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鱗歌さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 3877
性別 男性
年齢 53歳

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341.  スリー・キングス
以前観たときに、すげーっおもしれーっ って思った記憶だけはあって、一体何に自分が喜んだのやらそろそろ記憶があいまいになってきたもんで、観直してみたんだけれども。ホント、何に一体自分はそんな喜んだんだっけか(笑)。いや、でもヤッパリ、オモシロいよなあ、と。 もしこの作品が、単に、湾岸戦争を茶化し、アメリカの姿勢を茶化しただけの映画だったならば。そんでもって、第三者を決め込んだニッポンジンである私が、「そーだそーだ」とハナクソでもホジリながらいい気に眺めてる、そんな映画に過ぎなかったならば。もしそうなら、一度目には楽しめちゃったとしても、二度目には反動が来て一気にツマラなく感じちゃうところ。しかし、本作は違う。いや違わないけど、それは作品の一面に過ぎなくて、そういう内容に相応しい、あるいはそれ以上の、“破天荒さ”ってのが、やっぱり本作の魅力だなあ、と思うのです。どこに収まるのやら得体の知れぬストーリー(この映画に見られる妙なヒューマニズムって、現実世界への「皮肉」「批判」でもあるだろうけど、単純に「ストーリーをワケ判らんようにする仕掛け」として見ても十分に機能している、と思うのですが、どうでしょう)と、そこに挟まるいささかシュールなギャグの数々は、まさに出色だと思います。それに、一風変わった映像。何が変わってるかというと、例えば、「一画面あたりに映ってるヒトの多さ」とでも言いましょうか。会話している主要人物だけ映すようなお手軽撮影だって、しようと思えば出来るハズなのに、敢えて画面の向こうの方に、兵士役のエキストラなんぞを配置してガサゴソやらせてみたりする。そういう部分での茶目っ気が、本作を憎めないものにしております。言わば、ちょっとしたヒト手間、ってやつが、料理をおいしくしたり映画を面白くしたりするのです。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2009-07-12 23:32:16)
342.  クローバーフィールド/HAKAISHA
「いずれ、こういう映画が作られるだろう」と思ってた人って、結構いたんじゃないですかねえ。しかし、いざ出来上がってみたこの作品、意外に重いモノを我々に突き付けているような気もします。『ブレアウィッチ~』等の偽ドキュメンタリ、あるいはインチキ・スナッフフィルム、こういったモノが、「手っとり早く、ホンモノらしく見せる」という事を目的としていたのに対し、本作は大前提として、誰の目にも明らかなフィクション(怪獣映画)。また「カメラが激しくブレる」というのは、かつて、動物が人を襲うパニック映画でよく見られました。肝心のショックシーンで、カメラが激しくブレて何が何やら判らなくなるんだけど、ま、ハッキリ言って明らかにゴマカシな訳で、もしカメラが止まってたら、あまりにショボい映像で更にワケワカラン映像になってしまう。一方本作はと言うと、大体、本作のようにCGでモンスターを表現する作品では普通、CGで何でも描けちゃうのだから、カメラをブレさせてゴマカす必要など無い訳です(本作のCGのクオリティを見ても明らか)。後、ついでに言えば「ビデオの消し残りシーンの挿入」なんてのも、ちょっとした思いつきには違いないんだけど、製作者の計略ぶりというものを感じてしまう。では一体、この映画、何をしようとしているのか。それは、“セットがあり俳優がいて、その外側にカメラとスタッフ(と我々)がいる”という従来の映画の形自体を否定しようとしているのでは。「カメラワークが見事だよね」「カットの繋ぎが上手いよね」「主演の誰それの演技が見ものだぜ」等々の、いわばお約束的・楽屋話的な評価を拒絶する。カメラは映画の場の“外側”にいて場を“捉える”モノ、ではなく、本作では、カメラは場の“内側”に“居る”モノ。映画のあり方に対する告発。当然、「通常」の映画の歴史が積み上げてきたモノの重みたるや、計り知れないんだけど、だからこそ、この映画の、「従来への安住」に対する告発、いわば「映画のHAKAISHA」としての側面、というものにも、非常な重みを感じてしまうのです。勿論、こういう作品が、この先何本も作られても仕方が無い(同じノリの続編が出来たら、多分、私は怒る)んだけど、本作に対して、映画の本流が、これからどういう回答を出してくるか、という点には、大いに関心があります。まあ「無視する」ってのも、間違い無くひとつの手には違いないんですけども。
[DVD(字幕)] 9点(2009-06-03 23:18:41)(良:2票)
343.  黒いオルフェ
ギリシャ神話とリオのカーニバル、という、いかにも食い合わせの悪そうな2つの世界を見事に融合した、まさに地球規模の一本。スケールでかいぜ。問答無用、唖然としつつも、渦巻く熱狂にとにかく渦巻かれてみるべし。全編、ハイテンションのダンスが繰り広げられ、役者の演技までハイテンション。しかし、確かにギリシャ神話の運命論的な糸によって映画が貫かれています。カーニバルという非日常の舞台設定(いやまあ、このヒトたち、日常的に踊ってそうな気もするけど)が、現実と非現実の境を曖昧にしており、絶妙。跳梁する死神は、祭りの中のマスクマンとして、うまく映画舞台に溶け込んでおり、なまじホントの死神よりも恐怖感を引き起こします。そして、この極彩色の世界を捉えたカラー映像が、これまた見事。この映画の斬新さは、間違いなく時代を超越しています。この映画、50年前の作品と言われるより、今年の新作と言われた方が、私は信じるかもしれません。それにしても、“祭り”という非日常の世界、それは日本にもまだまだたくさんあるわけで、日本の“祭り”からだって、いくらでも素晴らしい映画が生まれる、はず。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2009-05-24 11:55:53)
344.  眠れる森の美女(1959)
これ、私が小さいとき、ウチにレコード付きの紙芝居があってさあ。悪役の魔法使いの顔がメチャメチャ怖くてビビりまくってたのよね。レコードの甲高い声のセリフも、まるで昨日のことのように思い出されます、「糸車の針に指を刺されて、し~ぬ~の~じゃ~(全く意味不明の殺害方法で、怖かった)」「何、とうとう現れたか。私の呪いを見せてやる時がきたよ。あの王の慌てふためく姿を早く見たいものじゃ(あー何だかスラスラ思い出せてしまう。しかも書いてるうちにまた怖くなってきたりして)」等々。あれって、当時の吹き替えそのままだったのしょうか?残念ながら今観ると、だいぶ違っておりました(今回観たのが初めてではないハズなのですが、吹き替えについては思い出せず)。紙芝居の静止画で見ていたらあれほど怖かったあの魔法使いの顔、実際にアニメで動いているところを観ると、意外に怖くなかったりするのですが、何といっても、この登場人物たちの「動き」の見事さ。ホントに圧倒されます。入念に描きこまれたこれまた素晴らしい背景画にも、なかなか目をやる暇が無いほどです。そして、前半の遊び心の多いシーンの数々から、一転、モーレツなスピード感のある怒涛のクライマックスへ、という展開もこれまたお見事。そもそも、フィリップ王子まで捕えられてしまう理不尽さが良いですね(紙芝居見てた頃にも理不尽に感じて怖かった)。魔法使いの住み家の、ゴテゴテとした悪趣味な装飾も好い感じ(こんなトコに、住みたいか?)。「このテの悪役は、途中まではメチャ強いのに、変身したら最後、必ずヤラレテしまう」というセオリー(?)にも忠実。ただしフィリップ王子は何だか、イケ好かない。ありゃーどう見てもアメリカ人の顔でっせ。あと、オーロラ姫も、「16歳」には見えませんぜ。まあいいけど。
[DVD(吹替)] 9点(2009-05-10 22:44:51)
345.  男たちの挽歌
初めて観たのは高校の時に深夜放送を録画したやつだっけ。そりゃびっくりしたもんですよ。ほとんどあきれ返る位、見事に、ツボにハマる映画というか、ツボにハメ込んだ映画というか。まー、はっきり言って不自然なくらいにオモシロい映画な訳です。当時の、今以上に曇った眼で観ても、その不自然さが際立ってた訳です。とにかく身近にいた姉に「すげーすげー」と報告したら、基本的に私とは価値観を殆ど共有しない姉も、コレを観てやっぱり同じようにのけぞっている訳です。とにかく凄いインパクト、だった訳です。ホー役のティ・ロン、名前を知らなかったもんで、その涼しげな髪型から勝手に「主人公の志村けんが・・・」と、姉とはそれで話が通じたもんです(あれから時が流れ、本物の志村けんの頭はさらに著しく後退したが、考えようによっては、時間が経った割に後退が遅い気もして、いささかアノ頭には疑惑を感じないでもない。でも、そこまで無理に何にでも疑惑を感じる必要もないだろう。って、どうでもいいっての)。一方のチョウ・ユンファ、当時、雑誌に載ってる写真でしか見たことなかったので、「このヒト、どこがカッコいいんだよ」とか思ってたんだけど、初めて映画で“動くユンファ”を見て、「・・・めっちゃカッコええ」とシビれた思い出も(今の目で見ると、こちらは「劇団ひとり」に似てる気もしますナ)。本作、改めて観ると、こりゃかなり低予算なんだろうなーと。カメラに詳しい方がいたら教えていただきたいのですが、どうしてカメラが切り替わるたびに動きがおかしくなるんでしょうか。クオリティが文句無しに高い映画とは到底言えないのかも知れませんけど、当時の香港娯楽映画界のかなりキツイ枠内で、これだけのコトをやり遂げたというのは、やっぱり凄い。「要するにオモシロけりゃいいんだろ」と、まるで嫌がらせのようにオモシロくしたストーリーだけではなく、ジョン・ウーの“飛翔願望(?)”が表れたアクションシーン、鮮烈な銃撃戦、それがまさに本作の魅力ですね。印象的なスローモーション。ブラジルの作曲家ヴィラ=ロボスの代表作に『ブラジル風バッハ』ってのがあるけど、本作はさしずめ『中華風ペキンパー』ってところか(←何だか美味しそうな名前・・・)。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2009-05-05 18:45:18)
346.  華氏451
最初に観たのは、中学か高校の時、よみうりテレビの深夜放送「cinemaだいすき」で。エラくハマってしまい、それ以来、「もっともSFらしいSF映画」というと、本作を思い浮かべちゃう。と言っても、別に宇宙人やら巨大生物やらが出てくるわけでも無いし、画面がキラキラピカピカと特撮で飾られているわけでもない。どっちかというと、地味な田園風景が広がっている映画舞台、そこに登場する、妙な形の消防車やら、モノレールやらのカッチョ良さに、当時の私は、惹かれたようです。で、最近観直してみたら、やっぱりそういったシーンに、「そうそう、これこれ!」とうれしくなってしまう。それに、独身時代は親から、結婚後は妻から、「本買い過ぎ!」「これ以上買うの禁止!」と責められてきた私にとって、この映画で描かれている内容は、なかなか他人事と思えないものがあります。もし、ピンと来ない方は、この映画の「本」を「エロ本」と置き換えてみれば、男性諸氏ならばヒジョーに身につまされることでしょう、隠した「本」を見つけ出され、処分される、その恐ろしさ、ブルブル。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2009-04-25 20:35:20)
347.  レジェンド・オブ・メキシコ/デスペラード
サイコーですね。いわば、夕陽のガンマンと続夕陽のガンマンと、あと適当な映画をいい加減に混ぜ合わせて、短くまとめてタコス風味にした、そんな映画ですね。カッチョ良過ぎ、中身無さ過ぎ、あらゆる自由がここにある。一般に“シリーズもの”って、前作までを引きずり、アレコレ制約を受けた揚句にだんだん小粒な作品になり下がっていくことが、比較的多い(ってか、殆どそうでしょ)ような気がしてならないのですが、ロドリゲスっちゅうヒトには全く当てはまりませんね。「続編」ってのはあくまで創作のキッカケに過ぎず、むしろそれをオカズにし、喜々として際限なく映画を膨らませていく、そんなノリが感じられます。
[DVD(字幕)] 9点(2009-04-19 17:38:30)
348.  旅情(1955)
子供の頃、通ってた塾の先生が、「今晩、テレビで『旅情』が放送されるから(教育テレビの世界名画劇場)、勉強なんかしてないで是非観なさい」って、言ったよ。何しろ先生が「勉強すんな」って言うんだから、そりゃ喜んで観ましたよ(どうやら元は学生運動の活動家だったらしい、と知ったのは後のこと)。まあ確かに、いわゆる恋愛コメディみたいなところのある映画で、子供が観てもそれなりに楽しめる映画ではありましたが・・・やっぱり、大人になってから観ると、格段に面白い。というのはきっと、大人の方が、「日常」というものにクサクサしている分、「脱・日常」というコトに、より敏感になっているから、でしょうか。昔は、テレ東の旅番組なんて絶対観なかったのに、最近はふと気づくと、テレビのチャンネルが旅番組になっていることがしばしば(宿の窓から海さえ見えれば「うわ~絶景~」とかコメントするのは勘弁してくれ、とかボヤキつつ)。だもんで、映画としてこんなに見事に“旅情”を表現してくれると、もうタマランのです。汽車に乗ってヴェニスに到着する主人公の期待感とともに、彼女の視線とともに我々の目に広がりゆく、街の風景。前半は彼女はどちらかと言えば、傍観者であり、彼女の視点から風景が描かれる。だけど、骨董屋と恋に落ちてウキウキしだすあたりから、彼女は傍観者という“見る立場”から、映画における被写体すなわち“見られる立場”へと切り替わる。そう感じられたその瞬間、彼女も常に持ち歩いていたカメラを、「忘れてきたわ」と言うタイミングの良さが、心地よかったり。物語における恋の行方については、いささか強引なので子供には刺激が強かったかも(?)。でも今では、中年男女が少年少女のごとくキャピキャピしている光景を、微笑ましく見ることができるのですが……正直に言います、半分「トホホ」と苦笑しながら観ていることは、否定いたしません、はい。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2009-04-04 16:10:28)(良:1票)
349.  マッドマックス
小学生の頃はこういう映画は「観ちゃいけない映画」だという恐怖感があったのですが(“こういう映画”の中には何故か『キャノンボール』等も含まれていたんですけどね)、中学生くらいになると、恐る恐る手を出してみたりするわけで。そうすると、解説の淀長さんが「何とスタントマンが二人も死んでいるんです」とか言うもんで(しかも放送のたびに欠かさず言ってた気が)、ますます緊張しながら観ておりました。観終わった時には一回り成長した気がしたもんです(大いなる勘違い)。その後だんだんスレてきて、さすがに恐怖感は薄れてきましたが、本作のスリル感というのは、何度観てもやっぱりスゴい。まずオープニングタイトルと音楽が、粗野で無骨でカッチョイイ! そしていきなり始まるカーチェイス。低い位置のカメラによる、煽るような独特のバイオレンス描写、早くも映画自体が壊れかけ。「肉は腐りかけが一番美味い」というけど、映画は崩壊しかけが美味なもの(ホンマかいな)。例によって、晴れてるシーンと曇ってるシーンが入り混じるいい加減さは勿論あるけれど、気にしない、気にしない。冒頭、“ナイトライダー”が調子よく暴走しているのに、マックスに追跡された途端に泣きべそをかくのが、最高! 形而上学的かつ超自然的かつ非論理的なこの映画の魅力がここにあります。映画の物語は一応、「妻子の復讐」という形をとってますが、ほとんど言い訳みたいなもんで、映画中盤で警察を去るマックスのセリフにもあるように、「暴力への衝動」こそが真のテーマです。切っ先鋭い映画語法もこれに応えるもの、これはまさにバイオレンス映画ならぬ、映画バイオレンスそのもの。冒頭シーンはさしずめ、泣きべそをかく“ナイトライダー”がハリウッド映画で、これを猛追し蹴散らすマックスが、この鮮烈極まりない“豪映画”ってなところか。とまあ、この映画の乱暴狼藉ぶりばかりを書きましたが、実は他にも印象的で好きなシーンは色々あって、例えば暴走族がタイヤで円を描くシーン(犬がまとわりついていて、妙にオモロイ)、暴走族がリンチで人を引きずるシーン(その犬が追いかけていって、妙にオモロイ)などもそうだけど、何故か私がとても好きなのは、倒れた妻にむかってマックス役のメル・ギブソンが走っていくシーン。妙に気に入っているので、2、3作目でも是非一生懸命走って欲しかったのですが、だんだん走らなくなりましたね。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2009-01-25 17:11:47)(良:2票)
350.  ミラグロ/奇跡の地
ロバート・レッドフォード、少々イモっぽい男前俳優としか思われてなかった(?)のに、『普通の人々』で意外に渋い一面と意外に繊細な一面を見せてくれた彼の、監督第二弾。二作目で肩の力が抜けたのか、一作目で要領をつかんだので徹底的に好きなことをやろうと思ったのか、「ノビノビと、存分に映画で遊んでいるなあ」と感じられる、見事な作品になっています。リゾート開発が進められようとしている村で、ひとりの男が開発予定地を耕して豆を植えた事から起こる、ちょっとした騒動。という、ノンビリした他愛ない話、どっちかというと静かな話ですが、美しい景色や空の映像を背景に、多くの登場人物を多層的に巧みに操り(豚まで巧みに操る!)、映画の中にはレッドフォードの遊び心と刺激がトコトン満ちています。単純にリゾート開発を悪として勧善懲悪として描くような映画ではなくて、むしろ掴みどころがなく、得体の知れない村人の織りなす得体の知れない物語が、展開されていきます。そしてこの得体の知れなさが、何やらこの“ミラグロ”という土地のパワーを表現していて、このパワーの前にはリゾート開発なんぞタジタジ、という印象。クリストファー・ウォーケンも、「憎まれ役」ではなく、あくまで「悪役」、という印象、これがイイんだなあ、最後に鍵を投げるシーンが実にいい味出してます。これぞ、という奇跡が起こる訳ではないけど、まさにファンタジー。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2009-01-17 18:19:47)
351.  チャップリンの勇敢
コレ、好きだなあ。原題は『Easy Street』で、警官になったチャップリンが、イージー街を所狭しと大暴れ。凶暴なる大男との死闘(?)を皮切りに、お話はドミノ倒し式に膨らみ、もはや収拾のつかないドタバタが展開!(これに匹敵するのは、天才バカボンくらいのものでしょう)、というナンセンスの極致、それでいて、何となく“勇気”のスバラシサに不覚にも感銘を受けてしまったりも、するのです(邦題はなかなかツボをついているかもしれない、極めて個人的な感想ですが)。これだけあわただしいドタバタ映画なのに、意外なまとまりを見せ、最後は大団円。冒頭の、やる気の無さそうな主人公の姿が、その後の展開と好対照で、よく効いています。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2009-01-10 08:01:17)
352.  遊星よりの物体X 《ネタバレ》 
カーペンター版もコチラも、ともに絶対に落とせないスバラシイ作品。両者が完璧に別作品として楽しめるのがまた嬉しいところ(脱線しちゃったのは、コチラの作品の方でしょうけど)。コチラはまあ、時代的にも予算的にも多少キビしい面はありますけどね。それでも、ホントに極寒の地でロケしてることで、寒々とした感じがよく出てますね(実際に寒いんだから当然か)。謎の火星人の姿をあまり出さず、その分を登場人物の会話等でつなぐのは、時代を感じさせるところで、まあ、今の「何でも見せちゃう」CG全盛の時代には、一種許されざる演出(笑)かもしれませんけど、この映画、さすがハワード・ホークスが脚本を書いたからか、それともたまたまなのか、この会話部分が見逃せない。やたらたくさん出てくる登場人物たちが、緊密で見事な掛け合いを見せ、まるで火星人も攻撃するタイミングがつかめずに困っているかのような(笑)。何とか乱入してきた火星人との死闘(見ごたえあり)の末、最後は、火星人たった一匹やっつけて「人類の勝利!」とか大げさに自慢してるしなあ。
[DVD(字幕)] 9点(2008-12-23 17:56:52)(良:2票)
353.  野良犬(1949)
おもしれ~!と思わずうならされる刑事サスペンス。イタリアでは「自転車泥棒」が出没している頃、日本ではピストル泥棒が発生。暑い暑い最中、暑苦しい顔の刑事(ミフネ)が拳銃を盗まれてしまう。町中を彷徨う刑事(もちろん彼は他人の拳銃に手を出したりはしない、よね?)、その執念が前半描かれるのだけど、手がかりを持っているらしい女性を追い続ける場面の、セリフの無いパントマイム劇が見どころ。このシーンの音楽もなかなか絶妙。この映画、既成音楽の引用も多い(シーンと対比される明るい音楽がしばしば用いられる)のだけど、やっぱり早坂文雄のオリジナルスコアが、見事であります。さて映画後半は、ベテラン刑事(シムラのおっちゃん。結構若い)との捜査が描かれます。拳銃が悪用されるたびに大げさに悩むミフネ刑事の深刻ぶり加減が、良くも悪くもクロサワ映画だのう、と思っちゃうところなのだけど、そういう“舞台的”“戯画的”な部分が、この映画では特に、数多い登場人物の存在感をそれぞれ際立たせ、「うまい脚本だなあ」と思わせられるところです(脚本のウェイトの高さが、黒沢映画の批判を受ける部分かもしれませんが)。野球場のシーン、あるいは安ホテルのシーンでの、無類のサスペンス感覚。クライマックスの対決シーンも忘れられない。子供たちの歌声を背景にした、犯人の呻きは、時代そのものの呻きでもあります。戦後まもないこんな時代によくこれだけの作品を作った、と同時に、この時代でなければ生まれなかった作品、なのかもしれません。
[CS・衛星(邦画)] 9点(2008-12-09 17:20:59)
354.  東海道四谷怪談
実に見事。物語の展開がヤミクモに速く、それでいて場面のひとつひとつがしっかりと描かれ、そこには“妖しさ”と“怪しさ”が満開の、強烈な個性がある。しばしば現れる、格子越しの映像が、なんとも後ろめたいようなイヤ~な雰囲気を醸し出す。イエモンがお岩さん殺害をたきつけられ、「毒薬・・・」と呟いた後の、鳥の鳴き声(うるさ過ぎるんだ、これが)、背景の夕焼け空(赤過ぎるんだ、これが)。見せたいもの、聴かせたいものについては、多少大げさだろうと何だろうと、容赦なく我々にぶつけてくる。まさに態度に揺らぎが無い、がははは。あるいは、どうみてもユーレイにしか見えないお岩さんに「お元気そうなお姿を見て安心しました」などと言う理不尽さ(笑)。これが実に不気味。一方には『女優霊』のごとき、誰にも気づいてもらえないユーレイの姿も(?)。不気味さ、理不尽さ、哀愁、すなわち“妖しさ”。そして、アトラクション的お化け屋敷ムービーとしてのショック描写も充実。いや、見事でした。
[CS・衛星(邦画)] 9点(2008-12-02 22:58:57)(良:2票)
355.  デジャヴ(2006)
いやマジで面白かった! 予想外のオモシロさで、正直びっくりしました。題材的には、講談社ブルーバックスの「タイムマシンの作り方」ってな本をワクワクしながら読んだのを思い出したりして、再びワクワクしちゃったりするのですけど(こういう設定を「ありえない、絶対ムリ」と頭から馬鹿にしてはいけないのだ! まあ、ムリですけど)、それを抜きにしても、大興奮してしまいました。冒頭の平和なフェリー出港の場面と、続く突然の大惨事。正直、例によって例の如くやたらカメラを動かしまくる点が気になったのだけど、この「やたら動くカメラ」が、映画中盤の「過去を映像で見る」というシーンにおける映像描写へと、視覚効果としてもちゃんとつながっており、違和感が一気に解消。ミステリとしても魅力的、謎が“虚”の映像で示され、“実”映像で解き明かされていくのが、まさに映画ならではの面白さ。そして(無くてもストーリー上は問題ないけど、あったら嬉しい)大サービスのカーチェイス。そしてそして、白眉は何といってもクライマックス。「同じシーンが、まったく違う心理効果をもたらす」という、その効果たるや、まさに絶大。大興奮。うーん。シビれたね~。
[DVD(字幕)] 9点(2008-11-09 08:15:14)(良:1票)
356.  犬の生活 《ネタバレ》 
ギャグ満載、ホロリとさせられ、何と言ってもテンポが良いのが大の魅力。浮浪者に扮したチャップリン、彼の寝床である空地の塀の傍。「塀のアチラとコチラ」を場面が行ったり来たりするギャグの後には、「カメラが引いたら警官が」というオチ。この「行ったり来たり」が映画の基調になっているようで、物語は、寝床から、屋台を経て酒場へ、あるいはまた寝床へ、という「行ったり来たり」。警官の目もそこに絡んでくるスリル。そして「目を盗んで早食い」「犬の尻尾」「秘儀:二人羽織」などのギャグが、次から次へと盛り込まれる。中でも「滝のような涙」は、フライングハイの“大汗”シーンを思い出しちゃうぞ。文句無しに楽しめる作品。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2008-10-05 20:54:31)
357.  スーパーマン(1978)
見どころはスーパーマンの飛行シーン。さすがは第一作、飛び立つシーン、降り立つシーン、空中シーン、それぞれに様々な工夫が凝らされてますね。大掛りなワイヤー吊り、ビルの窓越しの合成映像など、いろんな手を使って楽しませてくれます(シリーズを追うごとに形式化・手抜きが目立つ。3作目に至っては、飛行ならぬ非行に走るスーパーマン。とほほ)。また、久し振りに観たのはディレクターズ・カット版でしたが、前半の少年期の部分がじっくり描かれ、大草原の光景が実に見事。後半の大都会との対比もさらに印象的なものになています。クライマックスは、次々に発生する災難に様々な手を使って立ち向かうスーパーマン。この図式は幸か不幸か第4作あたりに誤って引き継がれてしまうけど、少なくともこの第一作には、私の大好きなパニック映画風の面白さがあふれており、第一級のワクワク感!であります。あと、「何でもアリ」のラストについては、とりあえず、「何で養父の時にはソレ使わなかったんだよう」という突っ込みは、しないことにします。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2008-08-15 11:06:05)
358.  崖の上のポニョ 《ネタバレ》 
2歳10ヵ月の娘が、「ポニョ、観たい~」と言うもんで(どこまで本気か不明)。映画館に連れて行くのは『ゲド戦記』以来2年ぶり(って、0歳だもんな)、などと言ってる私自身、映画館に足を運ぶのはそれ以来、という、実にお恥ずかしい次第……と言う訳で、久し振りに味わう劇場の興奮に、モハヤ冷静さの欠片も無く、感動の連続、涙腺緩みっぱなしでした(例えばバケツが風に飛ぶシーン…)。ああどうして、絵がここまで動くのか? 背景はいかにも“手書き”っぽく、言わば「動く絵本」。絵をどこまで本物っぽくリアルに描くか、よりも、線で描かれた「図形」としての絵を、どのようにオモシロく動かすか。音楽でいえば、濃密なオーケストレーションよりも、一見素朴なメロディが、これでもかと絡みあう強烈な対位法の世界(まるでマーラー5番の第五楽章!)。自分の視覚が認識できる以上に、複雑に動きまわる絵、これが人の手でなされているという事に恐ろしさも感じれば、その一方で、まだまだ自分が汲みつくしていない魅力がそこに残り続けているという、安心感もあるわけです。とか何とかゴチャゴチャ言ってる私だけど、一番気になったのは娘が途中で飽きないか、だったりする訳で。で、どうだったかと言うと、ちゃんと最後まで、それこそ身を乗り出して観てましたよ! 意味が判ったかどうかなんて、どうでもいい。何しろ私にだってよくワカランのだし(笑)。で、どういう話だったかと言うと、少年の前後を弁えぬアサハカな“決断”の話でして。ポニョを何がなんでも守る、いや、ポニョは魔法を使えるもんだから、守ってるのやら守られてるのやら。とにかく彼は頑張る。そしてラスト、ポニョは半魚人だけど引き取ってくれるか、との問いに、深く考えもせずOKする。こんなワガママ娘と、この先長い人生、うまくやっていけるワケが無い、不幸の始まり。とは言っても、童話のシンデレラと王子様だって、あんないい加減な馴れ初めで、その後幸せになれたハズもない。結局我々の人生だって、過去の誤った決断のせいで、何と面倒なことになっていることか(笑)。でも、それがもし無かったなら、人生そのものが成立しなくなる! 悩むのは良い、だけど、気にし過ぎるなかれ! 時には宗介クンのように、ストレートに、信じる道に向かってエイヤッと、決断することも、必要なんでしょうなあ(もちろん相変わらず、私は自信が無いのだけど)。
[映画館(邦画)] 9点(2008-07-27 18:15:51)(良:4票)
359.  犬神家の一族(1976)
私にとって「子供の頃からの“定番”映画100本」のうちの一本(あと99本もあるのか?)。昔から、こういう、“古い日本”みたいな雰囲気って、スゴく怖かったよ、いや今でも怖い。大人になった今では、これがちょうど「我慢できるレベルの怖さ」なので、ちょうどよい面白さ。古い日本の怖さ、不気味さを味わいに、今では、週末にはロクスッポ映画も観ないで、寺社仏閣を探訪している、私なのであります(昔怖くて観られなかったホラー映画やプロレスを、今楽しんで観ているのと同じ)。そういう、日本の伝統、怨讐、因縁、などが全開の、この映画の雰囲気が、タマラナイ。不気味な雰囲気に対しての、ミステリとしての合理性というものは、もちろん存在するのだけど、フーダニットとして見れば、「こんなんやったら誰が犯人でもいいやんか」という、例によって例のごとき禁句が出かねない。しかししかし、ここではそれがかえって、何やら避けがたき運命論的な恐怖があり、まさにこれぞ日本的「因縁」の世界。さてさてさて。そこに、無意味なまでの実験的撮影テクニックが入り込み、不思議でコワくて楽しい世界が広がるのが、この映画の個性、この映画の魅力。だからこそ、私的“定番”映画、なのですね。あと、今観ると、島田ヨーコが最高ですね。この濃い濃い女優陣のなかで、いかにもハカナゲで幸薄そう、こういう存在をみると、うーむ、ますます不幸になって欲しくなる(笑)。ああ、子供の頃にはこんなコト考えなかったのだけどなあ。ウチの子供にはそういう変態的な感覚は持って欲しくない、できれば加藤武のように真っ直ぐ育って欲しいので、持ちネタとして「ヨシ、ワカッタ!」というのを、今、子供に一生懸命教えています。なんのこっちゃ。
[CS・衛星(邦画)] 9点(2008-07-05 20:26:06)(笑:1票)
360.  叫びとささやき
劇中に挿入されるバッハの無伴奏チェロ組曲第5番のサラバンド。一切の装飾抜きで、最小限の音によって表現される苦悩、それはまさに人間の原罪そのものを音楽によって表わしたもの、とも言えそう。そしてこの映画からも、これに近い印象を受ける。最小限の人間関係により表わされる、現実という名の悪夢。そこから浮かび上がる、人間が生きることそのものの辛さ、そして皮肉。その辺のホラーより、余程コワい映画。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2008-05-06 18:24:25)
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