1541. 最後の突撃(1944)
喜怒哀楽の感情が何一つ湧く事が無かった初めての戦争映画。監督は戦意高揚作品を撮ったのか撮らされたのか? 腕の振るいようが無かったのかやる気が無かったのか? 本サイト3点の基準がそのまま当てはまる期待外れ感が大きい作品。 [DVD(字幕)] 3点(2018-07-29 14:16:09) |
1542. サマータイム・キラー
《ネタバレ》 幼少時に眼前で父を惨殺した者たちへの復讐譚。目元が父親似のクリストファー・ミッチャムは復讐鬼としての線が細く感情移入出来ず、ボクサー犬のほうに男気を感じてしまう始末。その点を補ってくれたのが、最近鑑賞した中で一番だったバイクアクションと瑞々しいオリビア・ハッセーと切なく甘酸っぱい音楽。そして特筆すべきは美味しい所をさらって行ったトップクレジットに相応しいカール・マルデン。マフィアに飼われている麻薬担当警部の地道に着実に一歩一歩近づく捜査に見入り、飼い犬に嫌気がさしたかのような行動に「あぁ、そんな事したら・・」予感通りの結末での諦観に満ちた姿が絶品。ラフ・ヴァローネ出演作という事で鑑賞した本作は掘出物の秀作でした。 [DVD(字幕)] 8点(2018-07-29 09:31:35) |
1543. 夜の訪問者
殆どが椅子に腰かけているジェームズ・メイソンの舞妓さん並みの白塗りでの演技もチンタラした展開での幼稚なストーリーの前では何一つ響いて来ない。そもそも声に何時もの艶が無く、体調不良だったのかと思わされた精彩を欠く姿だった。チャールズ・ブロンソンの上腕二頭筋と天下無敵の活躍を素直に楽しめる、筈も無く。 かなり迷ったけれど「アカンもんはアカン」恐れながらの2点という結論に。 [DVD(字幕)] 2点(2018-07-28 20:46:33) |
1544. 私の殺した男
《ネタバレ》 息子を亡くした親の喪失感がひしひしと伝わってきて、墓地での母親同士の会話に泣かされてしまいました。 ラストで演奏に聴き入る夫妻にこれでいいのだと思う一方で、真実を隠し通せるとは思えず、明らかになった場面を想像して、やはり真実を伝えた上で葛藤を乗り越える物語でなけらばならないのではないかと複雑な心境です。 抑えた語り口で反戦を謳う本作から7年後にWW2が開戦する現実の厳しさを感じます。ヒトラー総統は鑑賞してなかったのでしょうね。 [DVD(字幕)] 7点(2018-07-27 16:29:43) |
1545. 青髭八人目の妻
クローデット・コルベールが演ずるニコルが鬱陶しく胸糞悪くて笑えず、ゲイリー・クーパーの熱演も空回り感が激しい。ワイルダー脚本作でこんな大ハズレがあるのが驚き。 [DVD(字幕)] 3点(2018-07-22 23:00:28) |
1546. ナザレのイエス
DVD2枚組6時間超の完全版鑑賞。何日かかることやらと思っていたのが丹念に描かれたイエスの生涯に長さを感じる事無く2日間で完走。絢爛豪華さでは鑑賞歴中ナンバーワン(オスカー受賞者7名、ノミネート6名、他名優)の脇役陣を従えた感のあるイエス演じたロバート・パウエルが絶品。次いで印象に残ったのがヨハネ演じたマイケル・ヨーク。次いでモーリス・ジャールの重厚な音楽。お目当てジェームズ・メイソンは全体通じても10分程の出番で語る点がないのは致し方なし。「世の終わりまであなた方と共にいる」と遺言を残したイエスは、その後何千年に亘って神の名の下に繰り広げられた諍いに何を思うのだろうか。 [DVD(字幕)] 7点(2018-07-22 20:18:58)(良:1票) |
1547. 名誉と栄光のためでなく
ロブソン監督作という事で鑑賞。アンソニー・クインにしてもアラン・ドロンにしてもジョージ・シーガルにしても監督ならではの男気が不足しており惹き込まれない。国が独立を果たす為にどれ程の血と涙が流れなきゃならんのかという思いはあったもののアクションものとして気楽に楽しめた作品。 [DVD(字幕)] 6点(2018-07-21 21:04:06) |
1548. 死霊伝説
《ネタバレ》 完全版鑑賞。ジェームズ・メイソンの冷酷非道な狂乱模様を見たい一心で眠気に耐えに耐えての鑑賞でしたが。エレガントで気品に満ち溢れた姿に見惚れるばかりで、スーザンが見入られるように連れていかれるシーンでは、そりゃあ私だって黙ってついていって破滅でも何でもしますわ、と思った彼の出演作中でも屈指の男ぶりでありました。その先がなく、あっけない最期に眠りに落ちてしまい1時間後に続きを完走しました。因縁や謎は何も解き明かされないのもあいまって欲求不満で身悶えしてしまった非常に残念な作品。 [DVD(字幕)] 4点(2018-07-18 16:50:56) |
1549. パンドラ
映像に、ストーリーに、ジェームズ・メイソンとエヴァ・ガードナーに。幽玄の世界を堪能させてもらえました。これ以上言葉に出来ません。 [DVD(字幕)] 10点(2018-07-17 00:34:54) |
1550. ミニミニ大作戦(1969)
《ネタバレ》 金塊強奪作戦はハラハラするところは無いもののCGの無い時代の3台のミニの逃走模様はワクワクし通し。ミニのこれ以上ない宣伝効果になったのではないでしょうか。カースタントチームの仕事ぶりに心からの喝采を送ります。マイケル・ケインを支える、ノエル・カワード、ロッサノ・ブラッツィ、ラフ・ヴァローネの贅沢な脇役陣の存在感がたっぷり。囚人でありながら刑務所の君主であるブリッジャーが作戦成功で皆の祝福に応えるシーンでのチャンチャンチャチャチャンチャチャチャチャ ブリッジャー!!が耳に残ります。「えっ、ここで終わり?」意表を突かれたラストショットは先の展開が色々と思い浮かんだ印象深いものでした。怒り悲しみ切なさやるせなさとは無縁のからりとした粋な味わいある秀作。 [DVD(字幕)] 8点(2018-07-16 00:01:15) |
1551. カインド・ハート
《ネタバレ》 ダスコイン公爵一族八人を皆殺しにしたルイ・マッツィーニは個性際立つキャラクター。慎ましやかな物腰と優雅な立ち居振る舞いと慎重な行動は、失意の内に亡くなった母の敵討ちという動機においては応援してしまうものの、幼馴染シベラとの不倫や殺した男の未亡人イディスを我が物にしようとして二股かける姿に底知れぬ闇を見て引いてしまう。見た目の品性は違うものの人間性は一緒のルイとシベラのキスシーンは異様なオーラが漂っており演じたデニス・プライスとジョーン・グリーンウッドに惹き込まれる。一族八人が似たような顔に見えたのがアレック・ギネスの一人八役なのにビックリ。ただ、アガサ夫人以外はインパクトの無いキャラで黙々と淡々と殺されるだけなのが物足りない。復讐が完結するのか手に汗握った結末に「あぁ~」と思わず声が出て、「これは一本取られたました(死語?)」と思った次第で+1点。 [DVD(字幕)] 9点(2018-07-15 22:58:07) |
1552. みかんの丘
ソビエト連邦から独立したジョージア(グルジア)とジョージアから独立を目指すアブハジア自治共和国のアブハジア紛争。自治共和国のエストニア人集落に2人だけ残る(他は戦乱を避けて帰国)木箱職人イヴォとミカン農家マルゴスは眼前での戦闘で生き残った二人を救出介抱する。片や義務感からのジョージア人ニカ、片や報奨金目当てでアブハジアに加勢する傭兵チェチェン人アハメド。4人が暮らした数日間の呉越同舟模様と結末の「エストニア人とジョージア人何が違う?」「何も違わない」がこの上なくやるせない。静かな語り口でありながら民族紛争の無情観を浮き彫りにさせる名作。 [DVD(字幕)] 8点(2018-07-12 14:35:17) |
1553. 妖婆の家
《ネタバレ》 スージーを手にかけたのは乳母かジョーイかが分からない展開に目が離せない。真相と結末は哀しみを誘うもので、手の皺に加齢を痛感したベティ・デイヴィスが豹変して悪逆非道な妖怪の本性を現すのを今か今かと待ち望んでいた身にとってはちょっぴり残念。陰鬱な物語の一服の清涼剤だった階上の少女を演ずるパメラ・フランクリンが印象に残る。 [DVD(字幕)] 7点(2018-07-11 14:31:00) |
1554. スワンプ・ウォーター
ジャン・ルノワール監督が描く湿地帯を舞台にした異色西部劇。逃亡犯と猟師の関係、二組の三角関係、二組の親子関係、それぞれが感慨深く、支流が大河になるのを見るような起承転結の展開が見事。ダナ・アンドリュースとアン・バクスターの瑞々しさ、ウォルター・ブレナンとウォルター・ヒューストンの優しさが垣間見える無骨な男くささ、それぞれに見惚れ、ラストのダンスシーンが素直に胸に沁みる。フランス人でありながらこのような作品を亡命先のアメリカで作り上げる監督の巨匠ぶりを感じさせられる傑作。 [DVD(字幕)] 9点(2018-07-09 00:45:00) |
1555. 哀愁の花びら
《ネタバレ》 陳腐であったのは邦題のみで現実味を感じさせられたショウビズ界舞台裏での愛憎劇は見応え十分なもの。ジュディ・ガーランドが思い浮かんだニーリー・オハラを演じたパティ・デュークの熱演が素晴らしく、お目当てだったスーザン・ヘイワードとの掴み合いは圧巻。母や夫を思い遣る人格者であっても才能無く容姿が売りのジェニファーを演じたシャロン・テートも酷評には値せず服毒シーンがやるせない。アンを演じたバーバラ・パーキンスは主役であってもインパクトに欠けた点が残念。三者三様の生き様を表したようなディオンヌ・ワーウィックの主題歌はほろ苦く余韻が深い。職人ぶりを感じたマーク・ロブソン監督の秀作。 [DVD(字幕)] 8点(2018-07-07 21:56:57) |
1556. バルカン超特急(1938)
列車に乗るまでのシーンが間延びしていてイライラする。乗ってからもハラハラすることもなく、笑えるでもなく、黒幕はこの人だろうと早くに分かるし。対決の決着は曖昧で、ラストの再会にも「はぁ? 何じゃそりゃ」。指文字などハッとするシーンがあるものの無理筋なストーリーで興に乗れずじまいの作品。 [DVD(字幕)] 4点(2018-07-03 02:21:58) |
1557. ボヴァリー夫人(1949)
《ネタバレ》 原作未読。ジェームズ・メイソンいきなりの登場に本作ではどんな姿を魅せてくれるのか膨らんだ期待はぺしゃんこに(寂) しかしながら、ジェニファー・ジョーンズとヴァン・ヘフリンの名演でもって単なる不倫話が格調高いものとなっており物語に釘付けに。再登場での右斜め上を見上げる彼の決めポーズでのラストショットに「あっ、そうだった」出演していたのを思い出す次第。 マイケル・チミノが影響を受けたのだろうかと思った舞踏会シーンは圧巻で絵的な美しさとエマの心情が溢れ出る演出が実に見事。 最後まで身勝手を通した最期のエマにかける神父さんの台詞と立ち尽くすシャルルに感極まってしまった。 「普通が一番」という事は傷つけて傷つけられて初めて判るものであるのを実感させられる。 時に華麗で時に哀感溢れる音楽と共に記憶に留まる傑作。 [DVD(字幕)] 9点(2018-07-01 11:57:12) |
1558. 牛泥棒
《ネタバレ》 苦手なヘンリー・フォンダの抑揚のない芝居で物語ものっぺりとして惹き込まれない。人が我は正義なりという感情だけで人を裁く浅はかな思い上がりを、処刑賛成者は勿論のこと、妻に宛てた遺書を勝手に読み上げる行為からも感じた。遺書の内容は妻に宛てるものでなく監督の主張であり、観て解る事をあらためて言葉にする演出に白ける。過ちに対する罰を受けることのないご都合主義の結末にも萎える。お目当てだったダナ・アンドリュースも見どころが無い。尺が短かったのがせめてもの救い。 [DVD(字幕)] 4点(2018-06-30 20:45:16) |
1559. 愚かなり我が心
硬派、骨太のマーク・ロブソンの見応えあるメロドラマ。エロイーズは確かに愚かな女性。しかし、ウォルトとの在りし日のロマンスにウットリさせられました。屈折しておらず善良な好青年役のジェームズ・メイソン(そんな役があるのか?)を思い起こさせるダナ・アンドリュースの魅力に尽きます。そしてエロイーズの父親を演じたロバート・キースも彼に劣らず絶品で、この男性二人の一言一句は胸に染み入るものでした。原作者サリンジャーは本作に激怒し、以降自作の映画化を一切認めなかったのだとか。私は満足出来たので原作を読みたいとは思いません。映画よりも主題歌が大ヒットしたそうですが、それほどでもといったところです。 [DVD(字幕)] 7点(2018-06-29 01:24:11) |
1560. 謀議<TVM>
《ネタバレ》 1942年1月20日にヴァンゼー湖畔の邸宅(元はユダヤ人宅)にて開催されたヴァンゼー会議の模様が描かれた作品。党・内閣・省庁・国務事務・治安機関・占領地責任者・親衛隊の15名の出席者の内13名が知らされていなかった議題は「ユダヤ人問題の最終的解決」議長ハイドリヒと腹心アイヒマンの中では方針及び方策は決定済みであり、本件の権限を親衛隊に集約させる事も含めて全会一致の可決に向かって会議を進めてゆく。各々の立場から出される意見はユダヤ人を人間と思っておらず、口蹄疫の対策会議のよう。とりわけ印象深いのが激しく反対したニュールンベルグ法作成者のシュトゥッカートの「抹殺は法にもとるもので強制去勢で種を絶やせ、その際の混血におけるユダヤ人の定義を明確に」コリン・ファースの熱演もあいまって腸が煮えくり返った。人間が持ち合わせている感情から反対したクリツィンガーとて度合いが少ないものの鬼畜に変わりない。 他作品でゲスの権化だったハイドリヒは物腰は柔らかいものの発言の封殺や個別の恫喝で着地点に向かって突っ走り、アイヒマンは執事のように物静かにハイドリヒを補佐する。「白い巨塔」の教授会を見ているようだった。 後片付けする邸宅の使用人達も無邪気に雪合戦をして主人を待つ運転手達もヨーロッパ各地のユダヤ人達も謀議の内容を知るはずもない事が何ともやるせない。アイヒマンによって破棄された会議資料の内、戦後発見された№16のコピーの所有者はクリツィンガーだったのだろうか。 ほぼ全編に亘る室内会話劇は緊張が途切れない見応え満点の秀作。 [DVD(字幕)] 8点(2018-06-28 02:30:06)(良:2票) |