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イニシャルKさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

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81.  肉弾(1968)
今まで見た日本の戦争映画でいちばん感動した作品。暗いストーリーでありながら、ところどころに笑えるシーンもあり、見終わってもあまり気が沈むようなことはなかった。つぶやくような仲代達矢のナレーションも印象的だった。
[CS・衛星(邦画)] 9点(2005-05-28 16:29:17)(良:1票)
82.  キートンのマイホーム(文化生活一週間)
いちばん印象に残ったのはやはり家が回転するシーン。1番の方も書いておられるが、CGなど存在していないこの時代にこのシーンの撮影はさぞ大変だっただろう。見ながらどうやって撮影したのか本当に気になった。風呂にダイブしたり、ピアノの下敷きになったりするキートンのアクションもよくそれをやって死なないなと思うくらいに相当体をはっていて見ごたえじゅうぶんである。単純に楽しいと思える小品だと思う。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2005-05-19 02:33:46)
83.  学校Ⅲ
別にこの内容なら学校シリーズの一編でなくてもいいような気がするが、シリーズではこれがいちばん良かった。
[ビデオ(邦画)] 9点(2005-05-16 21:15:56)
84.  宮本武蔵 一乗寺の決斗 《ネタバレ》 
武蔵(中村錦之助)と吉岡一門の最終決戦を描くシリーズ第4作。昔に見た時もこの回は見ていて思わず唸ってしまったのだが、やはり今久しぶりに見てもこのシリーズはこの4作目が最高傑作だと思うし、それだけではなく、連続ものシリーズということを考えなくても純粋に一本の時代劇として素晴らしい映画になっていると断言できるほどのすごさを持ち合わせている。ドラマとしては吉野太夫(岩崎加根子)の琵琶の話や、武蔵と城太郎(竹内満)との別れのシーンが印象に残るのだが、やはりクライマックスの一乗寺での吉岡一門との最終決戦はまさに壮絶という言葉がぴったりと当てはまるほどの壮絶さで、この部分だけ白黒になるという演出の効果も相まってすごくリアルに感じられる。また、武蔵の挑戦によって滅亡の道を歩むことになる吉岡一門の側のドラマもしっかりと描かれていて、それによって映画に深みが出ているのも良かった。中盤の伝七郎(平幹二朗)との三十三間堂での対決がクライマックスの大決闘とは対比的に描かれているのも印象的。一乗寺での吉岡一門との最終決戦で名目上の侍大将である子供を殺してしまった武蔵だが、やっぱりこれは今後の武蔵の人生に大きく影響することになるのだろう、ラストシーンの菩薩を掘っている武蔵からは虚無感しか感じられず、決して爽快感のあるラストではないのだが、この見る者に一乗寺の決闘の意味を投げかけてくるような終わり方も、すごく考えさせられるラストになっていて、ここにもこのシリーズの人間ドラマとしての深みを感じずにはいられない。(2021年3月7日更新)
[DVD(邦画)] 9点(2005-05-16 00:01:38)
85.  お早よう 《ネタバレ》 
昔見た時もすごく楽しめた映画だったが、やはり久しぶりに見ても面白かった。小津安二郎監督の映画に登場する子供はどの映画でもみんなイキイキとしているが、子供が主役の喜劇映画である本作はとくにそれが感じられ、子供たちのオナラ遊びや、実と勇の兄弟が母親(三宅邦子)に「アイラブユー」、「オフコースマダム」とませた英語を話すシーンなどほほえましく、とにかく子供たちが本当にイキイキと元気に描かれていて、小津監督の子供の使い方のうまさや、喜劇のセンスの冴えもあり、やっぱり小津監督は喜劇映画の監督だと思わずにはいられない。中でもテレビ欲しさに一言もしゃべらなくなった兄弟が給食費のことを家族に伝えようとするジェスチャーのシーンはとくに笑ってしまったが、ここに小津監督のサイレント時代の経験が活かされているのは明白だろう。(筆談すればいいのにと思うのは野暮というもの。)そんな子供たちだけではない、舞台となる集合住宅の住人たちの噂話も、冒頭の会費の行方についてのシーンからこんな噂話してる人、周りにもいるなあと妙に親近感がわいて、本当に近所の主婦たちの井戸端会議を見ているようで面白い。この部分では会費の問題が解決したあとに実と勇がしゃべらなくなり、杉村春子が挨拶をしても返さないのを会費を横領したのを疑われた親がそれを根に持って子供に相手をしないようにしてるんだと話すシーンがとくに印象に残り、笑える。(三宅邦子、かわいそうに。)この杉村春子も良いのだが、キャラがたっているのが三好栄子演じる彼女の母。会費の行方の真相についてもそうだが、なんといっても押し売り(殿山泰司)とのやりとりが愉快痛快で楽しかった。笠智衆のセリフで大宅壮一の言葉を引用している(前に見た時も印象に残った言葉だった。)が、この当時の映画業界人の中にはこの言葉に共感する人も多かったのではないかとつい思った。なにはともあれ、肩の力を抜いて気軽に楽しめる喜劇映画で、もし、小津監督の映画にまったく触れたことがないような人がいたら、まず最初にすすめてみたい映画だ。(2020年1月13日更新)
[DVD(邦画)] 9点(2005-04-12 21:19:21)(良:1票)
86.  お引越し
相米慎二監督といえば「跳んだカップル」、「セーラー服と機関銃」などのアイドル映画がすぐに思い浮かんでしまい、あまり見て来なかったが、これはそんなイメージを見事に忘れさせてくれた秀作だった。中井貴一と桜田淳子の演技はもちろんうまいが、子役の田畑智子がすごく良かった。子役は大成しないとよく言われるが、今の彼女の活躍ぶりを見るとこの言葉は当てはまらなかったみたいだ。同級生役の茂山逸平もいい味を出していた。エンドロールのバックの映像も印象的だ。見て良かったと久しぶりに思える映画だった。 そして、相米監督にすこし興味を持てた。
[ビデオ(邦画)] 9点(2005-03-27 15:12:34)(良:2票)
87.  ピノキオ(1940)
ものすごく久しぶりに見たのだが、人間がロバになるシーンが怖かった。もちろんこの映画小さい時に何回も見たのだが、自分が当時このシーンを見てどう思ったのかが気になる。でもやっぱり、ディズニーアニメはウォルトがかかわってた頃のほうが成長した今見ても面白い映画が多いような気がする。
[ビデオ(吹替)] 9点(2005-03-14 17:31:13)(良:1票)
88.  マルサの女 《ネタバレ》 
伊丹十三監督と聞いて真っ先に思い浮かぶ本作(ちなみに俳優としてすぐ思い浮かぶのは「家族ゲーム」。)もかなり久しぶりに見たが、やっぱりストーリーテリングがしっかりしていて面白いし、例のテーマ音楽を聴くだけでワクワクできる。一般的にこのあたりから伊丹監督の映画に社会派的要素が加わったと言われているみたいだけど、きちんと社会性と娯楽性を両立させているのが上手いし、権藤(山崎努)をはじめとした脱税者たちと板倉亮子(宮本信子)らマルサとの戦いがスリリングに描かれていて最後まで飽きさせることなく楽しめるのが良い。いかにもバブル真っただ中の映画なのだが、そのことも含めてこの時代ならではのリアリティーというものがよく出てて、まさしく時代に合った映画だったのだろうと感じるし、伊丹監督のその時代を読み解く力のすごさというものを改めて感じることができる。登場する脱税者は曲者揃いだが、やはり伊東四朗演じるパチンコ屋の社長と絵沢萌子演じる特殊関係人のエピソードはそれぞれのキャラクターのインパクトもあって今見ても印象に残る。権藤も完全に悪というふうにはなっていないのも良かった。(この役名の人物を山崎努に演じさせているあたりはおそらく「天国と地獄」のオマージュだろう。)そしてラストの夕焼けを背にした板倉と権藤のやり取りはいつ見ても痺れる。(2022年9月25日更新)
[DVD(邦画)] 9点(2005-03-09 18:09:56)
89.  ひみつの花園 《ネタバレ》 
矢口史靖監督の第2作。お金が好きなヒロインが樹海に消えた5億円を手に入れるために暴走する姿を描いたコメディ。昔見た時もすごく面白かったのだが、やはり今久しぶりに見ても主人公のキャラが突き抜けていて何も考えずに楽しめたし、今まで見た矢口監督の映画ではこれがいちばん好き。とにかくこのヒロイン 咲子(西田尚美)の目的達成のためのハチャメチャな暴走ぶりが痛快で、そこに家族愛など余計なドラマ性を一切絡ませていないというシンプルさもあって、90分ない上映時間をテンポよく進んでいくのも良い。金のために金を使うという咲子のキャラもそうだが、最近の矢口監督の映画では少なくなった癖や毒のある笑いも多く、その意味でも楽しめる映画だと思う。(もちろん、好みは分かれるだろうけど。)しかし、やはり本作の見どころは暴走する主人公である咲子を演じる西田尚美のハマりっぷりにあり、元々少しほわっとした感じのある女優なのだが、それがこの咲子の独特なキャラに見事にマッチしていて、大げさかもしれないが、まるでこの役をやるために女優になったと思うほどだ。それから今回改めて見て気づいたのだが、主題歌である「春先小紅」を歌っているのはチョイ役で出てもいる濱田マリ(正確にはボーカルをやっていたバンド)だったのか。ずっと矢野顕子とばかり思ってた。(2022年12月18日更新)
[DVD(邦画)] 9点(2005-03-09 00:00:01)
90.  男はつらいよ 寅次郎相合い傘 《ネタバレ》 
メロンのことで文句を言う寅さんに啖呵を切るリリーがカッコ良かった。雨の中を相合傘で歩く二人も印象的だった。やっぱり寅さんとリリーはお似合いだと思う。
[地上波(邦画)] 9点(2005-03-08 01:57:06)
91.  のび太の結婚前夜 《ネタバレ》 
感動短編シリーズ第2作。久しぶりに見たが、20年以上前に知り合いの薦めで初めて見た時はあまりピンと来なかったのび太たちの関係が大人になっても何も変わらないという部分に思わずグッときた。やはりこういうのは見る側が大人にならないと分からないのだろうと思う(飲み会から帰るのび太を見送るジャイアンのセリフに思わずジーンとしてしまった。)し、見ていて昔の友人たちはどうしてるだろうということを思わず考えてしまった。もうこれだけで本作は名作だと思うし、やはり学生時代の友人との関係は現実的には理想論になってしまうかもしれないが、こうありたいと願う。そしてやっぱりしずかちゃんのお父さんの娘にかける言葉。小津安二郎監督の「晩春」を見た時、本作のこのシーンを思い出してこれかと思ったのだが、やっぱり娘の幸せを思う父親の気持ちが優しく伝わってきて、ここは本当にいつ見ても感動してしまう。(「STANDBYEME ドラえもん」の田原アルノも悪くなかったが、本作の久米明の演技の味わい深さがやっぱり何とも言えず良い。)それとのび太が土手で出会った先生が彼に「明日は遅刻するんじゃないぞ」と言い、のび太が去った後に「ありがとう」と呟くシーンもやっぱり好きだ。エンドロールのバックで描かれるのび太としずかちゃんの結婚式に出木杉がいるのが嬉しかった。(2023年3月3日更新)
[DVD(邦画)] 9点(2005-03-03 21:06:06)
92.  真田風雲録 《ネタバレ》 
昔にも一度見てそのハチャメチャなぶっ飛び感が強烈に印象に残っていた加藤泰監督の映画なのだが、17年ほど経った今久しぶりに見てもやはりそのハチャメチャぶりというか、隕石落下の影響で赤ん坊の時に超能力を身に着けた猿飛佐助(中村錦之助)や、お霧(渡辺美佐子)という女性の設定の霧隠才蔵、時代劇なのにギターをかき鳴らしているミッキー・カーチスなど登場人物をはじめとした荒唐無稽さ(本間千代子演じる千姫などもコミカルに描かれていて好感が持てる。)が強烈な印象に残り、まさにこれぞカルト映画と呼ぶに相応しいと思える映画でやはり今見ても非常に面白かった。それに以前に見たときは加藤監督の映画をそれほど見ていなかったせいか、そこまで意識しなかったのだが、今見ると加藤監督はこの荒唐無稽で風変わりな異色時代劇の中にあってもあくまで真面目な視点で演出していることが分かり、ぐるぐるさんの書かれている通り、当時の学生運動といった社会への風刺を取り入れていて、終盤では戦に敗れた佐助と半蔵の個人的な一騎打ちが描かれているところなどは加藤監督らしいところか。また、佐助や真田幸村(千秋実)の生きざまがしっかりと描かれていて、ここがしっかりしているからこそ、どんなに荒唐無稽でハチャメチャでも全体を通した統一感があり、それが本作をただのキワモノ映画に終わらない青春ドラマとしての魅力も感じられる映画になっている。「やりてえ事をやりてえな。てんでカッコよく死にてえな。」というテーマ曲の歌詞とそれを歌いながら行進するシーンが実に心地良く、本作でいちばん好きなシーンだ。カッコよく死ぬことを望んでいた真田幸村がカッコ悪い無様な死にざまを遂げるのは今見てもブラックで笑えるのだが、今回改めて見たらそれ以上にどこかやるせなさも感じることができた。癖のある映画なので好き嫌いははっきりと分かれるかもしれないが、見ると元気になれる部分もあると思うし、やっぱり好きな映画の一本だ。(2021年12月12日更新)
[DVD(邦画)] 9点(2005-02-28 22:27:31)
93.  座頭市血煙り街道
サイレント時代からの時代劇スター近衛十四郎との対決が見所のシリーズ第17作。脚本は東宝の「社長シリーズ」で知られる笠原良三。一番の見所はやはり、座頭市と赤塚の対決シーンだろう。まさにすごいとしかいいようの無い迫力である。
[ビデオ(邦画)] 9点(2005-02-28 17:43:53)
94.  江分利満氏の優雅な生活
岡本喜八監督を偲んで借りて来て見た。履物だけが動いている会話のシーンなど、シュールなシーンも多くて笑える。でも一番印象的だったのは主人公が家族の前でお茶漬けを食べながら泣くシーン。ちょっと感情移入してしまった。出演者では主人公を演じた小林桂樹が異様なハマリぶりを見せ、妻役の新珠三千代など脇役も名優ばかり。中でも戦争成金の父親役の東野英治郎が良かった。笑えて泣ける喜劇映画の傑作。2010年9月18日追記:小林桂樹さんの訃報・・・。東宝の俳優陣の中でも地味で控えめな印象のある人なのだが、演技には味があり、この「江分利満氏の優雅な生活」をはじめ、「黒い画集 あるサラリーマンの証言」、「女の中にいる他人」などはこの人でなければというほど小市民のサラリーマン役がピタリとはまる人で、もちろん「社長シリーズ」の秘書役も彼でなければという思いがある。去年森繁久弥さんが亡くなったときにこの人だけはもう少し長く生きていて欲しいと思っていただけに非常に残念に思う。心よりご冥福をお祈りします。
[ビデオ(邦画)] 9点(2005-02-27 13:35:45)(良:2票)
95.  小早川家の秋 《ネタバレ》 
「秋日和」で司葉子を起用したお返しに小津安二郎監督が東宝系の宝塚映画で手掛けた作品。東宝にはプロデューサー陣に小津監督のファンが多かったらしく、その影響かキャスティングが東宝プチオールスター映画のようになっているのがなんだか不思議で、冒頭のバーで森繁久彌と加東大介が一緒にいるシーンなんかどう見ても社長シリーズのような雰囲気で、ここだけ見ると松林宗恵監督の映画なのではと思ってしまいそう。また話の中心が中村鴈治郎演じる小早川家の当主に置かれているため、東宝系映画でありながらどことなく大映っぽさも感じられる。その中にあっても小津監督らしさもちゃんとあり、やはり会話のテンポや様式化された映像はいかにも小津監督といったところで、大映の「浮草」でもそうだったが、その独特の世界観を松竹ではなく東宝の俳優陣が演じているのもなかなか楽しい。(原節子が出演した最後の小津作品でもあるのだが、小津作品への出演が有名な彼女も実は松竹ではなく、東宝所属だったんだなあとあらためて思った。)京都が舞台で主にセリフは関西弁なのだが、中でもやはり「彼岸花」と同じく浪花千栄子の京都弁の美しさは聞いていてやっぱりいいなあと感じることができる。喜劇映画としても面白く、当主がこの浪花千栄子にそそくさと会いに行くシーンは見ていてなにか笑える。中でも孫とのかくれんぼに飽きてしまい、鬼をやっている最中に着替えて脱走し、浪花千栄子のところへ行ってしまうシーンは思わず声をあげて笑ってしまった。でも、そんな当主が亡くなってからは映画の様相が一変するのには驚いた。あまり小津作品に似つかわしくないような黛敏郎(小津作品では「お早よう」でも音楽を担当。)のいかにもこの人らしい不穏で不気味な音楽(小津作品で作曲家の個性がここまで出るのはちょっと珍しい。)が鳴り響くラスト10分の当主の葬儀のシーンが小津作品としては明らかに異様で、小津監督自身がこの2年後に亡くなっていることもあってか、この時既に小津監督は自分の死期を悟っていたのではと思えるほど重々しさを感じた。火葬場の煙を見ている農作業中の夫婦(笠智衆、望月優子)の会話からも小津監督の死に対する考え方が見える気がする。個人的なことになるが、今年になって友人二人の訃報を耳にした。そういうこともあってか、最近、死について時々考えることもあったのでこのラストシーンはなおさら強烈に心に残る。最後のカラスがヒッチコックの「鳥」を彷彿させているのだが、あの映画は本作よりも後なんだよなあ。
[DVD(邦画)] 8点(2024-03-03 00:55:46)
96.  秋日和 《ネタバレ》 
小津安二郎監督が「晩春」で描いた父と娘の関係を母と娘に置き換え、改めて描いた作品で、母親役を原節子が演じているのもあって「晩春」の続編とも感じられるものになっていて、実際、司葉子演じる娘・アヤ子の態度や、ラスト付近の母子の宿屋でのふとんの上でのやりとり、いちばん最後のシーンのアパートの部屋に一人残された原節子演じる母・秋子の悲しげな表情などは「晩春」をそのままなぞっている感じで、小津監督も意識しているのが分かるのだが、「晩春」ほどの深みは感じられないのが少々残念ではある。でもその分、コメディー要素が強く、主人公である二人に要らぬお節介を焼く三人のおやじ(「彼岸花」と同じく佐分利信、中村伸郎、北竜二)の会話や調子よさが見ていて楽しく、(それにしても途中この三人の出番が多く、この三人が主人公でも違和感がないのでは思ってしまった。)映画全体もユーモラスな雰囲気がずっとあって安心して見ていられた。序盤から登場していたアヤ子の友人である百合子(岡田茉莉子)の存在が後半になって大きくなり、友人のためにひと肌脱いで三人と渡り合う展開が実に気持ちよく、かっこいいし、演じる岡田茉莉子もすごく魅力的。この百合子が寿司屋で北竜二演じる平山に言うセリフがとても好きだ。屋上でアヤ子が百合子に言う「みんなだんだん離れていっちゃうのよ。」というセリフも考えさせられるものがあり、とても良かった。小津監督独特の会話のテンポも見ていて楽しく、心地いい。それから小津監督と言えば笠智衆だが、「晩春」では父親役だった彼を今回は秋子の亡くなった夫の兄役に起用しているところにもなにか遊び心が感じられる。
[DVD(邦画)] 8点(2024-02-18 17:56:33)
97.  五瓣の椿 《ネタバレ》 
自分の出生の秘密を知った女が母と関係のあった男たちを次々と殺していく復讐劇を描いた野村芳太郎監督による時代劇。こう書くと松本清張原作かと思ってしまうが、山本周五郎原作というのにまず驚かされる。とにかく女の怖さや執念がよく描かれた映画で、主演の岩下志麻はこの頃はまだ清純派女優だったはずだが、本作ではその美しさの中に父(加藤嘉)を弄んだ者たちへの恨みや情念を秘めた主人公にうまくハマっていて、これがのちの極妻などの後年の岩下志麻のイメージにつながって行くと思わずにはいられないし、また映画自体も見ごたえじゅうぶんな傑作になっているが、それもこの主人公おしのを演じる岩下志麻のキャスティングによるところも大きかったように思う。しかし、本作はただの復讐劇に終わらず、おしのの悲しみやつらさといったものもしっかりと描いており、それが映画にドラマとしての深みを与えている。おしのの母であるおその(左幸子)はまるで自分のことしか頭にないようなとんでもない女で見ていてとても憎たらしく思えてくるが、父の遺体のそばでおしのに真実をあっけらかんと打ち明け、平然と男と情事をしている姿にはさすがに唖然とさせられる、演じている左幸子の演技ももちろんすごいのだが、おしのによって放火されたあとの断末魔の絶叫とそれを無言で見つめるおしのが忘れられない。後半になって本格的に登場する加藤剛演じる同心(ちょっと「大岡越前」を思い出すが。)の人物像には好感が持て、この映画においてはまさに清涼剤のよう。野村監督とは名コンビの川又昂による映像も美しく、とくにおしのが犯行現場に残していく椿の花の美しさがよく出ていた。しかし、やっぱり本作は岩下志麻につきる映画で、「岩下志麻=怖い」というイメージになるきっかけになった映画(「鬼畜」を見た時からこのイメージは野村監督の映画でついたんじゃないかと思っていたがやはりそうだったかと本作を見て感じる部分もあるのだが。)かもしれないが、決してそれだけではない深さがこの映画にはあると思うし、そういうものを演技を通して感じさせてくれる岩下志麻はやはり名優なのだ。2時間40分少々の長い映画だが、その長さを感じることなく見れたのも良かった。
[DVD(邦画)] 8点(2023-05-05 02:30:26)(良:1票)
98.  日本侠客伝 斬り込み 《ネタバレ》 
このシリーズを見るのもかなり久しぶりなのだが、やはり面白い。今回はラストに殴り込みがあるのはもちろんだが、冒頭にも殴り込みがあり、マキノ雅弘監督の観客に対するサービス精神というものを感じるし、高倉健演じる主人公に幼い息子がいるという設定も新鮮で、何か今までと違うことをしようという意気込みが伝わってくるし、その意味で言ったら金子信雄が最後まで善人というのも東映の任侠映画ではなかなかに珍しい。(どうせいつか裏切るだろうと思って見ていたのでかなり意外に感じた。)脇役陣もマキノ監督らしく賑やかで楽しく見ていて気持ちがいいし、やはりマキノ監督は脇役ひとりひとりの個性を引き出す演出のうまさは群を抜いていて、だからこそ主役の高倉健だけでなく、主人公の周りにいる仲間たちがみんな魅力的に描かれているのが良い。それに任侠映画のラストというのは主人公が捕まって終わりというパターンが多い中、今回はそう思わせておいて捕まらない終わり方になっていて、それが清々しく、なんとも後味の良い終わり方で、任侠映画としてはちょっと異色かもしれないが、こういう終わり方は好きだな。この最後のシーンで子供を連れて歩く高倉健と藤純子の笑顔がなんとも素敵。
[DVD(邦画)] 8点(2022-11-13 17:34:34)
99.  天国に行けないパパ 《ネタバレ》 
血液検査で血をすり替えられ、余命二週間と診断されてしまった定年を間近に控えた刑事バートが家族に対し金を残すために自ら殉職を試みるコメディ。だからと言っておちゃらけた雰囲気ではなく、ドラマとしてしっかり真面目に作られている感じで、余命を宣告された主人公が自らの人生を見つめなおす物語として普通に見ごたえのある映画になっていて、ほろっとくるシーンも多く、とても面白い映画だった。時限爆弾を手に立てこもった男を説得するシーンでの「子供の成長した姿を見たいだろう」というバートの言葉が思わず胸に沁みるし、相棒・アーニーに食事を奢るシーンでのバートのセリフも人生を見つめなおしたからこそ説得力のある言葉になっていて味わい深く、見ていてなにか勇気をもらえたような気がした。アクション映画としての面白さももちろんあり、既にみなさん書かれているが、殉職を試みるバートがそのあまり管轄外の区域にまで手を広げ、逃走する犯人の車とカーチェイスを繰り広げるシーンはその味付け程度とは到底言えない本格的で壮絶なカーアクションが凄すぎて、思わず目を見張るほどの迫力で手に汗握る。アクション映画の主人公というのはどんな危険な目にあっても死なないのがお約束のようになっているが、このシーンのバートもそういうふうに描かれているのが見ていてつい笑ってしまう。でも、やっぱり本作の本質は最初にも書いたようなバートが自分自身を見つめなおしていくドラマ部分にあり、今回初めて見た映画だったが、今見るからこそバートに感情移入できる部分もあり、それはたぶん中年になった今だからこそ分かることだと思うし、紛れもない名作だと感じることができるのだろう。もし、10代くらいの頃に見ていたらコメディとしては単純に楽しめてもそこまでよく理解できなかったかもしれないし、気づかなかったかもしれない。やはり映画とは見た年齢やタイミングも重要なのだということをあらためて感じられた。
[DVD(字幕)] 8点(2022-09-04 00:53:33)(良:1票)
100.  エイリアン2/完全版 《ネタバレ》 
1作目に続いて数十年ぶりに見たのだが、1作目と続けて見るとホラー映画の要素はやはりかなり薄まっていると感じるものの、そのかわり、SFアクション映画という別ジャンルの映画に仕立てていて全く違うアプローチで描いてるのが続編映画としてはかなり思い切った印象で、それもしっかり傑作に仕上げているキャメロンの才能はやはり特筆ものだし、やはり今見ても面白く、1作目も好きなのだが、やはりこの2作目も好きだ。ドラマとしてもぬかりなく、リプリーが宇宙を漂っている57年の間に娘に先立たれていたエピソードはこの完全版にしかないそうだが、(中学生の時、初めてテレビで見た時にこのシーンあったような記憶があるけど、ちょっとうる覚え。)これを入れることで、リプリーのニュートへの思いが深みを増しているし、だからこそクライマックスのニュートを何としても助けようとするリプリーの姿にも説得力を感じるし、ちょっと心打たれるものもあった。それに改めて見ると今回のリプリーは1作目と比べると戦士然としていて、「ターミネーター」1と2のサラの違いほどではないにしろ、それに近いものを感じ、やっぱキャメロン映画のヒロインはこうだよなとつい思った。ラストのローダーに乗ったリプリーとクイーンの対決は今見ても迫力と見ごたえがじゅうぶんだった。海兵隊のメンバーも個性的でキャラが立っていて良い。今回はリプリーが1作目で経験したトラウマや悪夢と対峙する物語でもあるのだが、よく考えると冒頭にリプリーが見る夢などが次回作である3作目への伏線になっているような気がする。
[DVD(吹替)] 8点(2022-05-08 00:20:34)(良:1票)
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