21. オーロラの彼方へ
これほどひどい邦題の付け方もないだろう。日本では「泣けて感動するっぽい感じ」で宣伝すれば頭の軽い連中が観るとでも思っているのだろうが、そして実際そうなのかもしれないが、良質のSFサスペンスに泥を塗りたくるような真似はやめてほしいものだ。……まあ、それはいいとして。構成があまりスマートでなく、ストーリーの展開にやや強引なところはあるものの、それを補って余りあるアイディアが魅力的な作品。無線越しという限定的な過去への干渉が、段々と30年前の未解決殺人事件に関わってゆく緊張感にワクワクする。おすすめ。 [DVD(字幕)] 8点(2012-12-27 06:12:44)(良:1票) |
22. ズーランダー
純粋に笑いだけで構成された映画。面白い。バカ一辺倒のように見えて、コテコテから変化球まで様々な角度から攻めてくる。「いやいやいやいや!!」って画面に突っ込みながら観よう。 [DVD(字幕)] 8点(2012-12-27 05:53:09) |
23. トレインスポッティング
音楽のように楽しむ映画。「かったりー、イライラする、なんか上手くいかねー。でも全然楽しくないかっつったらそーでもねー。あー、なんだろなあ。どーしろっつーんだコレ」。そんな日常を似たような仲間と過ごした記憶がある人には、ちょっとしたノスタルジーを。今まさにそんな感じでいる若い子には、ちょっとした共感を。そんな作品。アンダーワールドの「ボーン・スリッピー」の余韻が心地良い。きっちりした性格の人にはもしかして向かないかも。 [DVD(字幕)] 8点(2012-12-14 11:54:56) |
24. バッファロー'66
映像面は型破りだが、ストーリーは恐ろしくストレート。最初こそ主人公の行動理念に付いてゆけず戸惑うが、彼の人格を構成する要素が見えてくるにつれ、だんだんと引き込まれてゆく。ピュアな作品。 [DVD(字幕)] 8点(2012-12-14 11:36:07) |
25. 未来世紀ブラジル
ストレートな娯楽作ではないが、かといって見た目ほど難解ではない、案外多くの人が楽しめそうな映画。得も言われぬ不安をレトロフューチャー的な映像で見せ、仕上げにシニカルさをトッピングして、ミントのような後味を残してくれる。オシャレな一本。 [DVD(字幕)] 8点(2012-12-14 11:30:57) |
26. 素晴らしき哉、人生!(1946)
ディケンズの名作小説を思わせる王道的ストーリーを、構成の工夫で上手く料理した作品。現代劇(ただし今となっては半世紀以上前)だが、どことなくおとぎ話的な雰囲気が漂う。面白いというよりは素敵な作品。 [DVD(字幕)] 8点(2012-12-09 14:09:40) |
27. メリーに首ったけ
まとまり過ぎてても物足りない、ぶっ壊れすぎてても疲れる、っていう人におすすめのコメディ。 ちょこちょこ壊しにかかるようで、結局あまりブレずに着地するバランス感覚が良い。 先の展開がまったく気にならないせいか、たまに集中力の途切れそうな瞬間もあるけど、そのへんは登場人物のキャラの濃さで引っ張ってれる感じ。 ネタは概ね下ネタ寄りのお上品、くらいの方向性。 下ネタ好きとしてはもうちょいシモい方面に偏ってくれても良かったんだけど、これでも下品と感じる人はいるだろうし、そのへんは好みの問題か。 [DVD(字幕)] 7点(2013-09-04 20:24:51) |
28. スター・トレック/イントゥ・ダークネス
どこを通ってどう着地するのか分からない、例えるなら蛇行運転のようなストーリーだったが、それがかえって面白かったような気もする。 感心するのは、「スタートレック臭」みたいなものを(よくも悪くも)しっかりと残しながらも、オリジナルをまったく知らないどころか、リブート版の前作を見ていない人間でも問題なく楽しめるように出来ていること。そういう意味ではかなり丁寧な作りといえるのかもしれない。 総じて言えば、けっこう良く出来た派手な娯楽映画という感じ。安牌。 [映画館(字幕)] 7点(2013-09-01 15:12:45)(良:2票) |
29. 21グラム
役者が良い。 中でもベニチオ・デル・トロが良い。もちろんショーン・ペンやナオミ・ワッツも良かったが、彼の場合はそもそも見た目からして、役柄にピッタリとハマっている。まさにハマり役というやつだ。これだけで、この映画は十分に観る価値がある。 また、時として主張しすぎでウザったい要素にもなる手持ちカメラの多用も、この作品では適材として生きていた。 ストーリーは、まあ、まあ、それなり。 時系列シャッフルはあっても無くてもそれほど変わらなかったと思う。いや待てよ、結局あった方が良かったのかな。まあいいか。 意外と雰囲気の重い映画。体力使う。 [DVD(字幕)] 7点(2013-07-08 07:18:18) |
30. ザ・ダイバー
男らしい父親の男らしい想いを受け継いだ男らしい男が、男らしい目標のために男らしく努力する男らしい映画。男性ホルモンを補給したい時にはぜひ。 もちろん女性の登場人物もまったく空気ってわけじゃなく、デ・ニーロの奥さんが親切な親戚のおばさんみたいな感じで良い味のキャラクターだった。 [DVD(字幕)] 7点(2013-07-07 14:51:17)(笑:1票) |
31. バトルシップ(2012)
元気の出ない時に必要な映画は、優れた映画でも面白い映画でもない。元気の出る映画だ。 例えばそう、バトルシップみたいな映画。もっと具体的に言うならバトルシップ。 この映画はひどいものだ。 まずリズムがガタガタだし、ストーリーのラインも同じくらいガタガタしている。 エイリアンの行動理念や背景なんかも恐らく二、三分しか考えられておらず、リアリティのない映画に最低限必要なリアリティすら欠けている。 そういえば登場人物だって二種類しか出てこない。人格に深みがほとんど無いか、全く無いかのどちらかだ。 そもそも、バトルシップゲームの名前だけ使うならともかく、あのルールまでストーリーにねじ込むというのがまともな選択じゃない。 それ以前に、今の子が全然知らない遊び(俺の歳ですら知っているのが奇跡だ)を映画にしようという企画が狂っている。 だが、それでもこの映画には価値がある。 たとえば仕事が上手くいかなくて気分が落ち込んでいる時。長く付き合っていた恋人と別れて虚しい時。不安な時、うんざりする時、ムカつく時。 そういう時、人間が求める映画は何か。 バトルシップだ。 違うかもしれないから念のためにもう一度言う。バトルシップだ。 人間は弱い。ふだん強くても、年に一度くらいは弱ってしまうタイミングがある。 そういう時に備えて、あらゆる人はこの「バトルシップ」のDVDかBlu-rayを本棚やラックに置いておくべきだ。 バトルシップゲームのルールを知らなくても、戦艦や大砲に詳しくなくても、リアーナのアルバムを一枚も持っていなくても問題はない。 バトルシップを楽しむには、せいぜい片方ずつの目と耳があればいいのだ。脳に至っては無いほうが望ましい。 もちろん人の好みはそれぞれだから、もしかしたら「こんなもん買うんじゃなかった」と後悔する人もいるかもしれない。 でも大丈夫、そういう時こそバトルシップを見て元気を出す時だ。 [DVD(字幕)] 7点(2013-06-24 10:27:31)(笑:2票) (良:1票) |
32. Mr.&Mrs. スミス
殺し屋ほどコメディの題材に向いた職種もあるまい。 ストーリーやアクションより掛け合いを楽しむ映画。微笑ましくてわりと好き。 [DVD(字幕)] 7点(2013-04-08 22:38:02) |
33. チアガール VS テキサスコップ
そこはかとないアルバトロス臭のするタイトルとパッケージだが、意外にも古典的なハートフルコメディだったりする。 世代を越えた友情みたいなアレでやがて一緒に事件に挑んだりとかそんなん。 良くも悪くも落ちついて見られる映画。フィルムから何となく現場の雰囲気の良さが伝わってくるところは二重丸。 [DVD(字幕)] 7点(2013-03-30 14:13:38) |
34. ドーン・オブ・ザ・デッド
一言でいえば、走るようになった「Dawn of the Dead」。 ゾンビの身体能力に比例するように、アクションもスピード感が増している。なかなか良いリメイクなんじゃないだろうか。まあ、俺の中に「ゾンビはかくあるべき」みたいな想いがあまり無いからそう思えるのかもしれないけど。 サクッと楽しめるゾンビアクションが見たいならこれ。 [DVD(字幕)] 7点(2013-03-30 04:02:33) |
35. スペル
ホラー映画はプロレスに似ている。 プロレスというのは、決して真剣に見たり、熱中する文化ではない。昔はそうだったのかもしれないが、少なくとも今は違う。もはや誰もプロレスを真剣勝負だなんて思っていないし、やる側も思わせようとしていない。 だが、その上でレスラーは演じ、客は楽しむ。一周回った文化ならではの、独特の楽しみ方で。 ホラー映画も同じだ。多少の差こそあれ、もうホラーを怖がろうとして見る映画ファンは皆無で、作る側もそれを分かっていて、その上で遊んでいる。 だが、映画ファン以外の人に、その楽しみ方の説明をするのは難しい。 どうすればホラー映画の楽しさを分かってもらえるのか? ……そういう時に、この「スペル」みたいな映画は重宝するだろう。 この映画、というかサム・ライミ作品は、現代におけるホラー映画の楽しみ方を分かり易くレクチャーしてくれる優しい教師だ。こういう風に楽しむんだよ、こういう風に笑うんだよ。そんなふうに大人の顔で語りかけてくる。 プロレスの楽しさが分からない人がWWEを見て理解するように、ホラー映画の楽しさが分からない時には「死霊のはらわた」や「スペル」を見て理解するのが良い、の、かもしれない。 べつにピーター・ジャクソンでもいいけれど。 要するにそのテの映画。ババア対ブス。 [DVD(字幕)] 7点(2013-03-26 17:00:55) |
36. トイレの花子さん(1995)
タイトルから察せられるとおり児童向けの映画で、大人が観て面白いとか、つまらないとかいうようなものではない。 ただ、子供向けとしてはとてもよくできている。 これはホラーというより、子供たちの世界を描いたドラマだ。静かな町で起きた「起きてはならないこと」、具体的に言えば児童を狙った連続殺人事件だが、それに対してそれぞれの子供たちがどう反応し、どう動くのか。そしてどう戦うのかが物語のメインになっている。 さわやかな視聴感の残るジュブナイル作品。 [ビデオ(邦画)] 7点(2013-02-22 16:58:35) |
37. スターシップ・トゥルーパーズ
シニカルな一面を持ったバカスプラッタSFアクション。含みのある構成だが、メッセージ性というよりは半笑いで皮肉を言う感じで、いかにもバーホーベンな出来上がり。パワードスーツの要素を省いたのは正解だったと思う。色んな意味で楽しめる一本。 [DVD(字幕)] 7点(2012-12-29 06:22:47) |
38. キング・コング(1933)
ゴリラをデカくするというアイデアだけで有名なのかと思っていたが、思っていたより面白かった。巨大感の表現が秀逸な、よくできた娯楽作。 [DVD(字幕)] 7点(2012-12-29 06:17:15) |
39. アバウト・シュミット
このまま年をとってゆくのが怖くなる映画。主人公が追いつめられていないようですごく追いつめられており、下手なホラー映画より先の展開が不安になった。画面に飛び込んでジジイを抱きしめてやりたくなる。 [DVD(字幕)] 7点(2012-12-29 06:14:34) |
40. モンスター(2003)
善悪や道徳を持ちこむとワケが分からなくなるタイプの映画。あくまで主観の物語。メッセージ(「わたしはこうおもいます」的簡略化)は用意せず、言語化できるほどには消化せぬまま、ジンワリと出来事を描ききる。ガラス越しに水槽の中を見せるような、上手い距離感。なかなか。 [DVD(字幕)] 7点(2012-12-27 05:45:29) |