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41.  ボディ・バンク 《ネタバレ》 
入れ代わり殺人などを扱うサスペンスなどで、ホームレスの人をいかにも捨て駒のように使う作品をよく見かけるが、中には作者自身も本当に差別意識があるんじゃないかと疑わしいものがある。その点、本作品は安心して見ていられた。演出のアイデアとしては、主人公の青年医師が倫理上で患者の選択をしてしまったこと、彼自身が擬似脊椎損傷患者を体験したことが秀逸。ドストエフスキーの『罪と罰』のラスコーリニコフの例のように、主観的な正義を下すことの醜悪さを、単純な法的観点から暴くのではなく、医療現場の矛盾をついた上で糾弾しているからだ。ラストの研究データが、そのほろ苦さを見事に表現しており、まるでこの問題は現代においても進行形であることを象徴するように、医師は感慨深げに罪深いデータを手にとったまま階段を昇っていく。非常に問題意識の濃い、見応えのある作品だったと思う。
[インターネット(字幕)] 9点(2010-06-24 13:29:34)
42.  天城越え(1983) 《ネタバレ》 
こんなに下ネタの多い映画だったとはびっくり。菓子屋の春画に始まって、腹を下していた通報者、良作たちの放尿を浴びたり、布団を汚す土工、腐乱死体、ハナの失禁と続く。それに加えて、建造の母と叔父、土工とハナの交わりは目を覆わんばかりの醜態で描かれる。ハナの妖艶美や菩薩のような優しさは、逆にこれら生の醜さが支えているといっていい。社会的な冷遇を受け続けてすれっからしになっていた彼女は、自分のために泣く少年を前にして素顔に戻るが、この瞬間、初めて少年の罪を悟ったのだと信じたい。奇妙に少年を見つめた後、微笑んで、当人にしか分からないよう小さくかぶりを振るからだ。性欲を抑えられない根っからの娼婦の性や凶暴性と、母性や寛容性など、相反する面をいくつも持っている彼女は、まるで子供をとって食べたという、荒々しくも深い愛情を持つ鬼子母神のよう。しかし、もし土工と出逢わず、無事2人が野宿したとしたらどういう結末が待っていただろう。想像がつくだけに、それはそれで困るのだが・・・・・・。
[DVD(邦画)] 9点(2010-03-04 14:20:46)
43.  シンドラーのリスト 《ネタバレ》 
やはりシンドラーとユダヤ人従業員たちとの別れのシーンが一番印象的。もっとも偽善的に見える演出、セリフ、シーンかもしれないが、実はあの瞬間から、ユダヤ人たちには通常の日常が、シンドラーには本当の地獄が始まる。敗戦までは、明日をもしれない緊張感で気がまぎれていたかもしれないが、いざ平和になると、助けた人の数よりも、助けられなかった人への悔恨がふくらんできて、始終彼を悩ましただろう。金のボタン1個で人が1人救えたという勘定をしてしまうくらいだ、何を見ても聴いても、ことごとく人間の命に換算してしまったろう。幸せになれるわけがない。案の定、その後は結婚も事業も全てうまくいかず、晩年は不遇だったというテロップが流れる。彼は大勢のユダヤ人を救ったけれども、逆に彼らがどれほどの人数をもってしても、たった1人の恩人を救うことはできない。この矛盾は、あのラストでいぶし銀のように光っている。達成感のない偉業というのは、悲惨だ。
[DVD(字幕)] 9点(2009-11-25 09:57:38)(良:3票)
44.  007/カジノ・ロワイヤル(2006)
ボンドが「Mというのは」と切り出したところ、「それ以上続けたら殺すわよ」と言ったM。ボンドが彼女のプライベートの部屋を出入りし、彼女の叱責を感情的にならずに受け止め(むしろ叱られるのを望んで彼女の元へ戻るような気も)、「この仕事は早死にする」と甘えたことを言ったりし、危機に陥ればコンタクトを取り、「敬愛するM」と呼ぶ。MとはMotherの頭文字の意味もあるかも。それにしても、こんなに母性本能をくすぐられる007も初めて見た。
[DVD(字幕)] 9点(2009-04-12 11:23:26)
45.  ブラッド・ダイヤモンド 《ネタバレ》 
ダニー・アーチャー(ディカプリオ)もほとんど少年兵に近い。彼が最後に人間性を取り戻したのは奇跡に近い。ソロモンの息子が父親に諭されて我に返るシーンと連動している気がする。
[DVD(字幕)] 9点(2009-04-12 11:13:51)
46.  オープン・ウォーター 《ネタバレ》 
最初に出てきたクラゲでぞっとさせられたが、これが序章だったとは。波酔い。冷え。空腹。脱水症状。痙攣(こむら返し)。眠気。雷鳴とどろく夜間の恐怖。サメの被害に到達するまで、こんなに試練があったとは! 海に漂う恐怖を思い知らされる。地上(屋外)でひと晩過ごすにしても、これほど体力が消耗することはないだろう、つくづく人間とは陸上の生き物なのだ。ラスト近くで地上の映像が少し出たが、どれほどほっとしたことか。それに、天を覆う雲が気になって仕方がなく、時間の経過を示す数字と、次第に黒ずんでゆく空の陰りに、「こんな状況で夜になったらどうするんだ!」とずっとハラハラさせられた。 特に音楽もないし、技巧的なものを極力排して撮られているので、もの足らない人もいるだろうが、漫然とした時間の経過がいかにも本物の重み、凄みがあって、ドキュメントタッチの方が私には数段怖い。目前の他人の災難をどうすることもできず見ているしかないという疑似体験になった。船を返す前に、ボンベの数を確認しなかったインストラクターに心底腹が立つ! 実話ということだが、被害にあった人があまりにも気の毒で胸が痛い・・・・・・
[DVD(字幕)] 9点(2008-11-24 10:56:55)
47.  ニコラス・ケイジの ウェザーマン 《ネタバレ》 
主人公は気が小さいために細かいことにこだわりすぎて、かんしゃくもち。しかし彼は自分の家族も父も、つまりメインキャラクターを全員深く愛している。決して自分1人だけでなく「皆で幸せになろう」と必死でもがいている不器用な彼がいじらしい。家族なしで大金を得ても仕方がない、という彼の価値観もほほえましい。実際、人生は予想のつかない天気予報のようなものだ。誤報だろうが当たろうが、結局人間は生きていくしかない。しかし主人公の父親の葬儀のシーンを見ると、少なくとも「人生はクソだ」とは思えない。ほろ苦い、微妙な人生観を皮肉とユーモアでつづった、主旨のぶれないいい映画だったと思う。
[DVD(字幕)] 9点(2008-07-27 09:23:02)(良:1票)
48.  アザーズ 《ネタバレ》 
娘はいい子を装って母にこびることなく、言いたいことを正直にきっぱりと言う、その姿が勇ましい。彼女は母に襲われた記憶があるから始終つっぱっているけれども、受けた心の傷はむしろ弟より深そうだ。母親役のキッドマンが娘役の子役に圧され気味にさえ見えた。母と子の緊張感が、屋敷内の不協和音をいやがうえにも盛り上げていく。その過程がとても自然で巧み。またセリフの応酬など、舞台向きの作品だ。独特の死生観にわが子殺害問題をからませ、光と影、または生者と死者の服装などから時代のギャップを表したりと、シンプルだが古典的な演出が効いて、全体的にクラシカルなムードが漂う上質のミステリー作品だと思う。
[DVD(字幕)] 9点(2008-07-16 09:54:49)
49.  Wの悲劇
薬師丸ひろ子と三田佳子の演技がすごい、ヘレン・ケラーとサリバン先生みたいな、食うか食われるかというオーラの奪い合い。無骨だけど純粋で一途な青年に世良公則、クールで二枚目の実力俳優に三田村邦彦、美人で気の強い野心家女優に高木美保、皆適材適所で選ばれているという感じで、プロデューサーの腕がよかったとしか思えない。それに世界の演出家、蜷川幸雄がまさしく演出家として登場しているのもびっくり。そういえば、「フラッシュダンス」 の大ブレークが1983年、この作品が翌年公開。ブロードウェイを夢見る下っ端の女の子、一方が舞台女優を目指す薬師丸がヒロインということから考えても、「フラッシュダンス」 にあやかりたい気持ちが製作者側にあったかも。
[ビデオ(邦画)] 9点(2008-05-03 11:37:35)
50.  ユナイテッド93 《ネタバレ》 
重要施設に墜落させないように後方についていた戦闘機が撃墜した、という話が浮上していると後で知り、鑑賞中の違和感を改めて思い出した。ハイジャックした直後、50分後に目的地に着くと犯人は言っているが、だとしたら、一面識も無い乗客同士が、現状を把握して、一致団結し、行動に移るまでに40分前後しかかからなかったことになる。犯人に脅されている間は、余計なことを考える余裕はないだろうし、事が起こるまで飲み物を飲んだり、居眠りをしたり、すっかりくつろいでいた乗客たちが、機敏に生死の覚悟などつけられるだろうか。現状を把握するまで半時間ぐらい、あっという間に経つのでは。安々と鵜呑みにはできない作品と思いつつ、非常事態に陥ったときは、現状を把握する冷静沈着な姿勢が何よりも大事なのだと痛感させられた。
[映画館(字幕)] 9点(2006-08-21 14:06:57)
51.  解夏 《ネタバレ》 
一言で言えば、自分(視聴者)とは関係のない誰かが突然不幸を背負って、彼女と二人三脚でがんばっている、という姿を描いた話。当人たちは死に物狂いで恐怖と戦っているのに、それが傍観者には「面白くない」「ドラマ性が薄い」としか感じられない。でも、これが恐ろしいくらいに真実をついている。あっさりこそ、リアリティそのもの。人間は、自分に関係のない人がどれほど苦しんでいようと、どこかよそごとに思えるものだ。この作品がつまらないと思える人は、身内に視覚障害者がいないのだろう。私は最初から最後まではらはらし通しだった。どのシーンで、いつ発作が起きて倒れるか。ハレーションが映る度にひやっとした。青年は発狂するほど苦しまないか、鬱に陥って発作的に自殺を計ったりしないか。もっとリアリティに、と皆さんは書かれているが、失明の苦しみをとことん追究して描いたら、とてもこんなに美しい長崎の情緒を表現する余裕はない。だからこそ、登場人物たちはアップになることが少なく、カメラを引いて撮影され、わざとある程度客観的に描かれているのだと思う。この作品には随所に、各登場人物たちの何気ないやさしさが動作に表れている。見る側は受身としてではなく、いろんなところに注意して、いろんな発見をしてもらいたいと思う作品。
[ビデオ(邦画)] 9点(2006-04-25 00:25:31)(良:2票)
52.  心の旅
「責任」「責任」「責任」と言われ続けて育ってきた娘は、何て神経の細い、存在感の薄い、びくびく怯える子供に見えたことか。「僕もだよ」と言って、娘を安心させるためにハリソンが自分のジュースをこぼすシーンは最高! この映画のすごいところは、1人の人間に2つの人生を重複させ、負傷前に一度もバックすることなく、現時点の演技のみでそれを表現させていること。回復したハリソンに周囲の人々が戸惑うだけで、彼が以前はどれほどエゴイスティックな仕事人間だったかよくわかるというもの。手紙の色を使った伏線、リッツの絵、ふぐの話。脚本の中に、重要なアイテムがほどよく散りばめられており、決してフィルムを巻き戻さず、現時点のストーリー展開が基本という姿勢が、とても硬派だと思った。リハビリ効果が恐ろしくスピーディなどリアリティに欠ける部分はあっても、それが何だと思えるくらい描かれている家族愛が素晴らしい。アメリカで心が通わず冷え切った家庭が増えているのは、「アメリカン・ビューティ」(これにもアネットが出演)でもよく知られるところ。「心の旅」はそうした家庭にとってはおとぎ噺であり、切ない希望なのだろう。 
[DVD(字幕)] 9点(2005-04-03 00:07:01)
53.  初恋のきた道
ヒロインの一途さはもちろんだが、タイトルにもある「道」にひたすら感動。四季おりおりで姿を変えながらも、何年たっても道はひたすら同じ道であり続ける。町と田舎をつなぐ道は、過去と現在を結ぶ道でもあり、道の彼方には、こちら側には見えない世界があり、とどまるところを知らず想像の膨らんでいく世界でもある。だからこそ一度としてあちら側(町)を写さないのだろうし、先生を直接、深く描こうとしないのではないか。先生の偉大さを示すのは、大勢の弔問客が彼を偲ぶシーンだけで充分だと思う。そのときでさえ、道はとても重要な役目を果たす。棺を担いで過去と現在を意味する「道」を歩くことは、先生の崇高な精神、無形遺産を人々が未来へと橋渡ししていくことを暗示している気がしてならない。また、このラブストーリーが特異で優れているのは、たった一つの恋を村中が応援し、さらに死してもなお尊敬、哀憫の情をそそぐところにあると思う。
9点(2004-07-26 13:49:11)(良:2票)
54.  父よ 《ネタバレ》 
背景に音楽が流れることもなく、視聴者にこびるサービスが何もない。この作品は楽しませてもらう、味わわせてもらうという受身からでなく、積極的にこちら側がそれぞれの登場人物たちの身に乗り移って考えるべきだ。忘れてはならない重大なポイントは、目に見えない父の努力を、息子が言葉を介することなく感じ始めること。愛は物理的にはむしろ伝わりにくい性質をもっているかも、と学ばされた。時間、日数、年月をかけてじっくり熟成された愛が何ものよりも強い。もっともセリフが少ない分、見ているこちらは息子がどのくらい理解したのだろうと少し歯がゆいが、底が知れないだけにいっそう深い。親子は最後まで抱き合うこともないのに、自分の中では彼らが固く抱き合っているイメージがしっかり湧いていた。画面を見ながらそれとは違う画面を頭の中で作り出し、平行して見ているという不思議な視聴体験ができた。俳優たちの抑えた演技に、まるで催眠術にかけられたような気分。
9点(2004-07-02 08:52:48)
55.  惑星ソラリス 《ネタバレ》 
死んだはずの妻が生き返って愛を確かめ合う・・・・・・そして、改めて妻は消えていく。この悲哀に満ちたストーリーに「雨月物語」のイメージがつきまとって離れなかった。そこへタルコフスキー監督関連のサイトを探してみたら、彼自身があげたベストテン映画作品の中に「雨月物語」が入っていたことに仰天! 彼の作品の中には、ほとんど必ずと言っていいほど叙情性あふれるしっとりした潤いが奥底に流れている。昔の邦画が大切にしてきた無駄な遊び、余韻を彼の作品群にも感じる。ソラリスの海の映像を眺めているだけで、ストレスを開放されるような、奇妙なアンニュイを感じた。難しい精神の理屈だけを問うのではなく、一篇の美しい詩として歌い上げているところに人気の高さがあると思う。
9点(2004-06-17 11:15:40)(良:1票)
56.  紫式部 源氏物語
酔えました。ラストまで一部の隙なく酔えました。いろいろな形でこの古典に触れる機会はあれど、この作品ほど光源氏の身を切るような孤独を実感できたものはなかった。妖しいまでに美しい桜の花が、作品の中でちらちらと舞ったり、画面を埋め尽くすほどに潔く散ったりするのを眺めているうちに、杉井監督のマジックにかかってしまった。花が散るのはいずれ美がついえてしまう不安さを表している。ひとときの至福が、すぐにしぼみ、はらはらと掌からこぼれおちてしまうような不安定さがたまらない。桜の花びらはそのまま源氏のとどまるところを知らない人恋しさや、その気持ちが引き起こすトラブルを象徴しているような気がしてならない。この作品はストーリーを知るという目的で見るよりも、あらかじめ物語を予備知識に入れてから鑑賞した方が、より深い味わいを得られると思う。
9点(2004-01-01 02:10:33)(良:1票)
57.  ブロークダウン・パレス 《ネタバレ》 
ラストには悲しいながらも大いに納得。事件に巻き込まれ獄中裡にあって冤罪に苦しめられている人が、現実にまだ世界各国に大勢いるのだから。クレアの居残りはまさにその象徴。この問題は単にクレアたちのケースに限らず現在進行形だというメッセージを伝えたかったに違いない。実話を含んだ映画は単に話が面白いだけじゃなくて、世間に是非を問う使命を伴って作られるべきものだと思う。だからこそ後味が悪いからと言って逃げず、ラストの意味をじっくり考えないといけない。
9点(2003-12-17 21:31:03)(良:1票)
58.  キャスト・アウェイ 《ネタバレ》 
映画の中ほどから阪神大震災のイメージがつきまとって離れなかった映画。ライフラインが断ち切られたときって、もしかしてこんなの? これでもかというほど難題が前途に立ちふさがっていて、死ぬこともできない、とりあえず息をついて、その場を生きるしかない、でも人生の途上で絶望の中でも何が起こるかわからない、というゼメキスのメッセージに泣いた。画面いっぱいにぬぼうっと現れた船の演出には鳥肌が・・・・・・船は転機の象徴そのもの。人生の転機がいつ訪れるかしれない、それに賭けて生きろ、ということか。「巨大な寓話」とも言うべき作品だった!
9点(2003-12-17 14:12:23)
59.  轢き逃げ 最高の最悪な日 《ネタバレ》 
『パーフェクト・ストーム』では、不漁続きの中やっと大漁に恵まれたのに冷凍庫が壊れ、このまま帰港すれば嵐の直撃を受けるが、嵐を避けるためにその場にい続ければせっかくの魚が腐ってしまう・・・・・・という二択。 『エベレスト3D』では、頂上が目の前まできているのに、登頂すれば、酸素ボンベが空になり嵐に巻き込まれるという二択。 強い誘惑を自制するほどの決断、それも、その後の人生を左右する重大な決断を瞬時に下さねばならないとき、自分はどう動けるか。 映画はこうしたシミュレーションをとても生々しく体験させてくれる。本作は、単なる娯楽としてストーリーを楽しむだけではなく、「自分だったらどうしたか?」と自問自答するにふさわしい作品だったと思う。 私が最も重視したのは、轢き逃げの被害者遺族の強烈な疑問、 「事故が起きたとき、娘はまだ生きていたのか?」 おそらくこの問題こそが、遺族や加害者の心を、今後半永久的に苦しめる。 「あの時救護していたら、助かったかもしれない」という可能性は、両者の間で何年たっても「0」にはならない。 事故を起こしたら、決して逃げてはいけない。被害者はいうに及ばず加害者自身のためにも。  ただ、結婚を目前に控えて浮ついていた秀一には、とても不可能な選択だったと思う。 後頭部を強打した女性の痛みよりも、まず自分の人生が「終わった」と感じる時点で、轢き逃げ要素大ありだった。 私だったら「わーっ!」と奇声をあげながら怪我人に駆けよる自信がある。「終わった・・・」と思うのはきっと救護中だ。 一度も車から降りない、被害者の様子を確認しようともしない、判断力の鈍った高齢ドライバーかお前は、とかなりムカついた。  それにしても、未必の故意の轢き逃げだったとは。 (そもそも轢き逃げ自体「未必の故意」に相当するわけだから、この場合「二重の意味で」と強調すべき?) 犯人のあまりの幼稚さ、残酷さに言葉を失った。 話の半分を過ぎたあたりで、消去法から「こんなことができるのは彼しかいないな」とわかったものの、社長令嬢との結婚といい『エリア88』タイプの愛憎劇か、うぅ、後味悪そうな予感しかないと覚悟しながらの視聴だった。 そんな内容でも、水谷豊演じる父親が犯人に行きつくまでの過程が素晴らしい。両親を深く愛していた娘にこの父、この母。悲しみを内に秘めた、抑えのきいた2人の演技が深く心に響いた。 思い返せば、次々にあのシーン、このシーンと心に浮かんでくる。苦くて辛い涙もあるけど、いい映画だったなとしみじみ思う。
[インターネット(邦画)] 8点(2023-05-14 17:17:04)
60.  JUNK HEAD
触るのも勇気がいるほど不気味なロケーションと生き物たちばかりなのに、なんでこんなに愛らしいの? 体に生えたキノコならぬクノコなんてもう、生理的にダメ、全身に鳥肌が立つほど気色悪いのに、ジャンク・ヘッドがだまし取られそうになったとき、何とか取り返せ!と心の中で叫んでいる自分に気が付いて、おいおい!ってなった。
[インターネット(邦画)] 8点(2023-01-27 15:28:42)
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