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ザ・チャンバラさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1274
性別 男性
年齢 43歳
自己紹介 嫁・子供・犬と都内に住んでいます。職業は公認会計士です。
ちょっと前までは仕事がヒマで、趣味に多くの時間を使えていたのですが、最近は景気が回復しているのか驚くほど仕事が増えており、映画を見られなくなってきています。
程々に稼いで程々に遊べる生活を愛する私にとっては過酷な日々となっていますが、そんな中でも細々とレビューを続けていきたいと思います。

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801.  トリプルX
公開時には「面白いアクション映画」と評価されていた作品ですなのが、これがまったく面白くありません。最大の問題は主人公ザンダーを「気の良い悪党」にしてしまったことで、このために「毒を以て毒を征す」という作品の基本的なコンセプトが死んでしまっています。スパイ版「特攻大作戦」をやるつもりの企画だったのに、ごく普通のアクション大作に終始しているのです。さらには、監督の平凡な手腕も作品の足を引っ張っています。スタントマンによる生身のアクションを見せることが本作の売りのひとつであり、実際、撮影中には死亡者を出しているほどの無茶をして撮られた作品なのですが、完成した作品からはそのような迫力がまったく伝わってきません。これは明らかに監督の見せ方に問題があって、もう少しわかっている監督が撮っていれば、まったく違う迫力の作品になったことと思います。
[DVD(吹替)] 3点(2011-02-27 21:25:06)(良:1票)
802.  ホワイトアウト(2000)
日本映画においては珍しい本格的なアクション大作ということで応援したくなる作品だったのですが、残念ながらまったく面白くありませんでした。日本映画特有のモッサリ感が作品全体を席巻し、アクション大作らしからぬ鈍重な空気が見せ場の迫力だとか展開の面白さだとかをすべて殺してしまっています。さらには、目ん玉ひんむいて大声で叫ぶことが「熱演」とされる日本映画特有の過剰演技も作品の足を引っ張っていて、予算とか技術以前の部分において、日本映画にはアクション大作をやる土壌がないということを再認識させられました。数日に渡って雪山を走り回っているにも関わらずキレイな顔の織田裕二、スノーモービルで全力疾走しようが、銃で撃たれて失神しようが化粧も髪型も乱れない松嶋菜々子の顔を見るにつけ、ガッカリ感はさらに増幅するのでした。日本映画界は、作品のために役者の顔を汚すということすら出来ないのかと。
[DVD(邦画)] 3点(2011-02-27 21:07:32)(良:1票)
803.  ライフ・オブ・デビッド・ゲイル 《ネタバレ》 
映画としてはめちゃくちゃに面白いです。謎含みのドラマにはぐいぐい引き込まれるし、タイムリミットサスペンスとなるクライマックスにもドキドキさせられて、さすがはアラン・パーカーという仕事を堪能できます。ただし、映画の根幹にある主張にまったく納得できなかったので、社会派ドラマとしては失格だと思います。この映画、死刑と冤罪がごっちゃになっているのです。死刑そのものが存在してはならないという議論と、司法制度の運用方法が悪いために冤罪が発生してしまうという問題は別次元の話であり、「冤罪が起こるから死刑は廃止しなければならない」という話はちょっとズレています。ならば、死刑以外であれば冤罪が起こっても構わないのか?教え子へのレイプ疑惑によって仕事も家族も友人も失ったゲイルの姿を見れば、いかなる犯罪であっても冤罪が起こってはならないことは明らかです。死刑の議論とは、例えばケビン・スペイシーが「セブン」で演じたジョン・ドゥのような、他人の命を弄ぶことに何の抵抗も抱かない凶悪犯を生かしておく必要があるのか?他人の命を軽んじた者には命をもって償わせるべきではないのか?という議論であるべきなのです。また、活動家としてのデビッド・ゲイルの行動にも納得できませんでした。彼は死刑廃止運動のために命を投げ出しましたが、人生や命とは自分ひとりのものではありません。デビッドを捨てた妻や、教職を追われる原因を作った元教え子などは、彼を死に追いやった責任で一生苦しみ続けるでしょう。また、後に冤罪であることが判明するとはいえ、デビッドの息子はもっとも多感な時期に「レイプ殺人犯の息子」として育たねばなりませんでした。死刑廃止運動で命の大切さを説くデビッドが、自分の周りには多くの人間がいて、勝手な行動をとればその人たちに大変な迷惑がかかるということに気付かなかったというのは、ある意味大変な皮肉です。そもそも彼の行為は、規格外の使用法をして「この製品は不良品だ」と難癖をつけるクレーマーレベルで、意図的に冤罪を引き起こしておいて「死刑制度の問題点を指摘する」と言われても説得力がありません。
[DVD(吹替)] 3点(2011-02-03 22:39:24)(良:3票)
804.  ファム・ファタール(2002) 《ネタバレ》 
【注意!壮絶にネタバレしています。未見の方は絶対に読まないでください】これは物凄かったです。デ・パルマがその持てる技術の全てを駆使したトンデモない映画。お馴染みのカメラワークのみならずストーリーテリングの技術、さらには「どうせデ・パルマだし、いつもの犯罪サスペンスなんだろう」という自らのイメージすらも総動員してラスト10分にすべてを賭けるという、人生で一回こっきりの大オチを仕掛けてきます。ヒッチコックの真似ごとだと見せかけておいて、実はシャマランだったんですね。このオチには完全に騙されました。お見事です。。。前半はあまりに強引な展開の連続に「んなアホな」とつっこみまくりだったのですが、実はこの時点でデ・パルマの完璧な計算はスタートしていました。本作を二度鑑賞すると、実は序盤からデビッド・リンチ並の不条理劇だったことに気付くのですが、少なくとも初見でそれを見抜くことはできません。これこそがこの脚本の巧いところで、前半に「ありえね~よ」という展開をいくつも仕込むことで観客の価値観をシェイクしてしまい、映画のジャンルを勘違いさせているのです。ストーリーテリングにおいてこんな凄い技は初めて見ました。ヒッチコックも「サイコ」で似たような技術を使っていましたが、本作の方がより大胆で効果的です。とにかくこの映画、隅から隅まで計算され尽くされています。こんな凄い映画を作ってしまったら、デ・パルマは金輪際犯罪サスペンスは撮れなくなるでしょう。今後どうやって生きていくんでしょうか。
[DVD(字幕)] 8点(2011-02-01 22:07:28)
805.  RED/レッド(2010)
家を襲撃してきたCIAの部隊を返り討ちに合わせたり、ロケットランチャーから放たれた砲弾をピストル一発で仕留めたりと前半はアメコミ原作ならではの勢いのある見せ場が楽しいのですが、後半になると普通のアクション映画になってしまいます。でも、これって逆じゃないといけないでしょ。クライマックスに近づくほど見せ場の派手さ、デタラメさが加速していくべきなのに、途中からマジメになってしまうだなんて。「フライトプラン」等を手掛けた監督さんが本作の演出を担当しているのですが、この人の生真面目さが映画の出来を邪魔してしまったようです。さらに、アクションコメディにしてはややこしすぎる物語も映画のブレーキとなっています。難解というわけではないのですが、なんでもありのアクションコメディの温度感には合っていません。もっと単純明快で、主人公達が暴れ回る様を楽しむだけの映画にすべきでした。役者は驚くほどの有名どころを揃えてきているのですが、主人公をやるブルース・ウィリスはいつものブルース・ウィリスです。「ダイ・ハード4」とほとんど区別がつきません。モーガン・フリーマンもいつも通りでそれほど見るべきものはないのですが、一方で凄いのがジョン・マルコビッチ。「コン・エアー」以来久々のヤケクソ演技を披露するのですが、これがかなり見応えがあります。そして意外と良かったのがヘレン・ミレン。MI6の殺し屋を引退したおばあちゃん役なのですが、この人が飄々とした表情で銃を構える様はかなり味があります。「ホットファズ」でも思ったのですが、おばあちゃんとマシンガンという組み合わせはなかなかいけます。
[映画館(字幕)] 6点(2011-01-30 21:20:44)(良:2票)
806.  ジャッジ・ドレッド(1995)
本サイトにおける平均点がスタローン作品中最下位にしてアメコミ作品中でも最下位という、駄作の中の駄作との評価をいただいている本作ですが、私は好きです。世間で言われるほど悪くはないと思います。コミックで描かれる未来都市をまんま実写で見せた映像センスは評価に値するし(ありがちなブレードランナー風ではなく、あえてコミック風にダサめのデザインにしているところがミソ)、CGが十分に発達していない90年代半ばだからこその、実物大セットとミニチュアとCGとを組み合わせた職人技的なVFXを楽しむことができます。ホバーバイクによるチェイスシーンなどはテーマパークのアトラクションのような楽しさがあって、すべてがCGではないからこその絶妙な粗さが独特の味となっています。砂漠に住むミュータント一家の特殊メイクも素晴らしい仕上がりで、本作のスタッフは相当頑張っています。「プレイデッド」という低予算映画でデビューしたばかりのダニー・キャノンによる演出も悪くはなく、ドレッドの実力やジャッジ達の武装、メガシティワンの治安状況を冒頭のアクションでコンパクトに見せるなど、話のまとめ方を心得ていることには好感を持ちました。本作についてケチをつけるなら、脚本を練りすぎたことでしょうか。スタローン主演のアメコミ映画と来ればヒーローがバッタバッタと敵を倒す単純明快なアクション大作を期待するものですが、陰謀や裏切りを物語の核としてしまったためにバカバカしくも派手に盛り上がるという展開を作れていません。本作は映画化の話が持ち上がってから10年以上も試行錯誤された企画だけに、その過程で物語がややこしくなりすぎたようです。なお、現在はカール・アーバンを主演に迎えての再映画化企画が進んでいるようですが、こちらの脚本を担当するのは「28日後…」のアレックス・ガーランド。またしても複雑な物語になりそうです。
[レーザーディスク(字幕)] 7点(2011-01-29 21:52:53)
807.  モンスター(2003) 《ネタバレ》 
本作のスチールをはじめて見た時、主人公を演じているのは僕らの知っているシャーリーズ・セロンとは同姓同名の別の女優さんなのだと思ってしまいました。あのシャーリーズ・セロンだと聞かされても「本当かいな?」と疑ってしまったほどの強烈な変貌ぶり。確かに、何らかの賞をやらねばと思わせるほどの迫力があります。そんな称賛と同時に「美人がわざわざ特殊メイクをするまでもなく、もっと役に合った女優がいたのではないか?」という議論も巻き起こりましたが、私はアイリーン役をシャーリーズ・セロンが演じる必然性はあったと思います。どんなに脂肪をつけても、どんなに特殊メイクを施しても、目だけは変えられず元のシャーリーズ・セロンのままの美しさを保っていました。そのことが、本来は女優を夢見る美しく純粋な少女だったアイリーン・ウォーノスが不幸な生い立ちによって汚され、醜悪なモンスターに変貌を遂げたという歴史を物語る重要な要素となっています。これは、元より顔面にインパクトのある女優さんでは出せない味でした。また、外見の変貌ぶりのインパクトのみならず、根本の演技力も満足できるものでした。バス停での別れの場面、留置所からかけた電話で愛が終わったことを悟る場面、法廷でひねくれ者のモンスターに戻る場面、どれも素晴らしい演技です。このレベルの演技が出来る女優さんはなかなか見つからないと思います。さらに、相手役のクリスティーナ・リッチも素晴らしい存在感を披露しています。美人というわけではないが時折見せる魅力的な目つき、アイリーンはこれにやられたんだなというファム・ファタールぶりをきちんと表現できています。こちらもまた、代わりをやれる女優さんは他にいなかったと思います。本作の残念だった点は、評価すべきものが女優さんの頑張りばかりで、脚本・演出が凡庸だったこと。下手ではないが、特筆すべき点がほとんどありません。この題材、この演技ならば、演出次第では世紀の傑作になっていた可能性もあっただけに残念なところです。
[DVD(字幕)] 7点(2011-01-28 21:49:14)(良:1票)
808.  白い刻印 《ネタバレ》 
精神崩壊寸前の人物を描かせると、ポール・シュレイダーは相変わらず良い仕事をします。ニック・ノルティ演じる主人公の姿がとにかく痛々しいこと。彼はみんなと、特に娘とは仲良くやりたい、尊敬される存在になりたいと願っています。しかし幼少期に父親から酷い虐待を受けたために人格が正しく形成されず、ちょっとズレた人、身近にいると面倒くさい人になってしまいました。冒頭に描かれる娘とのハロウィンでのエピソード、彼は久しぶりに会った娘を楽しませようと張り切っていたのに、無意識のうちにルーズな部分が出てしまって娘の機嫌を損ねてしまいます(「タクシードライバー」のデート場面とよく似ています)。この時の主人公は憐れなほどにいたたまれないし、一方で「変なことに付き合わされるのは迷惑」という娘の気持ちも理解できます。このふたりの間に漂う気まずい空気、これこそがポール・シュレイダーの真骨頂、他の監督ではなかなか出せない味です。そんな主人公はある事故の真相究明に乗り出すのですが、熱くなると我を忘れるという本来からの気質の上に、親権裁判、母親の死、自分を苦しめてきた父親との同居等々のストレスから正常な判断能力を失い、妄想に取り憑かれてしまいます。「みんな俺をバカだと思っているようだが、この事件さえ解決すれば俺は一躍街のヒーローとなり、すべての問題は片付く」。大統領候補暗殺にのめり込んだトラビスの如く、彼は妄想上の事件に向けて走り出してしまうのです。その出発点が「娘から尊敬されたい」という純粋な思いであり、父親からの虐待という不可抗力から人付き合いを苦手としてしまったという根本原因を踏まえると、本作の主人公が狂気に墜ちていく様はあまりに悲惨なものでした。本作は「タクシードライバー」をより普遍的にした物語であり、もっと評価されても良い作品だと思います。
[ビデオ(吹替)] 8点(2011-01-23 21:11:07)
809.  シンプル・プラン 《ネタバレ》 
地味だし見せ場もないものの最初から最後まで緊張感が持続しており、最高クラスのサスペンス映画だと思います。タイトルと同じく映画の内容もシンプルそのもので謎解きや派手なドンデン返しなどなく、描かれるのはジリジリとした駆け引きのみなのですが、この装飾の無さが正解でした。ライミは本作で新境地を開いたと言われていますが、閉鎖空間で登場人物が狂気に追いやられていくという点では「死霊のはらわた」と同様であり、異なるのは舞台の規模とストーリーテリングの切り口のみ。ライミは自身の手腕で扱いきれる企画を的確に選んでいたようです。もしこれが「ユージュアル・サスペクツ」のようなミステリーに比重を置く企画や、「セブン」のような高いビジュアルセンスを要求される企画であれば、ライミは完全な駄作を作っていたことでしょう。また、役者も素晴らしい仕事をしています。オスカーにノミネートされたビリー・ボブはもちろんの熱演なのですが、そんなビリー・ボブと比べると損な役回りである主人公ハンクを演じたビル・パクストンもかなり良いです。なんせ、この映画はハンクにかかっていたのですから。大金を目の前にして普通の人の判断力が狂ってしまい、小さなほころびを修正しようとしてとった行動が次の大きな穴を作ってしまう。そんな物語では、観客はハンクの行動や感覚に納得する必要がありました。決して同情はできないが、同じ立場にいれば自分も同じ行動をとるかもしれないという感覚を抱かせる必要があったのですが、そんな役柄にあっては、「凡人」を演じさせればハリウッド一のビル・パクストンが適任でした。この人が焦り、悩む姿は、まさに大事件をひとりで抱え込まねばならなくなった小市民のそれであり、演技の説得力が違います(誉めてんだか、けなしてんだか…)。。。以上のようにほぼ完璧な映画なのですが、唯一ケチをつけるなら、ニセFBIが現れるクライマックスが作品のテーマから外れていたこと。これだけは気になりました。簡単なはずの計画が人間の欲望や疑心暗鬼によって狂っていくという物語なのですから、ここで真犯人が現れてはいけないでしょう。焦ったハンクは彼を射殺するものの後に本物のFBIであることが判明し、いよいよ誤魔化せないレベルにまで犯罪が行き着いてしまうというオチの方が主題にかなっていたと思います。
[地上波(字幕)] 8点(2011-01-23 16:48:05)(良:2票)
810.  アンツ 《ネタバレ》 
製作から13年も経った今になってようやく鑑賞したのですが、「なぜこれをスルーしてきたんだ!」と後悔するほど心を奪われました。含蓄があり、笑わせ、そして燃える。私が映画に求めるもののほとんどが含まれた圧巻の80分でした(上映時間短っ!)。アリ社会を紹介する序盤、王女様との冒険とロマンスを描く中盤、将軍との戦いに雪崩れ込む終盤と3パートに分かれているのですが、どのパートも完璧な仕上がり。次々と舞台が移動するものの特に慌ただしさは感じさせず、すべてのパートが主人公Zの物語の構成要素として機能しているため映画全体には統一感があります。脚本の出来が恐ろしく良いのです。ハリウッドとは距離を置くウッディ・アレンによりにもよってアニメ映画の主人公役をオファーし(日本で言えば、田村正和にハゲヅラ被ってコントさせるぐらいのとんでもないキャスティング)、それを承諾させた脚本の力がこれです。サメとクマノミがお友達というふざけたディズニー映画とは一線を画す世界観。働きアリは仕事だけの人生に意義を求め、兵隊アリは隣国との間で死闘を繰り広げ、権力者はクーデターを画策する。戦場で出会った気の良い兵隊アリは世にも無残な死に方をし(小さいお友達が見れば確実にトラウマになります)、コメディリリーフと思われたアシナガバチは唐突に命を落とす。これは完全に大人向けの脚本です。アニメの枠を越えてしまったが為に一部では拒絶反応も起こっているようですが、映画としては非常に見ごたえがあります。。。世界一の映画監督スピルバーグをトップに迎え、「職業経営者から映画を取り戻す!」をスローガンに設立されたドリームワークス黎明期のラインナップは、それはそれは鼻息の荒いものでした。一般市民を巻き込みながらテロリストとアメリカ合衆国が死闘を繰り広げる「ピースメーカー」を皮切りに、スピルバーグのグログロ超大作「アミスタッド」「プライベート・ライアン」、子供を巻き込みながらオモチャが殺し合いをする「スモール・ソルジャーズ」、主要登場人物のほとんどが死ぬ「ディープ・インパクト」と、ネジのとんだ大作を連打します。そんな中で作られたのが本作なので、必然的に内容はダークでアダルトなものとなったようです。なお、本作の経験を経て娯楽性と毒のバランスをより洗練させたのが「シュレック」なのでした。
[DVD(字幕)] 10点(2011-01-21 22:43:49)(良:1票)
811.  イナフ 《ネタバレ》 
午後のロードショーでやってたのを録画して鑑賞しました。往年の名作からD級アクションまでを幅広く扱う午後ローでは必然的に視聴者の懐も広くなるものですが、そんなオープンな気持ちで鑑賞してもこの映画はよく理解できませんでした。DVに苦しむジェニロペが子供を連れて旦那から逃げるという話なのですが、その行動がいちいち頭悪すぎ。警察に届ければ根本的な解決に至らなくとも一応の歯止めにはなるし、届け出の事実によって後の親権裁判も圧倒的有利に進むはず。なのに彼女は「子供を連れて姿を消す」という最悪の方法をとってしまいます。逃げるなら逃げるで旦那が仕事に出ている昼間に姿を消せばいいものを、深夜にこっそり夜逃げしようとして案の定旦那に気付かれてしまうという大馬鹿ぶりを披露。以降は旦那による常軌を逸した追跡が開始されるのですが、これについても「警察に駆け込めば解決するだろ」の連続で呆れてしまいます。バカとバカの追いかけっこの末いよいよ追い詰められたジェニロペはようやく弁護士の元に駆け込むのですが、すると「あんたの行動がメチャクチャすぎたんで、今さら裁判やっても勝てませんよ」と至極当然のことを言われます。ひどく落ち込むジェニロペ。しかし、DV男にかわいい娘を渡すわけにはいかない。そこで思いついたのが「格闘技を習得し、旦那とサシの勝負でケリをつける!」。もう理解不能でした。つっこみすら入れられない驚愕の展開。訓練に励むジェニロペの表情が真剣そのものなのが、さらにトホホ感を高めます。旦那の殺害に無事成功し、駆けつけた警察もうまく誤魔化し、笑顔を失っていた娘も元の良い子に戻り、次の旦那候補は良い人そうだし、すべてめでたしめでたしで映画は終わるのですが、格闘技の特訓をしていたことが分かれば故殺は成立しますよ。。。この映画、DVという重いテーマを扱っているのにその理解があまりに不足しています。DVは「逃げれば済む」という単純な話ではなく、被害者である女性と加害者である男性が精神的に依存し合っているために、逃げればいいのに逃げないという点が問題だったりします。「やられたらやり返せ!」と斬り返せる女性は一般的なDV被害者の人物像からはかけ離れています。そもそもジェニロペはたくましすぎて「耐え忍ぶ妻」には全然見えないし。テーマがテーマなので、もっとマジメに作るべきでした。
[地上波(吹替)] 3点(2011-01-19 22:21:14)(良:1票)
812.  シザーハンズ
小学生の頃にクラスの女子がやたらと「良い映画だ」と騒いでいたので試しに観てみたのですが、事前に聞いていた評判とは正反対のドロドロとした居心地の悪い印象を持ち、まったく好きになれなかった映画です。大人になった現在になって観返すと、その時に持った違和感の正体が分かりました。これは感動作でも美しい愛の物語でもない、グログロのドロドロの性根で作られた世間に対するうっぷんの塊のような映画なのです。ディズニー映画のようなファンタジーの殻を被ってはいるものの、その中身は「タクシードライバー」をはじめとしたポール・シュレイダー作品と大して変わりません。社会に適合できない若者がいったんは楽しくやっていけるかもという希望を持つが、その希望はあっさりと裏切られて孤独な生活に戻っていくという、何の救いもない暗い暗い物語。世間の冷たさとヒロインの薄情さが主人公を苦しめます。特にウィノナ・ライダーV3には怒りを覚えました。見た目は綺麗だし、エドワードの前では理解者として振舞ってくれる。しかし不幸な誤解から非難を受けることとなったエドワードの弁護はしてくれません。話すことに不慣れなエドワードは自分の口から事情を説明することが出来ない。だからこそ彼を泥棒に引き込んでしまったウィノナ・ライダーV3がみんなに事情を説明してあげねばならないのに、彼女はエドワードの盾にはなってやりません。事情が明らかになると自分や彼氏の悪事がバレてしまうから。二人きりになった時にだけ「エドワードごめんね」と言って良い人になろうとする様には虫唾が走りました。無意識のうちに人を傷つけながら自分では良い人だと思っている彼女もまた、エドワードを攻撃する街の人々とは変わらないのです。それを理解したからこそ、エドワードは彼女の思いを拒絶したのでしょう。。。しかし不思議なのは、本作がクリスマス映画の名作に数えられていること。これは「クリスマスを楽しんでる奴らなんか大嫌いだ!」という、もっともクリスマスに観てはならない映画なんですけどね。この映画の美しい外面だけを観てティム・バートンの真意を理解してあげない人もまた、エドワードを持てはやした末に追放した街の人々と同じなのでしょう。「スウィーニー・トッド」に対する批判がまさにそれでした。「怖い!気持ち悪い!こんなの観に来たんじゃない!」って、ティム・バートンは昔からこうでしたよ。
[DVD(字幕)] 7点(2011-01-19 22:20:02)(良:3票)
813.  レクイエム・フォー・ドリーム 《ネタバレ》 
あらすじ欄にパブロン中毒さんが書かれた「これさえ見れば、あなたはヤクに溺れることは決してない!」とのコメントはダテではない、超絶鬱ムービーです。お彼岸名物「火垂るの墓」の如く毎年地上波放送すれば、日本国内において麻薬をやる人間は激減することでしょう。。。物語の顛末は衝撃的であり、それを見せるビジュアルの作り込みはハンパではない。怖くて気持ち悪いんだけど、とにかく見せる見せる。脚本・演出には観客の目を背けさせない圧倒的な牽引力があります。そして、この映画はキャラクター造型が非常に巧い。多くの観客が登場人物のいずれかとの共通点を見出せるように作られており、対岸の火事では終わらせないことが後味の悪さをさらに助長しています。地獄に墜ちるキャラクターのうち若者達は自業自得と言えばそれまでなのですが、それでも彼らは根っからの悪人ではなく、人並みに親を思う気持ちもあれば、将来の幸せを願う気持ちもある。ただ彼らは心が弱く、「ドラッグ中心の生活を続けているとどうなるのか?」という想像力に欠けているだけなのです。そんな彼らが行き着いたのは完全な破滅なのですが、マリオンが麻薬を抱えて眠りに就き、その脇には夢だった服飾のデザイン画が散らばっているというラストカットはドラッグというものの本性をよく表しています。しかし、そんな彼らもハリーの母親サラに比べればまだマシ。「麻薬でひとヤマ当てる」という完全に腐り切った発想ではあるが、それでも将来のための行動を起こしているのですから。一方サラは将来に向けての一切の行動を諦め、「大事なひとり息子がヤク中である」「自分自身もヤク中である」という事実からすら目を背けます。ひとり暮らしの老人である彼女の毎日はただひたすらに退屈で、高齢であるため将来に対する漠然とした夢も希望も抱けない。「何の生き甲斐もないのなら、せめて幻想に溺れたっていいじゃないか」と自分を許容してしまうのです。久しぶりに実家に戻った息子は母親の変化に気付くのですが、母親を幸せにする力を持たない自分では「せめて幻想は見させてよ」と訴える母親を止めることができず、帰り道で涙します。母親が破滅する様を見てしまったことのショック、そしてそれを止めることができない不甲斐なさ、このカットには胸が苦しくなりました。
[DVD(吹替)] 8点(2011-01-18 21:57:07)(良:2票)
814.  ゴースト&ダークネス
精悍なヴァル・キルマーはヤバイくらいにかっこいいし(本作でラジー賞にノミネートとかウソでしょ?)、エキセントリックなハンター役のマイケル・ダグラスもハマっています。アフリカの大自然や橋梁建設場面のスペクタクルを捉えるヴィルモス・ジグモンドによる撮影、ジェリー・ゴールドスミスによる音楽も素晴らしく、この映画なかなか弾は揃っています。しかし、監督の無能によってこれらすべてが台無しに。この企画には並外れた演出力が必要であり、スティーブン・ホプキンスのような凡庸な監督には荷が重すぎました。見せ場における緊張感のなさは異常であり、作品のハイライトであるハントシーンよりも、つなぎのドラマパートの方が面白いというあんまりな状態となっています。技術的な制約によりタイトルロールである「ゴースト」と「ダークネス」の全身像をほとんど写せなかったというハンデは確かにあったのですが、写せないことを逆手にとって動物を動物以上のモンスターとして見せた「ジョーズ」という先例があるのですから、演出にはもっと頑張って欲しいところでした。
[レーザーディスク(字幕)] 3点(2011-01-17 21:38:20)
815.  レオン/完全版 《ネタバレ》 
はっきり言って蛇足な完全版です。劇場版は観客の想像に任せることで絶妙なバランスをとっていたのですが、完全版では描写がはっきりとしすぎてその味が失われています。マチルダがレオンの仕事に同行して人殺しを覚える場面など要らなかったし、レオンの昔話も不要でした。レオンに童貞臭さがあってこそマチルダとの恋愛が「ロリコン」にならずに済んでいたのに、過去の悲しい恋愛を持ち出してそれなりの人生を送ってきたことを明示されると、二人の関係性への解釈が大きく変わってしまいます。DVDやブルーレイの商品展開を見るとベッソンは劇場版を葬って完全版を主流にしたい様子なのですが、その判断は間違いだと思います。
[DVD(吹替)] 5点(2011-01-17 21:35:52)(良:1票)
816.  レオン(1994) 《ネタバレ》 
1992年頃、リュック・ベッソンは「フィフス・エレメント」を映画化すべくハリウッドに渡っていました。しかし「フィフス・エレメント」は挫折し、異国の地において絶望を味わう中で書いたのが本作「レオン」の脚本なのでした。このような生い立ちのためか、本作は極めて感情的で攻撃的な内容となっています。あまりにストレートすぎて受け入れ難い部分もあるのですが、それでも映画としてはよく出来ています。冒頭のレオン登場シーンやクライマックスの攻防戦のキレは「素晴らしい」の一言だし、レオンとマチルダの微妙な関係の描写もうまいものです。身も蓋もない言い方をすれば「ロリコン」の一言で終わってしまう物語なのですが、それを脚本や演出の力によって美しい愛の物語に昇華しているのですから、これは並外れた仕事だと思います。細かい点では、トニーのレストランの片隅に毎日座っている老人の描写なども気に入っています。恐らく彼は引退した殺し屋であり、レオンの将来の姿なのでしょう。あらゆる関係性を断ち、社会に存在しないかの如く生きていれば、殺しの世界で生き残れたとしても最後はこうなってしまう。レオンはマチルダと出会ったことで命を失いましたが、孤独な殺し屋のまま生き続けることが本当に「生きている」ということになるのか?そんな問いを提示するアイコンを劇中に配置する、こういうのも演出力だと思います。また、役者選びも素晴らしい。評価は高いがマイナーだったゲイリー・オールドマンを一気にメジャーへと押し上げ、後の大スターであるナタリー・ポートマンをオーディションにて発掘しています。特にナタリー・ポートマンは素晴らしく、ジャン・レノやダニー・アイエロ、ゲイリー・オールドマンといった巧い役者を相手にしながら彼らを食ってしまうほどの存在感を披露。撮影当時12歳で、しかも映画には初出演というド新人ですからね。年齢の割には小さすぎる体だが、目つきだけは大人以上に鋭い。よくぞこんな逸材を見つけてきたものです。後のポートマンのキャリアを見ると、10代の彼女を使いこなせた監督はベッソンだけでした。ウッディ・アレン、ティム・バートン、マイケル・マン、ジョージ・ルーカスといった錚々たる監督達が彼女を起用しましたが、残念ながらその実力の半分も使いきれていませんでした。この点からも、本作におけるベッソンがいかにイケイケだったかが分かります。
[DVD(吹替)] 7点(2011-01-17 21:25:19)
817.  バッドボーイズ2バッド 《ネタバレ》 
内容らしい内容はなく、アクションをコラージュしただけの作品。ヴァンダムやセガールを嗜む私にとっては嫌いなタイプのジャンルではないのですが、そんな私でもこの内容で2時間半はかなり厳しく感じました。まず、展開があまりにメチャクチャ。本作の最大の見せ場である前半のカーチェイスは本筋とほとんど関係ないし、クライマックスの人質奪還も唐突すぎます。「俺の知り合いのCIAが協力してくれるぜ」「キューバで反政府ゲリラやってる弟に連絡とってやるよ」「元特殊部隊員を集めてやるぜ」って、マイアミ市警の刑事ったら人脈すごすぎ(笑)。ヴァンダムやセガールの映画でも、もっとちゃんとしてますよ。しっちゃかめっちゃかな映画なので緻密な物語である必要はないのですが、さすがに「ありえねーよ」とつっこむしかない物語で2時間半も引っ張るのは厳しすぎます。そして、「トランスフォーマー」シリーズにも引き継がれているまったく笑えないコメディパートはもはや拷問レベル。30分にも渡ってグダグダのやりとりを見せられる中盤は酷いにも程があります。コメディ経験の少ないメル・ギブソンとダニー・グローバーの掛け合いであってもほのぼのとした空気を作ることが出来ていた「リーサル・ウェポン」と比較すると、プロのコメディアンであるマーティン・ローレンスとコメディ経験も豊富なウィル・スミスを使いながらクスリとも笑えない本作はちょっと出来が悪すぎます。死体がゴロゴロ転がるカーチェイスや蜂の巣にされるピーター・ストーメアなど、笑わせようとしているのに悪趣味すぎてまったく笑えない場面も多くあり、マイケル・ベイはコメディをやるのをやめた方がいいと思います。アクションパートが良いだけに、コメディパートの出来の悪さが余計に目立っています。
[DVD(吹替)] 2点(2011-01-17 00:24:05)
818.  アンストッパブル(2010)
味付けについて自由度の高いラーメンには名店も多くありますが、例えばそうめんで客を唸らせる味を作ってみろと言われれば、これはとんでもない難題です。映画の世界でそんな難題に挑み、奇跡的に満足できる商品を作ってしまったのが本作。しばしば「スピード」との類似点が指摘されますが、テロリストとの駆け引きがあり、さまざまなトラップや見せ場を準備することができた「スピード」と比較すると、無人で暴走する列車を止めるだけというシンプルな本作は遥かに難儀な代物だったと思います。シンプルだからこそ監督の手腕がモロに問われ、逃げも隠れもできない素材。私はロン・ハワードのような堅実なタイプの監督に任せるべきで、ビジュアルばかりが先行するトニー・スコットは適任ではないと思っていました。が、観終わればそれは大きな間違いだったことに気付かされます。スコットは驚異的な演出力を披露し、難儀な企画を燃える傑作に変えてしまっているのです。いつものビジュアルセンスはもちろん健在で、他の監督が撮っていれば単調になったであろう本作の見せ場も、スコットの手腕によってかっこいい場面の連続に。列車を追うヘリやありえない台数のパトカーの並走など、乗り物を撮らせるとスコットは相変わらず良い仕事をします。クライマックスに向けて計ったように盛り上がっていくテンポ作りも見事で、どんどんエスカレートしていく物語には手に汗握りっぱなしなのでした。そして、今回のスコットが凄いのはここから。見せ場とドラマのバランスがほぼパーフェクトであり、神がかった職人芸を見ることができます。本作のメインはもちろんアクションでありドラマは添え物という扱いなのですが、映画のテンポを邪魔することなくアクションの高揚感に貢献させるという、アクション映画にあるべきドラマ作りが完璧になされています。ドラマを挿入するタイミングやその分量が本当に絶妙で、スコット兄やスピルバーグですらここまで巧くはできないでしょう。30年ものキャリアにおいてひたすらアクション映画を撮り続け、主要な映画賞へのノミネート経験が一度もないというアクションバカがついに辿り着いた究極の作品。それが本作なのです。。。強いて苦言を言うならば、カタカナにすると語感の悪いこの邦題、作品の趣旨から外れたヘタレな宣伝文句は何とかならなかったのでしょうか。
[映画館(字幕)] 9点(2011-01-16 23:31:49)(良:1票)
819.  アメリカン・ヒストリーX 《ネタバレ》 
人種問題をテーマとした映画は多くありますが、いずれの作品も「差別は最低の人間のすること。みんなで仲良く暮らせる社会を目指しましょう」という結論ありきの物語で、時にうんざりさせられます。もちろん差別はよくないことなのですが、時に挑戦的なメッセージを投げかける芸術という世界にあって、判を押したように優等生の意見ばかりでは物足りなく感じます。そんな不満を持っている中で鑑賞したのが本作でした。公開時から非常に評価が高く、IMDBでは「タクシー・ドライバー」や「時計じかけのオレンジ」と肩を並べる程のスコアを獲得している作品だけに、他の映画にはない独自の切り口があるのではないかという期待がありました。。。そんな心境での鑑賞でしたが、期待は半分満足し、半分は裏切られたという印象です。この映画の特異な点は差別する側を主人公とし、その主張を大きく扱っていること。差別主義者デレクは有色人種に対する憎悪を喚き散らします。「黒人はいつまで被害者面するつもりなのか?」「社会を乱す元凶である不法入国者に税金で援助を与えるとは何事か?」。客観的に聞いてその主張にはある程度の説得力があり、アメリカ社会が直面している現実のある一面を言い当てているように思います。もしかしたら、口には出さないだけで多くの白人が腹の中では考えていることなのかもしれません。それを主人公にズバっと言わせてしまった点で、本作は価値があると思います。しかし、その後の処理には不満が残りました。家庭内で暴力を振るうは、有色人種の経営するスーパーを襲撃はのやりたい放題。「こんな主張をする奴はこの通りの最低野郎です」と言わんばかりの演出で、結局いつもの人種映画に戻ってしまうのです。主人公が改心する後半のドラマも面白かったのですが、社会派作品としてはあまりに月並みな展開で物足りなさが残りました。前半における主人公の主張を真剣に突き詰めれば意義のある内容になったのに、それをあっさり放棄して安全・安直な方向へと映画の舵を切ってしまったわけです。どうやら、人種問題の渦中にいるアメリカ人監督には超えられない壁があるようです。その点、アメリカ社会の外にいるヨーロッパ人監督が撮った「マンダレイ」などは人種問題の核心を突いていて、社会問題に対する考察という点で本作よりも意義がありました。
[DVD(吹替)] 6点(2011-01-14 21:37:47)
820.  カプリコン・1
打ち上げの迫ったロケットにスーツ姿のおやじが現れ、これから宇宙に飛び出さんとする飛行士達に「ロケットから降りろ」と言い出します。「何言ってんだよ、あんた」「いいから降りろ、大変なことが起こってるんだ」、、、この冒頭には引き込まれました。ミステリーとして最高の幕開けではないでしょうか。スーツのおやじは有人火星探査計画の責任者なのですが、この博士のキャラクターは実によく出来ています。元は夢と希望に溢れた有能な科学者だったが、大計画に携わっているうちに世渡りを覚え、気がつけば現実主義の悪人になっていた男。不満たらたらの飛行士に向かって一席ぶつ場面などはかなりインパクトがあります。このケラウェイ博士が引っ張る前半は出色の面白さで、この映画は史上空前の傑作ではないかと思いました。しかし、博士の出番が減る後半になると映画は一気につまらなくなります。新聞記者の暗殺に何度も失敗したり、監禁状態にあった宇宙飛行士があっさりと基地から逃げ出してしまったりと、細かい部分でもアラが目立つ状態に。もうちょっとシャキっとして欲しいところでした。宇宙飛行士のエピソードなどは丸々削ってしまい、主人公を新聞記者ひとりに絞って彼が陰謀を暴くという物語にしてもよかったと思います。
[地上波(吹替)] 6点(2011-01-13 21:05:16)
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2272.12%
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417513.74%
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