21. ピアニスト
確かに評価のむずかしい映画。父親不在の母娘の親密すぎる関係に起因するゆがんだ欲望。ストイックで厳格なピアノ解釈が導く性格破綻。男への嫉妬と殺意が自分にむかって逆流するような終わり方などと分析して、この作品を理解しようとしたり、刺激的な映像をとりあげポルノとして断罪するのも、この監督のわなにはまっちゃうような気がする。 だれだって人にはいえないような欲望をもっている。それを実践しえたのは芸術家としてのエリカの正直さだろう。もっとも、実際にエリカが隣にいたら困ってしまうけど・・・ 5点(2003-12-17 07:59:10) |
22. フロム・ヘル
《ネタバレ》 ジョニーディップの夢は阿片の幻覚なのか予知能力だったのか、ぎりぎりのところでわからなかった。もし前者だったら、ヘザー・グラハムの仕合わせを単に自己満足で夢見ながら薬中で死んでいる悲惨すぎる結末だ。後者なら、なぜ秘密結社が主人公の命を狙わなかった少し疑問。 6点(2003-12-16 19:11:43) |
23. アトランティスのこころ
スティーヴン・キング原作ということで期待して見た。『スタンドバイミー』(少年時代の回想)と『グリーンマイル』(超能力者との交流)の香りをただよわせるが、いずれにしても圧倒的になにかが足りない。 3点(2003-12-16 07:38:27) |
24. 少林サッカー
《ネタバレ》 お騒がせ女優ビッキー・チャオの七変化ぶりが楽しい。一度、彼女が失踪した後どのような幕引きをするのかどきどきしながら見てしまった。少林寺より饅頭つくりの太極拳の方が強いのね。 9点(2003-12-15 17:05:17) |
25. キューティ・ブロンド
LegallyをCuteのクールないいまわしと勘違いしてしまった。 8点(2003-12-15 08:06:19) |
26. ジェネレーションズ/STAR TREK
スポックのいないスタートレックはさびしい。カークを2度殺さなくてもいいのに。 3点(2003-12-15 07:53:40) |
27. スターリングラード(2001)
《ネタバレ》 プライベイト・ライアン風のはじまりで、武器の消耗をさけるため2人に1挺しか鉄砲を支給せず突撃を命じるといった人間を物量としか考えなかった時代の悲惨な戦いを伝えるのかと思ったら、途中から男の嫉妬を描いた作品に堕してしまった。好演していたジョゼフ・ファインズのやくどころにフォーカスすれば、目的のため少年を危険にさらすことさえなんら疑念もいだかない共産主義のエリートが、片思いの女性が即死したと勘違いして、スナイパーの視線に自らをさらしてしまうお話だ。 野営中のジュード・ロウとレイチェル・ワイズのまぐわいも、さほどエロチシズムを感じなかった。ヒロインがやっぱり生きていたという幕切りもなんか物足りない。 5点(2003-12-13 21:50:01) |
28. ブラックホーク・ダウン
戦場のモルヒネを使わない開腹手術のむごさが印象的だった。近年、ハリウッドの戦争映画は短時間の局地戦を克明に描き、ことさらその悲惨さを伝えようともがいている。にもかかわらず、まだ戦争を続けられる国もある意味ですごいと思う。英雄になりたいわけでも、戦争中毒でもない、ただ仲間たちのために戦ったのだ という修羅場をきりぬけた兵士の言葉が、いったい、アメリカ的正義ってなんなんだと考えながら、観客席でみている日本人には、重すぎる。 救出にむかった戦闘車両のUNマークがむなしさを一層はぐらかし、徒歩で町を脱出する兵たちを千人以上もの同胞が殺戮されたのにかかわらず、ソマリアの子供たちが鳥の踊いでも演じているかのように先導しているように見えることが、戦争の悲哀・無意味さをよりいっそうきわだたせてくれた。 8点(2003-12-11 20:12:37) |
29. 息子の部屋
悲しみからたちなおるふとした契機を描いた作品。 身内の不幸を周囲にさとらせず、ミッションを達成する・・・プロジェクトXがうける日本的感性からは、患者に無関心になったり同一視したりして距離がとれず仕事が手に着かない精神分析医はプロとして甘すぎると感じちゃう。 精神科医に視点をおいているので、家族の中でも、主人公が妻や娘よりショックをひきずっているようにしか描かれていない。本来ならば、他の家族のダメージをおもいやるべき立場で、なんとわがままな奴だと思うのも、ぼくが日本人だからかな。 5点(2003-12-07 22:29:26) |
30. 人喰い人魚伝説<TVM>
《ネタバレ》 水槽の中の人魚の造形は違和感なかったが、変身した人魚の女王はグロテスクともよべない陳腐さだけが感じさせられた。「ジュラシック・パーク」で知られるスタン・ウィンストン・スタジオもTVムービィということでずいぶん手をぬいたのだろう。でだしの19世紀の見せ物小屋は雰囲気がよく伝わっていたように思う。ちなみに、この時代、欧州の見せ物小屋では人魚のミイラが大人気で、それをつくったのは日本の職人たちだった。長崎を経由して、密かに輸出されていたのである。 続編がありそうな内容で、元船長の奥さんやカーラ・グギノがなぜ人魚によって妊娠させられたのか、本編を見ていてぼくにはさっぱりわからなかった。 5点(2003-12-06 17:43:06) |