Menu
 > レビュワー
 > ザ・チャンバラ さんの口コミ一覧。18ページ目
ザ・チャンバラさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1274
性別 男性
年齢 43歳
自己紹介 嫁・子供・犬と都内に住んでいます。職業は公認会計士です。
ちょっと前までは仕事がヒマで、趣味に多くの時間を使えていたのですが、最近は景気が回復しているのか驚くほど仕事が増えており、映画を見られなくなってきています。
程々に稼いで程々に遊べる生活を愛する私にとっては過酷な日々となっていますが、そんな中でも細々とレビューを続けていきたいと思います。

表示切替メニュー
レビュー関連 レビュー表示
レビュー表示(投票数)
その他レビュー表示
その他投稿関連 名セリフ・名シーン・小ネタ表示
キャスト・スタッフ名言表示
あらすじ・プロフィール表示
統計関連 製作国別レビュー統計
年代別レビュー統計
好みチェック 好みが近いレビュワー一覧
好みが近いレビュワーより抜粋したお勧め作品一覧
要望関連 作品新規登録 / 変更 要望表示
人物新規登録 / 変更 要望表示
(登録済)作品新規登録表示
(登録済)人物新規登録表示
予約データ 表示
評価順1234567891011121314151617181920
2122232425262728293031323334353637383940
4142434445464748495051525354555657585960
61626364
投稿日付順1234567891011121314151617181920
2122232425262728293031323334353637383940
4142434445464748495051525354555657585960
61626364
変更日付順1234567891011121314151617181920
2122232425262728293031323334353637383940
4142434445464748495051525354555657585960
61626364
>> カレンダー表示
>> 通常表示
341.  エージェント・マロリー
インテリぶったソダーバーグがコテコテのB級アクションを撮るということで、本作についてはもしかしたら意外な化学反応が起こっているのではないかとの期待がありました(文芸映画の専門家・ケネス・ブラナーが『マイティ・ソー』をとっても楽しい娯楽作に仕上げたという前例もあるし)。しかしフタを開ければ、純粋娯楽に対してソダーバーグが抱く照れが如実に表れた、何とも中途半端な映画に仕上がっていてガッカリでした。10年前に『オーシャンズ11』でやった失敗を繰り返してどうすんの。。。 美しすぎて、しかも実力もある格闘家ジーナ・カラーノが、ソダーバーグの顔で集められた一流俳優達をボコボコに殴るということが本企画のコンセプトだったと思うのですが、実際にカラーノと対戦するのは若い俳優ばかりで、大物は参戦しません。まず、これがマズかった。観客が期待するのは、ダグラスやバンデラスが完膚なきまでにぶちのめされる姿でしょ。おまけに格闘シーンは意外と少なく、さらにはカラーノの身体能力の高さを誇示できるような見せ方にもなっていません。監督も脚本家も、要らん手を加えすぎてせっかくの素材を台無しにしているのです。この手の映画の語り口はシンプルでいいのに、結果をみせた後で過去の経緯を振り替えるという回りくどい説明が2度もあってうんざりさせられるし、黒幕は一人いれば充分なのに、二人も置いたことで話の勢いが失われています。観客は謎解きをしたいわけではありません。序盤のバルセロナ作戦は効果音を排し、音楽と編集により美意識を強調した見せ方となっていましたが、これは完全にソダーバーグの自己満足。アクション映画を見に来る人間は、四方八方で鳴りまくる銃声や、腹に響く爆発音が三度の飯より好きなんだよ。見せ場のクォリティはクライマックスに向けて尻すぼみに落ちていき、ラスボス戦を迎える頃には映画のテンションは海の底。ソダーバーグには二度と娯楽作を撮らないことをオススメしたくなるような仕上がりでした。
[ブルーレイ(字幕)] 3点(2014-07-22 22:30:36)(良:1票)
342.  クイック&デッド
本作の製作当時、シャロン・ストーンはキャリアの絶頂期にあったし、ジーン・ハックマンは言わずもがなの名優だし、ディカプリオはネクストブレイク俳優の筆頭だった。そんな中にオーストラリア出身のよく分からん俳優がいることには当時大変な違和感を覚えたのですが、これが後のグラディエーターなのですから、本作のキャスティングセンスには恐れ入ります。また、初のハリウッド大作というアウェイな環境下、高い知名度を誇る共演者に囲まれての仕事でありながら、きちんと存在感を発揮してみせたクロウの心臓の強さにも感銘を受けました。。。 本作ではラッセル・クロウのかっこよさが光りまくっているのですが、その他の要素は見事にグダグダ。ハックマンは3年前の『許されざる者』とまったく同じ演技をしているし、ディカプリオもやる気なし。一方でプロデューサーも兼ねたシャロン・ストーンのみ演技に力が入りまくりで、これはこれで変な感じになっています。同年公開の『カジノ』で得た高評価をこれ一本で帳消しにした破壊力ある演技ですから、ある意味見ものではありますが。。。 監督を担当したサム・ライミも、本作では持ち味を発揮できていません。この題材であれば、遊び心溢れる見せ場と独特のユーモアで自分のフィールドに持ってくることも可能だったと思うのですが、キャリア初の大作、おまけに名優に囲まれているという重圧や、空回り気味のストーンからの指示に右往左往してなかなかペースを掴めなかったのか、ただ撮ってるだけという状況になっています。早撃ち前のキリキリとした緊張感などはホラー監督であればうまく演出できるような気がするのですが、そういった要となる演出も落としているので、これでは評価できません。おまけに、脚本も変です。この題材であれば、女だからと舐められていた主人公が、物凄い腕前を見せて男たちに目に物見せるという点に最大のカタルシスがあったと思うのですが、主人公は技術的にも精神的にもかなり脆いのです。すぐに動揺するし、すぐに泣く。最初の決闘で雑魚相手に緊張しまくっている描写なんて、必要なかったでしょ。。。 さらに、今回見たDVD版には、昔見た時には確かにあった、ストーンとクロウによる濡れ場が入っていませんでした。ストーンの意向によりカットされたようなのですが、見るべきものの少ない本作において、あの濡れ場こそが最大の見せ場だったんですけどね。
[DVD(字幕)] 4点(2014-07-22 22:28:45)
343.  NEXT-ネクスト- 《ネタバレ》 
最近は仕事でもプライベートでも頭を使わされることが多かったため、趣味の映画くらいはバカなのが見たいということで、ディック映画化作品中最低との悪評高い本作をチョイス。確かにバカでしたなぁ。あらゆる点で外しまくっています。。。 「能力を隠し、目立たぬように生きていくのだ」という処世術が主人公自身のナレーションにより説明されるも、その数分後にはカジノの守衛と派手なトラブルを起こし、挙句の果てには車を盗んでお尋ね者になるという、何とも理解に苦しむ冒頭からフルスロットル。主人公の能力にはFBIが目を付けており、さらには海外のテロ組織までがその能力を認識しており、どうやらそのスジではかなりの有名人であることが伺えるのですが、だったら冒頭のナレーションには何の意味があったんだよとズッコケてしまいました。FBI捜査官ジュリアン・ムーアは、核攻撃が数日内に迫っているという状況下にありながらまともな捜査をせず、超能力者を捕獲して爆弾探しに利用するということに全精力を注いでいます。同様に、海外のテロ組織も、アメリカへの核攻撃という重要なイベントの直前だというのに、現時点では捜査に関与もしていない主人公を暗殺することに多くの人員を割いており、こちらもバカとしか言いようがありません。。。 主人公は、警察やFBIから逃走中の身でありながら、意中のジェシカ・ビールをナンパしてドライブデート。この状況でそんなことするかというツッコミと同時に、主人公は二枚目設定であることにここでようやく気付き、「ケイジよ、お前がこれを演じるのか」という点にもツッコミを入れたくなりました。ジェシカ・ビールはインディアン居留地で教師をやる貞淑な女性という設定でありながら、会って数分の主人公と長旅に出たり、「寝室は別々よ」と言いながら、翌朝にはバスタオル1枚の姿で主人公の前にノコノコ現れたりと、やる気マンマンのバカ女にしか見えないという点が素晴らしかったです。。。 作品全体の構成も歪なもので、核テロという背景が序盤で示された以上は、その阻止が作品のメインテーマになるのかと思いきや、わずか90分の上映時間のうち60分は主人公の生温い逃亡劇。残りの30分はジェシカ・ビールの救出がメインであり、序盤で大風呂敷を広げた意味がなくなっています。「あ、間違えた!」という前代未聞のオチの破壊力も素晴らしく、間抜けな映画を見たければ本作をどうぞ。
[DVD(字幕)] 3点(2014-07-20 01:39:39)
344.  スルース(2007) 《ネタバレ》 
【注意!激しくネタバレします】 オリジナルは未見です。同じ女性を愛した男同士の諍いから話は始まり、その後は若さと美貌、地位と名声という自分にはない物を持つ相手に対して「俺は負けてないぞ」という意地の張り合いとなり、最終的にはお互いの魅力に飲まれて同性愛的な方向へと流れ込んでいくという物語。以上のお話にはそれなりに筋が通っているし、役者の演技も素晴らしいのですが、なぜこんなに面白くないのかと思うほど面白くなくて困ってしまいました。。。 舞台劇だった原作を映画に持ち込んだものの、映画ならではの工夫が足りていなかったことが、その原因ではないかと思います。序盤こそ、監視カメラの映像等を交えながら映画的な視点を作ろうとする工夫があったのですが、中盤以降は役者の演技をただ映し出しているのみ。さらには、演出も演技も終始同じテンションで推移するため緩急というものがなく、前半はそれなりに緊張感を持って見ることができたのですが、後半はダレてしまいました。せっかくマイケル・ケインを出しているんだから、たまにユーモアを交えながら英国らしいペースを作っていっても良かったと思うのですが、アメリカ資本が入ったことの弊害かタイトな密室劇を目指しすぎて失敗したようです。
[DVD(吹替)] 3点(2014-07-17 01:48:28)
345.  ブレーキ・ダウン 《ネタバレ》 
東宝東和によって意味不明な放題をつけられたり(ブレーキダウンって何?)、実は共通点の少ない『激突!』と無理やり関連付けられたり、ジョナサン・モストウが驚異の新人扱いされたりと(モストウは1989年に監督デビュー済)、日本公開時にはやや過剰な宣伝がなされていた本作ですが、肝心の中身は、小細工に走らず一気に見せる、竹を割ったようなサスペンスアクションとして仕上がっています。90分、本当にハラハラドキドキさせられました。。。 本作の構成は極めて秀逸で、『バルカン超特急』のようなミステリーものと見せかけておいて、実は『悪魔のいけにえ』の流れを汲むテキサスものの変種でしたという本編には嬉しくなりました。奥さんがいなくなるミステリー部分にしても、『フライトプラン』のようなおかしな引っ張り方はせず、設定のボロが出る前にさっさとネタバラシをして第2幕へ入ってしまうという思い切りの良さには感動しました。第2幕はノンストップのサスペンスアクションとなるのですが、上記の通り、根底にはテキサスものの精神が横たわっているため、通常のサスペンスアクションにはない不快感が作品のスパイスとなっています。また、犯人像もよく考えられています。この手のサスペンスアクションでは、どれほど不気味な人間にするかという方向性で犯人像が作られていくものですが、本作はそれとは正反対のベクトル、家庭を持ち、意外と良いパパだったりもするという設定を置くことで、その一方で部外者に対してはいくらでも凶暴になれるという残酷性をより強調することに成功しています。これを演じるJTウォルシュのねちっこい存在感も素晴らしく、私が心から死んで欲しいと思った悪役トップ5に名を連ねるほどの印象を残しています。。。 もうひとつ評価すべきは、カート・ラッセルの演技の幅の広さです。従来より多様な役柄を演じてきたラッセルですが、本作ではそんなラッセルの個性が作品に大きく貢献しています。序盤では、田舎者に絡まれても喧嘩になるのが怖くてヘラヘラと誤魔化すような男だった主人公が、徐々にバイオレンスに染まっていくという『わらの犬』的な役柄を見事モノにしています。後半では「普通の男がそこまでやれるか」とツッコミたくなるような過激なアクションもこなすわけですが、ラッセルが本来持つ個性によって、そこに大きな違和感を覚えないという点にキャスティングの妙があります。
[DVD(字幕)] 9点(2014-07-15 01:22:19)(良:2票)
346.  ギフト(2000)
サム・ライミほど、自身のキャリア形成に熱心な監督はいないと言われています。特段ホラー映画が好きというわけでもないが、低予算でも観客から注目される可能性が高いということでデビュー作に『死霊のはらわた』をチョイス。同作のシリーズ化により10年かけて世界中の映画オタクに名を売ったところで、一流俳優がズラリと顔を揃えた『クィック&デッド』に挑戦。しかし、この挑戦が不発と見るや、『シンプル・プラン』を撮って「私には映画監督としての基礎的スキルがあります。決してキワモノ監督ではありません」ということをアピール。そして、ハリウッドへの再度の橋渡しのため、これまた実力派俳優が名を連ねた本作を作り上げ、『スパイダーマン』へと繋げたわけです。。。 本作は、ビリー・ボブ・ソーントンが無名時代に書いた脚本がベースとなっていますが、この脚本は超能力者の悲劇を中心に、田舎町での殺人事件や、家庭内暴力、幼児虐待といった複数のテーマがギューギューに詰め込まれており、もはや闇鍋状態。サム・ライミはこれを驚くほど丁寧に整理し、2時間以内で完結するコンパクトなドラマとしてまとめています。あまりに美しく片付けすぎて、主人公自身の家庭の物語や、DV夫に悩むDQNねえちゃんの話などは途中でどっかに行ってしまいますが、語り口が極めて洗練されているので、そのような欠点も鑑賞中には大して気になりません。人間ドラマとサスペンスが絶妙な比率で混ぜ合わされているし、音でビビらせるというホラー演出も随所で効果をあげており、2時間はきっちり楽しめる映画として仕上がっています。。。 ハリウッド進出して間もない頃のケイト・ブランシェットを中心とし、ジョヴァンニ・リビシとヒラリー・スワンクという実力派に脇を固めさせ、キアヌ・リーブスとケイティ・ホームズがそこに華を添える。完璧に計算されたキャスティングです。ブランシェットは後の大女優の風格と技術をこの時点で見せつけているし、リビシはすべてが良すぎます。こんなメンツに囲まれたキアヌはちょいと可哀そうですが、新境地開拓に熱心な姿には好感が持てました。『スパイダーマン』の編集長やメルおばさんも顔を出し、俳優を見ているだけでも楽しめる映画となっています。
[DVD(吹替)] 7点(2014-07-11 01:18:18)(良:2票)
347.  300 <スリーハンドレッド> ~帝国の進撃~
IMAX-3Dにて鑑賞。 「もはや300って数字は関係ないじゃん」というツッコミはさておき、ザック・スナイダーのビジュアルを完全移植した見せ場の出来は素晴らしく、特に、冒頭とクライマックスにおいて主人公・テミストクレスが披露する、雑魚を斬りながらラスボスへ近づいていくという流れるような殺陣の迫力と美しさは、前作をも上回っていたと思います。ただし、やたらと畸形を登場させたり、忍者軍団や妖術軍団といった訳の分からん敵が続々現れたりした前作と比較すると、本作にはマンガ映画ならではの遊びが少なかったように思います。多少ビジュアルに凝った史劇という印象であり、この生真面目さは『300』の続編にはそぐわないと感じました。。。 生真面目と言えば、本作の主人公・テミストクレスも同様です。前作において、精神論を大声で叫ぶだけのレオニダス王の脳筋ぶりは見ていて実に楽しめたのですが、他方、テミストクレスは現実的な解決策を模索する良心的な指導者であり、破天荒さに欠けていました。交渉のためにスパルタを訪れたテミストクレスがスパルタ式の過激な新兵教育を見てドン引きしたり、兵士たちに「死ぬな」と言って聞かせたり(レオニダスは「戦死こそ名誉」と部下に説いていた)、彼が率いる軍隊は、前作でレオニダスが鼻で笑っていた素人の寄せ集めだったりと、あらゆる点でレオニダスとの差別化が図られているわけですが、そんなテミストクレスならではの強みが分かりやすい形で打ち出せなかったために、主人公ながら影が薄く感じられるのです。。。 そんな主人公の弱さを補ったのが、敵のボスであるアルテミシア。悲惨な生い立ちゆえに人間性が失われ、ギリシアへの復讐のためなら手段を選ばぬ鬼と化した女戦士ですが、悪人顔のエヴァ・グリーンが、脱ぐわ、暴れるわの大怪演でこれになりきっています。小粒のテミストクレスではなくレオニダスと対決させたいと心から思う逸材であり、彼女の存在により、映画はかなり救われていました。。。 3D効果については、血飛沫や槍の切っ先といった定番の飛び出し効果や、見下ろしたり、飛び降りたりする場面での高さの表現などにおいて素晴らしい3D効果を体感できる反面、クライマックスの戦闘場面では3D効果がほとんど追求されておらず、その謎のペース配分には驚かされました。3Dで見て損はありませんが、2Dで見ても情報量はそれほど変わらないと思います。 
[映画館(字幕)] 6点(2014-06-22 02:18:25)
348.  ノア 約束の舟 《ネタバレ》 
IMAXにて鑑賞。多くの大作映画の監督候補として名前が挙がりながらも降板や企画自体の頓挫が続き、今の今まで大作を手掛けることのなかったダーレン・アロノフスキー。そんな彼がついに挑んだ1億ドルバジェットの超大作ということでその出来には関心があったのですが、前半の堂々たるスペクタクルには目を見張りました。ハイライトである合戦シーンの熱量と勢いは特に素晴らしく、この監督はもっと多くの娯楽作を撮るべきだと思います。。。 問題となるのは後半部分。世界が飲み込まれた後の物語ですが、ここから映画は急激におかしくなっていきます。いや、前半からその兆候はありました。「人類が滅ぶ→この世から女がいなくなる→俺は一生童貞」ということに耐えられなくなったノアの次男・ハムが「彼女が欲しい」と言い出した辺りから違和感を覚えてはいたのですが、それでも、上記の通りの素晴らしいスペクタクルにより、その違和感はかき消されていました。しかし、船内での人間ドラマが中心にくる後半部分になると、前半で感じていた「この映画、なんかおかしいぞ」という感覚が、確信へと変わっていきます。洪水初日、溺れる何百万人の断末魔の叫びを聞きながらの食事という世界一飯が不味いシチュエーションにおいて、「お父さん、あの人たちを助けてあげませんか」という家族からのお願いをキッパリと断り、人類は滅びねばならないという話を長々と始めるノア。長男・セムの嫁さんの妊娠を聞き、怒り狂うノア。産まれてきた子供は殺すと言い出すノア。家族から距離を置き、アル中になるノア。完璧にキ○ガイとして描かれています。後半は、キ○ガイ親父に振り回される家族の物語という、いつものアロノフスキー映画になるのですが、この点をどう受け止めるかが本作の評価の分かれ目になるでしょう。私は面白い崩し方だと感じましたが。。。 もう一つ面白いと感じたのは監督の宗教観で、仏教的な輪廻転生を描いた『ファウンテン』を過去に撮りながら、今回は旧約聖書の物語を撮る。さらには、本作において進化論を匂わせる描写を何気なく挿入したり、堕落した人類の象徴であるはずのトバル・カインをやたらカッコよく描いていたりと、この監督の節操のなさには笑ってしまいます。宗教を、イカれたイメージをいくらでも挿入できる便利な素材としてしか認識しておらず、本人には信仰心の欠片もないのではないかと疑ってしまいます。
[映画館(字幕)] 7点(2014-06-15 02:34:10)(良:1票)
349.  スノーピアサー 《ネタバレ》 
ポン・ジュノが監督し、それをパク・チャヌクがプロデューサーとして援護するというものすごい体制で製作された作品だけあって、映画には終始ドえらい気合が満ち溢れていて、一瞬足りとも目を離させません。ハリウッド製SF映画の外面を持ちながらも、中身にあるのはバリバリの韓国製バイオレンス。銃ではなく斧やナイフを武器に殺し合いをするという点に本作の個性があります。また、アクションに入る前の「溜め」の演出も素晴らしく、さらには殺し合いの途中に新年を祝い始める等のパンチの効いたユーモアも楽しく、少なくとも前半部分は、1年間に数本出会えるか出会えないかレベルの面白いアクション映画として仕上がっています。。。 問題は後半部分。「あんたらが起こした革命は、我々が考え出したシステムの一部だったんだよ」と、創造主・エド・ハリスから『マトリックス/リローデッド』みたいな告白を受けた辺りから、映画は訳のわからん方向へと走り出します。今までバイオレンス映画としてやってきた映画が、ここからいきなり宗教的・SF的方向へと舵を切り始めるのですが、SFをやるに足る素地がこの映画にはなかったので、これを眺める観客はポカーンとさせられてしまいます。。。 この映画の基本設定はボロボロです。スノーピアサーが永久機関を持つにしても、休みなく走っていれば車輪や車体は摩耗するし、何年も野ざらし状態の線路だって走れる状態にはないはず。そもそも、スノーピアサーが地球一周旅行を続けてることの理由もよくわからないし(どこかに停車している方が安全なのでは?)、疑問は尽きることがありません。それでも前半部分では、この映画において設定とはあってないようなもので、出てくる画を楽しめばそれでいいのだと納得しながら見ることができたのですが、エド・ハリスが分かったような分からんようなことを言い始める後半部分になると、設定の弱さが一気に気になり始めます。だいたい、あのカースト社会自体が意味不明。最後尾の人間は過酷な労働をさせられているわけでもなく、ただマズイ飯をもらって生かされているだけ。スノーピアサーという世界において、彼らの生にはどんな意味があるのかがよく分からないので、エド・ハリスが世界を語り始めると、途端に設定の抱える弱さが露呈してしまうのです。
[ブルーレイ(吹替)] 6点(2014-06-09 01:31:47)
350.  エル・トポ
監督自身が「娯楽を意識して作っていない」と言っている通り、個人の感性に合うかどうかのレベルの作品なので、点数をつけるのはとても難しいです。私はつまらないと感じたし、中盤辺りから映画に対する関心も失われてひどく退屈したものの、その一方で、物語にも映像表現にもめちゃくちゃにエッジが立っていて、「つまらない」で切って捨てていい作品ではないとも感じました。なので、中間の点数をつけときます。。。 本作がカルト映画として40年を超える寿命を得ているのは、作品の質だけでなく、容易に鑑賞することができないという稀少性にもあったのではないかと思います(プロデューサーと監督との間の確執によって、リリース困難な状態が数十年も続いた)。仮に、本作が容易に鑑賞可能な状況にあった場合に、ここまで熱狂的に支持されたかどうかは疑問です。 
[DVD(字幕)] 5点(2014-06-05 00:04:58)
351.  X-MEN:ファースト・ジェネレーション
創作上のヒーロー達が、実は近現代史の裏側で暗躍していたという着眼点はまんま『ウォッチメン』ですが、ひたすら暗くて説教臭かった『ウォッチメン』と比較すると、本作には適度な笑いとスリルがあり、クライマックスには大掛かりな見せ場もあって、娯楽作としては抜群のバランス感覚を保っています。。。 2006年の『ファイナル・デシジョン』にてシリーズは一旦終了したものの、2009年の『ウルヴァリン』が結構な興行成績を叩き出したことから、「やっぱりX-MENは儲かる」ということでのシリーズ再開。とはいえ、『ファイナル・デシジョン』があらゆる設定や物語を豪快にひっくり返したことから(私は好きですが)、単純な続編は不可能ということで、シリーズの仕切り直しとして製作されたのが本作でした。『バットマン・ビギンズ』や『アメイジング・スパイダーマン』等を見ればわかる通り、仕切り直しの作品は大抵がオリジナルシリーズとの差別化に精出し、あっと驚くような設定変更を仕込んでくるものなのですが、一方で本作は、旧シリーズとの連続性を意識し、それらを作品に取り込んでいこうとする姿勢が好印象でした。新シリーズの一作目であるが、旧シリーズの存在も無駄にはしていない。そうした器用な作りとしたことが、2014年の『フューチャー&パスト』にも繋がっていくわけです。。。 主要キャラクターの生い立ちや、世界情勢、ミュータントの生きづらさ等、多くの要素をぶち込みながらも、本作の流れは驚く程スムーズです。真面目一筋のブライアン・シンガーと、単純娯楽に徹するブレット・ラトナーの良い所を掛け合わせたかのようなマシュー・ヴォーンの柔軟な演出には感心しっぱなしでした。オタク臭いチマチマとした辻褄合わせをやりながらも、クライマックスでは延々30分に及ぶ大スペクタクルをしっかりと見せる。そして、ラストでは相思相愛ながらも袂を分けたプロフェッサーとマグニートーの濃厚な友情まで。娯楽作としては文句のつけようがありません。役者の選び方も見事なもので、変なヘルメットを被って偉そうなことを言わねばならないという悶絶級に難しい役柄には、ケビン・ベーコンとマイケル・ファスベンダーという演技力とカリスマ性を併せ持つ俳優を当ててくる辺りの手堅さを見せています。
[映画館(字幕)] 8点(2014-06-04 23:40:01)(良:2票)
352.  X-MEN:フューチャー&パスト
実写版『X-MEN』の父と言えばブライアン・シンガーですが、『ファイナル・デシジョン』よりも『スーパーマン/リターンズ』を優先したことがFOXの逆鱗に触れ(シンガーは念願だったスーパーマンにまず着手し、それが終わり次第、X-MENの現場に戻ればいいと考えていた)、しばらくはX-MENへの出禁状態が続いていました。そんなこんなを経て久々に監督復帰した本作には、その間に製作された2本の続編に対する彼の思いがよく表れています。。。 鑑賞前の最大の関心事は、『ファイナル・デシジョン』で死亡したプロフェッサーXと、能力を失ったマグニートーをどうやって戦線復帰させるのかという点でしたが、驚いたことに、彼らは何事もなかったかのようにしれっと復活しており、そこには何の説明もありません。また、『ファースト・ジェネレーション』で初登場したミュータント達は1名を除いて全員が殺されたことになっており(あれだけ強力だったエマ・フロストまでが捕獲され、殺されてたなんて)、生き残った1名も本筋とは無関係なワンシーンで顔を出す程度。シンガーは、自分が監督していない2本をなかったことにしたいのではないかという疑念を持ってしまいました。そういえば、テーマ曲は『X-MEN2』のものに戻されてたし。。。 ドラマも、直近作とは断絶しているように感じました。前作のラストで意気揚々と学園を始めたプロフェッサーが、本作ではいきなりダメ人間として登場する辺りはかなり強引に感じたし、ミスティークを奪われた件でマグニートー相手にブチ切れる点は完全な逆恨み。前作のラストでミスティークの背中を押したのはあんただったでしょ。前作では思慮深い革命家だったマグニートーが、本作では独断専行で度々場をかき乱すバカになってた点にも、妙にガッカリさせられました。『ファースト・ジェネレーション』との整合性という点においては、今回の監督交代は完全に裏目に出ています。。。 とはいえ、本作ではシンガーの強みも十分に発揮されています。ミュータントの能力を面白く、かつ、わかりやすく見せるという点では他の監督の手腕を遥かに凌駕しているし(初登場のミュータント達がセンチネルとの戦いを繰り広げる序盤の素晴らしさ!)、気が付けばスター揃いとなっていたキャスト達を見事にまとめ上げ、知名度順に見せ場をきっちり分配していくという采配にも感心させられました。これぞ夏のスター映画です。
[映画館(吹替)] 7点(2014-06-04 23:13:42)(良:2票)
353.  屋敷女
『マーターズ』と並んで、近年のフレンチホラーを代表するとされる凶悪作品。ハリウッドホラーのショック演出、イタリアンホラーのグロ描写、ジャパニーズホラーの湿っぽい空気感、ジャーマンホラーの変態性等、世界中のホラー映画を丁寧に研究し、それらの尖がった部分をすべて吸収して作られた結果、暴君怪獣タイラント並の強力な映画が仕上がったわけです。「これ以上やっちゃいかんだろ」というレベルを軽々と越えてくる残酷描写の過激さや、短時間に多くのイベントを詰め込んでくるという展開の素早さ、そして底抜けに陰惨な結末など、従来のホラー映画が牧歌的に思えてくるほどの容赦のなさには腰を抜かしました。普段はボカシを無粋だと感じる私も、本作のクライマックスでボカシがかかった時には、「これを見ずに済んでよかった」とホっとした程です。。。 ただし、被害者と加害者双方の動きに合理性を欠く面があったり、中盤に登場した刑事3人が、どう考えても現場を制御できる状況にあったにも関わらず、一人のキ○ガイ女によって全滅させられてしまうという展開にイライラさせられたりと、いくつかの場面で不自然さが見られた点は残念でした。こうした点をうまく処理できていた『マーターズ』と比べると、作りはやや洗練されていないと感じました。
[DVD(字幕)] 6点(2014-05-18 10:23:49)
354.  モーターサイクル・ダイアリーズ
軽さと重厚さを両立した人物描写や、美しい景色を切り取った撮影など、あらゆる点でレベルが高く、ウォルター・サレスの実力が如何なく発揮されています。少なくとも前半部分は最高のロードムービーとして仕上がっているのですが、問題は後半部分。銀山で共産党員の夫婦に出会って以降は、プロデューサーを務めたロバート・レッドフォードの目的意識が込められすぎたのか、はたまたチェ・ゲバラという伝説的な人物に引っ張られすぎたのか、道徳的・模範的すぎてつまらない映画になってしまいます。主人公達はことごとく正しいことばかりをやって、何の意外性もないのです。善悪そこそこで微妙なバランスを保つことが人間性の本質であり、その様を描くことがドラマの醍醐味だと思うのですが、本作の製作者達は、そうは考えていなかったようです。
[DVD(吹替)] 5点(2014-05-18 10:21:47)
355.  グランド・イリュージョン
ルイ・レテリエの流れるような演出は相変わらず素晴らしく、勢いのある作品には仕上がっているのですが、お話の方はイマイチでした。ある事象が起こる→「実は○○は××でした」という種明かしをする、これを3度も繰り返すので、正直飽きてきます。主人公達がマジシャンであるのを口実に何でもありが許された見せ場にはまるで緊張感が宿っていないし、各自の特技を活かした見せ場が作られていないために、集団アクションとしての面白さも生み出せていません。さらには、大オチは意外性を狙いすぎて、かえって月並みなものになってしまっています。黒幕の目的は逆恨みにも程があって、かえって小粒感が漂ってるし。そんなことに高い能力と何十年もの歳月を費やすくらいなら、もっと前向きに生きればよかったのにと呆れてしまいました。。。 そもそもの問題として、映画においてマジックを見せるという基本コンセプト自体に問題があったと思います。マジックとは、マジシャンと観客とのガチンコ勝負の娯楽。あらゆるものを見逃さんとする観客の目をいかに掻い潜るかという点に最大の面白さがあるのです。他方、いくらでもカットを割れるし、必要ならばVFXも使える映画という媒体でマジックを見せられて、我々は何に驚けばいいのでしょうか。冒頭の脱出マジックで登場したピラニアが、明らかにCGだった時点で脱力してしまいました。 
[ブルーレイ(吹替)] 4点(2014-05-18 10:20:23)
356.  バッド・ティーチャー
90年代にはロマコメの女王と呼ばれていたキャメロン・ディアスが、本作のような負け犬の毒女を演じるようになったということには感慨深いものを感じました。途中で反省したり人間性に目覚めたりせず、最初から最後まで一貫して腐った人間であり続けたという展開には賛同できるのですが、コメディ映画であるにも関わらず笑いどころがほとんどなかったという点は厳しかったです。
[地上波(吹替)] 4点(2014-05-18 10:18:22)
357.  アメイジング・スパイダーマン2 《ネタバレ》 
IMAX-3Dにて鑑賞。スパイディの背中を追ってビルの谷間を擦りぬけるシーンの3D効果には絶大なものがあり、一連の飛翔シーンを見るだけでも、入場料の元は取ったと思います。その他、エレクトロが暴れる場面の音響効果等も素晴らしく、技術的には非常に充実した映画でした。。。 しかし、映画としてはもうひとつだったと思います。本作は、前シリーズの『スパイダーマン2』と同じ立ち位置にある作品なのですが、スパイダーマンとして生きることに限界を感じたピーターの苦悩が克明に描かれたライミ版『2』と比較すると、本作には切実に感じさせられるものが少なく、ドラマへの没入感が薄くなっています。ピーター、ハリー、エレクトロの3人のドラマが同時進行で描かれることから一つ一つの物語が軽くなっているし、そもそも善と悪のドラマを並行して描くことには、観客に多くの視点を与え、様々なことを考えさせるという目的があったと思うのですが、肝心のその効果も得られていません。基本設定上は、ハリーもエレクトロも相当可哀想な奴なんですが、映画を見ている間は、彼らに対する同情心があまり起こってこないのだから困ったものです。2004年の『スパイダーマン2』から『アメイジング・スパイダーマン』までを手掛けてきた脚本家・アルヴィン・サージェントがシリーズを去ってしまったことの影響が、ここでモロに出てしまっています。。。 【注意!ここか盛大にネタバレします】そして、テレビCMでネタバレを流さないでね、配給会社の人たち。本作のピーターが終始チャラチャラしたいけ好かない男として描かれていたのは、ラストでグウェンが死んで絶望の淵に突き落とされるというショックを強めるためだったと考えられます。そんな演出意図を完全に無視して、テレビCMの時点でグウェンに死亡フラグ突き立ててどうするんですか。ソニーは、2009年の『ターミネーター4』でもクライマックスのサプライズをテレビCMで流しまくっていました。映画館に人を呼び込むため、売りになりそうな場面をできるだけ多く紹介したいという気持ちはわかりますが、過剰な事前情報によってお金を払って映画を見に来た人達の楽しみを奪い取ってしまうような宣伝はルール違反だと思います。
[映画館(字幕)] 6点(2014-04-27 23:42:51)(良:1票)
358.  キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー
IMAX3Dにて鑑賞。ファルコンの飛翔シーン等で3D効果は発揮されていたものの、そもそもアトラクション映画として作られていないためか、全体としては3Dで見る必然性のある場面に乏しく、3D料金分は損したかなという印象を受けました。。。 他方、内容の方は骨太アクションとして堂々たる仕上がりで、なかなか見応えがありました。弱いだの、ダサいだの、役立たずだのと、今まで散々な言われようだったキャップですが、本作では彼が強すぎないことを活かした舞台と物語が用意されており、そこではキャップが十分にかっこよく、かつ、男らしく見えています。ジェイソン・ボーンのようなキレっキレの肉体アクションの合間に、彼のシンボルである盾を実にクレバーに使うことで、これはキャプテンアメリカの映画であるという印象も残す。リアリティとファンタジーの間で見事なバランスをとってみせた監督達の采配には脱帽なのでした。物語の方も、ヒドラだのヘリキャリアだのと漫画的な要素を散りばめつつも、全体としては70年代のポリティカルサスペンス風にまとめられており、おかしな組み合わせをとりつつも、総体としてはまったく破綻が生じていないという点では驚かされました。さらには、平和のための予防措置として政府が国民生活を脅かすことの是非をも問うており、今日の社会問題までが作品に織り込まれています。本作は、クリストファー・ノーラン作品をも射程に捉えかねないほどよくできたヒーロー映画だと思います。。。 不満だったのは、タイトルロールであるウィンターソルジャーの印象がイマイチだったこと。キャラ造形は決して悪くはないものの、作品全体の志の高さと比較すると、彼の存在は小さすぎたかなという感じでした。強力なヴィランを生み出せていないことが本作を含む一連のマーブル作品の欠点であり、来年公開の『アベンジャーズ2』に向けて、この課題をどう改善していくのかに注目なのです。
[映画館(字幕)] 7点(2014-04-20 02:21:58)(良:1票)
359.  ラブリーボーン 《ネタバレ》 
ピーター・ジャクソンはかねがね「指輪物語とキングコングを撮ることが私の監督人生における目標だ」と語っていましたが、2005年までにその両方の目標を達成してしまい、さらにはニュージーランド時代のフィルモグラフィに首尾一貫性がなかったこともあって、『キングコング』後の動向は非常に注目されていました。一時期は、低予算のゾンビ映画を撮るのではないかという話もありましたが、結局、ジャクソンが選んだのは『乙女の祈り』の流れを汲んだ暗いファンタジーでした。大作ではなく中規模作品を選択したこと、似たような映画を撮れる監督が少ないジャンルを選んできたことなど、本企画については逃げを打ったなという印象を受けた覚えがあります。。。 そうして完成した映画は、かなり微妙でした。決してダメな映画ではありません。死後の世界のビジュアルは圧倒的だし、俳優陣から渾身の演技も引き出せています。納得できるかどうかはともかくとして、オチもちゃんとつけているし、ベテラン監督ならではのレベルの高い仕事を楽しむことはできます。ただし、映画を綺麗にまとめるということに終始して、ドラマに切実なものが感じられなかったことも、また事実。本作のテーマは、暗い過去に囚われ過ぎず、前を向いて生きていきましょうということなのですが、ドロドロとした暗い部分の描写が決定的に不足しているのです。主人公・スージーは、犯人を殺してやりたいほど憎んでいるはずだし、この世に対する未練も多くあったはずなのに、それら負の感情がうまく表現されていません。これでは、前へ進もうとするラストの決断も活きてきません。。。 そもそもの問題として、このテーマであれば、後に天罰が下るにしても、現実世界で犯人が見つかってはいけないと思うのですが。犯人を突き止めることと、新しい道へと歩み始めること、被害者家族がその両方を実現したのでは、本作の核心部分がブレてしまいます。結局犯人は特定されず、事件は迷宮入りしたが、被害者家族は事件に囚われ続けることをやめ、次のステップへ進む決断をする。本来はこうあるべきだったと思います。。。 上記以外の細かい欠点としては、現実世界での犯人探しに説得力がなかったことや(勘や印象で犯人を決めつけてしまう)、存在意義を感じない登場人物が多かったということも気になりました。スーザン・サランドンなんて、完全に持て余してたし。
[ブルーレイ(吹替)] 5点(2014-04-14 01:22:53)
360.  プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ/宿命
『ブルーバレンタイン』の監督によるクライムドラマですが、丁寧な映画作りは相変わらずです。本作で提示されるのは、人間とは善と悪の間を行ったり来たりしながら生きているのだというひとつの真理。第1部の主人公・ルークは、自分が感知せぬ場所で生まれた息子を見捨てることができず、現在の生活のすべてを捨てて元カノと息子の元に向かうのですが、当の元カノはとっくに新しい恋人を作り、義父を含めた親子3人で仲良く暮らしていました。その後、ルークは悪質なストーカーと化すのですが、それでも観客はルークに感情移入し、彼の心理や行動を肯定したい気持ちにさせられます。やっていることは最低だが、当初の目的は美しく崇高だったではないかと。このあたりの感情の持っていき方のうまさには感心させられました。もしくは、第2部の主人公・エイヴリー。身内の不正に我慢できず行動を起こした正義の人だったが、この一件を自身のキャリアアップに利用しようと画策した瞬間から、狡猾な悪魔になってしまう。善とも悪とも割り切れない人間の業の深さが、見事にドラマ化されています。。。 豪華キャストの中でも、ルークを演じるライアン・ゴズリングのカリスマ性には目を奪われました。本作の登場人物の中で、もっともダメな人間はルークなのですが(ストーカーになる→復縁のための金が欲しくて強盗する→犯罪のスリルに飲まれて自滅する)、彼こそが作品中もっとも光っているという点に、ゴズリングの威光を感じさせられました。 
[ブルーレイ(吹替)] 8点(2014-04-08 00:12:55)
070.55%
1171.33%
2272.12%
3564.40%
417513.74%
517713.89%
619715.46%
730924.25%
822217.43%
9685.34%
10191.49%

全部

■ ヘルプ
© 1997 JTNEWS