2521. 眠狂四郎無頼控 魔性の肌
成田三樹夫を目当てで鑑賞。 しかも私の好きな市川雷蔵が出ているとくれば、それだけで満足・・・のはずが、どうもなぁ・・・ まるで西部劇の主人公の様な眠狂四郎の強さ。 あまりに強すぎてつまらない。 しかし、娯楽作品として素直に観られれば満足できるはず。 それにしても、成田三樹夫の出番が少なすぎ! それが私にとっては一番痛かった。 やっぱり成田三樹夫はヤクザ役が一番だなぁ~。 [CS・衛星(邦画)] 5点(2008-03-23 00:49:49) |
2522. 妻(1953)
《ネタバレ》 成瀬映画に上原謙との取り合わせ。 これだけでもう、ハズレなんかあり得ません。 上原謙のダメ男ぶりも観ていて気分が良くなるくらいハマっています。 しかしまぁ、 高峰三枝子が・・・ 元々、あまり好きな女優さんではないのですが、その嫌なイメージを増幅させる役を演じています。 煎餅をボリボリ、お茶でうがい。 こりゃ、夫としてはたまりません。 上原謙のごとく、観ている私までイライラしてきました。 ここまでイラつく「妻」を演じた高峰三枝子は、ある意味凄い。 彼女の演技の成せるワザなのか? それとも単なる地か? いずれにしてもウザ過ぎます! しかし、本作を観ていて少しシックリこなかった部分がありました。 それは上原謙が浮気をして、結局、浮気相手の女性にフラれてしまう部分です。 これがどうも唐突ですし、理由が良く解りません。 なんか強引に、「元のサヤに戻る夫婦」という成瀬映画のパターンに持っていった様な気がします。 これが強引すぎて、どうも最後はシックリとこなかったのです。 上原謙をはじめ、雰囲気は非常に“成瀬していて”で良いのですが、このストーリー展開の無理が気になりました。 それでも十分楽しめるところは、さすが成瀬監督ですね! [CS・衛星(邦画)] 7点(2008-03-21 21:12:18) |
2523. 無法松の一生(1943)
三船版の後に観たので、ストーリーを追うような形で観るハメになってしまった。 こちらの方を先に観ていれば、もっと感動できただろうに・・・ 残念だ。 [DVD(邦画)] 6点(2008-03-20 22:38:23) |
2524. 風が踊る
ホウ・シャオシェンの初期作品。 この頃はホウ監督も普通にストーリーを語ってます。 しかしながら、どうも退屈。 後にホウ監督は、映像重視の監督になっていきます。 やはり、彼自身もストーリーを語るより、映像で語った方が向いていると悟ったのでしょうか。 そう感じてしまうほど、ストーリーは何の変哲もありません。 ただし、観ていて気分が心地よくなる感じは、この頃から変わっていません。 特に音楽の使い方が印象的。 思わず口ずさみたくなるようなポップな音楽が終始流れています。 センスはともかく、音楽の使い方は個性的なホウ監督です。 [ビデオ(字幕)] 5点(2008-03-20 20:16:12) |
2525. 神々の深き欲望
与那国島が舞台というのが、実際にその場所に行ったことのある私にはすぐ分かった。 「クブラバリ」という、その昔、人減らしの為に妊婦を飛ばせたとして知られる気味の悪い場所が実際にある。 私はその現場を観たことがあるので、鑑賞中は怖くて仕方なかった。 本作で登場する“西の神島”とは、台湾のことであろう。 実際、与那国島(クジラ島)から肉眼で観ることができる。 本作はとても長く、決して面白い作品ではない。 ただ、南方の島国の閉鎖的なムードは良く表現できているように思う。 [ビデオ(邦画)] 6点(2008-03-20 16:39:40) |
2526. 忘れえぬ想い
《ネタバレ》 ぬ?!まだ私でレビュー二人目ですか・・・意外とマイナーな作品なんですね。 前半はストーリー展開が強引過ぎて、なんか居心地が悪いです。 それが後半にいくにつれ、尻上がりに良くなります。 主演のセシリア・チャンも、最初は特に魅力を感じなかったのですが、物語が進むにつれて、だんだん応援したくなってきたから不思議です。 これは全て監督の演出の巧さに拠るところでしょう。 特別に優れた作品だとは思いませんが、意外と楽しめる佳作だと思います。 しかし、複雑ですねぇ・・・ 確かに、ラストで二人が結ばれたのは綺麗な終り方だとは思いますが、亡くなった人のことを、こうもアッサリ忘れていいものなのでしょうか?! 現実的と言えば現実的でリアリティがありますが、どうもこの辺のアッサリし過ぎ感がしっくりこなかったのも事実。 過去に縛られず未来に向かって新しい人と未来を創造していくか、それとも過去に愛した人をずっと大切にしていくか。 どちらが正しいとも言えない難しい問題です。 こういった難しいテーマは、変にハッピーエンドとかで終わらせず、ラストを曖昧にして、観る者の価値観に委ねるというのが、良いように思うのですが、どうでしょうか。 [DVD(字幕)] 7点(2008-03-19 00:15:24)(良:1票) |
2527. 妻は告白する
《ネタバレ》 凄まじいまでの愛憎劇。 女の情念を、これほどまでに強烈にフィルムに焼き付けた作品があっただろうか。 少なくとも私は観たことがない。 法廷サスペンスものとしてみても一級品の出来栄え。 若尾文子の演技も凄いの一言! 愛すべき人に対して、ここまで真っ直ぐに気持ちを持てるなんて凄い。 凄すぎる。 殺人は決して肯定できるものではないが、女が男を愛する気持ちは、そんな道徳観念すら殺してしまう。 男にはない女の情念。 それを雄弁にして、サスペンスフルに綴った本作。 いやぁ、アッパレでした。 (追記) 本作を観るきっかけとなったのは、映画評論家である佐藤忠男氏の『日本映画300』という文庫本に載っていたからです。 この本は本当に凄い。 ハズレがほとんどと言っていいほどない。 紹介されている作品は、どれも凄い作品ばかりなのです。 日本映画好きの方は必携の一冊だと思います。 [ビデオ(邦画)] 9点(2008-03-17 23:39:41)(良:1票) |
2528. 青春の殺人者
《ネタバレ》 前半の両親殺しのくだりは、凄い緊迫感。 これだけの緊迫感を放つ作品は、そうはない。 しかし、中盤から終盤にかけてダレダレ。 そこが残念。 もう少し尺が短かかった方が良かったかも。 [ビデオ(邦画)] 7点(2008-03-17 05:37:39) |
2529. 裁きは終りぬ
ラブロマンスがらみの法廷モノ。 『十二人の怒れる男』と『情婦』をミックスした様な内容で、苦手な系統の作品だった。 『大いなる幻影』で印象的な演技を魅せた女優、ディタ・パルロを目当てで本作を鑑賞したのだが、結局どれが彼女だったのか分からずじまい。 フランス映画にしては、それほど暗さもなく、理屈っぽいところも少ないので、法廷モノを苦手としていない方なら、普通に楽しめるハズ。 [ビデオ(字幕)] 3点(2008-03-17 05:30:33) |
2530. 歌麿をめぐる五人の女(1946)
まあ、溝口作品の中では間違いなくレベルの低い作品ですね。 登場人物が誰が誰だか分からない。 田中絹代しか分からない。 そういった演出的部分も、物語に入っていく観客を阻害している要因の一つだと思われます。 [DVD(邦画)] 4点(2008-03-15 23:38:17) |
2531. 鏡心
ご覧の様に、石井聰亙監督が全てを担当した、自主映画の様な作品です。 しかし、そこは石井聰亙監督の力ですから、凡作にはなっていません。 映像で語る作品なのですが、これが素晴らしい映像美! はっきり言って、出演者の演技とセリフはいらない感じ。 それだけ映像が綺麗で素晴らしい。 『狂い咲きサンダーロード』の様な荒削りな作品を撮った監督とは思えない、洗練された作品に仕上がっています。 万人にオススメできる作品ではないかもしれませんが、映像重視の映画ファンの方には絶対オススメしたい作品です。 もちろん石井聰亙ファンの方は必見です。 [DVD(邦画)] 7点(2008-03-14 00:18:21) |
2532. ニノチカ
《ネタバレ》 映像や演出は洗練されているが、いかんせん、テーマが悪い。 資本主義を手放しで褒めすぎ。 社会主義国を根本的に下に見ている。 そんな部分がどうも好きになれなかった。 グレタ・ガルボもトウがたっていて、魅力はさほど感じなかった。 主演の男優も、いかにもアメリカ人といった感じで好みに合わなかった。 [DVD(字幕)] 5点(2008-03-09 23:36:02) |
2533. バリー・リンドン
キューブリックは、やはり初期のモノクロ作品の方が良いですね。 本作は、『アマデウス』に似た作風である様な気がします。 音楽、映像は素晴らしいのですが、どうも役者陣に魅力を感じないのです。 個人的に、一代記モノがあまり好みではないというのも関係していますが、期待していたほどには満足できませんでした。 [DVD(字幕)] 6点(2008-03-09 02:21:26) |
2534. にあんちゃん
《ネタバレ》 今村昌平作品にしては、性描写が全くない。 これにまず驚き。 しかし、今村監督ならではの“泥くさい描写”は健在である。 田舎町の泥臭さをストレートに映像に焼き付けている。 「にあんちゃん」が貧しくて厳しい環境ながら、未来に希望をもって敢然と山を登るラストシーン。 これは北野武監督作品『キッズ・リターン』のラストシーンを思わせる素晴らしいシーンである。 どんな苦しい環境においても、「希望」を持ってさえいれば、人生が「終わった」ということにはならない。 苦境に立たされても、熱い「希望」を決して捨ててはならない。 「希望」を持つことこそが、生きる上で非常に大切であり、生きる喜びの源泉となり得ることを、本作は雄弁に物語っている。 力をもらえる、心に残る良作であった。 [ビデオ(邦画)] 7点(2008-03-08 19:35:13) |
2535. プライベート・ライアン
ノルマンディー上陸作戦は無謀である。 [ビデオ(字幕)] 6点(2008-03-08 00:04:15) |
2536. 愛情萬歳
《ネタバレ》 台湾のニューウェーブといわれるツァイ・ミンリャン監督の作品を初めて鑑賞。 いやぁ、これが思った以上に良かった。 台湾映画的な、距離を置いた視点を保ちつつ、現代社会に生きる人々の孤独や憂鬱を至極客観的に描く。 そこでは物質的な豊かさに充ちているが、人々はそれに反して心にポッカリと穴が開いているのだ。 そういった内容を、一人の女と二人の男という登場人物を使って、自然に巧く描いている。 この監督の作品をもっと観てみたい。 そう思わせるだけの傑作だった。 [ビデオ(字幕)] 8点(2008-03-06 21:14:06) |
2537. バルボーザ
新規登録されるのを待っている間に内容を忘れてしまいました・・・ [CS・衛星(字幕)] 5点(2008-03-06 21:09:10) |
2538. 魔像(1952)
《ネタバレ》 ベタベタのチャンバラ喜劇。 個人的に苦手な系統の時代劇。 ただし、津島恵子の美しさは特筆モノ! おかしいなぁ、彼女の出演作を観るのは初めてじゃないのに、今までこんなに美しいと感じたことはなかった。 これは監督の手腕のせいか?! 今一度、その美しさに注目したい女優となった。 [ビデオ(邦画)] 5点(2008-03-03 23:03:19) |
2539. 雲ながるる果てに(1953)
《ネタバレ》 “カミカゼ特攻隊”の特攻までの数日をドキュメンタリー・タッチで描いた本作。 戦争の悲惨に関わる史実を、忠実に描いたことに関しては賞賛に値するし、何より反戦的な訴えも見事に表現されている。 しかしながら、そもそもお国の為に命を捧げるということ、それ自体に嫌悪感を持っている私は、最後まで感情移入できなかった。 こういう悲惨な事実が戦争中にはあった。 それはよく伝わるが、個人的好みとして、感情移入しがたい戦時中の「天皇万歳」的な悪しき風潮は、観ていて不快感が募りっぱなしであった。 [ビデオ(邦画)] 5点(2008-03-02 23:44:50) |
2540. 処女の泉
《ネタバレ》 こんなにも美しく、そして残酷な映画は観たことがない。 世界広しと言えど、こんな映像はベルイマンにしか撮れない。 それくらい鮮烈な映像だ。 少女の強姦シーン。 これほどまで残酷で鮮烈な強姦描写は観たことがない。 観ていて悪寒がはしった。 動悸がした。 心がざわざわとする程の強烈なシーン。 この強姦シーンを、ここまで際立たせた要因は、少女の美しさに尽きる。 冒頭で、少女が神がかり的な美しさを見せる。 これ以上ない美しさ。 心乱されるほどの、強烈すぎる美しさだ。 この、少女を美しく撮った冒頭部分があったからこそ、後の強姦シーンの痛ましさが際立った。 89分と短い尺ながら、体力を非常に奪われた。 なんていう美しさ、なんという不快な作品だろうか。 この不快感には、どんなスプラッター映画も、どんなホラー映画も、足元にも及ばない。 神秘的な美しさと並存する不快感。 私はイングマール・ベルイマンという監督に畏怖する。 ベルイマンにしか取れない独創性の極めて高いモノクロ映像。 美しい少女と、その少女を極めて神秘的に美しく撮った手腕。 ベルイマンという人が、いかに凄いかを確信できる作品だ。 終わらせ方やラストシーンに疑問は残るものの、並外れた作品であることに疑いの余地はない。 この不快感を基に点数をつけるとすれば、0点のインパクト。 美しさを基に点数をつけるとすれば、10点のインパクト。 あまりに両極端で、点数をつけるのが非常に難しい作品である。 いつかは再見したい作品だが、再見する勇気が湧いてこない。 最後に湧いた「処女の泉」は、私にとってなんの慰めにもならなかったのだ。 [ビデオ(字幕)] 8点(2008-03-02 16:01:26)(良:1票) |