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すねこすりさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

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101.  ブランカニエベス 《ネタバレ》 
チラシのゴシックアート的な雰囲気に惹かれて、つい劇場へ。サイレント&モノクロってんで、途中寝てしまわないか心配したけれど杞憂でした。何しろ、映像の美しさと音楽の素晴らしさ、これだけで見に行った甲斐があったってもんです。確かに、「白雪姫」の翻案には違いありませんが、こちらの継母は、白雪姫のそれより人間臭い。それが可笑しい。ややブラックコメディ的要素も満載です。モノクロってのは、スペイン人の美女の様に彫の深く各パーツが大きい顔は、いっそう美しさを強調するものですね。実母も祖母も継母も、そしてカルメンも、美女また美女の登場で溜息モノです。惜しむらくは、美青年が一人も出てこなかったことでしょーか。・・・と書くとネタバレですかね。もう、最初から最後までカルメンは悲劇の連続、救いがありません。ラストも、思わず「え~、そんな・・・」と言ってしまったくらい。1920年代当時のスペインの混乱と貧しさが何となく背景に感じられる描写ではありますが、何よりも、現実は、泥沼の現状からキスひとつで救い出してくれる王子様なんていやしない、ってことを、残酷なまでに描写しております(グロという意味ではありません)。このラストに賛否はあるでしょうが、私はその救いのなさと残酷さにガックシ来たけど好きですね。アタマからずっとそういうテイストで展開してきたのです、納得のラストです。あまり奥行きのある作品とは言えませんが、ゴシックアートがお好きな方は、決して見て損はないと思われます。この監督の次回作がちょっと楽しみですな。いや~、美しかった!!
[映画館(字幕)] 7点(2013-12-16 22:38:47)(良:1票)
102.  狩人の夜
掘り出し物に出会った気分、というのでしょうか・・・。どうしてこのDVDをリストに入れたのかあんまり記憶になく、なので、どんな内容かもよく分からないままに見始めたところ、序盤、やや眠たいものの、パウエルが本性を剥き出しにしてからはバッチリ覚醒致しました。こういう、利発な少年vs邪悪な大人、みたいな話って、今パッと思い浮かばないけれど、結構ありますよね。ジョンは賢いし勇敢だけれど、銀行強盗やったおとーさんは、ホント、独善的大迷惑男ですね。ジョンがおとーさんとの誓いに忠実に、妹を命がけで守りながら生き抜く健気さが哀しい・・・。何で、あの程度の金にパウエルがあそこまで執着するのかしばらくよく分からなかったのですが、彼の偏執的な妄信ぶりを見ると、刑務所で言っていた「教会を建てる」というのは偽りのない言葉だったのだと思いますね。単に金の亡者であそこまで追いかけるってのじゃ、むしろ面白くないし、説得力がないでしょう。凝り固まった、歪んだ信仰を頑なに守り続けているのです、彼は。思えば序盤、車に乗りながら彼は「主よ、殺生はお気になされんでしょう」って天に向かって呟いています。冗談かと思って見過ごしていましたが、このシーンが鍵だったのですね、きっと。彼が、どうしてこのような人間になったのか、その描写は一切ありませんので想像するしかありませんが、あそこまで女性を嫌悪するところからして、恐らく、究極のマザコンではないでしょうか。奔放な母親に捨てられたのかな、と。あるいは、母の愛を知らずに育ち、ルックスは悪くないばかりにプライドばっかし高くて頭が悪いが故に絶望的に女にモテない童貞クンだったとか。まあ、どーでも良いんですが。あと、特筆すべきは映像美。パウエルが馬に乗ってあの気味の悪い歌を歌いながら彷徨う絵は、まさに影絵のごとく美しく、絵本のようでした。ラストは尻すぼみだったけれど、結構楽しめました。
[DVD(字幕)] 7点(2013-12-07 00:08:22)
103.  ドリアン・グレイ(2009) 《ネタバレ》 
別に原作ファンという訳じゃないですが、思う所は多々・・・。まず、ベン・バーンズ。ちょっと爽やか過ぎですが、押しも押されもせぬ美男子で、これは意外にも良かったのでは。堕落していく様や苦悩を良く演じています。問題は、ヘンリー卿です。コリン・ファースは、やっぱり違うと思いましたね。原作の雰囲気で行くと、もっとニヒルで高みから見下ろしているイメージで、若いころのジェレミー・アイアンズなんですが、コリン・ファースではちょっと華がない。この作品は、ヘンリー卿が真の主役であり、この狂気の男がいたからこそ、ドリアンの物語が成立するわけで、そういう意味でも、コリン・ファースではあまりにも表裏がなさ過ぎではないかしらん。・・・が、もっと難点は、女優陣が軒並み魅力に欠けることです。ドリアンの向こうを張る魅惑的な色気のある美しい女優を地の果てまで探しつくして欲しかったですが。安易に手を打った感がなきにしもあらず・・・。これじゃ、折角のベン・バーンズの美貌も映えません。おまけに、原作にはないヘンリー卿の娘を登場させ、それによってドリアンが善意に目覚め、ヘンリー卿が父性全開になるという筋書きは、原作者オスカー・ワイルドが見たら怒りのあまり憤死するのではないでしょうか。いや、案外、楽しんで見るかも知れませんね・・・。分かりませんが。しかし、本作は、英国と英国人によって作られたことに大いに意味があると思います。つっても、ワイルドはアイリッシュなんですが・・・。ま、英国の話ですしね。醜く変わり果てたドリアンの肖像が、CGで絵の中から出てきたのは、もうゾンビ映画です・・・。肖像画はとても素敵だったのに、なんでゾンビなんかにしちゃうんだよ・・・、トホホ。と、まあ、貶したりホメたり、忙しい映画でした。こういう系は割と好きなんで点数は甘めで。
[DVD(字幕)] 7点(2013-11-27 22:58:46)
104.  ハンナ・アーレント
非常に静かな展開だけれど、最後の講義のシーンで一気に緊張感が頂点に。・・・うーん、これはなかなか厳しい作品です。彼女の書いた「イェルサレムのアイヒマン」を読んではいないけれど、これに激怒した人たちは結局どういう原稿だったら納得したのだろうか。恐ろしいのは、ユダヤ人の一部がナチに協力していたという裁判で明らかになった事実を書いたことが激しく批難されたという点。被害者のネガティブ要素を指摘すると過剰攻撃されるって、これ、どこかで見たことあるような・・・。アイヒマン=ナチの幹部=悪人、という構図に則った言論以外は批難される・・・、これも今でも普通にあちこちで見られる現象です。事実を冷静に指摘することが、猛烈な批難の嵐を呼び起こす・・・。最近も見ませんでしたっけ? 結局は、アイヒマンも、彼女のレポートを激しく批難した人々も同じ穴のムジナ(考えることを放棄している)。何にせよ、よからぬ出来事というのは、あらゆる立場であらゆる側面から事実を客観的にあぶりだすという作業をしないと、同じ轍を踏むことになるわけですが・・・。人間は基本的には愚かですから、そういう当たり前のことをすぐに忘れてしまいます。先日、小泉元首相が久々の記者会見で揮毫をしていました。「一行は百考に如かず」でしたっけね。考えるよりやってみろよ、ってことですが、考えないと大変なことになる、という本作を見ると、結局のところ、考えることと行動に移すことのバランスがいかに難しいかがよく分かります。考えないで言われるがまま行動するのはある意味楽ですし、でも、行動せず考えるだけの方が楽なことも多々あります。言い換えれば前者は「追従」であり、後者は「妄想」です。どちらも地に足がついていないってことで、本当の意味で「考える」人がすることではないわけです。これ、怪しげな宗教みたいなもんです。教祖の言うことを妄信し、冷静さを失って自分の世界に浸る・・・。アイヒマンも結局ヒトラー教の忠実なる信者にすぎなかった、と思えば、まさしくただの「小役人」という言葉がピッタリです。今の日本の世相も何となく考えることを放棄しているっぽい感がなくもないですが、この作品を、今の安倍信者たちにも見てもらいたいと思いました。しつこいようですが、厳しい作品でした、本当に。
[映画館(字幕)] 7点(2013-11-17 18:09:30)(良:2票)
105.  トスカニーニ
さすがはゼッフィレッリ、豪華絢爛です。「アイーダ」の舞台は一見の価値ありですね。ホントに素晴らしい。音楽もなかなか。若きトスカニーニを演じたハウエルは、チェロもピアノもそれっぽく弾きこなす演技をしており、指揮ぶりも、まあ見られるレベルで、この辺りもゼッフィレッリの手腕を感じます。正直、あんまりオペラ(つーか声楽)に興味ないんですが、ゼッフィレッリの演出モノは見る楽しみがあるのでイイですね。しかし、何よりジーンと来たのは、施設の子どもたちの前でチェロを演奏したシーン。ブラームスが胸に迫りました。あの後、子どもたちの遺体が並ぶシーンを見せられて、強烈です。まあ、この後の彼の指揮者人生はまさに波乱万丈、ということを考えると、あそこでストップモーションでジ・エンドってのは上手いな、と思いました。ゼッフィレッリ、やっぱ、いいわぁ~。
[ビデオ(字幕)] 7点(2013-11-03 23:05:09)
106.  いつか晴れた日に
へぇ~、脚色を、エマ・トンプソンが。少々長いけれど、観ている者を飽きさせないし、人物描写も細やかでいて説明臭さがまるでない。スゴイ才能です。・・・ま、私のお目当ては、イモジェンだったのだけれど。この後の『十二夜』の方がキレイですね、彼女。こんなヤな女をシレっと演じてしまうあたりが、やっぱり好きだなぁ~。それはともかく、マリアンヌが重篤に陥った際の「何かできることはないか、気が狂いそうだ」というブランドン大佐の一言にシビレました。そう、これぞ、THEイイ男。俗に、「女は愛されて結婚するのが幸せだ」とか言われますが、それはちょっと違うんですね。愛にもイロイロあって、こっちが何とも思っちゃいない上にそのことを伝えているのに自分の愛情を一方的に押し付けてくる男の場合、周囲はお節介にも「あんなに思ってくれているのだから」と前述のセリフを吐いたりするのですが、女にしてみりゃ、ただのイイ迷惑なわけです。これが、社会的地位や金のある男ならなお厄介。鬱陶しくて殺してやりたくなります。殺せないのがまたムカツクんですけれども。・・・が、このブランドン大佐はそうじゃない。マリアンヌの気持ちを第一に、どんなに愛していても引き際を知っている。これが肝心なのです。こういう男になら、最初はともかく、結果的に愛されるのが幸せにつながるのです。でも、これは男に限らず女だって同じですよねぇ。自分の思いより相手の気持ちを慮ることができる。エリノアがそうですね。結局、二人とも長く幸せをつかみ損ねてきましたが、ようやく愛の実りを手にします。ま、現実では、実りなんか手にできずに朽ち果てていく“良い人”の方が圧倒的多数でしょうが。ただ一つ言えることは、押し付け愛のような図々しい愛し方をする輩は、手にしたと思った愛の実りを、ほぼ例外なく自ら手放さざるを得なくなるのです。当ったり前だろ、と言ってやりたくなりますが、もちろん小心者の私は言いません。、、、何だかよく分からないレビューになりましたが、なかなか楽しめる作品でした。
[DVD(字幕)] 7点(2013-10-20 01:57:41)(良:1票)
107.  ハムレット(1990)
ゼッフィレッリ&ヘレナ、という、私にとってはこの上ないコンビである以上、評価は思いっ切り甘くなります。主演のメル・ギブソンは、まあまあですが、もともとあんまし好きじゃないし、ここまでキャストを揃えたんなら、やっぱりダニエル・デイ=ルイスにやってほしかったなぁ~、なんて、どうにもならないことを妄想してしまったりして。そうしたら、もう、キャストだけで10点満点なんですが。・・・いや、メルは頑張っていますよ、もちろん。でもさ、ハムレットにしては、陰がなさすぎ、マッチョすぎ(あんまし頭良くなさそう、っていうか・・・、ファンの方々すみません)、というわけで、イマイチなんですよねぇ。恥ずかしながら、この名作の原作を読んでおりませんが、ハムレットのイメージだけはしっかりあるので、そうすると、メルとのギャップはいかんともしがたいわけですな、これが。しかし、さすがはゼッフィレッリ、美術も映像も素晴らしい。大げさなせりふ回しはシェイクスピアである以上、まあ仕方ないとして、演出もうまくさばいているのではないでしょうか。出色なのは、グレン・クローズのガートルード。アラン・ベイツもさすが。いやー、返す返すも、メルがミスキャスト(あくまで私にとってです)で、惜しい・・・。追々、他作品も見比べてみようと思います。
[DVD(字幕)] 7点(2013-06-02 15:18:33)
108.  アポロンの地獄
なかなか面白かったです。思ったより大人しいというか、真っ当で拍子抜けした部分もありますが。ギリシャ神話を題材にしているとはいえ、背景は荒涼とした砂漠だったり、音楽は日本のお神楽だったり、西欧文明がナンボのもんじゃい!みたいなパゾリーニの気概が感じられて楽しいです。ただ、タブーを犯したことを知った後のオイディプスが喚き過ぎで非常にうるさく、ドン引き。あんな大声で喚く演出の意図は、一体何ぞや?と、ちょっと考えてしまったけれど、まあ、これは分かりません。オープニングとラストで現代のイタリアが舞台となるのも、なかなか面白い。父親にナチスの服着せるあたり、キョーレツな悪意を感じます。そして、あの魅惑的な母親。まぁ、パゾリーニにしてはかなりフツーの映画だと思いますが、見て損はないと思います。
[DVD(字幕)] 7点(2012-05-23 22:23:11)
109.  レオン/完全版
世間じゃ、完全版の評判は芳しくないようですが、ここではオリジナルより平均点高いのですねぇ。オリジナルでなく、完全版しか見ていないので、比較のしようがないけれども、なかなか面白かったです。2時間を超える時間も気にならない、上質なエンタメ作品に仕上がっていると思います。オリジナルでカットされたところを見ると、結構重要なシーンでは? あれらのシーンがないと、むしろ、なんだか消化不良になりそうなんですけど・・・。なんつっても、ナタリー・ポートマン。可愛いぃ~。いい歳したオヤジがあんな子どもにloveもクソもあるか、気持ちわりぃというご意見もごもっともだけれども、レオンのマチルダに対するloveはエロス抜きのloveじゃないかなーと感じました。娘とか妹とかに対する家族愛とも違う、でも、女性に対する肉欲を伴った愛とも違う、いわゆる恋愛でいう所の初期~中期とゆーか、“会えばする”の発情期を過ぎた後に相手に抱くもっと深遠な愛情みたいな。レオンは、一足飛びにそこまで至ったんではないかと。いや、別にエロス抜きでなくても、私的にはOKですが。あんまりこのことについて書くと、ちょっとマズイからやめておくけど、道徳とかモラルでは切り刻めないものが人間の中には一杯あるでしょうから。それを行動に移すこととはまた別次元であって、レオンは少なくとも命をかけたわけですからね。命懸けのloveは私はとりあえずは良しとしたい。エロス先行発情型恋愛を本物の愛だと豪語している人間だって一杯いるわけで。どっちも本物じゃないとは言えないでしょ。話題になっただけのことはあるなぁ、と納得の一作でございました。あと、ゲイリー・オールドマンは圧巻。
[DVD(字幕)] 7点(2012-02-07 23:28:36)
110.  アリス(1988)
彼のアニメ作家としての名を不動のものにした作品、、、なんだろうけど、まあ、確かに面白いし、アリスの女の子も可愛いし、出て来るキャラも素晴らしいし、飽きずに最後まで一気に見られるんだけど、やっぱり、『悦楽共犯者』の後に見ると、パンチ不足というか。こっちを先に見たら良かったんだよな、きっと。見る順番を間違えたのかも。彼の絵本の世界が動いていました、そのまんま。楽しかったです。
[映画館(字幕)] 7点(2011-10-24 23:30:28)
111.  赤い靴(1948)
名作の誉れ高い旧作をスコセッシが監修してデジタルリマスターされたってんで、これは見なくっちゃと、猛暑の中、見に行きましたよ。あー、あぢかった。・・・で、感想ですが、汗だくになって見に行った甲斐はありました。とにかく画が綺麗。やはり衣装や髪型などで古さは感じるものの、劇中バレエ『赤い靴』の延々バレエシーン等、素晴らしい。ストーリー的にはどーってことないんですが(つーか、アンデルセンの話の方が百倍恐ろしい)、この作品は、見て感じるだけで十分なんです。「愛か芸か?何で二者択一なんだよ」とか「なんだあの作曲家の夫は。妻を追い詰めてバカじゃないのか?」とかっていう尺度で考える必要はないんです。美しい画、音楽、素晴らしいバレエ、これを堪能するんです。なのでスクリーンで見たのは正解でした。劇中バレエ『赤い靴』の中で一番素晴らしかったのは、何と言っても靴屋のラストシーンの踊り。これは本当に感動的。・・・と思ったら、あのニジンスキーの後継者といわれたダンサーだったと分かって感激。ニジンスキーの後継者・・・、はぁ、嘆息。・・・いやぁ、これは、四の五の言わず、一見の価値ある作品でしょう。
[映画館(字幕)] 7点(2011-07-15 23:54:19)
112.  英国王のスピーチ 《ネタバレ》 
コメディっぽいシーンも周りからは結構笑いが起こっているけどゼンゼン笑えないし、バーティの心理的葛藤もイマイチ描写が弱いし、なんか起伏のない平坦な作品だなー、地味だなー、と退屈気味になっていたところへ、終盤に差し掛かり、「王の謝罪を待つ者は長く待たねばならない」と言って、王自らがライオネルの所へやってくるシーン。・・・ここで一気にグッと来て泣けてしまった。自分にとってライオネルの存在がいかに大事であるか、王が認め表明した瞬間。あとは、ラストまで一気に見せてもらった。あのスピーチは、やっぱり感動的だった。国難にあって、自身の弱さに打克ち、国王自らが国民を鼓舞するメッセージを一語一語噛み締めて発する雄姿を、同じく現在国難に直面している我が国のリーダーにも求めてしまうのは高望みなんだろうか。こういうときに、たとえ何の裏づけもなくとも「大丈夫! 乗り越えられる! 乗り越えねばならぬ!」と、国を代表する者が言わずして誰が言う? それを、図らずも国王になったとはいえ、ジョージ6世は理解し、自覚し、自らを奮い立たせてメッセージを発したことに、国民は勇気付けられたのだ。・・・それはさておき、久しぶりに、ヘレナがまともな役で出る映画だってんで、前売り買って行く気満々だったのが、大震災で気も削がれ、ようやく最終日に滑り込んで見に行ったわけだが、やはりヘレナは非常に素晴らしい演技で存在感を示していたのが、長年の彼女のファンとしては心底嬉しかった。オスカーに久々ノミネートだったけれども受賞には至らず、残念と言えば残念だが、ヘレナには今後も彼女の良さが最大限引き出される役柄をどんどん演じてもらいたいと、本作を見て強く感じた次第。私はやっぱりヘレナが好きである。
[映画館(字幕)] 7点(2011-04-11 23:47:58)
113.  白いリボン
2時間半という長尺の割にはあっという間に終わった感じ。ハネケにしては随分親切な作りで、なんだか意外。もちろん、明解な答えは提示されないんだけれども、これまでの不条理感漂う「分かりにくさ」とは、その「分かりにくさ」の質が全く異なるように思う。結局、こうして絶対服従を強いられてきた子どもたちは長じてどのような歴史の選択をしたか、我々は知っている。だから、そこを意識して見ると、この映画はかなりコワイ。思考停止の訓練を受けた人間の辿る道とは、、、みたいなものを、モノクロのスクリーンから突き付けられるようでかなり不気味ではある。邦題の「白いリボン」は、大人の価値観の押し付けの象徴かな、と受け留めた。それにしても、これがパルムドールねぇ、、、。私は、もっと直截的な毒がある作品の方が好きだけど、まあ、これは通が好みそうではあるかな、確かに。牧師とか医師とか大人の男たち、大勢の子どもたち、いずれも途中まで顔の判別がつきにくく、見ていていささか混乱気味だった。・・・うーん、これは、まあ、よくよく考えるとものすごーい毒性の高い作品だとは思うけれど、私的にはちょっと好みではないかも。いや、面白かったんですよ、ええ。でも、ハネケ作品ってことで期待してしまったのとは、ベクトルの向きも大きさもかなり違っておりましたんで、若干点数は抑え目で。
[映画館(字幕)] 7点(2011-01-12 22:02:22)
114.  私の中のもうひとりの私 《ネタバレ》 
少し違うけどアガサ・クリスティーの『春にして君を離れ』を思い出してしまった。んでもって本作を見終わってから読んでしまった。どちらも、自分の認識している「自分」と周囲の認識している「自分」の乖離がもたらす苦々しいドラマ。ラストは違うが。本作のほうが百倍救いがあってホッとなる。決定的に違うのは、やっぱり第三者にズバッと本質をつかれたことだろう。しかも直接言われたわけじゃない。隣室のカウンセリングの会話で自分を客観的に見ざるを得なくなる。面と向って言われれば、むしろ反発して終わりだったかもしれない。『春にして~』のジョーンの場合、嫌味を言われることはあっても、客観視できるような機会はなかったことが悲劇的なラストになる。そして2人の夫も好対照。マリオンの夫は堂々と彼女を裏切るが、ジョーンの夫はそれをしない。気持ちは他の女性に動いていても、行動しない。これには何よりマリオンが経済的に自立した女性だったことも大きいだろう。ジョーンは専業主婦で夫の庇護がなければ生きていけない、というのは、夫にとっても重い枷になるのだということがよく分かる。・・・30歳からシナリオを書くようになったんだけれども、恐らく小説も、いや創造し表現するという作業には須らく共通するだろうが、当然の如くこれらの作業は自分と向き合うことを強要してくる。実にツライ。自分の醜い部分をこれでもかと見せ付けられる。当たり前だが、人には百人百様のモノサシがあり、似通っているものはあっても誰のものとも一致することはないし、立場が違えば同じモノでも形が違って見えるのだ、ということを、案外、自分も含めて人は分かっていないということに気付かされ愕然としたものだ。人間死ぬまで発展途上であると肝に銘じたわけだが、下手すると忘れてしまう。でもこういう映画や小説に接すると、思い出させてくれる。マリオンやジョーンのような志向は人間ならば誰にでも大なり小なりあるはずだが、そのことについて自覚が無いことほど恐ろしいものはない。マリオンは自覚できたから、救われたのだ。もちろん同じことが起きても誰にでも自覚できるわけではない。ジョーンは多分一生あのまま・・・、恐ろしい。
[DVD(字幕)] 7点(2010-12-05 00:57:04)
115.  マリアの恋人 《ネタバレ》 
うーん、これは、純愛ドラマといえるんでしょうが、戦争が非常に影を落としているという背景なのがミソですね。夢にまで見たマリアを抱く瞬間が現実となったとき、戦争での筆舌に尽くし難い体験と相まって、イバンは不能状態になってしまう・・・。私は男じゃないけれども、何となく分かる気がしてしまったゾ!(こーゆーばやい、男性ってのは女に理解されるよりもむしろ罵られた方が良いんでしょーか、なにあの役立たず!とかって、、、)思い入れが強過ぎて体と心がバラバラになっちゃうってこと、ありますよ、女でも。ましてや夢を見ていたその場所は血だらけのネズミが這い回る生死の境界線・・・、そりゃ不能になるのも無理からぬと思います。が、しかし、マリアの気持ちもよく分かるだけに、これはツライ映画です。まあ、細かい所で?な部分もあるけれど、なかなかグッと来る作品でした。ナタキンだから、余計にグッと来たってのもあるでしょうな。彼女、真っ赤なルージュは似合いませんね。何はともあれ、ラストは結ばれた二人。よかったよかった。
[DVD(字幕)] 7点(2010-11-07 22:21:47)
116.  十二夜(1996)
愛すべきヘレナとイモジェンが同じ画面内にいることにカンゲキ!! ヘレナは相変わらず魅力的だし、なにより、イモジェンの可愛さといったらありません。正真正銘の美女は男装すると紛れもないイイ男になるんだぁ(美男は女装してもせいぜいキレイなニューハーフにしかならんのに)、、、と、呆然。こう言っちゃ失礼だけど、同じシェイクスピアもので男装したグウィネスとは雲泥の差・・・。ヘレナ演ずるオリヴィアが一目惚れするのも無理からぬ。こういう作品は、細かい所をあげつらっても仕方なく、ひたすらコメディとハッピーエンドを楽しむことに徹する方が楽しめますね。双子の兄妹が再会する所では不覚にもホロリときたりして。衣装も美術も音楽も素敵。トビー・スティーヴンスは、ビックリするくらいお母様そっくりですねえ。なかなかイイ男ぶりでした。いろんな意味で目の保養になる映画でございました。
[DVD(字幕)] 7点(2010-10-17 21:43:22)
117.  刑事コロンボ/魔術師の幻想<TVM> 《ネタバレ》 
「第三の終章」といい、本作といい、J・キャシディ犯人版はなかなか凝ってますねー。9分で犯行を完遂させなければならない、しかもアリバイ作りもして。これは、まさに魔術師技。そして手際よく事を成し遂げ、その様は、殺人とはいえ鮮やかと言わざるを得ず・・・。ステージ上での警部との対決が見応え十分。結局、タイプが落とし穴でしたが、犯人は頑張ったと思いますね。ただ、やっぱり、完全犯罪というのは幻想なんでしょう。こうやって、狙えば狙うほどどこかに綻びが生じてしまうというような。現実世界でも、遺留品一杯でアリバイ工作なんてしていないような大胆な犯行の方が迷宮入りしているのを見ても、それらの真犯人が完全犯罪を狙っていた様子はうかがえませんもんね。警部にもその辺の見解を聞いてみたいところです。
[CS・衛星(吹替)] 7点(2010-09-18 23:26:33)
118.  刑事コロンボ/策謀の結末<TVM> 《ネタバレ》 
小池版の音源は紛失したと聞いていたので、小池版で見られたのはラッキーだったのかしら。デヴリン氏の声はとっつぁんというよりルパンに近かった気が・・・。今回は犯人がIRAだからか、音楽もケルトチックでなかなかgooでした。瓶の傷は「これが決め手になるな」って分かっちゃうよねぇ。密輸船をどうやって阻止するのか、ラストは手に汗握る展開で、これも楽しめる。まあ、確かにスケールの大きい話にはなっているけれども、相変わらず重箱の隅突付く警部の捜査は健在で、犯人とのせめぎ合いはなかなかのもの。コロンボらしいといえる作品の一つでは。でも、私が一番気に入ったのは、カーボーイハット被った武器商人のオジサン。人を喰ったようなところがイイ。ああやって、シラ~ッと悪事をやってのける。そこに理屈もへったくれもない(感じがする)ところが人間臭くて魅力的だ・・・。ラスト、解決した所でようやく盃を受ける警部。でもこれは相手への共感なんかじゃ断じてないと思う。警部は基本的に殺人という罪に対してとてもシビアだし、罪を憎んで人を憎まずなんていう偽善も持ち合わせていない人だと思う。そして何より今回の犯人は、善人面して、裏で大量殺戮を遂行するという、警部の最も侮蔑するタイプの犯人だと思うので。強いて警部が同情を寄せた犯人がいるとすれば「死者のメッセージ」のアビゲイル・ミッチェルだけだと思う。誰がなんと言おうと、私はそう思うのです。旧版のラスト作品ということで、ちょっと思い入れを書き過ぎました。失礼。
[CS・衛星(吹替)] 7点(2010-09-11 00:39:16)
119.  刑事コロンボ/忘れられたスター<TVM>
個人的には、人情ドラマ系より、ギリギリ犯人を厳しく追い詰める話のほうが好き。ま、これはこれでイイ味出していると思うけれども。殺されちゃった夫は、イケスカナイ爺さんだなぁ。妻が病で余命いくばくもないと分かっていて、その妻がカムバックを熱望しているという状況でしょ。病を告げないのであれば最期を迎えるまで本人の望むように生かしてあげるべきだろうし、カムバックを断固阻止するのであれば病を妻に告知すべきではないか。妻を愛していれば、妻の気持ちに寄り添って物事を考えられるはずなのに、この夫は自分のことしか考えていない気がするんだよね。妻を思う心優しい夫なのに行き違いで殺されちゃったみたいな描写だったけど、違うよね。カムバックを認めればカネを巻き上げられる、病を告知すれば修羅場、どっちもイヤだ、というセコい思考回路だったんでしょーが(と勝手に断言)。私は基本的に人殺しという手段を選んだ犯人には同情しないし、本作でも彼女に共感はしないけれども、殺された夫にもゼンゼン同情できないね、こりゃ。それにしても、ジャネット・リーの存在感は圧倒的でしたね。ダイアモンドとのダンスシーンは見ているほうが恥かしかったけれども・・・。結構好きなジェイミー・リー・カーチスのお母様だと思うと、何というか、贔屓目で見てしまうわぁ。あ、警部のタキシード姿、決まってましたよ。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2010-09-04 23:21:09)
120.  レスラー
崩れたお顔のミッキー・ローク、という下世話な好奇心を粉砕する、上質なヒューマンドラマに仕上がっていました。「80年代は良かった、90年代はクソだ」って、バブル世代としては何となく分かるわ~。音楽だけでなくて、何もかもがそう思えてしまうこともあるもんね。単なるノスタルジーだけど。と、映画に戻って、ミッキー・ローク。いやー、素晴らしかった。この映画自体を彼自身に重ねる評も巷じゃよく見かけたけれども、そういうのは違うと思う。彼は、役者としてランディを演じたのであって、純粋に役を演じた俳優として評価すべきなんじゃ? 失礼でしょ、俳優に。ま、彼自身はそんなことどーでも良いかも知らんが。リングの上だけが生きる場所というのは、哀しいけれども、かなり幸せだとも思う。少なくとも、いくらかの人々を喜ばせ感動させているのだし、そういう才能を持ち合わせ、努力をしてきた証ではないか。人生とは、いかに自己満足で完結できるかが大切なのだ、ということを改めて教えてもらった気がする。
[DVD(字幕)] 7点(2010-08-29 23:06:43)
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