101. スケアクロウ
確かに「真夜中のカーボーイ」とコンセプトは似ているけど、あっちも傑作ならこっちも傑作。敢えて音楽を流さずにじっくりと2人の出会いを対照的に描く点が秀逸。2人の絆の強さは計り知れない。物語のスタート当初はハックマンが主導権を握っていて、洗車で稼ぐというのも彼のアイデアだが、結局パチーノに影響されて物語の終盤ではこの2人の友情は“ライオンの存在感”に象徴される。きっとこの2人の友情は、今でもどこかで生きているだろう。 9点(2001-11-08 22:49:14) |
102. ムーラン・ルージュ(2001)
おそらく好き嫌いがはっきり分かれる映画でしょうね、これは。私はかなり楽しめたのですが、元来ミュージカル映画が嫌いな方や、一連の往年の名作ミュージカルが好きだった方にも嫌いわれるかもしれません。このミュージック・スコアがたいへん興味深くて、この路線で当たった人は最高に楽しめるという可能性を秘めています。ただ中身は地味に結構ブラックかな。 9点(2001-11-06 19:26:44) |
103. ゴッドファーザー PART Ⅲ
いやこの映画も基本的には素晴らしいと思いますよ。シリーズものの完結編とくると、どうしてもディレクターがまとめようとしたがるし、この作品も例外なくそうしようとした意図は見えるけど、巧くまとめた方だと思う。老け役に挑んだパチーノの熱演も、嫌味になってなくて素晴らしい。 9点(2001-10-28 23:25:26) |
104. グッドフェローズ
スコセッシのマフィアものの最高傑作だと思う。シビれるようなミュージック・スコアに、デ・ニーロの熱演。序盤のヘンリーの若き日の生き様からストーリーは飛ばしに飛ばす。スコセッシの最高にテンポの良い演出に、ミヒャエル・バルハウスの撮影も絶妙。おまけにジョー・ペシ、おっかねぇ~~( ̄o ̄)0・ャ...。 9点(2001-10-28 12:42:35) |
105. 長距離ランナーの孤独
いやぁ、素晴らしい映画でしたよ。序盤は主人公のシチュエーションがそれぞれ異なっていて時制が判りづらいのですが、中盤になってようやくハッキリしてきて、その効果がいかんなく発揮されています。そして終盤のフラッシュ・バックの多用による主人公の複雑な心理状態...見事なまでに表現されています。色々な意見があるとは思いますが、私はこの映画、凄いと思います。 9点(2001-10-21 11:58:51) |
106. 大いなる勇者
孤高の雪原に生きる一人の若者の苦悩と苦闘。最初は希望に満ちた表情で悠然とした大自然に挑んでいくも、自然界は厳しい。それにアメリカの少数民族となっているインディアンと白人男性との関わりを見事に描いている。監督は「ひとりぼっちの青春」のシドニー・ポラックで、当時のアメリカン・ニューシネマの影響を強く受けた作風となっている。昨今、強く環境問題に関する喚起が行われるも、なかなか浸透していかない。正に人類に課せられた重要な命題であると言える。そんな中で求められるのは、根本的な省エネ生活や、自然環境に優しいエコロジーな生活。でも現代人にはなかなかできない。漫然とただ現状を維持しようとするから。別にそれでも構わない、ただ人間の本能的なサバイバル精神をここまで体現したR・レッドフォードの熱演をここでは称えよう。 9点(2001-10-17 23:55:03) |
107. フェイク
とにかくアル・パチーノが渋い。エピソードの節々で泣かせるポイントがあり、緩急の効いている演出が正にツボをおさえている。ただカッコ良く終わらせて欲しかった映画だったのに、ラスト5分は編集の順番を間違えたようで、なんだかチグハグした印象を受けた。それだけが心残り。 9点(2001-10-08 22:51:54) |
108. アメリカン・ヒストリーX
宣伝では凄い映画だという印象を受けましたが、ホントに凄い映画でした(笑)。「壮絶」とか「凄惨」といった言葉が当てはまるような映画ですが、ラストのやり切れなさを前にしては“心に響く”という感覚を再び思い知らしめされた映画だった。主演のE・ノートンも正に“心に響く熱演”で、過去の描写にあたるキレた演技は「ファイトクラブ」や「真実の行方」では見られなかった違うキレっぷりを見せてもらった。ホントにいいものを見せてもらった。 9点(2001-09-30 23:43:09) |
109. 彼女は最高
バカバカしい物語だと言われればそれまでだが、才人エドワード・バーンズの劇場公開2作目。この映画もホームドラマの様相を見せながら、一つの兄弟を取り巻く人間関係や恋愛群像を見事に描けている。キャメロン・ディアスやジェニファー・アニストンもなかなかの好演です。うん、なかなか好感触の映画だ。 9点(2001-09-29 21:42:46) |
110. ファール・プレイ
素晴らしいの一言に尽きる映画です。若き日のゴールディ・ホーンが本当にチャーミング!(今もあんまり変わらないけど) さらにスタンリー役のダドリー・ムーアが散々笑わしてくれるので面白さは最高潮。ヒッチコックへのオマージュとも言われる程、サスペンス映画としてもなかなかの作品なのでお勧め。それにしてもあの日本人老夫婦怖うぇー。 9点(2001-09-29 15:00:55) |
111. 愛に迷った時
なかなかハートフルなドラマだった。ジョン・アービング原作の「サイダーハウス・ルール」などで知られるスウェーデン出身の監督ラッセ・ハルストレムの映画にしては少しドタバタしている感があるけれども、観ていてどこか優しい雰囲気が出ている。出演者もジュリア・ロバーツがなかなかの好印象で、その他にもデニス・クエイド、ロバート・デュバル、ジーナ・ローランズといったベテラン俳優が脇をキッチリ固めている。安易にお涙頂戴的な演出やストーリー展開にしていないエンディングの爽快感もまた心地良い秀作。 9点(2001-09-18 15:38:38) |
112. リービング・ラスベガス
いろんな意味でキツい映画でした。前向きな姿勢とは口が裂けても言えないけれども、なんだか応援してあげたくなる主人公2人のあまりに刹那的な愛の行方。脇役はあまり出番が少なく、ほぼ主演2人(N・ケイジ&E・シュー)の演技のぶつかり合いといった感じですが、それでいて脇役も結構印象的。後味は決していいとは言えませんが、私的には悪くもないです。満点にできないのは、随時挿入されるドキュメンタリー・チックな部分がいらないと感じたからです。それを除けば、私の中ではかなりいいです。 9点(2001-09-16 23:35:33) |
113. プライベート・ライアン
これは間違いなく自分の中では「シンドラーのリスト」を遥かに越えています。同年公開された「シン・レッド・ライン」がテレンス・マリック監督の独特な世界だったために、イマイチ乗れずこの映画を観た。冒頭の30分にわたる戦闘シーンが圧巻であるのは周知の事実で、中盤の淡々としたシュールな戦場のむごさ、残酷さを描いた後、ラスト20分の戦闘シーンに再び激化させていくスピルバーグの手腕はお見事としか言いようがない。(↓)の方で米軍のプロパカンダ映画という指摘がありましたが、私は全く逆。アメリカ軍人という人物像を主人公に据えながらも、戦争の残酷さを象徴させた上で、あまり主観的なメッセージにせずに客観的な冷徹な視点で描かれていると思う。何故アカデミー作品賞が獲れなかったのか? やっぱりハリウッドはコスチューム・プレイが好きなのか?(関係ないネタでした、すみません) 9点(2001-09-15 00:10:30) |
114. タイタス
いやぁー、この映画は凄かったですね。人間の業の深さや、復讐という情念の恐ろしさが見事に表現されていました。この演出はあまりに力強く、あまりに残酷で評が分かれるところでしょうが、私は悪趣味だとは思わなかった。ただ描写はかなりグロい。観る前にはかなり覚悟して臨んだほうがよろしいかと思います。 9点(2001-09-08 22:57:17) |
115. 質屋
社会派シドニー・ルメットの「未知への飛行」と並ぶ60年代の傑作の一つ。社会派サスペンスというより心理的サスペンスの色合いが強く、ルメットの映画にしては少し異色な作風でありそれでもクオリティは非常に高い。クインシー・ジョーンズの音楽もたいへん効果的である。 9点(2001-08-30 18:58:58) |
116. マイケル・コリンズ
史実に基づいた映画で勝手な脚色を加えていない点が功を奏したであろう。ただ逆にニール・ジョーダン的解釈があまり見られないため、かえって物語を客観的にしすぎてしまい物語が熱く感じず、ラストの感動度が低い気がする。でもね、その客観的な視点から描いているからいいんだけどね。うん、僕もテロリズムを肯定しているとは思わなかったな。第一、マイケル・コリンズがテロリズム主義者だったのなら顔を隠して行動していない。犯行声明みたく先導者として君臨したはずだ。マイケル・コリンズ自身、オープニングから群集の中で熱弁をふるうなどリーダーシップ性が発揮されているから。 9点(2001-08-29 23:28:40) |
117. 訣別の街
この映画凄く好きなんです。ただのポリティカル・サスペンスかと思いきや、実は意外にも男たちの熱きドラマって感じでなかなか重厚なタッチで見ごたえがあった。個性の強いアル・パチーノに喰われてしまう若手俳優は多いが、この作品で共演のジョン・キューザックはなかなかいいじゃないか。喰われるどころか、この2人の見事な演技合戦になってると思う。あまり話題にはならなかった作品だが、お見事と言ってあげたい作品です。 9点(2001-08-27 18:01:00) |
118. ミスター・グッドバーを探して
私にとってこの作品はかなりショッキングな内容でした。ダイアン・キートンも完全に汚れ役に徹していて、たいへん意外な一面が見れます。物語の語り口もたいへんドライで、脚本が巧いのか興味深い手法が次々ととられます。麻薬汚染までされてしまう主人公の二重生活が終盤、いったん減速するかのように見えるがこの映画は最後までしつこかった。唐突に登場してくる男と関係を持ってからアッという間に話しが終わってしまい、後味の悪さを感じずにはいられませんでした。とらえ方は間違っているのかもしれないけど、これほど思いやりのない映画を観たことがない。 9点(2001-08-26 21:31:40) |
119. インサイダー
近年稀に見る硬派な社会派サスペンスの傑作だ。アル・パチーノも素晴らしければ、ラッセル・クロウのワイガンド役への入れ込みようには脱帽。サブキャラクターもしっかりとしていて、観ていて好感が持てる。シナリオ面での評価は低いらしいが、この映画の脚本の巧さには驚いた。話しのプロットがしっかりしていて、一つ一つのエピソードも決して無駄にはしていない。最近にしては珍しく劇場で観ておけば良かったと後悔してしまった。 9点(2001-08-26 13:26:00) |
120. モスキート・コースト
期待しないで観た分だけ、もの凄く考えさせられる映画だった。主人公は狂信的な家族をも自らの思想を押し付けて中南米ホンジュラスへと分け入る男。しかし彼の中にも自己矛盾がある。必要なものは全て揃っていると言いながらも、ジェロニモの村に冷凍技術を伝導したりと彼なりの矛盾がある。徹底的な完全主義を貫き通そうとするが、エゴ丸出しの生き方は難があることを知らしめてくれる映画だと思うし、またそういった人間に対する意思表示についても考えさせられた。そんな中に相反する物質社会への警鐘もしっかりとされているところはなかなか見事である。壮大なスケールで描かれた作品だけど、ピーター・ウィアーの作品にしては比較的異質な作品かな。 9点(2001-08-23 17:43:52) |