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ザ・チャンバラさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1274
性別 男性
年齢 43歳
自己紹介 嫁・子供・犬と都内に住んでいます。職業は公認会計士です。
ちょっと前までは仕事がヒマで、趣味に多くの時間を使えていたのですが、最近は景気が回復しているのか驚くほど仕事が増えており、映画を見られなくなってきています。
程々に稼いで程々に遊べる生活を愛する私にとっては過酷な日々となっていますが、そんな中でも細々とレビューを続けていきたいと思います。

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581.  007/スカイフォール
IMAXにて鑑賞。映画の日であるにも関わらずIMAX料金込みで2,000円も取られましたが、大作らしいボリューム感は入場料の元を充分にとっていました。ドッカンガッシャンと通常のアクション映画以上に強烈な音響も映画館向きであり、設備の整った環境でこそ観るべき映画だと思います。。。 内容の方は、シリーズ中でもかなりの異色。なんせ、今回のボンドガールはMですからね。これまでのボンドガール最年長記録だったモード・アダムス(『オクトパシー』)の38歳を大きく更新した77歳、枯れまくっております。そんなMに合わせ、今回はボンドもセックスアピール控えめ。世代交代や老いが作品全体のテーマとなっているのですが、新米スパイだった『カジノロワイヤル』からたった1作を挟んだだけの本作でこのテーマは早すぎるような気がします。映画全体を振り返っても、ボンドが老いている必要性はあまり感じなかったし。。。 以上の通り、テーマや内容には少なからずの疑問符が付いたのですが、それでも映画としてはシリーズ中随一の面白さだと思いました。やはり監督力の差がモノを言っているようで、これまでシリーズを演出してきた11人の監督の中では最大のビッグネームであるサム・メンデスの手腕が光りまくっています。淡々とした中に激しさを秘めた大人のドラマには大変な見応えがあり、シリアスボンドとしては『カジノロワイヤル』をも超える完成度だと感じました。ジョン・ローガンによる脚本は娯楽性とドラマ性の間で絶妙なバランスを保っており、前任のポール・ハギス以上の仕事を披露しています。しばらく薄味が続いてきた悪役についても、今回は『ノーカントリー』で最強の悪役を演じたハビエル・バルデムの投入によってテコ入れが図られています。バルデム演じるラウル・シルヴァについては、設定上多くの穴が存在しているのですが、それでもバルデムの圧倒的な存在感によって何とか誤魔化せているので感心します。次回作を期待させるラストも面白く、総じて満足度の高い作品でした。
[映画館(吹替)] 8点(2012-12-02 02:02:46)(良:1票)
582.  ドゥームズデイ
見せ場のクォリティは高いし、狙ったB級路線なのだからいちいち目くじら立てず素直に楽しむべき作品ではあるのですが、それにしても設定に穴が多すぎます。30年間も人工衛星で汚染地域を監視し続けながら、あれだけ大勢のヒャッハーな生存者がいることを把握していなかったロンドン政府とか、警察官であるにも関わらず、なぜか特殊部隊の指揮を任される主人公とか、防護服を脱いだ途端に異常に強くなる科学者とか、そもそもあの万里の長城はいつ築いたんだよ?とか。あとひと知恵で余計な疑問を避けられたはずの点で、多くの綻びが見られます。バカバカしい映画は嫌いではないのですが、こうも知恵が足りていない映画には乗り切れません。。。 さらには、オリジナリティも致命的に欠如しています。『マッドマックス2』『ニューヨーク1997』『キャプテン・スーパーマーケット』、本作のベースとなった作品群には、突出したオリジナリティがありました。設定が強引であろうが、世界観が稚拙であろうが、何か一点とんでもなく魅力的なアイデアがあったからこそ、これらの映画は支持を受けてこられたのです。一方本作は過去作品の模倣ばかりで、突出した何かを打ち出せていません。設定は穴だらけ、アイデア貧弱、監督が好きなものを盛り合わせただけの幕の内弁当では、なかなか高評価を与えられません。決して嫌いではないんですけどね。
[ブルーレイ(字幕)] 5点(2012-11-26 17:30:13)
583.  孤島の王 《ネタバレ》 
映画としてはありがちなテーマだし、内容に捻りがあるわけでもないのですが、それでも十分に面白い映画だと感じました。非ハリウッドならではの荒削りな演出が作品全体の空気感に貢献しているし、少年たちのギラついた眼光が物語に説得力を与えています。本作のプロダクションについて詳しくは調べていないのですが、それでも、映画を見れば相当厳しい環境下での撮影を強いられたことが十分に伝わってきます。俳優達は皆、本物の顔になっているのです。。。 本作の舞台は刑務所ではなく矯正学校、登場する少年達は囚人ではなく生徒という設定がミソで、映画の大半を占めるのは『カッコーの巣の上で』をも超える不条理劇です。刑務所ならばお勤めを果たせばお役御免なのですが、学校が舞台となると、卒業の要件を充たすまでは島を出ることができません。少年たちには教師や寮長に対する絶対の服従が要求されるわけですが、その不快指数といったらハンパなものではありません。少年たちに行き過ぎた倫理観を押し付けながら、自分たちの身の汚さには無自覚な大人たちの下品なこと!言いっ放しが許される環境に置かれた権力は必ず腐敗すると言いますが、まさにそれを地で行く内容となっています。前半部分で描かれる抑圧があまりに酷かった分、ついに少年たちがブチ切れる後半パートには、大変なカタルシスが待っています。本作は、観る者の感情を大きく揺さぶる、非常にアクティブなドラマであると言えます。
[DVD(字幕)] 8点(2012-11-24 23:08:34)
584.  ハムナプトラ3/呪われた皇帝の秘宝 《ネタバレ》 
『インディ・ジョーンズ』の新作に合わせてのシリーズ復活、おまけに同年開催の北京五輪に因んで舞台は中国という商業的打算の塊のような本作ですが、出来は想像通りでした。バカバカしいストーリーにVFX満載のアクション、良くも悪くもシリーズの個性をきちんと継承した内容となっているのです。前作までの舞台だったエジプトをあっさり捨ててもなお『ハムナプトラ』として成立していることが驚きで、このシリーズにおいて設定やストーリーとはあってないようなものであることを再認識させられました。その分、見せ場は特盛大サービス状態です。主人公達の窮地を救う雪男、キングギドラに変身する始皇帝、兵馬俑vsミイラ軍団の大戦争、この突き抜けたバカさ加減には大いに楽しませていただきました。これぐらいやってこその『ハムナプトラ』です。娯楽作を多く手がけるロブ・コーエンによる演出は抜群の安定感で、速すぎず遅すぎず見やすいテンポを終始維持しています。役者としての達成感はゼロに近い仕事にあって出演者達は楽しげに役柄を演じており、本作の関係者は皆、期待される仕事を十分にこなしていると言えます。。。 問題なのは、『ハムナプトラ』というコンテンツの賞味期限が完全に切れていたということです。90年代末に登場したハムナプトラの魅力とは、CGという新しいツールを用いて古き良き冒険活劇を甦らせたという点にあり、CGによる映像そのものが観客を動員する力を持っていた時代だからこそヒットした作品でした。しかし、現在ではアクション映画にCGを用いることは当たり前であり、見せ場をどうやって面白く撮るか、見せ場以外の部分をどう充実させるかという、脚本力や演出力を問われる時代となっています。CGによる見せ場の連続を売りとしていた『ハムナプトラ』にとって、これは非常に厳しい状況であると言わざるをえません。おまけに、過去と同一メンバーで製作されたこと自体に意義のあった『インディ4』と違って、このシリーズに骨董品としての価値があるわけでもなく、結果は単なる時代遅れのアクション大作。数あるコンテンツの中で、なぜユニバーサルは『ハムナプトラ』をチョイスしたのだろうかと不思議で仕方ありません。。。 最後に、吹き替えはどうにかならんもんですかね。話題作りのためとはいえ下手すぎるでしょ。作品をぶち壊さない程度の品質を維持することは、映画を扱う業者さんの義務だと思います。
[ブルーレイ(字幕)] 5点(2012-11-23 21:57:34)
585.  ゴーストライター
本作の根幹にあるのは大した驚きも面白みもない陳腐な陰謀論なのですが、ポランスキーはこんなにもどうしようもないB級ネタを実に上品に仕上げています。その仕事ぶりは「さすが巨匠!」と言えるものであり、ベルリン映画祭監督賞受賞という高評価にも納得がいきました。しかし、それと同時に本作ではポランスキーの限界もはっきりと露呈しています。この人は70年代の監督さんなので映画全体があまりにチンタラしているし、観客のテンションを維持するためのイベント作りもできていません。クラシックなサスペンス映画の味わいを懐かしむ観客にはこのくらいで丁度良いのかもしれませんが、現代の観客が要求する適度な娯楽性を獲得するには至っていません。。。 さらに残念だったのは、ユアン・マグレガーという華も実力もある俳優を獲得しながら、彼をただの狂言回しに留めてしまったこと。『フィクサー』でトニー・ギルロイがやったように、謎解きとシンクロする形で主人公のドラマを語れば面白くなったものを、そういう工夫を一切していないのです。その結果、主人公をゴーストライターという特殊な立ち位置の人間にした意味がすっかり失われており、仮にその職業を新任の補佐官や家政婦に変更しても映画が成り立ってしまうという残念な状況となっています。。。 肝心のミステリー部分についても、ポランスキーの老練な演出によってうまく誤魔化されているだけで、よくよく考えてみれば相当に杜撰な内容です。【一般人】さんがご指摘の通り、設定のあらゆる点において納得感が薄いのです。前任のゴーストライターを消したにも関わらず、彼の足跡はそのまま放置というCIAのバカさ加減などは目に余るものがありました。主人公による謎解きにしても、本丸となる点についてはラスト5分で「いきなり気付く」というロクでもない処理がなされており、だったらこれまでの2時間でやってきたことは何だったんだと愕然とさせられました。だいたい、あんなにも露骨なダイイングメッセージに今の今まで誰も気付かなかったという設定は、さすがに不自然でしょ。
[DVD(吹替)] 5点(2012-11-19 18:26:06)(良:2票)
586.  ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q 《ネタバレ》 
『破』の衝撃のラストから3年もお預けを喰った末の『Q』です。この3年でパンパンに膨らんだ期待を胸に映画館へと足を運んだのですが、その期待に応えるだけのものを出してきたスタッフのみなさんの手腕と才能には恐れ入りました。作品としての完成度も然ることながら、思わぬ形で観客を驚かせるというイベント作りにも長けているのです。本作はネタが割れると楽しみが半減してしまう作品でもあり、初日に鑑賞できた私は幸運でした。。。 【注!ここからネタバレします】 97年の旧劇場版は当初、春に25話と26話のリメイクを、夏に完全新作をという触れ込みとなっていました。しかし製作スケジュールの遅れによって例の形に落ち着いたわけですが、それから15年を経過した現在になって、あの夏に観るはずだった完全新作を目にすることになるとは思ってもみませんでした。リアルタイムでエヴァを鑑賞してきた私のような人間にとって、本作は悲願とも言える内容となっているのです。この点に目をつけてきた庵野氏の鋭さには恐れ入りました。。。 これまでは無理矢理エヴァに乗せられてきたシンジが、今回は「乗るな、何もするな」と冷たく突き放される。このつかみの時点で心を持っていかれました。ネルフは分裂し、エヴァvsエヴァの戦争が開始されるという構図には血が沸いたし、音楽と渾然一体となった素晴らしいアクションの数々には目を奪われました。ハリウッド大作でもここまで見せるものは少なく、エヴァは世界レベルでも最先端を行く娯楽作であることを再認識させられました。ただし問題もあります。【ロカホリ】さんが指摘されている通りドラマ部分が前作『破』と整合していないし、ネルフとヴィレ以外の人類の姿がまったく描かれていないため、彼らが一体何を守りたくて戦っているのかという点もわかりづらくなっています。しかし、それらは些細な問題だと感じさせられてしまうほど、この『Q』には圧倒的なパワーがあったこともまた事実。上記の問題点については完結編を観るまで保留とさせていただき、今回は高評価を下したいと思います。
[映画館(邦画)] 8点(2012-11-18 01:24:09)(良:2票)
587.  裏切りのサーカス 《ネタバレ》 
非常にややこしいという評判は聞いていたので事前に粗筋を確認、さらには人物相関図を手元に置いてこれを眺めながら鑑賞を進めていくという重装備で臨んだのですが、ここまでの準備をしていればさすがに映画の理解はスムーズに運ぶもので、この苦み走った大人のサスペンスを存分に楽しむことができました。銃撃戦もカーチェイスも熱い舌戦もなし、ひたすらに淡々としたドラマが続くだけなのですが、これが異常なまでに面白いのです。役所から文書一枚持ち出すだけでひとつの見せ場を作ってしまうのですから、この監督の演出力の高さには驚かされます。また、国際的なスパイ戦争を舞台としながらも、非常にパーソナルな着地点を設けてみせた意外性ある構成も面白いと感じました。硬派な官僚ドラマとドロドロの愛憎劇をうまくブレンドしてみせた脚本家のバランス感覚は非常に優れています。。。 以上、大変に満足のいく鑑賞ではあったのですが、やはり気になったのが本作の不親切さ。各キャラクターの紹介場面は一切なしのままいきなり本筋が始まり、キャラクター達はコードネーム、ファーストネーム、ファミリーネームの3通りの名前で呼ばれます。現在、ちょっと前の過去、随分前の過去の3つの時系列を舞台としながらも、服装やメイク等で視覚的な変化を付けるようなことはしていません。おまけに、死んだとされていた人物が実は生きていたという展開がサラっと流されたりするので、予備知識なしでの鑑賞はほぼ不可能という壮絶な状態となっています。巻き戻しのできる自宅での鑑賞ならともかく、一度でも遅れをとった時点で即終了という映画館での鑑賞は、もはや自殺行為。映画館での鑑賞を想定していない映画を評価していいものかと悩んでしまいます。。。 考えてみれば、本作の主要キャラクターは10名程度。実は007やミッション:インポッシブルよりも少ない人数しか動いていないのです。いくらでもわかりやすく作れたであろう話なのに、それをわざわざ複雑に撮った理由が理解できません。
[DVD(吹替)] 7点(2012-11-15 01:45:39)
588.  テルマエ・ロマエ
テンポよくネタを繰り出す前半部分では、テレビ局製作ならではの強みが出ていました。良い意味で軽いのです。ひとつの場面をこねくり回すようなことはせず、ネタが終わればさっさと場面転換してしまうという引き際の鮮やかさが気持ち良いし、下ネタや考えオチは排除して誰にでも分かる簡単な笑いのみに特化した姿勢も潔いと感じました。竹内力の使い方なんて最高で、あの濃い顔はどう見てもローマ側の人間なのにあえて日本側に配置して、しかもその違和感に誰もツッコミを入れないという扱いは笑いのツボをよく心得ています。彼の顔を見る度に笑ってしまいました。この辺りの肩の力の抜き方・笑いのセンスの良さは、長年に渡って大衆娯楽に徹してきたテレビ局ならではの長所だと思います。一方で、わざわざチネチッタで撮影したというローマ帝国のオープンセットは重量級の完成度。これを捉える撮影ともども、期待以上に素晴らしい出来でした。テレビ局製作映画は何かと低く見られがちですが、最近では劇場用映画に必要な重厚さというものを身に着けつつあるようです。。。 しかし、後半部分で映画は失速してしまいます。シリアスな目標の下に登場人物達が一致団結するのですが、このパートには笑いもなければ感動も知的興奮もなく、まったく見どころがないのです。前半の程よいダメ女ぶりが楽しかった上戸彩も普通の小奇麗なヒロインに成り下がってしまうし、歴史改変ものとしての面白さを掘り下げようともしません。西洋と東洋の文明比較もありがちなレベルで深みがないし、おまけに合戦場面のチープさは見ていられない程でした。監督は前半部分で燃え尽きてしまったようで、後半はただ撮っているだけという有様。これでは高い評価はできません。
[DVD(邦画)] 5点(2012-11-10 19:52:01)(良:3票)
589.  コン・エアー
90年代を代表するバカアクション超大作。長年のパートナーだったドン・シンプソンと死別後、ジェリー・ブラッカイマーが単独で仕切ることとなった初の大作であり、本作はブラッカイマーにとってキャリアの分岐点となった作品でもあります。『クリムゾン・タイド』や『ザ・ロック』の頃にはまだ企画力で勝負しようという姿勢のあったブラッカイマーですが、本作以降は完全にB級バカ街道を突っ走ることとなるのです。。。 とはいえ、B級路線であってもマジメに仕事をすることがブラッカイマーのエライところで、基本設定のバカさ加減を除けば、意外なほど丁寧に作られている映画でもあります。この手の映画にありがちなご都合主義(なぜか現場に居合わせる主人公、戦いが終わったところで都合よく駆けつける警官隊etc…)がほとんどなく、すべてのイベントについては事前に理由付けがなされています。登場人物は多いものの埋没したキャラはおらず、全員にきちんとした個性が与えられている点でも感心しました。VFXの完成度は非常に高く、現在の目で見てもアラがほとんど見当たりません。同時期に製作された『エグゼクティブ・デシジョン』や『エアフォース・ワン』にミニチュアやCG丸出しの場面が散見されたことを考えると、このクォリティは驚異的だと思います。キャスティングはかなりの邪道で、ジョン・キューザックを除けばブサイクなおっさんばかり。当時のニコラス・ケイジは大作に主演するクラスの俳優ではなかったし、コンエアーに乗り込む唯一の女性はヒスパニック系の微妙なおばさん。普通の映画であれば、このふたつの役柄くらいは美男美女で固めてくるところなのですが、そういった王道は完全に外してきているのです。そして、こんなにもヘンテコなキャスティングで映画を成功させたわけですから、ヒットメーカーとしてのブラッカイマーの勘の良さは相当なものだと思います。
[ブルーレイ(吹替)] 7点(2012-11-10 15:36:54)(良:2票)
590.  最後の誘惑 《ネタバレ》 
イエスを題材とした映画は数多くありますが、1973年にノーマン・ジュイソン監督の『ジーザス・クライスト=スーパースター』が製作されるまで、ハリウッドはイエスの顔をはっきり映し出すということを控えてきました。それほどまでにイエスとは恐れ多い存在ということなのですが、そんな歴史的経緯を踏まえて本作を観ると、この企画がいかに破天荒で罰当たりなものであるかがわかります。イエスは大工としての腕前を活かしてローマに楯突いた同胞の処刑に使われる十字架をせっせと作り、マグダラのマリアが働く売春宿にもフラフラと姿を現します。神の子としての使命に目覚めた後にも弱気は抜けず、「贖罪のためとはいえ、痛い思いをして死ぬのはイヤだなぁ」と延々悩み続ける始末。一方で、従来は卑劣な裏切り者とされてきたユダが実に男らしく、弱気になったイエスや、イエスを信じきれなくなった他の使徒たちに対して助言と励ましを与える重要な立場を担っています。本作におけるユダは、イエスからの信頼の厚さゆえに彼を十字架に送る重要な役回りを任されたという解釈となっており、キリスト教圏の人達にとっては天地がひっくり返るようなお話となっています。。。 以上の通り、本作はかなり意欲的な内容であり、宗教画の再現を狙ったという美しい撮影にも一見の価値ありなのですが、とはいえ聖書の内容を知っていることが前提条件となる映画なので、われわれ日本人にとっては少々厳しいものがありました。映画としてのポテンシャルの高さや、反発を覚悟の上で製作に踏み切ったスコセッシの志は評価しつつも、6点が精一杯かなと思います。
[DVD(字幕)] 6点(2012-11-10 15:34:50)
591.  アメリカン・クライム 《ネタバレ》 
怖い!暗い!不快!の3拍子揃った実録犯罪映画。インディアナ史上もっとも恐ろしい事件と言われたシルヴィア・ライケンス事件を扱っているだけに内容は超重量級なのですが、その一方で、露悪的な描写は最小限にとどめられています。血や裸はまったくと言っていいほど出てこないし、被害者役を演じるエレン・ペイジの顔も過剰には汚されません。安易な映像的ショックに走ることなく、演出や構成、演技の力で事件の恐ろしさを再現しようとした製作陣の真摯な姿勢には感心しました。本作と同様の企画をブチ上げると、必ずと言っていいほど血みどろの悪趣味映画を作ってしまう邦画界とはまったく違った奥深さを味わうことができました。。。 被害者少女の家庭環境や加害者女性の心理的背景、虐待の事実を知る者が大勢いたにも関わらず誰も通報しなかったという集団心理の恐ろしさ等、この事件には考えるべきさまざまな要素があるのですが、監督はその中でも加害者女性の心理にフォーカスしています。映画の視点を散漫にしないようひとつの要素に絞り込んだ監督の判断は支持できるし、物語の中心に立つガートルード・バニシェフスキーの完成度は驚異的なレベルに達しています。自分にとって都合のいいように物事を解釈し、理不尽を理不尽とは言わせない異様な空気を作り上げる恐ろしい女なのですが、それと同時に彼女は決してモンスターではなく、あくまで普通の人間の延長線上に位置づけられています。これを演じるキャサリン・キーナーの演技には鬼気迫るものがあって、序盤からラストまで嫌な汗をかかせてくれました。
[DVD(吹替)] 8点(2012-11-07 01:15:58)
592.  リービング・ラスベガス 《ネタバレ》 
初見は高校時代ですが、当時はこの映画の良さがまったく理解できませんでした。ひたすら淡々とした内容だし、主人公が当初の予定通りに死を選ぶ展開にも納得がいかず(大事な人が出来たのなら、うだうだ言わずに人生やり直せよ!)、本作はそのまま忘却の彼方へ。しかし、最近になって何気なく再見してみると、幸か不幸かこの映画に深く感動できるようになっていました。いまだに中学生感覚を引きずっている私ですが、一応は人生を重ねてきているようです。。。 物事で大きく躓いて、努力すればまだ巻き返せるのかもしれないけど、肝心のガッツが残っていない。できることなら何もせずにこのまま消え去ってしまいたいという心境、社会人をやっていれば一度や二度は味わうものです。この映画がリアルだと感じたのは、絶望の底にいる主人公が、人や社会をまったく恨んでいないということです。会社からクビを言い渡された時の上司との会話が特に印象的で、主人公は怒鳴ったり取り乱したりせず、礼儀正しくお礼を言って職場を出ていくのですが、真っ白になった人間というのは往々にしてこういうものです。何かを恨み、怒るだけの余力がある人間は、まだ何とかなるのです。。。 その後のラスベガスでの展開は、ある意味では男の夢です。大人としての責任をすべて放棄して、体が壊れるまで好きなことをやり続ける。でも一人じゃ寂しいので、最後の時を一緒に過ごしてくれる恋人は欲しい。そんなわがままが実現されるのですから、私は爽快感すら感じました。一方、その相手となる女性にとっては地獄絵図です。愛する人が死にゆく様を見ているしかないのですから。その点、この女性も主人公同様に絶望の中にいて、死ななければやっていられないという心境を理解できている、だからこそ彼の自殺を受け入れてやれるという設定は非常に合理的だと感じました。まさに昭和枯れすすきの世界なのですが、そんな世界をセンスある楽曲でデコレーションした監督の手腕も見事でした。
[DVD(吹替)] 7点(2012-11-07 00:14:29)(良:2票)
593.  奇跡の海 《ネタバレ》 
主人公は真っ白な心を持つ女性ですが、真っ白すぎてもはや白痴のレベル。「何もそこまで」と思うほど愚直に自分を汚してどんどん窮地に追い込まれていきます。一方、彼女を取り囲む人々は憎悪と偏見の塊。容赦なく主人公に石をぶつけ、救いを求める彼女を教会から追い出します。この映画は全てが過剰で極端なのですが、それでいて世の真理を的確に突いている点には驚かされました。特に、形骸化した教会と純粋な信仰との対比はドラマとしても問題提起としても面白く、これぞトリアー作品の醍醐味だと感じました。。。 ただし、如何せん映画が長い。純粋過ぎて社会性ゼロの主人公をひたすら眺めるという内容で150分オーバーの上映時間はかなり厳しく感じました。実際に重度の鬱病を患っているトリアーは主人公に愛情注ぎまくりなのですが、一方でわれわれ一般人にとって彼女のイタさは見てられないものがあります。
[DVD(字幕)] 6点(2012-11-07 00:11:59)
594.  プライマー 《ネタバレ》 
難解さを売りにしたエンターテイメント作品は少なからず存在していますが、中でも本作は別格。これと比べれば『メメント』や『新世紀エヴァンゲリオン』などは絵本や紙芝居レベルであり、ここまで厄介な物語は人生初でした。前半部分には苦しいながらも何とか付いていけていたものの、ラスト30分はもう何が何だか。何度巻き戻しても理解ことができず、最終的には紙に図を描いて情報を整理したほどですから、これは相当なものです。。。 とはいえ、基本設定自体はかなりオーソドックスなものです。タイムトラベルを重ねるうちに事態がどんどんこじれていくという定番の物語であり、本作を特殊にしているのは、遠い過去や未来を旅するのではないという点。夕方に仕入れた情報を持ってその日の正午まで遡り、株取引で稼ぐというなんともチマチマとしたお話しであり、そのチマチマ加減ゆえに、現在映し出されている光景がタイムトラベル中の繰り返されている時間なのか、実際に経過している時間なのかの区別が付きづらくなっています。もちろんこれは狙った演出ではあるのですが、もっと観客への配慮があっても良かったように思います。。。 ともかくこの映画はかなり独特なのですが、難解であるという点を除いても、それなりに魅力のある内容にはなっています。一人で頭を抱えて観るのではなく、何人かでワイワイと議論しながら鑑賞すれば楽しめるのではないでしょうか。
[DVD(吹替)] 6点(2012-11-07 00:10:31)
595.  エアフォース・ワン 《ネタバレ》 
『ダイハード』をまんまなぞったシナリオなのですが、残念なことに本作には『ダイハード』程の緻密さがありません。大統領は素手でテロリストを倒して回るという荒唐無稽ぶりだし(現役刑事のマクレーンですら、テロリストとの格闘では終始劣勢だったというのに)、対するテロリスト側はロクに連絡を取り合っていないために事態の把握が著しく遅れてしまうという間抜けぶりを晒します。おまけに、機内に敵がいるとわかった後にもまともな対応をとらず、「荷物室に閉じ込めときゃいいさ」と悠長に構えているのだから困ったものです。乗員リストを確認して、敵の素性を特定する努力くらいはしましょうね。互いを出し抜き合う高度な駆け引きなどここにはなく、あるのは熱血バカの大統領と戦略ゼロのテロリストの泥仕合。これでは面白くありません。さらにはイベントの詰め込みにも失敗していて、ところどころは派手なシーンがあっても、全体としてはスリルも興奮も持続していません。。。 主人公が大統領であるという肝心の設定に至っては、これがまったく活かされていません。公人としての責任と個人としての感情の板挟みになることこそがこの企画のキモだったはずなのに、どいつもこいつも私情の垂れ流し状態なのです。妻子の生命を二の次にしてでも自身の安全を確保することが公人たる大統領の責任であるにも関わらず、ハリソン大統領はシークレットサービス達が捨て身で作ってくれた脱出のチャンスを棒に振り、クライマックスでは駆け付けた救助隊の手までを煩わせる始末。副大統領はさっさと指揮権を自分に移して事態への強い対応を図るべきだったのに、「こういうやり方は私の美学に反する」という理由で決断を遅らせてしまいます。凄いと感じたのは、登場人物たちのこれらの行動が、劇中ではあたかも立派な行為であるかのように描写されていること。個人としては美しい心がけであっても、公人としての危機対応としては最悪の行動です。結果、脅しに負けたハリソン大統領がテロリストの要求を飲むに至っているのですから、何ともお粗末な倫理観だと感じました。
[ブルーレイ(吹替)] 4点(2012-11-03 17:38:20)(良:1票)
596.  ウォール・ストリート 《ネタバレ》 
全盛期のオリバー・ストーンは本当に凄かったんです。脚本家出身のストーンはセリフの洪水と巧みな構成によって密度の高い物語を次々と作り上げ、それが3時間越えの大作であっても、一瞬たりとも観客を飽きさせることはありませんでした。社会問題の扱いにも長けており、映画によって社会を騒然とさせることもしばしば。そんなストーン全盛期を象徴する作品こそが前作『ウォール街』であり、どうやっても映画のネタにはなりようのなかった金融戦争を真正面から扱い、これを堂々たるエンターテイメントに仕立て上げた手腕は驚異的なものでした。。。 そんな『ウォール街』から四半世紀を経て製作された『ウォール・ストリート』ですが、これが完全な凡作であり、ストーンの才能は完全に枯れしまったことが本作ではっきりとしました。社会派映画としての見応えはなく、本作におけるストーンは世界中の人々が遠の昔に知っている話をただ復唱しているのみ。小さなニュースサイトに暴露記事を掲載しただけで巨悪が倒れるという安易な決着に至っては、『JFK』で保身に走る時の権力の手強さを描いたストーンとは思えぬ手の抜きようでした。おまけにドラマの密度も低く、2時間強というストーン作品としては短い部類に入る上映時間ながら、途中で飽きてしまいます。サブプライムの扱いなどは本当に勿体ないもので、この爆弾がいつ爆発するのかという大きな山場を作り損ねています。さらには劇中のキャラクター達にも魅力がありません。特にマズかったのがキャリー・マリガン演じるウィニーを単なるヒステリックな女にしてしまったことで、マネーゲームに溺れるキャラクター達が入り乱れる本作において、一般人の代弁者たる立場にいる彼女の個性に難があるようでは、ドラマに説得力が生まれるはずがありません。彼女は拝金主義を毛嫌いしながらも、その実、大金を奪われたことがきっかけで婚約者をフったり、あれだけ嫌っていた父親が大金持参で詫びに来れば笑顔で許したりと、まさに金中心の振る舞いを繰り返します。その筋の通らなさ・薄っぺらさには唖然とするのみでした。
[DVD(吹替)] 5点(2012-11-03 17:37:34)(良:2票)
597.  ランパート 汚れた刑事 《ネタバレ》 
ジェームズ・エルロイによる何本目かわからない汚職警官ものですが、出演者がとにかく豪華。『L.A.コンフィデンシャル』以降、エルロイ作品に出ることはハリウッド俳優にとってのステイタスとなっているようですが、ここまでのメンツは過去最高ではないでしょうか。主人公を演じるウッディ・ハレルソンはかなりのハマり具合だし、ロビン・ライトは驚くほどのいい女ぶりを披露。シガニー・ウィーバーやスティーブ・ブシェミがひょっこり顔を出す場面ではお得感も味わうことができて、俳優のみに注目すればかなり充実しています。。。 ただし、肝心のお話はかなり残念な出来でした。この映画、とにかく状況説明が不足しています。主人公が社会的にどれほど追い込まれているのかという描写であったり、ロビン・ライトが主人公のどこに惹かれたのかという描写であったりがほとんどないために、ドラマへの感情移入がかなり難しくなっています。さらには、各場面の見せ方もヘタクソ。例えば、主人公が強盗被害者を誤射するという重要な場面において、編集が杜撰で一体何が起きたのかが観客に伝わらないという間抜けなことが起こっています。俳優は揃っているだけに、もうちょっと腕のある監督さんが撮るべきでした。
[DVD(字幕)] 4点(2012-11-03 17:36:35)
598.  ブルースチール(1990)
キャスリン・ビグロー監督×エリック・レッド脚本×オリバー・ストーン製作という何とも豪華なメンバーで製作されたアクションスリラー。才人が集結しただけあって部分的には素晴らしい場面はあるものの、全体としては平凡な映画だったという印象です。アクション映画としてのイベントが不足している上に、スリラーとしての張りつめた空気作りにも失敗しているので、短い上映時間ながら中弛みをしています。さらには、平凡な金持ちだったロン・シルバーがバイオレンスに目覚めた理由や、狂気に飲まれて歯止めが利かなくなるまでの過程、あるいは複数人の警官を相手とするに足りるだけの射撃術や格闘術をいつどこで身に着けたのかという説明など、この物語にとって必要なピースが少しずつ欠けているため、全体として見るとえらく説得力のない映画に終わっています。ジェイミー・リー・カーティスも劇中言われる程の美人には見えず、映画のあらゆる要素が作り手の意図したレベルに達していないという印象です。
[DVD(字幕)] 5点(2012-11-03 17:35:51)
599.  ハートブルー 《ネタバレ》 
キャスリン・ビグローによる演出は素晴らしいの一言。ハイライトであるサーフィンの美しさのみならず、強盗シーンの臨場感やチェイスシーンの疾走感も素晴らしく、もし彼女が多作の監督であれば、今頃はリドリー・スコットやデビッド・フィンチャーのポジションに居たのではないかとすら感じさせられました。ただし、脚本がボロボロなので映画としてはイマイチです。とりわけ、潜入捜査官とサーファー強盗団が互いの素性を認識して以降の展開は酷いものでした。FBIにマークされていることが分かったのだから強盗団はさっさと海外逃亡すればいいものを、キアヌ捜査官を誘ってスカイダイビング&最後の銀行強盗とはちょいと悠長すぎるでしょう。キアヌもキアヌで、女を人質にとられているとはいえ、言われるがままに銀行強盗のお手伝いまでしてしまうのは頭悪すぎ。逮捕して尋問した方が手っ取り早いと思えてしまうのは、脚本の工夫が足りない証拠です。最悪だったのは、後半の展開でパトリック・スウェイジ演じるボーディを完全な悪人にしてしまったことで、このために捜査官と犯罪者との間に生まれる友情物語という基本的な構図が崩れてしまっています。彼は、盗みこそするが決して人は傷つけない義賊に留めておくべきだったのです。
[DVD(字幕)] 5点(2012-10-30 01:09:38)
600.  コンフェッション(2002)
面白くなるべき題材をつまらなくしてしまった罪な映画。ソダーバーグの影響か、ジョージ・クルーニー監督は本作から徹底的に娯楽性を排除しており、ひどく単調でつまらない映画に仕上がっています。もちろん、娯楽性を排除するというやり方は映画作りの手法のひとつであって、そのやり方自体は否定しないのですが、問題は娯楽性以外の何かを観客に提示できているのかということです。リアリティなり、哲学的なメッセージなり、捻じれた笑いなり、娯楽性を犠牲にした引き換えとして何か一つでも飛び抜けたものがあればよいのですが、この映画にはそうしたものがありません。ただダラダラとしてフラストレーションが溜まるだけの映画に終わったのでは、監督の基本姿勢に誤りがあったと評価せざるをえません。演出は決して下手ではなかっただけに、ソダーバーグという悪しき友人からの影響が悔やまれます。
[DVD(吹替)] 3点(2012-10-29 01:19:38)
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