581. レプリカント
ヴァン・ダム愛好者としては、皆さんの意外(?)な好評価にウルウル。正直、脚本はヒドイものだと思いますが、2役大好きなヴァン・ダムは、ここでも正反対な善悪ヒーローを楽し気に演じております。それに、何と言っても、現代最高の役者のひとりと信じて疑わないマイケル・ルーカーが、本気でヴァン・ダムと演技でタメはっているのにも感動! 確かにB級作品ではあるけど、いいね、いいね!! 7点(2003-06-11 15:25:42) |
582. レッドソニア
ブリジット・ニールセンが唯一魅力的だった作品。クライマックス、無数のロウソクがゆらめく場所で女同士がくんずほぐれつ(?)する対決場面は、実にファンタスティックでありました。決して悪くない…どころか、かなりの”傑作”だと思うのに公開当時も、今も、無視され続けるのは、こういう職人気質なスタッフが低予算ながらにがんばっている映画への「愛」や「敬意」が、もはや存在しないってことなのね…。 8点(2003-06-11 15:03:05) |
583. レザボア・ドッグス
タランティーノって、画面の作りはほとんど過去の映画からの創造的引用(パクリ、とも言う)なんだよねえ。それを認められるか否かで評価が分かれるんじゃないでしょうか。まあ、ジョン・ウーやキューブリックからB・C級映画まで、元ネタ探し遊びに熱中できる向きには良いんでしょうけど…。でもぼくは、どうしてもその無邪気さが好きになれない。彼の映画への「愛」は、単なる意匠=衣装(ファッション)でしかないって言うか。「おもちゃ」にしているに過ぎないって言うか。 5点(2003-06-11 14:52:20) |
584. レオン(1994)
リュック・ベッソンの映画とは相性が悪いんで、全然期待していなかったんだけど…。いやあ、それ以上にショボい、イージーな代物だったなあ。ゲイリー・オールドマンなんか、もう完全に作品と監督をバカにしていて好き勝手にオーバーアクトしているかど、その気持ちが分かるってもんだ。作り手の幼児性丸出しぶりはいつものことだけど、『シベールの日曜日』(これも小生はキライ)みたく”無垢な男とませた少女の純愛”なんて気色の悪い映画なんか、もうゴメンこうむりたいっす。やれやれ。 3点(2003-06-11 14:34:17) |
585. ルル・オン・ザ・ブリッジ
うん、確かにもはや”禁じ手”の夢オチなんだけど、そのひねり方の才気はさすがポール・オースターって感じ。あの、映画の最初と最後に出てくる壁一面に貼られたピンナップ写真を、よ~く見ておくと、この映画の「謎」が解けます。そしてミラ・ソルヴィーノが最高に美しい映画としても、ぼくはそんなにキライじゃありません。まあ、ほとんど作家の趣味的次元を越えるものじゃないんスけどね。 5点(2003-06-11 14:23:09) |
586. ルナ・パパ
かなり悲惨な悲劇的ストーリーを、ここまで元気良く、ハチャメチャに、でも決してある種の品位を失うことなく、とびっきり楽しい映画に仕立て上げてしまった作り手のセンスに拍手! 公開当時、某キネ旬で「エミール・クストリッツァの亜流」とクサされたけど、あんな映画賞狙いの野心家の映画なんぞよりよっぽど素晴らしいやい。いつもビックリしたような瞳のヒロインも、実に健気なコメディエンヌぶりで素敵だしね。満点でも良いンだけど、ラストの「マジック・リアリズム」的処理は、もうちっと違うカタチの方が良かったんじゃ…というのがあって。 9点(2003-06-11 14:15:52) |
587. ルートヴィヒ(1972)
初公開時、滅茶苦茶な再編集短縮版と知らずに見てガッカリし、その後、4時間の「完全版」を見たもののやっぱり納得いかなかった…。美術も、カメラも、役者も、すべてに超一流であることは認めるものの、物語の叙述ばかりに追われた豪華絢爛たる紙芝居のような印象。見終わった後の空虚感は、ちょっと忘れられるもんじゃない。それが、ヘルム-ト.バ-ガ-扮するあの”狂王”の生涯の不毛ぶりと妙にシンクロするあたり、狙ってたのか…とも思わされるけれど。やっぱりこの映画におけるヴィスコンティは、衰弱している。残念だけど。 5点(2003-06-11 14:06:30)(良:1票) |
588. ルーカスの初恋メモリー
まるでひと昔もふた昔も前の少年漫画みたいなストーリーだけど(頭はいいけどチビで家庭に問題がある男の子が、年上の少女に恋をするが、彼女はハンサムなスポーツマンの別の男の子に恋をしていて…)、実に繊細かつ優しく主人公の日常を見つめる眼差しに好感大。”弱者”に対しての想像力が欠如したものの多いアメリカの青春映画にしては、ハートを感じさせてくれる貴重な作品かな。主人公にひそかな好意を持つ内気な少女役で、あのウィノナ・ライダー(映画デビュー)がとっても可憐な存在感を放ってるのもマル。DVDを買って持っておきたい1本です。 8点(2003-06-11 13:49:21)(良:2票) |
589. 私に近い6人の他人
今をときめくウィル・スミスが、あっと驚く演技派ぶりを見せてくれる、それだけでも一見の価値あり。しかも、シドニー・ポワチエの息子(!)と偽って上流社会の面々に取り入ろうとする心情が、日本の我々が見ても決して他人ごとじゃない”切実さ”を感じさせて、心にしみます。ほとんど話題にもならない舞台劇の映画化だけど、映像的にも工夫が凝らされて、忘れ難い佳作と言えるでしょう。 8点(2003-06-09 19:45:57) |
590. わが心のボルチモア
バリー・レビンソン監督の最高傑作と言ってよいかもしれない。自らの祖先のたどってきた道のりをモデルにした、半自伝的ストーリーだけど、決して甘いノスタルジアや感傷に陥らない批評性と、ドラマとしての構築力が、普遍的な感動を呼んでくれます。特に、ア-ノン=ミュラ-・スタ-ル演じる祖父の残酷な末路は、孫世代だったレビンソン自身の胸の痛みと痛恨の念がヒシヒシと伝わってきて、悲痛そのもの。確かに地味だし、スペクタクルな見せ場もない映画だけど、この”美しさ”だけはきっと誰の心にも忘れ難いインプレッションをあたえてくれるものだとぼくは信じています。 10点(2003-06-09 19:36:56) |
591. 夜霧のマンハッタン
ミステリーかと思えば、都会調のしゃれたコメディー風でもある。それを「中途半端」ととられた方もいらっしゃるようですが…。1930・40年代のハリウッド映画には、こういったソフィスティケーテッドな軽いミステリーがたくさんあったそうで、『影なき男』シリーズとか、今見てもスマートで楽しい。これはそういったセンを現代に復活させようとした、そして見事に成功した1本だとぼくは思っています。レッドフォードはもちろん、。デブラ・ウィンガーにこんなロマンチックな味が出せるってのも、うれしいオドロキだったし。このあたりも含めて、アイバン・ライトマン監督が『ゴースト・バスターズ』だけの人じゃないってことを証明してみせたってことでしょうか。イイじゃないすか、これ! 8点(2003-06-06 18:06:24) |
592. 許されざる者(1992)
いまさら何を付け加えようかって感じですが、イーストウッドの最高傑作のひとつにはやはり敬意を表したくて。この映画を見た後、あのブーツの歯車の陰鬱は響きがいつまでも耳に残って離れなかった。雨の夜のなかにゆらめく星条旗の、実にシンボリックな見せ方にしびれた。事件の発端である、顔を斬られた娼婦の不思議な存在感に打たれた。…もう、何もかもが「見事だ…」とつぶやくしかない、これはそんな映画の中の映画であります。 10点(2003-06-06 17:57:06) |
593. 夢を生きた男/ザ・ベーブ
すべてにオールドファッションな、そういう意味じゃ反時代的タッチと言えなくもない伝記ものの王道。やはり、点数が悪いっすねえ…。ぼくは大好きですけどね…。特に、ベーブ・ルースの薫陶を受けた少年が、引退試合に青年として再登場するくだりは、常套手段だとは分かっていても泣ける。今どき、こんなパターンをきちんと踏襲してくれる作品の方が貴重じゃないですか、皆さん! 決して好きな監督じゃないけど、アーサー・ヒラー、さすが大ベテランらしい良い仕事っぷりです。 8点(2003-06-06 17:46:05) |
594. UFO少年アブドラジャン
やはりあの親父さんのキャラに尽きるでしょう。ほんと愛すべき俗物って感じで、宇宙人少年とのやりとりや、かみさんの尻に敷かれてるあたりの日常風景の面白さが、とってもいい感じ。ウウベキスタンの田舎町というロ-カル色も、作品に民話調の大らかさを与えているしね。共産主義政権への風刺も、実にユーモラスに処理されていて、一見プリミティヴだけど意外や洗練されたタッチによって作られていることも分かる。スピルバーグ、この作品見たのかなあ。見たならきっと喜んだだろうなあ。 8点(2003-06-06 17:34:53) |
595. 勇気あるもの
実は『レナードの朝』が生涯のワ-スト作であったりする小生は、どうもペニ-・マ-シャル監督と合わないのかも…。この映画も所詮は軍隊賛美のプロパガンダじゃん、とシラケまくりだったワケで。「教育が、より良い軍人を作る」ってか? …かんべんしちくり~!! 4点(2003-06-06 17:19:31) |
596. 柔らかい殻
確信犯的にイヤ~な嫌悪感を見る者に与える、そういう点で言えばかなりの野心作。連続殺人鬼の正体(?)と、大地に接吻せんばかりに泣き伏す少年の姿を捉えたラストシーンは、ドストエフスキーの『罪と罰』でしょうか? すべては、少年の歪んだ妄想ともとれる、しかしそうだったなら「な~んだ」で終わってしまう、スレスレの映画ってとこでしょうか。これ、ビデオあんのかなあ。たぶん(地味すぎて)テレビじゃなかなかやんないだろうけど、機会があればご覧ください。趣味があう方にはかなりイケてるでしょうから。 6点(2003-06-06 17:11:28) |
597. 野獣死すべし(1980/日本)
決して悪くはないと思うんだけど、主演と監督、両方ともがそれぞれのナルシシズムに酔いしれちゃって、それに同調できる観客は良いんだろうけど、乗れない者にゃシラケる場かりって感じ。松田優作、この映画に出なきゃもしかしたらもっと長生きしたんじゃないかなあ。たぶんこれで、自分のナルシス演技に開眼したって感あるし…。そういった意味でも、あまり認めたくない映画なのです。 5点(2003-06-06 17:00:19) |
598. 萌の朱雀
この映画の完成前に監督の女の子(まだ、そんな感じだった…)に会う機会があって、「もう、私がすることって、役者さんたちにこう演じてくださいって指示をあたえることだけなんです…」と、実質的に監督としての権限が与えられていないってことを認めていました。それが、カンヌで賞をとったとたんに、あの増長ぶり。キミ、やっぱりアカンと思うよ、それって。これで映画が良ければ文句はないものの、こんな程度の「家庭の崩壊劇」を映画に仕立ててみせるには、もっと人間や風景を凝視する視線の”強度”が必要なのでは。結論、映画賞なんてロクなもんじゃねえ! 4点(2003-06-06 16:47:33)(良:1票) |
599. メリー・ポピンズ
子どもの時に見てめちゃくちゃ楽しくて、あれから現在に至るまで、何度見直したことでしょう。ディズニー映画かくあるべし、という、愛と希望と夢にあふれた永遠の名作ですよね。本作に比べると、最近のディズニーのミュージカル・アニメは偽善臭プンプンで、「純粋さ」を見失っているんじゃありませんか? こんな映画を、シニックに、斜に構えてあざ笑う向きには、「可哀想なヒトだ」と言っておきましょう。 10点(2003-06-06 16:25:44)(良:1票) |
600. 無能の人
つげ義春の世界を、小津安二郎のテイストで映画にしてみたら、これが実にマッチしていた。…という”発見”に満ちた、愛すべき竹中ワールドの原点。とにかくキャスティングの素晴らしさこそが、成功のポイントですな。もっとも、監督・竹中は、未だこのデビュー作をその後越えられないでいる。 8点(2003-06-06 16:11:42) |