521. こわれゆく女
《ネタバレ》 メイベルの神経とニックの性格はこわれゆくではなくこわれており、家庭がジリジリとこわれゆく様子が迫真の演技の両優から息苦しく迫ってきます。「子はかすがい」をまざまざと見せられた子供達の姿。家族愛とは価値観の押しつけでも、愛してやるから愛し返せという支配でもなく、ただただ無条件で純真なもの。感じ入りました。 [映画館(字幕)] 8点(2012-07-11 21:34:22)(良:1票) |
522. 泥の河
《ネタバレ》 シベリアを生き抜き、不倫駆け落ちで妻を捨てた父の悔恨と諦念のこもった「スカみたいにしか生きられヘン」「スカみたいに死んでいく」台詞。しかし、今を懸命に過ごす姿から滲み出る人情は「スカ」ではなく「値打物」で、息子や束の間触れ合った姉弟の財産になったと確信します。別れのシーンに、色んな負の事情を背負いながらも生き抜いて欲しいと思わされました。田村高廣絶品の秀作 [映画館(邦画)] 8点(2012-06-16 22:22:17) |
523. 誓いの休暇(1959)
《ネタバレ》 初見。アリョーシャの帰郷の道中譚。 純真で正義感が強く人情に厚いアリョーシャを始めとする善男善女ばかりで、血しぶきもなく鬼畜も居らず。 一見穏やかなれど、ラストシーンにおける国家によって息子を毟り取られるが如き母親の様相に、これ以上ない戦争の無情さ非情さを見せつけます。 「もう、離さない、私のアリョーシャ!」 永久の別れと分かっているだけに堪らない。胸を掻き毟られるものがありました。 [映画館(字幕)] 8点(2012-06-10 18:13:14)(良:1票) |
524. 未完成交響楽(1933)
シューベルトの交響曲第7番が未完成に至る物語。エミー、カロリーネ、シューベルトの心模様と三者のどうにもならない恋の成り行きが何とも切なく、セレナーデを始めとする楽曲がその思いを更に掻き立てます。ユーモアの洒脱なセンス、ハッとするショットの数々も印象深く、作品の完成度の高さに驚きます。 [DVD(字幕)] 8点(2012-05-07 00:30:20) |
525. ひまわり(1970)
初見。女々しいアントニオと獰猛なジョバンニの悲恋を突き放した目で見てしまいますが、そんな彼女をもってしても堪えきれずに嗚咽してしまう姿はやはり切ないです。愛する者との再会叶わず力尽きた人々の魂の化身となったひまわりで覆い尽くされた光景に戦争の無情さを痛感します。当時困難を排してロケを敢行された事に千金の重みを感じます。 [DVD(字幕)] 8点(2012-04-08 10:17:12)(良:1票) |
526. ポセイドン・アドベンチャー(1972)
パニックムービーの一級品。今観直してみてもその思いは変わりません。窮地にあって誰に付き従うか等生死を分けるものは神のみぞ知る紙一重である事を思い知らされます。その神様。苦しい時に頼るのではなく、どのような結果であっても感謝するのだと思います。 [DVD(字幕)] 8点(2012-04-07 20:46:41) |
527. ジョニー・イングリッシュ
いやぁ、もう、声を上げて笑い通しでありました。勘違い→気づく→取り繕う 部下の存在も相まってこのサイクルがサイコー。それにしっかりとしたストーリーがあり、アクションシーンもなかなかなもの。そして嫌味で大層な悪巧みを企むジョン・マルコビッチ演ずる悪役が何ともいえない味わいがありサイコー。これぞコメディと言える快作です。 [DVD(字幕)] 8点(2012-03-11 03:34:05) |
528. 灼熱の魂
内戦での憎悪の連鎖が生み出す残虐なシーンが満載。更に、テロ行為の報いであっても、これ以上の出来事はこの世には無いと思うあまりにも残酷な真相に言葉がありません。宗派の対立が端を発しているならば神とは一体何なのかとの思いが募りました。ストーリー展開の巧みさが見事な作品でした。 [映画館(字幕)] 8点(2012-01-18 21:51:44)(良:1票) |
529. 美女と野獣(1946)
有名な童話が、重厚絢爛に、おどろおどろしく、愛憎露わに、表現されています。終始ドキドキ、ハラハラし画面に目が釘付けとなりました。大変豪華な童話でありました。 [DVD(字幕)] 8点(2011-12-21 21:55:57) |
530. ノスフェラトゥ(1978)
タイトルの映像と音楽の異様な雰囲気に寒気が。吸血鬼ものとして展開は淡々としたものですが、大胆なカメラワークで見せる美しい映像に、底冷えのする怖さがひたひたと迫ってきて、息苦しさを味わい通しでした。愛する者が常に先に逝く、自身は永遠に逝けない。ドラキュラ伯爵の瞳に宿る悲しみが本作を支配していたように見えました。 [映画館(字幕)] 8点(2011-11-28 01:01:45) |
531. 會議は踊る
天下国家を語る作品であれば貧相なストーリーでしょう。しかし、市井の人々に共通するのであろう、クリステルの束の間の時めきを魅せる作品として、そんな粗を掻き消しています。「ただ一度だけ」に心底見惚れ、映画の醍醐味をしみじみと味わいました。 [DVD(字幕)] 8点(2011-10-12 22:59:04) |
532. 華麗なる賭け
生涯愛に溺れる事はない男、虚無の中で生きる男。マックィーンの一挙手一投足に身悶えするひと時でありました。彼以外でこの男を演じられる者はおりません。 [DVD(字幕)] 8点(2011-09-02 23:48:55) |
533. 祇園囃子
《ネタバレ》 神崎の前で美代春が脱いだ白足袋。何とも言えぬ艶めかしさに息を呑みました。観終わって、単なる売春婦ではない「富士山同様日本の宝」と言われる祇園芸妓としての気位の高さ、乙に澄まして紳士面するものの仕事に欲情を絡める薄汚い本省課長にカラダを売らねばならぬ理不尽さ、相反する二つを繋ぐ人としての情け、それぞれが白足袋に凝縮されていたように思いました。女優三人の好演の相乗効果が構図同様に作品の奥行きの深さを与えていました。 [DVD(邦画)] 8点(2011-08-26 23:24:12)(良:2票) |
534. ダーク・ブルー
戦闘シーンの際のハッとする美しい雲、空、大地、海。美しければ美しい程にそこで繰り広げられる行為の愚かさが浮き彫りになります。人を裏切り傷つけ、人と国家に裏切られ傷つく。そうやって授かった時を過ごしてゆく。静かな語り口が心に沁みる作品です。 [DVD(字幕)] 8点(2011-08-15 21:51:56) |
535. マン・ハント(1941)
《ネタバレ》 冒頭のシーンに仰天。以後、ラストまでナチスの陰湿な執念深さが作品を支配し、監督特有の光と影の映像がその恐ろしさを際立たせています。ラストの一騎打ちはヒリヒリした緊張感で手に汗握るものでした。サスペンスを堪能しました。 [DVD(字幕)] 8点(2011-08-14 01:04:50) |
536. 大阪物語(1957)
一家の長として守るものが、家族から金へと変わる生き様に、共感するやら呆れるやら。日々遣り繰りに汲々としている身にとっては、何が幸せなのかを考えさせられた訓話の如き作品でした。カラリとした味わいが心地よかったです。 [DVD(邦画)] 8点(2011-07-31 11:41:52) |
537. さらば友よ
物語の「起」の拙さを忘れさせられる「承」「転」「結」が素晴らしい。オーラ全開の両優と、彼らの友愛模様を引き立たせた刑事役のベルナール・フレッソン。三者の心模様に痺れっぱなしであったところにあの結末。掛け値なしの名シーン、映画史に残るラストショットでありました。 [DVD(字幕)] 8点(2011-07-01 19:26:46) |
538. 007/美しき獲物たち
《ネタバレ》 初見。ユア・アイズ・オンリーを超える私的 best of 007。一片の情を持たぬゾーリンと、持っていたメイデイ。悪役好きの私のツボをこれでもかと刺激してくれたシリーズ最上の悪役に惚れ惚れしました。見どころたっぷりのアクション(スタントであろうが何だろうが)シーナ・イーストンと甲乙つけ難い主題歌。ロジャー・ムーアのボンド引退の花道を飾ってあげたいという皆の思いが察せられた作品です。 [地上波(吹替)] 8点(2011-06-25 18:52:58) |
539. 私は貝になりたい(1959)
戦争行為や自国軍隊の有り方はもとより、勝者が正義面する軍事裁判の理不尽さを見せ付けられます。天が罰を下せるのなら何千何万何十万の非戦闘員を爆弾で殺戮した米兵も絞首刑になるのです。当人や残された肉親が味わう思いを何時の世代までも語り継がねばならない事をエンディングに思いました。 [DVD(邦画)] 8点(2010-11-23 23:34:49) |
540. カリフォルニア・ドールス
本作は、プロレスを楽しみたきゃプロレスを観ればいいというプロレスものとは一線を画す出来栄えです。決戦に到るまでの巧みな話の盛り上げ方、じっくり魅せてくれた決戦模様。三人組同様に観る者を楽しませる精神に満ち満ちた作品に大いに満足しました。 [映画館(字幕)] 8点(2010-09-23 17:58:30) |