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ザ・チャンバラさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1274
性別 男性
年齢 43歳
自己紹介 嫁・子供・犬と都内に住んでいます。職業は公認会計士です。
ちょっと前までは仕事がヒマで、趣味に多くの時間を使えていたのですが、最近は景気が回復しているのか驚くほど仕事が増えており、映画を見られなくなってきています。
程々に稼いで程々に遊べる生活を愛する私にとっては過酷な日々となっていますが、そんな中でも細々とレビューを続けていきたいと思います。

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601.  魔法使いの弟子 《ネタバレ》 
「『ナショナル・トレジャー』のチームが再結集!」との謳い文句にイヤな予感はしていたのですが、案の定、つまらん映画に仕上がっていました。見せ場はそれなりに凝っており、これまでにないSFアクションを撮ってやろうという意気込みは感じられるものの、2時間の連続活劇としてまとめられていないのが大きな敗因です。世界の存亡をかけた物語なのに話に広がりが感じられないし、悪の魔法使いの封印が解けた場合に、どんな恐ろしいことが起こるのかという煽りも不足しています。「全人類は奴隷にされる」という大雑把な一言だけでは弱すぎるのです。それまで雑魚の敵すら倒せなかった主人公が、クライマックスで突如覚醒してラスボスを簡単に倒してしまうという唐突な展開にも興醒めで、主人公特権の濫用は活劇の勢いを削ぐということを学んでいただきたいものです。おまけに、そもそも主人公が戦いに参加した理由や背景までが薄っぺらなので、物語への感情移入が著しく困難な状態となっています。ルーク・スカイウォーカー、ハリー・ポッター、ネオ・・・平凡な生活から一転して激しい戦いにスカウトされた戦士というのは、往々にして引くに引けないシリアスな背景を背負っているものなのですが、一方で本作の主人公は軽すぎるのです。。。 ニコラス・ケイジ以外の俳優陣は、皆パっとしません。特に、主人公を演じたあいつは一体何者なんでしょうか?ダラしない顔にダラしない喋り方、オタクを主人公にするにしても、あそこまで無残なのは困ります。トビー・マグワイア、シャイア・ラブーフ、『ザ・ロック』に出演した頃のニコラス・ケイジらは、オタクの役柄であっても締めるべき部分では鋭い目つきを披露していました。それが出来てこそアクション映画の主役を務めるに足るオタクなのですが、一方で本作の主役は最初から最後まで一貫して間抜け面。そんな彼に惚れてしまったヒロインまでがバカ女に見えてしまう有様なのですから、彼の存在感は犯罪的です。
[ブルーレイ(字幕)] 3点(2012-10-28 15:00:15)(笑:1票)
602.  ジョナ・ヘックス
ジョナ・ヘックスが復讐の鬼と化す過程は数分のイントロで処理し、いきなり本筋に入るという構成となっていますが、こんな処理が許されるのは歴史も知名度もある『インクレディブル・ハルク』クラスのヒーローであって、ジョナ・ヘックス程度の知名度でこの処理は少々厳しいと感じました。また、ヒーロー・ジョナ・ヘックスの誕生に深く関与したクェンティン・ターンブルをヴィラン(悪役)とした本筋の内容から考えても、両者の因縁の源流となる導入部分はしっかりと描く必要があったと思います。。。 本筋は本筋で、これまた著しく盛り上がりに欠ける仕上がりとなっています。ヒーロー誕生の過程を削った以上、映画はいきなりサビから突入し、理屈抜きの大暴れが見られるものと期待したのですが、チマチマとした小競り合いばかりで派手な見せ場はありません。さらにはジョナ・ヘックスが異常なまでに弱く、派手な大暴れどころか地味な戦闘ですぐピンチに陥ってしまいます。生身の人間との1対1の殴り合いで劣勢に立たされるに至っては、トーマス・ジェーン版『パニッシャー』をも下回って史上最弱のアメコミヒーローに認定してしまった程です。死者と話せる能力が大して役に立っていなかったり、お供の馬・犬・烏が見せ場になると行方をくらましてほとんど存在価値がなかったりと、本作は基本設定までを持て余している始末。俳優たちはなかなかのハマリ具合でシリーズ化すればそれなりに盛り上がった可能性もあっただけに、内容のみすぼらしさが悔やまれます。
[ブルーレイ(字幕)] 4点(2012-10-27 21:31:50)
603.  それでもボクはやってない
「自分たちの仕事は犯人らしき人間を見つけ出すことであって、そいつを起訴するかどうかを決定するのは検事さん」と考える刑事がいて、「自分たちの仕事は警察が上げてきた犯人を有罪にすることであって、被告が無罪である可能性を探索するのは裁判官」と考える検事がいて、「警察と検察が調べ上げた結果として起訴したのだから、恐らくこいつはクロなんだろう」と考える裁判官がいる。冤罪製造マシーンとも言える無責任トライアングルが我が国には存在しているのですが、その結果が99.9%という驚異の有罪率に表れています。これはもはや中世の魔女狩りをも凌駕するレベルであり、運悪くこのトライアングルに捕まったら最後、身の潔白を認めさせることはほぼ不可能という恐ろしい事態が待ち受けています。。。 そんな司法の問題点について、痴漢冤罪という奇抜なネタで切り込んできた監督の戦略には恐れ入りました。一般人にとって縁遠い殺人事件等の重犯罪とは違い、多くの男性にとっては対岸の火事とは言ってられない身近な題材だったわけですから。おまけに、痴漢裁判は司法の問題点の宝庫でもあります。世間的な注目度の高い事件ではないため検察も裁判所も本気ではなく、「めんどくさいからさっさと認めろよ」という姿勢で審議しているからです。実際、被害者女性と容疑者男性の身長差が30cmもあり、容疑者が被害者のお尻を触ることは物理的に不可能という状況にありながら起訴にまで至った事例や、容疑者男性は難病を患っており、痴漢行為をはたらくことは100%無理であるとする医師の証言がありながらも有罪判決が出されて収監に至った事例までが存在しています。本作のモデルになった男性などは、この映画への協力が原因で裁判官の心証を害し、本作公開の2週間後に実刑判決を出されるという報復的な扱いまでを受けています。痴漢裁判は、もはや無法地帯と化しているのです。。。 「映画の魂はディティールに宿る」という言葉を実践した丁寧な演出にはなかなかの見応えがありました。拘置所とはどんな場所であるか、もし逮捕されればどんな扱いを受けるのかといった通常の映画が見落としている点を丁寧に拾いあげ、これを見せ場としているのです。裁判の過程にも映画的な誇張(「異議あり!」の連呼等)がなくて、良心的な作りだと感じていました。それでいて娯楽への一定の配慮もあるわけですから、これは驚異的によく出来た映画だと思います。
[DVD(邦画)] 8点(2012-10-27 16:44:58)(良:5票)
604.  ディア・ブラザー 《ネタバレ》 
無実の罪で投獄された兄を18年かけて取り戻した妹の実話なのですが、この兄弟の生い立ちから無罪を勝ち取るまでの約40年を、わずか107分の上映時間に収めてしまった驚異の構成には目を見張りました。かといって駆け足感があるわけでもなく、重要な場面は丁寧に描かれていることがこれまた驚きです。観客に提示する時系列を徹底的に計算し、ムダな場面を1秒たりとも作らないことで、この奇跡の構成を成し遂げています。監督は9年かけて本作を製作したと語っていますが、長期の取材で得た膨大な素材を適切に取捨選択し、事件にとっては重要であっても映画にとっては不要な要素(兄妹の母親、兄の前妻、妹の旦那etc…)をバッサリと切り捨てた決断力も大いに評価できます。。。 主人公を演じるヒラリー・スワンクは、オスカー女優ならではの抜群の貫録と安定感を披露。おまけに彼女自身もホワイトトラッシュの出身というだけあって、役柄に大変な説得力が与えられています。他方、兄役のサム・ロックウェルはやや意外なキャスティングだったのですが、コミカルなイメージのあるロックウェルのおかげで映画全体が適度に柔らかくなり、お涙頂戴のベタベタなドラマになることが避けられています。もしエドワード・ノートン辺りが演じていれば、嫌味な実録ドラマになっていたかもしれません。。。 本作は兄弟愛のドラマとして非常に充実しているのですが、同様に社会派ドラマとしても見応えがあります。主人公は、兄の無実を示す証拠を早い段階で見つけ出すものの、司法機関にそれを認めさせる過程で大変な困難にぶち当たります。自分の在任中に問題を起こされたくない地方検事が可能な限りの時間稼ぎをしてくるのですが、同様のことは日本でもしばしば発生しています。DNA鑑定の誤りが遠の昔に判明していたにも関わらず、司法がこれを認めるまでに何年もの時間を費やした足利事件や東電OL殺人事件、もはや日本国内で有罪を信じている者は皆無という状況にありながら、40年以上に渡って無実の男性を収監し続けている袴田事件のような事例がそれです。一人の人間の人生を台無しにし、その家族や友人の社会的名声までを著しく傷つける冤罪という問題に対して、司法機関の無責任ぶりは目に余ります。
[DVD(吹替)] 8点(2012-10-27 11:21:58)
605.  BOX 袴田事件 命とは
冤罪事件が悲劇的なのは、一度でも有罪判決を受けて収監されてしまうと、それをひっくり返すことに相当な月日と労力が必要とされる点です。「無実を示す証拠がみつかりました」でハッピーエンドとはならず、過ちを認めたがらない司法にこれを認めさせるというプロセスが必要となるのですが、とにかくこれが至難の業で、司法はあらゆる手段・口実を使って時間稼ぎをしてきます。「自分の在任中には問題が起こって欲しくない」という小役人根性がその根底にあるわけですが、他人の人生をあまりに軽んじたその態度には空恐ろしさを感じさせられます。。。 本作は、日本における冤罪事件の代名詞とも言える袴田事件をテーマにしています。かつて死刑判決を言い渡した裁判官自身がその誤りを認めている点、係争が半世紀にも及んでいる点、死刑囚・袴田巌が長期に及ぶ拘留生活により精神疾患を患っている点、これらにおいて、この事件は独特な性格を帯びています。裏を返せば映画的においしいネタが転がりまくっているということであり、果たして監督はこれをどう料理するのかと期待していたのですが、残念ながら映画の出来はガッカリなものでした。己の意に反して有罪判決を下さざるをえなくなった裁判官の葛藤が映画のメインとなっているのですが、彼の心理描写にクローズアップしすぎて事件の概要を伝えることが疎かになっているのです。。。 この事件における裁判官は3名、そのうち主人公を除く2名は検察側の意見を支持したのですが、容疑者がシロであることがあまりに明確なこの事件において、彼らが事実認識を歪めてまで有罪判決にこだわった理由が描かれていません。さらには、半世紀にも渡って再審請求が棄却され続けている理由も描かれておらず、観客が当然抱くであろう疑問がことごとく無視されています。おまけに、主人公の人生と昭和史を重ねるという構成はまったく効果をあげていないし、雪山で幻覚を見るラストは意味不明。あんな観念的な場面を撮る前に、まずは事実関係の描写を積み上げなさいよとイライラしてしまいました。演出は笑ってしまうほど稚拙で、重要な場面においては主人公がひとりごとを言ってその考えを観客に伝えるという最低の表現方法がとられています。演技指導が行き届いていないためかどの俳優もとってつけたような不自然な演技を披露しており、この監督さんは仕事をしていたのかと怪しくなってしまいます。
[DVD(邦画)] 4点(2012-10-27 11:20:15)
606.  アフロ田中 《ネタバレ》 
原作は未読です。タイトルからもわかる通り正真正銘のバカ映画なのですが、鑑賞前には114分という思いの外長い上映時間が気がかりでした。というのも、『裸の銃を持つ男』も『オースティン・パワーズ』も上映時間は90分程度、この手の映画は短めにさくっと終わらせないとひどく間延びして感じるのです。そんな不安を抱きつつの鑑賞でしたが、幸いなことにこれがまったくの要らん心配でした。頭から尻尾まで濃厚100%、2時間近く笑いっぱなしでした。素晴らしい場面が100個はあって、ひとつひとつ挙げられない程です。さらには、下ネタやブラックジョーク、考えオチや内輪ネタは極力避けて王道の笑いのみで勝負している姿勢や、安易に感動に走らず終始バカに徹した潔さも男らしく、本作の純粋娯楽ぶりはコメディ界の『レイダース』とでも言える領域に達しています。。。 そんな本作ですが、その構成は極めて周到です。バカはバカではあるが2時間弱を不毛なコントで終えているわけではなく、骨格となるドラマは丁寧に組み立てられているのです。主人公・田中と、お隣に越してきた絶世の美女・加藤の関係がそれなのですが、接近したり離れたりのもどかしい距離感が大変なスリルと興奮を生み出しています。その間に披露される童貞あるあるも核心を突いたものであり、特に男性は「それわかる!」の連続だったはずです。また、オチの付け方も良いと感じました。アメリカ人にこの手の映画を作らせると必ずオタク青年が美女をゲットして終了するのですが(『アメリカン・パイ』『スーパー・バッド/童貞ウォーズ』etc…)、それではオチになっていません。情けないフラれ方をしてこそコメディだと言えるわけで、その点で本作は100点でした。さらには、訳のわからん理由で交際を断られるという展開もさもありなんで、男性ならば人生において一度や二度はこんな経験をしているはずです。。。 本作の脚本を担当したのは、36歳にしてテレビドラマ界のヒットメーカーと呼ばれている西田征史。そして監督を担当したのは、かつて史上最年少の若さでNHKの連続テレビドラマの脚本を執筆し、本作において若干26歳で監督デビューした松居大悟です。つまりこの映画、才能ある若手クリエイターが生み出した作品であって、決していい加減には作られていません。バカをやるには知性が必要という良い例だと思います。
[DVD(邦画)] 9点(2012-10-23 00:25:50)(良:3票)
607.  BLACK & WHITE/ブラック&ホワイト(2012)
『T4』に続く、McGによるジェームズ・キャメロンへのストーカー大作第2弾。今回は90年代のキャメロンを支えた撮影監督ラッセル・カーペンターまでを召喚して21世紀版『トゥルーライズ』を製作しているのですが、これが恐ろしく時代遅れなアクションコメディに仕上がっています。オフィスや自宅、果ては行きつけのレンタルビデオ屋までがおしゃれでピカピカという現実感ゼロの街を舞台に、CIAエージェントが顔バレを一切気にせずバカな騒動を起こすという何ともカックンなお話。80年代や90年代ならばこんな作風でも受け入れられたのですが、ジェイソン・ボーンが汚い路地裏を走り回り、ジェームズ・ボンドまでがリアル路線を選ばざるをえなくなった21世紀においてこのテンションはかなり厳しいと感じました。その上、主演2人も役不足です。この手のアクションコメディを演じるべきはトム・クルーズやピアース・ブロスナンのようなアクションヒーローを演じてきた俳優であって、アクションにおける代表作を持たない若手では様にならないのです。そして、さらに問題なのがヒロイン役のリース・ウィザースプーン。キャリアのピークを過ぎてしまったウィザースプーンでは、伸び盛りのクリス・パインとトム・ハーディに見劣りしています。彼女は相変わらず美人ではあるのですが、それでも二人の戦士を魅了するだけのオーラは放っていません。そして、主人公二人が抱く恋心に説得力がなければ、観客は物語に魅力を感じないのです。
[DVD(吹替)] 4点(2012-10-21 22:47:20)(良:2票)
608.  アポロ18
古くは『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』、最近では『パラノーマル・アクティビティ』がとった手法をSFに応用した作品なのですが、本作の映像はかなり洗練されています。フィルムの切れ目や損傷を入れるという工夫によって記録映像としてのルックスを完璧に作り上げており、本当に月面で撮られたかのような仕上がりとなっているのです。プロデューサーを務めたのは『ナイトウォッチ』や『ウォンテッド』で異様なまでの映像センスを披露したティムール・ベクマンベトフ、彼の手腕は疑似ドキュメンタリーでも冴え渡っています。誰だがよくわからない俳優さん達の演技も上々であり、映画としては水準以上に仕上がっていると感じました。。。 ただしこの映画、基礎となるアイデアがあまりに薄いことがボトルネックとなっています。どこかの映画で見たような古臭いワンアイデアで押し切った内容であり、SFらしい知的な驚きが皆無なのです。せいぜい30分程度にしかならないアイデアを無理矢理長編化したために話の密度は薄く、中盤ではかなり退屈させられました。技術的にはレベルの高い映画だけに、もう一捻りが欲しいところでした。
[DVD(吹替)] 6点(2012-10-21 18:02:55)
609.  エクスペンダブルズ2
矛盾もあれば中弛みもある、映画としての完成度は7点くらいかもしれませんが、ある特定の人種にとっては『アラビアのロレンス』クラスの大傑作に仕上がっています。もちろん私もドンピシャの世代であり、本作には数年ぶりの10点を付けさせていただきました。このキャストを見てグッとくるものを感じた方には是非とも映画館に直行していただきたい作品です。絶対に期待は裏切りませんから。。。 本作は基本的に前作の路線を引き継いでいるのですが、そのパワーアップの加減は『T1』→『T2』をも超える程であり、前作で感じたモヤモヤ(敵が弱すぎる、大物がほとんど動いていない)は解消されてお釣りがきます。今回の悪役はなんとヴァンダム。「俺が俺が」のアクション俳優の中でもとりわけ我の強いヴァンダムが悪役を引き受けたというだけでも驚きですが、その上さらにスタローンとヴァンダムがサシで勝負するという究極のカードまでが準備されています。驚きのカードはそれだけではありません。ピンチに陥るとチャック・ノリスやシュワルツェネッガーがフラっと助けに現れ、クライマックスではスタ・シュワ・ウィリスが横一戦に並んでマシンガンを乱射し、ノリスがその援護を買って出るという夢のような見せ場が待っています。シュワとウィリスがお互いの名台詞を交換したり、ノリスが自分についての噂話を茶化してみたりと遊びも利いており、笑って興奮して大変でした。。。 そんなレジェンド世代の頑張りの一方で、現役世代も負けてはいません。クートゥアとクルーズはコメディリリーフとしてエンターテイメントの幅を広げているし、ラングレンもMIT卒という自身の経歴をネタにして笑いをとります。元アスリートのステイサムは惚れ惚れとする程の美しいアクションを披露しており、彼とスコット・アドキンスによるナイフ戦は、大御所によるファンサービスの意味合いが強い本作において、数少ないガチンコの見せ場となっています。。。 とにかく本作はアクションバカにとっては至福の作品であり、この企画でやるべきことは完璧にやりきっています。もし、今回の大ヒットを受けて『3』が製作されるとなれば、それこそイーストウッドを引っ張り出すくらいのサプライズが必要になるでしょう。
[映画館(字幕)] 10点(2012-10-21 00:24:22)(良:3票)
610.  エクスペンダブルズ
映像技術の発展によって俳優がアクションを演じることが容易になり、トム・クルーズやジェレミー・レナー、リーアム・ニーソンといったイケメンや演技派がアクション映画の最前線に立っているという昨今(並べてみて気付いたのですが、なぜか全員アイリッシュ)、筋肉のみに特化したアクション俳優は急速に活躍の場を失いつつあります。そんな状況で立ち上がったのが『ロッキー』と『ランボー』の最終作を連続して成功させたスタさんであり、もはや世界で彼にしか為しえない1億ドルバジェットの筋肉祭りを開催しています。商業的な計算もあるにはあったと思うのですが、それ以上に強かったのはファンを喜ばせたいという思いであり、同業者に活躍の場を与えて再びこのジャンルを盛り上げたいという願いだったように感じます。実際、女に惚れて判断を誤ったり、敵に捕らえられて仲間に助けられたりといった損な役回りはスタさんが積極的に引き受けており(裏切り者役でメインの戦闘に参加できなかったラングレンも同様)、ベテラン勢が現役勢のために美味しい見せ場をお膳立てしてやるという配慮には、なんだか胸が熱くなりました。。。 内容は良くも悪くも80年代風。中米の小国で特殊部隊が大暴れという何とも『コマンドー』な設定の下、我らがエクスペンダブルズがロクな作戦もなしに「おりゃ!」と暴れて一国の軍隊を殲滅してしまうという、リアリティのかけらもないお話しとなっています。戦場で仁王立ちでもまったく弾の当たらないエクスペンダブルズに対し(どこが消耗品なんだ)、敵は気持ち良い程バタバタと倒れてくれます。直前に『ランボー/最後の戦場』という最先端のアクション映画を撮っているという背景から考えて、本作における偏差値の低さはスタさんが意図したものであり、これは80年代アクションを懐かしむおっさんの為だけに作られています。金曜ロードショーに育てられた私は、もちろんハートを打ち抜かれましたとも。バカって最高! ただし、問題もあります。これだけのメンバーを集めたエクスペンダブルズに対して、敵がジュリア・ロバーツの兄貴では見劣りしすぎ。マチェーテの敵にセガールを持ってきたロドリゲスの判断を見習ってほしいところです。また、ウィリスとシュワルツェネッガーという宣伝の時点で大フィーチャーされていた大物が1シーンしか出てこないのも、なんだか詐欺に遭ったような気がしました。
[DVD(吹替)] 7点(2012-10-21 00:19:17)(良:1票)
611.  ミーン・マシーン 《ネタバレ》 
『ロンゲスト・ヤード』のリメイクは本作の他に2005年のアダム・サンドラー版も存在していますが、完全にコメディだったサンドラー版と比較すると、本作は笑いと男らしさのバランスが優れていると感じました。ガイ・リッチー&マシュー・ヴォーンのコンビは相変わらずの安定感で、一筋縄ではいかないキャラクター達が入り乱れる物語をコンパクトにまとめてみせています。主人公を演じるヴィニー・ジョーンズは元プロサッカー選手というだけあって説得力が違うし、まだ主役クラスの俳優ではなかった当時のジェイソン・ステイサムを曲者キャラとして絶妙な位置に立たせるというキャスティングも気が利いています。物語には適度な波乱もあって、最初から最後まで十分に楽しむことが出来ました。。。 ただひとつ問題に感じたのは、囚人チームの力量は看守チームを凌駕しており、序盤から試合を制していたのは囚人チームだったという点です。圧倒的に強い相手を倒すことこそがこの手の映画のカタルシスなのですが、あえてそのセオリーの逆を選んだ本作の変化の付け方は、あまりいただけませんでした。所長の脅しにビビった主人公がチームを窮地に追い込むという展開などは最悪であり、このためにラストがスッキリしないものとなっています。
[DVD(吹替)] 7点(2012-10-19 00:23:49)
612.  あるスキャンダルの覚え書き
97年にアメリカで発生したメアリー・ケイ・ルトーノー事件に着想を得た物語なのですが、主人公バーバラの性格描写を徹底的にリアルにした結果、映画はある種の普遍性を得ることに成功しています。他人と仲良くしたいんだけど人付き合いは恐ろしく苦手で、人間関係がうまくいかない原因は相手にあると思い込むことで自尊心を保っているという困ったちゃん、私の身の回りにも確かにいます。友達だと思っていた相手に意に沿わない行動をとられれば、即座にこれを裏切りと決めつけてしまう被害妄想の塊のような怖い人、確かにいます。ミザリータイプの完全にイっちゃった人ではなく、日常生活で想定できる範囲の迷惑おばさんを主人公にしているところが本作の魅力で、このおばさんがいつどこでブチ切れて人間関係をメチャクチャに破壊してしまうのかを、観客は固唾を飲んで見守ることとなります。本作は大した事件が起こらずとも立派なサスペンス映画として成立しているのです。。。 他方、もう一人の主人公であるシーバのキャラクターは浮世離れしていて、こちらの創作は難しかったのではないかと思います。なんせ、『パール・ハーバー』のケイト・ベッキンセール以下のバカ女を、同情的に見せなければならないのですから。この点については、シーバ役を演じたケイト・ブランシェットの実力によって帳尻を合わせてきたという印象です。ブランシェットの演技力やパブリックイメージを総動員することで、何とかシーバのキャラクターを作り上げています。少しでもバランスを間違えれば観客から見放されかねなかった難役だけに、ブランシェットの実力が光ります。。。 コンパクトながら、脚本もよく出来ています。シーバが父親ほど歳の離れた旦那を持っているという設定を置くことで、彼女が小児性愛者でないことの説明となっているし、性についてのバーバラの独白を加えることで、彼女がレズビアンではないことを明確にしています。登場人物の性的嗜好について観客に誤った深読みをさせないことで、作品の意図を正確に理解させようとしているのですが、こうした細かい工夫には好感が持てます。
[DVD(吹替)] 7点(2012-10-18 01:26:10)
613.  ニクソン
『リチャード・ニクソン暗殺を企てた男』に『フロスト×ニクソン』、果ては『ウォッチメン』に至るまで、アメリカ人にとってニクソンとは気になって気になって仕方のない特別な政治家であるようですが、そんな数あるニクソンものの中でも本作は決定版とも言える堂々たる仕上がりとなっています。3時間超えという上映時間にも関わらず一瞬たりともダレることはなく、ムダな場面、ムダなセリフは一切なし。大変に見応えのある作品でした。。。 本作で意外に感じたのは、ハリウッドきってのリベラリストであるストーンが、ニクソンに対して非常に同情的な目を向けているという点です。金なしコネなし学歴なし(ハーバード大には合格していたものの、実家が貧しく東部で下宿する費用を捻出できなかったため、仕方なく地元の大学に進学した)の状態から人並み外れた努力によって大統領にまで登り詰めたものの、マスコミから嫌われたために国全体から悪意を向けられ続け、最終的には唾を吐かれながら大統領の座を失った悲しい男の物語として本作は製作されています。政治面では並みの大統領数人分に匹敵する実績を残したにも関わらず、その功績はほとんど評価されず、外交面での目覚ましい成果に至っては部下だったキッシンジャーの手柄にされてしまったという彼のあんまりな人生が、かなりフェアな目線で描かれているのです。ベトナムから撤退した際に「国民やマスコミが望んだ通りにしたのに、なぜ俺が叩かれるんだ」と嘆いた場面などは、特に気の毒に感じました。本作を観れば、ニクソンに対する評価が大きく変わるはずです。。。 一方で問題に感じたのは、客層があまりに限定されすぎているという点です。60年代から70年代のアメリカ社会や世界情勢についての知識を持っていることは当然、ウォーターゲート事件に至っては、リアルタイムで事件を見ていた世代でなければわからない程の不親切な描写となっており、80年代以降に生まれた私のような世代にとっては、かなり厳しい内容となっています。誰でも理解できるように作られていた『JFK』と比較すると、ちょいと不親切過ぎではないでしょうか。
[DVD(吹替)] 7点(2012-10-17 01:57:16)
614.  フォレスト・ガンプ/一期一会 《ネタバレ》 
本作は、インフレ率を考慮すると後の『スパイダーマン』や『ダークナイト』をも超える興行収入を叩き出しているのですが、アニメでもスペクタクルでもないヒューマンドラマがここまでの数字を出した例は後にも先にもこれ一本のみ。今回、十数年ぶりに鑑賞してみたのですが、確かにこれはアメリカ人から熱狂的に支持されて当然の映画だと感じました。。。 本作の舞台となる60年代から70年代にかけて、アメリカはまっぷたつに分裂していました。大統領を含む政治的リーダーはしょっちゅう命を狙われ、公安組織は市民のデモ隊に対して容赦なく暴力を振るうという世相であり、それはもはや内戦状態とも言える有様でした。そんな時代を反映するかの如く、このドラマには二人の人物が登場します。国家に対して従順なフォレスト・ガンプと、反権力に生きるジェニー・カランです。通常の映画であれば反権力に身を置く者が主人公とされるところなのですが、本作では権力に寄り添うフォレスト・ガンプが主人公となっています。そして、ガンプが堅実に生きた結果としてアメリカン・ドリームを手にする様は、あの時代のアメリカ社会の肯定を意味します。これまで真っ暗闇として描かれてきた60年代から70年代のアメリカは、本作によってようやく復権したというわけです。一方、反権力のジェニーはと言えば、ガンプやババが戦場で命を張っている間、仕事も勉強もせずに仲間と遊び呆けて暮らしています。彼女は権利ばかりを主張して義務を果たすつもりはないという身勝手な生き方をするのですが、それは反権力とかプロ市民に対して一般人が持つ反感を見事に具現化したものです。自堕落な人生のツケを払わされるかの如く、彼女がエイズで命を落とす様は、もはや勧善懲悪の世界でした。。。 以上の通り、本作は強烈な政治性を帯びているのですが、コメディを得意とするロバート・ゼメキスの演出によって程よくマイルドに落ち着いており、アメリカ人以外でも楽しめる仕上がりとなっています。あき竹城みたいな東洋人を連れて久しぶりに姿を現したダン中尉が、爽やかな笑顔で「俺にもフィアンセが出来たんだ」と言う場面なんて、涙が出る程笑ってしまいました。また、ノンフィクションものを得意とするエリック・ロスによる脚色も見事であり、歴史的事実とファンタジーとの間で絶妙なバランスをとっています。
[DVD(吹替)] 7点(2012-10-17 01:55:08)(良:3票)
615.  ザ・ファーム/法律事務所
飛ぶ鳥を落とす勢いだった若きトム・クルーズを中心とし、その周りをジーン・ハックマンやエド・ハリスといったベテラン勢で固め、さらにその外側にはゲイリー・ビジーやトビン・ベルといった個性派を配置するという層の厚いキャスティングは魅力的でした。本作はパラマウントにとって相当気合いの入った企画だったようで、スタッフ、キャスト共に最高のメンバーが名を連ねています。しかし、そんなパラマウントからの期待とは裏腹に、映画の内容は平凡の域を脱していません。不吉な前兆の積み重ねでイヤな汗をかかされる前半部分はそれなりの面白さだったものの、後半部分で映画は完全に息切れしてしまうのです。監督も脚本家も複雑な話をまとめあげることでいっぱいいっぱいになってしまい、この膨大な情報量が観客に伝わるかどうかとか、クライマックスで観客はカタルシスを味わえるかどうかということは二の次にされています。直し屋として有名なロバート・タウンが脚本家に名を連ねている時点で察するべきだったのですが、それにしても、思いの外低い完成度には驚かされました。トム・クルーズ以外のキャストを完全に持て余すという名優の無駄遣いぶりもかなりのもので、本作よりも2ランクも3ランクも劣るメンバーで製作された『逃亡者』に批評面でも興行面でも及ばなかったことにも納得がいきます。
[DVD(吹替)] 5点(2012-10-17 01:53:35)(良:1票)
616.  JUNO/ジュノ
本作の脚本でオスカーを受賞したディアブロ・コーディは、大学卒業後に普通に就職したものの興味本位でストリッパーに転職し、その後、ブログにおける圧倒的な文章力が評価されて脚本家に転身したという変わり種。そんな彼女によって生み出された本作が普通の青春映画であるわけがなく、16歳の女の子が妊娠しても誰からも怒られないし、クラスメイトからイジメや嫌がらせを受けるわけでもなく、赤ちゃんへの責任で思い悩むこともありません。妊娠して早々に、「今の自分に養育能力はないから、子供を欲しがっているお金持ちにこの子を引き取ってもらおう」という結論を出してしまうのですから。この手の映画で考えられるネタはほとんど外してきているのですが、それでいて奇をてらった嫌らしさはなく、コーディの個性がそのまま反映されたかのような奔放さに溢れています。。。 押しつけがましいドラマを嫌うジェイソン・ライトマンによる演出も、本作にはピタリとはまっています。変わった切り口ではあるものの、世の真理を突くかのような鋭さがあるために映画への共感は絶えないし、過剰ではない笑いにも独特のセンスが光ります。この映画が全米でブームとなり、フォックス・サーチライト史上最高の収益を上げた理由も理解できます。この映画には独特のセンスの良さやかわいらしさ、かっこよさがあって、この映画の良さを理解できること自体がファッションとなりうるのです。これについては、ジェイソン・ライトマンの手腕によるものと考えるべきでしょう。。。 エレン・ペイジは完璧にジュノになりきっています。皮肉屋で変わり者なんだけど、たまに女子の一面を覗かせるという絶妙な演技は、彼女以外ではちょっと無理だったのではないかと思います。なお、ジェイソン・ライトマンの映画はセリフの量が多く、かつ微妙なニュアンスの会話が交わされるので吹き替えでの鑑賞が向くのですが、特に本作におけるジュノの声のハマり具合は絶妙なので、DVDでご覧になる方はぜひとも吹き替えをお試しください。
[地上波(吹替)] 7点(2012-10-13 02:49:09)
617.  ヤング≒アダルト
幸せになれない肉食女子を描いた痛いブラックコメディなのですが、『JUNO/ジュノ』でオスカーを受賞したディアブロ・コーディによる脚本が相変わらず素晴らしく、男女を問わず楽しめる作品に仕上がっています。あらすじはかなり現実離れしているのですが、過去の栄光を懐かしんだり、初めての恋人を特別視したりといった主人公の心理には一定の普遍性があり、この点が観客と映画との間の共感の接点となっています。また、主人公の職業を小説家とし、彼女の歪んだ性根を小説によって明快に表現するという映画的工夫も素晴らしいと感じました。単なるバカ女にしか見えなかった主人公が、実は苦しい過去を抱えていたことが判明する終盤の急展開にも驚きと意外性があり、隅から隅まで計算し尽くされた脚本だと思います。。。 ジェイソン・ライトマンによる演出も安定しています。皮肉家で嫌味な性格なんだけど、どこか愛嬌を感じさせるキャラクターを描かせると、毎度この人は素晴らしい仕事をします。主人公のやっていることは最低で、その言動には同情の余地ゼロなのですが、それでもこのキャラクターを好意的に見てしまうのです。ハッピーエンドでもバッドエンドでもないクライマックスはいかにもライトマンらしい終わり方で、観客に何も押しつけてこないラフな姿勢に好感が持てます。
[DVD(吹替)] 8点(2012-10-13 02:47:36)(良:1票)
618.  レボリューション6
若い頃にバカをやっていた仲間が十数年ぶりに集まり、思いがけず発生した緊急事態への対応を図るという物語は非常に魅力的です。いまだにバカをやり続け、気が付けばイタイおっさんになっている者、天才肌でいとも簡単に社会的成功を手にした者、苦労してそれなりの地位を築いた者、平凡な生活に追われている者、それぞれの人生は非常に象徴的であり、現代社会の構図をたった6人のキャラクターにまで凝縮してみせた監督と脚本家の手腕は賞賛に値します。さらには、学生運動から卒業できなかったイタイ2人組には、実はそこに留まらざるをえなかった事情があったこと、そして、その他の4人はその事情から逃げ出したのだということが明かされる中盤の展開なども捻りが効いており、よく考えられた群像劇だと思いました。万人のノスタルジーを誘う空気感などもよく作られています。。。 ただしこの映画、基本的なストーリーに難があります。犯行の様子が収められたフィルムを証拠品として押収されたので、これを取り戻すために警察の倉庫に侵入するというストーリーがあまりに現実離れしていたので、うまく物語に乗っかることができませんでした。イーサン・ハントじゃあるまいし、警戒厳重な公安施設に素人が潜入するという破天荒な話には、とてもじゃないけど手に汗握ることができません。また、メンバーそれぞれに特技を与え、6人全員が揃わなければ事がうまく運ばないという制約条件を与えることがこの手の映画の常套手段だと思うのですが、本作ではそういった設定が設けられていません。その結果、一人や二人不参加でもミッションは遂行可能だし、重要な計画を実行中であっても、メンバーのうち何人かは仕事がなくて遊んでいるという、なんとも緊張感に欠ける事態が発生しています。ラストにおける刑事の手の平返しも唐突だったし、総じて犯罪映画としてのツメが甘すぎると感じました。
[DVD(吹替)] 5点(2012-10-13 02:45:55)
619.  ジャンパー
陽気な『インビジブル』とでも言いましょうか、まったく悩まない主人公が斬新な映画でした。能力が発現すれば、その日の夜にはさっそく家出。ただひたすら私利私欲のために能力を浪費し、社会正義などはまったく気にかけないという潔さは見ていて気持ちがよくなるほどでした。確かに、10代の若者が特殊能力を身につければ、その能力を専ら金と女に向けることは自然なことです。正義のあり方についてあれこれ悩むピーター・パーカーのような殊勝な青年はむしろ例外であり、本作はアンチアメコミものとしてなかなか興味深い姿勢で製作されています。。。 問題だったのは、ジャンパーとパラディンの戦いに緊張感がまったくなかったこと。特殊能力を持つ主人公が圧倒的に有利なことは誰の目にも明らかであり、その戦力差は憎まれ役であるはずのパラディンが気の毒になるほどでした。また、主人公が大馬鹿野郎のバカボン君だったことも、映画のテンションを大きく下げる原因となっています。パラディンの襲撃から命からがら逃げ出した直後であるにも関わらず、高校時代のマドンナをナンパしてローマ旅行に向かい、案の定、パラディンに追跡されてしまうというバカさ加減には呆れました。意図的にライトさを狙った作品であることは理解できるのですが、主人公がここまで愚かでは活劇として成立しません。
[ブルーレイ(吹替)] 5点(2012-10-09 23:02:23)
620.  ナイト&デイ
かねてより、私はトム・クルーズの爽やかスマイルの裏側に何か不気味なものを感じていたのですが、どうやらトム自身にもその自覚はあったようで、本作はそんなダーク・トム・クルーズの魅力を目一杯活用した作品に仕上がっています。どんな窮地に陥っても輝くような笑顔を振りまくトム・クルーズは、もはや狂人一歩手前。トムの異常なテンションと呼応するかのような気の狂った見せ場の数々も見応え十分であり、本作の前半部分はアクションコメディとして最上級の完成度だったと思います。同時に、キャメロン・ディアスは年齢を感じさせない愛嬌を振りまいており、『オーシャンズ13』以来久々のスター映画としても十分に楽しめました。。。 ただし、後半に入ると映画は急速に失速します。お祭り映画に終始すればよかったものを、マジメなスパイ映画としてまとめようとしたために全体のバランスが崩れてしまったのです。もっともマズイと感じたのは、敵方の殺し屋がむごい死に方をする様をはっきりと映し出してしまったことで、このことによってアクションから痛快さが失われてしまいました。この手の映画では敵の死などは記号に過ぎないのだから、もっと割り切った演出でよかったと思います。  
[映画館(字幕)] 6点(2012-10-09 23:00:30)(良:1票)
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