1981. クライマーズ・ハイ(2008)
《ネタバレ》 「題名は聞いた事がある邦画」以外の知識無く鑑賞。あの大惨事に直面した記者達の物語なのだ。全権の息子も犠牲になったのだ。これは気合を入れて観なければと座り直しただけに始終味わい続けた「ポカーン」感が虚しい。犠牲者に対する敬虔な思いが殆ど無い職場の演出過多の罵り合いが不快千万。一点、実話かもしれないと思った、亡くなられた記者の精神が崩壊する迫真の姿に加点。 [DVD(邦画)] 3点(2013-12-21 09:12:43)(良:1票) |
1982. 友だちのうちはどこ?
《ネタバレ》 分かってくれない、分かろうとしてくれない、聞こうともしてくれない大人たちの中にあって、ひたすら奔走する8歳の男の子。その様子は言外に、権力で支配する者とされる者の実体を示しているようでした。男の子の純真さが報われるラストショットが秀逸で、歳を重ねて行くにつれて薄れていく「大切なのもの 」を鮮やかに見せてくれます。 [映画館(字幕)] 7点(2013-12-14 00:08:56) |
1983. 東ベルリンから来た女
監視・密告の嫌らしさがやり切れない国を出るかとどまるか。女医の決断まで描かれています。サスペンス・ロマンス・医師の矜持が程よく混ざった起承転結ですが、淡々とし過ぎて惹き込まれるものが無い作品でした。 [DVD(字幕)] 5点(2013-12-09 00:20:56) |
1984. 許されざる者(1992)
《ネタバレ》 リメイク版から興味をそそられての鑑賞。びっくりする程忠実にリメイクされていたオリジナル版でした。話のつまらなさもそのまんま。イーストウッドから謙さんの気魄は感じず。一点だけ違った「その後商売で成功したらしい」には怒りがこみ上げます。「お前だけ幸せに暮らせると思うなよ」 [DVD(字幕)] 3点(2013-11-07 23:39:26) |
1985. 新しい人生のはじめかた
《ネタバレ》 「諦めながら生きる方が楽なの」後悔を重ね歳を重ねてきた者にとっては身につまされる台詞です。現実離れが甚だしい展開ながら一歩を踏み出す結末に力づけられます。肩の力が抜けた名優同士の用心深い触れ合いは、なだらかさに心安らぐ一方で二人なればこその起伏が感じられなかった物足りなさがありました。 [DVD(字幕)] 6点(2013-11-04 17:18:00) |
1986. 第七の封印
《ネタバレ》 死神の登場シーンが頭に焼き付いて離れません。その重厚で侵し難い姿は得も言われぬ怖さを放っていました。戦争での殺戮、魔女狩りでの殺戮、終末思想による狂乱の行進。これらを神の名の下に行っておきながら神に救いを求めようとする自己欺瞞を死神は見通しています。一方、このような陰惨な時代にあっても瑞々しく健全に過ごす若い旅芸人一家には死神の神通力も及びません。信仰心は道徳心の上に成り立つものである事を知らしめられます。死の恐怖と生の喜び。監督は後者を表したかったように思えました。 [映画館(字幕)] 9点(2013-11-04 02:45:44) |
1987. フレンチ・コネクション
張り込み・尾行・追跡・解体の各シーンから迫り来る「犯人を必ずや逮捕する」という素行不良刑事と、「妥協を許さない」という映画監督、それぞれの常軌を逸した執念と仕事へのプライド。唖然とさせられ、敬服させられる私の思いを代弁してくれる相棒の絶妙なキャラクター。どうしようもない結末のやるせなさ。何年経っても色褪せる事の無い忘れじの名作。 [DVD(字幕)] 9点(2013-11-04 02:12:40) |
1988. 復讐するは我にあり
描かれる交尾の如き交わり並びに人間模様はこの監督特有。服着てサウナに入っているが如き不快さが堪らない。復讐を果したい実父に指一本触れられ無い代わりに赤の他人を騙して殺害する息子。最期の対峙の息苦しさが堪らない。復讐は人ではなく神様がする事と言いますが、実話だけにご遺族の胸中を察するとやるせなさが堪らない。 [DVD(邦画)] 6点(2013-10-14 00:46:28)(良:1票) |
1989. 主婦マリーがしたこと
《ネタバレ》 やりたい放題が過ぎたマリーに何の同情も湧きませんが受けた罰が斬首刑とは理不尽です。亭主の報復が強烈でマリー亡きあと甲斐性無しが子供らを育てる事が出来るのか。後味の悪さが残る作品です。 [DVD(字幕)] 7点(2013-10-12 23:32:04) |
1990. 殺し(1962)
川原の遺体から始まる物語、登場する容疑者達が揃って何だか情けない。しかし、最後まで飽きさせない作りになっていて結構惹き込まれ楽しめました。忘れられない名シーンがあります。罵り合いから包丁を取り出した母にすかさず傍にあったアイロンで身構えた娘。猛女のド迫力はイタリア映画ならではか。周りのオバサン達が割って入って事なきを得てホッとするやらガッカリするやら。 [映画館(字幕)] 6点(2013-10-12 23:16:03) |
1991. エンド・オブ・ホワイトハウス
《ネタバレ》 主人公の辛い過去が展開に生かされていないのが残念。彼の神出鬼没ぶり天下無敵ぶりは安心感と緊迫感の欠如がありました。(私が手に汗握ったのは漢な国防長官の姿)それは残虐一辺倒で狡猾さが皆無であるテロリスト一味によるところが大きいようです。余談ながら、北朝鮮出生の一味のボスの要求に北東アジア緊迫の状況に触れられている中で日本の「に」の字も出てこなかった事には苦笑しました。 [映画館(字幕)] 6点(2013-10-12 23:00:35) |
1992. 反撥
人間が壊れてゆく様子がネットリと描き上げられています。遠因すら語らないカトリーヌ・ドヌーヴの面持ち。妄想を示す映像。鐘・電話のベル・呼び鈴・微かな蠅の羽音といった音。これ等が渾然一体となりヒタヒタと纏わりついてくる恐ろしさに逃げ出したいのを堪えながらの鑑賞となりました。 思い返しても寒気がします。 [映画館(字幕)] 7点(2013-10-12 22:42:57) |
1993. ダイ・ハード/ラスト・デイ
異国の地で暴れまわる親子。組織の体を成していないその戦いぶりは派手で不死身であればあるほどドン引きしていきました。チェルノブイリを引っ張り出したいが為のロシアという舞台設定も放射能の無神経にも程がある描写に呆れ果てます。ハンス・グルーバーを彷彿とさせるシーンに、あの名作が今では見る影もない有様である寂しさと、こんな出来でダイハードを名乗る厚顔無恥さへの怒りを味わいました。 [DVD(字幕)] 2点(2013-10-12 22:11:47) |
1994. キートンの探偵学入門
キートン2作目であって身体能力の物凄さは織り込み済みとは言えやはり唖然とさせられ、更にビリヤードでの身のこなしにはシビレました。アイデアに溢れた展開は笑いどころ満載。快作です。 [DVD(字幕)] 8点(2013-10-12 15:35:32) |
1995. 許されざる者(2013)
人斬りは戦争行為においてのみでないならず者十兵衛とサディストな署長の対決。つまらない話で、女性達の描かれ方が半端であるのが奥行きが感じられない作品の要因に思えます。ただ、ならず者なりの気魄を示す渡辺譲は瞠目すべき存在でした。未見の原作に興味が湧いています。 [映画館(邦画)] 6点(2013-10-11 20:04:08) |
1996. マーガレット・サッチャー/鉄の女の涙
政治家としての功罪は通り一遍の知識しか持ち合わせておらず、本作から新たな発見はありませんでした。一方で「鉄の女」たり得たのはご主人の存在あればこそという事を初めて知りました。喪失感にさいなまれる彼女は観ていて辛かった。メリル・ストリープの役者魂は流石であります。 [DVD(字幕)] 7点(2013-10-10 00:09:24) |
1997. 日本のいちばん長い日(1967)
理性無き愛国心の恐ろしさを黒沢年男と天本英世の鬼気迫る言動から痛感させられます。戦争を終結させた天皇陛下のお姿に、開戦阻止が叶わなかった残念さをあらためて感じました。陛下は民を思って涙なされた。すすり泣く幹部達は何を思って涙したのか。綺羅星の如き俳優陣。一人一人が歴史の証人として後世に伝えたいという気迫でもって見せた史実に2時間半もあっという間でした。 [DVD(邦画)] 9点(2013-10-07 23:33:55) |
1998. 図書館戦争 革命のつばさ
予備知識ゼロ。観終わって面白さにびっくりしています。人が物を言う事をお上が権力でもって制限する国民にとって最も恐ろしく忌まわしき事をデフォルメはあるものの的確に捉えています。作家をめぐる攻防は展開に思わず身を乗り出す手に汗握るものでした。若い二人のロマンスの爽やかさが作品に彩りを添えています。 [DVD(邦画)] 8点(2013-10-01 00:08:26) |
1999. 刑事コロンボ/秒読みの殺人<TVM>
《ネタバレ》 生甲斐であるかのように何時も何かと闘っている犯人。その闘いが勝ち目のないものであるところがやるせなく、ファイティングポーズを解かない姿が哀しい、シリーズ中でも印象深いキャラクターです。彼女が銃を早々に処分しなかったのは不自然で残念です。 [DVD(字幕)] 7点(2013-10-01 00:00:08) |
2000. ゴールデンスランバー(2009)
《ネタバレ》 降りかかる理不尽な災厄に立ち向かう主人公の人となりが丁寧に描かれていました。しかし、彼を助け支える人々や展開に無理筋が多く見受けられ失笑を禁じ得ず、設定のみで中身が空っぽの「巨悪」に萎えました。一矢も報いることなく生き延びましたが「だから何?」としか言いようがありません。香川、堺コンビは本作のヘビに睨まれたカエルの関係が王道ですね。 [DVD(邦画)] 3点(2013-09-27 01:17:29) |