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ザ・チャンバラさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 1274
性別 男性
年齢 43歳
自己紹介 嫁・子供・犬と都内に住んでいます。職業は公認会計士です。
ちょっと前までは仕事がヒマで、趣味に多くの時間を使えていたのですが、最近は景気が回復しているのか驚くほど仕事が増えており、映画を見られなくなってきています。
程々に稼いで程々に遊べる生活を愛する私にとっては過酷な日々となっていますが、そんな中でも細々とレビューを続けていきたいと思います。

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1041.  進撃の巨人 ATTACK ON TITAN 《ネタバレ》 
言わずもがなの原作に加え、傑作の誉れ高いアニメまでを背景に抱え、この実写版はいかにして負け戦を戦い抜くのかという点に感心があったのですが、監督はかなり良い仕事をしています。エッジの立った世界観の醸成には成功しているし、残酷描写からも逃げていません。どうやって実写で表現するのか見当もつかなかった立体機動装置での戦闘シーンは期待以上によくできており、ビジュアル面では問題を感じませんでした。邦画の厳しい制約条件下でこれだけのものを作れたのであれば、成功と言えるでしょう。ビジュアル面ではの話ですが。 問題は、ドラマパートの出来が致命的に悪いこと。今どき青春ドラマでもやらないような臭いセリフの応酬戦には失笑の連続でした。これは役者や監督のせいではなく、マンガやアニメでは成立しても、実写でこれをやらせるとおかしいという判断ができなかった脚本家の手落ちです。脚本を務めたのは渡辺雄介氏と町山智浩氏。渡辺氏は『20世紀少年』『GANTZ』『ガッチャマン』といった粗悪品を連打している邦画界の要注意人物。一方の町山氏は映画秘宝のゴッドファーザーであり、彼の起用により、批判の急先鋒となるであろう映画秘宝を取り込み、渡辺氏に対して映画ファンが抱く懸念を中和しようとした製作陣の奇策は面白いと感じましたが、当の町山氏は映画評論家としては高名であっても脚本家としては素人同然であるため、作品のクォリティには貢献できていません。 作戦中にフラフラと個人行動をとったり、大声を出してはいけない場所で叫んだりして危険を呼び込むという、この手のパニック映画でやって欲しくない行動が多くてイライラさせられます。一応は自らの意思で志願して訓練まで受けた職業軍人でありながら、登場人物達には恐ろしく規律がなく、巨人が支配する危険地帯に足を踏み入れているという緊張感もありません。挙げ句の果てには、どうでもいい痴話喧嘩まで始める始末。エレンがミカサに惚れているのを知って「ミカサとヤってんだぜ」自慢するシキシマ、そんな二人の関係を知って落ち込むエレンに擦り寄り、「子持ちの女はお嫌い?」と言って胸を揉ませるヒアナと、もうメチャクチャなのです。安全の確保された基地でならともかく、最前線でいつ巨人から襲われてもおかしくないシチュエーションでこれをやってるのだから呆れます。 一応、完結編も見ますが、相当頑張らないと挽回は厳しいと思います。
[映画館(邦画)] 4点(2015-08-02 00:48:28)
1042.  アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン 《ネタバレ》 
ヒドラの秘密基地を襲撃する冒頭から、映画のテンションはフルスロットル。6人の主人公の能力をバランスよく見せる演出の素晴らしさには、つくづく感動させられました。ただし、それと同時に違和感も残りました。序盤から楽勝ムードが全体を覆っており、緊張感が皆無なのです。特に冒頭は、軽口を叩きながら圧倒的なパワーで迫っていくアベンジャーズがとても感じの悪い集団に見えてしまい、一方で生身の人間でありながら神やモンスターを相手に防戦せねばならないヒドラの兵士達が気の毒になったほどです。 タイトルロールであるウルトロン登場以降も、その傾向は変わりません。「最大の敵現る!」という予告編での煽りとは対照的に、こいつがとにかく弱いのです。ボディはアイアンマンの改造版に過ぎないし、人工知能ならではの緻密な戦略があるわけでもない。また、これは前作からの問題点でもあるのですが、大ボスとその他大勢の雑魚から成り立っているというシンプルにも程がある敵の組織構造はいかがなものかと思います。雑魚をちぎっては投げ、最後に大ボスを始末するといういつもの流れで、クライマックスの見せ場が恐ろしく単調なものとなっているのです。個性的な能力を持った中ボスを置き、戦いにバリエーションを作るべきだと思います。 見せ場の合間に挿入されるドラマも、実にどうでもいいものでした。単独主演作を持たないキャラクターのドラマが中心となるのですが、ハルクとブラックウィドウがなぜか良い仲になっていたり、ホークアイの家族が唐突に登場したりと、激しくどうでもいいものばかりで眠たくなりました。また、平和の護り方を巡って多少の内輪揉めが起こるのですが、「人工知能を使い、システマチックな監視体制を作るべきだ」と主張するアイアンマンに対して、「あんな信用ならんものに頼れるか」と年寄り臭い主張をするキャップ(実際に年寄りなのですが)。お話は、アイアンマンの主張が間違ってるっぽい感じで進んでいくものの、途中から登場するヴィジョンが底抜けの正義漢ぶりを発揮し、結局あの議論には何の意味があったんだと、観客を大いに混乱させます。 最後に、日本のみ世界最遅上映という扱いはどうにかならんものでしょうか。この手のイベント映画は鮮度が大事。長々と悪口を書いてしまったのも、世界同時上映から2ヶ月も待たされ、私のテンションが完全に下がってしまっていたためでもあります。
[映画館(字幕)] 4点(2015-07-06 06:34:24)(良:1票)
1043.  サボタージュ(2014)
意外性ある展開を狙ってはいるものの、サスペンス映画にはよくある流れなので、最後まで見たところで観客にとっては大したサプライズがないという点が苦しかったです。デビッド・エアーは才能ある脚本家兼監督だとは思うのですが、この人は態度の悪い公務員が悪態つきながら暴れ回る映画を撮っていればいいのであって、騙し騙されの駆け引きを描かせると、途端に手際の悪さが露呈します。ヤクザよりもタチの悪そうな麻薬特捜班の登場場面や、ホラー映画顔負けの残酷描写にはこの監督ならではの個性を感じられたものの、全体としては不手際の方が目立っていました。 また、監督の引き出しのなさと同様に、シュワの演技の幅の狭さも、作品に大きな支障をもたらしています。この人の俳優としてのキャリアは1985年の『コマンドー』で確立されており、基本的に同作のジョン・マトリックス大佐以外の役柄を演じることはできません。にも関わらず、シュワ氏は無謀にも本作で新境地開拓に挑んでおり、そして見事に失敗しています。同業者であるスタローンが、90年代の多くの失敗作から自己の演技の幅を認識し、近年ではセルフパロディに徹することでファンを喜ばせているのとは対照的に、シュワ氏は自己の限界をいまだに認識できていないようです。物語の進行とともに主人公の本性が暴かれていくということが作品の要だったにも関わらず、その主人公を演じるのが一種類の演技しかできないシュワ氏だったということは、観客にとっては悪夢としか言いようがありませんでした。
[ブルーレイ(吹替)] 4点(2015-05-05 01:26:17)(笑:1票)
1044.  追撃者(2000)
全盛期における態度の悪さが祟り、14年間もハリウッドを干されていたミッキー・ローク。あれだけ大勢いた取り巻き達はいつの間にか姿を消し、いつも入り浸っているレストランで一人過ごしていると、たまたま居合わせたスタローンから声をかけられて仕事をもらった上に、その日の飯代まで出してもらいました。これを恩義と感じていたロークは、後にスタローンから『エクスペンダブルズ』の出演オファーを受けた際、すでにスターに返り咲き多忙の中にあったにも関わらず、これを快諾したのでした。。。 以上はアクションファンなら誰もが知る有名な逸話ですが、その舞台となった作品こそ、この『追撃者』なのです。本作が製作された当時は、ロークだけでなくスタローンも背中に火がついた状態にありました。90年代後半にニコラス・ケイジがアクション大作の主演を務めるようになって以降、筋肉を売りにしたアクションスター達は急速にその地位を失いつつありました。スタローンですら、このまま大作路線を続けていれば後がないことはほぼ確実という状況にあったのです。そんな中で、渋いハードボイルドに挑戦したのが本作でした。スタローンにとってチャレンジングな企画だったためか、その布陣はあまりに異様。アメリカの元優男・ロークに、イギリスの元優男・ケイン、アイドル女優として高い人気を誇っていたレイチェル・リー・クックに、当時美人女優として注目されていたグレッチェン・モルと、キャストだけ見ると何の映画だかサッパリわからないほどの闇鍋状態。これを新人監督に任せた結果、物凄く中途半端な仕上がりとなっています。。。 内容は極めて単純。ラスベガスで武闘派ヤクザとして鳴らしていた男が、弟の復讐のため地元に帰って大暴れするというだけのもの。ヒゲ面で高級スーツを着込んだスタローンは役柄によくハマっており、シンプルに描けば相当面白いハードボイルドになったと思うのですが、スタローン自身が掲げていた「脱・アクション俳優」という目標に走りすぎた結果、どうにも不抜けた内容となっています。肝心のアクションを極力見せないという作りとなっているため、見るべきものが何もないのです。チャカチャカした音楽とチカチカした編集はウザいだけだし、回りくどい謎解きにはイライラさせられるし、「そこは頑張らなくていいから!」と、鑑賞中何度もツッコミを入れてしまいました。
[DVD(字幕)] 4点(2014-09-26 01:44:28)
1045.  21グラム 《ネタバレ》 
原因と結論がバラバラに切り離され、何が起こっているのか分からない前半部分の引きの強さは素晴らしいと感じました。特に私は一切の予備知識なしで鑑賞したため(心臓移植の話だということすら知らずに見ました)、一見すると無関係な登場人物達のドラマがどうやって収斂していくのかも分からず、このパートは食い入るように見ていられるほどの面白さがありました。観客の興味を引くように、かつ、その理解力と記憶力をギリギリ超えないように調整された情報量、このサジ加減が本当に絶妙であり、この監督はタダモノではないということがよくわかりました。。。 しかし問題は、ドラマの全体像が掴めた途端に映画がつまらなくなってしまうということ。ドラマの核心部分は意外と雑で、各登場人物の行動原理がよく分からないのです。心臓移植により生きる道を得たポールが、なぜジャックへの制裁に固執したのか?他人の不幸を糧にして自分が生きながらえたということへの後ろめたさ故なのか、それともクリスティーナへの愛が高じたものなのか。いずれにしても、一度は命を失いかけて生の有り難みを実感した者とは思えないほどの軽率さで、感情移入のしようがありませんでした。ジャックはジャックで、信仰の力によって犯罪者から家庭人へと生まれ変わった彼が、不幸な事故によって信仰への疑念を抱くようになる。この構図自体は興味深いのですが、彼が信仰というものに対して下した結論部分はすっ飛ばされてしまうため、結局のところ、彼が何を考えているのかがよくわかりません。さらには、クリスティーナがポールに対して抱く複雑な感情もうまく表現されていないため、二人が深い関係になるという点にも少なからず違和感を覚えました。。。 映画全体を振り替えると、この主題にこれだけ複雑な構成を加えること自体に意味があったのかが疑問です。監督の次回作『バベル』にも言えることなのですが、本来は大したことのない話を、抜群の構成力で誤魔化しているだけのような気がします。なまじ見てくれが良くて期待を煽るだけに、見終わった後の脱力感も大きく感じられます。
[DVD(吹替)] 4点(2014-09-17 00:33:51)
1046.  ザ・パッケージ / 暴かれた陰謀 《ネタバレ》 
『野獣捜査線』『刑事ニコ/法の死角』等アクション俳優との仕事が多かったアンドリュー・デイビスが、渋い大人のキャストを得て作り上げたサスペンスアクション。後の傑作『逃亡者』へと繋がる要素が多く、彼の演出スタイルを確立する上での重要作であったことは伺えるのですが、映画の出来自体は大したものではありません。。。 米ソの歴史的和解を拒む軍産複合体による大規模テロを背景とし、殺人の濡れ衣を着せられた主人公の逃走劇と謎解きという、たいそう面白そうなお話であるにも関わらず、これがイマイチ盛り上がりに欠けます。主人公の行動は自分の身を守るためなのか、それとも軍人としての大義のためなのかが明確に描写されないため、感情移入が難しいのです。主人公を演じるのはジーン・ハックマンですが、オスカー受賞で名優と持て囃されたのも今は昔、本作製作時は低迷期にあり、『追いつめられて』や『カナディアン・エクスプレス』等、同傾向の映画に出演しまくっていました。本作もそんな雇われ仕事のひとつに過ぎず、肩に力の入らない演技で映画のテンションを下げまくっています。軍縮会議場警備に失敗しても、護送中の囚人に逃げられても、自身に殺人容疑がかけられても顔色ひとつ変えず、常に余裕の表情。その貫禄には素晴らしいものがありますが、巻き込まれ型サスペンスでこの安定感は不要でしょ。他方、当時無名に近かったトミー・リーは、少ない出演時間ながらなかなかの存在感を披露しています。おしゃべりで気の良さそうな男から一転して、口数の少ない殺し屋の本性を現すという演技の振れ幅も素晴らしく、後の大スターの片鱗を見せつけています。
[DVD(字幕)] 4点(2014-08-27 00:26:47)
1047.  ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ 《ネタバレ》 
学生時代にDVDを購入したものの、あまりにチンタラした展開についていけずに1時間で鑑賞を断念(ファンの方、ごめんなさい)。その後、10年以上ほったらかしになっていたのですが、今回、腹を決めて4時間の長尺に挑み、無事、完走いたしました。。。 で、感想ですが、やっぱり長いです。長すぎです。勝手に短縮版を作成し、これを全米公開版としたアーノン・ミルチャンの気持ちがよくわかります。長尺が悪いと言っているわけではないのですが、本作については、内容に見合った尺ではなかったと思います。叙情的と言えば聞こえはいいものの、ひとつひとつの場面に妙な間があり、そうした動いていない時間が積み重なって長尺となっているのです。相当体調の良い時に見なければ、確実に寝落ちします。。。 また、全体のレイアウトもおかしいと感じました。映画は突然はじまり、冒頭30分は何が起こっているのかわかりません。よくわからないが、どうやら主人公・ヌードルスが大変な事態に陥っているらしい。この冒頭の引きの強さは素晴らしく、残りの3時間近くをかけて、ここに至る物語が描かれるのだろうと思っていたですが、肝心の本編は、このネタふりとうまく整合していません。ヌードルスがヤクザから命を狙われるに至った経緯はアッサリとスルーされてしまうのです。どうやら、ヌードルスがヤクザの逆鱗に触れてしまったことは映画における重要な要素ではないようなのですが、ならばなぜ、冒頭にあのシーンを持ってきたのかの理解に苦しみます。冒頭のネタふりは、主題と直結したものであるべきです。。。 論争の的となっているオチについても同様。ヌードルスの初登場シーンは阿片窟であり、本編の終わりには再び阿片窟に戻る。つまり、結末と冒頭はループしており、通常の映画文法であれば、これは主人公の妄想でしたというオチと解釈できます。しかし、本編には若き日のヌードルスが知らないはずのカラーテレビや60年代仕様の自動車が登場しており、こうしたテクノロジーの齟齬に着目すれば、本編を夢オチと捉えることはできなくなります。この辺りの処理のマズさは気になりました。
[DVD(吹替)] 4点(2014-08-15 01:06:14)(良:1票)
1048.  エージェント:ライアン 《ネタバレ》 
パラマウントはジャック・ライアンシリーズを最重要コンテンツのひとつとして位置づけているようですが、その映画化にはこの20年間、苦戦し続けています。面白かったのは『レッドオクトーバーを追え!』のみであり、その他はすべて駄作。複雑な諜報戦をアクション映画として撮ることは非常に困難なようで、ジョン・ミリアスやスティーブン・ザイリアンといったハリウッドトップの脚本家を雇ってきても、思うような結果を残せていません。。。 そんな中、二度目のリブートである本作でパラマウントがとった作戦は、原作に頼らず完全オリジナルの物語で勝負するというもの。これなら、長大な原作を圧縮するという作業をせず、最初から2時間の映画サイズで話を作ることができるというわけです。新人脚本家によるシナリオを『ミッション:インポッシブル』のデビッド・コープに手直しさせ、それを文芸作品も娯楽作も撮れるケネス・ブラナーに監督させるという鉄壁の布陣で挑んでいます。果たしてその結果はというと、これが見事な失敗でした。トム・クランシーによる原作を採用しなかったために、肝心の諜報戦にまったく面白みがありません。ジャック・ライアンシリーズの醍醐味は最新テクノロジーを駆使した遠隔操作の諜報戦だったわけですが、本作では顔を突き合わせての騙し騙されが中心となっているので、主人公がジャック・ライアンである必然性が極めて薄くなっています。こんな仕事はイーサン・ハントにでもやらせとけばいいのです。後半部分は諜報戦ですらなく、新人であるジャックの勘を頼りにして事態を収集していくという、何ともつまらない話になってしまいます。ジャックの勘に頼りっきりのケビン・コスナーが間抜けに、ジャックにしてやられるケネス・ブラナーがバカにしか見えなくなる始末で、この方向性は完全に失敗でした。。。 また、キーラ・ナイトレイをウザいだけの女にしてしまった罪も重いです。諜報員とテロリストが多くを占める中で、唯一とも言える民間人キャラが彼女であり、彼女こそが物語と観客とをつなぐ架橋となるはずだったのですが、そんな彼女にまったく感情移入できないのでは問題外です。ジャックがCIAであると聞かされた時に驚きもしないなど、そのリアクションにリアリティがないために観客の視点の役割を果たせていません。
[ブルーレイ(字幕)] 4点(2014-08-11 00:52:43)
1049.  クイック&デッド
本作の製作当時、シャロン・ストーンはキャリアの絶頂期にあったし、ジーン・ハックマンは言わずもがなの名優だし、ディカプリオはネクストブレイク俳優の筆頭だった。そんな中にオーストラリア出身のよく分からん俳優がいることには当時大変な違和感を覚えたのですが、これが後のグラディエーターなのですから、本作のキャスティングセンスには恐れ入ります。また、初のハリウッド大作というアウェイな環境下、高い知名度を誇る共演者に囲まれての仕事でありながら、きちんと存在感を発揮してみせたクロウの心臓の強さにも感銘を受けました。。。 本作ではラッセル・クロウのかっこよさが光りまくっているのですが、その他の要素は見事にグダグダ。ハックマンは3年前の『許されざる者』とまったく同じ演技をしているし、ディカプリオもやる気なし。一方でプロデューサーも兼ねたシャロン・ストーンのみ演技に力が入りまくりで、これはこれで変な感じになっています。同年公開の『カジノ』で得た高評価をこれ一本で帳消しにした破壊力ある演技ですから、ある意味見ものではありますが。。。 監督を担当したサム・ライミも、本作では持ち味を発揮できていません。この題材であれば、遊び心溢れる見せ場と独特のユーモアで自分のフィールドに持ってくることも可能だったと思うのですが、キャリア初の大作、おまけに名優に囲まれているという重圧や、空回り気味のストーンからの指示に右往左往してなかなかペースを掴めなかったのか、ただ撮ってるだけという状況になっています。早撃ち前のキリキリとした緊張感などはホラー監督であればうまく演出できるような気がするのですが、そういった要となる演出も落としているので、これでは評価できません。おまけに、脚本も変です。この題材であれば、女だからと舐められていた主人公が、物凄い腕前を見せて男たちに目に物見せるという点に最大のカタルシスがあったと思うのですが、主人公は技術的にも精神的にもかなり脆いのです。すぐに動揺するし、すぐに泣く。最初の決闘で雑魚相手に緊張しまくっている描写なんて、必要なかったでしょ。。。 さらに、今回見たDVD版には、昔見た時には確かにあった、ストーンとクロウによる濡れ場が入っていませんでした。ストーンの意向によりカットされたようなのですが、見るべきものの少ない本作において、あの濡れ場こそが最大の見せ場だったんですけどね。
[DVD(字幕)] 4点(2014-07-22 22:28:45)
1050.  グランド・イリュージョン
ルイ・レテリエの流れるような演出は相変わらず素晴らしく、勢いのある作品には仕上がっているのですが、お話の方はイマイチでした。ある事象が起こる→「実は○○は××でした」という種明かしをする、これを3度も繰り返すので、正直飽きてきます。主人公達がマジシャンであるのを口実に何でもありが許された見せ場にはまるで緊張感が宿っていないし、各自の特技を活かした見せ場が作られていないために、集団アクションとしての面白さも生み出せていません。さらには、大オチは意外性を狙いすぎて、かえって月並みなものになってしまっています。黒幕の目的は逆恨みにも程があって、かえって小粒感が漂ってるし。そんなことに高い能力と何十年もの歳月を費やすくらいなら、もっと前向きに生きればよかったのにと呆れてしまいました。。。 そもそもの問題として、映画においてマジックを見せるという基本コンセプト自体に問題があったと思います。マジックとは、マジシャンと観客とのガチンコ勝負の娯楽。あらゆるものを見逃さんとする観客の目をいかに掻い潜るかという点に最大の面白さがあるのです。他方、いくらでもカットを割れるし、必要ならばVFXも使える映画という媒体でマジックを見せられて、我々は何に驚けばいいのでしょうか。冒頭の脱出マジックで登場したピラニアが、明らかにCGだった時点で脱力してしまいました。 
[ブルーレイ(吹替)] 4点(2014-05-18 10:20:23)
1051.  バッド・ティーチャー
90年代にはロマコメの女王と呼ばれていたキャメロン・ディアスが、本作のような負け犬の毒女を演じるようになったということには感慨深いものを感じました。途中で反省したり人間性に目覚めたりせず、最初から最後まで一貫して腐った人間であり続けたという展開には賛同できるのですが、コメディ映画であるにも関わらず笑いどころがほとんどなかったという点は厳しかったです。
[地上波(吹替)] 4点(2014-05-18 10:18:22)
1052.  レッド・ドーン
駄作でしかなかった『若き勇者たち』をなぜリメイクしようと考えたのか、製作開始のアナウンス時点でMGM幹部の判断には理解し難いものがありましたが、出来上がった作品は、案の定の仕上がりでした。。。 笑ってしまうほど露骨な国威発揚演説に、高校生がプロの軍人を倒してしまうというありえない展開。オリジナルの悪いところがロクに修正もされず残されている点には呆れました。また、登場人物に驚くほど魅力がなく、特に主人公・マットの自己中ぶりには怒りすら感じました。他の仲間は、自分の家族を巻き添えにしてしまうかもしれないミッションを、私情を抑えて淡々とこなしている中で、マットだけは自分の彼女を助けるためにフラフラと個人行動に走るというクズっぷり披露。「こんなクソ野郎、早く死んでくれないかな」と思いながら主人公を眺めるのでした。。。 また、本作にはシミュレーション映画としての側面もあると思うのですが、いかにしてアメリカが他国に蹂躙されるのかという点があまり深く考えられていないことにもガッカリさせられました。そもそも、人数の点で圧倒的に不利な北朝鮮軍が、人口20万人程度の地方都市を全力で制圧しにくるとかありえないでしょ。もうちょっと納得できるシチュエーションを捻り出して欲しいところでした。
[ブルーレイ(吹替)] 4点(2014-04-08 00:10:23)
1053.  ウルヴァリン:SAMURAI
現在まで6本制作されている『X-MEN』関連作品の中では、間違いなく一番の駄作。おかしな日本描写にはこの際目をつむることにして、それでもまったく面白くありません。と言うか、おかしな日本描写を笑うことくらいにしか楽しみを見出せないという状況となっています。。。 そもそもX-MENからウルヴァリンを独立させたことの趣旨は、観客にウルヴァリンの大暴れをタップリと見せるためだったはず。それなのに、本作では「ウルヴァリンが強すぎると映画が成立しないから、彼から力を奪ってしまおう」という、完全におかしな方向性で話が作られているのです。生身の人間になってしまったウルヴァリンことローガンが、異国の地で逃避行を続けているうちに現地の美女と恋に落ちる。ウルヴァリンは弱くなっているから、アクションは控えめ。アメコミ映画でこんなものを見せられてもなぁという感じです。
[ブルーレイ(字幕)] 4点(2014-04-03 01:08:19)(良:1票)
1054.  エミリー・ローズ
難病の治療を医学ではなく宗教に頼ろうとし、結果として人を殺してしまった事件として、我が国においては1999年のライフスペース事件が思い出されますが、教祖の異様なキャラクターとオリジナルすぎる主張から当然の如く有罪判決が下された当該事件と比較すると、本作品の元となったアンネリーゼ・ミシェル事件には、当時の社会を揺るがすほどのインパクトがあったようです。その悪魔祓いは現地の司教からの承認を受け、形式的にもパウル5世の儀礼書に則った正式なものであり、それは伝統的な信仰と近代法制度が真正面からぶつかり合うという、いつかは起こるだろうと危惧されていた事件だったからです。さらには、信仰や宗教とは主観の世界ですが、その過失を裁判という合理性・客観性の場でどうやって証明するのかという命題をも孕んでいました。これは信仰の問題であると同時に、法の限界までが試される事件だったのです。。。 そんな美味しすぎる題材を扱いながら、本作は観客の知的好奇心に訴えるべき部分をまったく描こうとしません。監督・脚本を務めたのは『ヘルレイザー/ゲート・オブ・インフェルノ』のスコット・デリクソンですが、この監督の関心は専ら悪魔憑きを克明に描写するという点にあり、社会問題を扱おうという意図は薄かったようです。ホラー監督としての性か、悪魔憑きの場面では『エクソシスト』のようなショック場面が連続するのですが、その演出は本作の趣旨からは完全に逸脱しています。また、唯物論者の弁護士が超常現象を体験したり、彼女の目の前で証言者が不可解な死に方をするといった脚色部分も余計でした。本作は、「あなたならどう考えますか?」と観客に対して問いを投げかけるべき作品だったにも関わらず、これら一連の演出において、監督自身が主題に答えを出してしまっているのですから。。。 また、法廷パートの演出もいただけませんでした。描かれるのは検察官と弁護士の舌戦のみであり、彼らを取り巻くオーディエンスが空気同然の存在感となっています。しかし、本作で重要なのは、社会がこの事件をどう受け止めたのか、そして弁護士と神父が世論をどう変えていったのかという点であり、オーディエンスの存在こそが重要だったはず。さらには、オーディエンス不在のために弁護士と検察のどちらが優勢に立っているのかすらよく分からず、法定ものに必要な緊張感すら生まれていません。
[DVD(吹替)] 4点(2014-03-27 01:13:49)(良:1票)
1055.  ロボコップ2
続編の製作を急ぐスタジオに対して、良いアイデアが出るまで続編は作りたくないと主張した前作の監督・脚本家達は全員切られ、代わって脚本家として雇われたのが、なんと『300 』や『シン・シティ』のフランク・ミラーでした。漫画家に映画の脚本を任せるとは凄い人選ですが、実際にミラーが書いてきた脚本は相当に素晴らしかったようで、前作の脚本家なしでも企画にはすぐにゴーサインが出ました。しかしいざ企画を進めてみると、ミラーの脚本はまったく映画向きではなかったようで、急遽、『ワイルド・バンチ』のウェイロン・グリーンが雇われて脚本の書き直しが行われました。ここで、本企画に致命的な問題が発生したように思います。前作は奇跡的に良く出来た脚本を、その意図を完全に理解できる監督が映像化したという見事な連携によって、歴史的な傑作となりました。一方本作では、前作の独特な作風を引き継ぎつつも、フランク・ミラーによって内容はさらに複雑化し、そしてそれを別の脚本家によって再び簡素化するという作業が行われたために、作品に「精神」なるものが宿らなかったのです。。。 完成した作品を見ると、バーホーベンの作風を露骨にマネしようとしている場面が目立つのですが、悪徳警官が処刑される場面や、ケインの開頭場面等、なぜこんなに悪趣味なものを見せるのだろうかと首を傾げてしまう場面も多々ありました。前作も悪趣味で残酷でしたが、きちんとその意図は理解できたし、必然性もあったと思います。一方、本作にはそれがなく、ただやりすぎているだけ。また、子供が麻薬組織のNo.2の座におり、しかも後に殺されるという究極のタブーにも果敢に挑んでいるものの、その試みが作品内容と連携していないために、ただただ不快感を与えるだけの結果に終わっています。本作は万事がこの調子で、刺激的な場面は多いものの、そこに意味が伴っていません。ミラーによる脚本にはそれがあったのでしょうが、グリーンによる脚色によって多くの意味が失われています。。。 本作で唯一誉められるものと言えば、フィル・ティペットによりクリエイトされたロボコップ2号の大暴走でしょうか。まだまだCGが使い物にならなかった時代、ロボコップ2号はパペットのコマ撮りにて作られたのですが、かなり複雑な動き方をする2号が20分間に渡って延々と暴れ回るクライマックスの凄まじさには度肝を抜かれました。
[DVD(字幕)] 4点(2014-03-14 01:42:13)
1056.  ハード・トゥ・キル
セガール2作目にして、初めて全米1位を獲った作品。今ではVシネマ俳優と化し、一体誰が見ているのか分からない作品を濫造しているセガールですが、この頃は少ない制作費で堅実に稼ぐ、優秀なマネーメイキングスターだったのです。。。 前作『刑事ニコ/法の死角』は後のセガール映画の基礎を確立した作品でしたが、一方で本作は、セガールにとっては異例尽しの内容となっています。ケツを揉み、乳を頬張るという激しいラブシーンを演じた後に、不意を突かれて凶弾に倒れるセガール。セガールも人の子、ベッドでは無防備だったのかという、いろんな意味で衝撃的な展開を迎えるのです。また、ベッドシーンでは、明らかに緊張しているセガールの顔を拝むことができます。さらに、肉体を晒すことに消極的なセガールが、本作では上半身裸を見せているという点でも、妙なお得感があります(ホモじゃないよ)。ステロイド漬けのムキムキが基本だった当時において、ノンステロイドの肉体はどこか味気ないのですが(ホモじゃないよ)、その一方で、見せるために筋肉をつけているわけではないという武道家としての飾り気のなさがかっこよくもあります。。。 内容の方は、それなりにしっかりしています。とにかく適当だった当時のアクション映画の中では、よく作りこまれている部類に入るのではないでしょうか。とはいえ、セガール作品としては微妙。セガール作品を見る者は、セガール無双を見に来ていると言っても過言ではないのですが、本作では「セガールやられる→鍛え直してパワーを取り戻す→仇に復讐」という3部構成を90分強という短時間に詰め込んでいるため、セガール無双の時間がとても短いのです。また、セガールに惚れたヒロインが強力な保護者兼支援者となるという作品の要の部分が、「んなわけねぇだろ」とツッコミを入れたくなるほど説得力がないという点も、思わぬ弱点でした。なんせ、彼女が惚れたセガールは、ヒゲ伸び放題で仙人状態ですからね。こんなのに惚れるだなんて、この人の感性はどうかしちゃってるでしょ。セガールに意識がないのを良いことに、ち○こをチラ見して「ひゃっはー」ってテンション上がってるし、セガールの枕元に子猫を置くし、完全にイっちゃってますね。これを演じたケリー・ルブロックさんは本作での共演を機にセガールと結婚したそうですが、セガールの意外なバカップルぶりにもガッカリさせられました。
[地上波(吹替)] 4点(2014-03-07 23:32:10)
1057.  スプリング・ブレイカーズ 《ネタバレ》 
ハーモニー・コリン作品ということで当然普通の映画ではないわけで、それなりの心構えをして鑑賞したのですが、それでもかなり退屈させられました。。。 素晴らしい場面はいくつかあります。今やすっかりダサくなったブリトニー・スピアーズをバックに感傷的な場面を撮るというセンスには唸らされたし、会話の場面をモノローグのように見せるという工夫も素晴らしいと感じました。表面的には仲間だ何だと言ってるが、結局は自分をどう表現するかが重要で、他人は眼中にないという若い人達の心理(真理)をうまく突いた映像的表現だなと。全体的な映像美も素晴らしく、光を用いた表現は芸術的なレベルに達しているのですが、マイケル・ベイ作品のようなウザさがあるのもまた事実。全編をトリッキーな映像で固めすぎていて、目も頭も疲れてしまうのです。同じ場面を何度も何度も繰り返す編集にしても、たまにやればこれはこれで効果的だと思うのですが、全編でやってしまうので見ていてイライラしてきます。早く話を進めなさいよと。。。 この映画を見ていて感じたのは、ハーモニー・コリンは青春を楽しめなかった一人なんだろうなということです。乱痴気騒ぎでハメを外しすぎると、警察やヤクザの世界のお世話になるよという、心配性のおばあちゃんみたいな主張が核にあるのですから。作風はド派手でインモラルだけど、中身は意外と古風なのねと、少し微笑ましく感じてしまいました。
[DVD(吹替)] 4点(2014-02-27 01:28:59)
1058.  ブロークン・アロー
見せ場の連続なのにまったく手に汗握らないという、なんとも残念なアクション映画。物語にまったく感情移入できず、しつこいくらいに繰り返される爆破シーンをただ眺めているだけという状況に陥ってしまいました。。。 まず、主演二人がミスキャストでした。本作の中心にあるのは男の対決であり、親友同士でありながら内心では見下されていたヘイルが、一方で何をやらせても優れていたディーキンスに対して目に物見せるという点に本作最大のカタルシスがあったと思うのですが、その物語を描くにあたって、スレーターとトラボルタの間でまったくバランスがとれていないのです。年齢も風格もトラボルタが断然上であり、ヘイルとディーキンスが上司と部下にしか見えないのでは、主題部分がまったく伝わってきません。せめて同世代の俳優を配置して欲しいところでした。。。 次に、この対決に絡んでくるパークレンジャーの戦力描写がおかしかったので、彼女の存在がアクション全体のバランスを崩しています。彼女は田舎の国立公園でのどかに働く女性であり、自然環境や動植物に関する知識は豊富であっても、犯罪者を追いかけたり、悪人を倒したりといったスキルは持ち合わせていないという設定だったはず。にも関わらず、中盤より彼女はディーキンス一派に対して果敢に戦いを挑み、プロの傭兵との格闘までをこなしてしまうというスーパーウーマンぶりを披露しはじめるので、そのことが、見せ場におけるご都合主義ばかりを際立たせるという結果をもたらしています。土地勘を活かしてヘイルをサポートするという当初の立ち位置に徹していれば、彼女が人質になった際の緊張感などは、また違うものになっただろうと思うのですが。。。 以上を総括すると、本作の敗因は『スピード』の成功体験に引きずられ過ぎたという点に尽きると思います。若く爽やかな主人公カップルと、頭脳の明晰さゆえに誇大妄想に陥った悪人との対決を軸とし、ヒロインは単なる添え物ではなく、事件の解決のために重要な役割を担うこととする。本来、この脚本はそんな内容ではなかったはずなのに、後付けで『スピード』の図式を当て嵌めてしまったがために、全体のバランスがおかしなことになっています。 
[ブルーレイ(吹替)] 4点(2014-01-13 02:46:36)
1059.  大脱出(2013) 《ネタバレ》 
日曜洋画劇場に育てられた私にとって、スタ・シュワは神のような存在です。その点において、私は本作が対象とするジャストの観客だと思うのですが、そんな私が見ても、本作の出来はいただけませんでした。。。 まず、スタ×シュワの競演という点が本作最大の売りとされていますが、二人の顔合わせは『エクスペンダブルズ』で終わっている以上、観客にとってそれほど大きな価値は持ち合わせていません。さらには、両者ともピンでの主演作が大コケしており、「夢の競演!」というカードを使うしかヒットを見込める道がないという台所事情も観客には見抜かれているだけに、往年のスターをただ共演させるだけではなく、全盛期であれば絶対にやらなかったことをやらせるくらいのファンサービスが必要だったと思います。しかし、この企画にはそうした工夫が足りていません。スタとシュワが会話したり、同じ画面で戦ったりしていれば、それだけで観客は喜ぶだろうという誤った前提で映画を作っているのです。。。 また、アクション映画としても非常に中途半端。派手なドンパチをやりたいのか、緻密な頭脳プレーを見せたいのかが製作者の中で固まっておらず、その結果、目の覚めるような見せ場もなければ、あっと驚くような展開もない、どちらに振れることもなくダラダラとやっているうちに脱獄成功という、本当にどうしようもない展開を辿ります。「難攻不落のハイテク刑務所!」とハードルを高く設定した割に、主人公達には大した困難が降りかかることはなく、それどころか、いとも簡単に協力者を得られたり、看守や所長がアホ揃いだったりと、当初は高かったハードルが勝手に下がっていくので萎えてしまいます。あえて懲罰房に入ることで刑務所の弱点を突くという方法を序盤で見せておきながら、本編においてもこれとまったく同じ方法で脱獄を試みるという愚かな構成は、さすがにどうかと思いました。”Escape Plan”というタイトルを冠してる割には、脱獄のバリエーションが少なすぎます。。。 本作を見ると、『エクスペンダブルズ』がいかに優れた企画だったかが分かります。ネームバリューのある老人軍団は看板を背負うだけで、派手なアクションは現役のアクションスター達にやらせることで、アクション映画としての体裁をきちんと守っていたのですから。動きに限界のある老人2人が共演したアクション映画は、本当に悲惨なことになっています。
[映画館(字幕)] 4点(2014-01-12 00:19:36)(良:2票)
1060.  救命士
マーティン・スコセッシとポール・シュレイダーがタッグを組み、さらには飛ぶ鳥を落とす勢いだったニコラス・ケイジが主演。公開前にはかなり注目度の高い作品だったのですが、出来上がったものはどうにもハンパな代物でした。。。 深夜の仕事、管轄は最悪の地域、そして、そんな中で美しい女性と知り合う主人公。本作の構成要素は『タクシードライバー』と酷似しているのですが、完全にイってしまったトラビスとは違い、本作の主人公・フランクはどんなに辛い思いをしても真面目に仕事に取り組み、仕事の枠内で救済を得ようとします。本作は『タクシードライバー』とネガとポジの関係にあり、20年間でスコセッシとシュレイダーが大人の作家に成長したことを示す作品だったと言えます。何度助けてやってもバカなことをしでかして病院に戻ってくるヤク中や異常者を相手にし、「俺は一体何をやっているんだ?」と日々悩みながら、それでも「自分の仕事は、何か良いことに繋がっているはずだ」と信じて仕事を続ける主人公の姿には、多くの人々が自身の職業について抱える徒労感を代弁するだけの普遍性があったと言えます。そういった点で、本作は決して悪い映画ではないのですが、如何せん、映画として面白くなかったことが致命的でした。下町のちょっと良い話を撮ろうとしているのに、ジョン・グッドマンやトム・サイズモアが異常にパンチの効いたキ○ガイ演技を見せるもんだから、ドラマとしてのバランスがメチャクチャ。話がうまくまとまらないまま2時間が経過してしまうので、見終わった後の満足感はとてつもなく低いです。結局、スコセッシとシュレイダーが撮るべきはどうしようもないキ○ガイが社会に迷惑をかけまくった挙句に野垂れ死ぬような映画であって、本作は彼らが扱うべき映画ではなかったようです。
[DVD(吹替)] 4点(2013-12-23 01:42:03)
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