801. シェーン
《ネタバレ》 子供時分に何度か観ているもののラストショット以外記憶無く40年以上の時を経ての鑑賞。アラン・ラッドの華奢な体つきと過去を背負った男に見えない線の細さがもどかしい。出演が嬉しかったヴァン・ヘフリン、ジーン・アーサー(最後の映画出演)、ジャック・パランスもステレオタイプなキャラでこれまた歯痒い。ただ、ホームステッド法に於ける牧畜業者と開拓農民が争う中での意外に理性的なライカーの言い分に、そもそもその土地は先住民から力づくでむしり取ったものであって、「力だけが正しい」生々しさを感じるところが印象的。そして特筆すべきはラストシーン。画の美しさとスターレット一家にとっての流れ星のような存在であったかの去り行く姿は私的に「第三の男」と並ぶ鑑賞史上屈指の幕切れです。 [インターネット(字幕)] 7点(2021-07-09 02:10:32) |
802. ステップフォード・ワイフ(1975)
《ネタバレ》 ブライアン・フォーブス監督作と言うことで鑑賞。クレジットの原作アイラ・レヴィン、脚本ウィリアム・ゴールドマンに、怖い系の物語に期待が高まったのですが、変わったハナシだけど全く怖くなく着地点が浮かばないダラダラ展開に嫌気と眠気が。ところがどっこい!1時間20分経過時点で「あっ、これは」目が覚め、刺しても血が出ないところで「あ~、そういう事か~」さぶいぼが。自分の感性の鈍さを思わされた作品。特典映像での監督がリライトして脚本家が激怒したの件に、元はどうだったのか気になるところです。リメイク作があるそうですがニコール・キッドマンというのでスルーです。 [DVD(字幕)] 7点(2021-07-02 15:12:03) |
803. マジック
《ネタバレ》 リチャード・アッテンボロー、アンソニー・ホプキンス以外の知識無く鑑賞。ダークブラウン髪フサフサ、キスシーン・ベッドシーン等の「へぇ~」連発映像が拝めます。冒頭から監督と共に醸し出す「良からぬ事が起きるのだろう」絡み付くような恐怖感で息苦しい。カードさばきもそうですが、腹話術を実際にマスターしたというのが、デ・ニーロアプローチを馬鹿にした人とは思えない役者魂であります。バージェス・メレディス(当初はローレンス・オリヴィエだったそう)・エド・ローターも好助演で良からぬ結末に終わり「あ~、終わった」と脱力感。ただ、アン・マーグレットのラストシーンが「これは一体? 黒幕? 違う? どっち?」そもそも彼女の曖昧な言動にモヤモヤしていました。超大作監督による小品ながらも記憶に留まる良作です。 [DVD(字幕)] 7点(2021-06-30 14:56:11) |
804. マダム・グルニエのパリ解放大作戦
マダム・グルニエもなかなかに魅力的ではありますが、やはり、ピーター・セラーズの作品でしょう。ヒトラー>ゲシュタポ>日本国皇太子>フランス将軍>イギリス少佐>フランス大統領>ナレーション 彼の持ち味「いかがわしさ」が全員に共通していますが、瓜二つに一時停止してまじまじと見つめたヒトラーを始めとした個々の役作り演じ分けは流石の怪優。このような作品に出演しているのに驚いたクルト・ユルゲンスは彼らしい威厳と、らしからぬお茶目な将軍役でこちらも流石の存在感。他愛ない物語でありますが、ドイツ将校をあの世へ送る殺人ベッドに爆笑させられたのを始めとしてそこそこ笑わされた珍作です。「兵卒が地べた這いずり回っているのに高級将校が何やっとんじゃ!」は本作では封印しておきましょう。 [DVD(字幕)] 7点(2021-06-29 23:56:24) |
805. マルクス兄弟 オペラは踊る
若いカップルサクセスストーリーアシスト役のマルクス兄弟が見せるハチャメチャ具合がチョット控え目に感じました。それでも、狭い船室で大人数が押し合いへし合い身悶えている場面での素で嫌そうな顔をしている女性達に大爆笑。紳士淑女が集うオペラハウスで暴れ倒すご贔屓ハーポにも満足出来た快作です。 [インターネット(字幕)] 7点(2021-06-29 03:02:04) |
806. 四銃士
続編のこちらは一転して見応えたっぷり。執念深く毒蛇のようなフェイ・ダナウェイ、彼女との因縁が哀しいオリバー・リード、世渡り上手ドライな悪人チャールトン・ヘストン、それぞれの見せ場も多く、クリストファー・リー(52歳頑張りました!)とマイケル・ヨークの決闘を始めとして血湧き肉躍る活劇に満足。リチャード・チェンバレン、フランク・フィンレイ、ラクエル・ウェルチの影の薄さと、ジャン・ピエール・カッセルの間抜けな王様の役柄が残念というのは欲通しいかな。 [DVD(字幕)] 7点(2021-06-21 15:00:25) |
807. エクソシスト2
《ネタバレ》 「映画を作る狂人」フリードキンの手による前作に比べると硬直する怖さはありませんが、そこそこに見応えある展開でした。もっとも最後の対決がベッド上でマウントからのパンチ、チョーク、仕事人のような心臓掴みという神も仏もあったもんじゃないのはいけませんが。52歳リチャード・バートンを相手にする18歳リンダ・ブレアーにはキツイシーンだったと想像します。ポール・ヘンリード出演が「へぇ」「何で?」であり嬉しい。そして特筆すべきがルイーズ・フレッチャー。看護師役でも medication time に殺意が湧いた傑作に於ける婦長役とはまるで別人の洗練された美しさに釘付けでした。諸々引っくるめて7点です。 [DVD(字幕)] 7点(2021-06-16 23:29:30) |
808. HARAJUKU CINEMA
20分程観て寝ようと考えていたのですが最後まで目が離せませんでした。アラ還で若い頃からメイクやファッションに興味を持たない身なので、彼女たちをチャラい、脳天気そう、と思うはずなのに、文子に拒絶反応が出なかったというか、一語一語絞り出しているようなポツポツとした喋りに懸命に生きているのを感じ惹き込まれたのは我ながら不思議です。彼女だからこそ弱っている者たちも癒えていったのだろうと思います。掘り出し物の一品。 [DVD(邦画)] 7点(2021-06-16 02:20:43)(良:1票) |
809. マルクスの二挺拳銃
「キートンの大列車追跡」「周遊する蒸気船」のいいとこ取りをしたかのようなラストの機関車大暴走シーンに点数の全てを! [DVD(字幕)] 7点(2021-06-06 22:05:59) |
810. 黒い画集 あるサラリーマンの証言
清張作品で橋本忍脚本とくれば良質な筋立ては保証されています。平凡なサラリーマン課長の因果応報な転落模様は都度次の展開が浮かんできて、肩の荷がどんどん増えてゆく思いで滅入ってゆきます。小林桂樹が見せる喜怒哀楽はリアリティあふれる名演で、ラストショットの後ろ姿は残酷でありながら救いも感じました。「40そこそこならやり直しが利くはず、杉山夫妻と妻子への罪を償って」地味ながらも見応えある良作です。 [DVD(邦画)] 7点(2021-06-05 04:40:39) |
811. バンドレロ!
《ネタバレ》 ラクエル・ウェルチは華としての存在感が薄い。ジェームズ・スチュワートの悪漢ぶりは「アメリカの良心」としてこれが精一杯だったのかと思える中途半端さ。彼の弟(ディーン・マーチン)と彼等を追うジョージ・ケネディとの大ラス対決に寄せた期待は脚本の酷さを噛みしめる大ハズレ。荒涼とした風景に染み入るような音楽(ジェリー・ゴールドスミス)に+2点。 [DVD(字幕)] 7点(2021-06-04 02:25:46) |
812. 気まぐれ天使
デヴィット・ニーヴンこそ天使役に相応しいと思うのですが、司教役もそつなくこなしているのは流石。2級天使演ずるのがケイリー・グラントというのに冷めた思いがしていましたが、本作では嫌みも暑苦しさも無い控え目な言動が生来のルックスの良さも手伝い好感が持てた嬉しい誤算。ロレッタ・ヤングはジュリアのような地味目なキャラでこそ映えるのを実感。ジェームズ・グリーソン、エルザ・ランチェスター、グラディス・クーパーといったいぶし銀の脇役陣も併せて、低温の原泉に浸かっているような心地よさを味わった良作です。善行に見返りを求めないどころか感謝の気持ちも求めない天使の姿に、邦題の不適切さを感じるところです。 [DVD(字幕)] 7点(2021-06-04 02:01:25) |
813. 残酷!女刑罰史
《ネタバレ》 鑑賞理由は、「公開当時は失神者多数で上映禁止締出し策に発展、日本でも税関で議論を呼び自粛という形でのみ上映出来た大問題作」という宣伝文とハーバート・ロム出演。 97分1本勝負に臨む感じで身構えて観ましたよ。瞬殺されてアベシ、ヒデブで終わるのかと思いきや。 ウド・キアの若き妖艶な美しさに「あらまぁ」ウットリ釘付け。己の欲得を満たす為に神の名を借りて(この点が大問題だと思うのですが・・)魔女狩り・拷問・暴行を行う悪の化身ハーバート・ロム(見た目は品あるどす黒さが絶品)との師弟対決という筋立てに拷問シーンが織り込まれています。男性も責められており、「よくこんな事思いついて道具まで作るんやなぁ」と呆れるものの、盛りすぎの広報戦略に思えるもので、税関での議論の内容を知りたいものです。後味最悪な結末に「神さんがあの男に罰を与えなくて誰が与えるんや」怒り心頭であります。 欲を言えばヴァネッサ役のキャスティングを頑張って欲しかったですね。ソフィア・ローレンあたりなら1点追加でしたが。 ダメージ無しの完勝に終わった佳作です。 [DVD(字幕)] 7点(2021-05-27 02:21:24) |
814. クランスマン
《ネタバレ》 オープニングクレジットでの監督テレンス・ヤング、出演リチャード・バートン、リー・マーヴィンの他にキャメロン・ミッチェル、O・J・シンプソン、ルチアナ・パルッツィに「これはなかなか」と思ったところでの脚本サミュエル・フラーに俄然興味が湧きました。60年代アラバマ州KKKが描かれています。クランスマンが一部の異常者ではなく、町長や保安官助手(ミッチェル)もであり、普通の市民がごく普通に人種差別しており、教会神父までもがそれに加担しているのは初めて見る光景でムカムカする。こんな輩が銃を持つのはまさにキ〇ガイに刃物。自分の頭でモノを考える保安官(マーヴィン)もしがらみの中で煮え切らない姿が悔しい。唯一毅然としているブレック(バートン)に期待をかけたのですが。そうなるしかないと予感した銃撃戦からの結末は爽快感のカケラも無いものでサミュエル・フラーらしさを感じました。見応えある良作です。 [インターネット(字幕)] 7点(2021-05-25 01:01:11) |
815. 倒れるまで
《ネタバレ》 エドワード・G・ロビンソン、ベティ・デイヴィス、ハンフリー・ボガート、ハリー・ケリーが織りなすボクシング+ギャング+ロマンスな物語。いかにもなメンツにベティ・デイヴィスがどう絡むのかが一番興味深いところで、持ち味の毒気は無いものの男前な人物を好演して劣らぬ存在感だったのは流石。阿漕なターキーにニックが堪忍袋の緒が切れて殴り込み共に果てるとの予感は。本作では「ニック、約束を守らんと裏切ったアンタが悪い。ターキーが殺意を抱くのも無理ないわ」という意外な展開。共に安定の好演ですが、最期の描かれ方に格の違いが表れていました。滲み出る悔しさを全力で表現するボギーがこの後数年で大スターになったのは納得するところです。 [DVD(字幕)] 7点(2021-05-12 01:53:56) |
816. ハンナ・アーレント
ナチスもの作品に見る、ごく普通の人間が戦争時にはどんな残虐な事でも淡々とやってのける恐ろしさ。実際のアイヒマンの証言模様はそこらへんの無責任社員の物言いでやはり恐ろしい。物事を自分なりに考える自分の目で確かめる感情気分だけで判断しない、小はそこらへんのオバハンの寄ってたかっての1人への悪口ヒソヒソ話、大は本作のハンナ・アーレント。彼女の知性はもとより揺るぎない態度は真似の出来ない凄みがありました。 [DVD(字幕)] 7点(2021-05-07 13:20:44) |
817. 土曜は貴方に
原題Three Little Wordsをはじめとしたヒット・ソングを生み出した作詞バート・カルマー、作曲ハリイ・ルビイの実話もの。初っ端のアステア&ベラ=エレンのダンスが本作MIPシーンでした。特にベラ=エレンがアステアの相手役としてのプレッシャーを喜びに代えたかのような満面の笑みを一瞬も絶やさない姿に惚れ惚れ。アステアはゴールデングローブ賞受賞程には突き抜けたものを感じなく、脚本共々通常運転・安全運転な良作です。 [インターネット(字幕)] 7点(2021-05-07 11:53:31) |
818. アーノルド・シュワルツェネッガーのSF超人ヘラクレス
いやぁ、これは珍品にして掘出物であるシュワちゃん23歳でのデビュー作。胸を始めとした「筋」と名の付くところ全てが人間離れしたパンパン具合。全編に亘っての「棒」な台詞回し&キレ無くぎこちないアクションが何故か微笑ましい。ストーリーが意外と小じっかりしており、ネズミ男のようなプリッツィもなかなかの味わい深さ。大勢の悪漢達が素手で立ち回っているのに「誰か撃てよ」と突っ込むのは野暮なのでしょう。この後、大スターとなり富と名声を得て、挙げ句に知事としての名誉も得るというのを当時のキャスト・スタッフは誰も想像しなかったのではと思うシュワちゃんの超人振りが感慨深い作品です。 [インターネット(字幕)] 7点(2021-05-04 19:09:50) |
819. エアポート’77/バミューダからの脱出
《ネタバレ》 手際良すぎる乗っ取り、海面不時着しての損傷具合、海底の浅さ、バルーンで機体が持ち上がるなんて、一切合切スルーして観るぶんには見応えあった救出劇でした。たまたま29歳、50歳、69歳のジェームズ・スチュアートを続けての鑑賞でその息の長い活躍に感じ入ります。オリヴィア・デ・ハヴィランド、ジョセフ・コットン、クリストファー・リー、リー・グラントの顔ぶれで生死は予感通りで後者2人に大泣きさせられるとは思いもよりませんでした。ジャック・レモンも併せて大スター華のある存在感が楽しめた良作です。余談ながら「水難の名女優」シェリー・ウィンタースもキャスティングして欲しかったところです。 [インターネット(字幕)] 7点(2021-05-04 01:55:09) |
820. イタリアは呼んでいる
絶景&美食にウットリ妄想の世界へ導かれ、任務であるグルメレポートそっちのけのスティーヴ・クーガン、ロブ・ブライドンのアドリブ(らしいです)物真似トークはほぼほぼ内容が分かったせいもあってかニヤニヤ笑いが止まりません。多数のラインナップ中でよく物真似されるアル様、デ・ニーロもさることながら、ヒュー・グラントとマイケル・ケインネタには大笑い。主人公と同世代の身にとって劇中台詞の「40代以上は全力で笑わないとダメ」に同意させられる良作です。 [DVD(字幕)] 7点(2021-05-02 15:14:44) |