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ザ・チャンバラさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1274
性別 男性
年齢 43歳
自己紹介 嫁・子供・犬と都内に住んでいます。職業は公認会計士です。
ちょっと前までは仕事がヒマで、趣味に多くの時間を使えていたのですが、最近は景気が回復しているのか驚くほど仕事が増えており、映画を見られなくなってきています。
程々に稼いで程々に遊べる生活を愛する私にとっては過酷な日々となっていますが、そんな中でも細々とレビューを続けていきたいと思います。

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661.  ブリッジ・オブ・スパイ
視覚的な見せ場が売りの作品ではないものの、それでも時代の再現度は壮絶なレベルに達しているし、U2偵察機撃墜場面やベルリンの壁構築場面の迫力は凄まじく、スピルバーグはスペクタクルの巨匠であることを再認識させられました。 他方、肝心のお話しの方はイマイチでした。正義漢でもない主人公が、なぜ汚名を着せられてまでソ連のスパイの弁護を引き受けたのか。命の危険を冒してまで東ベルリンへと飛んだのか。その辺りが明確に描かれないため、掴みどころのないドラマとなっているのです。 また、法廷闘争や人質交換交渉においては、目的に対して何が問題になっているのか、そしてそれをどうクリアーするのかという形で論点が整理されていないため、そこにスリルやドラマを醸成しきれていません。主人公があっちからこっちへと動き回って、何人かの人と話しているうちに何となく問題が解決していくという流れであるため、感情的な引っ掛かりが少ないのです。この辺りは、もっと引き締まった作りにして欲しいところでした。
[映画館(字幕)] 6点(2016-01-09 02:44:50)
662.  ブラック・ラン<TVM>
『ショーシャンクの空に』のフランク・ダラボンが書いた脚本を、後に『イーグルアイズ』を撮るD・J・カルーソが監督したという、現在から振り返ると何とも豪華な布陣によるTV映画。 『ショーシャンクの空に』でオスカー作品賞にノミネートされ、『プライベート・ライアン』の脚本のリライトにも呼ばれるなど(冒頭のノルマンディー上陸はオリジナルにはなく、スピルバーグからの依頼によりダラボンが書き加えたもの)、当時すでにハリウッド有数の脚本家だったダラボンがなぜ低予算のTV映画に関わることとなったのかは分かりませんが、ロミオとジュリエットのような主人公とその恋人との関係や、警察から犯人だと勘違いされ、主人公が孤立無援の中で戦わざるをえなくなるというシチュエーションなど凝った設定が多く、そこいらのB級アクションとの差をまざまざと見せつけられました。さらには、多くの要素がひしめく作品でありながら大した混乱が起こっておらず、無駄な登場人物がいないためストーリーテリングは極めて滑らか。ダラボンがどれほどの熱量をもってこの企画にあたったのかは分かりませんが、うまい人に作らせれば、一度見で消費されるだけのTV映画でもそれなりのものができるんだなと感心させられました。 ただし、演出の方は安っぽさ全開でイマイチ見栄えがしません。当時流行っていたジョン・ウー風にしたかったのか、いちいちスローモーションになるアクションには古臭さを感じさせられるし、車を使った追っかけがメインの作品なのにスピード感の演出にも失敗しており、結果的にそこいらのB級アクション映画群に紛れてしまう程度の仕上がりに終わっています。せっかく脚本は良かったのだから、もうちょっと丁寧に撮って欲しいところでした。
[ビデオ(字幕)] 6点(2015-11-30 09:14:19)
663.  エベレスト 3D
IMAX3Dにて鑑賞。 邦題に3Dを冠した作品だけあって3D効果には素晴らしいものがあって、エベレストの美しさと恐ろしさを存分に味わわせてくれます。急斜面から下を見下ろすショットが何度か出てくるのですが、これが高所恐怖症ではない私でも脇汗をかかされるほどのド迫力であり、『ゼロ・グラビティ』にも匹敵するライド映画となっています。その視覚効果の凄さは、設備の整った映画館で見なければまったく無意味と断言できるほどであり、もし迷っているならすぐに映画館へ足を運ばれることをオススメします。 他方、ドラマの方はかなり淡泊です。比較的最近の事故であるため存命中の関係者が多く、さらには生存者間でも事実認識が割れている点がいくつかあることから、脚色にあたって相当な制約を受けたことがその原因のようで、いろいろと無難に収められています。登山ガイドの隊長、顧客の医師、なけなしの金を持って参加した郵便局員の3名が物語の中心となるのですが、これら中心人物達ですら背景の描写は最小限にとどめられており、その豪華キャストから『ポセイドン・アドベンチャー』のような濃いドラマを期待すると、少なからずガッカリさせられます。 また、登場人物が多いことに加えて、吹雪の中では顔の判別が付きづらいこと、途中からパーティーがいくつにも分割してそれぞれの位置関係の把握が難しいこともあって、誰が何をやっているのかの把握が非常に困難であり、内容を正確に理解しようとするとかなり混乱します。ラスト30分で突如救助隊の中心人物となるサム・ワーシントンなんて、「あなた、いましたっけ?」と言いたくなるほどの唐突感だったし、総じて登場人物の交通整理はうまくいっていません。「少々のことはわからなくても大丈夫」と早めに割り切り、登山の追体験に専念することが正しい鑑賞姿勢だったのかもしれません。
[映画館(字幕)] 6点(2015-11-09 15:34:13)
664.  メイズ・ランナー 《ネタバレ》 
ハリウッドで年に数本製作されるティーン向けSFですが、外に待ち受ける迷路が大人社会の暗喩で、状況打破のためそこに切り込んでいこうとする者と、現状維持のため内に籠ることを望む者が対立するという構図や、記憶喪失からスタートして「自分とは何者か」を探るという物語はティーンの成長過程を作品に取り込んだものであり、「結構ベタベタですなぁ」と思いながら鑑賞しました。自分もいい年になったので、残念ながらこういう話にストレートに感情移入しながら見ることはできなくなったようです。 ただし、ストーリーテリングは型破りで、いい意味で裏切られました。三部作構成を謳いながらも、本作単独でも話を成立させようという配慮があり、主人公たちが迷路から脱出して世界の謎を暴くというところまでやってくれたので、ストレスなく鑑賞することができました。迷路の脱出過程にしても、中盤にてランナーのリーダーが「実は迷路の隅々まで把握はできている。ただし、最後の壁の突破方法が分からない」と告白し、迷路の攻略過程を大幅にカットしています。この大胆なリストラによって、迷路攻略に係る知的なやりとりは大幅に減ってしまったものの、その一方で、迷路に入っては出ることを繰り返してその内部構造を探るという視覚的に地味な作業が省略され、最後の壁の突破という一点のみに物語の焦点が定まったことから、作品全体に勢いが出るというメリットがありました。私はこの取捨選択を支持します。 気になったのは、細かい部分で設定を煮詰めきれていないということでした。思春期の男ばかりの集落に、突如かわいい女の子が放り込まれれば何が起こるのか。作品の性質上、展開が生々しくなりすぎてはいけないということは承知しているものの、それでも性欲全開の時期の男子を集めておきながらセクシャルな問題にまったく触れていないことには違和感を覚えました。そもそも、あの状況でおかしくなったり自暴自棄になったりする者が皆無で、みんな秩序正しく生きていることが不自然だったし、ボロを着ている割に髪型だけはバッチリ決まっていることもヘンでした(エレベーターで整髪料も届けられてるのか?)。些細なツッコミでも積もれば山となるわけです。その辺りのどうでもいい疑問を抱かせないような方便があれば、より良い作品になったと思います。
[ブルーレイ(吹替)] 6点(2015-10-14 15:42:36)(良:1票)
665.  フォックスキャッチャー 《ネタバレ》 
憎まれ役たるジョン・デュポンが最高すぎます。そもそも根性がネジ曲がっている上に、自分は権力者だから何をやっても許されるという妙な自信もあって、やりたい放題が止まりません。デュポン本人に似せるためのガチガチの特殊メイクによりその顔は能面のように固まり、表情が読めなくなっていることもこの人物の恐ろしさの表現に貢献しており、莫大な富と権力を持つ異常者が何にキレるか分からないという緊張感が全編を貫いています。 よくよく考えてみれば、ジョン・デュポンは気の毒な人です。セレブパーティーでの立ち居振る舞いや、選手に向けての演説を見れば、決してバカではないことはわかります。普通の家に生まれついていれば程々に生きることもできたのでしょうが、彼は全米屈指の名門に生まれてしまった。最高でなければ許されない環境に生まれついてしまった凡人。上からはバカ扱いされ、下からは心にもないおべんちゃらばかり言われて50年も生きていれば、おかしくなっても不思議ではありません。 そんな中で出会ったのがマーク・シュルツでした。兄のデーブばかりが持て囃され、金メダル獲得という最高の結果を残しているにも関わらず金銭的にも人間的にも恵まれない境遇にいる孤独なアスリート。人間的な欠陥を抱えるジョンとマークは、出会うや否や、共依存の関係となります。ジョンによる破格のオファーは、「自分は能力と実績に見合った評価を受けていない」というマークの不満を解消するものだったし、そんなマークがスポーツ振興を掲げるジョンの主張に心酔したことは、ジョンの自己承認欲求を満たしました。もしかしたら、ジョンが心からの尊敬を受けたのは人生で初めてのことだったのかもしれません。 しかし、ダメ人間の二人では厳しい競技の世界で勝ち続けることができませんでした。スポーツファンの域を出ていないジョンは指導者になれなかったし、マークは自発的に物事を考えることができず、指導者不在でトレーニングが進みません。どうしようもなくなって呼ばれたのが兄・デーブですが、デーブはすぐにマークの支えとなり、ジョンとマークの依存関係は崩壊します。これがデーブ殺害のきっかけとなったようです。 問題は、映画としての面白みに欠けていたこと。存命中の関係者がいるため事実関係への配慮が随所に感じられ、映画としてのイベント作りが不足していました。雰囲気作りは良かっただけに、もう少し面白ければ。
[ブルーレイ(吹替)] 6点(2015-09-25 18:38:10)
666.  ジュピター
当初よりフランチャイズ化を目論んで作られた作品であるため一本の娯楽作としては過剰なほど設定や伏線が多く、大して難しくないはずの物語がゴチャゴチャしすぎているために直感的な面白さを感じづらくなっています。また、宇宙規模の物語ながら、すぐにワープ移動してしまうために舞台の広さを実感できず、基本設定とは裏腹にこじんまりとした印象を受けました。肝心の物語にしても、スペースオペラの皮を被りながらも、その実態は金や相続の問題というギャップに面白みを感じるべきだったのでしょうが、そこも、それほど面白くありません。総じて、ディズニーが『ジョン・カーター』でやらかしたのと同じ失敗をしています。 ただし、ウォシャウスキー姉弟の作品だけあって美術やVFXの作り込みはハンパではないし、ギリギリで救援が駆けつける際のタイミングの取り方もよく、娯楽映画としては一定の水準に達しています。シリーズ化を見越していただけあって主要登場人物はほとんど死なず、鑑賞後の印象もスカっと爽やか。チャニング・テイタムとショーン・ビーンはカッコいいし、ゴチャゴチャした物語はこの際無視し、悪い奴からお姫様を救い出す冒険談と割り切って鑑賞すれば、それなりに見られる映画にはなっています。
[ブルーレイ(吹替)] 6点(2015-08-29 00:06:05)
667.  マーティン/呪われた吸血少年
他人より若干色白ということ以外に吸血鬼らしい特徴はなく、十字架も日光も平気で、カトリックの教会にまで出入りするマーティン。時折挿入される20世紀中頃と思われる回想も、彼が実際に経験したことなのか、それともただの夢なのかが判然とせず、マーティンは本当に吸血鬼なのか、それとも自分を吸血鬼だと思い込んでいる普通の人間なのかが意図的にぼやかされています。観客に解釈の余地を残した作りはいかにも70年代っぽくて、私は嫌いではありません。また、吸血鬼と言えば性的なアイコンでもあり、本作にもちょいちょいヌードが出てくるのですが、どの場面も艶かしく撮られていることには感心しました。ロメロはゾンビ親父としての印象しかありませんでしたが、監督としての引き出しは意外と多いようです。 こうして部分評価可能な点が少なからずある反面、作品全体としてはとっ散らかっていて、良作にはなりきれていません。例えば、マーティンとクーダの関係。クーダはマーティンを心の底から忌み嫌っているし、マーティンもクーダの頑固さには手を焼いているのですが、そんな二人が共同生活をするに至った経緯がまったく描かれていないため、ドラマの通りが悪くなっています。二人の間には捻れた依存関係があると思うのですが(信仰心の強いクーダは、神の存在証明の裏返しとして悪しき者を求め、内向的なマーティンは、吸血鬼という自分のアイデンティティを額面通りに受け取ってくれる人を求めていた)、そうしたものがまったく描かれていない点が残念でした。また、マーティンを「なまけもの!」と言って責め立てるババァの存在なども単発エピソードで終わってしまっていて、その意義を感じられるまで深掘りされていません。他方、マーティンがラジオの人生相談の常連になるものの、いたって真剣な本人の意図とは裏腹に「伯爵様」と呼ばれてネタキャラ扱いされてしまう件は、作品全体から見て明らかに不要です。 ファーストカットでは2時間45分もあったのですが、無名監督と無名キャストで内容も地味とあってはヒットが見込めないと、完成後2年もオクラ入りした後、世に出たバージョンは95分にまで縮められたと言います。その過程で重要なシーンの多くがカットされたようです。全体としては決して甘い作りではないだけに、まだロメロが元気なうちに完全版がリリースされることを望みます。
[ビデオ(字幕)] 6点(2015-07-30 18:12:25)
668.  誰よりも狙われた男 《ネタバレ》 
何の予備知識もなく鑑賞したので、フィリップ・シーモア・ホフマンはドイツ駐在中のCIA職員か何かだと思っていたのですが、途中でドイツの公務員であることに気づいてビックリ。ドイツ訛りの英語を話すアメリカ人俳優をドイツ人とみなすというハリウッド式の無茶設定は、そろそろやめてもらえませんかね。その他、主要登場人物は設定上の国籍に関係なくアメリカ人が演じているのですが、これまたややこしいのがロビン・ライト演じるCIA職員の存在であり、ドイツ人役を演じているアメリカ人俳優と、アメリカ人役を演じているアメリカ人俳優が同時に出てくるため、なんとも妙な気持ちにさせられます。 内容は地味です。007やミッション・インポッシブルのようなカーチェイスも銃撃戦もなし、主人公は中年太りのフィリップ・シーモア・ホフマンだし。テロの黒幕の正体を暴くといった類の謎解きもありません。怪しい奴はすでに分かっており、人権や法律といった社会的制約条件、さらには監督省庁間の縄張り争いもある中で、これをどうやって追い込むかという点が本作のハイライトとなっています。同じくジョン・ル・カレ原作の『裏切りのサーカス』もそうでしたが、手続きがじっくりと描かれているのです。アクション映画のような瞬発力はありませんが、「ほ~」と納得しながら見ることはできました。 また、「テロリストを捕らえる」という命題に向かってどのような方法をとるのかについて、アメリカとヨーロッパとの違いが描かれている点も興味深く感じました。正常な範囲内でのナショナリズムや愛郷心を刺激されてテロ協力者にはなっているが、本人に反社会性はないというケース。ヨーロッパ当局は彼らをターゲットとはせず、真の悪党を捕まえるための協力者としてこちらサイドに取り込み、成功の暁には元の社会生活に戻してやるという方法をとります。これはテロ協力者に対する温情ではなく、当事者の本質を見極めた上で、もっとも効率的と考えられる方法なのです。一方でアメリカはこれら悪意のないテロ協力者でも片っ端から捕まえて回り、その結果、第一目標であるテロ首謀者にはたどり着けないわ、本来悪人ではない人間を本当のテロリストに変えてしまうわと、即効性があるように見えて実は物凄く非効率な方法をとっています。こんなことしてれば、いつまで経っても対テロ戦争は終わらないわなと、妙なところで納得してしまいました。
[DVD(字幕)] 6点(2015-07-28 16:05:27)
669.  機動戦士ガンダムF91 《ネタバレ》 
当初はテレビシリーズ用として考えられていた作品だけに、各要素はしっかりと作りこまれています。まず、クロスボーン・バンガードのMSデザインが秀逸。連邦系ともジオン系とも違う個性があり、新たな脅威が現れたという設定をデザインでうまく表現できています。また、クロスボーン・バンガードの創始者マイッツァー・ロナは人格者であり、その主張には一定の哲学と合理性が認められるものの、腹に一物持った部下たちが勝手に動き出したことから結果的にならず者集団になってしまったという展開には、現実の組織論が反映されているようで面白いと感じました。 戦場の描写は壮絶を極め、乳飲み子を抱えた母親がMSの薬莢に頭を割られて死ぬ、主人公グループのムードメーカーらしき人物が初戦で衝突死、大量殺戮兵器バグは子供を切り裂くなど、普通のアニメでは被害者にはならないタイプの人たちの死が克明に描かれており、戦争とは地獄であることを強烈に印象付けています。 作品の落としどころもよく考えられています。主人公は鉄仮面を倒すがそれはあくまで私闘のようなものであり、主戦場では連邦軍がボロ負けしてフロンティアⅠを放棄したという、勝利と敗北の両方が含まれた結末としたことで、一本の映画としてオチを付けると同時に、これから続く(と想定されていた)テレビシリーズにも繋げており、これは本当にうまいやり方だと感心しました。 問題点は、テレビの1クールに相当する分量を2時間に押し込めてしまったために、急な展開が多いこと。舞台が突然変わったり、何人かのキャラクターが唐突な心変わりをしたりと、ついて行けない点が多々ありました。また、テレビシリーズ用の作品だけあってセリフのあるキャラクターが非常に多く、キャラクターの把握にも時間がかかりました。そのキャラクター達は基本的に常識人なのでストレスなく見ることができたのですが、反面、強烈な個性を持った者がいないためにドラマ部分への関心が持続しなかったこともマイナス。登場人物の大半が狂っていた『Ζ』って、なんだかんだで面白かったなぁと遠い目をしてしまいました。 破綻気味のスケジュールで製作されたためか、MS戦の作画クォリティは『逆襲のシャア』どころか、数ヵ月後にリリースされたOVA『0083』にも完敗というレベルで、本家スタッフが再結集した作品としては期待はずれです。
[DVD(邦画)] 6点(2015-07-28 16:03:55)(良:1票)
670.  機動戦士ZガンダムII 恋人たち
3部作全体の評価については『星を継ぐ者』にてレビューした通りで、私としては新訳Ζに対して肯定的な立場をとっています。語り口が荒っぽい点については目を瞑り(そもそも、50話を費やしてもわかりづらい話だったのですから)、リファインされた映像面に注視しましょうというのが、本3部作に対する私の姿勢です。 その点で、もっとも評価が苦しいのがこの『恋人たち』です。戦闘シーンに際立ったものがなく、テレビ版のダイジェストを見ているだけという印象なのです。映像面での恩恵が少ないため、評価はやや低めにせざるをえません。 ただし、良かった点もあります。もっとも評価できるのは、フォウ・ムラサメをスードリで殺したこと。テレビ版ではスードリの爆発を生き延び、後にキリマンジャロで再登場するのですが、カミーユの成長物語として考えれば、フォウはスードリで死ぬべきでした。新訳版ではそうした自然な形に修正されたことで、私としては腹落ちの良い展開となりました。また、作品の緊張感がピークに達したところでアクシズが仰々しく現れ、「この先、どうなるんだ」という期待と不安を抱かせたところでブツっと終わるという幕引きには興奮させられました。3部作の中編という立ち位置をうまく使い、映画らしい展開を作れているのです。完結編への期待を煽る、見事なクライマックスだったと思います。
[DVD(邦画)] 6点(2015-07-10 17:19:12)
671.  her 世界でひとつの彼女 《ネタバレ》 
前妻がルーニー・マーラで、エイミー・アダムスが元カノ兼親友で、友人からの紹介で渋々会ってみたらオリヴィア・ワイルドとか、どんだけ恵まれてるんすか、お兄さん。これだけの女性に囲まれたリア充の主人公がOSとの恋愛にハマるという設定がよく飲み込めなかったので、お話がなかなか頭に入ってきませんでした。もっと孤独で情けなく生きてる男が、やむにやまれず辿り着いたのがOSとの恋愛だったという設定の方が今日的で、より多くの独身男性の心に届いたと思います。 そもそもの問題として、OSが人格持ってたらウザイでしょ。メールの内容も通話の内容も筒抜け、何を検索したかも丸分かりで、夜な夜な増えていくエロ画像コレクションも全部お見通し。私だったら耐えられません。そんな感じで基本設定が弱すぎるため、核心部分にまで私の興味・関心がたどり着かないということが難点でした。SFというよりも寓話に近い作品なのでリアリティを追求する必要はないのですが、そうは言っても2時間は観客を納得させておけるだけの設定は準備しておくべきでした。 そんな感じで全体としてはイマイチだったものの、基本的には甘い作りの作品ではないので、部分評価が可能な点はいくつかありました。例えば、長年連れ添ったエイミー・アダムス夫妻が、ものすごく些細な理由で離婚してしまうこと。男女関係って、確かにそんなものだったりします。相手の明確な欠点や弱点については了承済なので意外と破局の理由にはならず、本当にどうでもいいことが火種になるものです。また、主人公とOSが破局に至った原因も、男女関係というものの一側面を的確に捉えているように感じました。リアルで何人かの女性から拒絶され、自分を肯定してくれる相手を欲していた主人公と、人間についてもっと知りたいと思っていたOSが、タイミングの一致もあって交際を開始。しかし、交際によって双方ともに変化が起き、誰が悪いでもなく交際が終了してしまうという呆気ない別れ。リアルの恋愛もこんなもので、♪寂しさゆえに愛が芽生え、お互いを知って愛が終わる~と長渕剛が歌っていた通りです。
[ブルーレイ(吹替)] 6点(2015-07-09 01:19:51)(良:2票)
672.  アンダー・ザ・スキン 種の捕食 《ネタバレ》 
捕食対象だった人間に情が移ったために弱くなってしまったエイリアンの物語。溺れた夫婦を助けようとして自らも力尽き浜辺で気絶した青年を石で殴り殺す、その夫婦の赤ちゃんを浜辺に残して去るなど、非情の限りを尽くしていたスカヨハエイリアン。この頃の彼女は無敵だったが、絶望的な孤独の中で生きるプロテウス症候群の青年(特殊メイクかと思いきや、本物の患者を起用している)の姿を通して自分の孤独を認識したことから、人間への同情を抱いてしまいます。そこから彼女(女性かどうかは不明ですが)は防戦一方となり、最後にはレイプ魔に焼き殺されます。悲しいかな、人間の世界は依然として力により支配されており、他者への共感は躊躇を生み、それが弱みになってしまうという、非情な真理を描いた作品と私は解釈しました。 エイリアンを演じるスカヨハは、まさに体を張った名演技を披露。これまで多くの映画でセックスシンボルを演じながらも脱ぎの仕事はやってこなかった彼女が、この低予算映画でアッサリ脱いでしまうという気前の良さ。また、女優さんであれば美しい体を撮って欲しいと願うものですが、彼女はあえてタルんだ体に仕上げてきています。肌の下”Under The Skin”に本体が隠れているという設定を再現するためには、贅肉を落とした美しい体ではなく、ダボダボの体が必要だったのです。ここまでやってしまう女優根性には恐れ入りました。 また、独創的かつ美しい映像にも見ごたえがあり、総じて見所の多い作品なのですが、その一方で緩急のない語り口が曲者であり、途中で飽きてしまうという点が問題でした。映像のコラージュだけでいくなら90分以内で収めるべきであり、それ以上の上映時間でやるならもっと饒舌な語り口とし、娯楽性への目配せも必要だったと思います。
[DVD(字幕)] 6点(2015-07-02 00:52:41)
673.  ケープタウン(2013) 《ネタバレ》 
差別主義者に父を焼き殺され、自身も犬に局部を食いちぎられて性的不能者になったズールー人・アリと、差別主義者を父に持つ白人・ブライアンがタッグを組むバディムービー。随所に南アフリカの難しい現実を投影したと思われるアイコンが登場するのですが、同国の情勢に詳しくない私にとってはイマイチ伝わらない点が多かったことが苦しかったです。フランス人が監督し、ハリウッドから俳優を呼び寄せて作った国際色豊かな作品なのだから、世界中の人が理解可能な内容にすべきだったと思います。 そんなわけで、作品に込められた裏の意味を理解できなかったので、あくまでバイオレンスアクションという表層部分に絞っての評価としますが、これがなかなかエグイ内容でビビりました。アリの父が殺害される場面から映画は始まるのですが、これがただの焼死ではなく、タイヤネックレス(ガソリンをかけたタイヤを首から被せ、そのタイヤに火をつけて焼き殺す。顔は炎に焼かれ、溶けた高温のゴムが体にまとわりつくという凄惨極まりない処刑方法)だったのでゲンナリ。本編がはじまると撲殺された女性の死体が登場するのですが、これがまた死ぬまで殴られましたということが一目で分かるほどのひどい傷み具合で、本作はハンパなバイオレンス映画ではないなと腹を括りました。 ソフトなイケメンというイメージの強いオーランド・ブルームが、本作でははみ出し刑事を熱演。ハリー・キャラハンとマーティン・リッグスを合わせたような狂犬ぶりを見事モノにしており、意外と良い役者さんだったのねと感心しました。他方、フォレスト・ウィテカーはブレない安定感。ブルームと違って強烈な演技は見せていないものの、難しい部分は彼が引き受け、縁の下の力持ちとして作品の土台部分を担っています。この二人のコンビがなかなか良くて、バディムービーとしては上々の仕上りでした。 残念だったのは、謎解きの答えに面白みがなかったこと。死体やアクションの見せ方等、ディティールにはリアリティへの目配せがあるのに対して、本筋部分には荒唐無稽な部分があって(黒人抹殺兵器ってのはさすがに…)、そこのバランスの悪さが気になりました。「アフリカではこういう酷いことが現実に起こっているのかもしれない」と思わせるような内容であればよかったのですが。
[ブルーレイ(字幕)] 6点(2015-07-02 00:48:33)(良:2票)
674.  ファーナス/訣別の朝
ウディ・ハレルソンのキ〇ガイ演技が素晴らしすぎて、彼が出ている場面には目が釘付けになりました。次の瞬間に何をしでかすか分からない怖さは『グッドフェローズ』のジョー・ペシに匹敵するレベルであり、製作陣もこの男の底知れぬ魅力に気付いていたのか、その登場場面を作品の冒頭に持ってくるという大盤振る舞い。これまたすごいのが、この登場場面が本筋にまったく影響を与えていないという点であり、作品の冒頭が一人の脇役を紹介するためだけに存在していたことには二度驚かされました。脇役をここまでフィーチャーした映画が他にあるでしょうか。 その割を食ったのが主人公であり、強面俳優がひしめく本作において、主人公は空気同然の存在感となっています。クリスチャン・ベールはいつも通りの深刻な顔で、演技に変化がありません。このままいくと、ハリソン・フォード並みのワンパターン演技の俳優となってしまう恐れがあります。 作品全体の空気はなかなか良くて、こういうガサガサした映画は私好みなのですが、前述した通り脇役が強烈すぎて、相対的に主人公の出ている場面がつまらないという点と、作品の要となるような強烈な場面を一つも作れておらず、結局は雰囲気もので終わってしまっているという点が残念でした。
[DVD(吹替)] 6点(2015-05-08 00:55:25)(良:1票)
675.  ダラス・バイヤーズクラブ 《ネタバレ》 
ガリガリに痩せたマシュー・マコノヒーの姿を見た時にはお涙頂戴の難病ものかと思ったのですが、実際には多層構造のよくできた物語でした。もちろん映画の中心にあるのは難病だし、主人公がいつ死ぬか分からないという危なっかしさがドラマ性を高めているのですが、それだけに寄りかかっていない脚本・演出の姿勢は大いに評価できます。これは、ゲイを差別していた主人公が差別される側へ回るという逆転の物語であり、脱法手段で金を稼ぐ主人公の成り上がり物語であり、アウトローが巨大な権力と戦う物語でもある。そして、叶わぬ恋に生きる者の物語でもあります。愛する人と一緒にいられる幸福感と、その人は永遠に自分には振り向いてくれないという絶望感を同時に味わいながら生きるレイヨンがかわいそうで。命を縮めるとわかっていても麻薬依存から抜け出せないことに彼の苦悩が表れているのですが、それでも表面上は常に明るく振舞っていることとのギャップで泣かされます。。。 ただし、本作にはアメリカ映画の悪い点もドバっと出ています。それは、過度の単純化。作品内の対立構造をわかりやすくするために、既存の治療薬AZTをまるで毒のように扱い、これを販売する製薬会社は金目的で副作用を隠蔽し、これに認可を与えた役所は製薬会社から賄賂を受け取っているという、何とも酷い描写が続きます。ただし、事実は映画ほど単純ではありません。80年代にはエイズは社会問題であり、この難病によって人類が滅ぼされるのではないかという不安すらありました。そんな中、HIVウィルスを殺せるAZTは世界中から受け入れられていたし、当時から副作用の存在も知られていました。もちろん、薬の認可スピードが遅いというお役所体質は問題だったし、ロンのような活動家がこれに風穴を空け、受けたい治療を受ける権利の獲得に貢献したことは大きな功績ですが、それにしても本作の描き方はあまりに一面的すぎるように感じました。。。 薬や治療の認可とは難しいものです。患者側に多様な選択肢があることは一見すると良いことに思えますが、それは素人である患者が、自分の責任で治療法を判断せねばならないということでもあります。そんな中で、学術的な裏付けのとれていない治療法が溢れかえれば、適切な治療を受ければ助かっていた命が失われる危険があります。本作は過度の単純化によって、そうした社会的な切り口を失っている点が残念でした。
[ブルーレイ(吹替)] 6点(2014-10-04 01:54:40)(良:3票)
676.  マイティ・ソー/ダーク・ワールド
ケネス・ブラナーが『エージェント・ライアン』に乗り換えたことを受け、監督はアラン・テイラーに変更。この人はTV界のベテランであり、現在、私がどハマリしているドラマ『ゲーム・オブ・スローンズ』では重要回を担当している人物だけに、その演出は実に安定しています。登場人物たちの愛憎関係を簡潔に提示したり、程よい笑いをとったりと、軽いフットワークでドラマパートをまとめる一方で、アクションパートでは重厚なスペクタクルをものにしており、初の大作ながら素晴らしい手腕を披露しています。2015年公開のリブート版『ターミネーター』の演出も務めるようですが、この監督ならば期待できるのではないでしょうか。。。 しかし、この監督の手腕をもってしても、映画全体を救うことはできなかったようです。アイアンマンとキャプテン・アメリカが続編の舞台を小さく設定し直し、パワーのインフレが起こることを回避したのとは対照的に、ソーは舞台を大きくしすぎて取り留めのないことになっています。わかるのは、正義の味方・ソーが悪い奴らと戦っているということだけで、悪人たちの目的は何で、彼らが勝つとどんな悪いことが起こるのかがピンときません。どうやら宇宙が滅びるらしいのですが、そんなことをして悪人たちに何の得があるのかが分からず、このお話にはポカンとさせられるのみでした。さらには、エーテルだのダークエルフだの、マーベル作品が出る度に追加される固有名詞を覚えることにもそろそろ嫌気が差してきており、肝心のお話自体に興味が持てませんでした。。。 キャストはとても豪華。一連のマーブル作品の中でも、もっとも多くの演技派俳優を揃えているシリーズだけに、演技の質は非常に高いです。ただし、前述の通りバカバカしい固有名詞が入り乱れる内容なので、オスカー俳優達との食い合せはよくないですが。アンソニー・ホプキンスやナタリー・ポートマンが真剣な顔をしてマンガチックなセリフを言う度に、何とも言えない居心地の悪さを感じました。
[ブルーレイ(吹替)] 6点(2014-09-30 23:35:17)(良:1票)
677.  コップランド 《ネタバレ》 
公開当時にも鑑賞したのですが、その際には、他の出演者の演技力と釣り合っていないことや、そもそも弱い男には見えないことから、本作におけるスタローンはミスキャストだと思いました。しかし、現在になって作品を再見すると印象も随分と変わるもので、これはこれでなかなか良いキャスティングだなと納得できました。演技派として名高い俳優の中に、むしろ大根役者として知られるスタローンを放り込んだこと自体が、彼が演じるフレディというキャラクターの立場を表現しているようです。。。 警官が多く住んでおり、犯罪が起こりようのない街、コップランド。その治安を守る保安官はそこにいるだけの存在であり、住民の警察官達からは見下されています。不慣れな社会派サスペンス映画において木偶の棒となり、終始、周りの演技派俳優達に圧倒されまくるスタローンは、警察官に囲まれてバカ扱いされるフレディと同じ立ち位置にあるのです。デ・ニーロやリオッタから早口で煽られても、それに言い返すことのできないフレディの姿は、俳優として行き詰まりはじめていた当時のスタローンと重なります。。。 そんなスタローンが、ラストでは得意の銃を握り締め、彼をさんざんバカにしてきた演技派俳優達をブチ殺しにいきます。ここに来ると映画は完全に西部劇の雰囲気となり、監督もノリノリ。「俺の特技はこれなんだ!覚えとけ!」と言わんばかりにスタローンがショットガンをぶっ放す場面では、拍手喝采したくなるほどのカタルシスが得られました。レイ・リオッタの参戦にも燃えた。社会派サスペンスはどうなってしまったんだという点はこの際置いといて、これはこれで良しとしましょう。
[ブルーレイ(字幕)] 6点(2014-09-20 01:19:56)
678.  エレファント 《ネタバレ》 
目隠しをして象の皮膚を触らせたところ、誰もそれが象だとは分からなかったという昔話がタイトルの由来だとか。本作はコロンバイン高校の銃乱射事件をモチーフにしつつも、あの事件の原因や影響等の分析をすることには意味がないという姿勢をとっており、ただ漠然と続くだろうと思っていた人生がある日突然終了した高校生達のドラマを描くことに注力しています。その基本姿勢ゆえ、映画に明らかな結末を求める客層にはあまりオススメできない仕上がりとなっています。私自身、本作を興味深く見ることができませんでした。80分程度の上映時間ながら、途中で何度も寝落ちしそうになったし。。。 とはいえ、ガス・ヴァン・サントによる演出には非凡なものを感じさせられました。シナリオらしいシナリオは書かず、映画の大枠だけを決めて撮影に入り、その撮影も素人のアドリブを中心に撮っているため雑然とした影響を受けるのですが、同じ場面がアングルを変えて何度も何度も繰り返された辺りから、今まで写っていた登場人物達はこれからの銃撃に巻き込まれる被害者達なのだと気付かされて、急に怖くなります。全体としては雑然と作っているように見せかけて、必要な部分では高度なストーリーテリングの技術を駆使して観客を誘導していくという隠し味の効かせ方のうまさ。これには感心させられました。
[DVD(字幕)] 6点(2014-09-17 00:31:52)(良:1票)
679.  るろうに剣心 京都大火編 《ネタバレ》 
原作未読につき思い入れのある作品ではないため、前作はブルーレイで済ませたのですが、本作については1ヶ月後には完結編が控えていることからソフトのリリースを待つ余裕がなく、劇場での鑑賞としました。。。 感想は前作と同様で、アクションはとにかく凄まじいし、役者のなりきり具合も素晴らしいが、肝心のお話が見せ場に追い付いていないという印象を受けました。映画を見る限り、製作側は一見さんにも理解可能なお話を目指していたように思うのですが、それでもやはり原作未読者にはよくわからない点が多々あります。特に、前作より大幅に登場人物を増やした結果、行動原理が不明な人間が何人も現れたことは痛かったです。全体的に、私怨なのか大義なのかの説明が不足しているんですよね。特に御庭番衆にはその思考がわからない人物が多く、この集団そのものを切ってしまった方がよかったように感じます。。。 また、本筋とは無関係なサブプロットもいくつか目に付きました。剣心が刀を折られた後、錬治の家族の元を訪れて新しい刀を手に入れるというくだり、及び、その刀を巡る金髪の敵(名前を忘れました)との攻防戦は、明らかに不要だったように感じます。なぜなら、このくだりの前後で、剣心の心境や人となりに変化がないからです。本筋と無関係な上に、キャラクターの成長を描くために不可欠なパートというわけでもないのだから、これはスッパリと落として、志々雄軍団との攻防戦に専念すべきでした。その志々雄にしても、明治新政府を打倒するという壮大な計画のまさに実行段階にあるにも関わらず、神谷薫を誘拐して剣心をおびき寄せるという合理性を感じられないことをチマチマとやっており、その優秀さを疑わざるをえなかったことは残念でした。藤原達也による演技には大変な凄みがあっただけに、脚本上のこの落ち度は勿体ない限りです。。。 以上、いろいろと文句をつけてきましたが、それでもアクションの出来は超一流。日本映画界におけるマンガ原作映画はハリウッドの猿真似ばかりで、その出来を誉められないものが多いのですが、本作は日本映画界にしか作れない題材を選び出し、その方向を深彫りしたことで、唯一無二のシリーズとなっています。こうした作品が作られ、映画館にお客さんが入っているということは、日本映画界にとって非常に良いことだと思います。
[映画館(邦画)] 6点(2014-08-25 01:27:37)
680.  リベンジ・マッチ
本作を見てわかったことは、豊富な人生経験は、時に才能をも凌駕するということです。主演2人のうち、役者としての能力が高いのはデ・ニーロの方なのですが、映画の中で自分がやるべきことをきちんと理解できているのはスタローンの方でした。スタローンは、90年代に『オスカー』と『刑事ジョー/ママにお手上げ』を大失敗させた経験からコメディに向かないことをよく自覚しており、本作ではあくまで受け身に徹しています。あらゆるタイプの映画への出演経験のあるアラン・アーキンを脇に置き、コメディパートは専らアーキンにお任せしているのです。アーキンの下ネタのキレは絶好調であり、おかげでレーザー側のドラマはそれなりに笑いながら見ることができました。他方、デ・ニーロはコメディ演技全開でスベりまくっています。演技派として不動の地位を持ち、目立った失敗をしてこなかったデ・ニーロは、演技をやりすぎてしまっているのです。デ・ニーロが笑わせる気マンマンでオーバーアクトをしてくる度に、とても残念な空気が流れていました。キッド側のドラマはあまり面白くありませんでしたね。。。 以上の通り、本作で笑えたのはアラン・アーキンが出ているところだけであり、コメディ映画としては残念な出来だったと言えます。だからと言って完全にダメな映画かと言えばそうでもなく、往年のスターが顔を揃えたセルフパロディ映画としては決して悪くない仕上がりでした。1976年のオスカーを争ったスタローンとデ・ニーロを競演させ、その間にはキム・ベイシンガーを挟むという気の効きすぎたキャスティング、その3者に均等に見せ場を与えた演出バランスの良さなど、スター映画としては堅実な作りとなっています。また、スタ×シュワの『大脱出』に期待したが得られなかったものが、本作にはちゃんとあります。設定や役名は違うものの、観客の側でジェイク・ラモッタvsロッキー・バルボアと脳内変換して見られるよう、気の利いた小ネタをいくつも挟んできているのです。70歳のデ・ニーロを裸にし、現役のアクション俳優であるスタローンとのファイトをやらせたことも大きなポイントだし、さらにはエンドロールにとんでもない大ネタを仕込んできたことにもお得感があり、その溢れんばかりのサービス精神には素直に感動しました。 
[ブルーレイ(吹替)] 6点(2014-08-23 00:40:03)(良:1票)
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