1341. ZOMBIO(ゾンバイオ)/死霊のしたたり
原作はハワード・フィリプス・ラヴクラフトの短編「死体蘇生人:ハーバート・ウエスト」。ま、ラヴクラフト作品ではカスの部類に入るので、映画版の途轍もない暴走ぶりにも大して腹も立たないってトコですか。ヒル教授の「ブロッケン伯爵」風ゾンビが主役ウエストを食う怪演で、ここまでやられると何か「もっとやれ~!!」とか無責任に叫んでしまいそう(^^)。同スタッフで作った次作「フロム・ビヨンド」(これまたラヴクラフト作品「彼方より」の映画化)も完全にイッてしまってマス! 6点(2002-12-31 04:56:11) |
1342. スペースバンパイア
やっぱり、このダサイ邦題(まぁ、コリン・ウィルソンの原作がコレなんだけど)がこの作品の価値を相当スポイルしてるってことでしょう。んっとに無神経な!それこそまんま片仮名で「ライフフォース」ってしてくれた方がナンボかマシだった…。マチルダ・メイの素っ裸エイリアンは凄いインパクトだし、何かピカードが医者になってるし、ロンドン中ゾンビだらけになるし、トビー・フーパーに過剰な期待さえしなけりゃ結構面白いと思いますが。アノ「悪魔のいけにえ」監督にしちゃ上出来の部類でしょ? 7点(2002-12-31 04:35:28) |
1343. 007/カジノ・ロワイヤル(1967)
007シリーズ番外編。監督がジョン・ヒューストン単独ならば、もうちょっと面白くなったのかも。実際はヴァル・ゲスト、ケン・ヒューズ他総勢5名の共同監督なので、ストーリーの脈絡も滅茶苦茶なツギハギのフランケンシュタインのモンスター的怪作に成り果てている。スタッフは面白がって撮っているみたいだけど、こちらはシラケ気味で何か正月のオールスター隠し芸大会でも観てるかの如きチープさが全編に漂う。パロディってのは相当な技量を要するモノなんだと痛感。 4点(2002-12-31 03:51:15) |
1344. 007は二度死ぬ
皆さん、大らかデスな~。私ゃあんな出鱈目な日本描写にはトテモ付いて行けないッス。阿蘇の火口に基地って…いくら何でも無茶にも程があるっしょ!ホテルニューオータニも何か香港ロケみたいで変だし。あと、女優名はミス・マネペニーも確かに出てるかもしれないけど、ボンドガール女優にしましょうよ。コレだったら、若林映子か浜美枝でしょう?まあ、カリン・ドールでも可。ブロフェルド役は本作のD・プレズンスが一番似合ってる感じ。 5点(2002-12-31 03:34:36) |
1345. 卒業(1967)
こういう作り話の枝葉末節をあれこれ突くのもどうかと思うが…。一種の現代(70年代)のメルヘンとして、ニコルズ監督の鮮やかな演出テクニックとS&GのピタリとはまったBGMと名手ロバート・サーティスの絶妙なカメラ・アングルに酔いしれる映画デスよ、コレは。ベンジャミン役は当初ロバート・レッドフォードにオファーがあったとか。それはそれで見たい気もしないではないが、矢張りあの何とも言えないペーソスを醸し出せるのがホフマンの真骨頂なのでは?賛否両論の「花嫁掠奪」も、戦前からのアメリカ映画(特にミュージカルやサイレント喜劇)によく見られた一種のお約束みたいなモノ。なので、あんまり目くじら立てることもないんじゃ?だって…ミュージカル観てて「こんな風に突然街角で歌い踊り出す人間なんか現実には存在しない!」とか言わないよ、フツー。鑑賞の仕方を根本的に間違ってると思うけどナ。 8点(2002-12-31 03:13:14)(良:1票) |
1346. 冷血(1967)
この種の犯罪映画としては抜群の迫力だが、ベストセラーとなったトルーマン・カポーティの原作ドキュメンタリーに負う所が大きい。正に「事実は小説より奇なり」といった感じか。リチャード・ブルックス監督作としてもベストだと思う。スコット・ウィルスン、ロバート・ブレイクとも異様な凄味を出して好演。ただ、「面白い」といった類のモノではないので、誰にでもオススメとは…。 8点(2002-12-31 02:36:34) |
1347. 逃亡地帯(1966)
保安官役のマーロン・ブランドが…変に役に凝り過ぎる悪いクセが既に現れてて作品全体をスポイルしてしまっている。「波止場」や「欲望という名の電車」くらいまでは、引き締まってて野性味もあったんだが、何か太り過ぎて颯爽としていないのもNG!リリアン・ヘルマンの脚本、アーサー・ペンの監督は申し分ないのにネェ…惜しい! 7点(2002-12-31 02:23:46) |
1348. 十三人の刺客(1963)
確かに西村晃の無様な最期(「か、刀、刀!」)は脳裏に焼き付くインパクトだった。ただ、個人的には狂気の明石藩主を演じた菅貫太郎のアノ完全にイッてしまった目つきと狼藉ぶりも忘れがたい。オレが千恵蔵ならあんなにアッサリ殺さず、ネチネチ苦しめた揚げ句に嬲り殺しにするね。工藤栄一監督の東映集団時代劇は「大殺陣」「十一人の侍」を経て、実録やくざ映画へと変貌していったのだった。ウーム、残念。 8点(2002-12-30 05:58:13) |
1349. シベールの日曜日
《ネタバレ》 セルジュ・ブールギニョンという監督はよく知らないが、パトリシア・ゴッジ扮する少女が可愛くて…!無邪気な二人を偏見で永遠に引き裂く銃弾に胸が痛みました。変態扱いされて射殺されたピエールに同情の念を禁じ得ません。こういう映画はフランスの独壇場ですナ。 8点(2002-12-30 05:08:23) |
1350. SF巨大生物の島
ヴェルヌの名作「神秘島物語」の映画化…ていうかハリーハウゼンのモンスター大行進みたいな。原作の面影殆どナシ!巨大な牡蠣(かき)、巨大な蟹(かに)、巨大な鶏(にわとり)と出るわ出るわ。登場人物達が途轍もなく食欲旺盛で前述のモンスター全て返り討ちにして食い尽くしてます。ヴェルヌ原作と思わなければ、何か馬鹿馬鹿しくも面白いデス。ネモ船長も出るし。飽くまでそれなりに、ですが。 7点(2002-12-30 04:53:38) |
1351. ポケット一杯の幸福
キャプラの遺作なんだが…セルフ・リメイクてのが何とも泣かせる。残念ながら才気走った演出の33年版(「一日だけの淑女」)には遠く及ばない。それでも旧作を知らないヒトに充分面白いと思わしめるのは、デイモン・ラニアンの原作が素晴らしいからに他ならない。「ステラ・ダラス」にしろ、「一日だけの淑女」にしろ所謂「母モノ」って奴は洋の東西を問わず好んで描かれる題材だねぇ。しかし…確かにピーター・フォークは出てるけど、主演は本来グレン・フォードじゃあないのかな? 7点(2002-12-30 04:35:19) |
1352. おとうと(1960)
幸田文の原作も良いが、市川崑の演出が又素晴らしい文芸映画のお手本ともいうべき傑作。しかし、本作最大の功労者はセピア色の見事な色彩処理を見せた天才カメラマン宮川一夫だろう。グレた弟に川口浩てのはどうでもいいが、矢張り健気な姉を演じる若き岸恵子は可憐だし、両親を演じた森雅之と田中絹代は渋い存在感で脇をガッチリ固めており絶品。リメイク版の浅茅陽子・郷ひろみヴァージョンは…敢えて言おう、「カス」であると! 8点(2002-12-30 04:13:54) |
1353. スパルタカス(1960)
まぁ、史実と違うのはこの手の映画の常なので突っ込むのは野暮と知りつつ、敢えて言わせて貰うと…クラッスス(映画ではクラサス)がオリヴィエじゃあカッコ良過ぎ!史実ではケチな金貸しであって、軍事面の才能など全然無かった。スパルタクス(映画じゃスパルタカス)の凄さはローマ正規軍を堂々と野戦で立て続けに打ち破っているところにあるのに、本格的な戦闘シーンがラストの負け戦てのも…。余りキューブリックの才気を感じさせる場面もナシ。よくある70mm超大作歴史スペクタクルって感じ。 7点(2002-12-30 03:53:20) |
1354. 007/ロシアより愛をこめて
本作が何故シリーズ最高傑作なのか?ソ連崩壊後の今日では想像も付かないだろうが、息詰まる東西冷戦の娯楽アレンジとしてあらゆる面で実に優秀だから、としか言い様が無い。次作「ゴールドフィンガー」も秀作だが、僅かに及ばない理由の一つとして「ボンドガール」の差が挙げられると思う。全シリーズを通しても最高にチャーミングなダニエラ・ビアンキ!演じるソ連諜報部員タチアナに比べるとオナー・ブラックマン扮するプシー・ガロアではオバハン過ぎる。しかし、両作に共通することは「敵が強く、魅力的」だということ。ボンドがやたらに強すぎるわ、オンナにモテモテだわ、だけじゃコネリーはゴキゲンでもこっちは詰まらないし、ちっとも盛り上がらないからね。その点、中世の魔女みたいな容貌のスペクター女上司ローザに扮し、ボンドをあわや、というところまで追い詰めた名女優ロッテ・レーニャ(パプスト版「三文オペラ」は必見!)の怪演は強烈で忘れがたい。これにロバート・ショウ演じる殺し屋グラント(これまたド迫力!)まで加わるんだから正しく「鬼に金棒」、果たしてボンドの運命や如何に?てな感じで煽っても説得力が生まれるのである。妙な新兵器とかに頼らず、一瞬の状況判断でピンチを切り抜ける丹念な描写も本作と次作まではあったんだが…。封切り邦題の「危機一髪」ならぬ「危機一発」も敢えて誤植を装うイキなタイトルだったネェ。(今の配給会社の邦題のセンスの無さにはもう呆れるを通り越して泣けてくるわ。何でもカタカナにすりゃあ良いってモンじゃないだろーが!!)そうそう、マット・モンローの主題歌もグー。 8点(2002-12-30 03:22:20) |
1355. スーパーマンIII/電子の要塞
前作の悪役が三悪人+ルーサーだったことを思い合わせれば、ロバート・ボーンなんてケチな小悪党では明らかに役不足。そう思って出したんであろうコンピュータが輪を掛けてチャチなのが致命的。次でジ・エンドになったのも当然の駄作としか言い様が無い。クリストファー・リーヴも「こんなシリーズと心中するのはゴメンだ」と必死にイメチェンしてたっけ。カーペンターの「光る眼」以来見かけないナァ…。 5点(2002-12-29 03:27:24) |
1356. ブレードランナー
リドリー・スコット第2作(「デュエリスト」から数えりゃあ3作目か?)にしてカルト。ヒゲガンダムのデザイナーと同一人物とは思えない、美術シド・ミードのベストワーク。「協力わかもと」の看板、怪しげな日本語の飛び交う屋台に降りしきる酸性雨…。胡散臭過ぎる2020年の未来都市の映像はCG垂れ流しの現在でも見事。このアトモスフィアを描く方便にP・K・ディック原作を付き合わせたのはチト頂けないが、ディック無しにこの沈鬱なイメージは到底インスパイアされなかっただろうからマァ仕方ないか。とは言え、「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」とはハッキリ言って別物なんで、ディック好きの私としては絶対に混同してもらいたくない。読んだヒトなら分かる…よね? 7点(2002-12-29 03:01:43)(良:1票) |
1357. タイタンの戦い(1981)
「キング・コング」に魅せられた男・レイ・ハリーハウゼン最後の劇場公開作という点に敬意を表し、6点。って敬意表してないジャン(^^)!でも、ギリシャ神話モノでは既に「アルゴ探検隊の大冒険」というマスターピースがあるからネェ…。この手のジャンルには名優とか出さない方がイイのに、オリヴィエとかM・スミスとか出すし。おかげでモンスターの印象が弱い、弱い。モンスターそのものの出来も今イチ。ラストを飾る大海獣クラーケンなんてイーマ竜(マニアしか知らないか)に腕を付け足しただけみたいな感じで、造形的にも「シンドバッド七回目の冒険」(58年!作)のサイクロプスやドラゴンの素晴らしさには遠く及ばない。特に致命的なのは主役のペルセウスを演じるハリー・ハムリン?とかいう俳優が全然颯爽としておらず、ちっともファンタジーを感じられない点。ま、これはハリーハウゼンの責任じゃないけどね。有終の美を飾りたかったんだろうけど、「ハリーハウゼン老いたり」て感じ。だけど、昨今のCG垂れ流しSF映画なんかより遙かに良いのは確かなんで勘違いしないで欲しいナ。あ、アンドロメダ役のジュディ・バウカーは結構可愛かったよー。 6点(2002-12-29 02:27:42) |
1358. ゴジラの逆襲
前作のヒットで気を良くした東宝が無理矢理続編制作を決定した出発点がそもそもの間違い。テーマよりもビジネス優先で面白くなるハズがないだろう。シリーズ化なんて考えなかったからこそ、オキシジェン・デストロイヤーなんて裏技使ってゴジラを殺したってのに…。前作ラストの山根博士のモノローグはシリーズ化の布石などでは断じてなく、核兵器開発に狂奔する米ソへの警鐘だったのだが。何の脈絡もなく唐突に登場するゴジラ(とアンギラス)には失望。登場人物とゴジラのストーリーも水と油の如く遊離している。特に氷に埋めるシーンのクドさは「大概にせんかい!」と言いたくなる程。最も致命的なのは「伊福部サウンド」の欠如。円谷英二氏もさぞや不本意だったことだろう。 5点(2002-12-27 12:08:27)(良:1票) |
1359. 地上より永遠に(1953)
直訳なれど、この名邦題。仮に今リメイクしたら、タイトルは絶対「フロム・ヒア・トゥ・エタニティ」だろーな(^^)。センス無さ過ぎにも程があるぞ、昨今の邦題は!シナトラがこの役(オスカー助演男優賞を受賞!)を得るために何をしたか、「ゴッドファーザー」でも描かれていたのは有名なハナシだが、既に当時からジンネマンの監督作品には、きっと後世に残る傑作になるであろうという信頼が厚かったのだな、という何よりの裏付けと言えよう。実際名作だし。あんなカッコイイ不倫場面は空前絶後! 9点(2002-12-27 04:19:05) |
1360. レッド・サン
三船が「サムライ」のまま西部劇に出る異色(過ぎる)映画。でもスペインロケじゃマカロニ・ウェスタンそのもののチープさが漂う。ケチらずにアメリカロケしろよ、(プロデューサーの)ドロン!一応テレンス・ヤングが監督してるけど、「暗くなるまで待って」とは大違いのヤッツケ仕事でガッカリ。しかしドロンも「さらば友よ」であれだけ食われてて、今回もブロンソンにオイシイとこ取られまくりとは学習能力に欠けるというものだ。原題は「ソレイユ・ルージュ」…ってまんま仏語なだけジャン! 6点(2002-12-26 03:39:36)(笑:1票) |