な世界観を先端技術を駆使したアニメーションで見せてくれたこの作品は、映像がとても綺麗だった。疾走感や躍動感といったものを非常に感じ、子どもたちの姿もとても輝いて観えました。心に闇を持つクロと、純粋な心を持つシロ。名前からしてその存在の意味を感じますが、そのキャラクターも本当に両極端で上手かった。純粋な心を持つシロを守ろうとするクロの力は、実はシロの純粋な心が守っていた。汚れ無きシロは、全てを包み、全てを許す。それは子どもは神だという言葉を証明するような存在でした。そんなシロに守られていたからクロは闇に包まれる事はなく、生きることができていた。しかし、シロを守れないとわかった時から、クロは闇にその身を落としてしまった。シロも純粋すぎるが故に、人の苦しみを理解でき、耐えることが出来てなかった。二人は共に支えあい、共に補い合って生きていた。それは金パチ先生が言っていたように「人と人とが支えあって人になる」と。確かにその通りだと思った。金パチ先生すげぇ。
[映画館(邦画)] 8点(2006-12-25 11:20:41)
195.  カーズ
あまりピクサーを悪い風に言いたくはないのですが、この作品に限っては書かせていただきたいと思います。まず何より気になったのは、全てが車であること。車を修理する存在も車で、しかも虫でさえも車。何が言いたいかと言うと、全てを車にしてしまうとそこには人間を通した目線がない為、他のピクサー作品にあった人を通した温度がなかったと言うこと。現代の時代背景で、レーシングカーを主人公をするのはさほど問題はないのですが、そこに人間がいないのは問題だとおもう。今までにのピクサー作品は、身近に存在する玩具や魚、あるいは人間が作り出した架空のモンスターだとかヒーローだとか、そういった人間がいて始めて成立する存在が主人公になっていた。人間がいるということは、そこに共感があり、架空の主人公には憧れや夢の要素があった。それは昔のジブリにも言える事であって、それを見ることで、その二つの要素を楽しむことができ、また作品に奥行きが出ていた。それは当然子どもが観ても面白く、大人でも非常に楽しむ事が出来たと思う。がしかし、この作品は人間がいない事、また全てを車にしてしまった事で、両方の要素の力をかなり落としていると思う。またその二つが合わさる事で感じる感動がこの作品にはまったくと言っていいほどなかった。好奇心のアンテナにまるで引っかからず、ただの子ども向け作品で留まってしまっている。決してつまらないストーリーではないが、あまりにも単調なストーリーで始まった時点で結末が一つしかない。心の曲がった人間が改まっていい人になる。それは子どもに見せるにはいいが、映画をたくさん観ている大人にはわかりきっているストーリーで退屈ではないだろうか。僕は正直、好きになれない。ストーリーがではなく、こういう姿勢で作品を作ったピクサーの考えが、好きになれないのだ。もし、ピクサーを買収したあの会社がこの作品を作らせたのなら、僕はあの会社を心から憎む。
[映画館(字幕)] 6点(2006-12-25 10:33:16)(良:4票)
196.  悪魔のいけにえ 《ネタバレ》 
少し昔のホラー映画の感覚としてどういう状況が怖かったのだろう?現代ではホラー映画に多いのは、恐怖というよりは驚きが多いような気がする。ビクッとする感じ。あれはあれで冷や冷やさせられるけれど、怖さと違う気がする。この頃のホラーの感覚は多分、そこに何かがいる事への不安が恐怖だったのではないだろうか。恐ろしい存在がある家の中にいて、そこに入った者が次々と殺されていく。しかもそれには理由がないのだから兎に角逃げるしかないわけで、それは多分、怖いと思う。チェーンソウを持った男がとにかく追いかけてくる。日が出ていようが沈んでいようが、兎に角走る走る。一体いつになれば体力が尽きるのだと思うほど走る。よくもまぁあんな重そうな物を持ってあれだけ走れるもんだと褒めてあげたいものです。逃げる恐怖。追われる恐怖。逃げ切った時に思わず笑ってしまう少女の血に染まる笑顔の恐怖。これは立派なホラー映画だと思う。
[DVD(字幕)] 7点(2006-12-25 10:15:06)
197.  武士の一分 《ネタバレ》 
この映画を作った山田洋次監督が、木村拓哉さんと檀れいさんを通して何を伝えたかったのか…それはまず間違いなく“愛”でした。目で見て確かめる事のできない形のないものを、様々な方法でこの映画を見ている者に伝えようとする、その山田洋次監督の熱い想いに深く感動しました。
[DVD(邦画)] 9点(2006-12-22 00:45:47)
198.  HANA-BI 《ネタバレ》 
生と死。暴力と愛。様々な感情の間で男の心が揺れ動いているのがヒシヒシと伝わってきます。伝えたいことだけを描こうとする北野監督の想いが随所からうかがえます。無駄な説明もないのにストーリーがわかり、その波に乗っかっている人間たちの感情も台詞があれほど少ないのに恐ろしいほど伝わってきます。その演出力、あるいは脚本の無駄のなさに感動しました。全ての台詞、行動、カットに意味を持たせ、そして最後に繋げていく。素晴らしかったです。男は誰かを守るために拳を上げ、そして時に引き金を引く。その一方では、自分を犠牲にしてまで他人を包もうとしている。男の優しさとそれとは真逆の部分が強いがゆえに一方が際立つ。その方法は様々なところから伺えました。静けさが多くあるからこそ、音楽が際立ち、また台詞が際立つ。また死があるからこそ、何気ない行動、すなわち生きている時間が重く感じられ、さらにラストでの女の二言が、それまで一切何も語らなかったが故に際立ったと思います。その一つ一つに、全てが集約されているような気がしてなりません。多くの登場人物たちの心の葛藤が素晴らしく、その一人一人に感情移入できてしまうその一人一人の重要性にもまた感動しました。やはり北野監督は凄い人だと心から思います。
[DVD(邦画)] 9点(2006-12-22 00:20:01)(良:3票)
199.  明日の記憶 《ネタバレ》 
エグゼクティブプロデューサーを渡辺謙さんがしておられる事から、この作品にかける渡辺謙さんの想いはかなり強かったと思われます。テーマとして感じられるのは、やはり“愛”でしょう。しかもそれはそんじょそこらの“愛”ではなく、もう言葉では言い表せないくらい強い愛情です。深く広く、そして硬い愛です。アルツハイマーになる夫を支える妻。それはもう大変などという言葉では表しきれません。この作品はそのことから考えると妻を演じる樋口可南子さんが真の主人公だったと思います。夫の記憶が失われていく苦しみも確かに悲しく辛い物だと思います。でもそれ以上にその夫を見捨てず、何年も傍らに寄り添い続けられるその強い愛情に感動しました。時には嫌になり、時には逃げ出そうとも考えるその苦難、そこで大概の人間ならそうしてしまうでしょう。でも、それから目をそらさず、むしろさらに強く暖かい視線で夫を見つめるその妻の心の強さに涙しました。全てを忘れようとしているのに、手から離さないそのコップには妻の名前が刻まれている、そこにもまた互いの深い信頼と強い愛情を感じました。たった一つのアイテムで全てを集約してしまうその演出も素晴らしかったです。
[DVD(邦画)] 9点(2006-12-09 18:33:37)(良:1票)
200.  暗いところで待ち合わせ 《ネタバレ》 
僕はこの原作も脚本も読ませていただきました。さらに少し前学校で、天願監督に怒られてしまいました。まぁ、そんな事もあって、この映画、かなり気合入れて観にいきました。まず、初めの印象は演出がものすごく上手いという事です。奇妙な同棲の中で、すれ違い、ぶつかりそうになるそのギリギリが素晴らしいとしか言えないほどの緊張感となってそこに漂っていました。原作も脚本も読んでいましたから、オチは当然知っていましたが、それでも次どのような展開になるのか原作と脚本を読んだ事を忘れて夢中になって画面を見つめていました。冒頭では、二人を漠然と写し、次にミチル、その次にアキヒロ、そして最後はミチルとアキヒロを描く。その一貫した流れが本当に観るものを楽しませてくれました。無駄のない脚本は二人が徐々に近付いていく様子を巧妙に描いていました。本当に少しずつ少しずつ。どうやったらここまで繊細に描けるのか驚くばかりです。そして最後のミチルとアキヒロの向かい合っているショットは、キスしそうなくらい近い。それは二人の心の距離を演出しているような気がして、思わず興奮してしまいました。また、この作品は非常に台詞が少ないだけに、役者の演技が試されたような気がします。その点、田中麗奈さんの演技は完璧だったと思います。盲目の方がどのような動きをするのかはわかりませんが、やはり家の中であれば自由自在にまるで目が見えているように動けるのでしょう。そのリアルさに感動しました。さらに窓の外のホームに立つ母親に向かって「おかあさん」と叫ぶシーンは本当に素晴らしかった。彼女のイメージシーンも間に含めることで母親への思いをさらに強い物として描かれていました。アキヒロの役のチェン・ボーリンさんの動きも素晴らしかったです。黙っている時のちょっとした動きや作業の動き、あと目線の力強さなど本当に素晴らしいところが多かったです。僕は主人公の二人に原作と脚本を読んでいましたから、初めからしっかり感情移入して観る事ができ、ミチルの一人では生きて行けないという思いと、アキヒロの誰かに信じてもらえる事の喜びをヒシヒシと感じながら見ることができ、終始非常に楽しく観る事ができました。素晴らしい作品だったと思います。
[映画館(邦画)] 9点(2006-12-09 18:14:50)(良:1票)
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