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ザ・チャンバラさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1274
性別 男性
年齢 43歳
自己紹介 嫁・子供・犬と都内に住んでいます。職業は公認会計士です。
ちょっと前までは仕事がヒマで、趣味に多くの時間を使えていたのですが、最近は景気が回復しているのか驚くほど仕事が増えており、映画を見られなくなってきています。
程々に稼いで程々に遊べる生活を愛する私にとっては過酷な日々となっていますが、そんな中でも細々とレビューを続けていきたいと思います。

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361.  ランナウェイ/逃亡者
ロクな予備知識もなく観たので、平凡な主婦がFBIに包囲される冒頭には心底驚かされました。また、レッドフォードの人脈の為せる業か、セリフがある役には須らく有名人が起用されているというキャスティングも豪華であり、見るべきものの多い作品だと感じました。。。 ただし、レッドフォードの悪い癖で映画が冗長になりすぎているし、イデオロギー色の強い社会派ドラマと謎解きサスペンス、家族を巡る人間ドラマの間で絶えず彷徨う脚本も散漫に感じられました。あと、レッドフォードが若さ自慢をしたいのか、やたらと走るシーンが多かったことも不自然でした。桂歌丸や楳図かずおと同い年のレッドフォードがこれだけ走れていること自体は素晴らしいのですが、本筋とあまり関係ないところでも走る姿を披露しているので、その若さ自慢には笑ってしまいました。 
[ブルーレイ(吹替)] 5点(2014-04-08 00:12:15)
362.  サイド・エフェクト
ソダーバーグとの相性はよくないのですが、本作は楽しめました。黒幕には意外性があるもののソダーバーグはそこを大きく扱いすぎておらず、人生を奪われかけた男による反撃を作品の中心に据え続けたことで、作品全体が引き締まっています。豪華俳優陣のハマり具合も素晴らしく、熟練した技を楽しめる作品でした。
[DVD(吹替)] 7点(2014-04-08 00:11:13)
363.  レッド・ドーン
駄作でしかなかった『若き勇者たち』をなぜリメイクしようと考えたのか、製作開始のアナウンス時点でMGM幹部の判断には理解し難いものがありましたが、出来上がった作品は、案の定の仕上がりでした。。。 笑ってしまうほど露骨な国威発揚演説に、高校生がプロの軍人を倒してしまうというありえない展開。オリジナルの悪いところがロクに修正もされず残されている点には呆れました。また、登場人物に驚くほど魅力がなく、特に主人公・マットの自己中ぶりには怒りすら感じました。他の仲間は、自分の家族を巻き添えにしてしまうかもしれないミッションを、私情を抑えて淡々とこなしている中で、マットだけは自分の彼女を助けるためにフラフラと個人行動に走るというクズっぷり披露。「こんなクソ野郎、早く死んでくれないかな」と思いながら主人公を眺めるのでした。。。 また、本作にはシミュレーション映画としての側面もあると思うのですが、いかにしてアメリカが他国に蹂躙されるのかという点があまり深く考えられていないことにもガッカリさせられました。そもそも、人数の点で圧倒的に不利な北朝鮮軍が、人口20万人程度の地方都市を全力で制圧しにくるとかありえないでしょ。もうちょっと納得できるシチュエーションを捻り出して欲しいところでした。
[ブルーレイ(吹替)] 4点(2014-04-08 00:10:23)
364.  ウルヴァリン:SAMURAI
現在まで6本制作されている『X-MEN』関連作品の中では、間違いなく一番の駄作。おかしな日本描写にはこの際目をつむることにして、それでもまったく面白くありません。と言うか、おかしな日本描写を笑うことくらいにしか楽しみを見出せないという状況となっています。。。 そもそもX-MENからウルヴァリンを独立させたことの趣旨は、観客にウルヴァリンの大暴れをタップリと見せるためだったはず。それなのに、本作では「ウルヴァリンが強すぎると映画が成立しないから、彼から力を奪ってしまおう」という、完全におかしな方向性で話が作られているのです。生身の人間になってしまったウルヴァリンことローガンが、異国の地で逃避行を続けているうちに現地の美女と恋に落ちる。ウルヴァリンは弱くなっているから、アクションは控えめ。アメコミ映画でこんなものを見せられてもなぁという感じです。
[ブルーレイ(字幕)] 4点(2014-04-03 01:08:19)(良:1票)
365.  悪の法則
豪華俳優陣を集めたにも関わらず興行的に振るわず、批評面では『G.I.ジェーン』や『レジェンド/光と闇の伝説』をも下回ってリドリー・スコット史上最低評価を受けた本作ですが、酷評を受けるほどの内容ではなかったと思います。事件の全貌をあえて見せないという構成や哲学的なセリフの応酬、エロでグロな内容なのに、本当に凄惨な部分はごまかしてしまうというトリッキーな演出など、全体を通して見るべき点は多かったのです。豪華俳優陣によるパフォーマンスのレベルは総じて高く、スコット印の美しい撮影も健在であり、映画としては非常に充実していました。現状では酷い評価となっていますが、10年も経てば巨匠による傑作のひとつとして数えられるだろうと思います。。。 ただし、映画として面白かったかと言われると、そこは少々厳しかったです。観客を傍観者にする映画なのでハラハラさせられるような展開に乏しく、娯楽性の点で大きな問題を抱えていました。上記の通り、本作については今評価しておかなければ数年後に恥をかく映画だとは思いますが、現状では面白くないと感じたため、6点がせいぜいかなと思います。何度か鑑賞を重ねるうちに、その印象も変わっていきそうな気がしますが。 
[ブルーレイ(吹替)] 6点(2014-04-03 01:07:16)(良:1票)
366.  2ガンズ
裏切ったり裏切られたりのアクションコメディはハリウッドで多く制作される人気ジャンルとなっていますが、本作は、当該ジャンルの中では頭ひとつ抜けた仕上がりだったと思います。話の交通整理、見せ場の楽しさ、娯楽作としてのテンポの保ち方等がいずれも優れており、最初から最後までハラハラしながら見ることができました。また、バディもので能力を発揮するマーク・ウォルバーグは本作でも絶好調で、デンゼル・ワシントンとの相性はピッタリでした。さらには、彼らを取り巻く助演陣のハマり具合も素晴らしく、ビル・パクストン、フレッド・ウォード、ジェームズ・マースデンら、お久しぶりなメンツが個性豊かに敵役を演じています。『BATTLE STAR GALACTICA』のファンとしては、エドワード・ジェームズ・オルモスがヤクザの大親分を演じている点も嬉しかったです。
[ブルーレイ(吹替)] 7点(2014-04-02 03:17:39)
367.  コンプライアンス 服従の心理 《ネタバレ》 
作品中描かれる悪事の数々は、なんと実話。作品鑑賞後に事件の顛末を調べた結果、本作にはほとんど脚色がなかったことを知って2度驚かされました。さらには、実際の被害者のお顔は映画で主人公を演じた女優さんよりも遥かに美人だったし、世の中、信じられないことが起こるものなのだなぁとゾっとさせられました。。。 以上の通りのセンセーショナルな題材を選んではきているのですが、題材の面白さに依存しすぎることなく、要所要所で監督の見事な采配が見えたという点には感心しました。例えば冒頭、店舗内でのミスや本部からのプレッシャーによって店長はテンパっている状態にあり、当日は物事を俯瞰して判断する余裕がなかったという点が、簡潔ながら的確に描かれています。また、事件発生後にも、加害者達は一旦電話の主を疑い、戸惑い、反発する素振りを見せるという手続をきちんと入れているので、事件の経過に不自然さがありません。犯人による懐柔方法も論理的によく考えられています。まず「これは警察からの指示であり、起こることすべてについて警察が責任を負う」と言って電話の受け手を責任から解放し、その後、女性店長に対しては「あなたはよくやっています。優秀な管理者です」と褒めて自尊心をくすぐり、男性に対しては「今から若い女の子の体を触ってもらうけど、これは大義名分あってのことだから、建前上、あなたの私欲とは無縁ということになっています」と言ってスケベ心を刺激するという、なかなかうまい方法で共犯者を作り上げているのです。ちなみに、事件後の裁判の争点になったのがこの点で、店長とその婚約者は、警察からの指示を受けているという大義名分を隠れ蓑に使い、女性店員への虐待を個人的に楽しんでいたのではないのかという疑念を持たれました。結果、店長の婚約者は性的暴行の罪で服役したようです。。。 問題に感じたのは、店長の婚約者が被害者にオーラルセックスを強要するという、もっとも過激な部分がボヤかされていたことです。作品を低俗にしすぎないための配慮だと思うのですが、しかし、これこそが受身の共犯者が主体的な加害者に転じた瞬間であり、裁判の争点となった部分にして、作品の核心部分でもあります。行為そのものを描写する必要はないものの、普通の人がどんないきさつで暗黒面へと堕ちてしまったのかは見せて欲しいところでした。
[DVD(吹替)] 7点(2014-04-02 03:13:52)(良:2票)
368.  エミリー・ローズ
難病の治療を医学ではなく宗教に頼ろうとし、結果として人を殺してしまった事件として、我が国においては1999年のライフスペース事件が思い出されますが、教祖の異様なキャラクターとオリジナルすぎる主張から当然の如く有罪判決が下された当該事件と比較すると、本作品の元となったアンネリーゼ・ミシェル事件には、当時の社会を揺るがすほどのインパクトがあったようです。その悪魔祓いは現地の司教からの承認を受け、形式的にもパウル5世の儀礼書に則った正式なものであり、それは伝統的な信仰と近代法制度が真正面からぶつかり合うという、いつかは起こるだろうと危惧されていた事件だったからです。さらには、信仰や宗教とは主観の世界ですが、その過失を裁判という合理性・客観性の場でどうやって証明するのかという命題をも孕んでいました。これは信仰の問題であると同時に、法の限界までが試される事件だったのです。。。 そんな美味しすぎる題材を扱いながら、本作は観客の知的好奇心に訴えるべき部分をまったく描こうとしません。監督・脚本を務めたのは『ヘルレイザー/ゲート・オブ・インフェルノ』のスコット・デリクソンですが、この監督の関心は専ら悪魔憑きを克明に描写するという点にあり、社会問題を扱おうという意図は薄かったようです。ホラー監督としての性か、悪魔憑きの場面では『エクソシスト』のようなショック場面が連続するのですが、その演出は本作の趣旨からは完全に逸脱しています。また、唯物論者の弁護士が超常現象を体験したり、彼女の目の前で証言者が不可解な死に方をするといった脚色部分も余計でした。本作は、「あなたならどう考えますか?」と観客に対して問いを投げかけるべき作品だったにも関わらず、これら一連の演出において、監督自身が主題に答えを出してしまっているのですから。。。 また、法廷パートの演出もいただけませんでした。描かれるのは検察官と弁護士の舌戦のみであり、彼らを取り巻くオーディエンスが空気同然の存在感となっています。しかし、本作で重要なのは、社会がこの事件をどう受け止めたのか、そして弁護士と神父が世論をどう変えていったのかという点であり、オーディエンスの存在こそが重要だったはず。さらには、オーディエンス不在のために弁護士と検察のどちらが優勢に立っているのかすらよく分からず、法定ものに必要な緊張感すら生まれていません。
[DVD(吹替)] 4点(2014-03-27 01:13:49)(良:1票)
369.  ロボコップ2
続編の製作を急ぐスタジオに対して、良いアイデアが出るまで続編は作りたくないと主張した前作の監督・脚本家達は全員切られ、代わって脚本家として雇われたのが、なんと『300 』や『シン・シティ』のフランク・ミラーでした。漫画家に映画の脚本を任せるとは凄い人選ですが、実際にミラーが書いてきた脚本は相当に素晴らしかったようで、前作の脚本家なしでも企画にはすぐにゴーサインが出ました。しかしいざ企画を進めてみると、ミラーの脚本はまったく映画向きではなかったようで、急遽、『ワイルド・バンチ』のウェイロン・グリーンが雇われて脚本の書き直しが行われました。ここで、本企画に致命的な問題が発生したように思います。前作は奇跡的に良く出来た脚本を、その意図を完全に理解できる監督が映像化したという見事な連携によって、歴史的な傑作となりました。一方本作では、前作の独特な作風を引き継ぎつつも、フランク・ミラーによって内容はさらに複雑化し、そしてそれを別の脚本家によって再び簡素化するという作業が行われたために、作品に「精神」なるものが宿らなかったのです。。。 完成した作品を見ると、バーホーベンの作風を露骨にマネしようとしている場面が目立つのですが、悪徳警官が処刑される場面や、ケインの開頭場面等、なぜこんなに悪趣味なものを見せるのだろうかと首を傾げてしまう場面も多々ありました。前作も悪趣味で残酷でしたが、きちんとその意図は理解できたし、必然性もあったと思います。一方、本作にはそれがなく、ただやりすぎているだけ。また、子供が麻薬組織のNo.2の座におり、しかも後に殺されるという究極のタブーにも果敢に挑んでいるものの、その試みが作品内容と連携していないために、ただただ不快感を与えるだけの結果に終わっています。本作は万事がこの調子で、刺激的な場面は多いものの、そこに意味が伴っていません。ミラーによる脚本にはそれがあったのでしょうが、グリーンによる脚色によって多くの意味が失われています。。。 本作で唯一誉められるものと言えば、フィル・ティペットによりクリエイトされたロボコップ2号の大暴走でしょうか。まだまだCGが使い物にならなかった時代、ロボコップ2号はパペットのコマ撮りにて作られたのですが、かなり複雑な動き方をする2号が20分間に渡って延々と暴れ回るクライマックスの凄まじさには度肝を抜かれました。
[DVD(字幕)] 4点(2014-03-14 01:42:13)
370.  ホビット/竜に奪われた王国 《ネタバレ》 
とにかく凄いのがレゴラスのアクション。LOTRよりレゴラスはアクション番長として名を馳せていましたが、本作に登場する若いレゴラスは、LOTRを余裕で上回る凄まじいアクションを披露します。さらには、レゴラスの部下・タウリエルも凄い。動ける戦闘型エルフが二人もいることで、見せ場は「速い!美しい!かっこいい!」の三拍子揃ったとんでもないものになっています。。。 ただし、原作には登場しないレゴラスの存在がマイナスに働いている局面もあります。レゴラスの登場により、われわれ観客は否応なくギムリを想起させられるのですが、LOTRにおけるギムリがレゴラスと並ぶオークハンターだったことに対して、本作のドワーフ達がホビット並の戦闘力しかないという設定上の不整合が気になってしまうのです。ドワーフって、エルフの活躍を指をくわえて眺めてるような奴らでしたっけ?  戦力描写の不自然さは、タイトルロールであるスマウグにもあります。二つの王国を瞬時に滅ぼした最強の火竜という設定ながら、本作のクライマックスでは10人のドワーフとホビットを相手に『エイリアン3』みたいな追っかけっこを延々とやっており、意外とちゃっちい奴なんだなとガッカリさせられました。要らんことをダラダラと喋りすぎだし、かと言って、すべてを見透かされてしまいそうな超越的な知性も感じさせられないし、『王の帰還』のアングマールの魔王のような腰砕け感がありました。西洋のドラゴンと東洋の竜を合わせたようなデザインや、彼が吐く炎の迫力、キングギドラを思わせる飛翔場面など、画としての見所は多かっただけに、本作における中途半端な活躍は残念でした。。。 そして本作最大の問題点は、ドワーフ達のやる気のなさです。宮殿へつながる扉が開かないとなれば、大して粘りもせずに帰ろうとするし、スマウグが眠る階層への侵入もビルボ任せでまったく主体性がありません。前作では、祖国を取り戻そうとする亡国の民という悲哀があったのに、本作ではただ状況に流されているだけの弱者です。ビルボやバルドなど、種族を超えて力を貸してくれる人たちにも悪態をついてばかりだし、彼らの旅への共感の度合はかなり下がってしまいました。。。 本作は、完結編への橋渡しのような場面が多く、その立ち位置の関係から不完全燃焼の多い回となってしまいました。そうは言ってもポテンシャルの高いシリーズなので、次回作には期待しています。
[映画館(吹替)] 6点(2014-03-12 00:48:16)(良:2票)
371.  偽りなき者 《ネタバレ》 
男女平等意識の強い北欧において、数少ない「男の本分」たる鹿狩りのイメージが度々登場したり、クララの父は長男にばかり目をかけて娘は部屋で大人しくしていればいいと考える家父長制の権化のような人物だったり、主人公が放り込まれるのは女性だけの職場だったりと、作品の至る所に男女の対立構造が見て取れます。さらに、主人公を追い込んだものは何だったのか、救ったものは何だったのかという点までを考慮すれば、本作の裏テーマはジェンダー問題ではないかと思います。。。 また、「男性から見た女性の姿」の表現も、本作の特徴となっています。疑惑を知った時の園長先生やクララの母親の反応がそれなのですが、感覚的に受け付けないと判断した時点で、いかなる弁解にも耳を貸さなくなるあの態度。主人公の言葉が耳に入ることすら汚らわしいと言わんばかりに園庭を逃げ回る園長先生の姿は滑稽でしたが、男性であれば、人生のうちで一度や二度は似たような目に遭わされたことがあるのではないでしょうか。粗野な男も悪いのですが、聞く耳を持たなくなった時の女性の頑なさには手強いものがあります。さらには、主人公が息子に会うことを徹底的に妨害する元妻の存在など、本作には、監督が女性に対して抱える恐怖心や反感というものが随所に見て取れます。。。 センセーショナルな内容である上に、上記の通り監督の個人的な女性観が全体を貫いていることから、本企画は独りよがりの内容になってしまうリスクを多分に孕んでいたと言えるのですが、その点を抜群の構成力で乗り切ったという点には感心しました。例えば事件の発端部分。【恋心を拒否されて、女の子が小さな嘘をつく→園長先生は、管理者としての責任からセラピストを呼ぶ→セラピストは、性的虐待があったという先入観から少女に対して誘導尋問を行う→専門家によるお墨付きを得たことで、架空の犯罪が事実として一人歩きをはじめる】。主人公は、事件発覚後の数日間は自宅待機を命じられており、初動段階で誤解を解消する機会を得られなかったという細かい動きまでよく考えられており、まったく隙がありません。事件の解決部分にしても、教会という舞台を選択して加害者と被害者以外のオーディエンス(神を含む)を多数配置したことで、「この環境であれば、主人公の熱弁は聞き入れられるだろう」という説得力を持たせています。
[DVD(字幕)] 8点(2014-03-10 00:10:13)(良:3票)
372.  ハード・トゥ・キル
セガール2作目にして、初めて全米1位を獲った作品。今ではVシネマ俳優と化し、一体誰が見ているのか分からない作品を濫造しているセガールですが、この頃は少ない制作費で堅実に稼ぐ、優秀なマネーメイキングスターだったのです。。。 前作『刑事ニコ/法の死角』は後のセガール映画の基礎を確立した作品でしたが、一方で本作は、セガールにとっては異例尽しの内容となっています。ケツを揉み、乳を頬張るという激しいラブシーンを演じた後に、不意を突かれて凶弾に倒れるセガール。セガールも人の子、ベッドでは無防備だったのかという、いろんな意味で衝撃的な展開を迎えるのです。また、ベッドシーンでは、明らかに緊張しているセガールの顔を拝むことができます。さらに、肉体を晒すことに消極的なセガールが、本作では上半身裸を見せているという点でも、妙なお得感があります(ホモじゃないよ)。ステロイド漬けのムキムキが基本だった当時において、ノンステロイドの肉体はどこか味気ないのですが(ホモじゃないよ)、その一方で、見せるために筋肉をつけているわけではないという武道家としての飾り気のなさがかっこよくもあります。。。 内容の方は、それなりにしっかりしています。とにかく適当だった当時のアクション映画の中では、よく作りこまれている部類に入るのではないでしょうか。とはいえ、セガール作品としては微妙。セガール作品を見る者は、セガール無双を見に来ていると言っても過言ではないのですが、本作では「セガールやられる→鍛え直してパワーを取り戻す→仇に復讐」という3部構成を90分強という短時間に詰め込んでいるため、セガール無双の時間がとても短いのです。また、セガールに惚れたヒロインが強力な保護者兼支援者となるという作品の要の部分が、「んなわけねぇだろ」とツッコミを入れたくなるほど説得力がないという点も、思わぬ弱点でした。なんせ、彼女が惚れたセガールは、ヒゲ伸び放題で仙人状態ですからね。こんなのに惚れるだなんて、この人の感性はどうかしちゃってるでしょ。セガールに意識がないのを良いことに、ち○こをチラ見して「ひゃっはー」ってテンション上がってるし、セガールの枕元に子猫を置くし、完全にイっちゃってますね。これを演じたケリー・ルブロックさんは本作での共演を機にセガールと結婚したそうですが、セガールの意外なバカップルぶりにもガッカリさせられました。
[地上波(吹替)] 4点(2014-03-07 23:32:10)
373.  終戦のエンペラー 《ネタバレ》 
アメリカ映画でありながら、トップシーンに原爆投下を持って来た勇気。本編中で何度も空襲による日本側の被害に言及した勇気には感銘を受けました。さらには、中村雅俊演じる近衛文麿に、「確かに日本は侵略行為を行ったが、では、同じことをしたイギリスやアメリカが裁かれたことはあるのか?」とまで言わせ、東京裁判の正当性に対する疑義を投げかけたという点でも、本作の製作意義はあったと思います。終戦前夜に日本国陸軍によるクーデターがあったという話はさすがにエスカレートしすぎでしたが、それでも、全体としては非常に丁寧に作られた作品だと感じました。いよいよ天皇が登場する場面の、こちらの背筋まで伸びてしまいそうな荘厳さと緊張感の再現も見事なものであり、よくぞここまで日本人の感性に寄り添った映画を作れたものだと感心しました。それと同時に、『硫黄島からの手紙』同様、本来は日本人の手で作られるべき映画を外国人に作らせてしまったという点が、何とも歯がゆくもありました。まだまだ、日本には言論の自由がないのだなと。。。 以上、本作の骨格部分は素晴らしいと感じたのですが、それが映画としての面白さにつながっていないというのが残念なところ。主人公に与えられた時間はわずか10日間であり、しかも、天皇ヒロヒトを処刑せよという本国からのプレッシャーや、そうした本国の動きに同調した同僚による横槍も入ってくる。そうした一連のシチュエーションが準備されていたのだから、それらを活かした激しい攻防戦でもあれば盛り上がったと思うのですが、実際には、主人公が気の向くままに人と会い、見聞きした内容をレポーティングすると上司のマッカーサーが納得して万事解決という、何とも平板な展開にとどまっています。また、主人公と日本人女性とのロマンスや、通訳男性との友情という一連のサブプロットも有効には機能しておらず、尺のかさ増し程度にしかなっていません。焼け野原となった終戦直後の東京の再現は素晴らしいのですが、そんなビジュアルの一方で話にはスケール感が伴っておらず、NHKのスペシャルドラマでも見ているかのような印象を受けたという点もマイナス。プロジェクト自体の志の高さに対して、監督や脚本家の能力が追い付いていないという点が、映画を物足りないものにしています。
[ブルーレイ(字幕)] 5点(2014-03-03 00:01:47)
374.  消されたヘッドライン 《ネタバレ》 
テレビドラマ(未見)をわざわざ映画化したのだからそもそも優れた企画なのだろうし、その脚色にはジェイソン・ボーンシリーズのトニー・ギルロイが雇われているという布陣も豪華であり、きちんと見られる作品には仕上がっています。ただし、水準以上の作品にはなりきれていないという点が残念でした。全体的な出来は悪くないものの、フックとなるような強烈な場面を作れなかったことが、不完全燃焼の原因だろうと思います。。。 【注意!ここから大きくネタバレします】そうなる可能性のある場面はありました。それは、コリンズ議員が殺人事件に関係していたことを知った後の主人公の反応であり、コリンズが悪に染まっていたことは事実であるが、それを記事にすればコリンズは失脚し、民間セキュリティ会社という巨悪を封じ込めるための急先鋒を失ってしまう。目先の事実を暴くことと、より大きな目的のために事実を隠すことと、どちらが公共の利益にかなうのか?そのジレンマを描き、「あなたならどうしますか?」と観客に問うような内容にしていれば、相当に引き締まった作品になったと思うのですが、残念ながら本作はその美味しいところを完全に素通りします。主人公は「ならぬものはならぬのです!」と言わんばかりにコリンズ議員の裏事情を記事にし、一切の躊躇がありません。さらには、コリンズの記事によって、理由はよく分からないが民間セキュリティ会社までが大打撃を受けるという、安直なハッピーエンドにはゲンナリさせられました。薄っぺらな正義感からコリンズを倒したことで、巨悪がのさばってしまうというバッドエンドにした方が面白かったと思うのですが。。。 上記に関連して、全編を通しての主人公の「これがジャーナリズムだ!」と言わんばかりの態度には、少なからずうんざりさせられました。証拠を握ってもそれを警察に渡さず、新たな犠牲者を出してしまう。いちジャーナリストでありながら、取材対象に脅しをかけてまで事実を聞き出そうとする。さらには、情報源からの承諾もないのに、自己の裁量のみで関連当事者に取材内容を漏らしてしまう。自分を正義の執行者か何かだと勘違いした態度は本当にどうかしてると思ったし、これら一連の行動を「善」として扱っている作品の倫理観についても、ちょっと受け入れがたいものがありました。
[DVD(吹替)] 5点(2014-03-01 02:08:28)(良:2票)
375.  スリーデイズ
『ミリオンダラー・ベイビー』で映画界に進出後、『007/カジノロワイヤル』までは飛ぶ鳥を落とす勢いだったポール・ハギス作品ということで過剰な期待があったことの裏返しか、公開当時、本作は批評面でも興行面でも苦戦を強いられたのですが、これが十分に面白い出来でした。。。 小品だからこそ、本作ではハギスによる鮮やかなストーリーテリングを楽しむことができます。妻の逮捕により幸せな家庭生活が破壊された。しかも、物的証拠はすべて妻の有罪を示しており、合法的な手段で妻を取り戻すことは困難な状況となっている。観客に主人公家族に対する愛着を抱かせると同時に、常識人である主人公が脱獄という異常な手段を選ばざるをえなくなるまでの過程をわずか30分で描ききるという手際の良さ。また、リーアム・ニーソン演じる脱獄のプロを登場させ、これからやろうとしていることがいかに困難で無謀なことであるかを懇切丁寧に説明させるという見事な煽り。さらには、クワイ・ガン・ジンばりの渋いマスターに見えたニーソンが、去り際に「で、今日の手間賃は持って来たの?」と言って、主人公の財布から無理やり札を掴み取って行くという下品さも見せることで、これから向かおうとしているのは甘いヒロイズムの世界ではなく、野蛮なアウトローの世界であるということもきちんと理解させる。本作の情報整理は神がかり的なレベルに達しています。。。 脱獄計画が始まってからは、終始イヤ~な汗をかかされます。小市民丸出しの主人公が、明らかに不慣れな言動や仕草でヤクザの世界に足を踏み入れたり、公安施設に細工をしたりするのだから、見ている側はハラハラさせられっぱなしなのです。『プルーフ・オブ・ライフ』ではプロの傭兵を演じていたラッセル・クロウが、本作では見事に小市民になりきっています。この人の演技が顧みられることは少ないのですが、そこは腐ってもオスカー経験者、このカメレオンぶりは驚異的ではないかと思います。。。 3日というタイムリミットが唐突に設定されて以降の素早い展開も素晴らしいと感じました。主人公の脱獄準備の過程を詳細に描きながらも、具体的な脱獄計画については意図的に触れてこなかったという脚本上の仕掛けがここで有効に活かされ、最後の最後までどう転ぶか分からないというスリルを味わわされるのです。熟練した職人の仕事は素晴らしい、そんなことを再認識させられる映画でした。
[DVD(吹替)] 7点(2014-03-01 02:07:28)(良:4票)
376.  アフター・アース
2000年代には年に何本もの主演作が公開されていたものの、2008年の『ハンコック』以降はそのペースがピタリと止まり、2010年代には『MIB3』にしか出演していないウィル・スミス。見た目は衰えていないので『バッド・ボーイズ』のような役柄もまだまだ行けそうな気もするのですが、当の本人は、40歳を過ぎた実年齢にパブリックイメージをどう合わせていくかで迷っているのだろうと思います。そんな中、自分自身で物語を考え、監督も自身で選任したという本作には、スミスが目指そうとしている方向性が込められているように思います。。。 人類を救った英雄にして軍隊の最高司令官という設定は相変わらずなのですが、その全盛期の活躍は数秒の映像で示されるのみであり、登場場面のほとんどは動けない状態。スミスは、表情とセリフのみでの演技を自らに課しています。従前のパブリックイメージを下地として利用し、人類の英雄という荒唐無稽な設定を観客にうまく飲み込ませているという点は戦略的にうまいと感じたし、その一方で、首から上だけでの演技も、必要なレベルには達していたと思います。本作においては、「若さ」から「成熟」へのパブリックイメージの転換と、高い演技力のアピールという二つのことを同時に行っているのですが、その目的はきちんと達成されているという点では感心させられました。こういうことが出来てこそのスター俳優なのですが、トム・クルーズやブラッド・ピットが10年ほど苦しんでいるこのステップを、たった1作でサラっと流してしまったという辺りに、ウィル・スミスの非凡さが現れていると思います。。。 その犠牲となったのが、息子のジェイデンでした。ウィル・スミスの映画としては悪くない出来だったものの、ジェイデン・スミスの映画としては最悪。彼は終始生意気なガキンチョで、好感を抱かれる要素が皆無なのです。ジェイデン演じるキタイの成長譚という体裁をとっているものの、その点はあまり深堀りされていません。冒頭、キタイは個人としての能力は高いが協調性に欠けるという問題が提示されます。ならば、これはキタイが協調性を獲得する物語とすべきなのですが、結局は個の力を強くすることで危機を乗り切るという、理解に苦しむ内容となっているのです。イヤな奴がイヤな奴のままラストを迎える、これでは観客から嫌われて当然ですね。これを演じたジェイデンには、お気の毒と言うしかありません。
[ブルーレイ(吹替)] 5点(2014-02-27 01:36:37)(良:2票)
377.  スプリング・ブレイカーズ 《ネタバレ》 
ハーモニー・コリン作品ということで当然普通の映画ではないわけで、それなりの心構えをして鑑賞したのですが、それでもかなり退屈させられました。。。 素晴らしい場面はいくつかあります。今やすっかりダサくなったブリトニー・スピアーズをバックに感傷的な場面を撮るというセンスには唸らされたし、会話の場面をモノローグのように見せるという工夫も素晴らしいと感じました。表面的には仲間だ何だと言ってるが、結局は自分をどう表現するかが重要で、他人は眼中にないという若い人達の心理(真理)をうまく突いた映像的表現だなと。全体的な映像美も素晴らしく、光を用いた表現は芸術的なレベルに達しているのですが、マイケル・ベイ作品のようなウザさがあるのもまた事実。全編をトリッキーな映像で固めすぎていて、目も頭も疲れてしまうのです。同じ場面を何度も何度も繰り返す編集にしても、たまにやればこれはこれで効果的だと思うのですが、全編でやってしまうので見ていてイライラしてきます。早く話を進めなさいよと。。。 この映画を見ていて感じたのは、ハーモニー・コリンは青春を楽しめなかった一人なんだろうなということです。乱痴気騒ぎでハメを外しすぎると、警察やヤクザの世界のお世話になるよという、心配性のおばあちゃんみたいな主張が核にあるのですから。作風はド派手でインモラルだけど、中身は意外と古風なのねと、少し微笑ましく感じてしまいました。
[DVD(吹替)] 4点(2014-02-27 01:28:59)
378.  ブリッツ
ジェイソン・ステイサムが刑事を演じるということで、またいつものB級アクションかと思っていたのですが、内容は事前の予想とかなり異なっていました。彼の母国イギリスが舞台ということで刑事も犯罪者も銃を常備しておらず、刃物や棒っきれが主な武器となるという何とも地味なアクション映画となっています。と言うか、アクション映画と呼ぶことすら不適切ではないかと思うほどに見せ場がなく、『トランスポーター』や『メカニック』のような内容を期待するとかなり失望させられます。。。 本作には原作があって、それは映画版でステイサムが演じたブラント刑事と、ホモでインテリのロバーツ警部がコンビを組むというシリーズだったとか。その原作は読んだことがないのですが、恐らくは、男性的すぎる暴力刑事と、中性的なエリート警部が、お互いにないものを補い合いながら難事件に立ち向かうという内容なのであろうと推測されます。一方でこの映画版ですが、そうしたバディものとしての面白さはまったく追求されていません。狂犬・ブラント刑事が抜群の存在感を示す一方で、ロバーツ警部が空気同然の存在感。演じている役者さんは悪くないのですが、ステイサムというカリスマ的な俳優と並べられると、完全に見劣りしてしまっています。彼の存在を際立たせるためのサブプロットでも挿入しておけば良かったのですが、脚本にそうした工夫が一切なされていないために、ステイサム一人で事件を解決したかのような印象を観客に抱かせるに至っています。。。 敵も敵で、かなり小粒。警官を狙うシリアルキラーということでどんな知能犯かと思いきや、過去に自分を逮捕した警官に復讐しているだけという、何ともスケールの小さな男というのがその実体でした。犯人の正体は早々に暴かれ、マスコミを巻き込んだ劇場型犯罪へと発展するという展開は『ダーティハリー』を想起させるのですが、スコルピオと比較しようもないほどチンケな犯人では完全に役不足でした。ステイサムに勝てないことは一目瞭然であり、こんな弱々しい敵が相手では何も盛り上がらないのです。。。 主要登場人物が無闇に殺されていないという点や、本筋と関係ないのにやたら顔を出すキャラクターが何人かいたという点から察するに、本作はシリーズ化の構想があったものと考えられるのですが、第1作がこの出来では、2作目以降の製作は難しいのではないかと思います。
[DVD(吹替)] 3点(2014-02-24 00:43:09)(良:1票)
379.  L.A. ギャング ストーリー
ショーン・ペン演じるヤクザの親分が絶対的権力を振りかざすLAで、「これはいかん」と怒ったニック・ノルティ市警本部長が、はみ出し刑事ジョシュ・ブローリンに特殊部隊を結成せよとの命令を下す!その目的は逮捕ではなく組織の壊滅!ブローリン刑事の下には、ライアン・ゴズリング、ロバート・パトリック、ジョヴァンニ・リビシら良い顔の男達が集まる! この設定、このキャスティングの時点で血が滾りました。これは私の大好物だなぁと。他のレビューワー様もご指摘の通り、基本的には50年代の『アンタッチャブル』なのですが、主人公の刑事が『フレンチ・コネクション』のポパイを彷彿とさせるキャラクターだったり、彼の配下の特殊部隊の設定が『ダブルボーダー』だったり、クライマックスには『リーサル・ウェポン』みたいなサシの勝負があったり、『ダーティハリー』みたいにバッジを捨てるラストだったり、タイトルバックが『L.A.コンフィデンシャル』そっくりだったりと、「なるほど、監督はこういうのが好きなのね」という、何ともわかりやすい作風には好感が持てました。好きなことをやっているだけとは言え、ジャンルの面白さをきちんと抽出した上でひとつの娯楽作を作り出しているという点は、評価に値すると思います。。。 ただし、この手のジャンルに疎い観客までを取り込むレベルには達していないかなと思います。最大の問題は、主人公であるオマラ巡査部長の描写が不十分であったこと。なぜ、彼は身重の妻を危険に晒してまで任務を遂行するのか。また、リスク評価もしない段階で「おりゃ!」と突撃をかけて隊員を死なせるという馬鹿さ加減も何とかならなかったのか。この手の映画を見慣れた観客であれば、彼は暴力に歯止めの利かなくなった男であり、正義という建前を振りかざして暴れているだけの狂人であるという暗黙の設定が飲み込めるのですが、そうでない観客にとっては、リーダーとしての資質に欠けた馬鹿にしか見えないと思います。そうした点をもう少し丁寧に描いていれば、目が覚めるくらいに素晴らしいアクション映画になった可能性もあったと思います。
[ブルーレイ(吹替)] 7点(2014-02-24 00:42:14)
380.  Uターン
面白さという点で言えば、オリバー・ストーン監督作品中でも一、二を争う出来だと思います。開始30分で主人公にとって最悪な状況が完成し、そこから先はひたすらに落ちていく。笑わせ、呆れさせ、適度にハラハラさせながら最悪のクライマックスへと突き進んでいき、その過程では観客をアっと驚かせる展開をいくつか仕込んでおく。スタンダップコメディアン・ジョン・リドリー(後に『スリー・キングス』や『それでも夜は明ける』を手掛ける)による脚本を買い取り、それをストーンがブラッシュアップしていったらしいのですが、気鋭の新人脚本家による若々しく刺激的な部分は残しつつも、自身の熟練した手腕でこれを丁寧にまとめあげる。当時流行していたタランティーノ風のグロい犯罪コメディ映画の一種なのですが、無数に作られた当該ジャンル作品群の中でも、あらゆる点で本作は突出していたように思います。。。 役者の使い方も面白いと感じました。男の中の男を演じてきたニック・ノルティに人として最悪のことをさせたり、瑞々しいアイドル女優だったクレア・デインズと、兄・リヴァーの清純なイメージに引きずられていた当時のホアキン・フェニックスに田舎のバカップルを演じさせたり、ジョン・ヴォイトに分かったような分からないようなことを喋らせたりと、豪華な俳優陣を他では見られない形で使い、かつ、それぞれを適役にしてしまっているのですから、このキャスティングセンスには恐れ入りました。また、ショーン・ペンのカメレオンぶりにも恐れ入るところであり、あらゆる点で見所が多い作品となっています。
[DVD(吹替)] 8点(2014-02-24 00:41:25)
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