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ユーカラさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

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481.  アメリカン・スナイパー 《ネタバレ》 
始まって早々に、今どき流行りの時間の巻き戻しが入る。 幼少期の父親の薫陶であったり、ライフル体験であったり、9.11への義憤であったり。 これが結果的には、今そこにある主人公に対する弁明・釈明ともなり得てしまう。  従来の監督なら、回想による生い立ち説明などには依存せずに あくまでも現在の人物の言動で提示しうる範囲でもって人物を描写したのではないか。 「スナイパーはスナイパーだから狙撃する。」と。 そうした「古き良き」簡潔さを許さぬのが映画の現在であり、 実話ものの制約・しがらみなのだろうが、 この隙もまた本作をめぐるイデオロギー論争を助長させたように思える。  ともあれ、本作での銃撃や着弾の即物的音響は生々しく尾を引く。 白いシーツの翻る、視界不良の屋上空間では、尚のこと音の恐怖が倍増する。 帰国後の主人公を苛むのも、ドリル音や子供の泣声など、視覚以上に聴覚的記憶のほうであり、 携帯電話から響く戦場の音も、現場が見えないだけに主人公の妻を恐怖させる。 エンディングはそこからの開放でもあろうか。
[映画館(字幕なし「原語」)] 7点(2015-07-05 20:44:27)
482.  トイレのピエタ 《ネタバレ》 
口跡の良さで女優を選ぶ、と語ったのは鈴木則文監督だが、 本作での杉咲花もその声の響きが何よりの特長で、 病院での出のショット、同じくラストでの登場もまずオフからの 彼女の甲高い声が画面に響く。  走り、泳ぎ、自転車を漕ぐ彼女の躍動的なフォーム、 病んだ男たちの泳ぐ視線とは対照的に真っ直ぐ覗き込むような眼にも力がある。  野田洋次郎とリリー・フランキーが語り合う、 白シーツ揺らめく病院屋上シーンの曇天は狙ったものか、たまたまか。 いずれにしてもそうした天候のメリハリも、杉咲とのプールシーンや田舎のシーンの晴天と風を際立たせるのだが、 ここでの野田のアップと涙のショットや、宮沢りえの台詞過剰は、 やはり甘いのではないかと思う。 リリー・フランキーの撮った動画映像も、主人公の死後にだけ見せる形にしたほうがすっきりして より効果的だったのではないか。
[映画館(邦画)] 7点(2015-06-25 23:58:08)
483.  マッドマックス 怒りのデス・ロード 《ネタバレ》 
なぜ『2』かといえば、それが最も『駅馬車』的、即ち最も西部劇的だからだろうか。 近未来ものでありながら、狼煙としての発煙弾、砂嵐や土埃、 塩湖や奇岩や峡谷のスペクタクル、投擲と銃砲による襲撃などなど、 原初的でアナログな西部劇の風情が新鮮な魅力となっている。  (ついでにブルーの『アメリカの夜』(day for night)の魅力も加えておこう。)  原初的というなら、一台のビークルの構造をとことん使いこなし車上を動き回るアクションや、 メカニックを自壊させていくアナーキーぶりは『キートンの大列車追跡』や『マルクスの二挺拳銃』に遡ってもいい。 竿の反動を使った良きアナクロアクションなどは特に楽しい。  序盤の残念なコマ落としアクションではこの先どうなるかと不安になったが。
[映画館(字幕なし「原語」)] 7点(2015-06-24 23:58:09)
484.  チェチェンへ アレクサンドラの旅
装甲車内で静かに銃を構えるガリーナ・ヴィシネフスカヤ。 マーケットで、値段を聞く彼女を無言で睨む青年。  そのような、寡黙さの中にさりげない凄味を秘めた眼のショットの数々があって シンプルな物語にすんなり収まらない引っ掛かりを残していく。  一方では、駐屯地の宿舎で彼女に振舞われるそば粥やサラダに添えられた 花瓶の花もまた、映画に慎ましく美しい印象を付与する。  乾いた昼間シーンから一転、夜間シーンの湿った幻想性がソクーロフらしい。
[DVD(字幕)] 7点(2015-06-16 00:06:12)
485.  予告犯 《ネタバレ》 
中盤の、路地裏から用水路へ至る追走劇などが映画ならではの ロケーションと走りのアクションで頑張っている。  生田斗真を追って水路に入ろうとする戸田恵梨香が一瞬のためらいを 見せる。その引っ掛りのショットは、別箇所の周到な台詞の伏線とも リンクしながら後の彼女の「水面」のフラッシュバックへと繋がっていくわけだが、 その彼女の生い立ちを仄めかす回想も橋と少女とランドセルの落書きのショットで示唆するという、 寡黙で簡潔な語りが実にスマートだ。  動機や説明や回想の類をどうしても必要とする物語だが、後半もさほど失速させずに2時間におさめられた のは、そうした過不足ない語りの聡明さにもよる。  投棄現場詰所の蒼い光の中、抱く・抱かれる「友達」二人のショットも 十分に説得的で感動的だ。  ネットを始めとするメディア画面も『白雪姫殺人事件』よりも 熟れてきた感じで、携帯端末画面の有効な使い方も巧い。  荒川良々の反則的な涙にも癪だがやられた。
[映画館(邦画)] 7点(2015-06-07 19:46:25)
486.  ラン・オールナイト 《ネタバレ》 
一筋縄ではいかない両儀的なキャラクター同士の取り返しのつかない対決。 遠方に雷光が走る繁華街の夜景や、黒・青・白を基調とした操車場の硬質なロケーション、 走る車窓を滲ませる夜の雨などとともに、結部を冒頭に持ってきて回想形式で語る ノワールスタイルが運命論的な憂愁を終始纏いつかせる。  逆にそうした不穏感の持続が、エド・ハリスとの対決シーン以降の顛末を 間延びさせてしまった感もあるのだが。  階段といい、煙草や鏡などの小道具の用法といい、監督は案外ワイルダー好きだろうか。  お遊びのような移動空撮、スロー弾丸などはいい加減やめて欲しいし、 細切れ編集の格闘アクションは、『セブンス・コード』の前田敦子にも負けている。
[映画館(字幕なし「原語」)] 7点(2015-05-23 23:42:14)
487.  寄生獣 完結編 《ネタバレ》 
焼却炉の設定が、というよりこのシーンでの所謂「J・キャメロン・ブルー」を 採り入れたライティングこそがキャメロン的なのだが、このつまみ喰いでとってつけた感が山崎貴らしいご愛嬌だ。  炉のオレンジと反面のブルーに照らされる中で主人公たちが展開するクライマックスの舞台は映画向きの彩りある改変として申し分ない。  (「原作に忠実でない」だの「メッセージ性がない」だのといった原作崇拝的、テーマ・メッセージ依存型 批判は、それこそ映画が別メディアである原作に従属していない証であり、原理的に反「反映画」という事なのだから、映画にとって褒め言葉だ。)  宙吊りのアーム上でありながら垂直軸のサスペンスは淡白だし、陽炎や火の粉による灼熱の感覚が物足りないのも如何にも山崎貴だが、 動物園での三つ巴の対峙シーンやラストの屋上シーンなどと共に 高所を舞台に取り入れながら健闘している。  深津絵里の夜のマンションでは、風の音響はありながら画面上は無風状態 であったり、一方で画面上では彼女の髪を揺らしながら風音の効果音を省いていたり。  そうした趣向も彼女の異質性を際立たせており、面白い。
[映画館(邦画)] 7点(2015-05-10 08:00:53)
488.  バンクーバーの朝日 《ネタバレ》 
始めの製材所のシーンから、木材を運び、それを積み重ねる俳優らの労働を 長目のショットで丹念に描写している。 その中で次第にクロースアップされていくのは、彼らが見つめる手だ。  彼らの過酷な境遇は何よりも、じっと己の手を見るショットによって語られる。  それはライバルチームの投手らについても平等である。  モブシーンでも 冒頭の移民たちの顔、試合のギャラリー一人一人の顔をパンフォーカスで 可能な限り映し出そうとするあたり、作り手のFAIRNESSの発露といえる。  高畑充希のスピーチ前半を収めた引きのショットが引き立てる彼女の健気。 夜の日本人街に静かに響く波音のノスタルジア。 それらを邪魔しない、控えめで節度ある音楽用法が好ましい。 艶のあるナイトシーンの多さが、球技シーンの晴れ舞台を引き立てる。  それだけに競技シーンの運動感の欠如はやはり勿体無い。  敏捷性と連携プレーを活かした戦術なのだから相応のカメラワークで 盛り上げて欲しい。 妻夫木聡の初めての出塁・得点シーンにスローでは落胆である。 
[映画館(邦画)] 7点(2014-12-28 20:21:58)
489.  継承盃 《ネタバレ》 
うあ!レビュー少ない。 地味な展開になるかと思いきや、 いきなり冒頭から馬を駆っての大活劇を披露してくれるところが嬉しい。  馬から飛び降り、ローカル線のホームを駆け渡り、発車寸前の列車に乗り込む アクションの長回しを軽やかにこなす真田広之の惚れ惚れする動き。 その軽快でコミカルな身体動作は、ラストの爽快なジャンプに至るまで 全編にわたって映画を弾ませる。  「書き上げ」を巡って緒形拳、古手川祐子、真田の三者がホテルの部屋で 繰り広げる痴話喧嘩の超ロングテイクも縦構図の奥行きを駆使して 彼らの微妙な心情変化をなかなかに見せる。  クライマックスの儀式も、長いショットで緒方の貫禄の所作を存分に見せつける。 この題材でこれだけ躍動的な映画にしているのは大健闘と云うべきだ。  
[映画館(邦画)] 7点(2014-12-14 23:52:36)
490.  ゴーン・ガール 《ネタバレ》 
カメラに正対した第一ショットのロザムンド・パイクの妖しい瞳の表情から 一気に引き込まれるのだが、ラストで反復されるその黒い瞳の力は145分の ドラマを経て一層の凄味を増して迫る。 映画を牽引していく彼女のキャラクターが圧巻だ。  携帯カメラで撮られた表情によって印象操作される、 テレビショー出演の反響と印象度を即座にネットでチェックするなどといった、 メディア批評も随所で光る。 スクリーン内スクリーンの中で夫を演じるベン・アフレックの表情に交差する 虚と実が何ともスリリングだ。  そして本作でも、ズリ上げを始めとする音使いの妙が映画のテンポを上げている。 有り金を奪われたロザムンド・パイクが公衆電話で話す声をかき消す トラックの騒音、ドアのロック音・ノック音など、さりげない音を サスペンスにしてしまう演出に唸る。  妻の帰宅シーンにあえて安堵感に満ちたBGMを被せるシニカルな選曲なども堪らない。   
[映画館(字幕なし「原語」)] 7点(2014-12-11 23:43:37)
491.  紙の月 《ネタバレ》 
地下鉄駅のホームで、線路を挟み向かい合う宮沢りえと池松壮亮の視線が合う。 列車の到着と発車の中で彼女の姿がかき消される。 発車後のホームに彼女の姿はない。振り返ると、 池松側のホーム階段を降りてく彼女の脚がある。 次は一気にホテルのシーンだ。  ラストも同様、「見えない壁ガラス」を割った彼女は次のシーンではもう 自らの脚で駆け出しており、街路の壁を曲がるところだ。  観客が気付いた時には彼女はすでに足を踏み出している。 画面には交差点や線路、白い会議ルームの壁のラインや窓ガラスなどの境界線が配置されているが、彼女は意を決したらもう躊躇わない。 心理を露呈させることなく、観客の共感など置き去りに突き進んでいる。 その潔さ、唐突さがいい。  儚げでありながら時に不敵な面持ちを見せる宮沢りえが随所で単に美しいだけに 留まらない複雑性を内包した魅力的なヒロイン像を見せる。   
[映画館(邦画)] 7点(2014-11-19 23:59:47)
492.  江ノ島プリズム 《ネタバレ》 
2012年と年月日までを特定しながら、吉田康弘は時代錯誤なまでに頑なに携帯電話を登場させない。 初監督作『キトキト!』では惜しくも一箇所肝心なところで使ってしまっているが、 それ以降は確信的に禁じ手としているのは間違いない。  だから、この物語の中では海外留学はまるで今生の別れのようだ。 本田翼は手紙をしたため、福士蒼汰は駅へと海岸沿いの道路を自転車で全力疾走する。 そこに普遍的な感情と、映画の躍動を生んでいる。  陽光が差し込む江ノ電の長閑な走行と、野村周平の住む日本家屋などのレトロ感も、 ケータイ無き世界でこそ活きる。  校舎の窓から夜の花火を見る未来穂香の表情がまた素晴らしい。 RAM WIREのエンディングテーマとドラマとの相性もいい。  
[DVD(邦画)] 7点(2014-11-11 23:51:02)
493.  太陽の坐る場所 《ネタバレ》 
酔った水川あさみが夜の跨線橋を上司と歩くシーン、墓参りを済ませた森カンナが 墓地を後にするシーン、いずれも絶妙なタイミングで背後に列車を通過させながら そこに作為を感じさせない自然なショットに仕上げるあたりが矢崎監督らしい。  体育館内の古泉葵と吉田まどかの周囲を旋回するカメラも一見ラフな手持ちだが、 その中で館内に差し込む光のフレアの一瞬一瞬を見事に取り込んでいる。  体育館の暗い備品室の中で並び座る水川と木村文乃。わずかに外からの光が 床の一点に当たっており、その微かな光の反射が二人の存在を浮かび上がらせる。 主題的に多々登場するローキー画面だが、いずれも光の加減の設計は緻密だ。  トンネルから外界へ。日食に伴い緩やかに暗転していく教室内。 1ショット内で光と闇が反転していく様が、ドラマを語っている。  二人の出会いを演出する、風と揺れるロングヘアも印象的だ。 走る自転車によって揺れ、寝そべることでふわりと広がる黒髪が画面を揺らす。 
[映画館(邦画)] 7点(2014-10-06 23:00:31)
494.  ジャージー・ボーイズ 《ネタバレ》 
トランクに無理矢理金庫を押し込んで前輪の浮き上がった車が夜の街を 迷走する。 金の重みに後輪をとられてうまく舵をとれない車は、その後のドラマの暗示でも あろうか。それでも必死にハンドルを駆るジョン・ロイド・ヤングは 上方の光に向かう姿勢で前へと進んでいく。  それはそのままラストの街路で光を見上げる彼らの擬似ストップモーションと 釣り合う形ともなる。  60年代へのオマージュか、厳格なロケーション主義かと思われた監督がさらりと スクリーンプロセスを使う趣向があったり、長身のエリック・バーゲンが カウンター席で斜め後方を振り返るといった特権的な仕草を見せたりと あちらこちらがさりげなく面白い。  「SHERRY」をはじめとする楽曲とそれに合わせた4人の振り付けにももちろん心踊るが、 やはり既成曲の力に寄りかかりすぎの気がしないでもない。 クライマックスも少々くどくはないだろうか。
[映画館(字幕なし「原語」)] 7点(2014-10-02 23:04:09)
495.  エレニの帰郷
『カサブランカ』や『嘆きの天使』などは少々サービス過剰かとも思う。 米国マーケット他をかなり意識したのか、どうか。 濃霧の中、抱き合うイレーヌ・ジャコブとウィレム・デフォーの周囲を 旋回しかけるデ・パルマまがいのカメラなどには冷や冷やしてしまいそうになる。  被写体サイズの大きさも有名俳優起用によるものだろうが、 そうした大御所俳優らを配しながらも曇天への妥協の無さは一貫している。  ブルーノ・ガンツの乗った船が橋梁をくぐると、彼に影が落ちスッとシルエット可する ショット。その黒と彼を包む曇天の鈍い白が異様な迫力で迫ってくる。  夜の国境検問所、暗闇とそこに浮かびあがる人物に当たる照明の加減も素晴らしい。  シベリヤの工場群の吐きだす白煙、ジグザグ階段の造形などもアンゲロプロス ならではの壮観であり、ロングテイク内での転調(パイプオルガンの演奏、 警官隊の突入など)も驚きこそないが、楽しめる。   
[DVD(字幕)] 7点(2014-09-12 16:06:54)
496.  フライト・ゲーム 《ネタバレ》 
携帯画面の文字情報と、それを読むリーアム・ニーソンのリアクションを 同じ画面内に乗せながら物語を畳み掛けていく。  観客は双方に視線を配りながらの視聴を要求されるが、それぞれのショットを 定番的に分断させるよりも断然テンポとリズムがいい。 その意味でも「NON STOP」である。  犯人とメール交渉をしつつ、相手の反応を機内の複数の監視カメラを通して 女性二人にチェックさせていく。 そこに同時進行で機外との通話が重なる、といった具合に複雑な シチェーションを的確に処理しながらテンションを上げていく手際がいい。  主人公を陥れていくマスメディア、謎解きに一役買う携帯動画メディア。 各種映像媒体の提示も現在的で面白い。  閉所での格闘アクションは相変わらず煩雑でぶつ切りなのが玉に瑕だが。  割れた鏡面に歪む主人公の像などは、もはや監督のトレードマークといえる。  
[映画館(字幕なし「原語」)] 7点(2014-09-11 23:59:05)
497.  剃刀の刃(1946)
タイロン・パワーがインドの山上で啓示を受ける。 物語的に肝心であるべき箇所で描写を怠り、 その悟りを口頭説明で済ませてしまうことで映画への興が醒めてしまう。  全般的に過剰気味の台詞と対話芝居の重視、そして徹底したパンフォーカスの カメラはきわめて舞台的な演出だ。 その上で施された映画的演出の一つが、アーサー・C・ミラーによる 縦横無尽のカメラワークだろう。  パーティ会場やレストラン、パブなど多彩なエキストラが多数入り乱れる 躍動的なモブシーンを後景に、主要人物が画面手前で会話をしている。 と、背後の群衆の中から不意にアン・バクスターやらクリフトン・ウェッブらが 画面手前に入ってきて話者が連鎖的に入れ替わっていく。 その嫌味なくらい統制のとれた人物の出し入れのタイミングとフレーミングが圧巻だ。  パン・フォーカスのシャープで密度の高い縦構図と、そこにさらに奥行きを加える 流麗な移動画面。 その背後の群衆の中から何時どのように主要人物を中心化させるのか、 手前の複数の人物をどう出し入れし、どう移動させて構図を決めていくのか。 そしてどこで俳優の表情芝居にクロースアップするのか。  物語映画でありながら、その説話展開以上に画面展開の緊張で見せていく映画である。  そのキッチリしすぎた段取り感がやはり仇ではあるが。    
[DVD(字幕)] 7点(2014-08-26 22:44:39)
498.  ラストミッション
西部劇への目配せからしてヘイリー・スタインフェルドを抱き上げる ケヴィン・コスナーはなるほどナタリー・ウッドを抱き上げるジョン・ウェインなの だが、スーツ姿への衣装変化と故ホイットニー・ヒューストンを抱え上げた 『ボディガード』も経由して重ね合せるなど、ポイントごとに 映画的感慨を刺激してくるのも悪くない。  父娘が『明日に向かって撃て』的に自転車を二人乗りする坂道や、 ラストの白い崖と入り江の別荘に至るまで 勾配や高低をドラマに活かしたロケーションの数々が印象的であり、とりわけ 父が娘に自転車を教えるシーンは高台から見下ろす街並みの景観と自然光あっての 情趣だ。  そして開始早々は彼女が主役かと思いこまされる、アンバー・ハード。 以降、思い出したように登場するのみでありながら、それでいて彼女の放つ妖しさ・ クールビューティぶりも鮮烈だ。  携帯の着信音のギャグなど、何とか携帯電話を映画的に活用しようとする意欲も買う。    
[映画館(字幕なし「原語」)] 7点(2014-08-21 23:46:22)
499.  GODZILLA ゴジラ(2014)
人間ドラマ部分は、冒頭の家族のシーンをはじめとして顔面アップのくどい、 相変わらずの平坦な主流ハリウッド式画面が続く上に、怪獣映画の宿命的な理屈付け に費やされるのだが、ひとたび特撮シーンになると画面は俄然、密度と奥行きを増す。  退避区域に打ち捨てられた車両のドアミラーに、対岸の風景 つまりカメラの背後の画を映り込ませたショット。 または、バスの窓に映るゴジラの背鰭と、それをバスの中から見上げる子供たちと を重層化させたショット。etc. 反射物を利用して一つの画面空間に奥行きを生む工夫だ。  対峙する怪獣2体を、間に挟まれた人間が交互に振り返りながら仰ぎ見るショット。 津波に埋もれる街路から、次々と停電していくビルの窓を追いながら上昇し、 屋上から発射された照明弾を追っていくと、 左手に巨大生物の皮膚が黒光りしながら浮かび上がってくるショット。  これらはカットを割らずにカメラを持続的に移動させて空間を広げることで、 立体感と巨大感を生む工夫だ。 その持続的なカメラは、ゴジラの見得切りのタメと外連でもある。  ビル群や粉塵の演出は勿論のこと、海鳥をその周囲に飛ばせること、 チャイナタウンの瓦屋根や 赤い提灯を画面手前に配置しての構図取りなど3Dを意識した芸も細やかだ。  東宝特撮映画には必須の、火薬大爆破シーンも取り入れて抜かりない。  ドラマにかかわるわけでもない、退避地区の野犬や線虫。津波に追われる犬。 東海岸のコヨーテや海鳥など。役割がなくとも何気なく画面に現れる動物たちも 映画を単調にさせないアクセントとして気が利いている。
[映画館(字幕なし「原語」)] 7点(2014-08-02 14:09:43)
500.  WOOD JOB! ~神去なあなあ日常~
某旬報の批評の中にもあった「身体性」。やはりこれだろう。 クライマックスの御神木落としのスペクタクルは、その直前の染谷将太の もやい結びや、伊藤英明の猛ダッシュのワンカットに及ばない。  染谷と長澤まさみがムキになるフィジカルなドッジボール。 その二人を素早い左右のパンで捉えるカメラワークは、 御神木に大鋸を入れ協働する伊藤・染谷の二人を捉えるパンニングへと連なっていく。  大型バイクを颯爽と駆る長澤、そして チェーンソーをあたかも本職のごとく扱いこなす伊藤の自信に満ちた身のこなし が清々しい。 別れのシーンでも、彼女は懸命に疾走し、彼は全力で抱きしめる。 ここでもひたすら身体的だ。  藁葺き屋根の民家へと登る坂道や森の木漏れ日など、いい情景も多数ある。 撮影は芦澤明子だ。    
[映画館(邦画)] 7点(2014-05-25 23:01:27)
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