2241. スターリングラード(2001)
銃口の先の緊迫感。今作ほどその緊張感に包まれる映画はなかなかない。戦争という愚行の上でさらに繰り広げられる愚行。それでも彼らは生きる限り、愛するもののためにその標準に目を合わせ見えざる敵と対峙し続けなければならない。圧巻のリアリティと迫力による冒頭の戦場シーンから一気に一人のスナイパーの英雄伝、強力な敵との張り詰める対決へと昇華させる説得力に溢れたエンターテイメント性に圧倒される。傑作の名にふさわしい重厚なアクション映画だ。 9点(2003-12-16 20:06:32) |
2242. ハンニバル(2001)
「羊たちの沈黙」の続編である以上、観客が前作と比較して今作を観るのは仕方ないし、そういう見方をすればやはりマイナス点は多いと言える。だが、もし前作から距離をおいて観ることができれば、今作は非常にクオリティの高いサイコサスペンスと位置づけられるはずである。何と言っても、リドリー・スコットのよる崇高なまでの映像美は流石である。ヨーロッパの街並みを悪魔が暗躍していそうな怪しい美しさで包み上げている。そしてそこをまさに悪魔であるハンニバル・レクターが闊歩するシーンは怖ろしいまでの完成度の高さである。 8点(2003-12-16 19:52:15)(良:1票) |
2243. プランケット&マクレーン
もっと爽快感たっぷりのB級時代アクションを期待したのだけれど、チープな展開にテンポの悪さだけが残りまったく楽しめなかった。時代背景の不潔感だけが漂い、爽快感はおろか不快感しか残らない。 2点(2003-12-16 19:41:55) |
2244. サトラレ TRIBUTE to a SAD GENIUS
「心の中のことが周りの人間に伝わってしまう」という主人公の設定は、非常に斬新で映画的な葛藤にふさわしかったと思う。細部の描写に荒さは目立つが、全体的に興味深い展開は非常に楽しめた。個人的には主人公のおばあちゃんが亡くなるシーンで涙が溢れた。 7点(2003-12-16 19:38:37) |
2245. X-メン
アメコミの映画化作品の中では高評価な今作ではあるが、個人的には際立ったクオリティの高さは感じなかった。それぞれの特色を持ったキャラクターが出てくるのは良いが、そのことが主人公の印象を薄くしているように感じる。よってヒーローものとしては盛り上がりに欠け、「スパイダーマン」「スーパーマン」のような高揚感を感じることができなかった。 4点(2003-12-16 19:33:32) |
2246. ねじ式
原作のつげ義春の漫画世界はその特異なキャラクターデザインによりさらにシュールそのものなのだけれど、そのシュールさを部分的ではあるが見事に映像化していると思う。正直に言えば、映画としては面白いなんて言えないのだけれど、その「異世界」には否が応にも頭が侵食される。そういう意味では、つげ義春と石井輝男の世界観が合致した見事な映画化であると思うのです。 8点(2003-12-16 19:23:15) |
2247. スナッチ
衝撃性と珍妙さを併せ持つバイオレンスフルな展開による群像劇はとてもツボにくるものがあり楽しかった。軽快でスタイリッシュな映像感覚もクオリティ高く引き込まれる。ガイ・リッチー監督にはこれからも「笑えて、カッコイイ、バイオレンス映画」を作ってほしいと思う。 8点(2003-12-16 19:16:15) |
2248. 処刑人
圧倒的なスタイリッシュさによる銃撃戦が見事。娯楽性が極めて高いアクション映画の誕生に興奮した。ストーリーにリアリティはないが、漫画的な風合いが逆に映画の空気感にハマっていたと思う。敏腕刑事役ウィレム・デフォーのアクの強い演技がエッセンスとして効いている。 8点(2003-12-16 18:56:24) |
2249. 顔(1999)
社会に適応しきれずにいた女が、妹殺しの逃亡生活の中で社会生活に喜びと充実を感じていく。非常に皮肉なものだが、今の社会というものは、ただ素直に生きていても幸福感は得られない寂しい部分が確かにあるのだと思う。屈折しさらに屈折した生活の中で人間らしさを見出していく主人公を藤山直美が色濃く演じる。 7点(2003-12-16 17:41:20)(良:2票) |
2250. 風花(2000)
いまひとつ起伏のないストーリー展開に一見退屈さを感じるが、人間の心の傷の回復を描くという点で今作は非常に秀でていることに気付く。人間の心なんてものは憎憎しいほどに、愛しいほどに複雑で、一度ついた傷は簡単に修復されるものではない。この映画の主人公の男女が辿ったように、ゆっくりと、大きく回り道しながら回復するかどうかという微妙なところをさまよい続けるものだと思った。その人間の心らしい、まどろっこしさがこの映画の最大の要点だ。 7点(2003-12-16 01:04:17)(良:1票) |
2251. プリンス・オブ・エジプト
ディズニー映画ではないからなのかあまりに低い完成度には拍子抜けした。モロにアメリカ風のエジプト人の描写にも違和感があった。尺も短く史劇的な深みもまるでない。 2点(2003-12-13 21:19:31) |
2252. クリムゾン・リバー
ジャン・レノ&ヴァンサン・カッセルのフランス二大俳優に新進気鋭のマチュー・カソビッツの組み合わせによるサスペンスということで大いに期待したが、結果は散々だった。冒頭から中盤にかけてのサスペンスフルは雰囲気よく緊迫感も絶大だったが、サスペンス映画においてもっとも重要なラストの顛末があまりにお粗末であった。問題はやはり盛り上がりに欠けた脚本の完成度の低さだと思う。 3点(2003-12-13 21:13:58)(良:1票) |
2253. はつ恋(2000)
ストーリー的にはシンプルで映画にできる規模の物語ではないかもしれないが、映画女優田中麗奈の存在感がこの作品を印象深いものに仕上げている。特にラスト、夜桜の下で輝く彼女の笑顔には、彼女の女優としてのとてつもない魅力を感じずにはいられない。 7点(2003-12-13 20:52:31) |
2254. MONDAY
泥酔した男の暴走を軸に展開する破錠感たっぷりのストーリーは、まさにSABUワールドでありエネルギッシュでユニークだが、やはり傑作「ポストマンブルース」などと比べると完成度の低さは否めない。細かい演出、映像や音づくりにはまったく問題ないだけに、やはり問題は脚本のまとまり不足か。 4点(2003-12-13 20:23:18) |
2255. ブリキの太鼓
あの主人公を演じた役者は子供?それとも小さな大人?そのあまりに違和感が残るような深い表情に自分の中で説明がつかなかった。破天荒なストーリーをまかりとおす絶妙にチグハグな人物描写に何ともいえない気持ち悪さが残る。映画の出来の是非を聞かれれば、明らかに非とは答えられない完成度だけれども、今作の不気味さを前に私はどうしても他人に勧めることは出来ない。 5点(2003-12-13 19:54:13) |
2256. バッファロー'66
ただ見た目のセンスの良さだけを追い求めて面白くない映画は多々あるが、ここまで雰囲気的なセンスの良さを追求して尚面白い映画も珍しい。はっきり言って内容がどうこうと言える映画ではなく、ただただその世界観に引き込まれる。「オシャレな映画」などと言うと軽薄に聞こえるが、今作ほどその名にふさわしい秀作はない。 7点(2003-12-12 01:41:44) |
2257. PARTY7
「鮫肌男と桃尻女」の影響で相当に期待したんだけど、豪華でユニークなキャスト陣と特異な環境設定を生かし切れずに終始してしまっている。あの奇妙な空間とキャラクターをもっと生かした絶妙な脚本を用意してほしかったと思う。 4点(2003-12-10 17:51:05) |
2258. バトル・ロワイアル
公開前に話題になったほどの問題性は感じなかったが、バイオレンス映画とすれば斬新な緊迫感と暴力性に溢れていたと思う。安藤政信、ビートたけしをはじめとする脇役たちの演技はそれぞれインパクトがあり良かったが、主役を張った藤原竜也の不出来な演技がひとり浮いていたように思う。中盤の展開的には非常に良かったのだけれど、主演の二人が街中に消えていく安易なラストシーンで一気に白けてしまった。ラストさえあれでなければ、結構好きな映画になっていたかも知れないが…。 4点(2003-12-10 17:45:46) |
2259. バーティカル・リミット
予告編で期待したとおり映像的には迫力があったが、あまりに希薄で酷いストーリーにマイった。映像的な印象で映画を選ぶことはよくあるが、こういう映画を観ると、やはり映画で一番大切なのはストーリーだということを逆に認識させられる。酷すぎるストーリーに不快感と嫌悪感満載だった。 1点(2003-12-10 17:25:28) |
2260. 戦場のメリークリスマス
若年層の間では、大島渚というとどうしてもタレント監督という印象を強く持ちがちだが、今作などを観ると彼が物凄い映画監督だということを認識させられる。鮮烈で美しい調にのって織り成される人間の悲哀は、痛いほどに深くその本質をえぐり出している。ビートたけしの怪演も手伝って紛れもない傑作だ。 8点(2003-12-10 17:21:16) |