1101. バベットの晩餐会
姉妹の凛とした生き様、バベットの超一流料理人のプライド。三人に心まで貧しくなるなと教えられます。ローレンスの告白は切なく胸が詰まりました。 [DVD(字幕)] 7点(2016-03-06 01:45:30) |
1102. 街のあかり
《ネタバレ》 カップでナイフを砥ぐコイスティネンに、返り討ちにあって海にボロ雑巾のように浮かんでいる、或いは刺し殺して自首する、ラストが思い浮かんだのですが。打ちのめされて「ここでは死ねない」と呟いた負け組であっても負け犬ではない姿に、同様に踏みにじられて自壊しそうな私がどれだけ力づけられたかことか。女性が何の魅力もないのは彼にとっては一途に思う大切な存在だったという点で良かったと思います。 [DVD(字幕)] 7点(2016-02-14 16:20:22) |
1103. キートンの大列車追跡
《ネタバレ》 機関車の追跡劇。追う身から追われる身へ。のどかな雰囲気の機関車とキートンの躍動感の対比が不思議な感覚。機関車が鉄橋から落下する様は、監督としてこのシーンありきの作品だったのかと思える仰天のシーンだった。面白さより監督キートンの熱意を強く感じた作品。 [インターネット(字幕)] 7点(2016-01-22 00:03:12) |
1104. ホテル・ルワンダ
スピルバーグのようなどうしてここまでと思える殺害描写は無くとも、「金の切れ目が縁の切れ目」を見せつける展開が恐ろしい。白人・黒人、フツ族・ツチ族、ゴキブリからみたら全て同じヒトなのに。ベルギーがルワンダで行ってきた事を描いてもらいたかった。 [インターネット(字幕)] 7点(2015-10-17 16:04:58) |
1105. テナント/恐怖を借りた男
《ネタバレ》 イザベル・アジャーニが狂気に引きずり込まれるのだろうと思いきや、狂気に陥ったのはポランスキー自らだった。ジワリジワリ感は「反撥」「ローズマリーの赤ちゃん」と同様。演じたい願望が叶った喜びがあったのか、病的さ加減は二作を上回る。このような作品を自作自演する奇才・ポランスキーを堪能させてもらえました。 [DVD(字幕)] 7点(2015-08-18 03:16:46) |
1106. 人生劇場 飛車角
《ネタバレ》 初見。描かれる義理と人情。人情が三角関係のメロドラマであったが為に二つを秤にかける切なさがあまり感じられなかった。生き残る健さんしか見た事がなかったので人力車もろとも放り捨てられた最期に仰天。同様に放り捨てられるであろう鶴田浩二の最期を想像させるラストショットに加点。 [DVD(邦画)] 7点(2015-05-06 01:23:24)(良:1票) |
1107. 銃殺(1964・英)
《ネタバレ》 家族への戦死通知。「戦死」の一部始終を観た者としては不条理な組織で果たす義務のやり切れなさに鬱々とさせられます。銃殺隊は義務を果たさなかったのか? あの演出は無理のあるやり過ぎなもので減点です。 [DVD(吹替)] 7点(2015-03-21 01:05:33) |
1108. スタンリーのお弁当箱
男性教師はちょっと考えられない人物で、無理やり憎まれ役をこしらえたように見えました。スタンリーの境遇が解った時に思い返した彼の言動に胸が詰まると共に、クラスメートという掛け替えのない仲間と共に良き人生を歩んでゆくと思わされました。正視出来なかった手づかみ食事シーンに、この世は多様な文化が共存していることを感じさせられました。 [DVD(字幕)] 7点(2014-10-27 23:18:34) |
1109. 暗殺の詩/知りすぎた男どもは、抹殺せよ
《ネタバレ》 目当てはトランティニャンでしたが、フィリップ・ノワレの前に霞んでしまいました。頑なにデビットを守ろうとし、妻を寝取られても許す姿は私の理解を超えるものでした。彼だけは助かって欲しいとの願いが砕かれる覚悟の面持にやり切れない思いが募ります。冷静に考えると粗の目立つストーリーですが、何とも言えぬ物悲しさに冷静さが奪われる作品でした。 [DVD(字幕)] 7点(2014-10-13 00:12:32) |
1110. 博奕打ち 総長賭博
松田と音吉のあまりの浅はかさにイライラのし通し。こんな輩を相手に一人もがき苦しみながらも筋を貫き通した中井の生き様が「私怨」と呼ばれる事に、当然だと思いつつもうら悲しさも覚えた。鶴田浩二絶品の一作。惜しむらくは金子信雄のヒゲ。なんか、こう、子供相手の駄菓子屋さんのオッチャンに見えて高ぶった感情がその都度盛り下がってしまった。 [DVD(邦画)] 7点(2014-10-07 21:01:30) |
1111. 善魔
三國連太郎は瑞々しさに目を奪われるものの、早口過ぎて聞き辛いのは閉口しました。知性と義侠心を持ってはいるものの、身勝手で酷薄で意気地なしの本性が透けて見える役どころが十八番の森雅之はオーラ全開。淡島千景と繰り広げる澄まし返った会話は名人芸の域。堪能させてもらいました。引っ切り無しのBGMのくどさが鬱陶しくて堪りませんでした。 [DVD(邦画)] 7点(2014-08-25 00:05:06) |
1112. 大統領の執事の涙
《ネタバレ》 与えられた環境で全力を尽くし職を全うした父。与えられた環境を変える事に心血を注いだ長男。意志を貫いた者同士が最後に分かり合えた事が感慨深い。僅か50年前に繰り広げられた惨劇は目を覆うもの。オバマ大統領就任に夢を形にする偉大さを思わされます。 [DVD(字幕)] 7点(2014-08-23 10:47:41)(良:1票) |
1113. 黄昏(1981)
初見。詩情溢れる湖の景色が脳裏に焼き付く作品です。ペラペラ喋りまくるキャサリン・ヘップバーンは元来苦手ですが今作は抑制されており嫌悪感はありませんでした。ヘンリー・フォンダがポツリポツリと吐く言葉に、老いての衰えは誰にも必ず訪れる事を突き付けられます。父と娘が抱擁を交わす姿に、父への憎しみが消えたのに亡くなるまで一度も抱擁どころか握手することもしなかった悔いが押し寄せてきました。 [映画館(字幕)] 7点(2014-08-03 23:57:27) |
1114. 羅生門(1950)
初見、原作未読。真相はまさ藪の中。文明や科学が進化しても人の心は1000年前と大差ない事を思わされます。美しい画の中で躍動する役者達に豪華な額縁の名画を鑑賞しているようでした。赤ん坊の件はとってつけた感がありますが、今も昔も変わらぬ、この世は捨てたものではない事を見せてくれます。 [映画館(邦画)] 7点(2014-06-08 05:37:37) |
1115. 恐怖の報酬(1953)
初見。予備知識なし。疲弊と閉塞が覆う街での荒んだ男達のやり取りに辟易しコックリしそうになったところへ降って湧いてでたニトログリセリン運搬任務に目が覚めました。障害物をクリアする各シーンは4人が見せる本性とジワリジワリ感が相俟った迫力満点の手に汗握るもので、私も周りの方々も「あ~」「うわ~」など思わず声が漏れてしまいました。無理筋なラストシーンに興を削がれたのが何とも惜しいところ。 [映画館(字幕)] 7点(2014-06-01 22:18:54) |
1116. 偽りなき者
《ネタバレ》 幼稚園児の感情の赴くままに発した嘘は先生を嵌めようとする意志が微塵もない他愛ないもの。(この子の不気味さは特筆もの)司法が冷静な判断を下したにもかかわらず、専門家達の無能で誤った裁きと赤の他人達の浅はかで陰湿な制裁に血管がブチ切れそうでした。逃げ出さずぐっと耐える先生の漢の姿が実ったハッピーエンドと思いきやの結末は、人が感情だけで人を裁こうとする空恐ろしさを見せつけます。 血圧の乱高下が甚だしい二度と観ようと思わない作品。 [DVD(字幕)] 7点(2014-02-17 00:48:30)(良:1票) |
1117. ガンジー
非暴力不服従でのインド独立の過程は冗長で退屈でした。子供をムスリムに殺され報復にムスリムの子供を殺した男に「地獄から抜け出る方法は両親を殺されたムスリムの子を拾って育てよ」と説くガンジーから、人種や宗派が違ってもヒトはヒトである事が彼の不屈の精神の根底を成していると思えた部分に値打ちを感じた作品。 [DVD(吹替)] 7点(2014-02-11 18:18:52) |
1118. 十戒(1956)
人種がヒトを隔てる理不尽さを見せつける、モーゼがエジプトを追われるまでは見応えがありましたが、それ以降は苦痛に耐えての鑑賞でした。やられたらやり返す、正当防衛と言わんばかりに殺してしまう。そんな神さんが起こす奇跡に崇高さは感じられずオカルトチックなご都合主義に萎えました。老若男女、アヒル、羊、牛等の大移動のド迫力の映像とエドワード・G・ロビンソンのお姿を拝めたところに加点。 [DVD(字幕)] 7点(2014-02-04 01:59:23) |
1119. エデンの東(1955)
《ネタバレ》 初見。肉親の縁が薄い四人の葛藤が丹念に記されています。価値観を押しつける父と愛してやるから愛し返してと切望するキャルの対峙が哀しい。キャルが悔恨の情を示す父は死の床、兄は死の淵にいる結末が居た堪れない。 [DVD(字幕)] 7点(2014-01-03 17:31:02) |
1120. 夜と霧
公開された1955年から未だに似たような事がそこここで行われている。平時にはごく普通の人が上官の命令の下どんな事でもやってのける戦争のおぞましさ。証左となる本作は語り継がれるべき一品です。 [DVD(字幕)] 7点(2014-01-01 17:47:11) |