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ザ・チャンバラさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1274
性別 男性
年齢 43歳
自己紹介 嫁・子供・犬と都内に住んでいます。職業は公認会計士です。
ちょっと前までは仕事がヒマで、趣味に多くの時間を使えていたのですが、最近は景気が回復しているのか驚くほど仕事が増えており、映画を見られなくなってきています。
程々に稼いで程々に遊べる生活を愛する私にとっては過酷な日々となっていますが、そんな中でも細々とレビューを続けていきたいと思います。

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921.  ザ・フライ2/二世誕生
それほどつまらなくはないのですが、圧倒的な完成度だった「1」と比較するとあらゆる面で完全に劣っており、いわゆる蛇足の部類に入る続編です。視覚効果マンに監督を任せたのが最大のミスで、クローネンバーグのような天才監督の後を継ぐには荷が重すぎました。「1」は特殊メイクの映画だと思われがちですが、実際にはクローネンバーグの才能があの作品の大部分を支えており、その柱を失ってしまったのはかなりの打撃です。「1」と同様の技術、そして3倍もの予算を駆使したにも関わらずビジュアル的な衝撃度はかなり下がっており、気持ち悪いが怖くはない、生涯忘れられないほどのショックも受けない、監督の演出力の差がはっきりと出てしまっています。脚本も平凡となっています。モンスター映画の外見をとりつつ実は切ない愛情の物語だった「1」に対して、本作は勧善懲悪の物語となっているため、ただのモンスター映画に退化したという印象です。モンスター映画にするならするで、エイリアン2のような直球勝負の大アクション映画に転換するという道もあったのですが、そこまでも振り切れていないために本当に中途半端。また「1」は科学的にも練り上げられていたのですが、本作では「悪者にハエ遺伝子を擦り付ければ、主人公は人間に戻ることができる」というハッピーエンドのための意味不明な設定が付け加わったため、話全体が妙に安っぽくなってしまっています。
[DVD(字幕)] 5点(2010-02-13 20:24:42)
922.  ザ・フライ 《ネタバレ》 
尋常ではなくグロイです。残酷描写には比較的慣れている方なのですが、それでもこれはキツかった。オスカーを受賞した特殊メイクの威力はもちろんのこと、クローネンバーグのグロを見せる才能が本当に凄い。本作と同様の技術を使用した「Ⅱ」と比較すると、監督の手腕がいかに卓越したものであるかがわかります。実験失敗で皮膚がひっくり返ったヒヒや、腕相撲で腕をへし折られるおっさん、出産シーンの巨大ウジ虫等々、そのタイミングの絶妙なこと。来るぞ、来るぞ、と引きつけておいて、ドカンとえらいものを見せる抜群の間。クローネンバーグの手を離れた「Ⅱ」には、残念ながらこれほどのインパクトはありません。また、本作はクリーチャーの描き方も卓越していて、作りもの丸出しなのにキャラクターとしての生命を宿している辺りも演出の妙です。これまた「Ⅱ」のクリーチャーはやたらショボいです。やはり映画は技術ではなく演出なんだなぁと思い知らされました。 本作の脚本はかなり斬新で、オリジナルの『蝿男の恐怖』がただのモンスター映画だったのに対し、本作はモンスターへの変貌の過程を中心に持ってくるという、他に類を見ない構成となっています。しかもメインのテーマは男女の愛情。蝿男の映画を作れと言われて、こんな話を考えてしまうのは世界中でクローネンバーグぐらいでしょう。また50年代のB級ホラーを原作としながらも、科学的にそれらしく感じさせる工夫が多くなされていることにも感心します。無機物の転送はできるが、有機物についてはその構造をうまく理解できず、混乱したコンピューターが蝿と人間の遺伝子を混ぜてしまったという設定は、なかなか上手く考えたものです。サイエンスとフィクションがうまく組み合わされた、見事なSF的発想ではないでしょうか。ハエの生態に近づいていくセスの描写も科学考証を踏まえたものですが、爪が剥がれ、歯が抜け落ち、消化液を吐き出して物を食べるようになるという設定など、本当に細かく考えられています。こうして細かい描写を積み重ねつつも、クライマックスではセスの顔が一気に剥がれ落ち、ブランドル蝿の完全体が現れるという怒涛の展開。この辺りのテンポの作り方も絶妙で、映画的興奮が宿っています。本当にこの人は映画作りがうまいものです。  【2018/6/24追記】 あらためて見返しましたが、やっぱりグロくて感動的。これほど感情表現豊かなホラー映画はその後20年以上経っても類がなく、驚異的な傑作だと思います。 また、今回の鑑賞では2時間に及ぶメイキングも含めてがっつり鑑賞したのですが、クローネンバーグのみならず大勢の関係者が正しい選択をしながら生み出した傑作であることがよくわかりました。未公開シーンを見れば顕著なのですが、実は未使用フッテージが結構ある作品なのです。例えば、生存の方法を探るブランドルがヒヒと猫を使った実験をし、両者が醜く融合したクリーチャーを生み出す場面などは演技的にも視覚効果的にもかなり手が込んでいるのですが、観客がブランドルへの反感を抱きかねないとして完成版からはバッサリ落とされています。同様に、生存したベロニカのお腹にいる胎児はモンスターではないことを暗示する場面も手の込んだ視覚効果を用いて撮影されていたのですが、こちらも同様に削除されています。本筋とは無関係な描写や、キャラクターの個性を誤解させる可能性のある場面はカットし、シンプルに徹した作風が勝因となっているのです。 また、ベロニカ役のジーナ・デイビスに相当な負荷のかかっていた現場でもあったようです。誤作動も多いパペットを用いた撮影にはとにかく時間がかかり、クライマックスの撮影には2週間を要したのですが、泣き叫ぶ演技をしなければならないジーナ・デイビスはその2週間、ずっと泣いていなければならないというかなり過酷な状況を強いられていました。パペットが思い通りに動いた瞬間に「はいジーナ、今泣いて」と言われるような無茶な指示が出ていたこともメイキングには収められており、この完成度の裏側にはキャストとスタッフの並々ならぬ苦労があったことがよくわかりました。
[ブルーレイ(吹替)] 8点(2010-02-13 20:23:54)(良:3票)
923.  ダ・ヴィンチ・コード
2時間半、ひたすら退屈でした。原作の要約に終始するだけで話がまったく面白くなく、映画ならではの工夫や見せ場を入れているわけでもなく、わざわざ大金かけて映画化する必要があったのだろうかという印象です。せっかく映画というメディアを使いながら、謎のほとんどをイアン・マッケランに喋らせて終わりでは芸がなさすぎます。また、銃で撃たれた館長がその場で素っ裸になり、大の字に寝転んで息絶えるというダイイングメッセージの残し方は、映像化すると驚くほどマヌケです。このような文章と映像のギャップを埋める作業が脚本や監督に求められる機能のひとつなのですが、本作ではそれがほとんど機能していません。ロン・ハワードは仕事をしていたんでしょうか?ハワードは常に堅実な仕事をする人だけに、ここまで雑な仕事には驚きました。。。そもそも長大な原作を一本の映画にまとめることが不可能だったとも言えます。駆け足のダイジェストになってしまった結果、原作未読者にとっては情報量が多すぎて話を追い切れないし、既読者にとっては映画版ならではの見せ場に欠けた、ただのおさらいにしかなっていない。結局誰も喜ばない中途半端な出来になっています。「ダ・ヴィンチ・コード」の映像化に手を挙げたのは映画界のみならず、「24」の原案にするという意見もあったそうなのですが、2時間半にムリに詰め込むよりも、「24」にしてしまった方が良かったと思います。主人公がラングドン教授からジャック・バウアーに代わった「ダ・ヴィンチ・コード」って、それはそれで面白そうだし。
[DVD(吹替)] 2点(2010-02-08 00:14:52)(良:1票)
924.  今そこにある危機
脚本が弱かった「パトリオット・ゲーム」の反省からか、スティーブン・ザイリアンとジョン・ミリアスというトップクラスの脚本家を二人も配置したおかげで、脚本の出来は格段に上がっています。登場人物が多く、複雑な話がいくつも同時進行で展開されるというややこしい物語ながら、驚くほど綺麗にまとまっています。俳優陣も細かい役に至るまで全員よくハマっており、キャスティング面も上々。問題なのは監督の演出力が追い付いていないことで、脚本を追いかけることにいっぱいいっぱいで、色気やこだわりのない作りとなっています。特にクライマックスのアクションは酷いもので、何の緊張感もなくダラダラと撃ち合い、殴り合い、本当に退屈でした。52歳のハリソン・フォードが体を張ったアクションを披露しているものの、あまりに監督がダメダメなので頑張り損になっています。「パトリオット・ゲーム」のアクションも酷いものでしたが、その反省がまったくなされていません。
[DVD(字幕)] 5点(2010-02-07 23:35:16)
925.  プルーフ・オブ・ライフ
映画の展開そのままに、撮影現場でラッセル・クロウとメグ・ライアンが本当に不倫をしてしまい、ゴシップの種にはなったものの映画としてまともに鑑賞されなかった気の毒な作品ですが、実はかなりよく出来ています。トニー・ギルロイの脚本は相変わらずキレがよく、プロの男を描かせるとこの人は最高の仕事をします。要件をビシっと述べるソーンの話し方は本当にかっこよく、現場を知り尽くしたプロという設定に負けないキャラクターがちゃんと構築されています。このソーン役にクロウを配置できたことは幸運で、スーツを着て粘り強く交渉する知的な姿も、迷彩服を着て敵地に乗り込む元特殊部隊としての姿も両方完璧にハマっており、「この人に任せておけば安心だ」という安心感も漂わせています。筋肉隆々でありながら知性を感じさせ、おまけにラブシーンをやれる色気を持った役者はハリウッドでもかなり希少であり、クロウでなければ演じられなかったキャラクターだったと思います。彼に対するメグ・ライアンもなかなかのものでした。本作以降は急激に衰えるものの、少なくとも2000年当時はハリウッドのトップにいた女優さんだけあって、華があるし演技も悪くありません。「♪恋する女はキレイさ~」とヒロミ郷も歌ってましたが、全出演作中もっとも美しく撮られているのが本作でもあります。なぜか常にノーブラでしたが、あれには何か理由でもあったんでしょうか?胸の垂れ具合は正直さみしかったです。。。作品の評価に戻りますが、監督も良い仕事をしています。ヘタに見せ場を入れず交渉の緊迫感だけで上映時間の大部分を引っ張っているのは監督の手腕によるところが大きいし、なんといってもラストのアクションがあまりに見事で驚いてしまいました。この監督さんはアクションを撮るイメージがなかったのですが、正直そこいらのアクション監督よりも腕前は遥かに上です。連絡を常にとりながら機動的に動く特殊部隊のアクションのかっこいいこと!ミッション物のアクションでは、本作のラストを超える映画を見たことがありません。ここでもクロウは大活躍で、銃を持った姿が本当に様になっています。彼が銃を撃つ映画は本作以外では「クィック&デッド」と「アメリカン・ギャングスター」くらいしかありませんが、銃がかなり似合う俳優さんなので、もっとアクションをやればいいのにと思います。
[DVD(吹替)] 8点(2010-02-07 21:04:12)
926.  パトリオット・ゲーム
序盤は素晴らしかったんですよ。余計な説明をテキパキと片付け、一気に襲撃へと持って行くテンポの良さ。主演がアレック・ボールドウィンからハリソン・フォードにグレードアップしたことで画面に華が出たし、初の大作に抜擢されたショーン・ビーンも、登場した瞬間に悪のカリスマとしての魅力をムンムンに漂わせます。しかし、本筋に入ると物語は一気に失速し、最後までダメダメなままでした。最大の問題は、テロリストの行動や警察の対応の描写があまりに雑だったことです。ロイヤル・ファミリーの一員を狙い、殺す寸前までいった重要犯罪人がいとも簡単に脱走してしまうわ、楽々と国外へ脱出し、平然とアメリカに入国できてしまうわというお手軽さ。そして、元CIAにして海軍兵学校の教官にして、ロイヤルファミリーを救った英雄として新聞の一面を飾った重要人物であるライアンに難なく接近してしまえる身の軽さ。ジャック・ライアンシリーズに求められることは知的さの延長にあるアクションなのですが、肝心の論理の部分があまりに雑すぎます。原作を有する作品においては、生身の役者に演じさせ、時間軸などがより立体的に伝わる媒体にシフトした結果として、本で読む分には感じなかった不自然さや論理の不整合性などが往々にして生じるものです。それをうまく料理するのが脚本家や監督の仕事なのですが、本作はそうした映画向けの補強作業を怠っているため、ご都合主義が横行する雑なアクション映画に終わっています。それに加えて見せ場の作り方もイマイチで、ホームパーティーを襲われるラストのアクションなどは、見づらいし、つまらないし、無駄に長いしと良いとこなしでした。一方、中盤において特殊部隊が砂漠のアジトに襲撃をかけるシーンこそがジャック・ライアンに期待される見せ場だったのですが、こういうものに限ってほとんど盛り上げずにスルーしてしまうという選択のまずさ。これは完全に失敗作です。不思議なことは、当時無名だったフィリップ・ノイスが、ヒット作「レッド・オクトーバーを追え」の続編をなぜ任されることになったのか?そして本作を失敗させたにも関わらず、なぜ「今そこにある危機」で続投できたのか?トム・クランシーは「せっかくの原作をB級アクションにしやがった」と嫌っているようですが。
[DVD(字幕)] 3点(2010-02-06 21:29:49)
927.  プラトーン 《ネタバレ》 
さすがは従軍経験者が作った作品だけあって、他の戦争映画とは説得力が違います。ジャングルの行軍で脱水症状を起こしたり、アリにたかられたり、雨の中で寝たりと、実際の現場を知ってる人間ならではの描写がこの映画を支えています。また、「強い北ベトナム軍」がきちんと描かれていることにも感心します。従来のベトナム戦争映画においては、負け戦だったはずなのになぜかアメリカ軍はベラボーに強く、一方で北ベトナム軍はヤラレ役に徹していました。そして、「アメリカは力では勝っていたが、メンタルで勝てなかった」と結論付けるのがお決まりのパターン。アメリカ人にとってのベトナム戦争の認識とは、自分の命も省みず突っ込んでくるアジア人の狂気に近い真剣さに勝てなかったというものであり、キューブリックですら、その認識に縛られた作品を作っていました。一方本作では、アメリカ兵達が強気なのは戦闘員のいない村を襲った時だけで、北ベトナム正規軍がやってくると聞けばビビりまくり、戦場ではパニックを起こしてボロ負けします。アメリカは神出鬼没のゲリラに負けたのでも、アジア人の野蛮なまでの狂気に負けたのでもなく、正規軍同士の戦いで負けたという、恐らくは史実に忠実な描写がなされています。このような切り口のベトナム戦争映画は現在に至るまで本作が唯一となっており、これも当事者として現場に立ち会っていたストーンならではの視点なのでしょう。残念だったのは、味方同士が私怨で殺し合うという展開が極端すぎて、全体から浮いてしまったことでしょうか。本作はストーンの思惑をも超えるほどリアリティの面で成功しており、そのため、戦場における殺人というショッキングな展開がいかにも作りもの臭くなっているのです。味方として与えるべき支援を与えず、嫌いなやつを見殺しにしたくらいの展開の方が調度良かったのではないでしょうか。また、比較的低予算で製作されたため銃のエフェクトがチャチなのも残念でした。こちらも、実際にアジアのジャングルで撮影した他の場面のビジュアルが良すぎたために、弱点が際立ってしまったという印象です。
[DVD(吹替)] 7点(2010-02-06 17:57:01)(良:2票)
928.  ジャスティス(2002・ブルース・ウィリス主演) 《ネタバレ》 
法廷もの、人種問題、人格者の悪役、お坊ちゃんの成長物語、兵士のプライド、脱走計画、これだけの要素を一本の映画にまとめてみせた脚本の出来はなかなかのものです。すべての要素がきちんと関連し合っていて、ラストに向けてすべてが収斂するように物語が計算されており、これだけの要素を放り込みながら闇鍋状態になっていない辺りは見事なものです。娯楽性を保ちながら硬派な題材を扱うことに長けるテリー・ジョージ、本作でも良い仕事をしています。しかし監督がこの題材を扱いきれず、散漫で何が言いたいのかよくわからない凡作になり下がっているのが残念です。収容所に到着するまでの前半部分は、よく出来た見せ場もあってなかなか面白いのですが、本筋がはじまると途端につまらなくなってしまいます。収容所に入ると「脚本通りに撮ってるだけ」という状態になってしまうのです。さらに、地味な本作を興行面で支えるために配置されたブルース・ウィリスが、マクナマラ大佐にまったく合っていないという問題もあります。脚本レベルではもっと深みと威厳があり、知性も感じさせる人物だったと推測されるのですが、彼が演じたためにそれらが失われてしまっています。同時期の「ティアーズ・オブ・ザ・サン」におけるような現場部隊の指揮官役には抜群にハマるものの、指令系統の頂点という役柄にはあまり馴染まないようです。さらに悪いことに、本作で彼に対することとなるドイツ軍のビッサー大佐がよく出来ているために、ウィリスがより浮いて感じられます。
[DVD(吹替)] 5点(2010-02-01 21:15:19)
929.  フルメタル・ジャケット
戦友がバタバタと死に、その度に物語が生まれる戦争というおいしい題材を手にした時、映画監督はドラマや哲学を語ろうとします。プラトーン然り、ディアハンター然り、地獄の黙示録然り。しかしキューブリックは本作においていかなる主張もせず、戦争とは何か、ベトナム戦争とは一体何だったのかという断片を切り取ることのみを行っています。かつて「突撃」でベタベタの人間ドラマをやった以上、同じ題材で同じことはやらんという巨匠ならではのこだわりなのか、それとも天才たる先見性の為せる技なのか、ともかく前述の作品達よりも二歩も三歩も先を行った作品となっています。公開当時、あまりのショックから「これは軍隊の非人間性を描いたものだ」と勘違いされた前半の訓練についても、あれは海兵隊の訓練を忠実に再現しただけのものであって、あらためて見ると非常に客観的です。ハートマン軍曹は新兵達の前に立ち塞がる脅威ではあるものの、ヒールを演じているだけということを匂わせる描写がいくつも存在しています。人種差別はせず、クズとして全員平等に扱うと発言したり、「神を信じない」と言ってハートマンに楯ついたジョーカーを「根性がある」と言って認めたりと、決して個人的な感情から新兵達を罵倒しているのではなく、無茶苦茶に見えて実は訓練に必要な言動をとっていることがわかります。海兵隊に集まるのは徴兵された者ではなく、志願して軍隊に入ってきた者達です。そんな英雄気取りの若者を、わずか8週間の訓練で生きて祖国に帰還できるフルメタルジャケットに育て上げねばならない。いったん彼らの人格やプライドを粉々に壊し、真っ白になったところで生きて帰るための行動パターンや思考様式を流し込んでいるのです。ちなみに私が一番驚いたのはトイレの様子で、個室や仕切りはなく、便器がズラっと並んでいるのみというシンプルにも程がある作り。海兵隊はう○こも人と顔を合わせながらするのかと、そこまで徹底したプライドの破壊には心底恐れ入りました。後半は前半と比較すると平凡になりますが、それでも視覚的な見せ場は充実しています。カメラワークが秀逸で、戦場を走る兵士の背中をローアングルから捉える、戦争映画でお馴染みのショットなどは、本作が初めてではないでしょうか?かねてから素晴らしかった音楽の使い方にはさらに磨きがかかっており、こちらはタランティーノに多大な影響を与えたことが伺えます。
[DVD(字幕)] 8点(2010-01-28 22:12:56)(良:3票)
930.  地獄の黙示録 特別完全版
本作がとっ散らかっていることは、この「特別完全版」を見ればよくわかります。映画の完全版といえば、見たことのない場面がいくつか加わる程度のものが大半なのですが、本作における復活シーンはかなりしっかりとした内容です。脚本上はそれなりの重要性があり、かつ手の込んだ撮影がされていたにも関わらずこれらの場面はオリジナルからは丸々削られていたわけで、このことから、撮影時にコッポラの中で映画の全体像が出来上がっていなかったことが推測されます。B級映画の帝王ロジャー・コーマンの下で修業したコッポラに無駄な場面(復活したフッテージはまるで本編に必要がなく、これらを切ったオリジナルの判断は正解でした)を山ほど撮らせることはなかなかの異常事態なのですが、その原因はマーロン・ブランドにありました。カーツ大佐は、神経症とジャングル生活で痩せ細ってはいるが眼光鋭く、得体の知れないカリスマ性に満ちた人物という設定であり、押し寄せる北ベトナム正規軍とカーツの軍隊の繰り広げる死闘が本来のクライマックスだったのですが、ブランドは契約違反とも言えるほどぶくぶくに太って現場に現れ、クライマックスの大アクションを撮れなくなってしまいました。オチが白紙になった状態で撮影を進めざるをえなくなったことで本作は方向性を見失い、その場のアドリブと編集で辻褄を合わせるという無茶なやり方によりなんとか完成。映画の製作過程そのものが、ウィラードの旅と同じく「混沌」に支配されていたのでした。普通なら企画が倒れるか、駄作が生まれるかのどちらかなのですが、コッポラの才能や優秀な現場スタッフの貢献、そして一周して映画のテーマと合致するという奇跡によって、本作は「映画として成立していないが、訳のわからん迫力に満ちた他に類を見ない作品」となったのでした。シナリオ通りのラストであれば映画としては面白くなったはずですが、傑作としての歴史的地位は得られなかったでしょう。禅問答で煙に巻くラストによって何か奥深いことを言っている雰囲気を作り、観客に映画を読み解く作業を与えたことも、結果的に正解でした。。。私?私は失敗作だと思います。ひとつひとつのエピソードは面白くても全体としては統一感に欠けるし、ラストもオチから逃げただけにしか見えません。しかし、失敗作ではあるが駄作と切って捨てられない魅力があるのもまた事実なのです。
[DVD(吹替)] 5点(2010-01-24 07:50:56)(良:2票)
931.  ウインドトーカーズ
ジョン・ウーがついに戦争映画を撮る!2002年は戦争映画が多数製作されましたが、製作段階において特に注目度の高かったのが本作でした。しかし、蓋を開けると戦争映画としては史上最低クラスの出来。世間一般からは一瞬にして忘れ去られ、ウーファンにとっては触れてはならない過去となったのでした。超人的な主人公が華麗にアクションを決めるジョン・ウーのスタイルは、大人数が泥にまみれながら命をかける戦争映画とは水と油。前半はニコラス刑事が棒立ちでマシンガンを乱射してるだけで見せ場として全然面白くないし、ジョン・ウーがガマンできなくなったのか、とうとうマシンガンをピストルに持ちかえてしまった後半は、もはや戦争映画のルックスではなくなっています。ジョン・ウーの映画なのに、戦争映画なのに、見せ場がつまらないという致命的な欠点を本作は抱えているのです。また、「プラトーン」以降の戦争映画には、史実に基づいてリアルに作るという条件が課せられるようになりましたが、本作は時代錯誤なまでに適当。サイパン島と言えば年平均気温が27度という高温多湿の熱帯気候なのに、まったくそのような風土に見えないという圧巻のロケーションには驚きました。妙に乾燥している地域があったり、日本の秋口のような風情ある風景があったり、そもそも俳優達が暑さの演技をしていなかったり、こだわって作っていないことが丸出しになっています。また、日本人住民の集団自決のあった悲劇の島でもありますが、本作に登場する住民達は実にのどかなもので、アメリカ兵にいとも簡単に懐いてしまいます。ニコラス刑事の常備薬を一錠飲ませてもらったり、チョコレートをひとかけ食べただけでアメリカさん大好きになってしまうという激安野郎ばかりで、本当に何も調べずに撮ったんだなぁと呆れてしまいました。これに追い打ちをかけるのがニコラス刑事の妙な熱演で、この人が演技を頑張れば頑張るほど映画がおかしくなっていきます。酔っぱらった演技などは加藤茶のレベルに達しており、「リービング・ラスベガス」のアル中演技でオスカーをもらったのと同一人物とは思えません。ハゲヅラのお巡りさんと若ハゲのケイジさんが共演すれば面白いのではないでしょうか。また、「ホリョダ!」「ド~シタノ?」「ベイコクキライ!ニホンダイジ!(ダイスキの間違い?)」等を、恐ろしく気合いの入った顔でやられても困ってしまいます。
[DVD(字幕)] 2点(2010-01-22 20:36:34)(笑:1票) (良:1票)
932.  ワンス・アンド・フォーエバー
「これはアメリカ人が認めようとしない事実である」とのナレーションに続き、インドシナ戦争からはじまる冒頭には大変に期待しました。ベトナム戦争の歴史的経緯を踏まえた、硬派で鋭利なドラマ作品になるのだろうかと。しかし、蓋を開けるといつもの戦争映画でした。冒頭のインドシナ戦争などは後の話にまったく絡んで来ず、あれを入れることで一体何を言いたかったのかがサッパリわかりません。本作はすべてがこの調子で、感動しそうな要素や思慮深い要素をとりあえず挿入してはいるものの、そのどれもが中途半端。「ベトナムさんも大変でした」という場面も本当に申し訳程度で、文句言われないように表面上はいろんな配慮をしているものの、本質的にはいつものアメリカ映画です。娘から「どうして戦争は起こるの?」と聞かれたメル中佐が、「ある国の人達がよその国の人達を殺そうとする時に、パパ達軍人がそれを止めにいくんだよ」と説明する場面にはガックリ。私はアメリカ万歳映画というものをジャンルとして認めているので、そのような作品でアメリカ万歳発言が飛び出しても特に気にはならないのですが、本作のように一応は中立的な立場を装っている映画でこのような発言が堂々と出て来ることには驚きです。アメリカさんというのは相変わらずなんだなぁと。軍人の家族の視点を設けたことも面白い試みでしたが、こちらも付け足し程度で特に感動はありません。奥さん達の場面は丸々いらないのではないかと、老けてマイケル・ジャクソンみたいな顔になったマデリーン・ストウのどアップを見る度に思いました。一方で戦闘シーンはド迫力でなかなか見ごたえがあり、メル・ギブソンも生まれながらのリーダー、生まれながらの軍人という感じでバシっと決まっています(銃弾飛び交う戦場で立ち話は男らしすぎますが)。後にキルゴア中佐が率いる部隊だけあって「ブロークン・アロー!」には血が燃えたし、気がつけばベトナム兵が鼻先まで迫って来ている場面も印象的でした。要らん配慮で作品のバランスを崩すくらいなら、戦闘に特化した方がよかったように思います。。。鑑賞後、冒頭のインドシナ戦争の意味について考えてみたのですが、インドシナ戦争でフランスを倒すという成功体験を積んだことで、ベトナムはアメリカと闘う腹を決めたとでも言いたかったのでしょうか?
[DVD(吹替)] 5点(2010-01-21 20:48:33)
933.  K-19 《ネタバレ》 
見る前には、どうせハリウッド風に料理されてるんだろうと高を括っていたのですが、これが1億ドルバジェットの大作とは思えないほどマジメに作られていて驚きました。見せ場らしい見せ場はないし、男だらけで息苦しいことこの上なし。暗くて救いのない話がひたすら繰り広げられるのですが、「面白い場面を入れたい」という誘惑も多い大作において、よくぞここまで娯楽性を排除できたものだと感心しました。被曝したクルーの描写などは大作がやってもいいレベルを超える凄惨さで、作る側がまったく妥協せず、真摯な姿勢でこの企画を扱っていることがよくわかります。これだけの大作ともなれば、製作費回収のために様々なプレッシャーがかかってきて骨を抜かれることも多いのですが、本作はハリソン・フォードがプロデュースに加わることで企画を守りきったのでしょう。また、いつも同じ表情で「省エネ演技」と言われるフォードが珍しく演技に力を入れていて、彼が中心となって話を引っ張っています。一方で難しい部分は芸達者なリーアム・ニーソンに任せており、この辺りのサジ加減、役柄の配分は絶妙でした。俳優がプロデューサーに回るとおいしい部分を全部自分でやりたがる傾向がありますが(例:ケビン・コスナー)、この人は自分の力量を適切に理解しており、できないことは人に任せるという客観的な判断が下せているのです。ニーソンは温かみのあるイメージに合致したかなりおいしい役でしたが、彼が演じたことでポレーニン副長は観客全員から愛されるキャラクターとなり、映画にひとつの視点を与えています。ポレーニンが賛成しないことは間違ったことだろうし、ポレーニンが納得することは正しいことなのだろうという価値判断の基準を観客に与えていて、彼の存在で映画は相当わかりやすく、また面白くなっています。残念だったのは後半の展開で、艦長から指揮権を奪った政治将校をポレーニンが叱責する場面から、映画は急激に失速します。政治将校の下した判断の内容(適正な判断力のない艦長の解任)及び手段(職権に基づいた行為であってクーデターを起こしたわけではない)は多くの観客にとって妥当なものであり、ポレーニンがこれを否定したことで、作品の支柱が一気に不安定なものとなってしまったのです。艦長の良い面を強調しようとする以後の展開も不自然であり、この部分の処理はもっと丁寧にやるべきだったと思います。
[映画館(字幕)] 7点(2010-01-09 21:51:41)
934.  スパイダーマン3
好きな女子と両想いになって、プライベートもヒーロー業も順調なピーターが調子に乗ってる前半からイラっときます。ブラックスパイダーマンになって「調子に乗ってる」が「完全な勘違い」に進化すると、恥ずかしくて見ていられません。そんなピーターに復讐しようとするハリーの手口は、婚約者との三角関係を装ってピーターを精神的に追い込むという、遠回りかつチャチな計画。これが父親の仇に対する復讐計画なんだろうかと驚きました。ハリーが都合良く記憶喪失になり、そして都合良く記憶喪失が治るという安直さにも唖然とします。これは大映ドラマかと。狙っておかしくしている部分もあるのでしょうが、意図してないのに妙なことになっている部分も多くあります。これはスタジオの戦略ミスでしょう。女性客を開拓するためにメロドラマを入れさせたものの、ライミがそれに対応できなかったという。本シリーズはドラマ部分の充実が特徴でしたが、それは「オタクの童貞君が誠実に頑張る物語」においてライミの才能とマグワイアのパブリックイメージが巧く噛み合ったからこその成果でした。大人のメロドラマなど撮ったことのないライミと(中年学者を主人公にした「ダークマン」すら童貞臭が漂っていました)、オタクっぽい風貌のマグワイアでは、こんな話など成立するはずがないのです。ハリーが都合良く記憶喪失になる展開については、しかめっ面ばかりだったジェームズ・フランコの輝く笑顔を見せたくて無理矢理挿入したとしか思えません(うちの嫁は「ハリーがかわいかった」と言ってたので、こちらは成功したとも言えますが)。。。また、新キャラが多すぎる点についてもスタジオの戦略ミスです。ヴェノムは人気キャラなのに登場場面が少なすぎてもったいないし、ピーターと因縁の関係にあるサンドマンの人物描写も不足しているため、「罪を犯す側にも事情がある。許すことも大事である」という本作のテーマが立っていません。サム・ライミは別のキャラを登場させたかったものの、スタジオに押し切られてこの布陣になったとか。シリーズ最終作なので大盤振る舞いしたかったんでしょうね。。。なお、本作があまりにヒットしたので3部作構想から6部作構想に変更されたようで、今後は「マリッジブルー編」とか「子煩悩編」とかも作られるのでしょうが、このシリーズはピーターの青春時代が終わった「2」のラストで終了していると思います
[映画館(字幕)] 4点(2010-01-03 18:14:40)(良:1票)
935.  スパイダーマン(2002)
当初はキャメロン監督&ディカプリオ主演とアナウンスされ、映画版スパイダーマンは凄まじい超大作になると期待されていました。しかし90年代当時のマーヴルコミック社は借金まみれでスパイダーマン映画化権の所在が不明確となっており、法的な処理が進まない中でキャメロン組は断念。その後名前の挙がったサム・ライミ&トビー・マグワイア組には、世界中で落胆の声があがりました。サム・ライミ…低予算ホラーの監督に大作が務まるの?トビー・マグワイア…誰?。。。しかしフタを開けると、この二人が良かった。X-MENシリーズ、旧バットマン、新バットマン、成功するアメコミ映画は、監督のカラーがはっきり出ているものです。その点、本作はサム・ライミのカラーが発揮されており、しかもその個性がスパイダーマンという作品にしっくりきています。この人は低予算ホラー出身であるためか、いくら予算を積んでもなぜか大作感が出ないという特徴があります。本作は200億円を超える史上最大規模で製作された作品なのですが、そんなに金のかかった映画に見えません。アメコミ大作に慣れた現在の目で見るから安っぽく感じるというわけではなく、公開当時にも「映像がプレステ並み」という批判があがっていたほどで、映画全体に妙なチープ感が漂っているのです。これは通常の大作であれば致命的な欠点なのですが、スパイダーマンにはこの空気感がマッチしています。本作は大いなる力をたまたま手に入れた平凡な青年の物語であり、大袈裟な超大作であってはならない作品。たまにドジもする人間臭いヒーローには、この空気感でなければならないのです。またスプラッタホラーでコメディをやってみせたライミだけあって、スリルと笑いのバランスの取り方は慣れたものです。この味は、例えばブライアン・シンガーやクリストファー・ノーランには絶対に出せないもので、キャメロンでもここまでうまくは出来なかったと思います。マグワイアのハマり具合も抜群です。ディカプリオがやっていればピーター・パーカーが特別な人間になってしまったところですが、マグワイアが演じたことでイケてない普通の高校生となりました。キルスティン・ダンストは確かにブサイクでしたが、下町感溢れる本作にはあの程度が調度良かったんじゃないですかね。あそこでナタリー・ポートマンみたいのが出てきたら、ひとりだけ浮いてたでしょう。顔の分はおっぱいで取り戻してたし。
[映画館(字幕)] 7点(2010-01-02 19:56:14)(良:3票)
936.  マイノリティ・リポート
見せ場のキレはさすがスピルバーグで、犯罪予知局の活躍が描かれる冒頭から最高でした。本作には印象に残るアクションが多く、しかもただ勢いで押すだけの代物ではなくアイデアとテクニックに溢れたもので、この人は現代における最高の映画監督であることを再認識させられます。緊迫した逃走劇の間にはドリフみたいなギャグまで入っていて、どういう目的でこんなギャグを入れてきたのかはサッパリわからないものの、意味不明なギャグを入れてもなお見せ場の緊張感を維持しているスピルバーグはやはりタダモノではないなと、おかしなところでも納得してしまうわけです。他の近未来SFとはかなり雰囲気の違う未来社会の描写も面白く、細かいところにまでかなりこだわって作られています。トム・クルーズ、コリン・ファレル、マックス・フォン・シドーはそれぞれよくハマっており、特にコリン・ファレルは初の大作にも関わらずトム・クルーズ以上の存在感を放ち、役者の使い方もバッチリです。。。問題を感じたのは脚本で、二転三転どころか五転も六転もする展開はさすがにクドすぎです。読む分には面白い脚本だったのでしょうが、映像化するにはちょっと捻りすぎかなと。SFアクションの横軸としては複雑すぎるプロットで、アンダートンの目指すべき方向がもっと分かりやすい話にした方がよかったと思います。また、これだけ複雑な陰謀論をバックにしてしまうと、首謀者側にとってかなりのご都合主義になってしまうのが宿命。デ・パルマ作品をも超えるようなウルトラC級の犯罪計画は説得力に欠いています。アンダートンを殺人犯にでっち上げ、それをプリコグに予知させるという計画なんて、一体どうやって仕組んだんだよと。。。サスペンスを映画の核にはせず、まだ犯していない罪で人を罰することが正しいのかという倫理的な問題を掘り下げる話にした方がよかったんじゃないですかね。ここでスピルバーグの不思議なところは、「ジュラシック・パーク」の時もそうでしたが、科学と倫理というテーマからはなぜか逃げようとするんですね。この人は映画で哲学を語ることに懐疑的なのか?それともテクノロジーを批判する話が嫌いなのか?科学と倫理なんてテーマは陳腐だから、今更そんなことを取り上げたくないのか?前述のギャグもそうでしたが、時折意味の分からない行動をとる巨匠なのです。
[映画館(字幕)] 5点(2009-12-31 16:31:59)(良:2票)
937.  JAWS/ジョーズ
70年代のパワー、スピルバーグのパワーを思い知らされる快作でした。70年代前半といえば「ゴッドファーザー」「エクソシスト」等大人の映画が記録破りの大ヒットを続けていた時期で、本作もブロックバスターの皮を被りつつ、しっかりとした大人のドラマを中心に据えています。映像的ショックの薄れた現在の目で鑑賞すると、サメとの死闘よりもむしろ前半のドラマ部分の方が見ごたえがあり、マジメな姿勢で構築されたドラマと優秀な脚本の存在がいかに作品に貢献しているかが分かります。またスピルバーグのドラマ演出も驚異的。都会に疲れて田舎へ移住してきたブロディ署長が、「どうせよそ者にはわからんだろ」と言われながら孤軍奮闘するドラマを、若干25歳にして描ききっています。たった25歳で、よくも中年男のドラマを作り上げたものです。一方、クィントはスピルバーグが不得意とするタイプのキャラクターなのですが、こちらはロバート・ショーに相当お任せしている様子で、自分に出来ないことは他人に頼るという柔軟さも見られます。。。本作を見て思うのは、パニック映画にはリアクションがいかに重要であるかということです。人喰い鮫が現れた時、人々や社会はどう反応するのかを丁寧に描くことで、鮫の存在も引き立っているのです。肝心の鮫については技術的に相当な制約があり、その姿をほとんど見せないという詐欺みたいな描写が続きます。ようやく画面に登場しても作りもの丸出しなのですが、それでも本作のサメは活き活きとしています。それは、アミティの町やその住民達がこのサメの存在をしっかりと感じ、現実的なリアクションをしているからです。他方、90年代に入ってスピルバーグが関わったディザスター大作「ジュラシック・パーク」「ツイスター」「ディープ・インパクト」は技術的には本作を圧倒し、見せたいもののほとんどすべてを描写できるようになったにも関わらず、映画としては本作に劣ります。「パニック映画」の名称が90年代に入ると「ディザスター映画」と変わったのは言い当て妙で、対象に直面した人々や社会のリアクションがスッポリと抜け落ち、ただひたすら対象を描写することに集中しているからです。これはクリエイターのみの責任ではなく、難しい話を受け入れなくなった観客の責任でもあります。その意味でも、大人の映画に行列ができていた70年代は貴重な時代だったのだと思います。
[DVD(字幕)] 8点(2009-12-31 12:44:39)(良:1票)
938.  ジュラシック・パークIII
世評に逆らってひねくれた点数をつけているわけではないのですが、シリーズで一番面白かったと思います。「1」は理屈っぽい部分の掘り下げが中途半端だったし、「2」における安直な動物愛護精神は意味不明でした。だったら大仰な主張は潔く切り捨ててしまい、ついでに登場人物の数も絞り込んでコンパクトに仕上げた本作が、映画として一番まとまりが良いのです。コンパクトと言っても勢いだけで押し切る短絡的な作品というわけではなく、キャラクターや見せ場は作り込んであります。典型的な大作を得意とするデビッド・コープからドラマ畑のアレクサンダー・ペインに脚本家を変更し、情けない中年おやじ達の成長物語を横軸に持ってきたことで、前作、前々作よりもすんなりと登場人物に感情移入ができるようになっています。グラント博士の登場シーンからしてよく出来ており、エリーと幸せな家庭を築いたと思わせておいて、実は別の旦那と結婚していたサトラー家に遊びに来ていただけという導入部分は最高でした。エリーの子供からは恐竜おじちゃんと呼ばれる始末で、好きなことだけやって歳を重ねるとこうなってしまうという哀愁が漂っています。「1」の時は気鋭の古生物学者だったグラント博士も現在は冴えない中堅の学者で、研究資金も底をついているという切ない状態。そんな彼を再びサバイバルに引き込むのがウィリアム・H・メイシーですが、情けない中年をやらせると右に出る者のいないメイシーは、やっぱり本作でもハマっています。温厚なグラント博士に殴られ、妻からはギャンギャン怒鳴られ、何か言っても誰にも聞いてもらえないダメ親父ぶりをいかんなく発揮。そんな枯れかけの二人が、若かった頃のような自信とバイタリティを取り戻す物語は、定番だけどやっぱりグッとくるものがあります。。。見せ場にも工夫が見られます。「1」「2」とT-REXとラプターを見せ場の中心にしてきましたが、さすがに三度目はないと今回はスピノサウルスとプテラノドンを中心に持ってきた判断は正解でした。知名度の低いスピノサウルスには鮮烈な登場場面を準備し、他の恐竜に比べて攻撃力の弱いプテラノドンには霧に包まれた鳥かごを生かした見せ場を作ることで、T-REX、ラプターに負けない悪役ぶりを披露させています。また、笑いとスリルも絶妙なバランスで調和させており、この監督はなかなか巧いなと感心しました。
[映画館(字幕)] 8点(2009-12-31 01:49:17)
939.  ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク
カラーパープルで挫折を味わった後、スピルバーグは自身のキャリアを意識的にコントロールするようになりました。勝負作に挑む時には、自身の才能をもっとも活かせる娯楽作を抱き合わせて保険をかけるようになったのです。この方針に従い、シンドラーのリストにはジュラシック・パーク、ミュンヘンには宇宙戦争、そしてプライベート・ライアンには本作ロストワールドが抱き合わせで製作されました。特にプライベート・ライアンは同時期にアミスタッドもあって3本連続撮影という尋常ではないスケジュールで製作されているため、その中で最もお仕事感の強いロストワールドの品質が悪くなってしまったのも、当然と言えば当然の話です。ここまで登場人物に感情移入できない映画も珍しく、「恐竜が出てくればそれでいい」という製作陣の投げやりな姿勢が丸見えになっています。第一作当時、スピルバーグが「もっとも気に入っている」と言っていたマルコム博士がまるで別人になっているのが良い証拠。荒れた私生活を送る変人だったマルコム博士が、続編では子供と彼女に振り回される常識人になっていて、むしろ対照的だったグラント博士に近い人格となっています。好みのキャラが続編で別人格になっていて黙っている監督がどこにいるでしょうか。スピルバーグが脚本にほとんどダメを出さず、やっつけで撮影したことが伺えます。その他の登場人物はさらに酷く、ギャンギャン騒いで目障りなだけのジュリアン・ムーア、恐竜を檻から出して大勢の死人を出す直接の原因を作りながら、なお綺麗事を言うのをやめないヴィンス・ヴォーン、ただひたすら鬱陶しいマルコムの娘などは、まとめてT-REXに食われて欲しいと願うほどでした。あまりにムカつき過ぎて、こんなありえないキャラクターを出すには、何か伝えたいメッセージでもあったのではと裏の意味を考えてしまったほどです。目的が正しければ他人に迷惑かけてもかまわないと考えてる連中はロクなもんじゃない。「自分達が自然を守る」と考えるのは、「自然をコントロールできる」と思ってる連中と根は変わらないじゃないかと。恐竜をどうする、自然をどうすると上から目線で島を眺めず、このサバイバルは人と恐竜との殺し合いであるとの覚悟を決めているローランドが本作中唯一かっこよく描かれているのも、そんなスピなりの思想を反映しているような気もします。私の考えすぎのような気もします。
[レーザーディスク(字幕)] 2点(2009-12-30 14:26:33)(良:1票)
940.  ジュラシック・パーク
さすがはスペクタクルの巨匠だけあって、単なる最新技術の発表会に終わらせず、ちゃんとした演出が施されています。例えばブラキオサウルスをはじめて見た時、私達はグラント博士と同様の驚きと感動を味わいます。あのタイミング、盛り上がる音楽、「えらいもん見てしまった」という俳優たちのリアクション。CGの恐竜がノシノシ歩くだけではこの映画は成立しなかった、優秀なスタッフと優秀な監督あってのジュラシック・パークなんだなぁと感じるわけです。T-REXが暴れ出す場面でも、不気味な兆候を積み重ねていよいよ千両役者登場という演出の巧さには唸ります。映画としてやるべきことがちゃんとなされているのです。。。現在になってあらためて見返すと、むしろ技術がこの映画の制約となっているような気さえします。当時の技術水準ではさすがに恐竜を出ずっぱりにすることは不可能であり、またCG恐竜に演じさせられるアクションにも限界があったため、主役でありながら恐竜の出番は抑え気味。「ジョーズ」でも効果を発揮したスピルバーグの「見せない演出」と、恐竜をなるべく出さないで済むように工夫されたシナリオの存在を感じます。こうした制約のため特に中盤はほとんど見せ場がなく、はっきり言って中だるみしており、ひとつひとつの場面を取り出すと印象的である一方で、映画全体としては他のスピルバーグ作品よりは下の出来だと言わざるをえません。また娯楽に徹するためか、物語から難しい部分を意図的に取り去っていることも残念なところ。「ジョーズ」では大人のドラマをやったのに、本作はすっかりファミリー向けになったのは70年代と90年代の違いでしょうか?科学技術と生命倫理のバランス、娯楽のためにどこまで危険を冒していいのかという問いかけ、経営者ハモンドと、それについていけない部下達との関係等々、掘り下げると面白いネタは山ほど転がっていたのに、知的好奇心に訴える部分のほとんどが切られています。その割を食ったのがマルコム博士で、「何が起こるかわからんから新しいことはやるな」と言ってるだけの、頭が固くて空気の読めない人間にしか見えません。しかしクライトンは、心配性の母親みたいな主張をさせるためにカオス理論を出してきたのではないはず。自分達の力を過信しすぎるなという本作の核となる主張をカオス理論に託していたのに、映画版ではその主張がなくなっています。
[映画館(字幕)] 6点(2009-12-29 20:19:16)
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