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さめがいさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

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21.  マイ・ブラザー(2009) 《ネタバレ》 
名画座で『ハート・ロッカー』に続いて観ました。『ハート・ロッカー』では現代の戦場で仕事をする(銃を持って戦う・爆弾処理を行う)兵士の姿を見、本作では、アフガニスタンからの帰りを待つ家族の姿を追体験することができます。大人三人の熱演も見ものですが、注目すべきは長女。帰還した父への違和感、目線やしぐさで表現される言葉以前の微妙なニュアンスによる表現がずば抜けて素晴らしく、この長女なしに本作は成り立たないと思えるほどです。命を奪うことにより深く心の傷を負ったトビー・マグワイアの姿から 、兵士という職業は人を殺す覚悟が必要であり、生きて戦場から帰るためには躊躇があってはならないことが伺え知れます。ある命を奪うことで別の命を守る、ということが前提の職業であることを今更ながらに痛感させられました。何度も言って恐縮ですが、この二本立てプログラムは素晴らしかったです。都合4時間ほどの疑似体験ですが、戦争の本質をイヤというほど思い知らされました。パルシネマさんに感謝。
[映画館(字幕)] 8点(2010-12-26 23:20:21)
22.  ロード・オブ・ウォー
貿易商ニコラス・ケイジの生活と意見。弾丸の一生から始まるオープニングは、工業製品のひとつである武器もまた生産者がおり消費者の手に渡り使用されることを明確に語っています。武器はその存在自体が違法である麻薬や薬物と異なり、合法的に輸出されるものとそうでないものがあり、裏舞台にこそ商人が暗躍する余地があるというものです。武器を輸出するなんてトンデモナイ! 死の商人! そうかなぁ。合法的に輸出した農業用トラックの荷台に銃座を付けたら? ラジコンヘリに毒ガスを載せたら? 水食料を「敵」に輸出したら? 手が血で汚れていないと断言できる人はどれだけいるでしょう。ニコラス・ケイジに24時間の足止めを食らわせたイーサン・ホーク? 命と引き換えに武器満載のトラック破壊した弟? 我々は世界を良くするためにどこから始めればいいのでしょうか。この正義漢2人に共感した人は今日から玄関の鍵を開けて生活すべきです。できない? 安心しなさい。あなたにぴったりの護身用スタンガンをお持ちしましたよ。
[DVD(字幕)] 8点(2010-12-26 22:25:01)
23.  長江哀歌 《ネタバレ》 
ダム建設工事が進む長江上流の街をさすらう男女を別々の視点から描いた良作です。高低差のある町並みを静かに追いかけてゆくカメラワーク、ダム建設のために解体されてゆく家屋、汗ばむ男たちの裸体と大河のうねりが絶妙に組み合わさっています。映像の隙間の作り方が素晴らしく、携帯番号を交換するだけのシーンや、扇風機で胸元の汗を飛ばすシーンであっても、思わず見入ってしまう魅力がありました。
[DVD(字幕)] 8点(2010-12-22 22:31:37)(良:1票)
24.  ランボー 《ネタバレ》 
戦場でしか己を見出すことができなくなされてしまった男がアメリカに生まれた悲劇。ベトナム従軍後、NYに戻った『タクシードライバー』のデニーロは幸運だった。都会の多様性が彼を許容したが、田舎町の保安官はその閉鎖性と同質性に長く浸かりすぎているがゆえに、よそ者の中に血の匂いを鋭敏にかぎ分けてしまいます。保安官は長く慣れ親しんだ自分のやり方を強引に押し通そうと山狩りを始めますが、類稀な戦闘能力を持つランボーは、意図せずにして己のフィールドに保安官一派を引きずりこみ、圧倒します。その先天的な、あるいはトラウトマン大佐によって刷り込まれてしまった、ほとんど肉体的反射というものに近い恐るべき戦闘能力でしか世の中を渡ることができなくされてしまった男の悲劇です。「戦闘マシーン」ではない独りの男としてランボーが描かれる、戦友を訪ねる冒頭のシーンと、ラスと、トラウトマン大佐に慟哭するシーンが、強く印象に残る傑作です。
[DVD(字幕)] 8点(2010-12-11 13:42:44)
25.  ミート・ザ・ペアレンツ2 《ネタバレ》 
前作に続いて際どい下ネタと爆笑シーンの連続で、お下品な英語のジョークを知っていて、かつ許容できる人にとっては大満足できる作品です。本作の主役はベン・スティーラーではなく、ほとんどデ・ニーロになっています。前作は、花婿と義父であるベン・スティーラーとデニーロの間に横たわる途方もない距離の隔たりがギャクのネタになっていました、本作はデニーロ夫妻と完全な対を成すホフマン夫妻との家同士の違いが、爆笑の源泉になっています。超コンサバで親バカのデニーロの常軌を逸した行動に目が奪われがちですが、対照的にリベラルなホフマン一家でも、子供への愛情表現は自己満足の変形であるという点では全く同じであり、繰り出されるギャグは全て親バカネタです。この軸がかっちりと押さえられているがゆえに、下品ではあるものの本質を突いたギャクに不快感を覚えず安心して爆笑できる作品だと思います。でもやはり、かなりお下品には違いありません。
[DVD(字幕)] 8点(2010-12-11 13:35:23)
26.  クロッシング(2008) 《ネタバレ》 
描かれるかの地での生活は、元サッカー選手でさえ食べるために炭鉱夫として働かざるを得ず、床に伏す妻のための薬が流通していないばかりか買うお金さえなく、憲兵の監視に怯え収容所で倒れるまで働かされる恐怖と隣り合わせの生活というものです。主人公である炭鉱夫は、中国へ越境して食べ物と薬を手に戻ってくると妻と子に別れを告げ、再会までの道筋が描かれています。非常に特徴的なのが、作中でしばしば降る雨と、天国という言葉です。生き別れた父と子が(妻は死んでしまいます)相手を思うとき、場所を隔てていても同じ雨が降るところにいるのだという希望を持たせるような役割を果たしています。天国という言葉は、収容所で今にも倒れそうな女の子が、天国飢えも痛みもない天国に行きたい、と口にするシーンが際立っています。現実に対して何の希望も持ち得ないとき、死の先に天国という場所を思い浮かべて手を伸ばす姿は何よりも切実です。また、冒頭、中国と密貿易している隣人から渡された聖書の読まれた箇所は、アブラハムが息子イサクを殺す場面です。アブラハムは、息子をいけにえとして捧げよという神の仰せに従い刃を当てようとしたところ、神はひとり子さえ惜しまない彼の信仰の深さに感心し、子孫の繁栄を約束するというエピソードがあります。これををなぞるように炭鉱夫へ試練が降りかかりますが、家族との再会を希望に最善の選択をし中国を経由して韓国にたどり着きます。妻の悲報を耳にした時も、子との再会に望みを託して、神が自分を生かしているのは家族と合わせるためだ、と張り裂けそうな胸を押さえます。しかし炭鉱夫は家族を救うことはできません。試練と運命に従順だった彼に、神は報いなかったのか? この問いの答えは明確に表現されています。この遺体を埋葬した後、子の声が聞こえたかと思うと同時に雨が降ります。子はこの世の存在ではなくなりましたが、土に還り、天にのぼり雨を降らすというふうに。極めつけはラスト。父と子がサッカーをし、それを見守る妻、冒頭で捕らえられた隣人たちや、亡くなった少女たちが河原で休日を過ごす場面が映されます。飢えも痛みもない場所で再び家族で暮らしたいという願いを具現化した場所であり、天国に他ならないのです。そう、これは国を考える映画です。地球上にはあまたの国家がありますが、天国というところは、ひとつしかないのです。
[映画館(字幕)] 8点(2010-12-11 13:07:53)
27.  シャイニング(1980) 《ネタバレ》 
ただのホラーといえばそれまでなのですが、キューブリックが料理するとここまでのものになるとは。オープニング、空撮から美しい自然に囲まれたホテルへフォーカスしてゆくショットから期待が高まり、一介の雇われ管理人から徐々に変貌してゆくジャック・ニコルソンのあくの強い演技も見事にはまっています。静まり返ったホテルの廊下を走る三輪車を後方から撮るステディカムのぶれない画像、絨毯やリノリウムの床などを通過する際に出る車輪の摩擦音、そして停車する際に映る超現実的な映像。突然の大音響と血みどろの映像が主体ではなく、人の内面からにじみ出るものをキューブリック独特の質感とともに映すことに成功した作品といえます。
[DVD(字幕)] 7点(2011-12-18 13:18:20)
28.  ルパン三世(1978)
懐かしいです。小学生の頃、再放送でテレビ版を見ていた延長で本作も洋画劇場で初めて観ました。ルパン好きが高じて原作マンガを集め始めると、単なるドロボーアクションではなく、エロい大人向けの作品であることを認識したものでした。本作もTVアニメ版では難しかったであろうアダルトな雰囲気と、故・山田康雄氏による情感あるルパンとのバランスが絶妙であり、巨大脳ミソが無音で破裂するラストまで楽しむことができました。
[地上波(邦画)] 7点(2011-11-19 15:07:50)
29.  小さな村の小さなダンサー
まさか息子が、厚化粧のうえに上半身裸、パンツ一丁で踊っているとは思わなかったはず。 バレエシーンの作りこみは非常に丁寧でした。 
[映画館(字幕)] 7点(2011-08-20 00:08:39)
30.  レスラー
老レスラー、ミッキー・ロークのよき相談相手として配置された、子持ちのストリッパーの存在が印象的でした。生活のため現役で体を張った仕事をしているが、限界を感じている点で二人は同じ。彼女には夫がおらず、ミッキー・ロークには妻子共に絶縁状態。肉体の限界からレスラー廃業を決意するものの寄る辺ない身を案じた彼女の手引きで、レスラー生活を優先するあまり犠牲にしてきた家族の温かみを再発見。この家族の温もりに自分を見出し廃業の決意を固めるストリッパーは『イヴの総て』のマーゴようであり、命と引き換えてでも、たとえリングネームであっても自分が必要とされている舞台で果てることを選んだ彼は、『サンセット大通り』のノーマのようでもありました。妻は老レスラーを指して「自業自得。こんな父親は絶対イヤ」と言っております。自業自得を引き受ける様を描いたのが本作のポイントなので別にそれでエエやんと思う反面、付き合わされた周囲の苦労、特に娘さんの辛苦が偲ばれます。
[DVD(字幕)] 7点(2011-08-19 23:42:58)
31.  Vフォー・ヴェンデッタ 《ネタバレ》 
ヒーローに救われるべき一般大衆をナタリー・ポートマンひとりに集約したのは、饒舌な「V」の身の上を語るうえで有効に機能している一方、作品世界の広がりを犠牲にしていると思います。近未来、管理社会の英国で生活している一般大衆のサンプルがナタリー・ポートマンひとりでは、彼女だけの特別な事情に目が奪われ、一般大衆の目線が感じらません。カタルシスの掛けどころである終盤、「V」の私怨を晴らすための花火と一般大衆の求める正義の爆破が重なり合い、この2つが同時に炸裂して強烈な映画的快感に身もだえするべきところですが、一般大衆側のたきつけが甘く、「V」の恨み節しか炸裂しないのです。赤と黒の色彩や見応えのあるアクションシーンや物語展開など、アメコミ映画として安心して観られる作品ではありますが、面白くなる要素が散りばめられているだけに欲張って観てしまいました。
[DVD(字幕)] 7点(2011-03-26 13:58:34)(良:1票)
32.  ドラえもん のび太のパラレル西遊記
新ドラえもんが私のドラえもん像とあまりにもかけ離れていたので、口直しに一番よく観た作品を見返しました。これですよこれ。のび太のわがままに付き合い、ジャイアンとスネ夫の間に立つ面倒見のよさがあり、ドラ焼きが好きで、でもちょっと間が抜けているドラえもん。ドラえもんのいるのび太の部屋から、彼の道具によって非日常への扉が開かれ冒険が始まるこの高揚感。パラレルワールドを西遊記という誰でも知っている枠組みを使って子供にもわかりやすく切り取ってみせた見事な作品です(同じ頃に夏目雅子と堺正章の『西遊記』がテレビシリーズで放映されていて、三蔵法師が本当は男であったことを知り驚きました)。また子供にとっての「お母さん」に対するリスペクトに溢れた作品であるというのも素晴らしい。ドラえもんシリーズは本質的にSFであることがよくわかる作品です。ただ子供向けであるがゆえの宿命か、情報量の密度が低いのが痛し痒しなところです。
[DVD(邦画)] 7点(2011-02-27 13:07:55)
33.  シリアの花嫁 《ネタバレ》 
舞台設定をのみこむのに多少時間が掛かりますが、一旦理解してしまえばこれが現実であることに強い違和感を覚えると同時に、映画が作られたことにひとつの希望を見たような気持ちにさせられます。また、花嫁一家のキャラクターがよく立っています。反イスラエル闘争の指導者の父、封建的な夫との関係の変化を望む長女、故郷を離れロシア人女医と子供を設けて8年ぶりに帰郷した長男、貿易商として世界を飛び回っている女たらしの次男、そしてテレビで見たことしかないコメディアンと結婚する25歳の次女。それぞれが家族の問題を抱えていますが、花嫁の踏み出す一歩のように足を前へ出すことで解決への糸口が開けてゆきます。人との間に一歩踏み出すことができるなら国との間も同じ、という時代をすぐそこに。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2011-02-05 22:58:10)
34.  Mr.&Mrs. スミス 《ネタバレ》 
エンターテイメントとして安心観られる良作です。アンジーがSM嬢に扮し仕事を終え、ワイヤーとフックが仕込まれたハンドバッグで高層ビルから一気に降下するシーンは何度観ても唸らされます。降りてくるだけで終わることなく、慌てる様子を見せず続けてタクシーをさらりと呼ぶ演出が実にアンジーにハマっています。これに類した憎い演出が随所にあり、アンジーとブラピの何やってもハマる姿にこちらはただただ唸らされるのみです。アクション重視ですが冒頭から随所に挿入されるカウンセリングシーンが箸休めとして機能しており、バランスの取れた娯楽作になっています。
[DVD(字幕)] 7点(2011-01-29 12:58:07)
35.  ブレードランナー/ファイナル・カット
目を見張るべきは映像の美しさでしょう。30年近く前の作品に対してポストプロダクションでこれだけのクオリティに仕上げられるというのは驚嘆のほかありません。退廃的で雑多な世界観を映像だけで表現しているところに製作陣の尋常ではない意気込みが伝わってきます。ストーリーを追う楽しみというよりこの世界観を堪能しました。ただストーリーはあまりピンときませんでした。私のなかで「レプリカント」という存在がうまく消化できなかったからだと思います。表皮は有機体の皮膚で覆われているものの電気仕掛けで感情の芽生えることのないロボットやアンドロイドではなく、かといって細胞培養によって造りだされ少なくとも命あるものとされるクローンでもない「限りなく人間に近い人造人間」という設定を理解できたのはあれこれネットで調べてからでした。レプリカントが殺される(破壊される)際に流れるのは赤い血であり、金属の骨格は見えず内臓さえ備わっているようにも見えるのはその意図からだったのでしょう。命あるものにすべて終わりが訪れるという台詞も限りなく人間に近い人造人間から、生身の人間に対して放たれた言葉であることを考えると感慨深いものがあります。これらは鑑賞後のリサーチで明らかになったことであり、初見で本作の奥行きに気づけなかったのは私の不徳と致すところです。良く言えば観客の想像力に拠り様々な解釈が可能な奥行きのある作品ということもできますし、悪く言えば製作側の意志不統一により矛盾や難解な部分が生じ、解説を必要とする作品となるような気がします。
[ブルーレイ(字幕)] 7点(2011-01-08 12:06:53)
36.  裸の銃を持つ男
2011年一発目の映画ということでハズレのない作品を妻とチョイスしたのがこれ。小さい頃淀川さんの日曜洋画劇場で観たことを思い出しながら鑑賞しました。齢を重ねたせいか笑えるシーンが増え(ほとんど下ネタでしたが)全編爆笑の嵐でした。所々に「映画のお決まり」をネタにするところもあり、ドアを蹴破ろうとして足が抜けなくなる場面など、映画ってやっぱりうまくいくようにできているものだなぁと思いました。それにしても実に卑猥なタイトルです!
[DVD(字幕)] 7点(2011-01-02 13:00:54)
37.  フォーリング・ダウン 《ネタバレ》 
例えるなら激しく音漏れしている人のヘッドホンを引っこ抜き耳元で「やかましい!」と叫ぶ、携帯電話での情報交換に余念のない人に「車内での通話はご遠慮下さい」と睨みつける、日々感じるストレスに正面から立ち向かい自力(脅し含む)でストレスを解消するイカレクレマーの映画です。電話のための両替を拒む店主にキれ、マクドのモーニングセットを食べるために銃を持ち出し、自分が正当なクレームをつけていることを強調して暴れまわりこちらも応援目線で観てしまいますが、興味深いのが彼もまたキれる他人に出くわすところ。視点を変えれば彼は権利を主張する他人から迷惑を受ける可能性のある一人であり、少し他人よりもクレームの声が高いだけでしていることは同じなのです。皆が感じる些細なストレスがこの映画に充満していて、その熱量がハンパありません。ロバート・デュバルでさえ鬱憤を爆発させるその一人になっています。ただ難点は、衝動的な殺人を犯し一線を踏み越えてしまった際、その背景がうかがえ知れる心理的な描写がなかったところです。この描きこみが明確であれば『タクシードライバー』クラスの映画になりえたかもしれません。
[DVD(字幕)] 7点(2010-12-26 00:12:20)(良:2票)
38.  アイランド(2005) 《ネタバレ》 
序盤は近未来SFの醍醐味を堪能できます。どこにいるのか、何が起ころうとしているのか、何がアリで、何がダメな世界なのか。無機質な一室での朝は私の生涯の一冊である『1984(小説)』を思い起こさせ、期待値は高まる一方。成人体でありながら知能・精神年齢は15歳前後のクローンであるという設定、世間とは隔絶され培養されているという設定もツボど真ん中。しかしながら重厚なテーマを切り捨てただの逃走劇となり果てた中盤以降が残念で仕方ありません。クローンという新たな種から焦点をぼかさず、突き詰めてゆけば傑作に成りえる可能性を秘めていたと思います。
[DVD(字幕)] 7点(2010-12-22 21:55:59)
39.  抱擁のかけら 《ネタバレ》 
さすがアドモバル、本作も安心して見られる良質のドラマ作品でした。自動車事故で死別した恋人との思い出を回想する盲目の元映画監督の、彼女とのなれそめから始まり失明するまでの思い出話です。おなじみの劇中劇や未編集の映画フィルムを通じて恋人に触れたり、読唇術のシーンなど、映画ならではの表現が散りばめられていてアドモバルらしい凝った作りですが、やはり観るべきはペネロペでしょう。あるときは少女のように可憐であり、あるときは炎のような激しさを併せ持つ情熱的な女性が余すことなく表現されています。バルセロナでの喧騒から離れ、旅先のホテルの一室で、ソファで抱き合って映画を観るシーンが非常に印象に残っています。タランティーノのように趣味に走らず、アドモバルにはこれからも良質な映画を作り続けて欲しいです。
[DVD(字幕)] 7点(2010-12-11 14:04:00)
40.  ノーカントリー 《ネタバレ》 
本作のまず素晴らしいところは、音楽が皆無に近いこと。場を盛り立てるために使われる音、場面を切り替えるために使われる音が皆無であり、映像で勝負するという気概が冒頭からビシバシ伝わってきます。大金を偶然拾った多少腕に自身のあるベトナム帰還兵が冷酷無慈悲な殺し屋に命を狙われるという筋書きで、この殺し屋のイカレっぷりが本作の見所です。感情を元に行動しない彼は、自分の目的を達成するため、障害を排除するため、復讐を果たすために殺すのではなく、かといって理性的は判断に基づいて実行するわけでもありません。感情をより所にしないということは自分にとって都合の悪いことも含め、全てを受け入れることであり、銃創を自ら取り除く場面では、痛みさえも受け入れているようです。これは並の人間にはできないことで、それゆえ彼の行動はまったく予測できず、彼が映るシーンは、こちら側も尋常ではない緊張感を強いられます。ただ、静寂を破る突然の大音響が多々あり、ビビリ者としては少々疲れてしまいました。
[DVD(字幕)] 7点(2010-12-11 13:19:18)
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