61. アパートの鍵貸します
小道具の使い方の巧みさ、筋の運びの巧さ、暖かい笑いの裏に潜む苦い孤独、粋なラスト。ワイルダーだもの。これが映画というものです。 10点(2004-06-03 22:49:07) |
62. 男はつらいよ 寅次郎心の旅路
可もなく不可もなくだけど、寅とウィーンの街並みが、マッチしないようで、してるのが新味か。地元の上品なお婆さんとのやり取りがいい。煎餅あげて「歯は丈夫そうだね」というのが笑わせてくれる。言葉は全然通じてないけど、気持は何となく通じているというのもいいね。 7点(2004-06-03 21:22:04) |
63. 男はつらいよ 拝啓車寅次郎様
いま思うと、この頃の渥美さんは、胃癌がカタッポしかない右肺に転移して、とても演技なんかできる状態じゃなかったらしい。山田監督も薄々それに気づいてるのか、ストーリー展開に、すっごく苦しんだと思う。無理も無いよね、渥美さんが弾んでくれないんだもの。寅の芝居は、2つ3つ高い所から調子よく入っていかないといけないのに、弾まないんだものなぁ・・・・。それが、どうしても画面に出てしまう。だから、出来がいいとか悪いとかいうより元気が無いんだよね、全体に。「お前、疲れてるんだよ。少し休めよ。」って言いたくなる作品。点数つけるの嫌だな・・・・。でも、すごくいい場面も、要所要所にあるんだけどね。満男が働く小さな靴メーカーの専務に扮する、すまけいが、すっごくいい。あんな上司がいたら、どんなにいいだろう。いや、いなきゃいけないんだけどね、本当に。・・・・でも、いないんだよな、こういう上司。 7点(2004-06-03 21:17:25) |
64. 世界中がアイ・ラヴ・ユー
これはミュージカルのようでミュージカルではない。アレンが敬愛するマルクス兄弟への賛歌が骨子であり、歌あり、踊りあり、笑いありの30,40年代のMGM映画へのオマージュでもある。題名は確かグラウチョマルクスが自分達の映画の中で歌う歌の題名。見て本当に良かった!幸せでした。言うことございません。 10点(2004-06-03 17:14:00)(良:1票) |
65. 遥かなる山の呼び声
ラストの素晴らしさ!それに尽きます。 暖かい涙。人間の涙。決して流して恥かしくない涙。亡き荻昌弘さんが「山田映画の涙は、けなげに生きる人を励ます涙。決して流して恥かしくない涙だ」と言われていたのを思い出します。人間として、絶対に無くしてはいけない涙なんですよ。男の孤独、女の孤独、少年の孤独、三つの孤独が握手を交し、懸命に支えあい、人間として立ち直ろうとする。オッチョコチョイだが必死で助太刀するハナ肇の男気。まさに優しさの、それもカッコ悪い人間達の必死の優しさがスパークを起こしてるような清冽さがこの映画にはある。「黄色いハンカチ」もそう。山田映画にはヒロイズムが皆無なのも素敵だ。俺が私がと自己主張することもないが、黙々と地道に額に汗して働く人達、彼らこそ世間の主役なのだという真実を知り抜いてる人でないと、こういう映画は作れないだろうな。 10点(2004-06-02 23:39:50)(良:1票) |
66. 誘拐(1997)
天晴れ日本映画!素直にそう思えた映画。骨太で切ないね・・・。 9点(2004-06-02 23:06:19) |
67. 刑事コロンボ/ホリスター将軍のコレクション<TVM>
これは圧倒的に原作の方がいい。重厚さに欠ける。アメリカの英雄と言われたタカ派の軍人が犯人なんだから、「祝砲の挽歌」みたいなスタイリッシュなところが欲しかったね。もっとも、さり気なくパンフォーカスなんか使ったりしてるんだけど・・・・。原作では、コロンボが戦争を痛烈に批判、謎解きの場面ではアメリカの英雄、ホリスター将軍をも痛烈に批判するんですよね。映画の方にはその場面が無いから、それも物足りない原因の一つ。 7点(2004-06-02 22:53:20) |
68. 刑事コロンボ/死の方程式<TVM>
ちょっと勿体無い作品かな・・。トリックも、ストーリーも面白いし、傑作の要素もテンコ盛りなのに惜しいね。すべては雑な編集にあると思うぞ。ラストの畳み掛けるようなコロンボの推理、グイグイ追い詰められていく犯人という、あそこの盛り上がるサスペンスでギリギリ合格点ってとこじゃな。犯人のロディマクドールって「猿の惑星」で猿の科学者役で出てましたね。 7点(2004-06-02 22:49:22) |
69. 刑事コロンボ/魔術師の幻想<TVM>
みなさんに同感。秀作です。手錠をかけさせて犯人が手錠を解けるかどうか試す場面。いいねえ・・・・。外した時の、コロンボの「やっぱりな」という表情。それにしてもタイプライターとはな・・・・やられた!って思ったよ。後味も申し分ございません。ウィルソン刑事、地味だけど、天晴れなワトソンぶりで儲け役ですぞ。 9点(2004-06-02 22:44:34) |
70. 刑事コロンボ/野望の果て<TVM>
ピーターフォークとジャッキークーパーの丁々発止の演技合戦。アリバイ作りのために犯人がガソリンスタンドの話を弁舌さわやかにコロンボに説明するところが大好きだ。かなり、細かく構成して喋ったつもりなんだよ犯人は。被害者が時計をいつも5分進めていたことも、うまく利用して、真犯人は現場から車で5分走ってガソリンスタンドで電話をかけた。電話ボックスに入って、小銭を取り出し電話をする時間を考えれば、ちょうど真犯人が電話をかけてきた時間になると自信満々で言うんだけど、コロンボの「いえ、ガソリンスタンドはガソリン切れで8時に店を閉めてるんです」という言葉で、いっぺんに絶体絶命の危機に陥る。あの時、犯人よりもドキッとした。 8点(2004-06-02 22:39:29)(良:1票) |
71. 刑事コロンボ/意識の下の映像<TVM>
僕も、この作品でサブリミナルを初めて知った。ラスト、犯人が手にしたフィルムにカメラがズームすると、スタンドを覗き込んでるコロンボが映っている、その瞬間が一番好き。 8点(2004-06-02 22:28:46) |
72. 刑事コロンボ/ビデオテープの証言<TVM>
《ネタバレ》 秀作です。みなさんも指摘してるように、ラストのコロンボの種明かしは、すごいサスペンス。カメラがグッとズームした時に、あるはずのないパーティの招待状が映っているあの一瞬。ああ、万事休す!いまでいうデジタル嗜好の犯人だが、コロンボのアナクロ全開の推理の前には崩れ去るのだよ。 9点(2004-06-02 22:18:02) |
73. 刑事コロンボ/5時30分の目撃者<TVM>
好きな作品です。ラストは、わざと嘘の推理でフェイントをかけて、犯人に墓穴を掘らせるという、シリーズ中何度か見られたパターンですね。まずまず上手く決まったんじゃないでしょうか。催眠術で飛び降り自殺するナディアの色っぽさは僕もずっと思ってました。カンタータさん、おいらもそうだぜ!「ムム、ナディアちゃん、これから飛び降り自殺するのに、その色っぽさは、いかがなものか・・・」とブラウン管を見ながら、ちょっと鼻息を荒くしていた、いたいけな俺・・・・・何を言っとるんだ、俺は。 8点(2004-06-02 22:14:09) |
74. 刑事コロンボ/仮面の男<TVM>
「コロンボ」の中でも、すごくクールな作品じゃないでしょうか。犯人がスパイというのも要因かも。「秘密の会合をするのに秘密の場所を選ぶな」という台詞には納得。「木を隠すなら森の中。人を隠すなら人の中」というのと同じだね。ラストのコロンボと犯人の交すジョークがクールだ! 7点(2004-06-02 22:07:38) |
75. 刑事コロンボ/死者のメッセージ<TVM>
作品はまずまず。でも、犯人を演じるルス・ゴードン!79で皺くちゃのお婆が、何でこんなに気品があって、チャーミングなのかな・・・・。ダイイング・メッセージを使ったトリックは手堅く決めてます。コロンボが、犯人の講演会に行って、スピーチをする羽目になる場面が好き。「相、そう、そうなんだよな・・・」と納得して聞いてしまった。 7点(2004-06-02 22:02:32) |
76. 刑事コロンボ/殺しの序曲<TVM>
これ好きなんですよ。風格があるでしょ。芳醇なブランデーみたいな作品。決定的証拠がどうとかいうよりも、コロンボが世界的な高い知能の持ち主である犯人にどう自白させるかに力点がかかっていて、そこにすごいサスペンスが醸しだされる。わざと、見当はずれの推理をして犯人のプライドを刺激して犯人自ら自白させようとするあたりの盛り上がりはさすがです。そして、ついに犯人が「違う!犯人はこうやったんだ!」と叫ぶ瞬間。お見事! 8点(2004-05-29 23:09:44)(良:2票) |
77. 刑事コロンボ/祝砲の挽歌<TVM>
映像がきれいですね。傑作の部類に入ると思います。 犯人の陸軍士官学校の校長先生が魅力的。彼に代表される「強いアメリカ」の時代ではないことを言ってる作品でもあると思います。コロンボもそう思ってる一人なんだろうな。でも、タカ派の犯人に引導を渡しながらも、彼の持ってる高潔さ、厳格さをコロンボが尊敬してるのもジワ~っと伝わってくる。ラストの謎解きも見事。どなたかも言ってたけど、なるほど「犯人が目撃者」だたんですね。 8点(2004-05-29 23:02:18)(良:1票) |
78. キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン
久しぶりに、素直に面白い!と言えるスピルバーグ映画に出会った。好意的に見れば、「シンドラーのリスト」や「プライベートライアン」みたいな、戦争告発風テーマパーク+アメリカプロパガンダみたいな映画ばかり作ってる自分を「やばい」と思い出したのかな?この人は、こういうの作ってりゃいいんだよ。実在の詐欺師の話らしいけど、映画が作られるもっと以前たけしと、さんまのテレビ特番で、この詐欺師を取り上げたのを知ってた。ルパンと銭形刑事の関係にも似てるね。誰かも指摘してたが、殺伐とした感じが無いし、ノスタルジックなホノボノ感が見てていい気持ちだが、確かに、もっとハラハラドキドキさせてほしかったな。丁々発止!ってところも、もっと見たかったね。親子愛のドラマのほうに、時として比重が傾きすぎるきらいがあって、それが欠点というか、ああ、やっぱりスピルバーグだなという印象も拭えない。もっと、ドライでクールに描いて欲しかった、個人的にはね。テンポは、あまり良くない。舌足らずな印象をやや受ける。トムハンクスは、いまは、あまり好きじゃないけど、確かに上手い!芝居が軽いよね。デニーロみたいに「上手いだろ、俺」みたいな臭みはない。もっと年取ったらジャックレモンみたいなタイプの俳優になるんだろうな。いろいろ文句も言ったけど、秀作であるのは間違いない。また見たい。ところで、タイトルバックがすごくいい。ここだけは100点満点。カートゥーン風なのがいいね。誰が手がけたのかな。ソールバス?あ、もう亡くなったのか・・・・・。 アッサリしてるけど余韻を残す終わり方もいい感じだ。 8点(2004-05-25 14:43:36) |
79. ライムライト
ほとんど絶望、そんな気持の中で撮ったんだろうな。諦観、プライド、不安と当時の自分をそのまま描いている。何て正直な人だろうと、そのことに感動した。説教臭いという人いるが、チャップリンのように説教の似合う老人になりたいよ。この映画の中で語られる一言一言が哲学だ。自分の孤独、周囲の無理解、悪意、そういう人間のいやらしさを逃げないで、とことん取っ組み合った果ての結晶がこの作品だ。それにしても、この作品でのチャップリン、何て立派な顔だろう。俺、こんな老人になれるかな・・・・。反省。 9点(2004-05-23 01:59:53) |
80. モダン・タイムス
どなたかも言われるとうり神様に点数をつけるなど罰当たりではすまない所業ですが、この作品に限らず、自分の「芸」を記録することに、これほど執着した人はいないと思います。いろんな見方が出来る映画ですね。チャップリン唯一の文明批判SFと言えなくも無いし、グレーテストヒットオブチャップリンとも言えます。そしてラストで「Smile(笑ってごらん)」と優しくほほ笑むチャップリンの表情は忘れられないです。ジワ~っと来ます。本当に、人類の財産みたいな人ですよ。 9点(2004-05-23 01:41:00) |