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ザ・チャンバラさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1274
性別 男性
年齢 43歳
自己紹介 嫁・子供・犬と都内に住んでいます。職業は公認会計士です。
ちょっと前までは仕事がヒマで、趣味に多くの時間を使えていたのですが、最近は景気が回復しているのか驚くほど仕事が増えており、映画を見られなくなってきています。
程々に稼いで程々に遊べる生活を愛する私にとっては過酷な日々となっていますが、そんな中でも細々とレビューを続けていきたいと思います。

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421.  ファイト・クラブ 《ネタバレ》 
デヴィッド・フィンチャーの前作『ゲーム』と同じく、物質的には満たされている独身男性がカルトにハマっていく物語です。『ゲーム』はかなり荒削りな内容でしたが、一方本作はより洗練されていて、映画としては俄然面白くなっています。空虚な毎日に嫌気がさしてはいるが、かと言って反発すべき敵も目指すべき目標も見当たらず、生きている実感を得られない主人公の姿などは、多くの方が共感できるのではないでしょうか。また、社会に飼いならされていた主人公が徐々に常識を逸脱していく前半部分には、爽快感すら宿っていました。フィンチャーによる演出も絶好調で、哲学的な説教を合間に挟みながらも、見事なテンポで話が進んでいきます。これほど深く、かつ見やすい映画も珍しいのではないでしょうか。。。 俳優陣も完璧です。役作りが過ぎてイヤミになりがちなエドワード・ノートンの演技も、本作では適度に抑制が利いていて極めてナチュラルです。一方、ブラッド・ピットは堂々たる存在感。大スター・ブラッド・ピットにしか演じられない役柄を演じきっており、彼のスターオーラが遺憾なく作品に活用されています。かつてのピットは鼻持ちならないアイドル俳優と見られており、同性からの支持はほとんどなかったのですが、本作をきっかけに男性ファンをも取り込み、同世代の俳優の中では突出していたトム・クルーズに比肩する人気を得るに至りました。それほど、本作のタイラー・ダーデンはかっこいいのです。フィンチャーもブラッド・ピットの扱いには慣れたもので、難しいところはノートンにやらせながらも、美味しいところではちゃんとピットを目立つようにしています。この采配は見事なものです。。。 残念なのは、後半があまりに飛躍しすぎるということ。社会からはみ出すだけでは満足できず、社会そのものを破壊しようとするに至っては、共感の度合いがぐっと下がってしまいました。後半では演出のテンポも悪くなるし、タイラー・ダーデンの正体が判明した時点で映画が終わってもよかったのではないかと思います。。。 なお、現在では傑作と評価される本作も、公開時には興行的に失敗し、批評的にも苦戦しました。その時にぶつけられた悪評についてはプレミアム版DVDに付属しているブックレットに評論家の名前付きで載っているので、映画の価値を見抜けなかった評論家達の恥ずかしい言動も併せて楽しむことができます。
[DVD(吹替)] 7点(2013-06-03 22:18:26)(良:2票)
422.  ユージュアル・サスペクツ 《ネタバレ》 
クライムサスペンスとしての硬派な空気作りと同時に、娯楽作としての軽快なテンポも終始維持できており、難解ながらも愛嬌のある映画となっています。ラストでは『リーサル・ウェポン』のような大掛かりな見せ場まで準備されており、非常にバランスの良い映画だと感じました。公開当時にリピーターが続出したのも、本質的に面白い映画だったからこそ。後に巨匠となるブライアン・シンガーの演出は、29歳だった本作の製作時点ですでに完成されていたようです。。。 ただし両手を挙げて評価できないのは、あまりに不可解なオチに納得できなかったためです。「ソゼ=キートン」説を警察と世間に信じ込ませ、みんなが亡霊を追うよう仕向けることがキントの目的だったことは理解できます。しかし、そのために警察の前に姿を現し、挙句に似顔絵まで描かれ、最終的にはニアミスで逃げ切るという幕切れを迎えたのでは、まったく逆効果だったのでは?「今まで披露してきたお話はすべてウソでした」という豪快な語り口は嫌いではないものの、最後の最後で設定に大穴が出来てしまった点は非常に惜しいと感じました。
[DVD(吹替)] 7点(2013-04-18 01:16:44)
423.  セブン
傑作として名高い本作ですが、現在になってあらためて見返してみると、「よく出来た娯楽作止まりの映画」という印象です。公開当時の熱狂を知らない若い世代が本作を観た時に、果たしてこれを傑作と感じるのかどうかは疑問です。。。 本作の脚本を書いたアンドリュー・ケビン・ウォーカーはペンシルベニアのド田舎出身。脚本家を目指してNYに出てくるも、舞い込んでくる仕事は低予算ホラーの手伝いばかりで生活は困窮を極めていました。そんな中、スラッシャー映画の題材として目を付けたのがキリスト教の七つの大罪であり、このネタを足がかりとして、社会に対する個人的な恨みつらみをぶつけていくうちに『セブン』の原型が完成したのだとか。当初はホラーを志向していた作品だけあって、殺人の方法はバラエティに富んでいます。さらには、恵まれないインテリ特有の余計な薀蓄にも溢れており、作品にはなかなかのオリジナリティが宿っています。そして何より素晴らしかったのが、ウォーカーが社会に対して抱く怒りが、作品にドラマ性をもたらしているという点です。普段はホラー映画に出ることのないモーガン・フリーマンやブラッド・ピットが本作への出演を望んだのも、この部分が魅力的だったためでしょう(両者とも、キャリアの初期には貧しい下積み時代を経験しています)。。。 本作の演出を担当したデヴィッド・フィンチャーはサンフランシスコの高級住宅街出身。父親のコネを駆使して17歳で映画界入りし、25歳で自分の製作会社を設立、27歳で『エイリアン3』の監督に抜擢されるという、機会にも才能にも恵まれたキャリアを歩んできました。そんな彼は、持てる技術を総動員してこの企画を磨きあげ、当初はB級ホラーだった本作を、芸術レベルのビジュアルで彩っています。すべての場面が美しく仕上がっており、さらには娯楽映画としての呼吸も整えられ、文句なしに面白い映画となっているのです。ただし、ドラマ部分の訴求力が弱い点が気になりました。サマセットの抱く絶望感やジョン・ドウの抱く怒りがどうにも空虚であり、脚本に込められた思いがうまく映画に反映されていないのです。常に社会の表舞台を歩んできたフィンチャーは、ウォーカーとは正反対の人物。ウォーカーが社会に対して抱く怒りを感覚的に理解できていなかったのではないでしょうか。この点の弱さが、本作のリミッターとなっています。
[DVD(吹替)] 7点(2013-04-17 01:52:59)
424.  388 《ネタバレ》 
タイトルは舞台となる家の住所を示しており、郊外で暮らす平凡な男が恐怖の犯罪に巻き込まれることが本作の内容です。犯人が仕掛けた隠しカメラの映像のみで全編が構成されており、犯人目線で映画が進行するという点が本企画の特徴なのですが、この点においては概ね製作者が意図した通りの効果があげられています。ムダを省きつつも犯罪の全貌を捉えることに成功しているし、犯人はカメラの後ろ側にいるため決して顔が映らないという構図が置かれたことで、犯罪の不気味さがより際立っています。その他にも、不安定な映像が主人公の心理状態を反映していたり、主観映像によってチェイスシーンのスピード感・緊張感が飛躍的に向上したりと、多くの点でこの仕掛けが功を奏しています。主観映像を用いた映画は増える一方ですが、本作はそんな作品群の中でも成功した部類に入ると思います。。。 また、脚本もよく練り上げられています。幸せな日常をコンパクトに描写した後、徐々に恐怖のシチュエーションが出来上がっていくという過程にはスリルがあるし、主人公が焦れば焦るほど犯人の術中にハマっていくという展開の不快度数もかなりのもの。犯人が仕掛けるワナにはこの手の映画にありがちな論理的破綻がないし、被害者側の心理描写にもリアリティがあります。ヴィンチェンゾ・ナタリが製作に関わった成果か、不条理サスペンスとして実にうまくまとめられているのです。。。 【注意!ここからネタバレします】 唯一問題に感じたのは、オチの付け方です。ここまでの完成度で推移しておきながら、オチが「愉快犯の犯行でした」ではガックリきます。謎解きに主眼を置いた作品ではないため必ずしもオチは重要ではないのですが、それにしても納得感の薄い終わり方でした。
[DVD(吹替)] 7点(2013-03-23 03:02:27)(良:1票)
425.  スタンドアップ 《ネタバレ》 
私は男性です。そして、現在のフェミニズムは「男女共生」を越えて「男性蔑視」の領域にまで足を踏み入れているので賛同し難いと感じているし、男女間には厳然とした差異があるのだから、社会においてある程度の棲み分けが発生するのは仕方がないというのが私の持論です。そういった点において、私は本作の主人公と敵対する側にいる人間なのですが、そんな私でも本作には素直に感動できました。とにかく脚本が良すぎるのです。サジ加減を間違えればお節介な啓蒙映画になりかねなかったこの題材を、ここまで見事にまとめてみせた手腕は賞賛に値します。。。 やむにやまれぬ事情でシングルマザーになってしまった、しかも家のローンもある。主人公が高収入の仕事に拘らねばならなかった背景をコンパクトにまとめた序盤から、その仕事ぶりは絶好調です。同様に、主人公以外の登場人物についても各々の背景や行動原理が的確に伝えられており、そのことによってドラマが非常にわかりやすくなっています。全体の構造も戦略的によく練られていて、社会問題を扱いながらも中心はあくまで家族の物語としたことで共感の接点が広がっているし、小難しい法律論を最小限に留めることで混乱が避けられています。「仲間を二人集めることができれば勝てる」という単純な図式にまで裁判を落とし込んでいるのです。さらには、仲間二人を集めることがいかに困難であるかという点も十分に描き込まれていて、最後までハラハラさせられます。閉塞的な田舎を連想させる原題が示す通り、舞台はNYやLAではありません。ひとつの炭鉱が消費し、納税し、職を生んでいる。街全体が炭鉱によって生かされているという状況において、これに戦いを挑むという行為は街全体を敵に回すことと同義なのです。その他、主人公に対するセクハラ行為や悪意あるウワサなどでは心底不快な思いをさせられるし、後半になって意外な人物が味方に加わるという展開には燃えさせられました。娯楽的なツボもよく心得ているのです。。。 唯一の不満は、ラストのまとめ方が安易過ぎたこと。悪意ある証言者を弁護士が汚い言葉で挑発し、証言者はその挑発に乗ってしまうという展開は、さすがに非現実的すぎるでしょう。一連のやりとりに感銘を受けて傍聴者全員が主人公に賛同のパフォーマンスをとるクライマックスも作り物的過ぎて、ここで一気に冷めてしまいました。
[DVD(吹替)] 7点(2013-03-20 02:52:08)(良:1票)
426.  闇を生きる男 《ネタバレ》 
タイトルが示す通り、真っ暗闇の人生の中で孤独に生きる男が、そのとどめとも言える最悪の事件に巻き込まれて破滅へと向かうという、ポール・シュレイダーもかくやという暗い映画です。鍛えすぎてパツパツの体の上に、生気のない顔が乗っかっている男・ジャッキーが本作の主人公。このジャッキーが温厚そうな老人を容赦なく恫喝する場面から映画ははじまり、「これは何事か」と思わされるのですが、その後、ジャッキーがなぜこのような人格になったのかが明らかにされると、この男の悲惨な運命に同情せざるをえなくなります。。。 本作の理解に必要な情報として、牛成長ホルモンとホルモン・マフィアの2点が挙げられます。飼料を節約しながら食肉牛を大きく成長させたり、商品価値の高い赤身部分を増やすことを目的に、欧米諸国では牛にホルモン剤を投与するということが行われていました。しかし、人体への影響が懸念されることから規制の動きが活発化し、欧州では1981年に一切のホルモン剤の使用が禁止されたのですが、これに目を付けたのがマフィア達でした。いまだ合法とされるアメリカから仕入れたホルモン剤を畜産業者に提供し、利益をあげはじめたのです。禁止されている薬剤が密かに使用され、国民の健康を脅かしている。当局はホルモン・マフィアの捜査と食肉汚染の全容調査を開始するのですが、その過程において獣医検査官が殺害されるという事件が1995年に発生します。この一連の流れが、本作のモチーフとなっています。。。 主人公・ジャッキーは、人用ホルモン剤の投与によって成り立っている男です。外部から男性ホルモンを摂取することで男性性を維持し、強いコンプレックスによって攻撃性が定着した彼は、人為的に作り上げた男性性によって破滅へと向かいます。本来の彼はおとなしく、かつ冷静で正しい判断を下す男なのですが(ホルモン・マフィアと関係を持つことにもっとも慎重だった)、男性性をコントロールしきれなくなって起こした2、3のトラブルによって、その人生はどん底へと叩き落とされます。もし、クラブで会った男や自動車修理工に暴力を振るっていなければ、彼は幼い頃からの片思いを成就させて、幸せな人生を送れていたかもしれないのです。主題とドラマを完璧に一致させたこの設定は、本当に見事だったと思います。演技の質も極めて高く、必見のサスペンスドラマとなっています。
[DVD(字幕)] 7点(2013-02-15 13:40:59)
427.  キック・オーバー
“Gringo”とはヒスパニックの人々がアメリカ人を指して使う言葉であり、原題は「そのアメリカ人を捕まえろ」という意味です。このタイトルが示す通り、舞台はアメリカではなくメキシコ。メキシコの巨大刑務所に収監されたアメリカ人犯罪者がサバイバルのために立ち回っているうちに、2大マフィア間の抗争の中心人物になっていくという、クライムアクションとしてはありがちなお話です。ただし、オスカー監督であるメル・ギブソンが脚本を書き、恐らくは実質的な監督権をも掌握して製作された作品だけあって(クレジット上の監督であるエイドリアン・グランバーグは『アポカリプト』で助監督を務めた人物であり、組合の規定によって本作の監督にクレジットされたと思われます)、過去の類似作よりも頭一つ抜きん出た仕上がりとなっています。雑多な登場人物が入り乱れる複雑な内容でありながら、脚本の交通整理が抜群にうまいので大きな混乱をもたらしていないし、グロとユーモアと男らしさのブレンドも絶妙なサジ加減となっています。また、見せ場の数は多くないものの、ひとつひとつの見せ場は面白く作りこまれており、しっかりとした基礎を持つ製作チームならではの安定した仕事が作品のクォリティに大きく貢献しています。さらには、精神疾患を患い、ほとんど引退状態にあったメル・ギブソンが依然としてスターオーラを維持しており、気の良い犯罪者にピタリとハマっています。すべての要素において破綻がなく、完成度の高い作品であると感じました。。。 そして、本作がもっとも光っていたのは、悪名高きエル・プエブリートを舞台として設定したこと。エル・プエブリートとはメキシコに実在した刑務所であり、内部では犯罪者が家族と同居し、自由な商業活動までが行われていました(通常の商店のみならず、麻薬や売春関係も堂々と営業していたとか)。刑務所内での待遇は金で買うことが可能であり、さらには犯罪者同士の殺し合いも日常の光景だったようで、これはもはや現実世界の『ニューヨーク1997』。2002年に刑務所の破棄が決定した際には軍隊までが動員されたという、まさに悪の巣窟だった場所です。こんな場所が今の今まで映画のネタにされていなかったことが驚きですが、本作ではエル・プエブリートが影の主役としての機能を果たしています。とにかく、このありえない環境が面白すぎるのです。
[DVD(吹替)] 7点(2013-02-15 13:39:53)(良:1票)
428.  遊星からの物体X ファーストコンタクト
全米での度重なる上映延期、そして、その全米公開から1年も空けての日本公開というあんまりな扱いを受けた本作。古典のリメイクは興行的にも内容的にも失敗するケースが圧倒的に多いため、本作についても失敗作なのだろうかと思っていたのですが、これが意外な程よく出来ていました。映画とは、自分の目で観るまではわからないものです。現在では傑作とされている82年版だって、公開当時には「ハワード・ホークスの名作に泥を塗る駄作」などと言われていたわけですから。。。 『遊星からの物体X』の前日談という設定にはなっているものの、その内容は82年版を忠実になぞったものであり、実態はリメイクであると言えます。『ニューヨーク1997』と『エスケープ・フロム・LA』のような関係でしょうか。82年版を上回る要素は少ないものの、同等のものはきっちりと作ってきているので、あの世界にまだまだ浸りたいという方には最適な映画だと思います。疑心暗鬼のサスペンスや飛び上がるようなショックシーンなど、必要なものはすべて揃っています。82年版と同じ雰囲気を作るためにCGは極力排除し、わざわざ機械仕掛けのモンスターを製作したという気合の入れよう。機械の動きがあまりに滑らかで、CGに見えてしまっているのはご愛嬌です。
[ブルーレイ(字幕)] 7点(2013-01-29 01:03:07)(良:1票)
429.  デイブは宇宙船
地球を滅ぼすことを目的にやってきたエイリアンが、華やかな文明や心優しい人々に触れる中で意識を変えていくという、もう何度観たかわからない程の定番ストーリー。最初から最後まで王道を貫き、まったく予想を裏切らない脚本は陳腐にも程があるし、細部へのこだわりがゼロなのでSF映画としての見所もありません。異文化間でのコミュニケーション・ギャップを笑いにしようとしているのですが、ニル星人が地球人と大差のないメンタリティを持っているため、こちらでもあまり盛り上がりません。挨拶等の形式面で戸惑う以外は、さほど大きな問題もなく話が進んでしまうのですから。。。 以上、脚本・演出面ではメタメタの映画なのですが、唯一、エディ・マーフィのパフォーマンスには目を見張るものがありました。80年代に大成功した反動から、ここ10年はすっかり落ち目と見られているエディですが、この人は本当に巧い人だということが本作を見ればよくわかります。得意のマシンガントークは封印し、表情や動きだけで笑いをとらねばならないという難役ながら、これを完璧にやりきっているのです。世界中探しても、これだけ出来るのはエディくらいではないでしょうか。主人公をエディが演じたおかげで、この映画は救われました。彼の高いパフォーマンスだけで、映画が充分に成立しているのです。監督や脚本家が独自の創意工夫をしなかったことすら、結果的には吉と出ています。エディもいい歳ですが、まだまだ若手のコメディアンには負けないパワーと技術を持っているようです。欲を言えば、下條アトムの吹き替えで見たかったなぁ。
[DVD(吹替)] 7点(2013-01-29 01:01:59)
430.  ラスト、コーション
枢軸国の占領地域を舞台とした潜入スパイものであり、過激な性描写をハイライトとし、さらには敵・味方を越えた男女の情念が交錯する物語。ポール・バーホーベン監督の『ブラックブック』と非常に酷似した概要を持ちながら、なぜこうも違うのかという程にまったく別の作品となっています。これが作家性というものなのでしょうか。。。 二転三転するストーリーを畳み掛けるような勢いで繰り出した『ブラックブック』に対して、本作は一直線に進む物語をじっくりと、ひたすらにじっくりと描きます。バーホーベンのやり方と明確に違うのが刺激的な描写を極力抑えているという点で、トニー・レオン演じるイーの日常の姿をまったく映さないということに、アン・リーの個性を感じました。イーは中国人でありながら日本の傀儡政権の重鎮を務め、同胞の拷問や処刑を主な職務とする人物。極端な言い方をすると、人殺しが彼の仕事なのです。イーは職務から相当なプレッシャーを受けているらしく、人格の維持すら困難な状態となっています。普段はクールに振舞って個性を消しているものの、チアチーとの密会の折に素顔を覗かせる場面では、同一人物とは思えないほどの感情の振れ幅を見せるのです。もしバーホーベンであればイーの人物像に関心を持ち、彼の残酷な日常を克明に描写しようとしたはずですが、アン・リーはあえてこれを隠しました。彼はあくまでチアチーの見たもののみを描写することに拘り、視点を分散させなかったのです。このバランス感覚こそがアン・リーの良さなのですが、同時に面白みのないところでもあります。彼の映画は良くも悪くも官僚的で、破綻なく丁寧にまとめられてはいるものの、全体のバランスを崩してでも描きたいものがないので面白みに欠けます。もう少し遊びがあればグッと面白くなったはずなんですけどね。
[ブルーレイ(吹替)] 7点(2013-01-26 22:04:02)
431.  センチュリオン
『ドゥームズ・デイ』でやりたい放題やった挙句に赤字を出してしまい、各方面からお叱りを受けたニール・マーシャルですが、後続の本作では心機一転、個性を殺してマジメにお仕事なさっております。。。 序盤の目玉である「ローマ第9軍団出動→不意を突かれて壊滅」の展開はなかなかの迫力と面白さで、小っちゃいリドリー・スコットとも言える素晴らしい演出を披露。1,200万ドル程度の小規模作品とは思えないほどの見せ場を楽しむことができました。基本がしっかりしている監督は、こういう丁寧な仕事ができるので有難いのです。ただし、大きな合戦があるのは序盤のみであり、以降の展開は生き残った7人の兵士による将軍奪還作戦、及び、敵陣からの脱出作戦。思わぬ裏切り者が現れたりと、古代版『荒鷲の要塞』みたいな話になってきます。ここでいきなりスケールが小さくなってしまうのでガックリくるのですが、映画の出来自体は引き続きしっかりとしています。きちんとノンストップアクションになっているのです。ラストの決戦シーンのショボさには再度驚いてしまいましたが、それでも大自然を活かしたアクション、美しい撮影と激しいゴア描写等、マーシャル監督本来の持ち味が活かされているのは、前半よりも後半パートの方だったと思います。水準作ではありますが、観るべき点は多い映画だと思いました。
[DVD(吹替)] 7点(2013-01-18 01:15:41)
432.  るろうに剣心
一応はどんぴしゃの世代なのですが、なぜか一度も触れてこなかった作品であるため原作もアニメも未見。登場人物も設定もよく知らないという真っ白な状態でこの実写版に挑んだのですが、これが意外な程よく出来ていて驚きました。。。 まず感動したのが、マンガから抜け出てきたようなキャラクター達の完成度の高さ。佐藤健や吉川晃司の演技はそれほどうまくはないのですが、彼らが本質的に持つ個性をうまく活かすことにより、演技の巧いプロの俳優には出せないような特有の味、常人離れした存在感を出すことに成功しています。場面によっては、彼らのヘタさ加減までがキャラクター造形に反映されており(例:剣心の語尾の「~でござる」の取ってつけたような不自然さ)、このキャスティングと演出は完璧だったと思います。本作の監督を担当した大友啓史氏は、長年NHKでドラマの演出をやってきた人物。必ずしもプロの俳優が主演を務めるわけではないテレビドラマの世界で活躍してきた大友氏だったからこそ、タレントの長所を的確に捉えた演出が出来たのでしょう。。。 そして凄いのが、アクションの充実ぶり。乾いたバイオレンスではないド派手な娯楽アクションとは、邦画界が長年に渡って不得手としてきた分野。そんな鬼門に挑み、これ一本で世界レベルに追いついてしまった本作スタッフの仕事は驚異的だったと思います。マンガらしい派手さはあるが、やりすぎとなる一歩手前で踏みとどまったバランス感覚、感情が高ぶったところで見せ場を投下するという間の取り方なども見事であり、アクション大作としては期待以上の仕上がりでした。。。 問題点ですが、この内容にしては上映時間が長すぎるために中弛みが発生しています。ドラマパートを簡潔にまとめ、120分程度に収めるべきでした。また、原作にある基本設定だから仕方がないとは言え、剣心が人を斬らないという大原則は活劇の勢いを著しく奪っています。人斬りだった過去の凄惨さをより強調する等、この弱点を克服するためのうまい方便を捻り出して欲しいところでした。最後に、佐藤健が武井咲を抱きかかえるラストは、どうしても前田敦子を連想して笑ってしまいます。
[ブルーレイ(邦画)] 7点(2013-01-08 16:59:27)
433.  ザ・レッジ -12時の死刑台- 《ネタバレ》 
「リブ・タイラーが脱ぐ!」という煽りのみに釣られてDVDをレンタルし、ロクな予備知識もなく鑑賞したのですが、これが正解でした。ソリッドシチュエーションスリラーの体裁をとりながらも、実はスリラーを意図して作られていない本作。DVDジャケットから受ける印象を期待して観ると確実に裏切られるのですが、その一方で本筋の内容はなかなか深淵なものであり、配給会社によるヘタな宣伝に惑わされなければ、きちんと楽しめる作品となっています。。。 脚本・監督を担当したのは、サスペンスドラマの佳作『ニューオーリンズ・トライアル』で知られるマシュー・チャップマン。本作においても『ニューオーリンズ~』同様の抜群の構成力を披露しています。何の前フリもなくいきなり事件が発生し、その後の回想により薄皮を剥がすように登場人物達の素性や事件の背景が明らかになっていく前半部分は圧倒的な面白さに包まれているし、一見すると無関係に思えるテーマとシチュエーションを見事に一致させた構成力にも恐れ入りました。ドラマパートの出来も上々であり、リブ・タイラーに15年ぶりのヌードを決意させただけの脚本力は確かに実感できました。。。 問題に感じたのは、本作が投げかける難問について、監督自身が答えを出してしまっているという点。アメリカの銃社会を批判し、それに対して脱法行為をとる市民運動家をヒーローとして描いた『ニューオーリンズ~』を見れば分かる通り、チャップマンはバリバリのリベラル。そんなチャップマンは、信仰の不寛容を描いた本作においてはキリスト教原理主義をかなり厳しく批判しており、最終的には「信仰を捨てましょう」という結論に至ってしまっているのですが、本作の主張は観客に対する問題提起に留めておくべきでした。なぜなら、信仰が持つ良い部分を無視し、形式主義的で不寛容な部分だけを論って「信仰とは害悪である」と断罪する行為こそが、まさに不寛容そのものだったからです。言ってることとやってることに矛盾が生じてしまっているという市民活動家的な弱さがドバっと出てしまったラストによって、映画は説得力を失ってしまいました。
[DVD(字幕)] 7点(2012-12-24 00:59:17)(良:1票)
434.  ブロンソン
トム・ハーディのカメレオンぶりが凄すぎます。それは役作りや肉体改造が凄いというレベルを超えてしまっており、もはや完全に別人。『BLACK&WHITE』や『裏切りのサーカス』を見ればわかる通り、本来、この人はかなりの二枚目なのですが、本作ではそんなイケメンの面影が完全に失せてしまっています。全盛期のデ・ニーロをも超える程のなりきりぶりには恐れ入りました。本作がきっかけでハーディはブレイクし、今や2代目マックス・ロカタンスキーを任されるまでに成長しましたが、本作での演技を見れば、評価されて当然の俳優であることがよく分かります。。。 ハーディと同じく、現在では売れっ子となったニコラス・ウィンディング・レフンによる演出も絶好調です。コメディにもシリアスにも寄りすぎない独特の温度感を終始維持できているし、高い映像センスによって「目で楽しませる映画」にもなっています。『時計じかけのオレンジ』とも『ナチュラル・ボーン・キラーズ』とも違ったスタイルの犯罪者映画を確立しており、今後、本作が犯罪者映画の新しいひな形になる可能性もあります。。。 以上、演出と演技のレベルの高さは大きく評価できるのですが、全体としては「傑作になり損ねた映画」という印象です。モンスター級の犯罪者の生き様が描かれるのみで第三者の視点がまったく存在していないため、映画と観客との間にあるべき共感の接点が出来上がっていないのです。監督と俳優の技見せ映画としては大いに楽しめますが、残念ながらドラマとして得られるものはそれほど多くありません。
[DVD(字幕)] 7点(2012-12-14 12:08:43)
435.  王妃マルゴ
フランス映画史上最大規模で製作された歴史大作ですが、大規模な合戦や巨大セットによる分かりやすいスペクタクルではなく、歴史の完全再現に予算のほとんどを費やしている辺りがなんとも大陸風。一つ一つの場面が異常なこだわりをもって作られているので、画面を眺めるだけで楽しめる作品となっています。フランス映画界が誇る俳優陣をズラっと並べた豪華キャストも壮観であり、彼らの演技合戦も大きな見所となっています。。。 一方内容の方ですが、外国人である我々にとってはかなり不親切な作りとなっています。まず、登場人物の紹介場面がありません。フランス人なら誰もが知っている人たちなので、今さら説明するまでもないのでしょう。また、話が飛び飛びとなっていてドラマがうまく繋がっていません。観客が物語を脳内補完できることが前提となっているためでしょう。私は30分ほどWikipediaを熟読して本作に挑みましたが、ここまでの準備を要求される映画をどう評価していいものかは悩みます。フランス人目線であれば8点、日本人目線であれば6点という印象なので、その間をとって7点とさせていただきます。
[DVD(字幕)] 7点(2012-12-04 01:37:34)
436.  裏切りのサーカス 《ネタバレ》 
非常にややこしいという評判は聞いていたので事前に粗筋を確認、さらには人物相関図を手元に置いてこれを眺めながら鑑賞を進めていくという重装備で臨んだのですが、ここまでの準備をしていればさすがに映画の理解はスムーズに運ぶもので、この苦み走った大人のサスペンスを存分に楽しむことができました。銃撃戦もカーチェイスも熱い舌戦もなし、ひたすらに淡々としたドラマが続くだけなのですが、これが異常なまでに面白いのです。役所から文書一枚持ち出すだけでひとつの見せ場を作ってしまうのですから、この監督の演出力の高さには驚かされます。また、国際的なスパイ戦争を舞台としながらも、非常にパーソナルな着地点を設けてみせた意外性ある構成も面白いと感じました。硬派な官僚ドラマとドロドロの愛憎劇をうまくブレンドしてみせた脚本家のバランス感覚は非常に優れています。。。 以上、大変に満足のいく鑑賞ではあったのですが、やはり気になったのが本作の不親切さ。各キャラクターの紹介場面は一切なしのままいきなり本筋が始まり、キャラクター達はコードネーム、ファーストネーム、ファミリーネームの3通りの名前で呼ばれます。現在、ちょっと前の過去、随分前の過去の3つの時系列を舞台としながらも、服装やメイク等で視覚的な変化を付けるようなことはしていません。おまけに、死んだとされていた人物が実は生きていたという展開がサラっと流されたりするので、予備知識なしでの鑑賞はほぼ不可能という壮絶な状態となっています。巻き戻しのできる自宅での鑑賞ならともかく、一度でも遅れをとった時点で即終了という映画館での鑑賞は、もはや自殺行為。映画館での鑑賞を想定していない映画を評価していいものかと悩んでしまいます。。。 考えてみれば、本作の主要キャラクターは10名程度。実は007やミッション:インポッシブルよりも少ない人数しか動いていないのです。いくらでもわかりやすく作れたであろう話なのに、それをわざわざ複雑に撮った理由が理解できません。
[DVD(吹替)] 7点(2012-11-15 01:45:39)
437.  コン・エアー
90年代を代表するバカアクション超大作。長年のパートナーだったドン・シンプソンと死別後、ジェリー・ブラッカイマーが単独で仕切ることとなった初の大作であり、本作はブラッカイマーにとってキャリアの分岐点となった作品でもあります。『クリムゾン・タイド』や『ザ・ロック』の頃にはまだ企画力で勝負しようという姿勢のあったブラッカイマーですが、本作以降は完全にB級バカ街道を突っ走ることとなるのです。。。 とはいえ、B級路線であってもマジメに仕事をすることがブラッカイマーのエライところで、基本設定のバカさ加減を除けば、意外なほど丁寧に作られている映画でもあります。この手の映画にありがちなご都合主義(なぜか現場に居合わせる主人公、戦いが終わったところで都合よく駆けつける警官隊etc…)がほとんどなく、すべてのイベントについては事前に理由付けがなされています。登場人物は多いものの埋没したキャラはおらず、全員にきちんとした個性が与えられている点でも感心しました。VFXの完成度は非常に高く、現在の目で見てもアラがほとんど見当たりません。同時期に製作された『エグゼクティブ・デシジョン』や『エアフォース・ワン』にミニチュアやCG丸出しの場面が散見されたことを考えると、このクォリティは驚異的だと思います。キャスティングはかなりの邪道で、ジョン・キューザックを除けばブサイクなおっさんばかり。当時のニコラス・ケイジは大作に主演するクラスの俳優ではなかったし、コンエアーに乗り込む唯一の女性はヒスパニック系の微妙なおばさん。普通の映画であれば、このふたつの役柄くらいは美男美女で固めてくるところなのですが、そういった王道は完全に外してきているのです。そして、こんなにもヘンテコなキャスティングで映画を成功させたわけですから、ヒットメーカーとしてのブラッカイマーの勘の良さは相当なものだと思います。
[ブルーレイ(吹替)] 7点(2012-11-10 15:36:54)(良:2票)
438.  リービング・ラスベガス 《ネタバレ》 
初見は高校時代ですが、当時はこの映画の良さがまったく理解できませんでした。ひたすら淡々とした内容だし、主人公が当初の予定通りに死を選ぶ展開にも納得がいかず(大事な人が出来たのなら、うだうだ言わずに人生やり直せよ!)、本作はそのまま忘却の彼方へ。しかし、最近になって何気なく再見してみると、幸か不幸かこの映画に深く感動できるようになっていました。いまだに中学生感覚を引きずっている私ですが、一応は人生を重ねてきているようです。。。 物事で大きく躓いて、努力すればまだ巻き返せるのかもしれないけど、肝心のガッツが残っていない。できることなら何もせずにこのまま消え去ってしまいたいという心境、社会人をやっていれば一度や二度は味わうものです。この映画がリアルだと感じたのは、絶望の底にいる主人公が、人や社会をまったく恨んでいないということです。会社からクビを言い渡された時の上司との会話が特に印象的で、主人公は怒鳴ったり取り乱したりせず、礼儀正しくお礼を言って職場を出ていくのですが、真っ白になった人間というのは往々にしてこういうものです。何かを恨み、怒るだけの余力がある人間は、まだ何とかなるのです。。。 その後のラスベガスでの展開は、ある意味では男の夢です。大人としての責任をすべて放棄して、体が壊れるまで好きなことをやり続ける。でも一人じゃ寂しいので、最後の時を一緒に過ごしてくれる恋人は欲しい。そんなわがままが実現されるのですから、私は爽快感すら感じました。一方、その相手となる女性にとっては地獄絵図です。愛する人が死にゆく様を見ているしかないのですから。その点、この女性も主人公同様に絶望の中にいて、死ななければやっていられないという心境を理解できている、だからこそ彼の自殺を受け入れてやれるという設定は非常に合理的だと感じました。まさに昭和枯れすすきの世界なのですが、そんな世界をセンスある楽曲でデコレーションした監督の手腕も見事でした。
[DVD(吹替)] 7点(2012-11-07 00:14:29)(良:2票)
439.  エクスペンダブルズ
映像技術の発展によって俳優がアクションを演じることが容易になり、トム・クルーズやジェレミー・レナー、リーアム・ニーソンといったイケメンや演技派がアクション映画の最前線に立っているという昨今(並べてみて気付いたのですが、なぜか全員アイリッシュ)、筋肉のみに特化したアクション俳優は急速に活躍の場を失いつつあります。そんな状況で立ち上がったのが『ロッキー』と『ランボー』の最終作を連続して成功させたスタさんであり、もはや世界で彼にしか為しえない1億ドルバジェットの筋肉祭りを開催しています。商業的な計算もあるにはあったと思うのですが、それ以上に強かったのはファンを喜ばせたいという思いであり、同業者に活躍の場を与えて再びこのジャンルを盛り上げたいという願いだったように感じます。実際、女に惚れて判断を誤ったり、敵に捕らえられて仲間に助けられたりといった損な役回りはスタさんが積極的に引き受けており(裏切り者役でメインの戦闘に参加できなかったラングレンも同様)、ベテラン勢が現役勢のために美味しい見せ場をお膳立てしてやるという配慮には、なんだか胸が熱くなりました。。。 内容は良くも悪くも80年代風。中米の小国で特殊部隊が大暴れという何とも『コマンドー』な設定の下、我らがエクスペンダブルズがロクな作戦もなしに「おりゃ!」と暴れて一国の軍隊を殲滅してしまうという、リアリティのかけらもないお話しとなっています。戦場で仁王立ちでもまったく弾の当たらないエクスペンダブルズに対し(どこが消耗品なんだ)、敵は気持ち良い程バタバタと倒れてくれます。直前に『ランボー/最後の戦場』という最先端のアクション映画を撮っているという背景から考えて、本作における偏差値の低さはスタさんが意図したものであり、これは80年代アクションを懐かしむおっさんの為だけに作られています。金曜ロードショーに育てられた私は、もちろんハートを打ち抜かれましたとも。バカって最高! ただし、問題もあります。これだけのメンバーを集めたエクスペンダブルズに対して、敵がジュリア・ロバーツの兄貴では見劣りしすぎ。マチェーテの敵にセガールを持ってきたロドリゲスの判断を見習ってほしいところです。また、ウィリスとシュワルツェネッガーという宣伝の時点で大フィーチャーされていた大物が1シーンしか出てこないのも、なんだか詐欺に遭ったような気がしました。
[DVD(吹替)] 7点(2012-10-21 00:19:17)(良:1票)
440.  ミーン・マシーン 《ネタバレ》 
『ロンゲスト・ヤード』のリメイクは本作の他に2005年のアダム・サンドラー版も存在していますが、完全にコメディだったサンドラー版と比較すると、本作は笑いと男らしさのバランスが優れていると感じました。ガイ・リッチー&マシュー・ヴォーンのコンビは相変わらずの安定感で、一筋縄ではいかないキャラクター達が入り乱れる物語をコンパクトにまとめてみせています。主人公を演じるヴィニー・ジョーンズは元プロサッカー選手というだけあって説得力が違うし、まだ主役クラスの俳優ではなかった当時のジェイソン・ステイサムを曲者キャラとして絶妙な位置に立たせるというキャスティングも気が利いています。物語には適度な波乱もあって、最初から最後まで十分に楽しむことが出来ました。。。 ただひとつ問題に感じたのは、囚人チームの力量は看守チームを凌駕しており、序盤から試合を制していたのは囚人チームだったという点です。圧倒的に強い相手を倒すことこそがこの手の映画のカタルシスなのですが、あえてそのセオリーの逆を選んだ本作の変化の付け方は、あまりいただけませんでした。所長の脅しにビビった主人公がチームを窮地に追い込むという展開などは最悪であり、このためにラストがスッキリしないものとなっています。
[DVD(吹替)] 7点(2012-10-19 00:23:49)
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