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まいかさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 213
性別 女性
ホームページ http://plaza.rakuten.co.jp/maika888/
自己紹介 正直、生まれは平成じゃないです。かなり、昭和なムード。昔みた映画を思い出しながらレビューしますので、記憶がずいぶんあやふやかも。なにか変なところがあったら、http://plaza.rakuten.co.jp/maika888/のほうにツッコんでおいてください。

好きな女優
 「或る夜の殿様」の山田五十鈴、「近松物語」の香川京子
好きな男優
 「お茶漬けの味」の佐分利信
好きなキャラクター
 グレムリンちゃんとマシュマロマン

☆評価基準
10点:超絶。ほとんど奇跡。
9点:傑作。かつ大好きなんだもーんッ!
8点:傑作だし、好きデス。
7点:素晴らしいです。好みの映画です。
6点:まあ、悪くないと思います。
5点:なにか気になるものはあります(~~;

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41.  静かなる決闘
黒澤の中でわたしのベスト。そもそもわたしはクロサワの時代劇よりも現代劇のほうが断然、好き。話は単純だし、思いっきり勧善懲悪的なんだけど、そんなことはどうでもいい。この強引さこそ、クロサワの魅力。そして「皮膚感覚」にうったえてくる表現力の圧倒的強さ。『野良犬』の蒸し暑さも、この最初のシーンの野戦病院の砂ボコリと息苦しさも、皮膚をとおして感覚に迫ってくる。それから、クロサワ映画では、物語を強引に形づくる登場人物の顔立ちや輪郭がすごく強いです。三船敏郎の顔も、志村喬の顔も、まるで鉛筆でくっきり描いたみたいに線が強い。関係ないけど、『生きる』のときの志村喬の顔なんて、ほとんど手塚治虫のマンガみたいだったし(~~;; 。
9点(2004-03-19 14:50:32)(良:1票)
42.  早春(1956)
わたしの小津の中でベスト。純粋で、端正で、品があって、キレイな映画。 小津はカラーになったら、ちょっと卑猥で下品な作品をつくるようになりますよね。エロおやじの大学教授とか、うんちの話とか。小津にとって「色がつく」ということは「エロくなる」ということだったように思う。もちろん、それはそれで面白いんだけど。でも、それに対して、小津のモノクロ時代の作品は、みんな清潔だし上品です。この作品は、全作品中でも異色作と言われるけど、次の「東京暮色」ほど特異な感じはしない。そもそも浮気なんて、登場人物が口々に言ってるように、どこにでもある話です。もしも、この作品が特異だとするならば、それは小津作品の中で唯一「春」を描いているということでしょう(じっさいの物語の季節は夏のようですけど)。「秋」とか「遅い春」といったイメージが強い小津映画の中で、この作品だけが、タイトルどおり「春」そのものを瑞々しく描いてる。男の人たちにまじって自由奔放にふるまう岸恵子が可愛くて好きです。かなり開放的で大胆ではあるけど、けっして慎ましさや、爽やかさや、瑞々しさというものが損なわれていない。まあ、これがカラー作品だったら、もうちょっと下品だったのかもしれませんけども。これはモノクロ時代の最後のほうの作品ですし、モノクロの小津作品の端正さがここで完成されてるように思います。長時間の映画ですが、まるで爽やかな短編佳作のようで、長さを感じさせません。
[映画館(邦画)] 9点(2004-03-19 14:17:28)
43.  永遠の人
大好き!エキサイティング!フラメンコ!こんな日本映画はほかに思いあたりません!ラテンの血がたぎる。 だって、ラテン的な感受性って、不幸になればなるほど燃えるんだもん・・(~~;;。もう、仲代達也の目が、(ただでさえギョロなのに)気持ち悪いぐらいギラギラしてます。高嶺秀子のほうは白くて小さい可憐なお花みたい。夜、仲代達也が襲ってくるんだぞぉ~ッッ!!
9点(2004-03-18 11:22:37)(良:1票)
44.  3-4X10月
なんとなく『ソナチネ』よりもこっちのほうが好き。たけし映画の中の私のBest。こっちのほうが先に観たし、その強烈な印象が抜けないからだと思う。展開もギャグも大胆だし、いい感じで転倒してるから。映像美だって劣ってない。 だって2作目でしょ、これ。すごいと思う。でも、あのときの観客は、たしか館内に3人ぐらいでした・・(~~;;。 ラストもすごい大胆。その暴力をつつみこむ草野球の光景も好きです。 なんとなく、「事故」前の作品って、海の青よりも空の青の印象が強いですね。
9点(2004-03-18 10:07:58)
45.  春のソナタ
ロメールの中でいちばん好き。だって可愛いから。春の町なみも、女の子の服装も、物語の結末も、みんなかわいくて愛おしい。
9点(2004-03-18 01:51:45)
46.  エル(1952)
出た!ラテンおやじのエロ作品。 「腿(あし)」が対象とはいえ、エロティシズムが日本人みたいにちまちましていません。ドカン!といかなきゃいけません、ドカンと。 なんつったってエロティシズムはなまものなんですから。
[映画館(字幕)] 9点(2004-03-18 00:05:04)(良:1票)
47.  女は二度生まれる 《ネタバレ》 
見終わった直後ですが、恐怖のあまり、いまだ動悸がおさまりません。 序盤は、大映の様式的な映像美のせいもあって、わりと落ち着いたテイストの人情喜劇かと思ってましたが、芸者置屋をやめて以降の流れはかなり目まぐるしく、主人公の心理にも話の展開にもついていくのが難しくなる。そして最終盤の10分間は、気持ちがえぐられるような衝撃の展開。ラストシーンは、(最初のレビュアーの文章にもありましたが)まさしくブラックホールのような終わり方でした…。これほど予想を覆す脚本の映画は観たことがないので大きなショックです。 これはリアリズムのための手法だと思うけど、やはり藤巻潤のキャスティングがえげつない。そこが通常のセオリーを大きくひっくり返しています。 しかし、よくよく考えてみれば、序盤の会話にもあったように、2人は戦争で家族を失った犠牲者なのです。主人公は、それゆえにこそ互いに分かり合える関係を期待したのだろうけど、逆に言えば、戦争の犠牲者だからこそ、他人を利用してでもしたたかに生きるほかなかったのかもしれない。実際、いくら祈ったところで靖国神社は救ってくれなかったのだし、それは主人公自身も同じなのだから、藤巻潤の残酷さを責めることはできないのでしょう。
[インターネット(邦画)] 8点(2024-04-12 01:51:20)
48.  シェルブールの雨傘 《ネタバレ》 
サントラで聴く音楽が似てたので、きっと「ラ・ラ・ランド」の原型はジャック・ドゥミなんだろうと思ってましたが、ここまでソックリな話だったとは驚きました。つまり「ラ・ラ・ランド」は、ほとんどこの映画のリメイクなのだと言ってもいい。未熟な男女の幼くも甘い恋の夢が、現実と打算に破れて別の相手と結婚してしまい、それぞれが人生の安定を手に入れた後に再会する…という物語の構造はほぼ同じです。ただ、本作の場合は「ラ・ラ・ランド」と違って、男女の幼さだけが原因なのではなく、母や叔母の望んだ相手との妥協の結婚だったという面もありますが。 それにしても、再会を約束したうえに妊娠も分かっていながら、わずか2年の兵役さえ待てずに別の金持ち男と結婚するってのは、一般的な日本人の価値観からはかけ離れてすぎていてドン引きです。さすがは二股三股の恋愛が当然のフランス人恐るべしですが、裏を返せば、連れ子をまったく厭わないフランス人の寛容さなのでしょうか。いちおうアルジェリア戦争を背景にはしていますが、これを「戦争によって引き裂かれた悲恋」とは解釈しにくいし、ここから反戦のメッセージを汲み取るのも難しい。 とはいえ、漫画か御伽話のようなカラフルで可愛らしい世界のなかで、夢見る男女が歌だけで繰り広げる物語には、やはり愛おしさと切なさを感じてしまう。ルグランの音楽も相まって、フランス人のお洒落なセンスが画面に充溢してます。冒頭の雨の降らせ方が初歩的な技術も覚束ないようなヘタウマに見えるのも意図的なんでしょうか?
[インターネット(字幕)] 8点(2024-04-11 02:07:46)(良:1票)
49.  ドライブ・マイ・カー 《ネタバレ》 
さして中身のある映画ではないし、かりに「喪失の苦しみから立ち直る話」だとしても、チェーホフをなぞったキリスト教的な価値観の物語を現代の日本人が本気で作ってるとも思えない(欧米の観客は真に受けてるのかしら?)。とはいえ、それでも面白く観れてしまうのは事実。それは、ひとつにはサスペンス劇としての面白さだと思います。つまり、スリルや謎解きが物語の動機になってるのですね。 結末をネタバレすると、(前作「寝ても覚めても」では震災前と震災後で世界の見え方が変わったのに対し)この映画では岡田将生が「空き巣殺し」の話をした瞬間に世界の見え方が変わり、西島秀俊と岡田将生の立場が逆転して、他人に演じさせていた主人公がみずから演じる立場へと追い込まれ、自分の本心を引きずり出すように強いられるのですね。そして、序盤の「何が真実なのか」という謎に対して「すべてが真実」という予想外の解答が示される。つまり、本当と嘘を区別してたのは自分自身であって、嘘はほかならぬ自分自身の中にあったという話。演じさせる人間のほうに嘘があって、演じる人間には噓などなかったというオチです(これは東出昌大と唐田えりかの隠喩ともいえる)。 この物語にはたして3時間の上映時間が必要なのか分からないけど、不思議と飽きることはありません。それはサスペンス劇としての興味や緊張感のせいでもあるし、役者の演技をドキュメンタリーのように追う濱口竜介の演出手法のせいかもしれない(長回しを多用してるわけではなく、きっちりカットを繋いでるのだけど、それでもドキュメンタリーのように観れてしまいます)。冒頭30分ぐらいのところで、ようやくオープニングクレジットが出てくるのも斬新で「ああここから物語が始まるんだな」と思わせられるけど、そこから先の、かなりの割合を占める車の走行シーンや演劇の稽古シーンも含めて、長いことは苦痛になりません。そこに濱口竜介の稀有な非凡さがあると思う。石橋英子の音楽もカッコよかったです。
[インターネット(邦画)] 8点(2024-04-09 23:07:59)
50.  すずめの戸締まり 《ネタバレ》 
前作「天気の子」のレビューにも書いたのだけど、新海誠の作品はあくまで《自然》が主役であって《人間》は脇役なのよね。そして新海誠というクリエイターも、《自然》を描くことにかけては一級だけれど、《人間》を描くことにかけては三流だと思う。 日本各地に廃墟が増えるほど地震も増えていくという設定には不思議な説得力があり、自然災害にかんする神話的な想像力をビジュアル化する能力はあいかわらず傑出してるし、被災者に希望を与える物語にも力強さは感じます。しかし、その反面、少女の成長物語にかんしては、多くの時間を割いてるわりに、取ってつけたような安っぽさの域を出ません。たかが一晩足らずスナックの手伝いをしただけで少女が人間的に成長したりはしないし、数日一緒に過ごしただけの大学生に命を捧げるほどの恋愛感情が生まれるわけもない。そこらへんは、およそ説得力のない物語というほかありません。 前作「天気の子」のように、自然との闘いを神話的に描く要素が増えるほど、どうしても内容が難解になってしまうので、そのぶん世間的な評価は下がるのでしょうし、逆に「君の名は」や「すずめの戸締り」のように、ヒロインの恋物語や成長物語の要素が増えるほど、話が分かりやすくなるので、そのぶん世間的な評価も高まるのでしょうね。しかしながら、わたし自身の評価は、世間的な評価とは反比例にならざるをえません。たんに前作よりも分かりやすくなっただけで、作品世界が深まったようには見えない。 災害や、被災した自分自身との闘いのストーリーとしてなら9点ぐらいつけたいけれど、少女の成長物語や恋物語としては、せいぜい6点ぐらいの評価にしかならない。残念ながら、前作を上回ったとは思えませんでした。
[地上波(邦画)] 8点(2024-04-06 00:19:02)(良:1票)
51.  ゴーストバスターズ/アフターライフ 《ネタバレ》 
世評が低いので期待してなかったけど、想像をはるかに超える出来のよさに驚いた。最後のゴーザとの対決は、もっと派手に壮絶にすべきだったと思うけれど、そこへ至るまでの展開には何の不満もありません。ゴーストバスターズの続編はこうあるべきという模範的な内容になってる。実際に死去していたハロルド・ライミスを物語に組み込み、第1作の37年後の物語として納得感のある設定と物語になってる。悪くいえば、あまりにも模範的で「続編」の枠組みに縛られすぎともいえるけど、よく練られた脚本には違いないし、主人公の女の子もちゃんとハロルド・ライミスの孫に見えます。 第1作から解釈を進めた点があるとすれば、それは「幽霊」と「ゴースト」を区別したことですね。人間が死んだら幽霊になるけれど、それはオバケではないってこと。今作のCGの最大の見どころも、やはりハロルド・ライミスの幽霊をリアルに出現させたところだと思います。 子供達を活躍させるために広大なオクラホマへ舞台を移したのも良かったし、小さなマシュマロマンも可愛かったし、相変わらず口の減らないビル・マーレーも楽しかった。科学好きの学校の先生は、生徒たちと一緒に戦ってくれるかと思いきや、ほとんど役に立たず、あっさり鍵の神に憑りつかれたのは意外でした。主人公のお母さんは色気のある美人だと思ったら、シガニー・ウィーバーと同じ役どころだったんですね。でも、わりとあっさり黒人の女の子と入れ替わってしまった。そこらへんの顛末も、もうちょっとドラマティックに盛り上げるべきだったかもしれません。2時間超えの映画ではあるけど、終盤の展開にかんしては、あと20分ぐらい伸ばして派手に盛り上げてもよかったかな、とは思う。鍵の神が破壊したゴーストの封じ込め施設もちゃんと修復すべきだったし、アジア系の男の子にももうすこし終盤の活躍の場を与えてほしかったし、その他大勢のクラスメイトやバイト仲間たちにも終盤まで役割を与えるべきではある。 これはすなわち「死後のゴーストバスターズ」であると同時に「隔世遺伝」の物語でもありますが、チェコ系アメリカ人だったアイヴァン・ライトマン以上に、息子のジェイソン・ライトマンのほうが先祖返りして一層チェコっぽい奇想のセンスが強まってるように見えて、それもまた隔世遺伝かなと思いました。
[地上波(字幕)] 8点(2024-03-30 00:27:41)
52.  子供はわかってあげない 《ネタバレ》 
多用される長回しは、相米慎二みたいな「運動する身体」ではなく、むしろ「間」を含めた役者同士の掛け合いを時間ごと写し取る演劇的な表現です。この長回しの掛け合いがことごとく面白かった。何故こんなに面白いのか分からないけれど、微妙なズレが笑いを誘うのかもしれません。 タイトルは、おそらくトリュフォーを逆手に取って、子供のほうを主体にしてるわけですね。すなわち「わかる」かどうかは大人が決めるのではなく、あくまで子供が決めるべきだって話。そして、この場合の子供とは、たんに「生物学的な子」という意味であって、けっして「人格的に幼い」という意味ではない。人格的にはむしろ大人と対等だということ。 一緒に暮らしたことのない実父が新興宗教の教祖というシリアスな状況ながら、「真面目になればなるほど笑ってしまう」という少女の物怖じしない性格のせいで、何もかもがどう転んでも間抜けなコメディになっていく展開はユニークです。同時に、思春期の少女の話でありながら、萌歌の体格の良さと、ボーイッシュな容姿と、屈託なく逞しいキャラクターのせいで、男性監督の願望投影になりがちなロリコン要素をほとんど感じさせないのも清々しい。すくなくとも終盤までは恋愛要素をまったく感じさせないのも今っぽい。その意味で、萌歌の魅力と個性も存分に引き出せてると思う。 ただ、それだけに、終盤になって門司くんが小田和正みたいな音楽とともに走り出してからは、ありきたりな「思春期の少女の恋の物語」に収まってるし、その結果、ありきたりな「女子の成長と通過儀礼の物語」に見えてしまう。そのうえ「物分かりのよい子どもの物語」にもなっていて、たとえそれが原作どおりだとしても、ちょっと結末に意外性がなさすぎます。そもそも映画の中心主題は「父娘の交流」だったのだから、いきなり終盤で「恋愛の成就」になるのは唐突に感じる。途中までは9点つけようかと思いましたが、終盤の予定調和的な展開に1点減点。
[インターネット(邦画)] 8点(2024-03-02 01:10:45)
53.  時をかける少女(1983) 《ネタバレ》 
なにげにちゃんと見たのは今回がはじめて。正直なところ、期待値は高くなかったのだけど、意外なくらいの名作っぷりにビックリ。よくもわるくも、大林宣彦の作風ってずっと変わらなかったのね(笑)。初期の作風が晩年まで維持されてたのだなァと思う。綺麗なリマスター映像のせいもあり、あまり古さを感じませんでした。断崖絶壁の海岸のイメージなども、晩年の作品まで維持されてますよね。 ノスタルジックな感傷趣味やロリコン趣味はやや気持ち悪いところもあるけど、知世の演技は懸念してたほど悪くなかったし、MV風のエンドクレジットも可愛かったです。尾道の町並みも美しいと思いました。 内容的にも、のちの角川版や細田版にくらべて物語の深みを感じる。とりわけ重要なのは、吾朗ちゃん(尾美としのり)の位置づけです。角川版の吾朗や細田版や津田功介にはほとんど存在意義がありません。しかし、大林版における吾朗の存在はきわめて重要だと思える。 主人公の芳山和子が深町くんに抱いた想いは、じつは吾朗ちゃんへの想いだったわけです。いわば、深町くんというのは「吾朗ちゃんの代理」だった。それはちょうど『さびしんぼう』において、尾美としのりが富田靖子に抱いた想いが、じつは母親(藤田弓子)への想いだった、という構造に似てる。さびしんぼう(富田靖子)は「母親の代理」だったのです。これらは、おそらく「もっとも大事な人がもっとも身近にいることに気づく」という愛の物語ですよね。 他方で、老夫婦(上原謙&入江たか子)にとっての深町くんは、幼くして亡くなった孫の代理でした。死者を代理することで、存在しえなかった人物が現出している。それは、たとえば広島や長崎の歴史において、存在しえなかった誰かを現出させるような不思議なパラレルワールドです。これは、たんなるタイムリープの物語ではなく、作り変えられた記憶を経験するマトリックス的な物語だといえる。 個人的には、ロリコンとノスタルジーの入り混じったセンチメンタリズムが苦手なのだけれど(それをいちばん感じるのは子供が指の傷を舐め合うところ)、この映画の場合、それがSF設定の肝になってるのは否めない。その意味で、これは「アイドル映画」というよりも、日本を代表する「SF映画」として評価すべき作品だと感じました。
[インターネット(邦画)] 8点(2024-02-26 06:45:37)
54.  ハリー・ポッターとアズカバンの囚人 《ネタバレ》 
第1作よりは、だいぶ面白かった。ゴシックファンタジー的なテイストの映像も雰囲気があってよかったし、バックビークの動きのスペクタクルも見事でした。 とはいえ、さすがにシリウス&ルーピン&ペティグリュー&スネイプの4人の過去の関係については、映画を観ただけではよく理解できず、「なんか敵味方の入り混じる複雑そうな話だな」と思うばかりでした。そもそも学校側が誰の味方なのかも謎だった。ややこしい部分はあえて端折ってるのか、それとも表面だけをなぞる形にしてるんでしょうか? 水辺の対岸に現れたシシ神さまは、どう見ても「もののけ姫」でしたね。それから、空飛ぶホウキや、透明人間マントや、タイムワープ時計などの道具も、どんどん「ドラえもん」的になってる気がする。
[地上波(吹替)] 8点(2024-01-27 02:01:55)
55.  風の谷のナウシカ 《ネタバレ》 
実質的なジブリ第1作(正確にはジブリ設立前)…という意味で記念碑的な作品ではあるけれど、やはりこれを映画化するのはちょっと無理があったのかなあ、という気がします。神話的な魅力はありますが、世界観があまりにも壮大すぎて、これを見ただけでは物語の構造が理解できないし、唐突なハッピーエンドにも置いてけぼりを喰らいます。腐海の下に清浄な世界が存在することの意味も分からないし、出てきたとたんに溶け落ちてしまう巨神兵が何だったのかも分からないし、瘴気に汚染された森と谷がどうなったのかも分からないし、戦争が終結したのかどうかも分からない。 数十年ぶりに観ましたが「よく分からない」という印象は同じです。今回はテレビの字幕付きで見たけれど、初見のときは音声だけだったので、なおさら理解するのが困難だったと思う。 やはり、これは原作への入り口なのでしょう。この映画だけで満足できてしまう人は、映画どまりでもいいのだろうけれど、映画に納得しきれない人は、原作を読んで、さらに深く苦悩させられるわけですね(笑)。 ちなみに、あらためて観てみると、作風がかなり「コナン」っぽいなと思いました。終末的な世界観も、風景や町並みも、メカニックも、人物造形も、ヒロインを含めて女性のバストが大きいところなども「コナン」っぽいし、久石譲なのに電子音楽が入ってくるところも「コナン」っぽいです。 それにしても、のちのエヴァvs使徒の物語を考えると、ここで庵野秀明が巨神兵を描いたのは運命的だったのですね。ナウシカの物語とエヴァの物語は隣り合っているように思えてきます。エヴァってのは、ある意味「ナウシカ外伝」もしくは「シン・ナウシカ」なのでしょうね…。
[地上波(邦画)] 8点(2023-07-08 18:52:51)
56.  コーダ あいのうた 《ネタバレ》 
「エール」のほうを先に観ました。基本的なストーリーは同じですが、細かい部分でアレンジが加えてあります。「エール」はよく言えばリアルなのですが、そのぶん下世話すぎて醜悪なところもあるし、登場人物にもスッキリと共感しにくいところがあります。「コーダ」のほうは、下世話な要素が抑えられていますし、人物造形もよりシンプルになっており、両親にも共感しやすいし、兄貴や彼氏や女友達の位置づけも明確になっていて、全体として納得感を得やすい形に整えられている。 それにしても、目のつけどころさえよければ、リメイクでもオスカーが取れてしまうということですよね。 余計なお世話かもしれませんが、「コーダ」を先に見てしまった人は「エール」を見ないほうがいいかもしれません(笑)。
[地上波(字幕)] 8点(2023-06-17 14:01:47)
57.  浮草 《ネタバレ》 
GYAOの無料動画で視聴。昔いちど観たはずだけど、まったく中身を忘れていました。 カラー時代の小津のエロコメディの文体で撮られていることに加え、家族ではなく旅芸人を題材にしたリメイク作品であること、関東ではなく関西(小津の故郷の三重県)を舞台にしていること、松竹ではなく大映で作られたこと…など、いくつかの点で特異性があります。キスシーンが多いのも意外だし、杉村春子と京マチ子の対決ってのも、いま考えるとスゴいことだなあと思う。 リメイクしただけのことはあって、お話はとてもドラマティックで面白い。映画人だって旅役者と同様のヤクザ稼業には違いないから、この物語は小津にとって(舞台を故郷に設定したことも含めて)他人事じゃなかったのかもしれません。その哀しい生きざまを、松竹ではなく大映の役者に演じさせたのですね。 端的にいえば「パワハラ親父の毒親物語」なので(当時の観客は旅役者の境遇に同情したかもしれませんが)、現在の観客なら、こんな両親を許せないだろうし、むしろ「息子たちは物分かりがよすぎる」とさえ感じるかもしれません。 しかも、村の女たちと旅役者たちとの行きずりの恋は世代を超えて性懲りもなく反復されており、いわば構造的な悲劇であることが暗示されています。たとえば床屋の娘は、父親ではなく母親に守られていますが、村の男たちも客商売なので、ふしだらな旅役者といえど無下にはできない弱い立場にあって、一様に無口で影が薄いのですね。したがって、村の女たちは(ある意味では自由とも言えるけれど)自分で自分を守るしかありません。 隠し子を生んだ主人公の男女は、浮き草のような自分たちの生き方に後ろめたさを感じ、郵便局勤めのお堅い息子に希望を託していたものの、結局は世代を超えて同じ過ちが反復され、その身勝手な希望もあえなく砕かれます。「蛙の子は蛙」という哀れなセリフには思わず笑ってしまいました。これはほとんど希望の見出せない物語。旅役者の男女が再起できるとも思えないし、残された母子が女優あがりの若い娘と上手くやっていける保証もない。むしろ息子の進学や出世の可能性はかなり狭まったと言ってよい。小津と野田はあからさまな悲劇にはしたくなかったでしょうが、あたかも希望があるかのように終わらせるのは無理がありました。実際は、かなり悲劇的なエンディングだと思います。
[インターネット(邦画)] 8点(2023-03-16 06:52:04)
58.  テルマエ・ロマエ 《ネタバレ》 
初めての鑑賞です。面白かった。ものすごくくだらない内容なのに、それなりの教養にもなるところがスゴイ(笑)。たんに「顔が濃い」という理由だけで集められた俳優たちも笑えますが、これが驚くほど古代ローマの風景に溶け込んでおり、これならイタリア人でも違和感なく観れるんじゃないかと思いました。まあ、いくらファンタジーとはいえ「日本人が古代ローマ文明を発明した」という歴史修正主義はイタリア人から見れば噴飯ものでしょうが、さすがに日本人とは言わないまでも「属州の異民族文明を吸収することで古代ローマ文明が発展した」という面は実際にありそうな気がします。古代ローマ人にお姫様抱っこされるのがヤマザキマリの願望だったのかしら?続編も楽しみです。
[地上波(邦画)] 8点(2023-02-12 22:33:01)
59.  東海道お化け道中 《ネタバレ》 
GYAOの無料動画で視聴。 聖域を荒らした悪人たちが、宿場の妖怪や死んだおっ母さんの霊力によって退治されるという教訓的な内容。眠狂四郎シリーズなどの虚無的な恐ろしさとは違って、妖怪たちが宿場の治安を守ってくれる内容なので、安心感こそあれ、恐怖はほとんどありません。年にいちど鬼塚に集まるのは妖怪ではなく、むしろ各地の神々と言ったほうがいい。 本郷功次郎のキャラは岡っ引きみたいな風情で、さほどの貫禄もなく殺陣も軽めで立ち回りのシーンは呆気ない。弟分の悪しき正体に気づけないなど洞察力も乏しい。敵をやっつけるのはあくまで妖怪の霊力ですから、本郷功次郎の役回りは脇役にすぎないのでしょうね。 いちばん卑怯な裏切り者のチンピラがお父っつぁんだったという展開はちょっと驚きましたが、そこが唯一のフックになって物語に複雑な深みと味わいを与えています。サイコロと書き付けの伏線も最後にきちんと回収されます。欲をいえば、死体が沈められた冒頭のため池のシーンが美しかったので、もういちど最後にそれを見せてほしかった気はする。 中盤のギャグパートは完全に滑っており、この監督の演出が軽みに欠けていてコメディに不向きなことが分かります。それでも、あらゆるカットの美しさが眼福なので7点以下をつける気はしません。渡辺宙明のマカロニウエスタン風の音楽は、良くも悪くもキャッチーで分かりやすいですね。なお、妖怪譚では「百太郎」という名前が定番のようだけど、その由来をネットで調べてみても分かりませんでした。 GyaOのおかげで安田公義の映画を立て続けに見ることができ、わたしとしては日本でもっとも好きな監督を発見できた気分ですが、この監督の一般的な評価が不十分なことに不満も覚えるようになりました。それについては自分のブログにでも書きます。
[インターネット(邦画)] 8点(2023-02-11 08:22:38)
60.  大怪獣決闘 ガメラ対バルゴン 《ネタバレ》 
GYAOの無料動画で視聴。これは傑作。ツッコミどころ満載の萌え萌え爆笑活劇! 湯浅憲明による第1作は映画の体をなしていませんでしたが、今回はベテラン監督に代わったおかげで技術的な基礎も安定し、カラー映像の色彩も美しい。木下忠治の音楽も面白かった。オープニングクレジットの背景画像は円谷プロの「ウルトラQ」ぽい感じですね。 特撮部分は湯浅憲明の功績でしょうが、怪獣がかなり可愛いです!両手をあげて火を吹くガメラも可愛いし、ニューギニアの怪獣バルゴンはもっと可愛い!蒲田くんのような顔つきにヨチヨチ歩き。カメレオンみたいにニューッと伸びる舌。背中から放たれるカラフルな虹。ガメラの顔を尻尾でビンタ…などの萌えポイントが盛りだくさん。沈没船から這い上がってきたのに水が苦手だとか、太陽光にも含まれる遠赤外線だけで奇形化するとか、致命的なほど弱いのも胸キュン。大阪城前広場での"ゆるキャラ対決"はスペクタクルとしても上等でワクワクしましたが、ガメラに殴られて紫色の血を流したときは胸が痛みました。 そもそも火星へ飛ばしたはずのガメラが、奇跡的な確率で隕石に衝突してあっさり地球にとんぼ返りする物語の発端が笑えますが、南洋ニューギニアのお約束のエスニックダンスも笑えますし、意味のわからなすぎる理論を連発する科学者もツッコミどころが満載。肝心なときに赤外線ランプが故障したり、ピストル男に簡単にダイヤを奪われたりする自衛隊のマヌケっぷりも凄い。最後はガメラのおかげでバルゴンが退治されますが、そもそも水力発電を破壊したうえにダムも決壊させたガメラを放置したままで大丈夫なの?(笑) あらためて火星へ飛ばすべきでしょ。 さて、怪獣がとても愛くるしいのに対して、人間のバイオレンスは相当にえげつないです。他人の奥さんを蹴り飛ばしたうえに殴り殺したり、日活アクションばりの乱闘のすえに柱へ縄で縛りつけるなど、かなりひどい。 本郷功次郎は正義の味方みたいに振舞ってますが、こいつも遺骨収集と偽ってニューギニアの宝物を無断で持ち出そうとした悪人に変わりはなく、しかも「ニューギニアくんだり」だの「土人の部落」だのと差別発言を繰り返す反コンプライアンス的な人物。戦没者にも現地人にも何ら敬意をもっていません。こいつもピストル男と一緒にバルゴンに食われればよかったのに。
[インターネット(邦画)] 8点(2023-01-26 18:57:23)(良:1票)
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