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ユーカラさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

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301.  スター・ウォーズ/フォースの覚醒 《ネタバレ》 
『クリード』などと共に、いわゆる黒人と白人が一致協力して活躍といった内容は米国内では現在的なテーマだろう。 そういう副島某的な一種の政治的配慮を勘ぐりだすと、映画の妨げになってしまうのだが。  ゴーグルをつけて廃船の中を探索し、小高い砂丘を滑り降りていくヒロインの姿からして『風の谷のナウシカ』実写版の趣があり、 キャラクターや構図など、参照したなと思わせる箇所が多々あるのも、再生産品の印象を強める。  敵方の黒騎士は登場シーンからして淡白で味気ない。宇宙船から降りてくる足元からあおるとかのケレンは出せないものか。 この敵将の貫禄不足・魅力不足はかなり致命的で、ドラマの進行に伴って益々テンションを下げていくのも困ったもの。  マーク・ハミルも、『キングスマン』等の後ではどうしても有難味に欠ける。
[映画館(字幕なし「原語」)] 4点(2016-01-03 10:15:09)
302.  クリード チャンプを継ぐ男 《ネタバレ》 
助演とはいえ、ここでも自らの実人生をだぶらせ、老いと衰えを体現してみせるシルヴェスター・スタローンが素晴らしい。 第一作を意識した構図とステディカムによる滑らかなカメラワークで美術館の階段をゆっくりと登っていく彼の柔らかな笑顔に泣かされる。 あえてクロースアップで強調された、顔に刻まれた皺が人間的魅力となっている。  ワンマン映画気味であったシリーズから一歩脇に引いた形となったことでロッキーというキャラクターもより深みを増し、 チームの映画をより強く印象付けるものとなっただろう。 冒頭でマイケル・B・ジョーダンの孤独な背中を追うロングテイクは、ジムの階段やロードワーク、タイトルマッチの入場シーンや美術館の階段で 彼と並んで歩むスタローンやバイク軍団を伴うそれぞれのワンカットに昇華する。  音楽的な要素をより強調したのも新味といった感じで、トレーニングシーンも打撃音をリズミカルに響かせ、BGMを盛大に被せてくるが、 結局は最終ラウンドでのビル・コンティの旋律がすべてをかっさらってしまう。  マイケル・B・ジョーダンとアンソニー・ベリューによるファイトシーンの切れの良い動きとカメラワークも相乗してアクションを盛り上げる。 そのロングテイクが素晴らしいのは、単にワンカットであることではなくカメラが選手の至近距離に肉薄し、動きの間に入り込みながら カメラをほとんどぶれさせないテクニックにあるが、これもまた第一作のステディカムへのオマージュであり、かつそこからの飛躍でもある。
[映画館(字幕なし「原語」)] 8点(2015-12-28 11:13:47)
303.  狂走情死考 《ネタバレ》 
真白な雪の中、木に縛り付けられ、鞭打たれ、真冬の浜辺を裸で走りと、 俳優たちはかなりの無茶をやっている。ほとんど苦行だ。 夜の西新宿を延々と駆け続ける吉澤健の移動ショットから小樽の雪道を彷徨するラストまで、ひたすらの北上逃避行。 その風景の変遷が時代を鮮明に映し出している。  それは低予算を画面に露呈させない若松作品のしたたかな策でもあるが、その情景の力と身体の感覚は常に積極的な強みになっている。  殺したはずの警察権力が、いつの間にやら目の前に超然と姿を現し、、 という展開も実に寓意に満ちている。
[映画館(邦画)] 7点(2015-12-22 00:02:26)
304.  母と暮せば 《ネタバレ》 
長崎を舞台とする映画なら、坂の勾配は必須の要件と云っていい。 舞台となる二階家は結構な高台の上だ。映画の当初からそれは湾の眺望と共に提示される。 それだけでなく、大学の講堂の座席から教壇を見下ろす、二階から階段下を見下ろす、 枕元の吉永小百合を見下ろすなど、二宮和也のポジショニングにも高低や段差が意識されている。  中でも上がり框を舞台として履物を脱ぐ、居間に上がる、鼻緒を治すなど足への拘りは顕著で、二宮の白いソックスに関わる演出はとりわけ目を引く。  舞台劇的な趣向をベースとしつつ、 二階部屋に差し込む美しい西日や長雨や曇天、木枯らしなど天候の効果を加味してドラマの緊張を高めている。 映画は雲の上から始まり、雲の上へと帰る。宗教画になったきらいもあるが。
[映画館(邦画)] 7点(2015-12-20 23:54:54)
305.  ジャンヌ・モローの思春期 《ネタバレ》 
月の満ち欠けのアバンタイトルに続いて、フランス国民祭の賑わいが窓外から響いてくる。窓辺に佇む少女。  隣りの部屋の窓から身を乗り出す少女と交わされる短い対話によって、戦争が間近であることがわかる。 果たして、通りの嬌声に交じって軍用機の爆音も部屋の中に入ってくる。  美しい田園風景の中を走るバスのロングショットにヒロインのモノローグが被さる。12歳の夏休みにフランス中央部にある父方の田舎に出かけること。 そしてそれが1939年の夏であること。  つまり、フランスが宣戦布告する直前の夏、戦争前夜である。  納屋の干し草に埋もれながら田舎の友達とはしゃぐ。祖母(シモーヌ・シニョレ)と添い寝する。年上の青年にほのかな恋情を抱く。 単に女優の回顧録としても、それらの他愛ないエピソードが夏の光と共にノスタルジーをかきたてるが、 そののどかな暮らしの中ににじり寄る大戦の影(それらはラジオ放送であったりと、さりげない。)が 情景のかけがえのない美しさをより印象付ける。  少女によって開け放たれたオープニングのドアと、祖母によって閉ざされるエンディングのドアが対照を為す。
[ビデオ(字幕)] 7点(2015-12-19 15:20:46)
306.  オーソン・ウェルズのフォルスタッフ 《ネタバレ》 
高窓から光の差し込む城内の厳かな様。深い奥行きの画面がウェルズらしい。 対照的な酒場の猥雑な様。テンポよく韻を踏むダイアログ、短いショットと共に軽快に人物の動きを追うカメラが画面を弾ませる。 その酒場のセットも、材木の組み合わせと構造に妙味があって視覚的にさらに面白い。 中盤の合戦シーンは白煙の中に人物と騎馬が入り乱れる黒澤的なダイナミズムで目を瞠らせる。  ラスト、仰角のショットで成長した王の威厳を称え、寂しげに去りゆくウェルズの巨躯を小さく小さく捉えるカメラが印象的だ。
[DVD(字幕なし「原語」)] 8点(2015-12-16 23:52:32)
307.  orange オレンジ 《ネタバレ》 
上映時間139分というのが、まずは悪い冗談。 それを踏まえて観ているから、余計にテンポの悪さと散漫ぶりが目立つ。 梗概的な部分の整合性を突き詰めきれていない脚本や、ヒロインの口跡の一本調子や、感傷過多のBGMなどの貶しどころはヤフーレビューあたりに 散々書かれている通り。  水泳プールから花火を見るというシーンを設定するのなら、そのプールという場には二人を結びつける説話的論拠を付与するべきだし、 それ以上に、『海街diary』の花火のように水面に花火を美しく反映させるといった映画的論拠がまずあってしかるべきなのだが、 驚くべきことにそれらが何もない。舞台がプールである必然性が全く無い、という。そういうののオンパレードだ。  ソフトボールにサッカーにリレー競争と、運動競技を活かそうとするのは解るが、 それらは悉く、映画性ではなく道徳性のほうに収斂してしまう。 「重荷運び」のストレートで優等生的なメッセージ中毒&言語依存ぶりには、哀れみすら感じる。  上映時間が長いだけあって、6人の個性が明確になっていたのは救いだ。  並木道の木漏れ陽などはもっと巧く活かせたはずである。
[映画館(邦画)] 3点(2015-12-15 00:21:07)
308.  007/スペクター 《ネタバレ》 
例によって、愛想の無いサム・メンデス。 その深刻ぶった語り口の割には、アクションは大ざっぱで物量頼みの旧態依然。 ヒロインの生命を守る、と誓ったはずのヒーローがいきなり雪山で彼女を巻き込みかねない無謀な突撃をやらかしてはまずくはないか。 列車での格闘にしてもアジトからの脱出にしても、盛り上がるべき箇所で盛り上がらないのは彼女を庇い、守りながら闘うというエモーションがアクションに欠如しているからでもあろう。オープニングのカメラからして技巧の披瀝にすぎず、カースタントを始めとするアクションは空虚なスペクタクルの羅列に留まっている。 二人のドラマにもう少し注力すれば、ラストの橋のシーンはもっと輝いたろうに。
[映画館(字幕なし「原語」)] 4点(2015-12-12 00:01:12)
309.  犯された白衣 《ネタバレ》 
モノクロからカラーに変わるショットの淫靡で毒々しい赤。 そして海の蒼と、夕景のオレンジに続き、白い布に旭日旗の如く放射状に塗られた血の鮮紅色。そして女性達の死骸の白。 その中心で少女の膝上に赤子のように青年はうずくまっている。少女は男に「何故、自分の血を流さないのか」と問う。 その問いはなかなかに意味深だ。  柱や襖などの障害物が監禁された女たちの姿を隠しては現させ、溝口的な抑圧空間を創り出している。
[DVD(邦画)] 6点(2015-12-10 23:52:44)
310.  杉原千畝 スギハラチウネ 《ネタバレ》 
予告編から想像した通り、心理的表情と観念的ダイアログがくどい映画。 諜報のプロとしての側面や家族のドラマなど、内容をいろいろと欲張ったのも冗長さの原因の一つだろう。 その割に、帰国後の顛末はほとんど省略というのも物足りない。祖国からの迫害には極力触れないという配慮か。 外務省を追われて以降こそ、夫婦のドラマの見せどころではないか。  襖を介しての語りかけが二人の出会いのきっかけとなるが、そこでの一方向的な会話が 後の領事館での対話に活かされる形となる。であればその出会いの瞬間はもっと繊細に 映像で印象付けて欲しいし、 『ゴッドファーザー』もどきのダンスに時間を割くくらいなら、要である二千通のビザ発給を映画らしく肉体労働として描写しつつ、 それを支える妻の姿をこそ描いて欲しいところでもある。  ともあれ、エンディングの杉原一家の家族写真が最も感動的である。  戦後70年を主題とする今年の邦画も、残すところ山田洋次のみ。
[映画館(邦画)] 5点(2015-12-06 23:36:44)
311.  黄金のアデーレ 名画の帰還 《ネタバレ》 
現代パートでの資金難とか家庭不和といった障害はある程度台詞での処理に頼らざるを得ないだろう。  その辺りの淡白さを補うかのように、過去パートの脱出劇がサスペンスと緊張に溢れている。  裏路地で逃亡を通報する者。咄嗟に逃げ道を指示し、手助けする女性。通りの群衆の中で、追う者・追われる者・味方する者・妨害する者、 それぞれの視線が交錯し、スリリングなアクションを形作っている。 出国手続きの受け答えの中で、声を上ずらせながら懸命に機転を利かす若きヒロイン(タチアナ・マズラニー)の気丈さが心を打つ。  弁護士の弁論から大団円まで、クライマックスの調停シーンは裁判映画の型通りの流れだが、それで万々歳とはならない。 その次の場面に訪れる、過去と現在ふたりのヒロインの涙とそれぞれの抱擁が美しい。  その繋がり合いはヘレン・ミレンのチャームあってのもの。メリル・ストリープではこうはいかない。
[映画館(字幕)] 7点(2015-12-04 20:24:24)
312.  帰郷(1978) 《ネタバレ》 
チャップリンの『独裁者』の演説がカメラに正対してのもの(つまり映画を見る観客も含めた聴衆に対してのメッセージ)であるのに対して、ジョン・ボイトのスピーチを映し出すカメラはあくまで語りかけられる海兵隊志願の若者達と、語りかける彼の横顔とが中心となる。  同時に、そこでは無言のブルース・ダーンが軍服を脱ぎ捨て海辺に入水するシーンが対比的にクロスカッティングされ、 その慎ましい寸断によってスピーチは抑制的でより深みのある響きを獲得する。 同時にそこでは波打ち際という古典メロドラマ的モチーフが印象的に補強される。  そのスピーチもこう締めくくる。「there's a choice to be made here.」  これら品のある演出によって、そのメッセージ性も押し付けがましくなることなく心に響く。  全編に流れる歌曲は逆に少し雄弁だが。
[DVD(字幕なし「原語」)] 7点(2015-11-29 23:25:20)
313.  ガールズ&パンツァー 劇場版 《ネタバレ》 
キャラクターの絵柄も、声優の声音もまるで苦手。だが活劇として文句なく面白い。 誰が誰やらという感じの女性軍団が延々と賑やかなトークを繰り広げるが、それらは常にアクションを伴うから心地よい。 それはメカニックの擬人化ともなる。そして迷いのない決断と行動が一貫していて清々しい。 これはホークス的と云ってよいかもしれない。  ラスト近く、二台対三台となり科白がほとんど省かれてからの近接戦闘とぶつかり合いの素晴らしさ。 舞台装置や大道具を存分に駆使しふんだんに投入された戦術のアイデア。 斜面やコーナーでの遠心力や重力を活かしたアクションの物理性。重量と戦速の感覚。 映画ならではの市街破壊のカタルシス。 その過剰とも言えるサービス精神と、今のご時世でミリタリー趣味と街おこしの相性のデリケートさを踏まえた上で尚 ひたすら活劇性に徹してみせる作り手の心意気が感動させる。  全編通してカット数も多い分、大洗町内の背景画の数も膨大である。ランドマークだけでなく其処此処の路地までロケハンが尽くされているのがわかる。 単に街並みを絵で忠実に再現するだけならどうということもない。そのロケーション(地形・建築)をアクションにどう活かすか、がポイントなのだとよく心得られている。  「A級」気取りの作品が入れたがる冗長な後日談を一切カットした、この潔いB的感覚も嬉しい。
[映画館(邦画)] 8点(2015-11-27 19:57:48)
314.   《ネタバレ》 
今井監督初のカラー作品だが、監督本人が語るように色彩を殊更に誇示するような画面にはしていない。 村祭りの場面などは華やかな人工色が彩るが、あくまで霞ヶ浦の水面や青空、木々の緑など自然物の色彩を鮮やかに映し出している。 とりわけ、大きな帆を張った帆曳船の出漁シーンの情景描写は素晴らしい。  米というタイトルながら、中心となるのは土地がないため半農半漁によって生活する零細農民達であり、その為にここで描写されるのは 米作と湖上労働である。  物語ではなく、農村の四季と労働に重点を置いて点描していくスタイルによって、今現在ではもはや見ることも出来ない様々な農機具や 機織り機などが活躍しており、それが情趣を伝えるだけでなく貴重な映像記録ともなっている。  出演俳優たちの語る方言もまたいい味を出している。
[DVD(邦画)] 7点(2015-11-23 23:59:34)
315.  劇場霊 《ネタバレ》 
冒頭で横たわる人形の艶かしい表情の造型など、フィルム撮影の感触や照明効果もあって押井守も大喜びしそうな生々しい物質感がある。 クライマックスで人間を追う動きやそのPOVショット、状況と顛末は『ターミネーター』も思わせる。 その追い詰められる感覚を出す上で、劇場の構造と舞台の空間はしっかり提示して欲しかったところだが。  口話での説明も多く、脅かし系BGMの連発も少々くどい。いつもならすぐにそれとわかる特長的な川井憲次サウンドも、 ラストの島崎遥香のショットに被るメロディーでようやく気付いた次第。 本来ならエンディングで余韻溢れる印象的なインストルメンタルを聞かせてくれるところなのに、 興ざめな歌曲が流れてきてしまうのは、例の企画担当の都合というやつか。  ヒロインの怯えの芝居は単調ながら、頑張ってよく絶叫している。
[映画館(邦画)] 4点(2015-11-23 08:13:00)
316.  レインツリーの国 《ネタバレ》 
『県庁おもてなし課』の監督だったことを忘れていた。 難聴と聾が違うのは承知するし、原作との絡みもあるだろうが、少なくともこれは映画なのだから、 手話までいかなくともせめて身体言語をもう少し活用して欲しいと思う。 作り手は『息子』や『風の歌が聴きたい』での俳優たちの感情表現力をよく見ろと。  男の側は、相手にわかりやすく伝えようという口話をまるでしていないし、 女の側は、相手によって筆談と口話を巧妙に使い分ける人物となっているから、共に好感度は上がらない。 ちょっと解らない事があれば、何でもかんでもお手軽にネット検索、、。 それを映画で見せるか。図鑑でも辞書でも取り出して、身体を使って愚直に手で頁を括れと。  ダラダラだらだらダラダラと画面にメール文字を並びたて良しとし、それをさらに(ヒロインに出会う前から)気色悪いアニメ声で延々と音読させるのだから 自堕落な阿りとしか言い様がない。その免罪符が「言葉を大事にする」だと。  携帯メディアという非映画的な小道具を多用するからには、それをどう映画的に活かすか。演出家が真剣に模索した形跡がまるでない。
[映画館(邦画)] 2点(2015-11-22 00:26:19)
317.  いちごブロンド 《ネタバレ》 
BGMかと思われていた調べが実は劇中の楽隊の演奏だとわかる、という具合に、ドラマの流れに沿うように音楽が活かされている。 ライオンの口のショットから酒場で歌う男の大口のショットへと繋ぐ場面転換や、素っ頓狂な声で笑う娘など、 ギャグも音声的・音楽的で軽快だ。  冒頭の猫と犬の喧嘩や、リタ・ヘイワースの帽子を弄ぶ馬など、動物の活躍も楽しい。  公園のベンチを舞台に演じられるキャグニーとハヴィランドのシチュエーションは3度。 そのささやかな場でのやりとりが、二人が段階的に育んでいく愛情の効果的な演出となる。  1度目の出会いで見せる、彼女のウィンクのキュートさ。 2度目の出会いの場では二人に落ちる枝葉の影の揺れがシーンの情感を美しく盛り上げる。 3度目の出会いの、切り返しからツーショットへの流れ、キャグニーの誠実な科白一つ一つがハートフルで素晴らしい。  そしてラスト、ハヴィランドは止めの笑顔とウィンクを見事に決めてみせる。
[DVD(字幕なし「原語」)] 8点(2015-11-21 00:07:55)
318.  キプールの記憶 《ネタバレ》 
朝方、非常事態宣言下にある無人のイスラエルの街。陽の光の滲む地平線から姿を現すヘリ。 土地の空気を的確に掬い取るレナート・ベルタの撮影がやはり素晴らしい。  本物の雨なので雨滴は画面に映らないが、雨の質感と湿潤の感覚ははっきりと伝わってくる。  ヘリからの圧巻の空撮がある。戦車が残した無数の轍がぬかるみとなって緑の平原に延々と広がっている。 冒頭の絵の具塗りたくりにも相通ずる、緑と茶の網目状模様とその堆積が、戦乱の激しさとともに歴史をも意識させる。  あるいは、数人がかりで負傷者を運ぼうとするがなかなか捗らない様。そのもどかしい時間の重みこそ アモス・ギタイの伝えんとするものだ。
[DVD(字幕)] 7点(2015-11-19 11:03:56)
319.  ミルドレッド・ピアース 《ネタバレ》 
睦み合うザカリー・スコットとアン・ブライスを目撃するジョーン・クロフォード。 二人の表情には影が落ちていて判然としないが、そのシルエットの造型がどこか狂気じみた凄味すら放ち、息を呑ませる。 そういった撮影所的な影の投影技法が随所で光る。  人気のない海沿いの夜のレストラン内は波を反映して光が妖しく揺れている。  冒頭でジャック・カースンが惑うらせん階段や、母娘の決裂シーンで、二人の関係性を暗示する階段。 偏光による微かな歪つさを伴って画面に共存する邪な者の鏡像。 同時に遠い波音やグラスの破砕音、銃声の音響も要所で画面を引き締める。  その中で、特権的な照明を受けてクロフォードのアップは格別に美しく撮られており、印象深い。 主演女優賞は本人の芝居だけに依るのではなく、アーネスト・ホーラーの撮影の賜物だろう。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2015-11-17 23:48:40)
320.  肉弾(1968) 《ネタバレ》 
いわゆる一千万映画だが、原爆や空襲被害の描写は、音響処理やスチルやカッティングを効果的に使って不利を感じさせない。  逆に土砂降りの雨降らしや女郎街のセット、広大な砂丘のロケーションなど、あくまで映画的手段を以てスケールアップを図らんとする。  雨に海に小水と、水に満ちた映画でありながら、同時に灼熱の砂丘の乾きも強く感覚に訴えてくる。  「日本のいちばん長い日」を以て終戦なのではない。痛烈なカウンターである。
[DVD(邦画)] 8点(2015-11-16 00:06:53)
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