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S&Sさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2398
性別 男性
自己紹介 〈死ぬまでに観ておきたいカルト・ムービーたち〉

『What's Up, Tiger Lily?』(1966)
誰にも触れて欲しくない恥ずかしい過去があるものですが、ウディ・アレンにとっては記念すべき初監督作がどうもそうみたいです。実はこの映画、60年代に東宝で撮られた『国際秘密警察』シリーズの『火薬の樽』と『鍵の鍵』2作をつなぎ合わせて勝手に英語で吹き替えたという珍作中の珍作だそうです。予告編だけ観ると実にシュールで面白そうですが、どうも東宝には無断でいじったみたいで、おそらく日本でソフト化されるのは絶対ムリでまさにカルト中のカルトです。アレンの自伝でも、本作については無視はされてないけど人ごとみたいな書き方でほんの1・2行しか触れてないところは意味深です。

『華麗なる悪』(1969)
ジョン・ヒューストン監督作でも駄作のひとつなのですがパメラ・フランクリンに萌えていた中学生のときにTVで観てハマりました。ああ、もう一度観たいなあ・・・。スコットランド民謡調のテーマ・ソングは私のエバー・グリーンです。


   
 

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1381.  からみ合い 《ネタバレ》 
ガンを患って余命幾ばくもない大企業のオーナー社長が、遺産を与えるかどうか判断するために三人の認知してない隠し子を部下や弁護士に捜して連れて来いと命令を下す、まるで戦国武将の跡目争いか『リア王』みたいなとても現代劇とは思えないプロットです。社長以下登場人物がみな腹黒くていわば“全員悪人”といった風情で遺産をめぐった暗闘を展開するわけですが、どう考えても社長役の山村聡がミスキャストだと思います。手当たり次第に女に手をつけて子種をまき散らす、おまけに胃を三分の二も切除して療養中なのに秘書の岸恵子を手篭めにする、と言う風に肉欲の化け物みたいな絶倫男が山村聡だなんてちょっと無理があります。ここはもっと下品で脂ぎった演技が出来る役者を使うべきだったでしょう(新東宝なら適役と言える俳優がゴロゴロいますが)。 結局三人の隠し子のうち本物だったのは一人だけだったのですが、この隠し子たちが意外なほどストーリーに絡まないところがこの映画の弱いところです。芳村真理のエピソードなぞは殺人事件に繋がってゆくんですが、これってそもそも仲代達矢の弁護士が人違いをしてしまったのが発端じゃないですか。でもその辺を上手く観客に伝えられないストーリー・テリングの拙さは観ていてもどかしくなるぐらいでした。 いかにも小林正樹らしい重厚な撮り方なんですけど、なんか物足りなさが残ってしまうんですよね。
[CS・衛星(邦画)] 5点(2013-10-30 17:27:37)
1382.  どぶ鼠作戦 《ネタバレ》 
岡本喜八の愚連隊三部作シリーズの中でももっとも切れた脚本と言ってよいでしょう、この映画は。この三部作はそれぞれのプロットはバラバラですが、共通する登場人物はもちろん佐藤允で、とくに本作で彼は最高のキレ味を見せてくれます。彼と藤田進や加山雄三のやり取りは、粋で軽妙の極みで聞き惚れてしまいました。惜しむらくは、サミュエル・L・ジャクソンの決め台詞“Mother Fucker !”と並ぶインパクトがある「ちっきっしょー」が、前二作ほど聞けなかったことでしょう。 藤田進がまたいい味出してるんですよね。坊さんが召集されて中国戦線に派遣されてきたという、いかにもと言うキャラを大らかに演じております。婚礼シーンの火踊りを観ても判る通り、この映画は『隠し砦の三悪人』のパロディみたいなところが有り、その中で彼が嬉々としてセルフ・パロディに興じるとは微笑ましい限りです。ラストなんか、有名な「裏切り御免!」へのオマージュになってますからね。 加山雄三も結局意外な役どころだったわけですが、この人はヒーローよりも脇に絡む役の方が上手いんじゃないでしょうか。もっとも砂塚秀夫の抱腹絶倒ぶりには大負けしますが(パントマイムで見張りを翻弄するシーンはもう最高です)。 あと今さら言ってもしょうがないことですけど、中国人とはちゃんと中国語(たぶん)で話すのは善いんですが、昼のシーンなんかは白文字を使っているので字幕が全然読み取れないことです。これは当時の東宝映画に共通する欠点なんです。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2013-10-27 19:51:22)
1383.  ドラム 《ネタバレ》 
あの怪作『マンディンゴ』と同じ原作者の小説を映画化。『マンディンゴ』の姉妹編と呼ばれていますが、あえて言えば『マンディンゴ』のパラレル・ワールドみたいなプロットであります。 ドラムとは主人公である奴隷の名前で、演じるのはケン・ノートンだが役柄は『マンディンゴ』で演じたのとは全然関係はなし。アフリカの高貴な血筋を引いているというのは似ているけど、こっちでは母親が地主の愛人だった白人女と言うところがちょっと捻っています。 ややこしいのがドラムのご主人さまになる奴隷商人で、『マンディンゴ』で最後はたしか死んだはずの長男と同じハモンド・マックスウェルという名前なんです。彼の乳母兼女中頭もルクレチアと同じ名前で、同じ女優が演じているとなると『マンディンゴ』を観た人には頭の中に?がいっぱい湧いてきます。そこら辺はパラレル・ワールドなんだと割り切るのが無難でしょう。 登場人物はみな一段とグロテスクな奴ばかりになっていて、エロ度もアップしております。見どころはウォーレン・オーツとイゼラ・ヴェガという『ガルシアの首』のゴールデン・カップルの再登場で、ヴェガも豪快な脱ぎっぷりでした。最後は奴隷の反乱でウォーレン・オーツとケン・ノートン以外はほぼ皆殺しという結末ですが、反乱奴隷が襲ってくるシーンはまるでゾンビ映画みたいでした。 冒頭の手抜きのナレーションから始まって雑な部分が目立つ映画で、はっきりいって『マンディンゴ』の方がずっとマシでした。
[ビデオ(字幕)] 4点(2013-10-25 21:13:32)
1384.  スリーパーズ 《ネタバレ》 
少年が性的虐待を受けてその出来事が運命を変えると言うと『ミスティック・リバー』をどうしても思いだしてしまいますが、この映画も負けず劣らずの後味悪い結末でした。だいたい神父が偽証することを肯定する様なストーリーはちょっとどうなんでしょうか。デ・ニーロが演じるこの神父は、もともとさんざん悪事を働いた不良だったみたいで主人公たちがマフィアの下働きをしてもあまり本気で怒らない。いわば破壊坊主みたいな本性を持った人物なのに、デ・ニーロの演技からはあまりそれが伝わってこないんです。ストーリー上は13年の時の隔たりがあるのにデ・ニーロの風貌が全然変わっていないというところもあり、デ・ニーロめこの映画に関しては手を抜きやがったな、と思わざるを得ませんでした。でもあんなに衆人環視の中で殺人を犯しておいて、いくら店の主人や客が裁判に協力しなかったと言ってもふつう無罪になりますかね、まあ証人が聖職者でそいつが偽証するんだからどうしようもないか。 この映画こそムダに豪華な配役と言うに相応しく、とくにあの弁護士役にダスティン・ホフマンが必要だったとは到底思えませんでした。
[CS・衛星(字幕)] 5点(2013-10-24 23:10:13)
1385.  第七の封印 《ネタバレ》 
世評高いこの映画を恥ずかしながらこの歳になって初めて観ましたが、何と言っても衝撃を受けたのが冒頭の死神の登場シーンでした。黒ずくめの装束に能面のように白い異相、そして空には雲が渦巻き背景は海で波が打ち寄せている。これほど完璧に硬質なショットは滅多に拝めるものじゃありません、もう身震いしちゃいました。観るまではこの映画は死神と騎士がチェスをしながら神学論争をするお話しだと勝手に想像してましたが、予想外にも2・3手指すたびにチェスは中断してしまい、その間は騎士と従者が旅芸人たちと居城を目指すロード・ムービーのような展開で有ります。この旅芸人夫婦たちのエピソードがけっこう面白くて、中でも座長はウディ・アレンに演じさせたらピッタリだろうなという可笑しさでした。そう言えばアレンは、『愛と死』で本作のラストの“死の舞踏”をきっちりパロって再現していますが、オリジナルの方だってシュールではあるがなんか笑いを誘うところもあり、改めてアレンのベルイマン解釈の深さに感心しました。 難解で暗い映画だという評判もありますが、私には思った以上にユーモアと生への希望が感じられました。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2013-10-22 21:18:54)(良:1票)
1386.  悪の階段 《ネタバレ》 
大金を強奪した5人の男女が仲間割れというありふれたプロットなのに、不思議なほど引き込まれる魅力を持った作品です。キャスティングだけでこの映画の評価の8割は決まったとも言えます。山崎勉は『天国と地獄』の竹内銀次郎からさらに人間的感情を削ぎ落してもっと冷酷にした様なはまりキャラです。西村晃がこういう役をするのは別に珍しくはないけど、きっちり期待以上の演技を見せてくれます。一味の中に加藤大介を入れるというのがまた絶妙で、彼としては珍しい犯罪者役ですがやっぱこの人は上手いわ。そしてあの東宝きってのお嬢様女優である団令子が崩れた悪女だというのが驚きです。こういう役は、彼女のフィルモグラフィ中でも唯一ではないでしょうか。 不動産屋の中にほぼ画面が限定される後半は、二階と地下に昇り降りする階段を意識した画面造りには拘りを感じさせます。でもあの水筒のシークエンスはちょっと不自然で、だいいちあんな水筒、お店で売ってないでしょう(苦笑)。それまで山崎勉があまりに怜悧だったから、このシーンにももっと裏があるんじゃないかと勘ぐってしまって拍子抜けしちゃいました。でもこの映画の持つ独特の雰囲気はフレンチ・ノワールを東宝映画調に昇華させることに成功しており、まさに隠れた傑作と呼んで過言は無いでしょう。
[CS・衛星(邦画)] 9点(2013-10-20 20:05:30)
1387.  メイトワン-1920 《ネタバレ》 
アメリカ西バージニア州の炭鉱町メイトワンで1920年に起こった炭鉱労働争議をテーマにした作品。ここに登場する炭鉱会社は現在の眼で見ればもうブラック企業そのもので、低賃金なだけでなく給料をクーポン券みたいなものらしい社票で支払いし、買い物は会社が運営する商店でしか認めず(もちろん社票しか使えない)、違反したら罰金をとる。労働者たちは組合を創ってストに突入するが、会社も対抗して新規に集めた黒人やイタリア移民の労働者をスト破りに投入してくる。そんなところへ組合の全米組織からひとりのオルグが派遣されてくるが、会社側も武装したゴロツキどもを代理人として呼び寄せた。 この映画の巧みなところは、この抗争をウェスタンとして見せてくれるところで、社会派的なテーマを風刺と娯楽性を盛り込んで料理するジョン・セイルズ脚本の真骨頂です。組合の指導者役のクリス・クーパーはこれが映画デビューです。カリスマ性を持ったリーダー役として評価できる演技ですが、ラストでは警察署長役のデヴィッド・ストラザーンが思わぬ展開でヒーロー役を奪っちゃう、と言うか実はこの署長がヒーローだったというオチは実に上手いシナリオでした。 クライマックスの対決はもう西部劇の決闘そのもので、我慢を重ねて最後に怒りを爆発させる展開も東映任侠映画みたいなカタルシスが味わえます。オスカーにノミネートされたハスケル・ウェクスラーの撮影なんですが、残念ながら古いビデオでの鑑賞だったんで、イマイチその繊細さが判りませんでした。デジタル・ソフトでのリリースが待ち望まれます。
[ビデオ(字幕)] 8点(2013-10-16 23:10:20)
1388.  セコーカス・セブン 《ネタバレ》 
ロジャー・コーマン門下生の中で、社会派NO.1と言えるジョン・セイルズの監督デビュー作です。10年ぶりに故郷の町に集まる七人の男女たちの週末2日間を描いており、インディーズらしく無名の俳優ばかりだけど、マギー・レンジとゴードン・クラップ、そしてデヴィッド・ストラザーンといったジョン・セイルズ作品の常連となる顔ぶれもすでに登場しています。実はこの映画は、ローレンス・カスダンの『再会の時』などいわゆる“リ・ユニオン”ジャンルの先駆けとなった作品なのです。 ベビー・ブーマー、日本で言うところの団塊の世代が30代になろうとするころが時代背景で、この映画に登場する男女も学生運動で警察の御厄介になった想い出を共有する仲でもあります。この七人がまた元カレ・元カノ同士で(まあ田舎町ですから、若い連中のヤルことはアレと言うわけです)、けっこう複雑な人間関係みたいですが、セイルズの脚本はあまりそのことが気にならない巧緻さがあります。バスケで遊んでいるところや川に男たちがフルチンで飛び込みをするところを延々と撮っていたりして、独特の間があるところは好きです。 特に事件も起こらずに別れてゆく七人ですが、なんか青春が終わった瞬間を見せられた様な余韻がありました。
[ビデオ(字幕)] 7点(2013-10-15 19:26:38)
1389.  女優フランシス 《ネタバレ》 
“ハリウッドに翻弄された悲劇の女優の生涯”という感じのお話しかと思いきや、実は母娘の確執がどちらかと言うとメインのドラマでした。映画の半分ぐらいでフランシス・ファーマーが精神病院にぶち込まれてしまうので、後はもう『カッコーの巣の上で』状態。退院してからの母親との壮絶なバトルはなかなかの見ものです。ジェシカ・ラングの『キング・コング』の呪縛を晴らすかの様な熱演は、彼女が当時に置かれていた状況を知っているこちらとしてはちょっと暑苦しくなるぐらいです。 でもジェシカやキム・スタンレーの演技に監督と脚本家の能力が全然追いついていないので、けっきょく印象が散漫ななにが言いたいのか判らない映画となってしまいました。サム・シェパードなんか、モノローグまでしているのに、この人物が何を生業にしているのかさえ観ただけでは判らないというのも変な話で、ここら辺にこの映画の脚本のヘタさが表れていると思います。フランシス・ファーマーと言う人は、別に精神病院で朽ち果てたわけではなく退院後は芸能界に復帰して1970年まで生きたそうですが、ロボトミー手術を施されたということについては真偽が不明で、これは“都市伝説”だと主張している人もいるんだそうです。
[ビデオ(字幕)] 5点(2013-10-12 21:42:25)
1390.  人生はビギナーズ 《ネタバレ》 
クリストファー・プラマーを想定して書かれたとしか思えないカミングアウトお父さんのキャラでした。突然親父さんが“実は俺はゲイなんだ”と息子に告白する、これは典型的なシチュエーション・コメディのプロットになるぐらいですが、そこをあえてゆる~く撮って息子の“喪失と再生”へとつなげてゆく映画の構成はなんか癒されました。そう、この映画はプラマーじゃなくて、あくまでユアン・マクレガーが主役なんですね。でもそう考えると、ユアンのキャラはどうも曖昧で薄い印象はぬぐいきれません。メラニー・ロランにユダヤ人だと告白されて(と言ってもそんな大げさなものではなく、彼女が自分の身の上を語った際についでに出た様な印象)たいそう驚いているが、今日アメリカの都会でユダヤ人であることがそんなに意識されるとは思えない。これには彼が心の中に隠している傷、自らのアイデンティティの喪失感を表現しているのだろうが、そんなウジウジした心象は好き嫌いが分かれるところでしょう。 でもユアン・マクレガーもメラニー・ロランもとってもいい演技で、プラマーの好演と合わさって素晴らしい演技三重奏でした。現在と過去をシームレスに繋ぐ編集も良かったと思います。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2013-10-10 20:50:46)
1391.  モスキート・コースト 《ネタバレ》 
やればできるじゃないか、ハリソン・フォード!(失礼)。彼にこれほどテンションが高い演技が出来るとは、もうびっくりです。『刑事ジョン・ブック』での実績もあるし、監督のピーター・ウィアーはまさに“ハリソン・フォード遣い”の名人ですね(笑)。 この主人公の人物造形がまたうまく、良くいる自然回帰派のナチュラリストかと思ったら実は自分の王国を造ってそこに創造神として君臨したいだけ、つまり『地獄の黙示録』のカーツ大佐と本質的に同じ人間なわけです。バベルの塔の様な彼が発明した製氷機が爆発・炎上するシーンは、『地獄の黙示録』のカーツ王国の崩壊のシーンとそっくりです。彼に翻弄されるヘレン・ミレンやリバー・フェニックスの家族たちが家族崩壊の寸前まで追い詰められながらも、最後はハリソン・フォードの死を看取ってあげるラストは良かった。劇中ハリソンは妻であるヘレンを名前じゃなくて“Mother”と呼び続けるのがとても奇妙に思えたのですが、これはきっとヘレンがハリソンの聖母だったことを表しているんだと最後には判りました。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2013-10-07 20:50:29)
1392.  ユージュアル・サスペクツ 《ネタバレ》 
このお話は、小説にするにはとても高度な筆力が必要だと思います。フィクションの世界で良く言われる“信頼できない語り手”の独白でストーリーが展開されるので、当然映像にはその語り手が観たことや聞いたことだけが映されるわけです。だから観客を騙すのは映画の方が文章で表現する小説よりも容易なんだなと改めて気づかされるわけですが、これ以上言うのはネタばれになり過ぎるので止めておきます。でもホント、この映画を観て騙されなかった人はいるのか疑問です。でも鍵というかアラはありまして、ファースト・シーンの船上でのやり取り、これは余計というか映画を台無しにしかねない失敗だと思います。 しかしラスト5分のたたみ掛ける様な迫力は超一級で、あの弁護士の名前がなんでコバヤシなのかが判る場面は背筋がゾッとしましたよ。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2013-10-05 18:31:11)
1393.  アマデウス 《ネタバレ》 
原作の戯曲および脚本を書いたのがピーター・シェーファー、どうりでミステリー色が濃厚なわけです。またこの脚本が、もう一部の隙もないという表現がぴったりな代物で、あまりに理論的でかっちりしたストーリーなところがかえってこの映画の弱みじゃないかと思えてきます。そこは「音ひとつでも欠けたら台無しになってしまう」というモーツァルトの音楽にも繋がるところがあるやと思いますし、ディレクターズ・カット版などはなんの意味があったのか理解できません。 恥ずかしながら、この映画を観るまでモーツァルトの天才ぶりや俗人としか言いようがないキャラについては、知識を持っていませんでした。楽聖モーツァルトにあのけたたましい笑い声をたてさせるなんて凄いアイデアです。でもトム・ハルスのモーツァルトはF・マーリー・エイブラムスのサリエリの演技には到底かなわなかったというのが正直なところです。このサリエリぐらい説得力のある演技は、滅多に拝めるもんじゃありません。まさに彼こそ、“凡人の神”だったというわけです。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2013-10-01 18:19:09)
1394.  第七の予言 《ネタバレ》 
黙示録や“さまよえるユダヤ人”の伝説などをモチーフにしているショボい滅亡オカルトなんですが、これはもうデミ・ムーアのマタニティ・ヌードを見せたいがための企画としか言いようがないです。ていうか、同時期に雑誌でもヌードになっているし、デミ・ムーア自身がよっぽど見せたかったんでしょうね(露出狂かよ)。でもこんなお腹が大きいときに、良くこんな胎教にも母体の精神上にも悪影響を与えそうな役を演じられるもんだと感心しちゃいます。この時生まれたブルース・ウィリスとの子供は、今はどういう風に育ったんでしょうかね。 この映画で堪らなく不快だったところがあります。デミの旦那がマイケル・ビーンで弁護士としてある死刑囚(実は予言では救世主になるはずの人物)の処刑を中止させようと奮闘するのです。彼が何をしたかというと、近親結婚をした自分の両親を“神の掟に背いた”と殺害したのです。ふつうの感覚では死刑になってもしょうがない狂信者だと思いますが、この映画ではなんか無垢な精神を持った清らかな人みたいに描いているんです。しかもそれを演じているのが障害を持った俳優(ダウン症みたいでした)で、つまり彼は“神の子”だということみたいです、監督の意図は。もうシャレにもなってませんよ、まったく!
[ビデオ(字幕)] 3点(2013-09-29 22:34:25)
1395.  鷲は舞いおりた 《ネタバレ》 
映画はずいぶん前に観てて、ぜひ原作を読んでみたいと思ったのに30年は経っているのにいまだに読んでいません。 この映画、良く考えたらジョン・スタージェス監督の遺作になるんですよね。原作のファンからは酷評されていることも判りますが、マイケル・ケインのシュタイナー大佐は観直してみるとそう悪くはない気がしてきました。世の中を達観した様なシニカルなキャラが、彼ら特殊部隊員たちの持っているゲルマン的な滅びの美学に良くマッチしているなと思います。 私の様なマニアはどうしても目が向いてしまうのですが、この映画は軍装や兵器の考証への拘りには目を見張るものがあります。シュタイナーがユダヤ人女性を助けようとするシーンでは、博物館にしかない様な実物の突撃砲まで登場するのには驚かされました(チラッとですけど)。でも?なのはポーランド軍の軍服の下に着ているのが降下猟兵のコスチュームではなく空軍のパイロットの制服であることで、原作もそうなんでしょうかね。 考証はこの様に満足できるものですが、肝心の脚本はけっこう粗い部分が目立ちます。撮影の都合があったんでしょうけど、いくら英軍の輸送機を使っていると言っても白昼に落下傘降下はふつうやらないでしょう。リーアム・デブリンのキャラも、人間味が溢れるというよりもこれじゃあ単なるバカみたいです。バカと言えばラリー・ハグマンたち米軍の描き方で、どうなんでしょうね、これは作品の緊張感を削ぐ悪効果しかないと感じますけど。ラストの改変もあるし、あまり原作の凄さを活かしきれていないという印象が強いです。
[映画館(字幕)] 6点(2013-09-26 21:24:21)
1396.  東京オリンピック 《ネタバレ》 
馬鹿な大臣がいちゃもんつけたおかげで「記録か芸術か」と論争が起こったというのは有名なお話ですが、今の眼で見ればしごくまともでオーソドックスな印象さえ感じます。もっと前に『民族の祭典』をリーフェンシュタールが撮ってるのに、当時なぜそんな騒ぎになったのか不思議です。『民族の祭典』と比べれば平凡なもんですよ。それでも市川崑らしさを感じさせられるスタイリッシュなカットも随所に観られ、とくにあの女子80メートルハードルを正面から捉えたショットは、現在では当たり前の技法となっていますが当時は観客をびっくりさせたことでしょう。というわけで、映像に残された当時のオリンピック運営を観察したり日本人の反応を愉しめるのが本作の意義でしょう。■現在のオリンピックと比べると、思った以上に素朴な運営だったんだなとしみじみ思います。マラソンのとき、国立競技場の入口の柱に毛布が巻きつけてあるんです。なぜというと、選手が出入りするときにぶつかって怪我しない様にしてあるみたいです。開会式の晴天は有名ですが、イメージと違ってその後はけっこう雨が降った日が多かったみたいですね。雨天の走り幅跳びなんて、選手の足元は踏ん張ったら穴があくほどドロドロでした。そして見逃せないポイントは、「走る哲人」アベベ選手の力走が堪能できること。ストイックな風貌で、私はこれほど美しく走るマラソン・ランナーは観たことがありません。■実は手違いが怪我の功名になったというあの感動の閉会式の選手入場、今じゃこの「東京方式」がすっかりオリンピック閉会式のスタンダードとなっています。良く見ると選手たちがコスプレやパフォーマンスをしてて、ここだけもっとじっくり見せて欲しいぐらいです。昭和の日本人の精神に多大な影響を与えたもののひとつが、この閉会式が与えてくれた感動だったと思います。■64年のオリンピック招致が決まった時の首相は岸信介、56年後に再び東京オリンピックの招致が決まった時の首相が彼の孫というのは、不思議な因縁ですね(もっとも岸首相は招致には乗り気じゃなかったそうですが)。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2013-09-23 23:07:22)
1397.  バイキング 《ネタバレ》 
カーク・ダグラスとトニー・カーチスが組んだ歴史もの映画なんですが、この顔触れとなるとどうしても『スパルカタス』を思い出してしまいます。まあ映画としての完成度は雲泥の差で比べるのは可哀そうなんですが、『スパルカタス』は監督キューブリック、脚本がドルトン・トランボで脇を固めるのがローレンス・オリビエとピーター・ユスチノフなのでそりゃしょうがないでしょ。 あまり役作りをしないダグラスにしちゃ珍しく片目がつぶれた迫力のあるメイク、けっこうバイキングらしさは出てましたね。でも彼だけがヒゲを生やしてないというのはちょっと不自然な感じが否めませんでした。ダグラスの父親のアーネスト・ボーグナインにレイプされたウェールズの王妃が生んだ子がトニー・カーチスという設定なんですけど、彼がなぜかバイキングの里に流れてくるという脚本はあまりにご都合主義というか適当すぎます。この映画を要約すると、カーチスとダグラスの腹違いの兄弟がジャネット・リーを奪い合うということになるのですが、この兄弟の葛藤という要素がこの映画には全然ないので盛り上がらないんでしょうね。ラストの城攻めやバイキング船のオールの上で見せる軽やかな身のこなしなど、ダグラスの身体能力には感心させられます。 思えばこの映画や『スパルカタス』の共演俳優やスタッフはすでにみな物故したのに、カーク・ダグラスだけはまだ存命というのは凄いことです(もうすぐ100歳ですよ!)。まさに彼こそ“ハリウッド・レジェンド”と呼ぶにふさわしいんじゃないでしょうか。
[DVD(字幕)] 5点(2013-09-22 23:01:44)(良:1票)
1398.  亡霊怪猫屋敷 《ネタバレ》 
医師が結核を患う妻の療養のため、九州の片田舎へ引っ越してくる。地元では幽霊が出ると噂されている江戸時代に建てられた古い屋敷を改装して医院を開業するが、妻は不気味な老婆を何度も目撃し首を絞められて殺されかける始末。困った医師は近所の住職に相談したら、彼から江戸時代に屋敷でおきた恐ろしい事件の話を聞かされる… 事件が解決した6年後東京の大学病院に戻った医師の回想という形式で映画は進行するのですが、冒頭のこの大学病院の描写が薄気味悪くてゾッとします。停電で真っ暗な廊下を懐中電灯の灯りを頼りに歩いていると、死んだ患者が看護婦に担架で運ばれているところに遭遇するんですが、ただ通り過ぎるだけなのに実に怖い。しかもこれはストーリーには全然関係ないカットで、さすが中川信夫、恐怖のマエストロです。 現代編はモノクロ、住職の語る時代編はカラーという使い分けもなかなかいいアイデアだったと思います。化け猫女優と言えば入江たか子が有名ですが、この五月藤江の老婆化け猫と言うのもなかなか味があっていいです。入江化け猫と違ってお歳ですから派手なアクションは見せませんが、化け猫映画お約束の念力女中操縦はバッチリやってくれました。ただあの髪の毛が猫耳になるのはちょっと、でしたね(笑)。障子に映る影を上手に使った映像は、ドイツ表現主義の影響を感じさせてくれて見事でした。 中川信夫の怪談映画は、絶望の中にも希望の光が射して終わるのが特徴で、本作もそんな彼らしく、可愛いオチがありハッピーエンドでした。 いやー、やっぱり中川信夫の怪談映画はいいですね~ 
[DVD(邦画)] 7点(2013-09-20 22:07:43)
1399.  ニュー・シネマ・パラダイス 《ネタバレ》 
今までに繰り返しこの映画を観ていますが、たぶん流した涙は1リットルにはなるでしょう(ちょっと大げさです)。もう最近はトトがシチリアに帰るあたりから涙目になってしまいます。そしてラストシーンではもう滂沱の涙、正直言ってここで泣けない人がいるって信じられないです。トトって子供のころは悪知恵が働くませたガキだし、成人して映画監督になってもプレイボーイで女をとっかえひっかえ、おまけに30年も実家に帰らないというけっこう嫌な奴です。でもアルフレードが残してくれたフィルムを観てるとき、まるで少年の日に帰った様な屈託のない笑顔を見せるんですよね。ノスタルジーの魔力を見せつけてくれるこのカットはまさに偉業で、私の涙腺を徹底的に破壊してくれます。 エンニオ・モリコーネのテーマ・ミュージックはあまりに素晴らしく、もう映画音楽遺産と呼びたいぐらいです。そう言えば数年前、地元のデパートが閉店しました。閉店セレモニーで店員さんたちが深々とお辞儀をする中でもう二度と開かないシャッターが下ろされたんですが、この映画の『愛のテーマ』がその時流されたんですよ。集まった群衆からは一斉にすすり泣きが漏れ、ほとんど号泣してる人もいました。もう素晴らしい演出でしたが、この場面で『愛のテーマ』を流すなんてそりゃ反則ですよ(笑)。
[CS・衛星(字幕)] 10点(2013-09-17 23:55:50)
1400.  冬のライオン 《ネタバレ》 
キャサリン・ヘップバーンが、この映画で『ファニー・ガール』のバーブラ・ストライサンドと同点でオスカー主演女優賞を分けあったのは有名な話ですが、これだけ格調のある堂々とした演技を拝めるのは滅多に体験できることじゃありません。ピーター・オトゥールとの壮絶な騙し合いと相手の心理を知り尽くしたうえで撃ちまくる壮絶なセリフのバトル、あの『バージニア・ウルフなんてこわくない』の壮絶さに匹敵するんじゃないですかね。 ピーター・オトゥールはこの映画の前に『ベケット』でもヘンリー2世を演じているわけで、ヘンリー2世は『アラビアのロレンス』とならぶ彼の当たり役でしょう。アンソニー・ホプキンス、これも彼の名演の賜物なんでしょうけど、歳の割には妙に老けて見える“ライオン・ハート”リチャードがとても印象に残りました。 時代考証的には正しいのでしょうけど、ヘンリー2世やフランス王フィリップ2世たちのとても王族とは思えない質素と言うか粗末な衣装には驚いちゃいました。でもキャサリン・ヘップバーンの装束は同じ様に質素ではあるが気品があって、特にラストにかけて身にまとうドレスの鮮やかな赤は気品に満ちていました。
[CS・衛星(字幕)] 8点(2013-09-16 17:10:05)
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