101. ウィンダミア夫人の扇
《ネタバレ》 ルビッチ監督の本当に何と雄弁なサイレント。ゴシップ、ゴシップ、ゴシップ塗れの中で女が生き抜く術、それが凄い。アーリン夫人を演じるアイリーン・リッチさんの演技、 表情、まさに妖艶。それがラストのウィンダミア夫人との2ショットではまさに母の顔に。扇の使い方は流石で、これぞ映画製作の奥義ですか・・・。 [DVD(字幕)] 8点(2006-08-20 09:24:33) |
102. 逢びき
《ネタバレ》 冒頭とラストで同じシーンを2度観せる、物語に深みを与えるその巧さ。この映画はデビッド・リーン監督のセンスが光り輝くほど素晴らしいです。その揺れ動き昂る感情を表現しまくるモノローグを主体にストーリーを進ませるのですが、これがもう見事。汽車の煙突から吹き出る煙の美しさ、駅の地下道の壁にあたる光と影の美しさ。そんな映像の美しさも含めて、とにかくセンスを感じる作品です。また主役二人が年齢的にも容姿で見てもリアリティがあって、そういった面も含めホント完成度が高い。 [DVD(字幕)] 8点(2006-08-19 21:49:20) |
103. 雨
《ネタバレ》 右手バン!左手バン!足がバン!そんで顔がバーン!!ジョーン・クロフォード姉御の登場!最高にカッコイイ、ラストでもう1回やるのが効きまくってしまうんですねー! 降り止まない雨が不穏な空気を流し続け、止まっても動き回っても素晴らしいカメラワークがその不穏な空気に拍車をかける、まさに強烈な作品。ジョーン・クロフォード恐るべし。 [DVD(字幕)] 8点(2006-08-17 00:08:05) |
104. 巴里の屋根の下
これは大好きな作品です。その男気と、この街の情景と建物の質感、一方でサイレントの名残を感じさせ、また一方で試みられたアイデェアの数々、そして主題曲と全編に流れる音楽がが絶妙に溶け合ってます。このハーモニーを存分に味わいつくすて大満足。ポーラがベーッっと舌を出す表情に、ある意味凝縮されたような"粋"に彩られた愛すべき作品です。 [DVD(字幕)] 8点(2006-08-17 00:06:21) |
105. 情事(1960)
《ネタバレ》 主役と思われたアンナ(レア・マッサリ)が開始20分くらいで忽然と姿を消す。その後の展開はあえて書きませんが、映画が終わった瞬間に誰もが"えっ!?"と思わずにはおれない大胆な作品です。ミケランジェロ・アントニオーニ&モニカ・ヴィッティの作品はどれも素晴らしいのですが、この作品はその中でも特に好きです。ゴツゴツした岩場が印象的な島でのアンナ失踪直後から、電車でのメロドラマ風の駆け引きに至るシーンは特に鮮やかです。おそらくはモニカ・ヴィッティが一番ノーマルな女性を演じているのが本作だと思うのですが、とにかく艶かしい。ボサボサの髪の毛、手のしぐさ、肌の質感、もうたまりません。もちろんフォトジェニックな美しさもあるのですが、むしろそれとは対極の生々しさで、揺れ動く心理状態を見事に演じきっています。この作品は、ふとした時にレンタルに行って、ついつい手にしてしまいます。もっとも、自分が観てるビデオは大幅短縮版なんで完全版DVDが出たら是非観てみたいです。 [ビデオ(字幕)] 8点(2006-08-09 06:54:32) |
106. 巴里の女性
チャップリン凄い、このラストシーンは素晴らしい。いやぁ、このオープニングがあって、このラストがあって、音楽も含めた素晴らしい表現力があってこの映画の醍醐味がある。まさに本気汁出まくり、柱となるテーマの描き方と起承転結の模範でフィルムの保存状態もパーフェクト。 [ビデオ(字幕)] 8点(2006-08-06 23:51:36) |
107. 砂塵
《ネタバレ》 不正に汚れたボトルネックという架空の町のラストチャンス酒場で、銃ではなく法と秩序で立ち向かう保安官代理(ジェームズ・スチュワート)の活躍を中心とした最高に楽しいウエスタン。町長や賭博屋のボスや酔っ払いの新保安官など脇を固めるキャスティングも見事だし、ジェームズ・スチュワートも華のある名優としての実力を充分に発揮してくれています。そして何よりもディートリッヒが素晴らしい。"リトル・ジョー"や"ボーイズ・イン・ザ・バックルーム"の際立ったパフォーマンスは必見だし、ラストの死に様も見事。また酒場での大喧嘩は常にクールなイメージのディートリッヒが見せた、いい意味で期待を裏切る最高にチャーミングな名場面でまさにサービス満点。ホント贅沢な娯楽映画の傑作です。 [DVD(字幕)] 8点(2006-08-06 17:29:26) |
108. 商船テナシチー
《ネタバレ》 この時代のフランスの情感がたっぷり詰められた、ジュリアン・デュヴィヴィエ監督初期の傑作。印刷屋のうたを皆で奏でるショット、バスチャンとセガールの性格の対比、船の故障で港に足止めされることにより翻弄されるそれぞれの運命。裏切られたセガールが一番いいクジを引いたかもというラストの台詞まで、全編がとにかく味わい深く心に沁みる素晴らしい作品。 [DVD(字幕)] 8点(2006-07-30 09:20:06) |
109. 波止場(1954)
緊迫感溢れるカザン監督の硬質なドラマで、一度ならず、ふとした時にまた鑑賞したくなる作品です。特に前半のまだエヴァ・マリー・セイントと打ち解ける前のマーロン・ブランドの演技は、荒っぽさと繊細さが時に崩れそうでいながらも微妙なバランス感覚で溶け合っており、まさに絶妙。 [DVD(字幕)] 8点(2006-07-30 09:18:05) |
110. ストリート・オブ・ファイヤー
こんな大袈裟なアレンジの曲はロックン・ロールじゃあ無い!と言いたいが、設定そのものが架空なので全然アリだし、2曲とも80年代の象徴的なナンバーとして見事に映画を引き立ててます。そんで、映画の内容も単純明快で全ての登場人物にはっきりとした役割があって(ダイアン・レインがちょっと弱いかな)文句なしの面白さ。それ以上に個人的には、エイミー・マディガン演じる女兵士マッコイが、最高にキュートで気持ちが入ってしまったのでラストシーンも大満足。 [DVD(字幕)] 8点(2006-07-23 06:12:00) |
111. 黄金(1948)
《ネタバレ》 猜疑心でまさに泥だらけのボギーの快演、これぞ起承転結の骨太な傑作。達観した老人も人情味の若者も、物欲に狂ったオッサンも、人間としては大差ない。神経衰弱のような命を削った大仕事が水泡と化したラスト、思い切り、とにかく思い切り笑うこと。う~ん、やっぱしこれだ! [DVD(字幕)] 8点(2006-07-07 23:15:31)(良:1票) |
112. 群衆(1941)
見応えたっぷり、キャプラ・ワールド全開、怒涛の傑作群の中でも印象深い作品で、 映画を観ているこっち側にどんどんボールを投げ込んでくる。時には流されたり見過ごしたり、それでも心にそれぞれの"ジョン・ドー"を抱え、絶対に譲れないところで勝負する。僕たちが生きることの諦めちゃいけないって普遍の魂、そう感じます。 苦悩するゲーリー・クーパー、美しく、演技めちゃめちゃ巧いバーバラ・スタンウィック、そしてキャプラ作品の常連、エドワード・アーノルド。配役も見事。 [ビデオ(字幕)] 8点(2006-07-01 20:41:22) |
113. 5つの銅貨
素晴らしい音楽、芸の極みのダニー・ケイ、そして涙、涙のラストシーン。夫婦、親子、友人との関わり合いが、シーンごとに拘りぬいたほど本当に細部までしっかり、丁寧に描かれています。だからこその濃密さ、リアリティがあって映画の醍醐味に浸れます。 [ビデオ(字幕)] 8点(2006-07-01 20:40:10) |
114. 深夜の告白(1944)
《ネタバレ》 ラスト・シーンを冒頭に持ってきて、まさにネフ(フレッド・マクマレイ)の深夜の告白に添ってストーリーが展開させていく、緊張感たっぷりのサスペンス。惹かれ合っていった男と女の窮地での裏切りと、はたまた潜在的に惹かれ合っていた男同士の心の絆が、完璧にピタッ、ピタッとハマッて、作品に何とも言えない奥行きをもたらしています。そんでもって、やはりバーバラ・スタンウィック。この儚げな悪女、その素晴らしき演技と美貌に降参です。 [ビデオ(字幕)] 8点(2006-06-25 22:56:46)(良:1票) |
115. 教授と美女
これはもう、グンバツに面白い!そしてバーバラ・スタンウィックの独壇場ですね、居候にも関わらず堂々としたスタンウィックの振る舞い(全てがサイコー!)ゾロゾロついて行く教授たちの様が最高に楽しい。あぁ~、終始バーバラ・スタンウィックの魔性にKOされまくりです。ヤバイ、ブッチギリの愛しさに脳みそウニ状態。 [ビデオ(字幕)] 8点(2006-06-25 11:46:41) |
116. イースター・パレード
MGMの、そしてハリウッドの至宝、ジュディ・ガーランド。素晴らしきエンターティナーであり、まさに芸人。その芸人魂炸裂しまくって圧倒されます。もっと、もっと彼女は報われるべきだったと万感の想いが募ります。クライマックスでジュディが歌う"イースター・パレード"そのアステアとの2ショットを観て思わず熱いものがこみ上げます。そして幸福感いっぱいのラストのパレードに画面が移り、あっけなく終演。この特筆すべきラストの心地よさと言ったら!それにしても、この名曲"イースター・パレード"は本当に最高の出来栄えですね、ジュディー・ガーランドの貫禄たっぷりの歌いっぷりに聴き惚れてしまいますし、壮大でドラマチックな展開ながら、僅か3分にも満たない短さ。しかしながら、これ以上に何を加えられるであろうか?と思える濃密さは、聴くたびに胸が震えます。 [DVD(字幕)] 8点(2006-06-24 20:59:51)(良:1票) |
117. マーニー
何とも言えない緊張感が全編に漂う秀逸なサスペンス。ティッピー・へドレンが追いつめられ(イジメられ)る程に、みょ~にエロチックに感じてしまう自分も病気なんだろうか?この作品もカメラワークが絶妙でヒッチコックの底力を感じます。 [DVD(字幕)] 8点(2006-06-04 19:09:52) |
118. 甦る熱球
《ネタバレ》 モンティ・ストラットンの栄光と挫折と復活の、野球好き以外の人にも楽しめる感動作。と言っても大袈裟なところは微塵も無く、描き方がさりげなくジンワリ心に沁みこむ作りに大満足です。10マイルの歩きやダンスといった伏線も効いていますし、復活試合での"滑り込みが早すぎた"ってジョークや、代打をさえぎるナインの声など目頭熱くなるシーンが満載です。それにしてもジェームス・スチュワートも巧いが、ジューン・アリスンも本当に巧いな~、と唸ってしまいました。 [ビデオ(字幕)] 8点(2006-06-03 12:36:02) |
119. 夕陽のギャングたち
汚さや美しさの概念をブッ飛ばして感動へと昇華させてしまうレオーネ+モリコーネのマジック炸裂。ゆったりと流れる時間にダルさが微塵もなく、もっと、もっと観せてほしい~と思わずにはいれない、心揺さぶられるタフガイたちのドラマチックな一編。そしてロッド・スタイガーが、とにかく素晴らしい。 [ビデオ(字幕)] 8点(2006-05-29 06:48:15) |
120. ショウほど素敵な商売はない
《ネタバレ》 この邦題はウマイ!思いついた人ガッツポーズしたんじゃないかなぁと思ってしまいました。余談はさておき、この映画、贅沢な役者のラインナップと芸の限りはまさにゴージャス!そして何と言ってもエセル・マーマンを存分に堪能できるのが嬉しい!ラストの"ショウほど素敵な商売はない"は圧巻で、リフレインを止めないでって程の高揚感で締めくくってくれます。 [DVD(字幕)] 8点(2006-05-22 01:18:44) |